bisonicr keep walking.

ガジェット好きのおっさんによる、趣味的レビュー。ちょっとイイけどお買い得、そんなアイテムに目がありません。

「FiiO X7 Mark II」(X7 MKII)の音質をいろいろ確認してみた【後編・活用編】

このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote
image

前編から少し間があいてしまいましたが「FiiO X7 Mark II」(X7MKII)の後編です。

前編はこちらをご覧ください。
→ 「FiiO X7 Mark II」(X7 MKII)最新DAPを買ってみた【到着・構成編】

もっとも、この記事を書いている現在(8月21日現在)、AliEXpressの「FiiO Official Store」では「X7 Mark II」は受注停止状態になっています。原因は不明ですが、ファームウェアの変更などで次回ロットまで待ちの状態かもしれませんね。というわけで、今後受注が再開後にはバージョンアップなどで記事内容と異なる部分が出てくるかもしれませんがあらかじめご了承ください(9月中旬頃までにはOfficial Storeでの販売が再開されるという情報もあります)。


■あらためて「FiiO X7 Mark II」と現在の状況について

image前編からの振り返りとなりますが、「FiiO X7 Mark II」(X7 MKII)は、現在日本でも販売されているFiiO社の最上位モデル「X7」の後継機種になります。以前、「X7」の強化版として「X7 Pro」が出るという話があり後に正式にキャンセルされましたが、当時言われていた「メモリ2GB、ストレージ64GB」という内容は「X7 Mark II」が実装することで、事実上のPRO仕様となっています。さらにDACも「ES9028PRO」へアップグレードしています。
また本体デザインはリファインされつつ、交換可能な「X7」用のアンプモジュールと互換性を持たせることで発売当初から自分好みのサウンドにカスタマイズできる点も魅力的です(「X7 Mark II」は新しい「AM3A」アンプモジュールを標準搭載。他のアンプモジュールはオプションです)。

X7 Mark II」発売以降に下位モデルの「X5 3rd gen」(X5III)のファームウェアがバージョンアップ(FW1.1.7)し、「FiiO Music」アプリが「X7 Mark II」と同じインターフェースに変更になりました。同時にアプリの安定化が進み、一部音質面の改善があったという情報もあります。
imageいっぽう「X7 Mark II」はリリース以降、現時点ではファームウェアのバージョンアップは実施されておらず、まだまだ動作に不安定さが残ります。特にGoogle Play経由等で複数のアプリを追加でインストールしていると不安定動作が目立つようです。同様に利用環境によっては使用中の発熱量が非常に多くなり、同時にバッテリーの消耗も早くなるケースもあります。これもアプリを複数インストールしている場合、Android系のDAPでは「よくあること」なのですが、感覚的にメモリの少ない「X5 3rd gen」のほうが安定しているように思えることも少なくありません。「X7 Mark II」も安定したファームウェアに育つまでには今しばらく時間がかかりそうです。


■X5 3rdよりナチュラルなサウンド。音場は比較的広く情報量の多い印象

X7 Mark II」は既存モデルの「X7」同様にアンプモジュールの交換に対応している関係上、最初に感じる音質傾向はこれらアンプモジュールの種類に大きく左右されます(実際問題として一定レベル以上のDAPではDACチップよりオペアンプなどチップのほうが遙かに音質への影響は大きいと思われます)。ただ、どのアンプモジュールを使用した場合も、「X5 3rd」と比較すると音場は広く、いっぽうで音のメリハリは少ない印象があります。

imageX7 Mark II」に標準で装備されている「AM3A」モジュールはバランス出力に対応する「AM3」の省電力版、という位置づけですが、実際は搭載されたオペアンプは「AM3」とは全く異なり、2.5mmバランス出力に対応する以外は特に共通点はありません。
「X7 Mark II」の中国での製品発表会でも積極的な「バランス出力推し」だったそうですが、実際「AM3A」モジュール利用時のバランス出力の音質は非常に良く、音場はかなり広く、メリハリが少なく感じた音はむしろナチュラルな印象で情報量の多いサウンドが楽しめました。

いっぽう、通常のアンバランス(3.5mmステレオ)の場合、バランスの場合より音抜けが悪くなり、鳴りにくいタイプのイヤホンの場合「もやがかかった」ような印象になります(正直、X5 3rdのほうが「良い音」に感じました)。

imageちなみに、「X7 Mark II」および既存モデルの「X7」はラインアウト端子は本体側に付いており、ラインアウトでの出力時にはこれらのアンプモジュールを必要としません。そこでX7MKIIのラインアウト端子にポータブルアンプを接続し、X5 3rdとの音質傾向の違いを比べてみます。
使用するポタアンにはS/N向上がメインで、音質的にはほぼ味付けがない「ALO Rx」を使用してみます。ラインアウトではアンプモジュールを経由しないため、取り外した状態でも出力が可能です。この状態での傾向も「AM3A」のバランス接続時とほぼ同様で、音場が広く情報量の多いサウンドを確認できました。
またX5 3rdと比較すると、メリハリがある代わりに高域部分にちょっと人工的なエッジを感じるX5 3rdに対してX7MKIIはよりフラットで自然な音質傾向であることが改めて確認できました。元気なX5 3rdに対しより大人なX7MKIIと、わかりやすく上位モデルらしい「高級」なチューニングだと思います。


■アンプモジュールによる音の違いを確認してみる

imageこのように、「X7 Mark II」は高性能なパーツを多く使用し最適化を行うことで、より「高級」な音質傾向になりましたが、標準装備の「AM3A」アンプモジュールはバランス出力の音質に対して、通常のステレオ出力(アンバランス)の性能にいまひとつ物足りなさを感じます。

そこで、「X7」用にこれまでリリースされている各アンプモジュールを使用して音質の違いや「X7 Mark II」との相性について確認してみることにします。

今回、「X7 Mark II」と同時期に従来から評価の高い「AM3」モジュールを購入。さらにTwitterでお世話になっているkiliko(@kiliko3611)さんから「AM5」「AM2」そして「AM1MOD」の各モジュールをお借りし、標準の「AM3A」とあわせて5種類のモジュールでの比較を行いました。
各モジュールの違いについてはkilikoさんのブログにて詳しく解説されています。
実際にこれらのモジュールを組み替えて聴いてみると、音質傾向の違いの大きさに改めて驚きつつ、「X7 Mark II」の懐の深さを実感しました。
imageimage


【AM3】 ※高出力バランス接続対応モジュール。でもバランスは元気すぎ?

まず、「X7」での評価も非常に高い「AM3」モジュールですが、通常のイヤホンでの利用では十分なほどの出力が確保できます。「AM3A」で感じた音抜けの悪さはすっかり解消し、ある程度メリハリも強化される印象です。とても元気なサウンドで、アンバランスでの音質はこのモジュールが最も楽し印象です。
またヘッドホンの利用でもAKG「K712 Pro」「K701」などの鳴りにくいヘッドホンでも十分に対応できる出力が確保できます(そのわりバッテリ稼働時間は2時間ほど少なくなります)。
imageいっぽう、「AM3」モジュールでバランス出力の場合は「むしろパワーがありすぎる」くらいの感じになります。後述する「AM5」モジュールのようなハイパワーのサウンドをバランス接続でも、と言う場合は「AM3」のバランス出力は良いのではと思いますが、反応の良いマルチBAのイヤホンなどでは特性が変わるほどの大きな変化が起こる場合があります。
私の場合は先日レビューした「Rose BR5 Mk2」という5BAのイヤホンで通常は「刺さりの少ない美音系サウンド」だったのが、「AM3」のバランス接続に替えた途端「高域メインの刺さりまくる音」に激変しました。
正直好みの分かれるところですが、私はアンバランスなら「AM3」、バランス接続なら標準の「AM3A」の組み合わせが良いかなと思いました。


【AM1MOD】 ※X7標準のAM1改造品。FiiOから「AM2A」の名称で同等の正規品もあり

次にテストする「AM1MOD」は、既存モデルの「X7」に標準で装備される「AM1」を海外のユーザーグループによって改造しオペアンプおよびバッファーチップが交換されたモジュール。出力は「AM3」に匹敵するパワーを持ちます。またその後FiiO自身が「AM1MOD」の人気を受け、同等品を「AM2A」として正式に販売しており、こちらはFiiO Official Storeで購入が可能です。
imageX7 Mark II」に「AM1MOD」を装着して聴いてみると、最初の印象はわりと「X5 3rd gen」にも近く、低域の締まりの良いサウンドです。今回使用したアンプモジュールのなかで最も「解像度の高いよりナチュラルな音」というラインアウトでの印象に近く、全体のバランスの良さを感じます。
「AM3」のような元気さはありませんが、どんなイヤホンでもきちんと鳴らし、ヘッドホンでも十分に対応できる出力を確保しつつ、美音系の心地良いサウンドを堪能する上では最も「X7 Mark II」と相性の良いモジュールかもしれません。「AM1MOD」モジュールはその後、kilikoさんより譲っていただくことになり、アンバランスでは「AM3」と「AM1MOD」を使い分ける事にしました。


【AM2】 ※MUSE02を搭載した中高域推しのIEM用モジュール

imageAM2」は高級オペアンプのひとつとして有名な「MUSE02」を搭載し、主にイヤホンでの中高域の伸びの良さに重点を置いたアンプモジュールです。同じFiiOでMUSE02を搭載した「E12A」というポータブルアンプが個人的にわりと好きだったこともあり結構期待していたモジュールでした。聴いた印象としては非常にフラットで解像度の高い描写を行う感じ。どちらかというと「E12A」よりラインアウトでテストした「ALO Rx」に近いイメージかもしれません。「AM5」の差別化の意味もあり、パワーはそれほど高くはなく、ターゲットとしてはCIEMなど反応の良いマルチBAタイプのサウンドモニターを想定していると思います。逆に鳴りにくいイヤホンやヘッドホンを合わせると低域が全く出ない音になります。
私の持っているイヤホンではShureSE535LTD」との相性が一番良い感じでした。


【AM5】 ※ヘッドホンで威力を発揮する名称通りの「ハイパワーモジュール」

imageAM5」も「AM2」同様にMUSE02をオペアンプに搭載しつつ、800mWの圧倒的高出力を持つパワーモジュールです。そのため反応の良いイヤホンで合わせると低域過多でどれも同じような音になってしまいます。
いっぽう、前述のAKGK712 Pro」「K701」との相性は非常に良く、「これぞMUSE02」という感じの解像度の高いフラットな音でこれらのヘッドホンの特徴である広大な音場でしっかり定位してくれます。また、イヤホンでも同様に鳴りにくい方の HIFIMAN「RE2000」では据置きアンプ並の深みがある重厚なサウンドを体感できました。



■X5 3rdを踏襲した操作性と拡張性、オマケの周辺機器も購入してみた。

「X7 Mark II」のFiiO Musicアプリの操作性については「X5 3rd gen」の機能をほぼそのまま踏襲しています。そのため、具体的な機能については「X5 3rd gen」のレビューと同様の内容となりますので、こちらの過去記事を参照頂ければと思います。
→ 過去記事: 「FiiO X5 3rd gen」でイロイロつないで聴いてみた。【レッドモデル購入レビュー】

現時点でCOAXによるSPDIF出力でDoP(DSD over PCM)のサポートなど、X5 3rdではバージョンアップ後に実装した機能についてもすでに問題なく利用できます。
imageimage

また「X7 Mark II」ではアナログ出力(ライアンアウト)、同軸デジタル(COAX)に加え、光デジタル(Toslink)もサポートされており、3.5mmミニピン型の光ケーブルでの出力も可能です。光ケーブルの場合規格上24bit/192kHzに上限が制限されているため、DoPによるDSD再生はサポートされませんが、対応する光ケーブルを使用すればハイレゾの再生は問題なく行うことができました。
imageimage

あと余談ですが、FiiO Official Storeで、FiiOのDAP用のドック(DK1)とリモコン(RM1)のセットを購入しました。DK1は日本版のX5 3rdの発売当初にオマケで付いていたこともあり、持っている方も結構いらっしゃるのでは思います。このドックにはラインアウトが付いていますが、自身にDACは持っておらず、X7MKII/X5 3rdなどのFiiO製DAPを接続するとminiUSB端子経由でラインアウト信号をパススルーする仕組みになっています。アンプへ接続しスピーカー出力するときにはなかなか便利です。
imageimage
またRM1リモコンはBluetoothでペアリングして使用するもので、本体は丸い形状をしており、棒状のアダプタと、クルマのハンドルへの固定用のアダプタが付属しており、屋内と車載の両方で使える仕様になっています。使える機能はBluetoothイヤホンのマイクリモコン並ですが特に車載利用などではあると嬉しいアイテムではないかと思います。



■不安定要素は今後のファームウェアのアップデートに期待

とりあえず、また現時点での「X7 Mark II」のファームウェアは不安定な部分も結構あります。

特にGoogle Playで「Apple Music」「Spotify」「Amazon Music」などのストリーミング系の再生アプリをインストールしている場合、電源投入直後でもFiiO Musicで正常再生されないことが稀にあるなどかなり顕著な不安定動作を起こします。他にも一時停止で数分くらい放置後に再生した場合にリードエラーになってアプリが強制終了する、などのケースもありました。これらの現象は追加のアプリを一切インストールしていない状態ではあまり起こらないため、ファームウェアが安定するまでは標準のままで使用した方がよさそうです。
また電源投入直後やフォーマットの違いによるモード変更時など、再生時の「ブチ」という小さいノイズも現時点では時折発生します。

imageFiiOのDAPは以前から中国などで限定的に出荷してバグフィックスを行って、安定してから大々的に出す、という傾向はよく知られています。そういう意味ではまだまだ「ベータ版」的な要素は拭い切れていませんが、9月に再出荷される頃には新しいファームウェアによりある程度安定してくれる嬉しいなと思っています。
ただ、現時点でも音質面に関しては自分にあうアンプモジュールを見つけることができれば、相当にハイレベルな「お値段以上」のDAPであることは間違いないと思います。

今後、どのように進化していくのか楽しみにしながら引き続き遊んでみたいと思っています。


HIFIMAN「RE2000」 常識を越えたサウンドを実現するフラグシップ【試用からの購入レビュー】

このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote
image

もうタイトルに書いてある通りなんですが(笑)、HIFIMAN JAPAN様より前回の「RE800」に引き続き、新製品の「RE2000」についてもレビュー依頼をいただき、8月初旬より届いたばかりの新品をお借りしました。

これまで「RE2000」については何度か試聴をする機会があって、最初に聴いたときからすっかり虜になるほど気に入っておりました(この段階ですでに購入のロックオンはしてたかもです)。そしてレビューのため約2週間じっくり堪能し、改めてその素晴らしいサウンドに感動し、そのまま買取を決め、晴れて私の所有物となりました(^^)。というわけで、そんな経緯も含めて、このいろいろと「常識を超えた」イヤホンを紹介させていただきたいと思います。


■ダイナミックドライバーの常識を越えた、独自構造とチューニング


HIFIMANRE2000」は、同社のイヤホンのなかでフラグシップの位置づけとなるイヤホンとして8月よりリリースを開始しました。先行する「RE800」で採用された独自技術の「トポロジータイヤフラム」を振動板に採用したダイナミックドライバーを搭載し、24kゴールドメッキを施した真鍮製ハウジングに、徹底した音質にこだわったチューニングを施したモデルです。

通常価格は税別180,000円税込み194,400円)で、8月中は30,000円引きのキャンペーン等が行われています。

最近シングルのダイナミックドライバーの高級イヤホンも数種類市場に登場していますが、単純にドライバー構成だけでの比較では「RE2000」は群を抜いて高価格なイヤホンですし、この価格設定となるとユニバーサルタイプのイヤホンより、カスタムIEM(CIEM)のマルチBAやハイブリッドタイプの「売れ筋モデル」が数多く存在するレンジとなると思います。

imageただHIFIMANでは、高級イヤホンで一般的なBAドライバーなどの組み合わせではなく、あくまで独自構造のダイナミックドライバーを開発することで、他にはないサウンドを実現しています。
「トポロジーダイヤフラム」の構造を採用した独自ドライバーは、BA方式では回避できない「歪み」を徹底的に排除し、高域から低域までどこまでもクリアかつ忠実なサウンドを目指すと同時に、ダイナミックならではの音場の広さと臨場感のある表現を実現させる、という手法をとっています。ですからシングルダイナミック、という括りよりあくまで「独自ドライバー構成のイヤホン」という解釈のほうがしっくりきそうです。

ちなみに、「RE2000」も以前から存在する「RE1000」のようなカスタム版の製品化も考えられていたそうですが、真鍮製のこのハウジング形状だから作り出せたサウンドのため、カスタムでの再現は不可能と試作段階で判明し断念されたとのこと(HIFIMAN JAPANさまの呼びかけでCEOのDr.Fang氏にお会いする集まりがあった際、直接その経緯を話して頂きました)。このマーケティングに走らない「硬派」なところも素晴らしいですね。


■付属イヤーピースはSサイズ中心の内容。ハウジングは大きめ。装着性は相性と根性?

「RE2000」のパッケージ構成は、「RE800」同様に豪華でしっかりした作りのケースの中に収容されています。
imageimage
さらに、イヤホン本体は金属製の丸形ケースに収められており、さらにCIEM互換の2Pinケーブル、イヤーピース、解説書などが同梱されています。
imageimage

標準で装着されているグレーの(デュアルフランジぽい)イヤーピースはRE800と同様のものでしたが、通常のユニバーサルタイプで装着されているMサイズのものより幾分か小ぶりです。
imageわたしは耳穴が狭いため、一般的なカナル型のイヤホンの場合、まずは標準のイヤーピースをSサイズに交換するところからはじめるのですが、HIFIMANのイヤホンの場合、RE800でもRE2000でも標準のままの大きさで普通に装着できました。つまり大半のMサイズ以上を使われる方にはサイズの小さいイヤピースということになります。
さらに付属するイヤーピースもこのグレータイプを基準に同じくらいか少し大きいくらいまでのサイズのため、標準イヤーピースでは合わない場合も結構ありそうです。その場合は、「final Eタイプ」や「SpinFit」などの定番イヤーピースを代用するのがよいと思います。
また装着性という点ではシュア掛けタイプのイヤホンとしては大振りで奥行きのあるハウジングが影響してうまくフィットできないケースも多いようです。実際に同様の形状をしているイヤホンと比較すると、ステムの角度に対してのボリュームのある部分が耳に当たりやすく、また奥行きがあることで重量のある真鍮製ハウジングが(シュア掛けなので落ちることはないですが)ずれやすくなるようです。
imageimage
と、ここで「ようです」と書いているのは、実は私の耳の場合はさきほどのイヤーピース同様このハウジング形状でかなり「しっくり」来てしまいました(^_^;
私の場合、前述の通り耳穴は小さいのですが耳自体の大きさは普通で、さらに耳穴の角度がちょっと傾いているらしく、むしろ通常のイヤホンで装着性で苦労するものの、逆にRE2000はそのままでフィットしてしまいました。なんというか、これは「運命」ですか??(笑)
(ちなみに、上記のFang氏にお会いした集まりでもRE2000のイヤーピースやハウジング形状の件は話題に挙がったのですが、どうやらハウジングや標準イヤーピースはFang氏自身の装着性に合わせて設定されているらしいとの話しも。ぴったりフィットした私の耳はFang氏と似た形状なのかも・・・^^;)


■どこまでもクリアで自然なフラットサウンド。抜群の音場表現と分離感。
そしてDAPの能力差を如実に表す原音忠実性。

imageというわけで、謎の運命的な相性(笑)で装着性問題を華麗にスルーできた私ですが、そんな私に限らず、他のメーカーのイヤーピース等を工夫しフィットすることさえできれば、実は「RE2000」は装着位置やイヤーピースなどは音質にはさほど影響されないイヤホンです。スイートスポットは比較的広いため、装着位置で音が変化したり低音が響かなかったり、ということは少ないようです(もちろんイヤーピースで密閉性を高める方が低域が良くなる傾向がありますが、イヤーピースの効果は極めて限定的です)。また、後述する通り、どちらかというとイヤピよりDAPの性能ほうが影響が大きい、ということもあります。

RE2000」の周波数特性はフラット。多少高域寄りの印象もあった「RE800」と比べると全域にわたり非常に精度の高いサウンドが特徴的です。そのサウンドは「素晴らしい」のひと言で、フラット好き・美音系イヤホン好きの私としてはひとつの頂点と思える仕上がりでした。

image音場は広く、臨場感のあるサウンドですが、よくありがちな「金属ハウジング(の反響音)で鳴らしてる」という感じではなく、あくまでドライバーを中心としたイヤホン全体で自然な音場を構成しているイメージです。特に低域の表現で「RE2000」の特徴がかなりハッキリとわかります。重低音も含めて量感に不足はなく、いっぽうで非常に高い精度で表現しているのが確認できます。例えるなら非常に音響のしっかりした広いコンサートホールで、楽器が放つ低音のひとつひとつを直接耳で捉えるような、そんな感覚で、社名にもある「Hi-Fi」(原音忠実性)という意味を改めて実感させてくれます。

もちろんこの傾向は低域に限ったことではなく、中域および高域についても非常に高い分離性で、しかしサウンドモニターのような音を分析的に聴く道具ではなく、「リスニングのためのイヤホン」として非常に心地良いところで表現してくれます。そのため極端に音にエッジが立っていたり、刺さりがあったりということはなく、どこまでもクリアですが、あくまで自然なサウンドです。
image通常のダイナミックドライバーはもちろん、音質傾向の異なる材質を利用したドライバー(ベリリウムなど)とも異なる音質傾向ですが、かつ同価格帯のマルチBAドライバーのイヤホンに匹敵、あるいは凌駕するレベルの高い解像度を持っています。音場は広がりと奥行きの双方に立体的で、クラシックなどでは上記のように広いホールのような臨場感がありますが、いっぽうで、ポップスやアニソンなどの曲でも適度な広さでボーカルは中央のベストなポジションにしっかり定位します。つまり、レコーディングやマスタリング時にイメージされているサウンドステージをほぼ正確に再現できていると感じます。

「RE2000」に関しては、私自身もよく使う「ダイナミックらしい音」とか「○○(ドライバーやハウジングの素材)らしい音」といった表現が一切通用しない、文字通り「RE2000の音」としか言いようのないような「常識を越えた」唯一無二のサウンドと言って良いと思います。

ところで、「RE2000」はインピーダンス60Ω、感度103dB/mWと、イヤホンのなかでは「結構鳴りにくい」部類に入ります。そのため、その実力を十分に発揮させるためにはそれなりに出力のあるDAP等のプレーヤーが必要となり、結果としてイヤーピースなどよりDAPの出力や解像度のほうが音質には大きな影響があるようです。

image私の場合、「Astell&Kern AK300」「Shanling M2s」「FiiO X5 3rd gen」「FiiO X7 MarkII」という4種類のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を使用しましたが、どのDAPでも充分な出力を得られたものの、出力の一番低いAK300では響きのある曲で奥行きが薄い印象になる場合がありました。
またShanling M2sは直挿しでも出力面は問題なかったものの、高域の表現で粗さが目立ち価格なりの限界をRE2000がしっかり捉えます。ここで「Mojo」へトランスポートすることでMojoらしい弱カマボコ傾向になるものの高い解像度で乱れのないサウンドを確認できました。

いっぽう、FiiOの2種類のDAPはどちらもRE2000と相性はよく、X7 MarkIIではアンプモジュールを標準の「AM3A」からより高出力の「AM3」へ換装することで一番良い相性となりました。
imageimage
また一般的に「低域が強く狭い」「解像度は高いがちょっと人工的な音」と言われるX5 3rd genについてはこれらの特徴がRE2000の広い音場と自然なサウンドでほどよく「中和」され、なかなか良い相性で使用できたのは意外な発見でした。


■実はレビューでお借りする前から「買う気」でした。

HIFIMAN JAPAN様からは、当初から「RE800」と「RE2000」の両方のレビューの依頼をいただいており、8月に「RE2000」が発売されたことで今回のレビューとなったのですが、前述のとおり「RE2000」自体は発売前から何度か試聴をさせて頂いていました。
まず、「RE2000」を私が初めて試聴したのはHIFIMAN JAPANさんの事務所にお伺いし、同社の超弩級なヘッドホンシステム「SHANGRI-LA」を聴かせていただいた時でした。
→ 【驚愕のサウンド】HIFIMAN JAPANさんで「SHANGRI-LA」を試聴してきました

実はこの最初に「RE2000」を聴いたときからそのサウンドクオリティの高さにすっかり魅せられてしまっており、こっそり「購入ターゲット」として視野に入れておりました。

その後、レビュー用に「RE800」をお借りし、まずは同社の独自技術である「トポロジーダイヤフラム」の生み出すサウンドを堪能しました。「RE800」はより高域の響きの良さを強調するチューニングとなっており、これはこれでとても素晴らしいイヤホンでした。
→ HIFIMAN「RE800」をお借りしたら本気で欲しくなった話【試聴レビュー】

実際のところRE800のほうがコンパクトで装着性などの使い回しが優れている点と、どちらも高額なイヤホンとはいえ、RE2000の半額程度の価格設定もあり、このときに既にRE2000が念頭になかったらレビュー後に「買取り」してたかな、と思っています(RE800は今後改良型のリリースがあるらしく、既存の購入者向けのアップグレード等の企画もありそうなので、こっちも買っておいても良かったかな、と実はちょっと思っていたり^^;)。

imageそんな経緯もあっての今回のレビューでしたので、「レビュー依頼をいただいて書いた」というより「発売前の試聴から欲しくて仕方なかったイヤホンをとうとう買っちゃったよ」的な内容になってしまっているのはどうかご容赦願いたいと思います。
いっぽう購入を決めてから、いつもの「新幹線の中での使用」をしてみたところ、思いのほか遮音性が低く、新幹線の「ゴーーー」という独特のロードノイズで低域がつぶれてしまうことを発見したりもしました。まあ、これだけ高額なイヤホンですので基本は自室での利用が中心となるので別に問題ないかな、とは思っていますが。

正直こんな高音質なユニバーサルタイプのイヤホンを利用することで、ますますカスタム購入の道が遠のいた気はしますが、私自身のオーディオライフを充実させてくれるアイテムが確実に増えたことは間違いがないでしょう。
今後はせっかくリケーブルが可能な仕様になっていますので、音の良さそうなバランスケーブルなどを調達して試してみたいと思っています。


プロフィール(Twitterアカウント)
カフェで息抜きにイヤホンとかのブログ書いてます。Apple好きのおっさん。食べるのも好き。普段はIT系のお仕事で自宅は福井県ですが都内で単身赴任してます。ポタオデは趣味で出張のお供。美音系/モニター系の音が好みです。自宅ホームシアターもそろそろ改造したいな。
※連絡などは bisonicr.keep.walking◎gmail.com またはTwitterのDMまで(◎はアットマークでお願いします)。

記事検索
使用機器一覧など(livedoor プロフィール)

楽天市場