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イヤホン・ポータブルオーディオなどの趣味的レビュー。

「TRN V60」 サウンドも内部構造も「ヘン」過ぎる1BA+2DD 低価格中華イヤホン【レビュー】

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TRN V60

こんにちは。中華イヤホンのレビューの数も多くなってくると「へんなイヤホン」に遭遇することも時々あります。今回はそんな中で現在のところ脅威の2分の1という高確率(!!)で「へんなイヤホン」を投入している 中国の新しいイヤホンブランド「TRN」の新モデル「TRN V60」です。そして今回のイヤホンもまた「へんなイヤホン」確定のシロモノで、確率は「3分の2」にアップしました(ダメじゃん・・・)。

最初にお断りしておくと、私のブログをご覧になっている方の中でも特に多いと思われる「これから中華イヤホンを購入しようと思われている方」「どのイヤホンか1個を選ぶのに悩んでいる方」全般にわたり、「TRN V60」はオススメできません(笑)。とりあえず同価格帯のKZのイヤホン買った方が無難でしょう(いきなりのちゃぶ台がえし^^;)。

TRN V60しかし、既に数多くの中華イヤホンを嗜んでいらっしゃる方で「最近のはどれも普通に良い音にまとまってて逆につまんないな~」と感じていらっしゃる方や「この音はどのドライバーが出してるのだろう?原因は?」とまるで何かのソムリエみたいなことをつい考えてしまう方、「ケーブルやイヤピでどこまで音を変えられるか、いっそ改造するか?」と謎の創作料理人みたいな発想の方には、「TRN V60」はお手頃価格でそこそこ遊べる格好のアイテムと言えるかもしれません。イヤホンは音楽を楽しむもの、という本来の目的をかなり逸脱してる気がしますが、そういうことも含めマニアの「度量」を試されているような気にもなってきます(ここまでくるとちょっと病気)。

というわけで、軽く「一見さんお断り」の注意書きを添えた上で、以降はあくまで音質の良し悪しではなく単に「へんなイヤホン」をいじるレビューとなります(笑)。


■「謎の」3.8mmドライバーがとっても気になる、1BA+2DDハイブリッド(いちおう)

とまあ、「へんなイヤホン」だの「度量が試される」だのと冒頭にさんざんなことを書いた「TRN V60」でありますが(^^;)、実際のところは最近の特にKZあたりを中心にレベルを爆上げしている低価格中華イヤホンとの比較として「少しおかしい」というレベルで、マニアではない大多数の方はそれほど気にならない可能性もあります。むしろ遮音性も良く、屋外、とくに電車内のような周辺ノイズの多い環境では分厚い低音は適度にノイズをオミットする効果があると思いますし、刺さりを抑えつつ高域の主張もあるため「聴きやすい」「楽しい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。

TRN V60TRN V60」は「ブラック」「ブルー」「レッド」の3色が選択でき、今回私はレッドとブルーの2色をオーダーしました。
購入は1個が「HCK Earphones」、もう1個がアマゾンの「Kinboofi」より。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): TRN V60

Amazon.co.jp(Kinboofi): TRN V60
Amazon.co.jp(NICEHCK): TRN V60

価格はアマゾン(アマゾン倉庫より国内発送)が3,600円~、AliExpress(中国より発送)22ドル~となっています。AliExpressでの購入方法などはこちらを参照ください。またHCK(@hckexin)およびKinboofi(@kinboofi)のTwitterアカウントでは頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。

改めて、「TRN V60」の仕様は10mmと「謎の」3.8mmダイナミックドライバーとシングルのBAドライバーによる「1BA+2DD」構成となっています。この3.8mmがダイナミックとしてはあまりにサイズが小さいこともありBAの一種という噂もありますが以下の分解図によるとやはりダイナミック型ではあるようですね。
TRN V60
搭載される10mmのウーファーユニットはKZでお馴染みの「勾玉タイプ」とそっくりで、もしかしたら同一のドライバーかもしれません。空気孔(ベント)は10mmダイナミック側に小さい穴がひとつあるだけで密閉性は高い構造になっています。
なお、「TRN V60」は以前は別ブランドで販売されていた製品をコネクタ部分を中心に仕様変更し、TRN製のケーブルを付属のうえ価格も下げた内容となっています。これはTRNがOEM供給を受けているのか、あるいは以前販売していたものも含めTRNの工場で生産しているのかはよくわかりません。
TRN V60TRN V60
パッケージはTRNの他製品と同じ大きさのBOXですが、今回は線画イラストのデザインですね。
TRN V60TRN V60
パッケージ内容はいつもと同じ、本体、TRN製の4芯OFCケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書といったシンプルな内容。
TRN V60TRN V60
トリプルドライバーのイヤホンながらシェルサイズはコンパクトで耳にすっぽりと収まるサイズです。
ただ、形状はちょっと独特のため、小さめのイヤーピースで押し込むように装着しないと耳には収まっているけどシェルが耳から浮き上がってフィットしない状態、つまり実際はイヤーピースで固定しているだけ、という感じになります。後述しますがイヤーピースにより聴いた際の印象もかなり変化させることができます。
TRN V60TRN V60
また、「TRN V60」の特異性を引き立たせる「謎の」3.8mmドライバーですが、円筒状の外周部の上にフタが乗っているような、まるで小さいボタン電池のようなデザインをしています。音はフタのまわりの円周状の隙間から出るのか、あるいはフタそのものも振動して音を出す構造なのかは不明です。


■好みが分かれる・・・というか、いろいろ「謎が深まる」音質傾向

さて、「TRN V60」の音質傾向ですが、いちおう「ドンシャリ傾向で低音厚めで高域のシャキシャキしたサウンド」という形容になりますが、それ以上に「不自然な反響音と、中高域の何ともいえない籠もった感じ」がとても気になります。
TRN V60今回も色違いで2個用意しましたので、片方のみエージングを行い、エージング前との変化を確認しました。エージング方法は今回も(解約済みiPhoneによる)Apple Musicのエンドレスでのランダム再生で100時間程度実施しました。開封直後は高域が結構暴れる傾向がありますが、エージング後はかなり刺さりも大人しくなり低域メインのイヤホンとなります。おそらく繰り返し書いている「謎の」3.8mmドライバーがエージングにより落ち着いたものと思われます。
高域は女性ボーカルの高音からピアノの中程から高音あたりまでの領域が持ち上げられている印象で、たぶん籠りがなければ高域の女性ボーカルも聴きやすいイヤホンになるだろうな、という感じはあります。ちなみに、イヤーピースをいろいろ試したところ、大きめのダブルフランジのイヤーピースを使用すると低域も減少しますが不自然な反響をある程度抑制することができました。ただ中高域の籠りはイヤーピースでの解消は難しそうです。

TRN V60TRN V60」の10mmドライバーが仮にKZイヤホンで使用される「勾玉タイプ」と同一のドライバーで、BAも「TRN V10」などの従来機種の傾向から「Bellsing 30095」あたりを使用していると仮定すると、いよいよ「TRN V60」のサウンドは「KZ ZST + 謎の3.8mmドライバー」ということになります。
※余談ですが「Bellsing 30095」は「KZ ZST」で搭載され、同イヤホンが人気となったことから知られるようになったBAドライバーです。「KZ ZST」も昨年の「ZST Pro」あたりから「KZ ES3」と同じ「KZ 30095」に変更になっていましたが、つい最近追加購入した「ZST Pro」では、なぜかまた「Bellsing 30095」に戻っていました(^^;)。
TRN V60」と「ZST」「ES3」を比較すると、その反響音ゆえに低域はより分厚く、逆に高域は抑え気味の印象になります。中高域は籠りがなければそれなりに主張した印象になると思います。ただDAPによってはボリュームを上げることで今度は籠りより歪みが強くなる場合もあり、なんとも扱いにくい印象は否めません。

KZ ZST ES3個人的には「何でそこそこ仕上がってるZSTの音に余計なもの足すの?」という気もすごくするわけですが・・・ちなみに「KZ ZST」や「ES3」では、ほぼフルレンジで10mmダイナミックドライバーが機能し、BAはツィーターとしてのみ機能する、2wayのコンパクトスピーカーのようなシンプルな構造になっています。特にネットワーク等で抵抗などを入れているわけでもないので、サウンドを決めるのは各ドライバーの装着位置とシェル形状やベント(空気孔)などのハウジング構造となります(例えば「ZST」はフェイスパーツとシェルパーツの接着面にわざと隙間をつくりベントにしてるのに対し、「ES3」は背面に2カ所小さい穴があります)。

いっぽう「TRN V60」はどうかというと、アルミ製のフェイスパネルを外してみると(精密ドライバーで2個のネジを取るだけ外すことができます)、こちらも特に抵抗など電気的なネットワークは存在せず、単純に3.8mmドライバーが追加されているだけであることがわかります。またステム先端のメッシュパーツを剥がしてみるとシェルパーツにBAを固定するための成型がされておりBAの先端部分が穴から出るような構造になっています。またその外周部のスリットから各ダイナミックドライバーの音が出ていることがわかります。
TRN V60TRN V60
いっぽうベントは10mmドライバーの直下に小さく1個穴があるのみで、かなり密閉型の構造だと思います。ここでミッドレンジを担当するという3.8mmドライバーの音がミックスされるわけですね。籠りの原因はやはり2個のダイナミックドライバーの音のバランスだと思いますが、さらなるエージングで多少改善できる可能性もあります(まあ抵抗やフィルターを入れたり、ベントを空けたりなどの「改造」の余地はありそうですね)。
また少し気になるのはフェイス部分のアルミプレートを「受ける」プラスチック部品で、これは外側のシェルパーツと比べて非常に薄いプラスチック板となっています。アルミプレートをレジンなどで一体化させるなどの加工により不自然な反響音は多少抑制できるかもしれませんね。


■それでも「あえて」興味をもったら何も考えずに買って遊んでね!(悩んじゃダメ)

TRN V60というわけで「TRN V60」は「研究材料」としては大変興味深いと思いますが、リスニングイヤホンとしてはかなり人を選ぶ・・・というより曲や利用環境を選ぶ製品のようです。そういえば私の本業の取引先でやたら変わった新製品をそれも従来のバリエーションとは全く無関係に投入するメーカーがあるのですが、そこの親会社は主にOEMの受託生産の大手で、子会社の製品はいわばOEMの顧客に対して「うちはこんなの作れるよー」というアピールが本当の目的だったという話がありました。TRNのなんとも脈略のない製品展開といい、まったく顧客のターゲットが見えないサウンドチューニング(そもそそしてるのか、という話もありますが)といい、なんとなく似ている気もしますね。
最近も「○○は△△と比べてどうですか?」というご質問は本当に多いのですが(正直キャラクターや位置づけが全く異なるイヤホンだと質問されている基準がわからないので毎回返答方法で悩みます^^;)、「TRN V60」については比較以前の段階で、気になる方は買って試してね、という感じになります(それ以外の方は選択しないほうが良いです、という意味で)。ほぼ自由研究の素材みたいなものですね。見た目はそこそこ格好良いもののちょっとキワモノかもしれない「へんなイヤホン」がお好きな方、それでも「あえて」興味を持ってしまったら、とりあえずは1個は押さえておきたいイヤホンかもです。悩んじゃダメです(なんつーオチかな)。


「KZ ES4」 低コスト・高音質ハイブリッドイヤホンの同社製品との傾向の違いを比較してみた【レビュー/比較編】

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KZ ES4

というわけで、前回の「紹介編」に引き続き「KZ ES4」のレビュー後編「比較編」です。

本レビューと併せて「紹介編」もあわせてお読み頂けると幸いでございます。
→ 「KZ ES4」 コントロールされた中音域が気持ちいいKZの最新スッキリ系ハイブリッド【レビュー/紹介編】

KZ ES4」は「1BA+1DD」のハイブリッド構成のイヤホンで既存モデルとなっていますが、現時点で同社の最上位モデル「KZ ZS10」と同様に、フェイス部分の基板によるネットワークで各ドライバーの音質をコントロールされている点が特徴的です。ビルドクオリティも数年前の同社製品とは見違えるレベルに向上し、音質面においてもKZ製イヤホンのなかでもっとも多くの人に勧めやすい絶妙なバランスを持った仕上がりとなっています。

購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」にて。
Amazon.co.jp(NICEHCK): KZ ES4
AliExpress(NiceHCK Audio Store): KZ ES4

AliExpress(中国からの発送)でのオーダー方法はこちらを参照ください。アマゾン(NICEHCK)で購入の場合は、国内のアマゾン倉庫から発送されますので商品が直ぐに届きますし、1年間の保証が得られ、万が一の場合もアマゾン経由での対応ができますので安心ですね。
またHCKのTwitterアカウント(@hckexin)では頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。

KZ ES4KZ ES4
前編で紹介したブラックのモデルは「ZS10」とブラックと同じカラーのプラスチック製シェルのため、ともするとZS10と見間違えそうになりますが、グリーンはZS10にはないカラーになるため「KZ ES4」らしさを実感できますね(^^)
KZ ES4KZ ES4
本体のグリーンはかなり明るめのカラーで、「KZ ZSR」のグリーンと比較してもわずかに明るいカラーのプラスチック製です。
KZ ES4
既存モデルの「ES3」と比較するとサイズ感は似ていますが改めて全く別系統の製品であることがわかりますね。


■低価格帯に集中するKZ製イヤホン。「KZ ES4」のポジショニングを比較しながら考える

KZ ES4」は前編の「紹介編」にて記載の通り、キレのある弱ドンシャリ傾向ながら、コントロールされた中高域により、聴きやすさと同時、キラキラ感、低域の厚みといった要素をバランス良く組み合わせた、KZ製イヤホンのなかでも特に扱いやすい製品だと思います。

とはいえ、気がつけば現在KZでは「1BA+1DD」のハイブリッド構成のイヤホンだけでも「KZ ES4」「ES3」「ZST」「ED15」、さらに後日レビュー予定の「ZSA」と、非常に多くのモデルを類似価格帯に投入しています。そのため同じKZ同士でも「棲み分け」が難しくなっているようにも感じます。というわけであくまで「私の主観」ではありますが、過去にレビューしたKZ製イヤホンのポジショニングを簡単に図にしてみました(たぶんこの図は頻繁にアップデートしそうですので詳細は追々^^;)。
印象としては「KZ ES4」は、それぞれ個性的な方向性を持っているKZのイヤホンのなかでも、やや低域傾向があるものの比較的オールラウンドのモデルで、価格的にも手頃と、まさに「ど真ん中」のモデルだなという感じがします。
kz1
「KZ ES3」および「ZST」ではステム部分に搭載されるBAドライバーは高域のツイーターとして機能し、実際にはダイナミックドライバーが上から下までほぼ全音域をカバーする設計となっているようです。これらのイヤホンで使用されるダイナミックドライバー(最近「勾玉タイプ」と呼ばれるようになりました)は比較的低域が厚く、KZ製「KZ 30095」BAドライバーとシンプルに組み合わされた「ES3」は比較的メリハリのハッキリしたドンシャリ傾向のサウンドになります。
この「ES3」の、今年3月頃に追加オーダーしたほぼ最新に近いロットと「KZ ES4」を比較すると、よりドンシャリ傾向が強い「ES3」は、低域こそES4とあまり違いはありませんが、中域は少し凹み、高域にも多少の刺さりのあるサウンドでまとまっています。いっぽうの「KZ ES4」はよりボーカルが近くに定位し、中高域のメリハリを強く感じる事ができます。

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いっぽう、同価格帯で以前からの定番モデルである「ZST」は、現在も相変わらずロット違いが見受けられる「正解」がよくわからないイヤホンです。実際私もすでに10個以上購入しているのですが(^^;)、ひとつとして同じロットに遭遇した試しはなく、毎回「どこかしら違う部分がある」という状態。最近も「ZSR」や「KZ ES4」と同じ「レンコンタイプ」のダイナミックドライバーが入っていたロットの報告を伺っていますし、3月頃に購入した「ほぼ最新ロット」の「ZST Pro」ではBAが「Bellsing 30095」に戻っていました(笑)。また音質傾向も初期の「低音イヤホン」の時代から「フラット寄り」のサウンドになり、現在は「ES3」に近いドンシャリ傾向(高域は「ES3」よりさらに強め)へと変遷しているようです。

そして「ZS10」と「KZ ES4」との比較では、やはり4BAと1BAの差が解像度において明確に出るものの、これまでのKZ製イヤホンの比較と比べると興味深い違いを感じます。全体の傾向としては「ZS10」のほうが解像度が高く情報量が多い反面、「KZ ES4」のほうが低域が厚く、よりシャープで中音域のメリハリがハッキリしている印象となります。いっぽう高域はどちらも良くコントロールされている印象です。
KZ ES4先程の「ES3」「ZST」もそうでしたが、「ZS5(後期)」「ZS6」といったBA部分がデュアルのモデルでもあくまでツイーターのマルチ化(高域の出力アップと解像度向上)が目的でした。しかし「ZS10」では、ダイナミックドライバーは低域のみに特化し、中高域はネットワークでコントロールされた2種類×2個ずつのBAドライバーが中心となって出力する仕様となっています。そして今回の「KZ ES4」もBAおよびダイナミックドライバーの出力をネットワークでコントロールすることにより、中高域でのBAの影響がより顕著に表れているのではないかと思います。それが4つのBAをもつ「ZS10」ではより穏やかな印象のサウンドになり、1個の「KZ ES4」ではダイナミックドライバーの中高域にキレとメリハリを与えるチューニングとなっているようです。
同様のデザインでもドライバーの数とチューニングの違いにより、「KZ ES4」は真逆のキャラクターのサウンドに仕上がっている点はとても興味深いですね。


■「KZ ES4」の価格ゆえのウィークポイントはリケーブルで補完する

KZ ES4」はこのように従来のKZ製イヤホンの中でもかなり良好なサウンドバランスのイヤホンだと思いますが、やはり価格なりのウィークポイントがあります。まず装着感は「ZS10」などと比較しても格段に向上しており、遮音性も高いデザインとなっていますが、以前から変わらずの付属のイヤーピースでは実力を十分に発揮できるとは言い難いでしょう。「KZ ES4」はステムの太さは一般的ですので耳への装着感や音質傾向の好みにあわせて「final Eシリーズ」「SpinFit」「AET06/ATE07」「RHA」「コンプライ」など最適なイヤーピースを選択するのが良いと思います。

そして、「KZ ES4」は「ZS10」同様にリケーブルによる効果も比較的大きいイヤホンです。「ZS10」では中域の凹み対策やメリハリの強化などによりアグレッシブな傾向のケーブルとの組み合わせが相性が良かったのですが、「KZ ES4」についてはまずは情報量をアップすることで明瞭度の向上や高出力なDAPでの高域の歪みを抑制するアプローチが有効です。
KZ純正の銀メッキ撚り線ケーブル(通称「きしめんケーブル」)は「ZST」「ES3」用が「KZ ES4」でもそのまま使用可能です。情報量が向上し、低域の締まりがアップしたサウンドが楽しめます。
KZ ES4KZ ES4
またオススメなのはHCKなどが販売する「6N銀メッキ線ケーブル(4芯8芯)」や新しい「銀コート線8芯ケーブル」などの2pinケーブルで、どれも品質も高く、低コストでバランスケーブルが選択できるのが良いですね。特に8芯のバランスケーブルでは情報量の大幅な向上により、通常のケーブルより音量もアップします。DAP側がより低いゲインで音量が確保できることでBAドライバー特有の歪みを抑制できる効果もあり、全体的な解像度が大幅に向上します。また中低域のキレがぐっと増しますのでかなり楽しいサウンドになるのではないかと思います。


KZ ES4というわけで前後編に渡ってレビューをした「KZ ES4」ですが、同社のイヤホンでかつては恒例だった「当たり外れ」や「個体差」さらに「長時間エージングの必要性」といったワードは最近はほぼ気にしなくて良くなりました。前回の「ZS10」では「4BA+1DD」というドライバ構成も相まって数万円クラスのイヤホンと比較されることもしばしばという状況になるなど、「KZのイヤホンは音が良くて当たり前」が定着した感もあります。そして今回の「KZ ES4」もキレの良い寒色系ドンシャリ、とまるでTFZのEXCLUSIVEラインの製品等を彷彿とさせるようなサウンドクオリティとなってきました。自らそこまでハードルをあげながら、なおもとんでもないペースで新製品を発表し続けるKZ社の姿勢には本当に脱帽ですね。

今後も既にオーダー済みの製品もありますし、さらに噂のモデルなど目白押しな状況が続きますが、私のブログでもできる限り、がんばってこの勢いを追っていきたいと思います。


「KZ ES4」 コントロールされた中高域が気持ちいいKZの最新スッキリ系ハイブリッド中華イヤホン【レビュー/紹介編】

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KZ ES4

こんにちは。今回は私のブログでもお馴染み低価格中華イヤホンの代表的ブランド「KZ」の新モデル「KZ ES4」です。前後編の2回に分けてレビュー予定で、こちらは紹介編となります。「新モデル」といっても今年に入ってからのKZはとにかく矢継ぎ早に新製品を投入しているため、このレビューを掲載時にはすでに「KZ ZSA」が日本にも到着し始めていたり、先日レビューした「ED15」と同じEDラインの「KZ ED16」のオーダーが始まっていたりと、もうわけわからん状況です。さらにKZサイトには「ZS10」を超えるさらなるハイエンドモデルの情報も・・・。さすがに私もちょっと息切れ気味です。。。( ̄。 ̄;)

気を取り直して、今回の「KZ ES4」ですが、同社の新しいES系の1BA+1DDのハイブリッドモデルとなります。どうやら現在のKZでは「ZS」「ES」「ED」「HD(旧AT)」といったラインで製品を展開しているようです。私のブログでもこれまでに、
 ・「ZS」系:「ZS3」「ZST」「ZS5」「ZS6」「ZSR」「ZS10
 ・「ED」系:「ED9」「ED15
のレビューを掲載しています。また「HD」系ではオーダー中の「HD9」を既存の「ATE」「ATE-s」「ATR」と一緒にレビューを予定しています。
→ 過去記事: KZイヤホンのレビュー一覧

そして、「ES」ラインでは前モデルとなる「ES3」のレビューを行っています。
→ 「KZ ES3」低コスト&高音質、新ドライバー搭載で高域が進化した最新ハイブリッドイヤホン

今回の「KZ ES4」はES系のモデルではありますが、現時点での同社最上位モデルに当たる「KZ ZS10」の設計・デザインを踏襲した仕様のイヤホンとなっています。そのため、同社の「1BA+1DD」構成のハイブリッドイヤホンのなかでは上位の位置づけとなっているようです。
KZ ES4KZ ES4KZ ES4
購入は中国のイヤホンセラーEasy Earphonesのアマゾンのマーケットプレイス「WTSUN Audio」にて。カラーは「ブラック」「グリーン」「シアン(ブルー)」の3色で、AliExpressでは全色オーダーできますが、アマゾンでは日本に入荷したものから順次販売されています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ES4 表示価格 3,289円
AliExpress(Easy Earphones): KZ ES4 表示価格 17ドル~18ドル

AliExpress(中国からの発送)でのオーダー方法はこちらを参照ください。アマゾン(WTSUN Audio)で購入の場合は、国内のアマゾン倉庫から発送されますので商品が直ぐに届きますし、1年間の保証が得られますし、万が一の場合もアマゾン経由での対応ができますので安心ですね。
またEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。


■実質的に「ZS10」の兄弟モデル?の1Ba+1DDハイブリッド仕様

KZ ES4」は上記の通り前モデルの「ES3」同様の「1BA+1DD」構成となっています。搭載されているBAドライバーは「KZ 30095」で既存モデルの「KZ ES3」が現在のロットの「KZ ZST」をはじめ最近の同社製イヤホンではお馴染み、またダイナミックドライバーは「ZSR」で使用されているのと同じ「レンコン」タイプですが、同時に初期ロットの「ZS10」や一部ロットの「ZST」でも搭載が確認されているなど、やはり最近のモデルでは一般的なドライバーです。
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「KZ ES4」がこれまでの同社製「1BA+1DD」ハイブリッドと最も大きく異なるのはフェイス部分の全面を覆う基板で、4BA+1DD構成の「ZS10」同様に抵抗などのネットワーク回路によりコントロールが行われている点で、これにより他モデルよりレベルアップしたサウンドを実現している模様です。

KZ ES4KZ ES4
到着したパッケージはいつものコンパクトなボックスで、付属品も本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書、といういたってシンプルな内容。
KZ ES4KZ ES4

本体デザインはまさに「小型版ZS10」といった印象で、ZS10のブラックおよびブルーはZS10の同色と同じカラーリングのためさらにソックリ度が高くなります。
KZ ES4KZ ES4
遠巻きに見ると「KZ ZS10」と見間違えそうになるくらいよく似ており、実際両者を並べてみるとまさに「兄弟イヤホン」という趣ですね(^^)。

ただ、あらためて「KZ ES4」を見てみると、ステム角度は多少改善されておりよく似たデザインながら装着性はかなり向上しています。またステム部分に搭載するBAが1個ということもあり、イヤーピースのが固定しやすく凹凸のあるデザインになっているのも有り難いところです。
KZ ES4KZ ES4
「ZS10」との比較で考えると、確かにZS10は4BA+1DDとスペックで目を引きますが、ハウジングの大きさやデザインなどでもかなり設計面やコスト面で無理をしている感じも見受けられます。その点、ダウンサイジングされた「KZ ES4」では余裕を持ってデザインできている印象があり、「数を売る」ことが重要な薄利多売モデルの低価格イヤホンの世界を考えると、このタイプのシリーズでは「KZ ES4」こそが本命の製品なのかな、という気もしてきます。このような点を踏まえて実際の音質も確認してみます。


■スッキリ系で最もコントロールされたサウンド。もしかしてKZでいちばんオススメかも

KZ ES4」の音質傾向は弱ドンシャリで「ES3」と比較してかなりフラット寄りの傾向になっています。「ZS10」などと同様に刺さりの少ない非常に聴きやすいサウンドで、中音域の一定のシャープさを維持しながらしっかり聴かせてくれるスッキリ感は特筆すべき部分です。また一般的に刺さりなどを感じやすい中高域(3kHz~5KHzくらい)のバランスがかなりコントロールされている印象を受けます。さらに高域の伸びは「ES3」や最近のロットの「ZST」同様にこのクラスのイヤホンとしてはかなり明瞭で、結果的に「ボーカルは聴きやすく、高域の刺さりも抑えつつ、高域のキラキラ感はしっかり感じる」という絶妙なバランスにコントロールされています。
KZ ES4いっぽうで低域は量感は十分にあり響きも良く感じますが沈み込みは少し軽め。好みによっては少し物足りなさを感じるかもしれませんが、中高域との分離感が従来のES3などより向上しており、前述のスッキリ感につながっていると同時によりクリアな空間表現にも一役買っています。「ZS10」のような価格帯の枠を超えた解像度の高さはありませんが、非常にバランスが良く、あらゆるジャンルの曲で楽しめる仕上がりになっていると思います。全般的にクールでスッキリ系のサウンドですのでより「濃い音」を求める方にはあまり向きませんが、より多くの人に「最初のKZ製イヤホン」または「最初の中華イヤホン」としてオススメできる製品ですね。


KZ ES4ただし、出力の大きいDAPやポータブルアンプの場合、低域強めの印象を受ける場合があります。また構造的にBAドライバーは高出力では歪みを発生しやすくなりますが、搭載される同社製「KZ 30095」BAドライバーは価格なりの製造コストで作られているユニットということもありこの傾向がさらに顕著なようです。この点は同じドライバー構成の「ES3」と同様で、「ZS5(後期)」「ZS6」「ZSR」や「ZS10」といったBAドライバーをマルチ化して出力を分散しているモデルより高出力での印象が変わりやすくなります。
KZ ES4」では「ZS10」より採用されているブラウンの撚り線ケーブルは従来のゴムゴムしたケーブルよりかなり品質が向上していますが、さらに高品質のケーブルにリケーブルすることでこれらの印象はかなり改善することが可能です。またイヤーピースによっても印象が大きく変化するのも従来のKZ製品と同様です。

この辺は後編の「比較編」でもう少し掘り下げてみたいと思います(つづく)。
→ 「KZ ES4」 低コスト・高音質ハイブリッドイヤホンの同社製品との傾向の違いを比較してみた【レビュー/比較編】


「Shanling M0」 驚異的なサイズと低価格ながら高音質と充実機能を両立した超コンパクト・DSD対応ハイレゾDAP【レビュー】

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Shanling M0

こんにちは。私の現在の本業のほうは結構出張が頻繁にあり、イヤホン等のポータブルオーディオの趣味もそこから派生した部分があります。特に今月はGW明けから週イチ以上のペースで出張しており、なかなかの慌ただしさを感じています。今回は私にさらに強い味方になってくれそうな、超コンパクトDAP(デジタルオーディオプレーヤー)「Shanling M0」の紹介です。

中国の音響機器メーカー「SHANLING」(山灵、シャンリン)は、もともと据置きオーディオ分野で自社製品に加え高級オーディオメーカーへのユニット供給などOEM分野でも実績のある会社ですが、最近は非常に高性能でコストパフォーマンスに優れたポータブルオーディオ製品で人気を博しています。
私自身も「Shanling M2s」「Shanling M3s」を相次いで購入し現在も愛用しています。またおかげさまでこれらの機種のレビューについては現在もとても多くのアクセスをいただいています。
過去レビュー: Shanling

Shanling M0そんななか、同社の最新モデルとして最もコンパクトな「Shanling M0」が発売されました。「Shanling M0」はわずか幅40mm×長さ45mm×厚さ13.5mm、38gという驚異的なコンパクトボディにもかかわらず、DACチップにESS社製「Sabre ES9218P」を搭載し、最大32bit/384kHz(DXD/WAV)のPCM、DSD128対応などの再生機能、さらに「LDAC」「apt-X」等にも対応するBluetooth性能と本格的な要件を満たしたハイレゾ対応DAP(デジタルオーディオプレーヤー)です。
また240×240ピクセルの1.54インチディスプレイはタッチパネルにも対応し、コンパクトながらしっかり操作性も維持しています。
Shanling M0」は先日の「ヘッドフォン祭」にも国内代理店より参考出品され、来場者よりとても大きな反響を呼んだことも記憶に新しいところです。

私は毎度お世話になっている中国AliExpressの「Easy Earphones」より購入しました。現在AliExpressでは103ドルにて販売されています。また専用カバー15ドルで販売されています。
AliExpress(Easy Earphones): Shanling M0

また国内モデルも5月25日より14,800円(初回出荷分は専用レザーカバー付属)にて販売されています。
Amazon.co.jp(国内正規品): Shanling M0

モデルナンバーは「M0」と最もエントリーの位置づけですが、価格設定的には実質的に「M1」をリプレースする機種となりそうですね。


■超コンパクトながら高いビルドクオリティと使いやすさを確保したデザイン

Shanling M0」のパッケージは従来より手に取りやすいポップな印象になっています。
Shanling M0Shanling M0
とはいえボックス自体はしっかりしたものでなかなかに高級感が漂います。
Shanling M0Shanling M0
パッケージ内容は本体、充電&データ転送用USB-Cケーブル、説明書、保証書。
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説明書は各国語の記載となっており、日本語の表記ももちろんしっかりあります。

前述の通り4センチ四方程度の非常にコンパクトな本体ですがCNC加工されたアルミ製ボディは非常に高いビルドクオリティで安っぽさは全くありません。
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手持ちの「Shanling M2s」と比較してみると十分にコンパクトなはずの「M2s」が巨大なDAPに見えてきますね(^^;)
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ちなみに「Shanling M0」も厚さは「M2s」などとさほど違いはありません。
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Shanling M0」を最初に起動すると表示言語が選択できますので「日本語」を選択します。LG製2.4インチ液晶のタッチパネル感度はまずまずで、指の太い私が操作しても誤操作などはほとんど無くスムーズに使用することができます。
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またシャットダウン状態からの起動も「M2s」「M3s」と比較してもとても素早く、スクロールなどももたつきを感じる事はほとんどありません。

タッチパネルの基本操作は「タッチ」、「スワイプ」、「長押し」の3種類で、
  • タッチ」が、次のメニューへの移動や再生、選択
  • スワイプ」はメインメニューではスクロール、各画面では右スワイプで前のメニューへ移動
  • 長押し」でメインメニューにもどる
となっています。
Shanling M0Shanling M0Shanling M0
再生画面でタッチで再生メニュー表示、左スワイプでメニュー変更となります。油断するとすぐタップとして認識してしまうのでスワイプはちょっとだけコツが必要ですね。慣れれば小さい画面でも十分に操作できますよ。


■このコンパクトさながら、高いS/Nと十分な駆動力で多くのイヤホン・ヘッドホンに対応するサウンド

Shanling M0」で聴いた印象ですが、全体的な音質傾向としてはESSらしいハッキリシャッキリ系のサウンド。音場はすこし狭いですがボーカルなどが近くで定位する印象でとても楽しく聴くことができます。AK4490を搭載する「Shanling M2s」と比較しても音のメリハリはM0のほうが感じるかもしれませんね。ただしオペアンプなどの違いにより「M2s」より低域の厚みは少なめで中高域タイプだと思います。正直この価格でこれだけの音質で再生してくれたら言うことないんじゃないか、という気分になる非常に優れたサウンドです。
Shanling M0Shanling M0
特にダイナミックドライバー系のメリハリのあるイヤホンと相性が良いようです。サイズ的にも重低音を響かせるタイプのプレーヤーではないので低音が印象的なタイプやドンシャリ系などの「濃い音」のイヤホンとあわせるととても楽しく使用できます。

また、低価格な小型プレーヤーにも関わらず、Shanling M2s/M3s同様にS/Nの高さ、ノイズの少なさに驚かされます。Shanling M2s/M3sでもそうでしたが、非常に反応の良いCIEMなどのイヤホンでも全くホワイトノイズを拾うことはありません。手持ちの「SE535LTD」でも非常にクリアなサウンドを楽しむことができました(ボリュームはローゲインで20~くらい)。
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いっぽう駆動力の点でも、「Shanling M3s」(外観から想像も付かないハイパワーが特徴)や「M2s」(コンパクトながら同様にパワフル)には及ばないものの、「Shanling M0」もある程度実用的な出力を確保しています。例えば、非常に鳴らしにくい「RHA CL750」もなんとか快適に利用できる範囲の出力を確保することができました(ハイゲインで80~。最大ボリューム100)。同程度のボリュームで「AKG K712 Pro」などのヘッドホンでの利用も可能でしたので、超コンパクトながらかなり利用範囲の広いプレーヤーであることがわかります。

またバッテリー稼働時間も非常に長く(メーカー公称15時間)、新幹線での長時間移動での利用でも全く支障はありませんでした。(イヤホンの出力にもよりますが)通勤から帰宅まで1日中使用していても大丈夫そうですね。なによりイヤホンケースにイヤホンと一緒に「Shanling M0」も収納できてしまうほどのコンパクトさはかなり便利です。
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もっとも、やはり価格なりの限界はあるようで、マルチBAのイヤホンや「RE2000」などの高級イヤホンで聴いてみると高域の表現に相応に粗さを感じたりします。まあ、日常的な利用では全然問題ないレベルですね(^^)。


■直感的でわかりやすい、必要十分な機能を網羅した各種メニュー

Shanling M0」の本体機能ですが、メインメニューには「再生中」の他に「マイミュージック」「ファイル一覧」「再生設定」システム設定」の各項目があります。
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「マイミュージック」ではスキャンされた音楽データを表示し、再生することができます。また「M2s」「M3s」同様に再生画面から登録したプレイリストの編集・再生も可能です。

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「ファイル一覧」からはmicroSDカードの内容からの再生が可能です。次の再生設定で「フォルダ間再生」をONにしておけばフォルダ内で順に再生し、自動的に次のフォルダへ移動します。

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「再生設定」はゲイン設定やギャップレス再生、バランスなどを設定します。

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「システム設定」にてそしてライブラリの更新設定やBluetooth設定等を設定します。システムアップデート等もこのメニューにあります。


■注目のLDAC対応Bluetooth機能、そしてM0でも健在のUSB連携機能

そして「Shanling M0」もShanlingのDAPでお馴染みの豊富な外部連携機能をほぼ全て搭載しています。特にBluetoothについてはハイレゾ対応のコーデックであるソニーの「LDAC」に対応しており、同社製ワイヤレスヘッドホン、イヤホンをはじめとするLDAC対応製品を使用されている方には特に注目されるところではないかと思います。残念ながら私自身はもともと有線派ということもありLDAC対応ヘッドホン/イヤホンは持っていないため音質面の違いは比較できないのですが、従来からの高音質コーデックであるapt-XやAACにも対応しているのは有り難いところです。
なお、別にM0に限ったことではありませんが、Bluetoothについてはペアリングする機器によって、特に標準のSBCコーデックではノイズが入ったりするケースもあります。また現時点ではまだまだファームウェアに改良の余地がありそうです。これらの点は将来のバージョンアップでの改良に期待するとして、以下では搭載されている機能面についてのみ紹介させていただきます。

Shanling M0」のBluetooth機能は「システム設定」のメニューに入り、「Bluetooth」を有効にすることで使用できます。また「高音質」のメニューでLDACの各モード(「音質優先モード」「標準モード」「接続優先モード」)およびapt-X、AACといったコーデックが選択できます。
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私は「aptX」を選択のうえ、apt-X対応の「AKG Y50BT」をペアリングしました。接続中はメニュー表示時に右上に「aptX」といったコーデックが表示されるため、現在どのモードで接続しているかが確認できます。
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次に、「Shanling M0」はスマートフォンやBluetooth対応の別のDAPとペアリングし「レシーバー」として動作するモードも「M2s」「M3s」同様に搭載しています。iPhoneをはじめ最近のイヤホン端子のないスマートフォンでApple MusicやAmazon Music、Google Play Musicなどのストリーミング再生を利用する際にとても便利です。ここでもポケットに入れておいても全く気にならない「Shanling M0」のコンパクトさが威力を発揮します。
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また、通常のスマートフォンではホワイトノイズが乗ってしまう感度の高いイヤホンや逆に駆動力を必要とするヘッドホンなどを使用したい場合にも便利ですね。ただし、このモードではペアリングするスマートフォン等がAAC/aptX/LDAC等に対応していても通常のSBCコーデックでの通信となる仕様のようです。
※先日公開されたバージョン2.0のファームウェアでレシーバー機能もLDAC/AACに対応しました。

さらに、「Shanling M0」をUSB-DACとして利用するモードも引き続き搭載しています。「システム設定」で「USB出力」を「USB」から「DAC」に変えることで、接続したPC/Mac側はUSB-DACとして認識します。USB Audio Class 2.0に対応しているためMacではドライバなしで認識し使用することができます(Windowsの場合はShanlingのサイトでドライバーをダウンロードして使用します)。
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USB-DACモードでも写真の通りMacの「Audirvana Plus」で24bit/192kHz、DSD64(DoP)までのハイレゾに対応を確認しました。改めてスペックの高さを実感しますね。
※追記:コメント欄でiPhoneでのDAC利用についてご質問をいただいたので試したところ、今回のM0では問題なく認識できてしまいました(M2sおよびM3sの場合は「消費電力が大きすぎます」エラーで使用できませんでした)。HF Playerでちゃんと24bit/192kHzまでのハイレゾ再生でも使用できました。ただし公式のサポートではないので、あくまで手元の実験結果、と認識ください。
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なお、Androidデバイスについては動作報告もありますが使用できるケーブルや機種を選ぶ可能性があるようです(もう少し検証が必要ですね)。

USB-DAC機能とは逆に、外部USB-DACを接続するUSBトランスポート機能も搭載しています。「システム設定」のDSD設定で「DoP」(DSD over PCM)を選択すれば対応するUSB-DACでのDSD再生も可能です。
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■Shanling M0のファームウェアのアップデート方法

最後にファームウェアのバージョンアップですが、USBドライバー同様にShanlingサイトよりダウンロードし解凍したファームウェアをmicroSDカードにコピーして行います。国内版は出荷時に技適認可後のV1.5になっていますが、手元の海外版はまだ1.0だったので1.5へのバージョンアップを行いました。※現在は上記の通り2.0にバージョンアップしています。
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現在のファームウェアのバージョンは「設定」メニューの「製品について」で確認することができます。ShanlingサイトのShanling M0ページのDownloadでより新しいバージョンのファイルがある場合はダウンロードします。
また国内版の場合は販売元の伊藤屋国際さんの商品ページにてダウンロードが可能です。

ダウンロードしたファイルを解凍し「update.bin」をmicroSDカードのルート直下にコピーします。この際に注意すべき点はmicroSDカードを必ず「FAT32」フォーマットにすること。解凍ファイルには専用のフォーマットツールも付属していますが1GB程度の小容量のmicroSDカードならWindowsでFAT32フォーマットが選択できます。
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ファームウエアファイルをコピーしたFAT32フォーマットのmicroSDを挿入しサイドShanling M0を起動したら「設定」メニューより「システムをアップデート」を選びます。自動的にファームウエアを検出しアップデート処理を行います。再度再起動を行い通常通り起動したら完了です。メジャーバージョンのアップデートの際は一度初期設定に戻してパラメータを再設定する方が安全ですね。


■次はいよいよ「M5s」の登場か? あるいは謎のハイエンドモデル「M6s」だったりして(^^;)

というわけで、「Shanling M0」の連携機能も含めひと通りの操作を行ってみましたが、他にもプレイリストや歌詞表示機能、イコライザ、フィルターなど、まだまだ書き切れない機能が満載されています。
Shanling M0今回の「Shanling M0」で、相変わらずの多機能さと音質面の手堅さを、とんでもないコンパクトなサイズと驚異的な低価格で実現してしまった同社の技術力の高さには改めて脱帽です。ほんともうこの分野では無双感すら漂いますね。今回は同社のポータブルプレーヤーのなかで最もエントリーのモデルでしたが、今後、既存ミドルクラスの「M5」の後継機種となる「M5s」の登場が控えていると噂されており、また同社からの技適申請ではさらにハイエンドと思われる「M6s」というモデル名も「M5s」と一緒に記載されています。私自身、もうすっかりShanling製DAPのファンになってしまっているので、これらのモデルがどのような内容でいつ頃登場してくるのか、本当に楽しみです。
とりあえずは今回のM0も含めたコンパクトモデル3機種をいろいろな場面で使い込んでいきたいと思っています。


NICEHCK 「話題のキンバー風8芯OFC」 「(黄金色の)8芯 銅銀合金+銀メッキ銅線」 「8芯 銀コート線」各ケーブルを購入しました【レビュー】

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hck cable

前回に引き続き「イヤホンケーブル」ネタです。今回はHCKのケーブルの「追加」編となります。
毎度お世話になっているイヤホンセラー「HCK Earphones」も数々の中華イヤホンケーブルを販売しており、こちらもコンスタントに購入をしています。
→ 【その1:解説編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました(前編)
→ 【その2:HCK編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました (中編)
「解説編」にて、ケーブルの線材の種類や特徴を簡単にまとめています。また、上記以外にもこれまでにさまざまな中華イヤホンケーブルを購入&レビューしてきました。
→ 過去記事: 中華イヤホンケーブルのレビュー 一覧

購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」(AliExpressおよびAmazon)にて。HCKのTwitterアカウント(@hckexin)では頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


NICEHCK 8芯 エナメル銅線&高純度OFC線ミックス アップグレードケーブル
Amazon.co.jp(NICEHCK) / 6,150円~6,450円
【MMCX】【2pin ※】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】
hck cable hck cable hck cable
HCKからも中華イヤホン界隈でちょっと話題になっている「キンバー風ケーブル」が発売されました。ソニーの「MUC-M12SB1」で使用されているKIMBER KABLEコラボのケーブルと同種の線材を使用しているとされている8芯OFCケーブルです。エナメル被膜銅線と銅線を編み込んだ独特のケーブルで、全体を樹脂製の被膜で覆われています。樹脂被膜なので絡まりにくく、また比較的柔らかいため取り回しも良好です。
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HCK版の違いはケーブル分岐部分が無印な点のみ。他のキンバー風ケーブルと同一の製造工場で作られた同一製品です。MMCXおよび2pinのコネクタは最近の中華イヤホンに多いタイプです。キンバー風ケーブルと言うことで、特に2pinではカスタムIEM(CIEM)などで使用したいというニーズも多いのですが、これらのイヤホンで広く採用される凹みのあるコネクタでは使用できません。次のゴールドのケーブルでは異なるタイプのコネクタを採用しており、できればこのグレード以上になった場合はコネクタを再考してもらいたいものです。
hck cableNICEHCK 8芯キンバー風ケーブル
音質傾向はOFC線の特徴が非常にハッキリと現れるタイプで、低域・高域のメリハリがでる「濃い音」になるケーブルです。シングルダイナミック系の高音質イヤホンとの相性も良く、「TFZ KING PRO」のようなフラットなイヤホンでは解像度の高さ、情報量の多さをアップしながらよりリスニングイヤホンとしての楽しさもプラスされました。また「MaGaosi K5」「NICEHCK HC5」のようなマルチBAイヤホンでは全体的に個性が強調されグレードアップしたようなサウンドを実感できます。


NICEHCK 8芯 単結晶銅銀合金+銀メッキ単結晶銅線 イヤホンケーブル
Amazon.co.jp(NICEHCK) / 7,850円~8,150円
【MMCX】【2pin ※】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】
hck cablehck cablehck cable
HCKの新しいケーブルは黄金色に輝く見た目も鮮やかな8芯ケーブルです。仕様としては「単結晶銅銀合金と銀メッキ単結晶銅線」のミックスのようですが、おそらく被膜の中の線材がすでにこのミックス線仕様になっている線材と思われます。黄色のカラーは被膜の色で別に金メッキをしているわけではありません。コネクタは最近の柔らかい中華ケーブルの仕様ではなく、HCK独自のものです。2pinコネクタもCIEMタイプとなるようです。

届いたケーブルは最近の柔らかい8芯銀メッキ線より多少被膜に弾力があるものの同様に柔らかく使いまわしは良好です。またカラーもケーブル自体が着色された非常に鮮やかな黄金色で、大変美しい仕上がりです(とても派手、という言い方もありますね^^;)。
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またブラックのコネクターですが3.5mm/2.5mm/4.4mmのジャック部分および分岐部分などは金属製で、MMCX/CIEM 2pinのイヤホン側コネクタ部品のみがプラスチック製です。こちらのコネクターも以前のモデルではちょっと使いにくく見た目も安っぽかったりしたのですが、現在のケーブルは全く新しいものでしっかりした作りになっていました。
hck cablehck cable
このように作りはしっかりしているもの、見た目についてはかなり派手で使用している線材の特徴はまったく想像できないケーブルとなっていますが、音質傾向については「単結晶銅銀合金と銀メッキ単結晶銅線」による、銅線&銀メッキ線ミックスケーブルらしい特徴を持ったケーブルでした。
このケーブルにリケーブルすることで、全体的に中高域を中心にかなり派手めのサウンドになる、わかりやすい特徴だと感じました。例えば「HCK HK6」は中低域が厚く、高域は刺さりのないサウンドですが、このケーブルにリケーブルすることで高域も含め全体的に多少アグレッシブな傾向になります。特にバランスケーブル仕様を選択し、駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)等と組み合わせるとかなり顕著に傾向が現れます。手持ちのイヤホンで「音質的にも」「見た目にも」鮮やかさを加えたいときに最適なケーブルだと思いますよ。


NICEHCK 8芯 銀コート高純度銅線(銀箔メッキ高純度銅)イヤホンケーブル
Amazon.co.jp(NICEHCK) / 4,295円~4,595円
【MMCX】【2pin ※】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】
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「HCK HC5」や「HCK HK6」などに標準付属されていることから、最近ではよく見かけるようになった銀メッキ線の柔らかい8芯ケーブルですが、線材が少しだけリニューアルした「新バージョン」が発売されています。現在HCKでは、新バージョンのケーブルはアマゾンでのみ販売されており、これまでの「8芯銀メッキ線ケーブル」(Amazon価格4,890円~)より若干ですが価格が抑えられています。
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ちなみに、Amazonなどでの表記は「銀箔メッキ高純度銅」となっています(笑)。もともとの柔らかい8芯ケーブルが「銀メッキ高純度銅」と表記しているので区別のためこのように書いているのだとは思いますが、逆に何のことかよくわからなくなってますね(^^;)。とりあえず、私のブログではさすがに「銀箔メッキ」と表記するのもどうかと思うので、とりあえず「銀コート線」という表現で区別しようと思います。まあ苦し紛れに同様の線材で使用されている他社のケーブルで用いられている表現を拝借しただけですが。。。

離れてみるとほとんど同じように見える新旧のケーブルですが、実際に並べてみると表面の処理が結構異なっているのが分かります。新しい銀コート線のほうは、以前のケーブルレビューで紹介した「LZのシルバーの8芯銀メッキ線」に近い線材ですね。
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今回の「銀コート線」ケーブルでは、耳掛け部分に樹脂製の被膜によるフックがないため、ストレートタイプのイヤホンでも利用が可能になっています。元々とても柔らかいケーブルですのでフックがなくてもシュア掛けで困ることはないでしょう。また2pinタイプは極性を示すマーキングがあるので間違わずに使用できると思います。
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音質傾向的にも元々の「8芯銀メッキ線」との違いはわずかですが、どちらかというと「LZのシルバーの8芯銀メッキ線」にも共通する印象となります。全般的に解像度をアップし中低域の分離性を向上させる傾向ですが、新しいケーブルのほうが駆動力のあるDAPなどで高域がすこし明るくなった印象を受けました。より「銀メッキ線」の特徴に近くなったといえるかもしれませんね。


本来製品として販売されているイヤホンは付属のケーブルで最適化されているはずなのですが、特に中華イヤホンの世界では本体部分にコストを集中する関係でケーブルは「コスト内でいれられる範囲のもの」で選択されるケースも少なくありません。そのためイヤホン本来のポテンシャルを引き出すためにはリケーブルによるアップグレードは非常に有効な手段だと思います。いっぽうで、非常に個性的な傾向があるケーブルを組み合わせることでサウンドを自分好みにアレンジしてみるのも楽しいでしょう。やっぱりケーブル沼も結構楽しいものですよ(笑)。


Yinyoo「YYX4744」 8芯OFCキンバー風ケーブル /「GXX4740」 8芯銀メッキ線(赤)ケーブル」 / 「YYX4737」 純銀(銀メッキ線芯材)シルバーケーブルを購入しました【レビュー】

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Yinyoo Cable

私のレビューでもいろいろな中華イヤホンを紹介していますが、これらのイヤホン同様にとても多くアクセスをいただいている話題が「イヤホンケーブル」のネタです。気がつくと次から次へと意味もなくケーブルを買い続けるクセがついてしまったようで、(リケーブル可能な)イヤホンを買っても買っても、なぜか常にケーブルが余ってる状態になっています(笑)。
→ 過去記事: 中華イヤホンケーブルのレビュー 一覧

そんな状況にもかかわらず、毎度お世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」から最近精力的に新しいケーブルが登場しており、またまた散財の予感がひしひし。沼って楽しいですね(ぇ。
というわけで、Easy Earphones等のセラーで販売される「Yinyoo(音佑)」ブランドの新しいケーブルをいくつか紹介したいと思います。まず今回は春以降に届いた3種類のケーブルとなります。ちなみに、これまでに購入したの同ブランドについては以下のレビューにまとめています。
→ 【Yinyoo/Kinboofiケーブル編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみましたPart5

また、各ケーブルの材質ごとの特徴については過去記事の「解説編」にて簡単に紹介しています。よろしければこれらのレビューも併せてご覧くださいませ。
→ 【その1:解説編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました(前編)

購入はすべてAliExpressのEasy EarphonesおよびAmazonのWTSUN Audioにて。Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


【高純度銅線のイヤホンケーブル】
[ YYX4744 ] Yinyoo 8芯 高純度OFCミックスケーブル(キンバー風ケーブル)
Yinyoo Golden treasure Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 6,150円~ / AliExpress(Easy Earphones) $51.75~
【 MMCX 】 2pin ※【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
Yinyoo CableYinyoo CableYinyoo Cable
従来の中華イヤホンケーブルでは使用されてこなかった8芯OFC(高純度無酸素銅)線の「キンバー風」ケーブルです。「キンバー風」という所以は、Easy Earphonesによると、ソニーのアップグレードケーブル「MUC-M12SB1」と同様の線材を使用しているとのことから。「MUC-M12SB1」はソニーのサイトによると、高級ケーブルメーカーとして知られるKIMBER KABLEの協力により同社の技術を用いた構造・デザインを採用している、との記述があります(ソニーの製品もKIMBER KABLEの線材を使用しているわけではないようです)。本当に「MUC-M12SB1」と同じ線材のケーブルであれば、ソニーのケーブルを作っている会社から線材が流れてきてる、ということになりますね・・・(゜゜)。
Yinyoo CableYinyoo Cable
なにはともあれ、多少被膜のカラーが異なるものの、線材はソニー製品と同じ、高純度OFC線とエナメル線をミックスして編み込んだケーブルで、全体を透明な樹脂被膜で覆われています。とはいえケーブル自体は思ったより柔らかく、使いまわしは非常に良好です。コネクタは最近の中華ケーブルで良く使われているタイプとなります。
Yinyoo CableYinyoo Cable
特徴としては「わかりやすくOFC線の傾向が出るケーブル」ですね。弱ドンシャリ傾向の6BA構成イヤホン「Yinyoo HQ6」の場合、全般的な分離性の向上、解像度アップといったリケーブル効果はもちろん、低域はより深く、高域はより明るめのより「濃い音」になりました。
YYX4744 キンバー風ケーブルまた「MaGaosi K5」や「Yinyoo H5/H5 Pro」の場合、解像度や分離性の向上により1ランク製品のグレードが上がったようなサウンドを実感できます。これらの製品は比較的フラット傾向なこともあり、キンバー風ケーブルによってサウンドに厚みが増すことでまるで高級なマルチBAイヤホンのような印象に変化するのかもしれませんね。このように味付けが強すぎるという印象もありますが、予想外に楽しい変化が楽しめるケーブルだと思います。
中華ケーブルでは銀メッキ線が圧倒的に多いため、わかりやすく「銅線」の傾向がでるアップグレードケーブルは選択肢が少なく、その意味でも結構お勧めできる製品だと思います。さすがにソニー「MUC-M12SB1」の価格(23,880円+税)と比較するのはどうかと思いますが、4.4mmバランスを含め、3.5mm、2.5mmの各サイズ、MMCXと2pinのコネクタが選択できる点も含め、非常にコストパフォーマンスにも優れていますね。
私もあと1本、2本、買い増ししようかな(^^;)。

※本レビュー以降このキンバー風ケーブルは大好評らしく、あらたにゴールドカラーのバージョンも発売されました。こちらは特に2pin仕様が「CIEM 2pin」仕様となっており、これまでのキンバー風ケーブルでは装着できなかった凹みのあるタイプのカスタムIEM等のイヤホンでも使用できるようになっています。

[ YYX4752 ] Yinyoo 8芯 高純度OFCミックスケーブル(キンバー風・ゴールド)
Yinyoo Gold Silver Plated Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 6,150円~ / AliExpress(Easy Earphones) $60.38~
【 MMCX 】 CIEM 2pin 【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
Yinyoo CableYinyoo CableYinyoo Cable
こちらのケーブルもあらためてレビューをしたいと考えています。


【純銀線ケーブル
(※注記あり。追記しました)
[ YYX4737 ] Yinyoo 4芯 高音質 シルバーケーブル(4N 純銀+銀メッキ線芯材)
Yinyoo Silver Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 9,800円  / AliExpress(Easy Earphones) $89.00
【 MMCX 】 【 2pin ※】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
Yinyoo CableYinyoo CableYinyoo Cable

春ごろに発売されたYinyooブランドの4芯ケーブル。以前は製品サイトでは「純銀線」という表記になっていましたが、正確には「銀メッキ線の芯材に4N 純銀線を束ねた線材」を使用したケーブルです。銀線は材質の性格上、ケーブルとしての強度としなやかさを維持するために「芯材」が必要で、日本国内で流通している「純銀線」は芯材にナイロン線などを使用しているケースが多いようです。いっぽうこの「YYX4737」ケーブルでは上記写真のように芯の部分に銀メッキ線を使用し、数多くの極細の4N純銀線を束ねたうえで被膜で覆っています。そのため(ナイロン芯などの)他の銀メッキ線とは異なり少し硬めで太い線材となります。最初に購入したときは少しクリームホワイトなカラーリングでしたが、の後買い増しした際には現在のホワイトシルバーコートの被膜で覆われたシルバーカラーのケーブルに変わっていました。
Yinyoo CableYinyoo Cable
音質傾向は最近の8芯銀メッキ線の中華イヤホンケーブルを越える非常に高い解像度に加え「かなり過激」ともいえる高域の伸びの良さが特徴的です。特にマルチBAの場合では大人しめだったイヤホンで使用してもかなりアグレッシブなサウンドに化けます。また特に中低域が凹むこともなく分離性も良好です。
Yinyoo CableYinyoo HQ5
マルチBAのような複数のドライバーを駆動させるためにより多くの電流が流れるタイプのイヤホンではかなり顕著に変化が現れるようですね。例えばイヤホン本体の価格からあまり現実的ではありませんが、全体的に穏やかなサウンドの「KZ ZS10」で使用すると見違えるような派手めのサウンドに「化けます」。多ドラ系のイヤホンで高域を元気にさせたい場合には良いと思います。
いっぽうでシングルダイナミックのイヤホンなどでは高域の変化はほとんどなく中低域が少しやせてしまうためあまり良い組み合わせにはならないようです。日本国内で流通する「純銀線」とは多少仕様が異なるためその点はあらかじめ注意が必要ですが、音質的にはかなりアグレッシブな「純銀ケーブル」として十分コストに見合う品質のケーブルだと思います。


【銀メッキ銅線ケーブル】
[ GXX4740 ] Yinyoo 8芯 銀メッキOFCアップグレードケーブル(レッド)

New Yinyoo 8 Core Upgraded Silver Plated Copper Cable 3.5/2.5/4.4mm Cable (Red)
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 5,750円~ / AliExpress(Easy Earphones) $28.50
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
Yinyoo CableYinyoo CableYinyoo Cable
こちらは、中華ケーブルではおなじみの銀メッキOFC銅線のケーブル。レッド/シルバーのカラーケーブルを編み込んでいますがミックス線材ではないようです。以前レビューしたKINBOOFIブランドで出している8芯のピンク/シルバーのケーブルといい、どうもHCKの赤白8芯を意識しすぎなような気もしないではないですね。個人的には下手にミックスカラーにするより「赤色」単色にしてくれてたほうが格好良くていいのに、と思っているのですが(^^;)。
Yinyoo CableYinyoo Cable
さてさて、こちらのケーブルが特徴的なのは最近8芯ケーブルで多用されている「柔らかい線材ではない」ということ。柔らかい銀メッキ線ケーブルと比較して、被膜に少し弾力があり、編み込みもしっかりしているため全体的に少し太さも抑えられているのが使いやすくて良いですね。またMMCXコネクタ、2pinコネクタもWooeasyブランドのケーブル時代のシルバーコネクタで、2pinはCIEM仕様となっています。
音質傾向的には解像度や分離性をアップしてくれるタイプの味付けの少ないケーブルですが、柔らかい8芯銀メッキ線が中低域タイプで高域の伸びが少し弱かったのに対し、こちらのケーブルは高域もより綺麗に出してくれる印象があります。価格も手ごろなので使いやすいアップグレードケーブルとして、他のカラーも出してくれると有り難いなと思います。


というわけで、今回は3種類のケーブルを紹介しましたが、さらに新しく販売された「16芯ケーブル」も3種類ともオーダーしていますので、こちらも揃いましたらあらためてレビューしたいと思います。


「Yinyoo HQ5」 聴きやすく心地良いサウンドに癒やされる、こだわり満載の5BA高音質中華イヤホン【レビュー】

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Yinyoo HQ5

昨年より精力的に低価格のマルチBAモデルのイヤホンをリリースしている「Yinyoo(音佑)」ブランドより、また新しいモデルが登場しました。それが今回オーダーした「Yinyoo HQ5」、5BAモデルのイヤホンになります。
5BAというと、現在も「Yinyoo H5」という、より低価格のモデルがありますが、こちらが「MaGaosi K5」や「HCK HC5」といった他社製品と同じ製造元(のロゴ違い)のイヤホンだったのに対し、「Yinyoo HQ5」は同社オリジナルの製品として全く別のファクトリーで設計・製造された上位モデルとなります。
Yinyoo HQ5Yinyoo HQ6
すでに先日レビューした6BAモデル「Yinyoo HQ6」を持っていますが、今回の「Yinyoo HQ5」ではよりコストを抑えつつ、さまざまな「こだわり」を詰め込んだ仕様となっており、完成度についてはEasyも「かなり自信を持っている」とのこと。先行オーダーを開始したのは4月上旬だったのですが、多少段取りに手違いもあって私のところにはGW明けに到着しました。ですので、このタイミングでオーダーされた方の多くはすでに手元に届いていることと思います。
ちなみに、オーダーを開始したタイミングで例によってEasy EarphonesとDMでいろいろ確認しており、そこで聞いたアピールポイントをまとめてツイートしています。

ちなみに先日レビューした「Yinyoo HQ6」のほうも、マニアの間でもあまり認知されていないようですが、個人的には想像以上の「当たり」のイヤホンで、アンダー3万円の価格設定のなかでは相当コストパフォーマンスの高い製品だと思っています。ところが今回の畳みかけるように登場した「Yinyoo HQ5」は、アンダー2万円と「MaGasoi K5」とほぼ同じ、「Yinyoo H5」ともわずかな価格差で、しかも上記の通りさらに力が入っているということで、「おいおいおい」と思いながらも、やっぱり今回もオーダーすることになってしまいました(^^;)。

私はAliExpressのEasy Earphonesでオーダーしましたが、現在「Yinyoo HQ5」については、入荷した日本向けの在庫はほとんどアマゾン倉庫へ出荷しているようですので、アマゾン経由で購入した方が確実に入手できると思います。価格についても為替レートを踏まえるとほぼ同額、または少しアマゾンのほうが安くなるように価格調整がされています。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo HQ5 / 179ドル~199ドル
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ5 / 19,800円

アマゾンではプライム扱いになっていますので、倉庫在庫があればすぐに商品が届きます。また万が一不良などがあった場合の返品交換の手続きもアマゾン経由で行えるため安心感が高いですね。さらにEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。あと余談ですが、もしEasyにDMで相談や問い合わせをする場合は、いわゆる「デイタイム」(平日9時~17時、時差を考慮すると10時~18時)だと日本語ができるスタッフが応対してくれる確率が高いので、このタイミングを狙った方が良いかもですよ(^^)。


■こちらも「Neptune」カラーのイヤホンですが、ビルドクオリティの高さはかなり秀逸

というわけで、私の場合はアマゾン経由せずに、しかもオーダーのタイミングが微妙だったこともあり、ようやく手元にやってきた「Yinyoo HQ5」ですが、今回もなかなか満足度の高い内容でした。

Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5

パッケージはいつもの「Yinyoo」ブランドのボックスで大きめのイヤホンケースにイヤホンほか内容物がびっしりと収納されています。「Yinyoo」のイヤホンケースも気がつくと結構な数がたまってるのですが(^^;)、交換用のイヤーピースやバランスケーブルなどいろいろ一緒に収納しておくことができるので出張の多い私は結構重宝しています。
Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5
パッケージ内容はイヤホン本体、8芯銀メッキ線ケーブル、イヤーピースはシリコンタイプが3種類(それぞれS/M/Lサイズ)、ウレタンタイプが4ペア(4色)、保証書と毎度ながらの充実ぶり。

Yinyoo HQ5」のクリアシェルのビルドクオリティはHQ6同様に非常に高く、ブルーマイカのフェイスプレートも大変美しいものです。ステムが金属製となったことで高級感もアップしていますね。
Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5
ハウジングは比較的大きめで、おなじ5BAの「Yinyoo H5」(MaGaosi K5)と比較してもひとまわり大きい印象ですが、シェルデザインが工夫されているためか装着感は「Yinyoo HQ5」のほうがむしろ良好です。「Yinyoo HQ5」の金属製のステムは太さがありますが、ほとんどの場合、付属のイヤーピースで装着感に困ることはなさそうです。

Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5
また今回も「qdc Neptune」および「HCK HK6」と比較すると、ハウジングのサイズは「Yinyoo HQ5」の大きさがひときわ目に付きますが、同時にフェイスプレートのカラーリングはより「Neptune」に寄せているのがわかります。シェル本体はより濃いブルーとなっておりサイト写真よりむしろ格好良いカラーリングだと思います。なかなか所有する満足度も高いイヤホンですね。


■心地良い低域と心地良い中高域。マルチBAの実力を発揮したハイレベルな美音系サウンド

Yinyoo HQ5」を実際に聴いてみた印象は、Easy Earphonesの強力なプッシュも納得の完成度の高さで、明るめでバランスの良いサウンドでした。最近発売されているこの手の製品とは異なるセッティングで「いかにもマルチBAっぽい音」という印象をもつ中低域寄りの情報量の多いサウンドでした。
Yinyoo HQ5開封直後は低域が少しボワつくような感じもあったのですが1~2日くらい鳴らしているうちに明瞭さを感じるサウンドになりました。20~30時間程度のエージングは必要かもしれません。音質傾向は弱ドンシャリ傾向に寄せられており、重厚な低域と明るめの高音を表現しつつ、上から下まで美しく描写するタイプの「美音系」イヤホンですね。音質面のまとまりの良さはさらに高価格帯のイヤホンとも通じるクオリティかもしれません。マルチBAながら低域は締まりとともに深く沈み込みのある量感も確保しており、いっぽうの中高域は非常に情報量の多いサウンドです。音場はマルチBAとしては比較的広めに定位し、標準の銀メッキ線ケーブルを使用しても分離感もかなり良好です。高域の刺さりは押さえられており伸びはそこそこですが、多少のキラキラ感もあるサウンドです。エージング後はボーカルなども低域にかぶることなく明瞭で綺麗な印象です。

Yinyoo HQ5ちなみに、先日レビューした6BAの「Yinyoo HQ6」も「Yinyoo HQ5」同様に明確にリスニングに振ったチューニングのイヤホンですが、両者のキャラクターには結構変化をつけています。「Yinyoo HQ6」は低域がデュアルBA構成となっているため低域を含めた解像度は「Yinyoo HQ5」より高くなっていますが、全体的によりキレのある中高域メインのサウンドが特徴的です。いっぽう「Yinyoo HQ5」は「HQ6」より厚みのある低域で、響きや空間表現など全体のサウンドバランスは非常にうまく表現されていると感じます。元気な印象の「Yinyoo HQ6」と、バランス重視の「Yinyoo HQ5」という違いでしょうか。
どちらも特徴があって良いイヤホンだと思いますので、6BAと5BAの構成の違いから来る価格差と、キャラクターの好みで選ぶ感じですね。また上記の写真の通り、デザイン的に良く似ている「HCK HK6」は「HQ5」と比較すると低域厚めの傾向は似ていますが、ドライバーの数は6BAと多いものの、より穏やかな音の印象となっています。よりマルチBAらしい解像度の高さや中高域のバランスを求める場合は「HQ5」のほうが分かりやすい印象を受けるのではと思います。

また、反応の良い典型的なマルチBAのため、ある程度S/Nの高いDAP(デジタルオーディオプレーヤー)などの利用したほうがよいでしょう。同時に、DAPやポータブルアンプによる出力によっても印象は変化する可能性があります。特にS/Nが高く駆動力のあるDAPでは低域がいっそう厚みを増し立体的な音場を実感できると思います。
相性の良いジャンルとしてはクラシックやジャズなどをはじめ、ポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲も十分に楽しめます。いっぽう音のキレより聴きやすさを重視したイヤホンですので、高域を攻めるタイプや派手めの音が好みの方にはあまり向かないかもしれませんね。

ところで、上記のツイートのとおり、「Yinyoo HQ5」は高域にBellsing、中低域にKnowles社製バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載しています。製品を見てみると、高域部分には「Yinyoo HQ6」と同じデュアルBAの「Bellsing 30017」(BRC210C30017)の搭載が確認できました。
Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5
さらに中低域を担うデュアルドライバーと低域用のシングルウーファーが搭載されており、ウーファーは刻印側がデュアルBAと接しているので目視での型番確認はできませんが、サイズ的にMaGaosi K5/Yinyoo H5 でも搭載している「Knowles CI-22955」だと思われます。あと中低域のデュアルBAはKnowlesのDTECあたりを採用していると考えられます。各ドライバーからステムにつながる音導管にはフィルタが装着されておりクロスオーバーが調整されています。

Yinyoo HQ5同じ5BAでもMaGaosi K5/Yinyoo H5が低域に「CI-22955」を使用しつつ残りの4BAは中華BAを4個並べて中高域の出力を確保する、少しトリッキーな構成で低コストを実現していたのに対し、「Yinyoo HQ5」はアンダー2万円のイヤホンながらかなり本格的なドライバー構成およびネットワークとなっています。非常に高いビルドクオリティと併せて、この辺からも価格以上に力の入れ具合が見て取れます。
MaGaosi K5/Yinyoo H5 は音質傾向はよりフラットで音場の広さを感じるサウンドですが、低域の厚みはもちろん「音の濃さ」と言う点で「Yinyoo HQ5」がかなり上回っているようです。中高域の解像度についてもKnowles/Bellsing製BAよるアドバンテージが感じられますね。

また、「Yinyoo HQ5」は高音質なBAドライバーを組み合わせていることもあり、リケーブルに対するポテンシャルの高さも魅力的です。より高音質な銀コート線やミックス線など高域をアップグレードするケーブルとの相性が良いですね。DAPが対応している場合はバランス接続により分離性や解像度をさらに向上させるのもオススメです。個人的には「GXX4728 8芯 ミックス線」や「GXX4725 8芯 銀メッキ線」ケーブル等との組み合わせが好印象でした。また日本では「WhiteSnake」として販売されている16芯 銀メッキケーブル(AliExpressのEasy Earphonesで購入)も相性が良いと思います。
Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5
また、Yinyooブランドで最近リリースされた純銀線のケーブル「YYX4737 純銀 4芯ケーブル」は同社のイヤホンケーブルの中では比較的高価な製品ですが、感度が大幅に向上し、特に高域の伸びが劇的に変化します。特に「Yinyoo HQ5」で低域のバランスが強すぎると感じる場合にはこのケーブルでかなり印象を変化できるのではと思います。駆動力のあるDAPでは多少聴き疲れするほどのアグレッシブさになるためのんびり聴くのにはあまり向きませんが、「Yinyoo HQ5」のサウンドにキレを加えたい場合にはとても魅力的な選択肢となると思います(個人的にはこの組み合わせが一番好みです)。


■「後出しじゃんけん」の万人受けサウンド。「いろいろOK」なら、かなり良い選択肢かも。

Yinyoo HQ5というわけで、「Yinyoo HQ5」はアンダー2万円のリスニングイヤホンとしてはかなりオススメできるサウンドであることが確認できました。ビルドクオリティも非常に高く装着性も良いため「後出しじゃんけん」のメリットを最大限に発揮しているな~という印象ですね(褒めてますよ。笑)。
ただ、「Neptune」に寄せたデザインに対する賛否はあると思いますし、私のレビューでも「MaGaosi K5」以降、このクラスのイヤホンをいくつも紹介しているため、「またか」という、ネガティブな印象を持たれる方もいらっしゃると思います。
もちろんこれまでレビューしてきたイヤホンもそれぞれの良さがあり好みに合致すれば間違いなくオススメできるのですが、個人的には「後出しじゃんけん」は伊達じゃないというか、「Yinyoo HQ5」はおそらく最も「万人ウケ」しやすいサウンドになっているなとは感じます。
Yinyoo HQ5」は比較的製造に手間がかかるらしく、毎回入荷数は少ないため品切れになると私のように半月待ち~状態になってしまう可能性もあります。ですので、もし興味を持たれた方は在庫があるうちにチャレンジしてみるのも良いと思います。今回、MMCXコネクタに加えて2pinコネクタ仕様も少量ですが作られるという情報もありますので(^^)。

※追記
上記の2pin仕様ですが、現在日本向けにアマゾンのみで少量ですが在庫があります。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ5(ブルー / 2pin)

Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5

また新カラーとしてクリアグリーンのモデルも登場しました。これまでのNeptuneカラーから潔いまでに「qdc 2SE」に寄せたカラーリングは逆に分りやすくて良いですね。個人的にはこっちのカラーのほうが好きなのですが、もう1個買うかどうか・・・悩ましいですね(^^;)。
透明グリーン「Yinyoo HQ5」は現在AliExpressでのみオーダー可能です。 Amazonでも入荷し両方で購入可能です。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo HQ5 (クリアグリーン)
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ5(クリアグリーン)
Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5
その他「Yinyoo HQ」および「Yinyoo H」シリーズのレビューについてはこちらをご覧ください。
→ 過去記事(一覧): 「Yinyoo HQ」シリーズ/「Yinyoo H」シリーズ・マルチBAイヤホン


「RevoNext QT2」(RN-QT2) 予想外の中低域メインの聴きやすさと完成度に驚く、1BA+2DD中華イヤホン【レビュー】

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Revonext QT2

今回は「RevoNext QT2」(RN-QT2)の紹介です。オーダー開始直後の注文で到着したのはGW中ですので2週間ほど経ってしまいましたが、GW中は地元にいたため、実質は1週間程度の利用となります。

RevoNext QT2」は中国でサプライ製品などを製造・販売している「RevoNext」と中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」等が展開する中華イヤホンブランド「Yinyoo(音佑)」のコラボレーションによる製品です。販売もYinyooブランド製品と同じく、Easy Earphones、アマゾンのWTSUN Audioなどで行われます。

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ドライバー構成は1BA+2DDで、金属製ハウジングのデザインは私のブログでもおなじみ「KZ ZS6」を思わず彷彿させるものです。ただ音質面は「KZ ZS6」とはだいぶキャラクターの異なるとても聴きやすい中低音メインのサウンドで、同価格帯のハイブリッド機としてもかなりレベルの高いサウンドに仕上がっています。

「RevoNext QT2」はマイク無しタイプの価格で、AliExpressのEasy Earphoneが47ドル、アマゾンのWTSUN Audioにて5,600円にて販売されています。
AliExpress(Easy Earphones): RevoNext QT2
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): RevoNext QT2

AliExpressでの購入方法はこちらを参考にしてください。またEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローいただくと割引情報なども頻繁にツイートされていますのでこまめにチェックすることをおすすめします。

届いたパッケージはKZのパッケージより少し大きいくらいのコンパクトなボックス。
Revonext QT2Revonext QT2

付属品もイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースS/M/L、説明書と至ってシンプルな内容です。
Revonext QT2Revonext QT2
付属の2pinケーブルは「KZ ZS6」等のケーブルよりは幾分良い品質のものですが、被膜が同様にちょっとゴムゴムしていているため、可能であればリケーブルを行った方がよいでしょう。


■「RevoNext QT2」の外観を「KZ ZS6」と比較してみた

RevoNext QT2」の本体はCNC加工した金属製ハウジングで、確かに「KZ ZS6」とかなり酷似していますが、よりスリムな形状になっています。それでも同じカラーの「KZ ZS6」と比較すると兄弟イヤホンというか、かなり「そっくりさん」かもしれませんね。
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ちなみに「KZ ZS6」は2017年の発売時のロットから今年に入ってマイナーチェンジが行われており、最新のロットではステム部分の形状や装着角度が微妙に異なっています。上記の写真では左が「RevoNext QT2」、中央のレッドのZS6が2018年4月頃の最新ロット、右のグリーンのZS6が初期ロットとなります。
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そして、フェイス部分のネジを開けてみると、もうこれは兄弟イヤホンとしか思えないようなそっくりな内部構造に遭遇します。使用しているダイナミックドライバーが同一かは特定できませんが、少なくとも「同サイズ・同仕様」であることは間違いなさそうです。
Revonext QT2いっぽう、ステム部分はZS6ではKZ製BAドライバーが2基に対し、「RevoNext QT2」では型式不明のシングルBAが装着されています。さらに先端のメッシュを外してみると、「ZS6」では最新ロットでもむき出しのBAドライバーを覆うカタチでメッシュパーツのみが貼り付けられているのに対し、「RevoNext QT2」では黒いシート状のフィルターが貼り付けられています。これによりある程度の高域抑制の効果があるものと考えられますね。
これを見ると「RevoNext QT2」は「ZS6の製造工場で作っている」または「そもそもKZがZS6の製造委託をしていた工場がRevoNextの工場だった」かなど、「同じ製造元」の製品にしか見えない気もします。
ただ、中華イヤホンの世界では有名ブランドのクローン品のような「そっくりさん」も数多くありますし、最近の低価格イヤホンでも「Yinyoo Pro」「HCK Bro」(どちらも同じ工場で製造)が、以前の「SENFER UEs」と採用ドライバーこそ違いますが、全く同じ形状、同じ内部配線のクローン品でした。そのため「「RevoNext QT2」も、別工場による「ZS6の内部構造の完コピ製品」である可能性も否定はできないところです(Easy Earphonesも私からの質問に対して「KZとは別の製造元」と回答しています)。
実際、両方のイヤホンを聴き比べることで、「RevoNext QT2」の相違点がさらに浮き彫りになります。


■「ZS6」とは真逆?の派手さより中低音が心地良い聴きやすいサウンド

RevoNext QT2」は「KZ ZS6」に比べ多少スリムな形状になったことで装着感が向上し、ZS6では長時間の装着で耳が痛くなった方でもかなり改善されているのではと思います。またZS6同様にフェイス部分にベント(通気口)があるため、わずかながら音漏れしますが、静かな図書館など以外では屋外でも利用にも支障はないと思います。

音質傾向については低音重視のドンシャリで、高域については抑え気味のセッティングとなっています。Easy Earphonesによると「有名イヤホンを手がけたエンジニアによるサウンドチューニング」ということですが確かに中低域に主眼を置いたキャラクター付けは非常に上手で多くの方が好感を持つようなバランスだと感じました。
Revonext QT2高域の刺さりが全くない非常に聴きやすいサウンドで、低域はしっかりと沈み込む印象が有り、いっぽうでしっかり締まりのある印象。そのため中高域との分離感も比較的良好でボーカルも聴きやすいですね。高域の伸びはそれなりですが、ハイブリッドらしいキラキラ感は維持されています。解像度もZS6同様のレベルで、このクラスの中華イヤホンとしては十分に高いと思います。ただ、インピーダンス15Ω/感度105dB/mWとのことですが、実際に聴いてみるとDAP等に駆動力を多少必要とするようで、再生環境によってはすこし籠もったような印象になるかもしれません。そのような場合はリケーブルなどでも改善できる場合があります。
全体としてロック、ポップス、アニソンなど多くのジャンルで楽しめるイヤホンです。ただある程度のキラキラ感はあるものの、派手さは抑え気味ですので、メリハリの効いた音を楽しみたい方にはあまり向かないかもしれません。またクラシック等にもあまり向いていないと思います。

Revonext QT2ところで、「RevoNext QT2」を「KZ ZS6」と聴き比べてみると、両者はかなり異なる印象を受けます。高域の伸びが良い弱ドンシャリでとにかく派手さが特徴の「ZS6」に対して、中低域が特徴的でよりハッキリとしたドンシャリ傾向ながら派手さより穏やかさを感じる「RevoNext QT2」は真逆に近いサウンドと言えるかもしれません。特に最新ロットの「KZ ZS6」は高域に一定のシャリ付きのある派手なサウンドは健在ながら刺さりはほぼ抑制されており、中低域については多少フラットに近いバランスに改善されています。
内部構造的にいっけん同様に見える「RevoNext QT2」ですが、実際は全く異なるバランスでのチューニングが行われているようです。また、ここまで音質傾向が異なるとBAドライバー部分だけでなくダイナミック部分も「同じサイズの異なるドライバー」を使用している可能性も出てきますね。

さらに、「RevoNext QT2」はリケーブルによる音質向上も期待できます。Easy Earphonesなどが販売するKZやTFZのイヤホンで使用できる2pinタイプのケーブルがそのまま使用できますし、さらにKZ純正の銀メッキ線ケーブル(よく「きしめんケーブル」とかいわれるやつです)も「ZS5/ZS6用」のタイプがそのまま流用できます(ZST用のタイプは使えません)。
Revonext QT2Revonext QT2
たとえばYinyooブランドの「YYX4729 銀メッキ 4芯ケーブル」や同ケーブルのブラックタイプ(「YYX4731 ブラック 銀メッキ 4芯ケーブル」)などは手ごろな価格ながら使い回しも良く音質面も明瞭さがアップします。またこれらのケーブルはバランス出力に対応したタイプも選択できますので、対応したDAP等を使用する場合は分離感の向上とともに出力を確保する上でも有効な手段ですね。私はAliExpressのEasy Earphonesで購入した同じタイプのブラウンのケーブルを合わせてみました。


■セラーの気合いの入りようも納得の完成度の高いサウンド

Revonext QT2ところで、4月下旬にEasy Earphonesより予約オーダー時に少し質問をしたのですが(過去にYinyooブランド、Wooeasyブランドのイヤホンを多くレビューしていることもあり、最近は機会があればその都度特徴やポイントを私なりに質問するようにしています)、そのときは思いのほか「ZS6より高音質」と「KZ ZS6」と比較したメリットをやたらアピールしていたのが気になりました。個人的には「似てるけど、『それはそれ』でもいいんじゃないかな」とそのときは思っていたのですが、実際に届いてみて「そう言いたくなるのもわかるな」と実感しました。手元に届いた「RevoNext QT2」を見てみると、レビューの通り「KZ ZS6」と酷似している点が非常に多く、Easyが言うとおり「KZ ZS6」とは別の工場だったとしても、全く無関係、あるいは単なるオマージュというわけではなさそうだと感じます。Easy Earphones的にも結構力の入っている製品のようですし、万人ウケしやすい「ZS6の音質アップグレード版」を作ったぞ、ということを私に伝えたかったのかな、と思いました。

RevoNext QT2」はサウンドの方向性が「KZ ZS6」とは全く変わってしまったため、同じような感覚で聴くと拍子抜けしてしまうのですが、非常に完成度の高いイヤホンに仕上がっていることは間違いないと思います。もしあなたが低域が効いたサウンドが好みでしたら「RevoNext QT2」は良い選択肢のひとつです。ただし、この価格帯は優秀なイヤホンの激戦区でもあるのでどれも優劣つけがたいのも事実。試聴無しでひとつを選ぶのはかなり難しいかもしれません。ひとつヒントと挙げるとすると、派手さの「KZ ZS6」、バランスの「E3000」、メリハリとキレの「TFZ SERIES 2」、解像度と聴きやすさの「ZS10」、そして中低域の気持ちよさの「RevoNext QT2」、という感じでしょうか(異論もあると思いますので参考程度で)。
もちろん、できればこれら全部買って聴き比べていただくのが個人的にはいちばんオススメです(^^;)


「KZ ED15」 ハイブリッドらしい派手サウンドがとても楽しい、ひとつは持っていたい低価格&高品質中華イヤホン【レビュー】

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KZ ED15

こんにちは。4月下旬からずっとレビューを書き続けている気がするのですが、ようやくGW前までに届いたイヤホンのレビューもこれで最後となります(本当は衝動買いしたCTM VS2というのもありますが・・・汗)。でも今度は5月に入って到着したイヤホンが・・・どう考えてもオーダーしすぎですね。6月はちょっとセーブしないといけないですね(うーん

というわけで、今回は「KZ ED15」、私のブログでは毎度おなじみの中華イヤホンブランド「KZ」の新しい低価格モデルになります。低価格モデルといっても1BA+1DDのハイブリッド構成で、しかもかなりしっかりした作りの金属製ハウジングとなかなか侮れないモデルです。発売以降ネットでの評判も上々で、「ああ、KZって元々はこういうサウンドだったよね」とちょっと懐かしくも思う、派手めなドンシャリ系サウンドがとても心地良いイヤホンでもあります。

KZ ED15KZ ED15

カラーは「メタルブラック」「メタルシルバー」の2色から選択できます。
購入はこちらも毎度おなじみ中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」より。AliExpressでの販売価格はマイク無しモデルで17ドル、有りモデルで18ドルとなっています。購入方法などはこちらを参照ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store) : KZ ED15


2千円前後のイヤホンにはとうてい見えない、相変わらずの価格破壊のビルドクオリティ

到着した「KZ ED15」のパッケージはいつもの白箱ですがカラーごとの写真ボックスではなくシルエットイラストのタイプ。このカラーごとにパッケージを変えるモデルと変えないモデルの違いはなんでしょうね?
KZ ED15KZ ED15
パッケージ内容はいつもと同じイヤホン本体、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書。
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KZ ED15」の金属製ハウジングはわりと重量感を感じる作りです。リケーブルには対応していませんが、ケーブルの線材も上位モデルの「ZS10」と同様のものが採用されており、これだけでも以前のゴムゴムとしたケーブルより格段に進化した印象です。全体的にビルドクオリティはとても高く、低価格のモデルではありますが、もう安物イヤホンとは呼べないですね。
KZ ED15KZ ED15

また「KZ ED15」は先端部分にBAドライバーを収納するタイプのイヤホンですので、KZのシュア掛けタイプのハイブリッド機同様ステムは太めですが、装着性は一般的なレベルです。ただ少しサイズが大きく重量感もあるので、耳穴の形状によっては落ちないようにするためイヤーピースを工夫するなどの対応が必要かもしれません。
KZ ED15KZ ED15
私の耳穴も通常のイヤーピースだとすぐに落ちてしまうので、手持ちのウレタンタイプのイヤーピースやダブルフランジのイヤーピースなどを試してみました。最終的にはイヤーフックを併用していますが、それについては後述します。またこのタイプのハイブリッドやダイナミック型の他のイヤホン同様に背面のベントから多少の音漏れはありますので、図書館などの静かな場所では大きい音量で使うのは控えた方がよいかもですね。


■良い意味で、わかりやすいドンシャリ系サウンド。文字通り音楽を「楽しむ」ためのイヤホン。

KZ ED15KZ ED15」の音質傾向は一度聴いただけでガツンと耳に響くパンチのあるドンシャリ傾向のサウンドです。「KZ ZST」でハイブリッドのイヤホンを出すまでのKZのイヤホンと言えば低域がモリモリで非常にわかりやすいサウンドでしたが、以降どんどん音質的には優れたモデルに進化していくいっぽうで、最近の多くのメーカー同様すっかり「良い音」の製品が増えたなという感じがします。そのこと自体はむしろ良い傾向で、さらに現在のKZは中華イヤホンという言葉から感じる「あやしさ」を払拭すべく鬼のようなコスパでばく進しているような印象もあります。そのいっぽうで「KZ ED15」のような「低価格のバリエーションモデル」として、最近ではちょっと懐かしさすら感じるサウンドのイヤホンを作ってくれることはとてもうれしいことですね。

KZ ED15KZ ED15」の全体的な解像度や高域のクリアさなどはさほど高くはありませんが(価格から考えてもそれくらいの妥協点はありますね)、低域はかなり厚めで力強く響きます。高域はシャリ付きは少ないですが硬質な刺さりは多少ある、キラキラというよりちょっとギラギラ、って感じですね。
音場は一般的ですがキレが良くボーカルも近めで定位し、明るく派手なサウンドを印象づけます。
KZ ED15」は最近のイヤホンのなかでもインピーダンスが8.5Ωとかなり低めで、感度で調整しているため音量の取りやすさは一般的なイヤホンと同じですが、駆動力のあるDAPだと高域が結構暴れます(笑)。わたしも調子こいてちょっとボリュームを上げていたら耳に負担がかかってしまいました。

ロック、ポップス、アニソンと多くのジャンルで楽しく利用できますが、いっぽうでクラシックなどに向くようなイヤホンではないですし、バラード系も曲によってはちょっと音が明るすぎる、派手すぎる、と感じるかもしれません。まあ、音質うんぬんより好きな音楽を楽しく聴く、ということに特化したイヤホンと考えるのがよいのではと思います。「KZ ED15」は低価格ながらまとまりが良く、最近の製品の中では逆に個性的に感じるようなサウンドですので、ひとつくらい手元に置いておいても損はないイヤホンかなと思います。


■せっかくなのでHCKのアクセサリーでED15をより快適に使ってみる

余談ですが、「KZ ED15」についてネットの評判などを見ていて、「ED15の音質でZSTの形状だったら良かったのに」というツイートを見かけました。私もほぼ同感なのですが、その理由は形状の好き嫌いとかリケーブルの可否などというより、耳や耳穴の形状・大きさの関係でシュア掛けできるタイプのイヤホンじゃないとすぐに耳から落ちてしまう、という点があります。そこで、先日HCKでイヤホンケースをまとめてオーダーした際に、以前から気になっていたカナル型イヤホン用のイヤーフックを購入してみました。これを「KZ ED15」と組み合わせたところ、なかなか良い感じで使うことができました。

NICEHCK 2pair(4pcs) Earphone Earbud Silicone Ear Hooks Use 3.75ドル(白黒1ペアずつ)

KZ ED15HCK
この小さいサイズのイヤーフックは耳穴のサイドに軽くひっかけるタイプ。小さいフックですがこれで比較的重いED15も全く落ちなくなります。装着角度を変えればシュア掛け時でも使えますね。

2pair(4pcs) NICEHCK Earphone Earbud Silicone Ear Hooks Use 3.75ドル(白黒1ペアずつ)

KZ ED15HCK
こちらは耳穴の側面にしっかり固定するタイプ。サイズ的にちょっとかさばりますし、装着後にちょっと外してというのがシュア掛けのイヤホンのようにひと手間ある感じになりますが、その分よりしっかり固定できます。どちらのイヤーフックも結構便利に使えましたので、次の機会にさらに買い増ししようかな、と思っています。

あと、HCKで買える「KZ ED15」と合わせたいアクセサリーといえば、イヤホンケースとケーブルタイ、ダブルフランジのイヤーピースなども便利ですね。ケースとかは気に入っているのでまとめてオーダーしたら「業者みたい」とTwitterでツッコミを入れられましたが・・・( ̄。 ̄;)。どれもまとめて買っておくと便利ですよ。

KZ ED15・ダブルフランジイヤーピース 1.99ドル(青白1ペアずつ)
NICEHCK 1 Set/2pairs(4pcs) M Size In Ear Double-layer Tips Earphone Silicone Eartips/Ear Tip

・HCKイヤホンケース 2.10ドル
High Quality Original NICEHCK In Ear Earphone Case Bag
・ケーブルタイ 0.99ドル
1 Pcs High Quality Creative Leather Earphone cable clamp 


というわけで低価格のKZも楽しいな、と思っていたら今度はおなじハイブリッドでも別アプローチの「ES4」がリリースされました。それにまだ形状しか発表されていない新モデルも・・・まだまだKZネタは尽きなそうですね。イヤホンケース、もっと買っておこうかな(笑)。


「TIN Audio T1」 ビルドクオリティの高さと万人受けしやすいサウンドでライトユーザーに最適な低価格&高品質中華イヤホン【レビュー】

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TIN Audio T1

最近も低価格中華イヤホンがいろいろ販売開始していますが、今回は「TIN Audio T1」 、中国のイヤホンブランド「TIN Audio」の最新モデルです。12.5mmのシングルダイナミックドライバーを搭載し、CNC加工による金属製ハウジングが特徴的なイヤホンです。

同社の製品では以前上位モデルの「TIN Audio T2」(2DDモデル)を紹介していますが、こちらは特徴的な中音域で多少好き嫌いが分かれるものの評価は高く現在も人気のモデルとなっています。
→ 過去記事: 「TIN Audio T2」 結構マニア向け? 地味だけどボーカル推しの驚きの高音質イヤホン【購入レビュー】

TIN Audio T1」は位置づけとしてはシングルドライバーの下位モデルになりますが、スマートフォン用のマイク付きケーブルの仕様で、比較的マニア向けだった「TIN Audio T2」と比べるとかなり一般ユーザ向けに最適化した製品といえると思います。
購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」にて。AliExpressでは表示価格36ドルで販売されています。さらに、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)をフォローのうえ、購入時に連絡すればフォロワー値引きが得られると思います。AliExpressでの購入方法などはこちらを参照ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store) : TIN Audio T1

またアマゾンでもプライム扱いで購入が可能です。アマゾンの場合、アマゾン倉庫発送ですぐに手元に届きますし、万が一のときの返品交換などの対応がスムーズにできる点が安心ですね。
Amazon.co.jp(NICEHCK) : TIN Audio T1

TIN Audio T1TIN Audio T1
TIN Audio T1」のパッケージは「TIN Audio T2」とも共通のボックスで価格以上に高級感のある仕上がりとなっています。
TIN Audio T1TIN Audio T1
パッケージ構成は本体、イヤーピースがS/M/Lの各サイズが2種類、説明書。

TIN Audio T1」も非常にシンプルかつミニマルなデザインが特徴的です。金属製のハウジングは非常に高いビルドクオリティで成型されていて、見た目以上に軽量です。ケーブルは弾力のある被膜ですが取り回しは良くとても使いやすいものです。
TIN Audio T1TIN Audio T1
TIN Audio T1」の装着性は比較的良好です。デザイン的には通常の装着方法以外にシュア掛けもいけそうですが、その場合マイクリモコンがすこし邪魔になるかもしれません。ちなみに装着性については2DDモデルの「TIN Audio T2」のほうは左右が逆だったら良かったのに、という謎のレイアウトの関係で普通に付けると装着性が非常に難があったのを考えると「今回はまともになった」のがとても進化したように感じてしまいますね(笑)。

TIN Audio T1TIN Audio T1」の音質傾向はフラット寄りのバランスの取れたカーブで「TIN Audio T2」と比較すると「ずいぶんと大人しくなったな」という感じがします。中高域が印象的だった「T2」と比べると低域も沈み込みは一般的ですが十分に量感があります。中音域は広めの音場ながら聴きやすくチューニングされており、女性ボーカルやピアノの高音付近で「T2」に近いキラキラ感を感じます(意図的にこの帯域を持ち上げているようです)。いっぽう高域は刺さりなどがなく聴きやすいサウンドになっている分、上の方の伸びは抑え気味の印象を受けます。また低域と中高域の分離感についても少し雑味を感じ、解像度についても一般的なレベルだと思います。

「TIN Audio T2」と比較すると、低域については「TIN Audio T1」のほうが確実に存在感がありますが、解像度については「T2」のほうが標準ケーブルでもかなりの差があります(リケーブルでさらに変化)。また最も「T2」が特徴的な中高域から高域にかけての伸びやクリアさについては「TIN Audio T1」では全く別物となっていますが、いっぽうで「より万人受けしやすい」セッティングになっている、という見方もあります。
TIN Audio T1TIN Audio T1

TIN Audio T1」はスマートフォンなどを利用したライトユーザーを対象としたエントリーモデルのイヤホンですので、このセッティング自体は正解だとは思いますが、「いまひとつ特徴に欠ける」「可もなく不可もないけどそこそこ良い音」という評価に落ち着くことの良し悪しは判断が分かれるかもしれませんね。

ただ、特にマニアではないライトユーザーにお勧めするイヤホンとしては、価格以上に高級感がありますし、金属ハウジングのミニマルなデザインも、また音質面についても好き嫌いがなさそうな手堅さがあるので結構アリなのでは、と思っています。私もとりあえずは家族の評価を聞いてみようかな、と思います(^^;)。



プロフィール(Twitterアカウント)
読み:ばいそにか。無駄に中華イヤホン等いろいろ買い続けるアラフィフ限界オタクの酔っ払い。ダイエット中ですが食べるのも好き。普段は東京と福井(鯖江)の自宅の二拠点生活で小さなIT系企業を細々とやってます(出張多め)。仕事の合間に趣味で書いてるレビューブログも2022年末に1千万PVを突破(あざす!)。相変わらずのマイペースですが今後もよろしくです(^^)
※ご意見・ご質問などはコメント欄にて。あらかじめ下の「FAQ」のリンクをご一読ください。
レビュー依頼、プレゼント企画等のご相談については bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上返信を申し上げます(返信の無い場合はご了承ください)。


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