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「KZ ZS6」デザインも価格も音質も非常識すぎる話題の中華イヤホンを「全色買い」してみた【レビュー前編】

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KZ ZS6

発売前に予約オーダーした「KZ ZS6」がようやくすべて届きました。前回の「ZS5」同様にネット界隈で話題のイヤホンですが、今回はAliExpressですべて別々のセラー(ショップ)にて3種類のカラーを全部、予備も含めて合計4個のオーダーしました。というわけで、今回も前後編の2回に分けてレビューしたいと思います。
前編は「個体差」が囁かれるZS6を複数購入した比較と音質面の感想を中心に紹介します。


■中華イヤホンの代名詞ブランドはやはり強い。脅威のアラウンド5千円イヤホン(゜д゜)。

KZ ZS6改めてKZ「ZS6」は中国KZ(Knowledge Zenith)社が発売した新製品で、前回の「ZS5」のアップグレードモデル的位置づけのイヤホンです。
ドライバー構成は2BA+2DDとZS5と同様ですが、金属製ハウジングに加えて、特徴的なフェイス部分の開口部(ベント)によりダイナミックドライバーの音抜けが良くなるなど音質面が向上している点が特徴。
2BA+2DDのドライバーについては「KZ 30095」と呼ばれる高域BAドライバーが2つと10mmと6mmのダイナミックドライバーを搭載。2個のBAは並列でステム部分に装着されています。

※なお、樹脂製ハウジングの「ZS5」については以前レビューした際はZS6とは異なるドライバー構成でしたが、現在出荷されているロットでは「ZS6」同様のドライバー構成および配置に変更されました。こちらの新版ZS5もオーダー済みですので、後日新旧比較レビューを、さらに新版ZS5とZS6の比較をZS6後編のレビューで行う予定です。

同イヤホンのAliExpressの「KZ Official Store」での表示価格は44.80ドル(マイク無し)。
HCKやEasy Earphoneなどの有名セラーでもAliExpessの表示価格ではほぼ同様の値付けとなっています。予約購入時は30ドル台後半のディスカウントが行われおり、私もその価格で購入しましたが、現在もこれらのセラーではアップグレード用のケーブルとセットで購入するなどで値引きを依頼すれば相応の値引きをしてもらえると思います。
AliExpress(NiceHCK Audio Store):KZ ZS6
AliExpress(Wooeasy Earphone Store):KZ ZS6

AliExpressでの値引き依頼の方法などはこちらを参照ください。

またアマゾンでもEasy Earphoneが運営する「WTSUN Audio」のマーケットプレイスで6000円台で販売されています(現時点ではマイク付の一部カラーのみPrime扱いですが入荷が安定してくれば全てアマゾン出荷になると思われます)。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio):KZ ZS6


■もうお馴染みのパ○リの件、「KZ ZS6」は確信犯的に攻めてきてます(・_・)。

KZ ZS6ちなみに、ZS5の際もさんざん言われたことですが、いうまでもなく某Campfire Audio(CA)社のイヤホンのパ○リのデザインです。しかも今回は樹脂製ではなくオリジナルと同じフェイスパネルを3つのネジで固定した金属製ハウジングで、CA社の代表モデル「Andromeda」を意識したとしか思えないグリーンのカラー設定など「いよいよシャレにならない」という空気感が漂っています。しかし、実際の「ZS6」を見てみると、ZS5が本体形状やフェイス部のCAロゴを意識したような怪しげな三角マークのプリントなど、がっつりCA社のイヤホンに「寄せに行ってる」のに対し、「ZS6」では「確信犯的に外している」部分が多く確認できます。

まず最大の相違点はなんといってもフェイス部分の大きな開口部(ベント)ですが、他にもフェイスパネルおよび背面部の斜めに角度が付けられている部分がZS5より浅くなっており、オリジナルよりかなり「ハコ」感が強くなっています。
KZ ZS6背面部の角度が浅くなることで耳へのフィット感が悪くなることや、ステムの口径がZS5より大きくなっていることを配慮してか、背面部全体で段差の位置や大きさ、角度など微妙に変化が加えられておりZS5とほぼ同様のフィット感を維持しています。またフェイス部分に関しては他にもZS5では丸みを帯びていたケーブルコネクタ部の膨らみも角張った感じにしたり、3点のネジ位置をオリジナルと変えていたりと、「意図的に外す」ためにむしろZS5より相当にオリジナルを意識している様子がうかがえます。
こういうパ○リで意匠を微妙に変えると普通はバランスがおかしくなってしまうものですが、フェイス部分のベントなどZS6の構造や音質についての「合理性」のある変更になっていて、この価格で実現できるKZ社の技術力の高さをあらためて実感しなんとも複雑な気分になります。


■KZ名物「個体差」は初期ロットで発生(ーー;)。でも現在は(たぶん)安定してます。

日本のメーカーではまずあり得ないことですが、改めて、KZのイヤホンはロットごとや「個体差」で品質が安定しないのが「あたりまえ」という、とんでもないメーカーです(笑)。これは中華イヤホンを嗜む上では「常識」ですが、普通の感覚とはかなりかけ離れた部分だと思いますので、上記の「パ○リうんぬん」という(ある意味生理的に受け入れられるかという)話より、物理的に許容できるか、という点でひとつのハードルではないかと思います。

KZ ZS6」のオーダーは8月28日に最初のセラーが、さらに同日夜に複数のセラーが予約を開始し、翌8月29日にはHCKとEasy Earphoneなど日本向けでは定番のセラーも予約を開始しました。私は28日に予約を開始したセラーの中で2つ(DD-Audioともう1社)、HCKとEasyから1個ずつと合計4個を各社予約開始とほぼ同時に注文しました(ほとんどのセラーでファーストオーダーだったと思います)。
しかし、実際には届いたタイミングには結構差があり、結果的にロットも異なるものが届いたようです。そのため「個体差」や「当たり外れ」にも見事に遭遇しました。具体的には、

KZ ZS6① 9月下旬到着: ブラック(オーダー8/28)

高域が異常に強い個体。100時間エージングで高域が多少安定するものの、片方のバランスがおかしいことが判明。いわゆる「ハズレ」個体

② 10月初旬到着: グリーン(オーダー8/29)
Easy Earphoneで購入。綺麗なドンシャリの周波数特性。エージング前は多少シャリ感が強く、高高域のバランスに違和感があったが100時間エージングでほぼ安定。

③ 10月初旬到着: レッド(オーダー8/29)
KZ ZS6HCKで購入。②のEasyの個体よりエージング前音質では高高域と低域が出ていない印象。100時間エージングを経て音質が安定しEasyのロットとほぼ同じ音になった。

④ 10月9日到着: グリーン(オーダー8/28)
DD-Audio Storeで購入。エージング前の印象および周波数特性はEasy Earphoneのロットとほぼ同じ。同一ロットもしくは以降のロットでの標準的な音質と思われる。

おそらく現在入手できるロットは比較的安定したものになっていると思われます(内部配線など懸念事項は一部あるのでその辺は後述します)。

パッケージは他のKZ製品同様の簡易パッケージ。いちおう豪華版もあったようですがZS6では(中国国内向け)最初期のロットのみで、最初に出荷された非常に少数の個体のみと思われます。
KZ ZS6KZ ZS6

KZ ZS6」の本体カラーはブラックはつや消しのマットな仕上げ、レッドとグリーンはメタリックな塗装。グリーンはAndromedaより明るくより原色に近い緑色で、レッドは他の中華オーディオ製品でも良く見受けられる比較的深い赤色です。具体的には「FiiO X5 3rd gen」のレッドモデルと全く同じ色でした。
パッケージにも「中国紅」と書かれており、どうも深圳界隈では定番色のようですね。
KZ ZS6KZ ZS6
内部配線については後述しますが、イヤホン自体のビルドクオリティはKZのイヤホンの中でも群を抜いて高く、また5,000円~6,000円クラスのイヤホンと考えても異常と思えるくらいの仕上がりの良さです。KZ5では塗装や接合部分などに作りの雑さは感じましたがZS6ではそのような点は皆無でドライバー構成といい、所有欲を満足させるという点では格段の進化です。アルミ製のハウジングは樹脂製のZS5よりは重量がありますが金属製イヤホンとしては軽く、サイズの大きいイヤホンながら重くて外れる、という心配はなさそうです。

イヤーピースはS/M/Lの3種類(Mは装着済み)とケーブルのみというシンプルな付属品。

KZ ZS6付属してるケーブルはZS5付属のものと同じ相変わらずの非常に安価なつくりですので、同社から数種類出ているアップグレードケーブルやCIEM仕様の2pinケーブルでのリケーブルがお勧めです。標準ケーブルと比較すると確実に解像度向上や使い回しが良くなるなどのメリットがあり、ZS5やZST同様に「必須」と考えたほうがよいかもしれません。なお「ZS6」の場合、純正アップグレードケーブルやEasy等から発売してる5,000円以下の2pinケーブルで十分に効果を実感できましたが、例えば1万円以上の高額なケーブルに換えてもそれ以上の音質変化は限定的でした。(文末に実際に私が使用しているお勧めケーブルのリンクを貼っておきます)。
KZ ZS6」では、本体の2pinコネクタは非常に固く、ケーブルピンを適当に差し込もうとするとピンが曲がってしまうのでは、と思うほどのキツさです。しかしZS5のときのような抜けやすさはないので安心してリケーブルできる、という意味では改善点だと思います(新版ZS5も同様に硬いコネクタに変更になったそうです)。

KZ ZS6」の装着性はZS5とほぼ同じ・・・と言いたいところですが、上記の通り背面の形状にも若干の変化が加えられている関係で耳の大きさによってはZS5では入ったけどZS6では奥まで入らない、というケースもありそうです。ただ装着位置での音質変化も少ないようなので、固定しやすいイヤーピースを選んで装着するのがよいかと思います。個人的にはZS5より少し小さめのイヤピに変えることでフィットしました。


■KZ史上「圧倒的」な高音質。コスパってのはこーゆーときに使うもんだ(`∀´)。

KZ ZS6」の音質傾向はとても金属質なドンシャリで、「ZS5」の時と比べて「明確なキャラクター付け」を行っているのがわかります。ソリッドなメタリックボディに、2BA+2DDのマルチドライバー・ハイブリッド。さらにレッドやグリーンなどの際立つカラーリング。某イヤホンと酷似している点をあえて排除して考えても、これらの外見的特徴にサウンドを合わせている、というのがはっきりと伺えます。
KZ ZS6ステム部分に装着された2基のBAドライバーを中心に力強く高音域を演出し、後方のデュアルダイナミックドライバーは締まりのある低域と一定の量感を確保した中域をしっかり表現しており、多少演出過剰ぎみの「派手な音」ながら、非常に解像度の高いエッジの効いたサウンドを聴かせてくれます。高域はネットなどで指摘されているように多少シャリシャリ感や刺さりのある音ですが、100時間以上のエージングでダイナミックドライバーの音が安定することで高域も含めた全体のバランスが向上し、刺さりはあまり気にならなくなります。この段階ではマルチドライバーらしい非常にキラキラ感のあるサウンドが楽しめます。

image音場は一般的な広さながら、解像度の高さから良好な定位感と非常にクリアな音で、聴きたい音をより明瞭に聴かせてくれる印象があります。ただし、そのクリアさは例えるなら目の前の空気の膜もデジタルフィルターで除去して透明にしたような感じで人工的な印象もあります。そのため自然さや解像度よりアコースティックな「味わい」を求める向きではないと思います。つまり「ZS6」のサウンドは、高性能なシングルダイナミックドライバーを搭載するナチュラルさが売りのイヤホンとは対極にいるような、全力でマルチハイブリッド感を主張するメタリックサウンドという感じでしょうか。この方向性における「ZS6」の音質は「圧倒的」で、同価格帯のイヤホンに比較対象を求めることが困難に感じるレベルを実現しています。

マルチドライバー、特にハイブリッドのイヤホンは各ドライバーのクロスオーバーをどのように処理し、自然なつながりを実現するかが最大の課題ですが、特に音質をコントロールするネットワークを持たないZS6では「つながり」より各ドライバーの特徴を活かすことに力点が置かれています。以前ZS5のレビューで「マルチドライバーによる及第点の音作り」といったことを書きましたが、いっぽうの「ZS6」では「マルチドライバーの特性を思い切り押し出した音作り」という感じでしょうか。それでも音質的に破綻することなく高度なレベルを(しつこいですが)この価格で実現しているのは驚異的だと思います。

KZ ZS6フェイスパネルの開口部(ベント)による音漏れは多少あり、静かな部屋や図書館のような場所では周囲に多少の迷惑がかかる可能性があります。ただ電車の車内での使用については満員電車で密着してしまうような状態でなければまず支障はないと思います(私も頻繁に電車内で使用していますが外しても全く聞こえないレベルです)。いっぽう装着時の遮音性も一般的で、新幹線車内での使用でも環境ノイズを悩まされることなく快適に利用することができました。また開口部をシールなどで塞いだ場合、一部のライブ音源などで音場が狭くなる印象がありましたが音質面の変化はさほど気にならないレベルでした。

なおインピーダンス15Ω、感度105dB/mWと「鳴りやすい」イヤホンのためスマホなどでも音量を取りやすいいっぽうで高出力のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプではシャリシャリ感が強まる傾向もあるようです。


■脅威の5000円級イヤホン。デザインを受け入れ、「個体差」をギャンブル的に楽しめる寛容さがあるか。


このように「KZ ZS6」は「アタリ」であればかなりハイレベルのイヤホンになりますが、いわゆる「不良品」のほか、サウンドバランスが多少崩れた「ハズレ」が存在するのも確かです。前回の「ZS5」でも初期ロットの「ハズレ」の発生率でギャンブル的な話がありましたが、「ZS6」ではどうも「初期ロット」はかなり品質がバラバラで個体差が激しいらしい、ということが見えてきました。ちなみにそれ以前では同社の人気モデル「ZST」も当初のロットはあまり評判が良くなく、紫色のモデルが出荷された2016年後半以降で大幅に音質が改善されました(その後も黒モデルは従来のロットも市場に残っていたため「紫は良いが黒はダメ」という話が広がったりもしました)。

KZ ZS6私も4個オーダーした「ZS6」のうち、最初に届いたもの(黒色)は見事に「ハズレ」にヒットしました。Twitterの報告をみていると、同時期に届いた方の多くは「高域が異常に強すぎる」やなどのネガティブな印象や、「左右で音が違う」といった明らかに不良を疑うべき個体も見受けられました。
「ZS6」では各セラーで少数あった最初期ロットの「豪華版」から出荷され、以降も当初は少量のみがセラーに流れたことから「届いた色から出荷する」という流れで出荷していたようです。この最初の小ロットにハズレが集中したのでは、と推測しています(HCKやEasyのオーダーの多くは受注数が大量なのでおそらく「その次以降」のロットでまとめて出荷しているのではと思います)。

ちなみに、私の「ハズレ」個体はエージングを行ったところ左右で音が変わってきたのですが、フェイスパネルを開けてみたところ(星形のT5サイズがある精密ドライバーセットなどがあれば開けることができます)、片方だけ接着剤が内部で固まりになっていて、内部配線が圧迫されている状態でした。精密ピンセットなどで接着剤を除去し、いびつに折れ曲がった配線を戻したところ左右での差は少なくなったようですが、他の「当たり」の個体よりは明らかに高域を中心にバランスがおかしい状態でした。(エージング中はOSTRYのフィルター付イヤーピースを使うことで多少高域の刺さりを軽減していましたが、「当たり」個体ではそのようなことをする必要は全くない音でした)
KZ ZS6KZ ZS6
おそらく現在出荷されているロットでは、このように「音のバランスがおかしい個体」はほぼ無いのではないかと思いますが、内部配線不良などにより左右で音が違うケースは考えられます。そのような場合は購入したセラーに相談し交換などの対応を取ってもらうことをお勧めします(HCKやEasyなどはその辺の対応もちゃんとしてくれると思います)。

KZ ZS6中華イヤホンの世界では、かつてはコピー製品が氾濫しており、現在も「ほぼアウトなオマージュ製品」は結構存在していたりします。今回「完全アウト」感がアップしつつそれを認識した上で「確信犯的にデザインをいじる」というパ○リの王道までやってのけた「KZ ZS6」ですが、上記の品質面のギャンブル要素も含めて、これらの条件を「アリ」と捉えて「中華イヤホンの醍醐味」と感じていただける方以外はまずは購入を検討しない方が良いかもしれません。ただ、それを超えた先では5,000円クラスとして過去に類を見ない圧倒的な高音質イヤホン(音質傾向の好き嫌いは分かれそうですが)のサウンドが得られる、というわけです。

まあ、ほんとこれだけの音質とクオリティのイヤホンをこの価格で実現し、しかもデザインに意図的に手を加えるしたたかさもある実力メーカーなんですから、その実力をそろそろオリジナルデザインのイヤホンに向けて欲しい、と切に願ったりもしています。ほんと、困ったものですね。

後編では新版ZS5も含め、他イヤホンとの比較なども行ってみたいと思います(つづく)。


「TENNMAK TRIO」 イロイロ狙いすぎな「きせかえ」イヤホンを買ってみた

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TENNMAK TRIO

中国のイヤホンメーカー「TENNMAK」の新モデル「TENNMAK TRIO」です。

TENNMAK ProTENNMAK」は中国の比較的小さなイヤホンメーカーですが、音質面には定評があり、日本でも以前よりファンの多いブランドです。

私自身も同社の「Tennmak Pro」はお気に入りイヤホンのひとつでグレーとクリアーの2つを使っています。
また以前レビューでも紹介しています。
→ 【3千円で驚きの高性能】濃厚2DD「Tennmak Pro」、激安2BA+1DD「COULAX CX09」を買ってみた。

購入はAliExpressのTENNMAK Official Storeにて。購入時の価格は49.99ドルでした。
AliExpress(TENNMAK Official Store):TENNMAK TRIO

現在「TENNMAK」は日本のアマゾンでもマーケットプレイスを出していて代表的なモデルは購入が可能になっており、今回紹介する「TRIO」についてもいずれはアマゾン経由でも買えるようになるのではと思います。
Amazon.co.jp(Tennmak Official Store)マーケットプレイス

※「TENNMAK TRIO」はすべて大文字表記にしていますが、区別が付きやすいよう「Pro」については従来からの「Tennmak Pro」と表記しています。


■「TRIO」の名前が示す「3つのフィルター」と「3つのフェイスカバー」

TENNMAK TRIO」のパッケージは従来モデルよりカラフルで、日本語の説明も併記されています。

TENNMAK TRIOTENNMAK TRIO

パッケージ構成は本体に加え、TENNMAKのイヤホンではお馴染みの同社ロゴ入りのイヤホンケース、マイク付MMCXケーブル、イヤーピースはS/M/Lの3種類、そして装着済みのフェイスカバーとサウンドフィルター以外に2種類のフィルターとカバーが付属します。
imageTENNMAK TRIO
TENNMAK TRIO」のドライバー構成は9mmと6mmのデュアルのダイナミックドライバーによる2DDとなっており、「TRIO」という名前の由来となっている「3種類のサウンドフィルター」と「3色のフェイスカバー」が特徴となっています。

フェイスカバーは本体色と同じ「透明黒(Transparent Black)」と、「青(Pure Blue)」「琥珀色(Amber)」の3色でメタリックプレートで覆われた表面内側に被せるようにマウントします。
サウンドフィルターは金属製のステム部分ごと脱着するタイプで、シルバーメッシュの「標準(Balanced)」、赤メッシュの「高域強調(High)」、黒メッシュの「低域強調(Low)」の3種類が用意されています。
TENNMAK TRIOTENNMAK TRIO
また、MMCXコネクタに対応する付属ケーブルはマイク付のタイプのみとなっています(他のTENNMAKのMMCX対応イヤホンのマイク付ケーブルを選択した場合と同じものです)。

TENNMAK TRIO」のイヤホン本体部分は、サウンドフィルターおよびフェイスプレートが交換式になったためか、TENNMAKの代表的なモデルで同じ2DD構成の「Tennmak Pro」よりひとまわり大きなサイズになっています。
TENNMAK TRIOTENNMAK TRIO

実際に比較してみると、全体的な形状やベント位置などTennmak Proを継承しているものの「TENNMAK TRIO」のほうがかなりコストのかかったつくりになっていることが分ります。Proの人気で資金的にもよりコストのかかったイヤホンが作れるようになった、ということかなと思います。
TENNMAK TRIOTENNMAK TRIO

シェルサイズがひとまわり大きくなり、ステムもサウンドフィルターの交換式になったためProより太くなっていますが、装着性は良くシュア掛けでしっかりと装着できます。


■より高域に脚色をシフトしたサウンド。でも二兎、三兎・・・いろいろ狙いすぎかも。

TENNMAKのイヤホンは前述のTennmak Proもそうでしたが比較的長時間のエージングによりドライバーが馴染むことで本領を発揮できる傾向にあります。その中でも今回の「TENNMAK TRIO」はさらに変化が顕著で、音質が落ち着くまでには最低でも100時間以上のエージングが必要でした。

image過去の記事でも記載の通り、私の場合エージングはApple Musicをランダムでエンドレス再生することで行っていますが、50時間程度までは特に高域が安定せず、ある程度高域が出るようになったと思ったら高域強調(High)フィルターを使用時に、高域の歪みを感じるようになり全体のバランスが悪くなる状況に遭遇しました(この現象は100時間経過後に確認した際は解消していました)。

以降は約150時間のエージングを行い、ある程度音質的に安定したと思われる状態のものです。

エージングを十分に実施した「TENNMAK TRIO」の周波数特性は同社の従来モデル同様に低音が厚い明確なドンシャリ傾向ですが、Tennmak Proと比較すると5kHzより上の高域のカーブが大きく、多少の刺さりを感じやすい音になっています。

Tennmak Proは非常に濃いドンシャリ(脚色が多いとも言う)で奥行きのあるサウンドですが、同時に特徴的なのは低域の厚さではないかと思います。いっぽう「TENNMAK TRIO」では3つのサウンドフィルターのうち、「標準(Balanced)フィルター」を装着した状態では、十分に量感のある低音ながらProのような反響音はかなり抑えられ締まった印象で、むしろ高域のほうが強く感じられるサウンドバランスになっています。とはいえ、解像度は一般的で高域もある程度の伸びはありますが、明瞭感より「脚色するポイントが変わった」というイメージのほうが適切かもしれません。

TENNMAK TRIOTENNMAK TRIO」の音場は一般的でやや広め。
とはいえTennmak Proが広がりより奥行きを感じる音の濃厚さが特徴だったのに対し、「TENNMAK TRIO」ではは多少あっさりしたという印象があります。低域が締まりが向上し、相対的に中域の明瞭度が上がったことで定位性は良くなったものの、結果的に奥行きは浅くなり濃厚さは薄れた、という感じです。
そういった意味で「Pro」の上位版、と思って聴くとわりと期待外れな印象になってしまうのですが、女性ボーカルのポップスやアニソンなどの場合は「TENNMAK TRIO」のサウンドのほうが聴きやすく感じるかもしれません。

ただ、TENNMAK Proは再生するDAPなどのプレーヤー側の特性によっては低音過多の印象になる可能性もあるため、「TENNMAK TRIO」では特にスマートフォンなどの再生環境も意識したセッティングにした可能性もあります。実際のところカラーを変えられるフェイスプレートはマニアよりコンシューマー受けを意識していると思いますし、付属ケーブルがマイクコントロール付のみ、というのもその現れでしょう。
とはいえ、既存のファンやマニア向けにはサウンドフィルターで対応し、どうせリケーブルするだろうから、と「二兎を追ってる」感も垣間見えます。

TENNMAK TRIO次に、赤色の「高域強調(High)フィルター」を装着すると、中低域には特に変化はないものの、高域の刺さりが多少アップした印象を受けます。周波数特性を取ってみると、特に10kHz以上の高高域が強調されているのが確認できました。ある程度の年齢になってくると可聴域の上限は下がってくるため高域強調フィルターの恩恵は限定的ですが、一定時間聴いていると聴き疲れが大きい印象です。
こちらはハードロックやメタルなどのサウンドを楽しむことをイメージしてるのかな、とは思いますが、なんとなく人によっては「そういうわざとらしい脚色はむしろ要らない」という声もありそうです。

TENNMAK TRIO最後に黒色の「低域強調(Low)フィルター」で、これは分りやすく言うと5kHz以上の高域を若干抑えてTennmak Proに近い周波数特性にするものです。
聴いてみると確かに印象としてTENNMAK Proに近い音になってはいますが、単に高域を絞っているだけで低域の特徴が変わるわけではないので結果、よりあっさりして、高域もさほど刺さらない、という音になります。上記のようにTENNMAK Proの脚色の多さ、特に低域過多を感じる人(または再生環境)の場合は多少薄味になった「TENNMAK TRIO+Lowフィルター」はちょうど良い印象になるかもしれませんが、「これだったら普通にProのほうが良い」と思う方も多数いるかもと思います。

ここまでくると、いよいよ「色々狙いすぎてどっちつかずになった典型」みたいな話になってきてしまいました( ̄。 ̄;)。


■とりあず、リケーブルして、イヤピも替えて楽しもう

image正直なところ、「TENNMAK TRIO」を購入して、結果Tennmak Proの完成度の高さを改めて再認識する感じになりました。
とはいえ、Tennmak Proもアンダー5000円クラスとしては非常に完成度の高いイヤホンですので、一般的にみれば「TRIO」も十分にレベルの高い仕上がりのイヤホンだと言えます。
実際、Tennmak Proが脚色が強すぎる、という意見も伺いますので、その場合は「TRIO」も良い選択肢になりうるのでは、と思います。

とりあえず私はサウンドフィルターは「標準(Balanced)」を使用し、イヤーピースを「final Eタイプ」にすることで低域のメリハリを強くして使用することにしました。またMMCXケーブルも手持ちの8芯のケーブルに交換して使用しています。
TENNMAKは「Pro」をブラックとクリアの2種類、さらにシングルダイナミックの「Piano」を使っており、個人的にも結構好きなブランドです。また新たなバリエーションが加わったことで楽しみも増えたなと思っています。

プロフィール(Twitterアカウント)
カフェで息抜きにイヤホンとかのブログ書いてます。Apple好きのおっさん。食べるのも好き。普段はIT系のお仕事で自宅は福井県ですが都内で単身赴任してます。ポタオデは趣味で出張のお供。美音系/モニター系の音が好みです。自宅ホームシアターもそろそろ改造したいな。
※レビュー依頼等は bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上ご返答申し上げます。


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