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イヤホン・ポータブルオーディオなどの趣味的レビュー。

「FitEar ROOM」 話題の低価格&高音質カスタムIEMをさっそくオーダーしました【購入レビュー】

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FitEar ROOM

こんにちは。最近の私のブログでは中華イヤホンのレビューが非常に多くなっていますが、今回はカスタムIEM(CIEM)、それも国内を代表するメーカー「FitEar」の製品です。

今回購入したのは「FitEar ROOM」、今年4月2日より受注受付を開始した最新モデルです。ポイントはなんといっても「FitEar」ブランドとしては脅威の「49,800円(税別)」という価格を実現したカスタムIEMだということ。受注開始アナウンスを行った際には信じ難いプライス設定と4月1日ということで「エイプリルフールのネタではないか」というウワサが立ったとか立たなかったとか(笑)。
FitEar ROOM (公式サイト)

FitEar ROOMFitEar ROOM」は、上記の通り同社としては最も低価格となる49,800円(税別)のプライス設定で、「より多くの方にカスタムIEMを身近に体感してもらうべく、プロの現場で培われた12年間の蓄積で作られた」といった内容の紹介がされています。厳選した使用ユニットと3Dプリンタ出力によりコストを抑えつつ音質面にもこだわったモデルだそうです。また須山氏のツイートによると、「コストを可及的に抑制しつつ音質には妥協せず、従来の遮音性とフィット感を持つBAマルチ機」とのことです。なおドライバー構成は非公開となっています(たぶん2BA、もしかしたら3BA、ですかね?)。
また販売価格を抑えるために直販のみの取り扱いで、実際に試聴およびオーダー可能なのは「須山補聴器 銀座店」のみとなっています。

私自身、カスタムIEMは以前から作成する機会を狙っていたのですが、これまでは(後述しますが)耳穴の形状の問題などもあり、実際にオーダーには至っていませんでした。しかし「ROOM」ならば装着しやすい先端部分の短いレイアウトだし、なにより本体5万円程度と、最近増えているミドルクラスのイヤホンとほぼ変わらい価格設定で「これはオーダーするしかない」と思いました。価格的にもすでに「ROOM」より高価なユニバーサルもすでに何個も持ってますからね(^^;)。


■さっそく「ROOM」を試聴・オーダーしてみた。

というわけで、受注開始直後の4月初旬の某日、唯一「ROOM」のオーダーを受け付けている「須山補聴器 銀座店」さんへお伺いしました。「ROOM」の試聴、オーダーには事前に予約が必要ですが、できればメールよりお店の営業時間内に直接電話して予約をしたほうが確実なようです。

オーダーする気満々でお伺いしたわけですが、とりあえずはじっくり試聴させていただきます。
ドライバー構成は非公開ながら、とにかくサウンドバランスが抜群でモニターとしてだけでなく、リスニングイヤホンとしてのクオリティの高さに魅了されます。
FitEar ROOMFitEar ROOM
もちろんそのまま耳型採取、オーダーとなるわけですが、ここで実際のフェイスプレート各色のカラーサンプルをみせていただきます。フェイスプレートは6色(ブルー/オレンジ/レッド/イエロー/ホワイト/ブラック)より選択することができます。私の場合、試聴から耳型採取、オーダーまでの所要時間は1時間程度でした。「ROOM」の試聴は銀座店でのみ受け付けていますが、現在は複数の試聴機を用意することでより試聴しやすいようにされている模様です。また他の場所での試聴機会も今後検討していくという情報もありますね。

オーダー時点で完成までの期間は約4週間ということで話を伺いましたが、私の場合は約20日程度で完成し、なんとかゴールデンウィーク前に受け取ることができました。完成品の受領は再度店舗への訪問を予約するか、自宅へ郵送(別途送料がかかります)を依頼することができます。そのため「ROOM」の購入のため店舗へ行く必要があるのは最低1回ということになります。関東近郊以外の方も東京への出張や旅行とタイミングをうまくあわせることができればオーダーはそれほど大変ではないかもしれませんね。

購入価格はROOM本体 49,800円+耳型採取 5,000円 プラス消費税と、本当にサイト記載の通りでした(^^)。

受け取った「FitEar ROOM」はボックスの中に黄色の専用ケースに「005(シルバー)」ケーブルが装着された「ROOM」本体、クリーニング用ブラシが付属します。
FitEar ROOMFitEar ROOM

私はにブラックのフェイスプレートをチョイスしました。「パンダ色」の構成ですね(^^;)。付属の「FitEar cable 005」は少し硬めのケーブルですが取り回しそのものは良好です。
FitEar ROOMFitEar ROOM

FitEar ROOM」は「ミドルレッグシェルデザイン」という実際に耳穴に入る先端部分が短いデザインを採用しています。耳の形状の違いに影響されにくい内部レイアウトとともに、この短い先端部分により一般的なカスタムの独特の装着感を緩和し、「カスタムが苦手」という方にも配慮したフィット感になっています。

ちなみに、私の場合は、左右とも耳穴の奥が極端に細くなっており、ユニバーサル型でも奥に装着するタイプの場合「XSサイズ」のイヤーピースでやっと装着できる、という感じです。そのため一般的なカスタムIEMでは、先端部分が細長くなりすぎて強度が確保できなかったりドライバーがレイアウトできなかったりするため、このようなケースでは先端を切ってしまう対応をするようです。そうすると内部レイアウトに影響が出てしまう場合もあり、これまでもカスタムを断念していました。しかし「FitEar ROOM」の場合は「FitEar Air」同様に最初から先端部分の短いデザインのため、問題なく作成することができました。私のようなパターンの方にも「ROOM」なら大丈夫ですよ(^^)。


■「ROOM」の名称通りの抜群の音場表現とFitEarサウンドを継承したフラットな音質傾向。

こうして無事届いた「FitEar ROOM」のサウンドは試聴で感じたとおり、それ以上に耳に確実にフィットすることでより鮮明にその良さを実感することができました。安定したフラットサウンドで上から下までしっかりと表現しており、聴き疲れしないチューニングでとても気持ちのよいサウンドです。
FitEar ROOM単なる廉価版のエントリーモデルではなく、FitEarサウンドをしっかり踏襲しているという印象(過去に試聴した経験での比較)で、ユニバーサルのイヤホンと比較しても音質面でのコストパフォーマンスは抜群に高いと思います。高域の刺さりなどの刺激は少なく、ボーカルなどの中音域はとても聴きやすく感じます。低域も厚みがあり力強さがあります。同時に音場も十分な広さがあり、モニターとして定位感も当然しっかりしています。
さすがに手持ちのより高額なイヤホンと比較して音数が多い曲となってくると解像度的に追いついていないと感じる場面もあり、おそらく上位モデルとの差別化された部分だろうと思いますが、トータルとしてのサウンドバランス、完成度の高さが素晴らしいため、多くの方が不満に感じることは少ないのではないかと思います。

また、ケーブルを「WAGNUS. Water Lily (ブルー&ホワイト)」のバランスケーブルにリケーブルしたところ、低域の締りが向上し、中低域との分離感が向上することでさらにしっかりと定位する印象となりました。サウンドモニターとしてはもちろん、とても優れたリスニングイヤホンとして活用できるサウンドだと思います。
FitEar ROOMFitEar ROOM

不得手なジャンルは特になく、オールラウンドにどのような曲も楽しめると思いますが、もちろんモニターとしての精度を高めたい場合はMH334など、同様の傾向といわれる同社の優れたラインナップへのアップグレードを検討すべきなのだと思います。また、低域や高域に特徴を持たせたい場合にはさらに別の選択肢も出てくるのだろうと思います。


このように「FitEar ROOM」はまずは最初のカスタムIEMとして最適なイヤホンのひとつであることは間違いないですし、これまでユニバーサルのイヤホンを愛用されているマニアの方でもひとつ持っていて損はないと思います。なにより音質面のクオリティはもとより装着性も含めたFitEarらしさをこの価格で手にできることの満足感はかなり高いと実感しました。


Acoustune 「HS1503 AL」ほか、またまた色々お借りしてじっくり試聴しました【レビュー】

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Acoustune

こんにちは。今回は香港発の音響機器ブランド「Acoustune」さんの最新イヤホンの紹介、その第2弾となります。前回は2月頃に同社より「HS1551 CU」「HS1501 AL」をはじめとする主力モデルのイヤホンをお借りしてレビューをさせていただきました。
→ Acoustune 「HS1551 CU」「HS1501 AL」&「HS1004」「HS1005」 各モデルを一気にお借りして聴いてみた【レビュー】

Acoustune今回も同機種に加え、最新モデルの「HS1503 AL」、さらに次期モデルに標準装備が予定されている「銀メッキコート線ケーブル」や、今後発売予定の「HS1600/HS2000」に向けた音響試作品まで含まれた相変わらずの大盤振る舞いの内容で、約2週間お借りし、じっくり試聴することができました(Acoustuneさん、本当にありがとうございます。)。
最新モデルの 「HS1503 AL」は従来の「HS1551 CU」「HS1501 AL」が中低域に強みのあるモデルだったのに対し、高域にフォーカスしたセッティングのイヤホンとなっています。また次期モデルがどのような方向性のサウンドを目指しているのかも大変気になるところです。


■ 「HS1503 AL」/高域の伸びやかさと明瞭度アップにポイントを置いたチューニングモデル

まずは現在販売されている最新モデルの「HS1503 AL」です。カラーは「セージグリーン/シャンパンゴールド」の組み合わせで、音響チャンバー部はアルミ製の切削となります。既存モデルの「HS1501 AL」から解像度を落とさずに高域を中心としたチューニングを実施したモデルとのことで、「HS1551 CU」「HS1501 AL」同様に独自の「ミリンクス振動膜」を更に薄膜化した第3世代バージョンの10mmダイナミックドライバーをシングルで搭載しています。
Amazon.co.jp : HS1503 AL44,800円(税込み)

今回お借りした内容は実際のパッケージと同じ、レザー製のケースに、イヤホン本体、専用MMCXケーブル、さらにイヤーピースは「ATE07」(SML)と「ATE08」(SML)の各サイズ、さらにダブルフランジタイプ(ATE06)がS+M+サイズとウレタンタイプ(ATE02)が1種類となっています。
HS1503HS1503

また前回同様、付属の「極細線OFCワイヤー114本3重シールドと共に編組したケーブル」のMMCXケーブルについても、オプションのバランスケーブル(ARC02)も同梱いただいており、バランス接続での試聴をすることもできました。
HS1503Acoustune

HS1503 AL」はより中高域の伸びを向上させるチューニングを行ういっぽう、「HS 1501 AL」より低域は多少抑えれれており、全体としてはかなりフラットに近いサウンドバランスとなっています。
既存の「HS1551 CU」と「HS1501 AL」は周波数特性としてはかなり近いセッティングとなっていますが、音響チャンバー部の素材の違いからか「HS1501 AL」のほうが低域、特に重低音の響きが大きい印象となっています。今回「HS1503 AL」では「HS1501 AL」と同じアルミ製チャンバーで低域を少し抑えたセッティングとすることで音場の拡大と中高域との分離感が向上した印象です。結果として全体的に解像度がアップして、中高域では微細な音を実感できるようになったと思います。より明瞭感のあるサウンドでギターやパーカッションの音が「HS1501 AL」よりきれいに感じます。
HS1503HS1503

そして「HS1503 AL」の特徴である高域ですが、従来のサウンドを継承しつつ伸びを向上させた、という印象で、前回のレビューで紹介した「HS1005」のように金属質なキラキラサウンドとはかなり異なるものです。ただし曲によっては少しシャリつきがあり、再生環境にもよりますが高域成分の多い曲やハイトーンの女性ボーカルでは刺さりを感じる場合もあります。
HS1503HS1503
個人的には「HS1551 CU」「HS1501 AL」ではイヤーピースを中高域型の「AET07」が相性が良かったですが、「HS1503 AL」では中低域型の「AET08」を使用することで刺さりを軽減することができました。音楽ジャンルとしてはEDMやテクノ、ハウスなどが向いている印象です。いっぽうでアコースティックな演奏のポップスもとても気持ちよく感じました。私自身は既存モデルの「HS1551 CU」のチューニングがもっとも好みではありますが、バリエーションのひとつとしてはとても興味深く感じました。


「銀コート線ケーブル」大幅なサウンドクオリティの向上をもたらす次期標準ケーブル

今回お借りした試聴セットの中には新しい同社の「銀コート線ケーブル」も同梱いただいていました。さっそく「HS1551 CU」で標準の黒いケーブルからこの新しい「銀コート線ケーブル」にリケーブルしてみると、中高域の情報量がぐっと向上し、ボーカルなどもより近くで定位するように感じました。
AcoustuneHS1551
中低域メインという印象の「HS1551 CU」が高域においても適度に鮮やかさを増した印象となり、個人的にはさらに好みのサウンドになりました。見た目が少し派手なケーブルではありますが「HS1551 CU」との相性はかなり良いと思います。

HS1503また「HS1501 AL」で聴いてみたところ標準ケーブルよりかなりスッキリした印象となりました。どちらのモデルでも銀コート線ケーブルへのリケーブルによりそれぞれの特長を活かしつつ発展させるという意味で効果が期待できそうです。
いっぽう、もともと高域に特徴のある「HS1503 AL」と組み合わせてみたところ印象の変化は限定的ですが、解像度の向上により高域成分の多い曲でちょっと雑味を感じた部分が明瞭になった印象となりました。個人的にはコレもありと思いますが、多少意見が分かれるところかもしれませんね。

ちなみに、前回のレビューでは気がつかなかったのですが、「HS1551 CU」および「HS1501 AL」でイヤーピースをダブルフランジの「AET06」にすることで高域の印象がすこし元気になります。装着性の面も含めて「AET06」での組み合わせが結構気に入りました。


■音響試作を聴きながら次期「HS1600」シリーズに期待を寄せる

最後に今回の試聴セットのなかには次世代機「HS1600/HS2000」の音響試作品(ブラック/シルバーとホワイト/ゴールド)の2種類を同梱頂いていました。同梱いただいていたのは比較的初期の音響試作ということで、今後発売される実際の製品とはかなり異なってはいるものですが、今後どのような進化を目指しているかという方向性を確認するうえでとても興味深いものでした。
HS1600/HS2000HS1600/HS2000
ホワイト/ゴールドものはの真鍮製チャンバーで「HS1503 AL」に近いセッティングを行ったという印象で、「HS1503 AL」よりバランス志向のサウンドに感じました。いっぽうのブラック/シルバーのほうは以前の「HS1005」を少し思い出すような思い切って高域に振ったチューニング。しかし第3世代のドライバーのポテンシャルからかそれほど極端な印象にはならないのが面白いですね。

さらに今回同梱いただいた音響試作以降も数多くのバリエーションの試作品が作られており、先日開催された春の「ヘッドフォン祭 2018」ではより完成形に近くなった試作品が参考出品されていました。

Acoustune「HS1600」シリーズ各モデルの実際の製品は7月以降の発売ということなのですが、最終的には音響チャンバーや内部を含め全く新規に作り直されており、音質面も大幅にグレードアップしています。またこのシリーズより前述のシルバーコートのケーブルが標準となるそうです。さらにその次にはシルバーカラーのさらにアグレッシブなサウンドのバージョンも控えているとのこと。これらの新モデルも価格的には現行の「HS1551 CU」「HS1501 AL」「HS1503 AL」より極端に高くなることはなさそうです。個人的にはもともと「HS1551 CU」はかなり好きなサウンドですが、新シリーズではもう一押しと思っていた部分が着実にアップグレードされていそうな予感で、いよいよ購入を本格的に検討かな、とも思っています。

最後に今回も高額かつ貴重な試聴機を長期間お借りできたことにAcoustuneさんおよび支援されている関係者各位に多大なる感謝を申し上げます。新機種も含め今後とも期待しております(^^)。


「audbos K5」 抜群の音場感とサウンドバランスが心地良い、死角なしの高音質2BA+2DDハイブリッドイヤホン【レビュー】

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audbos K5

こんにちは。ゴールデンウィークを目前に控え、私の手元にはほぼ毎日のようにイヤホンやヘッドフォンやら、お借りしている試聴機やらが次々と到着しています。いったいいつの間にこんなにオーダーしてしまったのだろう、と述懐する今日この頃、当然のごとくそれだけレビュー待ちがたまる一方です(^^;)。

というわけで、今回は「audbos K5」、メタルハウジングがカッコいい2BA+2DD構成のハイブリッドイヤホンになります。音質面の完成度も非常に高く、大きく注目されたり目立つ存在ではありませんが、100ドル前後のハイブリッドイヤホンとしては今年のベストバイになりうる製品かもしれません。
audbos K5audbos K5
オーダーはいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー(販社)のHCK Earphonesから。
中国AliExpressの同社ストア(NiceHCK Audio Store)では表示価格111ドル、またアマゾンのマーケットプレイス(NICEHCK)でも12,550円にて販売されています。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): audbos K5
Amazon.co.jp(NICEHCK): audbos K5

アマゾンでは購入時に自動的に割引が適用されるなどのキャンペーンを実施している場合があります。またAliExpressでもフォロワー値引きを受けることができます。どちらの場合もHCKのTwitterアカウント(@hckexin)をフォローのうえ、随時更新される割引情報などをチックください。またAliExpressでの購入方法・割引の適用方法はこちらを参照ください。


■名イヤホン「MaGaosi K3 Pro」の系譜をもつ「audbos」ブランド製品

現在HCK Earphonesでは「audbos」ブランドのイヤホンは今回紹介している「audbos K5」(2BA+2DD)と「audbos P4」(4BA)の2種類の新しい製品を取り扱っています。
audbos K5audbos P4
audbos」についてネットなどで調べると、以前より私のブログでもたびたび紹介している「MaGaosi」ブランドの「MaGaosi K3 Pro」(レビュー①レビュー②)や「BK50」(レビュー)などを米国の販売会社(?)が並行して展開する際に使用していた名称でもあるようです(区別のためこちらは以降「AUDBOS」と大文字で表記します)。
さらに昨年の夏あたりに「MaGaosi」ブランドを展開する中国HiLisening社(HLSX/深圳海力笙鑫科技)から分離し、こちらも中国の「audbos」(同じく区別のため小文字で表記)として独自の製品展開を進めているようです(米国の「AUDBOS」でも今後「K5」「P4」といった現行のモデルも展開していくかは不明)。
※「MaGaosi」はその後、2017年秋頃にOEMで「MaGaosi K5」(レビュー)をリリースする流れになります(後述)。


■充実したパッケージ構成と使いやすいデザインの金属製ハウジング

閑話休題、あらためて今回の「audbos K5」ですが、金属製ハウジングにステム部分のサウンドフィルターなど、やはり「MaGaosi K3 Pro」(または「AUDBOS K3 PRO」)を踏襲し、さらに発展させたモデルという印象です。しかし「audbos K5」ではハウジングはより個性的なデザインとなり、音質面でも着実な進化を遂げつつ、価格は「MaGaosi K3 Pro」より同等以下に抑えられています。
audbos K5audbos K5

audbos K5」のパッケージは引き出しデザインのしっかりしたボックスで、引き出しの中には「audbos K5」本体と大きめのレザーケースが入っており、付属品などはこのケースの中に納められています。
audbos K5audbos K5

パッケージ内容はイヤホン本体、MMCXケーブル、交換フィルタ、イヤーピースはシリコンタイプとウレタンタイプがそれぞれS/M/Lの3種類、そしてレザーケースと取扱説明書。
audbos K5audbos K5
シリコン製のイヤーピースは音質傾向的にはフラットなタイプで、ウレタン製のイヤーピースを使用すると低域の厚みが増すため、好みのよって使い分けるのが良いと思います。

取扱説明書は中華イヤホンとしては非常に珍しく中国語での記載がなく、英語または日本語(!)での内容となっています。代理店経由での国内版の登場も近いかもしれませんね。
audbos K5audbos K5

本体はアルミニウム・マグネシウム合金の削り出しで非常にコンパクトなサイズにまとめられています。そのため装着性は良好で付属のイヤーピースで十分に対応できると思います。
audbos K5audbos K5

また、デュアルのバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーが格納された、ステム部分のノズル先端は脱着式のフィルターとなっています。フィルターは標準では濃いグレーのタイプが装着されており、さらにシルバータイプのフィルターが付属します。濃いグレーのフィルターはメッシュのみの標準タイプで、いっぽうシルバーのフィルターは裏面に薄い不織布が貼り付けられた低域強調タイプとなります。
audbos K5audbos K5
シルバーのフィルターを使用すると高域が抑制され低域の厚みが増しますが、フィルターの性格上音量が少し下がり、どうしても籠もった感じの音になります。もちろん好みの部分ですが、個人的にはプレーヤーの出力などの関係でどうしても高域が刺さる、という場合以外は標準のグレーのフィルターのままのほうが良いと思います。ちなみに、このフィルターは「MaGaosi K3 Pro」「MaGaosi K3 HD」に付属するフィルターとも同じサイズでメッシュ部分以外は同一のため、相互に利用することも可能でした。

audbos K5audbos K5
また付属するMMCXケーブルはTPE樹脂被膜の銀メッキOCC銅線で、被膜が多少硬いものの取り回しは良好です。もちろんMMCX仕様の他のケーブル、たとえばHCKの「銀メッキ銅線のバランスケーブル」などへのリケーブルも可能です。


■派手めのサウンドながら心地良く立体的に広がる音場感と絶妙に聴きやすいセッティング

audbos K5実際に「audbos K5」を聴いてみると、全体的に「派手な印象」のサウンドではありますが、音質傾向はフラット寄りにまとめられており、ジャンルを問わず幅広く楽しめるセッティングとなっています。そして最も特徴的なのは音場表現の巧みさで、十分な広さに立体的に定位する独特の響き方と定位感はとにかく心地良く感じさせてくれます。
この独特の音場感を支える低域は適度な厚みと締まりがあり、中高域との分離も良好です。高域の伸びはこのクラスとしては一般的ですが十分な表現力を持っており、多くの再生環境では刺さりもあまり感じないレベルに抑えられています。フラット寄りといってもモニター系のような極端に解像度が高い印象というより、リスニングに特化して各帯域のつながりも良好な自然な空気感のチューニングとなっています。また中域は比較的厚めの印象でボーカルなどは近くで定位します。

audbos K5」はインピーダンス32Ω(±15%)、感度99dB(±2dB)/mw と、マルチドライバーとしてはすこし鳴りにくそうな印象もうけますが、実際は音量も比較的取りやすいイヤホンです。しかしDAP(デジタルオーディオプレーヤー)などの再生環境は駆動力が高いほうがより実力を発揮して豊かなサウンドを楽しめます。また別に「audbos K5」に限ったことではありませんが、スマートフォンなどDAPに比べてノイズの多い(S/Nが低い)再生環境では本来のサウンドとは異なる印象となる場合があります。

audbos K5audbos K5」はとてもオールマイティなサウンドバランスで、極端な苦手ジャンルはないと思います。特にボーカルがとても気持ちよく聴けるサウンドのため、ポップスやアニソンなどとの相性もかなり良好です。いっぽう音を分析的に聴くのにはあまり向いていないかもしれませんね。
個人的には聴き疲れしない使いやすさと、古い音源の楽曲でも立体的に広がる音場感がとても気に入っています。もともと「MaGaosi K3 Pro」や高域を強化した「K3 HD」も音場が広く音質面での評価も高く、私自身もとても好きなイヤホンのひとつですが、「audbos K5」はその良い部分を継承しつつさらに発展させた印象もあります。フラット寄りになった絶妙なサウンドバランスなど音質面も明確にグレードアップしていますし、シェルデザイン的にも同ブランドのオリジナル性のある形状となったことで、製品としてかなり死角のない高レベルなイヤホンとなった感じがします。おそらく100ドル前後のハイブリッドイヤホンとしては2018年の個人的ベストバイに挙げてもよさそうな予感がしています。


■MaGaosi K3 Proを発展させた死角なしの音作り。他のモデルや今後の展開にも期待。

ところで、前述の通り、「MaGaosi K3 Pro」の頃までは「MaGaosi」ブランドと並行で米国などで「AUDBOS」ブランドの「AUDBOS K3 PRO」(MaGaosi K3 Pro)「AUDBOS DB02」(MaGaosi HLSX BK50)等のモデルが販売されていました(中国ではTaobaoなどでは現在も販売しているショップがあるようです)。
audbos K5AUDBOS
現在、「MaGaosi」ブランドを展開している中国のHiLisening(HLSX/深圳海力笙鑫科技有限公司)のコーポレートサイトでは以前は掲載していたK3やBX50などの製品の記載はなくなり、「MaGaosi K5」などの製品に絞られています。そのいっぽうTaobaoの「audbos」公式ショップではMaGaosi K3 HDのシェルデザインでドライバー構成を変更した「DB04」というモデルが掲載されていたりします。
audbos K5おそらくかつてMaGaosiとAUDBOSで共有していた技術資産(または開発部門そのもの)が「audbos」に移行したかスピンオフした結果このようになったのかなと想像しています(現在はTaobao等ではK3などの従来モデルは両ブランドの在庫が混在して販売されている状況)。
実際、完全なOEMと思われる「MaGaosi K5」より、「audbos K5」のほうが確実に「MaGaosi K3 Pro」の正当なアップグレードモデル、という内容ですし、同じ開発者・開発部門が作った製品と考える方が自然でしょう。そうなると今後「audbos」への期待感が一気に向上するところです。とりあえずは「audbos P4」も非常に評判が良いので、これは押さえる必要があるかな、という気分になっています。今後の展開も楽しみですね。

余談ですが、「audbos」をいろいろ検索していたら「AUDBOS K3 PRO HD 之起源」という中国語の記事がありました。もともとはFacebookの中国のセラー?の記事のようですが、そのままMaGaosiの誕生エピソードにもなっていました(^^)。


「KZ ZS10」 レッドとブルーも届いたのでさらに魅力を深掘りしてみました【レビュー後編】

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KZ ZS10

というわけで「KZ ZS10」レビューの後編です。
やはり大変注目度の高いイヤホンらしく、先日掲載した「レビュー前編」も短期間で非常に多くのアクセスをいただきました(ありがとうございます)。

なお、「KZ ZS10」の概要およびファーストインプレッションについては「前編」にて記載しましたので併せてご覧ください。
→ 【レビュー前編】 「KZ ZS10」 4BA+1DDで脅威の低価格、だけじゃない。KZ史上最高のサウンドバランスで聴かせる高音質イヤホン

KZ ZS10今回、「KZ ZS10」の「レッド」と「ブルー」はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」で購入しました。AliExpressの「NiceHCK Audio Store」のほか、アマゾンのマーケットプレイス(NICEHCK)でも購入が可能です。アマゾン倉庫にも定期的に入荷しており、在庫があればプライム扱いですぐに入手することができます(現在は入荷してもすぐに売切れてしまうようですが)。私も「レッド」「ブルー」に加えて、NICEHCKマーケットプレイスにて先行入荷した「ブラック」も購入しています。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): KZ ZS10 
Amazon.co.jp(NICEHCK): KZ ZS10

NiceHCK Audio Store」のAliExpressでの表示価格は44ドル~、アマゾン(NICEHCK)では6,600円(マイク無し)~6,800円(マイク付き)の価格設定となっています。
  

※AliExpressではHCKのTwitterアカウント(@hckexin)をフォローしオーダー時に連絡することでフォロワー値引きが適用されます。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。またアマゾン(NICEHCK)でも同アカウントのツイートで割引情報がアナウンスされる場合がありますのでこまめにチェックされることをお勧めします。


■改めて、「レッド」「ブルー」のZS10が届きました。

というわけで、少し遅れて届いた「レッド」および「ブルー」の「KZ ZS10」ですが、どちらも写真イメージよりさらに実物は良い印象で、かなりハイレベルなビルドクオリティとなっています。
KZ ZS10KZ ZS10

KZ ZS10KZ ZS10
各パッケージは本体カラーごとに用意されており、パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書が同梱されています。
KZ ZS10KZ ZS10

ブルーは同社のハイブリッドイヤホン「ES3」のブルーのモデルと同じカラーのプラスチック製シェルですが、かつて「ミク色」と言われた「SE215SPE」を彷彿とさせる印象もありますね。
KZ ZS10KZ ZS10

いっぽうのレッドはやはり内部のプリント基板と同系色ということで、デザイン的なマッチングは抜群です。落ち着いた濃い赤色で、より高級感のある仕上がりに見えます。予約段階でも一番の人気カラーだっただけに、他のカラーと比較しても群を抜く格好良さです。
KZ ZS10KZ ZS10
初回納期はレッドが最後になっており、本記事を掲載時点でも初日に予約したにもかかわらずいまだ発送されていない、という方も多くいらっしゃるようです(私の「レッド」は受注数の少ない「マイク付きモデル」だったため比較的早く届いたようです)。もしかするとレッドの人気があまりに高いため、他のカラーを先に作って、後からラインを全て赤に回しているのかもしれません(単なる憶測ですが)。

装着性については前編でも紹介したとおり、「KZ ZS10」はハウジングのサイズが大きいため、多少の向き不向きがあります。付属のイヤーピースで合わない場合(私も合いませんでした)、フィット感を確保できるイヤーピースがサウンド的にもよい印象でした。ウレタンフォームの場合はコンプライが少し高いですが最適で、低域の厚みが増し分離性が向上します。中高域の印象を良くするためにはダブルフランジのイヤーピースが良いようです(私は前編よりAcoustuneの「AET06」を愛用しています)。「KZ ZS10」はノズル部分に「ひっかかり」が無いタイプになるため、抜け防止にはイヤーピースは装着穴の小さいキツめのタイプを選ぶほうが良いと思います。


■従来モデルより大幅アップグレードした付属ケーブルももう少し深掘り

また、こちらも「前編」でも触れましたが、「KZ ZS10」より新しいタイプのケーブルに変更になりました。「KZ ZS10」は後述の通りリケーブルでの効果も高いイヤホンですが、従来のゴムゴムとしたものと異なり、今回は標準でも結構実用的なケーブルが付属しているのは有り難いことですね。特にスマートフォン等で「マイクコントロール付き」のケーブルを使用する場合は標準ケーブルの一択となることも多いため、そのような用途でも今回の品質向上は朗報と言えると思います。
KZ ZS10KZ ZS10

なお、私のブログをご覧になっている皆様にはすでに周知のことだと思いますが、「KZ ZS10」の付属ケーブルはいわゆる「ZST」タイプのピンがカバーで覆われた仕様になります。「ZST」「ES3」「ZSR」などと機種と共通ですね。したがって「ZS5」「ZS6」で採用されている「ZS3」タイプとはカバー部分のサイズが異なるため、「KZ ZS10」付属のケーブルは「ZS5」「ZS6」(あと「ZS3」)には流用できません(もちろんZST/ES3/ZSRには流用可能)。元々、ZST用とZS3用のリケーブルがあり、以降のモデルの多くはZST用を採用していますが、例外として「ZS5」「ZS6」のみ、ZS3用のコネクタとなっています。おそらくZS5/ZS6はシェルデザインを優先して採用したのだと思います。
KZ ES3 / ZS10 cableKZ ZS10
なお、KZ純正以外の、HCKをはじめアマゾンやAliExpressで購入できるKZ用のリケーブルはこのカバー部分がついていないため、どちらのタイプでも使用できるようになっています。例えばHCKでKZ(ZS6など)向けなどに販売している「0.75mm 2pin」仕様のケーブルを「ZS10」で利用することも特に問題はありません。また0.78mmと多少ピンの太さが異なりますがCIEM用の2pinケーブルも同様に流用可能です(前編の掲載後、何度か質問を頂きましたので今回記載しました)。

ところで、「KZ ZS10」の付属ケーブルをみて、「KZ純正のブラウンのアップグレードケーブルと同じでは?」と、最初思ったのですが、実際に比較してみると、線材の太さはほぼ同じですが、カラーが多少異なるのと、分岐点からの左右の長さが「KZ ZS10」の付属ケーブルの方が短くなっていて、微妙に違うケーブルでした(いっぽう分岐点以降は長くなっており、トータルのケーブル長は同じです)。
KZ ZS10KZ ZS10
いっぽう音質面はブラウンのアップグレードケーブルとほぼ同質と考えて良いと思います。アマゾンで2,000円程度で販売しているケーブルですので、これだけでもお買得なのがわかりますね。


■「KZ ZS10」のお値段以上のサウンドとポテンシャルをリケーブルで再確認。

というわけで、「KZ ZS10」のサウンドについてですが、「前編」からのまとめでいうと、
  1. 高域の刺さりが無くて全体的に聴きやすいサウンド。刺激を求める人には大人しすぎるかも。
  2. 解像度が高く、音場も広い。低域の量感もある。高域は上の方で先細りするがリケーブルで改善。
  3. 開封時に多少中域の凹みや曇りを感じても数時間~数日程度のエージングで良くなる。
  4. 再生環境によってはすこしボーカルが遠くなる場合も。DAPの駆動力がある方が確実に好印象。
  5. 使用する再生環境で曇りを感じたら「イヤピ交換」と「リケーブル」を試してみて。
という感じでしょうか。短くまとめられるなら最初から長々書くなよ、というツッコミはご容赦くださいませ(滝汗)。全般的に緩やかめのサウンドでメリハリやキレを求めるタイプのイヤホンではないので、主に聴く曲との相性も含め多少好みは分かれると思います。
KZ ZS10KZ ZS10
また、スマートフォン(特にiPhone直挿し)がわりと好印象、というのもあります。これはきっと設計時にスマートフォン直挿しでの利用も想定して作っているはずなので(何しろ数千円レベルの「低価格イヤホン」ですから)、一般的に高価格帯になりがちな他の「4BA+1DD」構成のイヤホンとは明らかに狙っているところが違う、と解釈すべきでしょうね。いっぽう、さすがに数万円以上のマルチBAやハイブリッドに及ばないなと感じるのは中低域の分離感や全体の「つながり」の部分で、この辺は採用する自社製ドライバー個々の音質や、製造コスト範囲内でのチューニングの限界ですね。とはいえ「価格以上」のクオリティであることは間違いないとは思います。

リケーブルについては、たとえば今回「KZ ZS10」(レッド/ブルー)をオーダーしたHCK(NICEHCK)では同社の「HCK HC5」や「HK6」でも付属しているシルバーの銀メッキ銅線の8芯ケーブルや、同4芯ケーブル、さらに赤白カラーの銀メッキ線/高純度銅線の8芯ミックスケーブルがAliExpress、アマゾンの双方で購入できます。
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どれも非常に柔らかく取り回しが良いケーブルですので、普通にアップグレード用として、または2.5mm/4極、4.4mm/5極のバランス接続用を選択するのにも最適です。解像度の向上による印象の変化を楽しめますし、特にバランス接続はより高出力の確保による印象の変化と、分離性の向上があります。さらに8芯の赤白ケーブルのように銀メッキ線/銅線のミックス線ケーブルの場合、中高域がよりアグレッシブになる印象で「ZS10は良い音だけどちょっと大人しい」と感じている方にとってはより効果的な変化が得られるのではと思います。

また手持ちのケーブルでも例えばHCKがAliExpressで100ドルほどで販売している「8芯金メッキ銅線ケーブル」にリケーブルしたところ低域の締まりがぐっと向上し、明瞭感がアップしたことで高域はちょっと元気なサウンドになりました(ボーカルももちろん十分ですよ)。
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また同様にAliExpressで販売している「8芯高純度単結晶銅線ケーブル」(最近のバージョンでは2pinコネクタが金属製に変わったようですね)を使用すると中低域の分離が良くなりより豊かな音場表現が楽しめます。他にも最近購入した高域がちょっとアグレッシブ傾向の純銀線のケーブルを使ったところ、「KZ ZS10」が見違えるように派手めのサウンドになったりもしました(笑)。

「前編」でも触れましたが、リケーブルはかなりサウンドの変化が楽しめ「KZ ZS10」のポテンシャルの高さを改めて実感しますね。もし利用している再生環境や普段使用しているイヤホンとの比較で中域(ボーカルなど)に少し凹みを感じるようでしたら、リケーブルによりある程度は改善できるのではと思います。


■「KZ ZS10」をバラしてみて、さらに深掘りしてみる(^^;)。

ところで、「KZ ZS10」をはじめ同社のイヤホンについては「新製品投入ペースの早さ」が結構気になります。KZの異常なまでの新製品の開発ペースは私も間違いなく「KZのすごいところ」のひとつだと思いますが、特に「ZS6」以降の同社のイヤホンの作り方、あるいは既存モデルの新ロットでのモデファイ(更新・修正)のやり方をみると、「現在のKZのイヤホンの開発の方法」が透けて見えてきます。というわけで、今回も全色買いの上、ブラックは2個手元にありますので、「KZ ZS10」の4BA+1DDのマルチドライバーをどのようにコントロールしているかを確認するために、1個を「バラして」みたいと思います(←本当はただの興味本位^^;)。

KZ ZS10」のフェイスパネルを取り外し、プリント基板(PCB)を外してあらためてハウジングの内部を確認してみると、側面側にはわずかにサイズの大きいBAドライバーが2個、内側にはサイズの小さいBAドライバーが2個セットで仕切りの中に収まっています。サイズの小さい方がおそらく「KZ 30095」だと思います。そうなると大きい方が「KZ 50060」ということになりますね。
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一般的に、バランスド・アーマチュア型ドライバーは構造的に解像度が高いいっぽうで一定以上の出力をかけると歪みが増大する傾向にあります。そこで「KZ ZS10」のように、BA部分は2種類のドライバーを2個ずつ組み合わせた構成で同じドライバーを複数配置することにより、出力を分散し歪みを軽減させ、結果的に解像度を高めることができる、という考え方になります。「KZ ZS10」も同様の意図でこのような構成になっているものと思われます。また、それぞれのドライバーの配線に抵抗を入れることで出力をコントロールし、トータルでのバランスを取っていることが確認できます。

KZ ZS10KZ ZS10
実際の配線を見てみると、
・ダイナミックドライバー(+)は「SPK+」から表面の「R1」「R2」へ、
・ハウジング内側の若干小さい方のBA(おそらく「KZ 30095」)2個(+)が「D1」から「C1」「R4」へ、
・側面側の少し大きい方のBA(おそらく「KZ 50060」)2個(+)が「D2」から「C2」「R3」へ、
それぞれ結線され、最終的に2PINの(+)側へつながっています。またGND(-)はすべて1カ所に結線し、2pinの(-)側につながっています。「R1」~「R4」の抵抗値は写真を参照ください。この辺のネットワークをいじると例えば高域のバランスなども大幅に変わるわけですね(もちろん私はいじりませんよ^^;)。
※ちなみに上記の配線にミスがある「ハズレ」個体も特に初期のロット(「ZSR」タイプのダイナミックドライバー搭載)のものには稀に存在するようです。特定の帯域に変な歪みがあるような場合、この「ハズレ」に遭遇してしまっている可能性もあります。


■「KZ ZS10」の、「ZS6」とは全く異なる音作りのアプローチ。

KZ ZS10また、ネットでの評判を見ていると、「KZ ZS10」と「ZS6」との違いについて気にしている方が多いことに気付きます。前編でも触れましたが、この2つのイヤホンは単純に高域の刺さりの有無など違いだけではなく、全く異なる方向性で作られた製品だと思います。
「ZS6」の音質傾向については、発売時のレビュー以降、私のブログでも「メリハリのある派手な音」と表現してきました。「2BA+2DD」と昨年の発売当初には明らかに非常識だったスペックと某CA社に全力で寄せたデザインから「イロモノ」イヤホンであることは間違いなかったのですが(笑)、その点からも「派手な音作り」はキャラクターとして正解だったと思います(実際現在も人気の中華イヤホンですね)。とはいえ、「ZS5」や「ZS6」の発売当時からこれだけのコスパで作れるならパ○リのデザインじゃなくても、と私も思いました。

KZ ZS10その後、すでに低価格中華イヤホンの分野では「メジャー」な存在となったKZは、「ZS6」以降の製品として「ES3」「ZSR」とオリジナルデザインのイヤホンを相次いで投入し、さらに今回の「KZ ZS10」が現時点での同社で最もハイスペックな製品となりました。そういう意味で、ある程度認知され、リソース的にも潤沢になってきたKZが「KZ ZS10」ではZS5/ZS6のような派手な傾向ではなく、全体のまとまりを重視した「普通に良い音のイヤホン」を作りたいと考えるのも十分に理解できます。むしろ「数千円レベル」という厳しい、というよりかなり無茶なコスト制約のなかで「4BA+1DD」の構成(しかもBAも含めドライバーはすべて自社開発)の普通に良い音のイヤホンを作る方が「ZS6」のときより遙かに難易度も高かっただろうと想像します。


■まず自社製ドライバーを作り、組み合わせとチューニングで全く異なるイヤホンを生み出すKZの開発手法

現在KZが作っているイヤホンは、BAドライバーが自社設計のものになっているのはもちろん、ダイナミックもすべて自社設計のドライバーとの記載になっています。また今回の「KZ ZS10」で使用しているダイナミックドライバーは「ZSR」で使用しているものと同一と思われます。
※現在流通している新しいロットでは「ZST」「ES3」用と同じ「勾玉タイプ」のダイナミックドライバーになっているようです。
KZはこのように数種類の自社製ドライバーをあらかじめ大量に生産しておき、それを組み合わせて実装することで異なるモデルのイヤホンに仕上げていると考えられます。
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そうなると普通に考えれば、どのモデルも似たような同系統の音になりそうなものですが、あえて「毎回まったく異なる傾向のサウンド」のチューニングを行うことで製品のキャラクターを決定づけているように見えます。おそらく「KZ ZS10」で搭載された「KZ 50060」BAドライバーも今後発売されるモデルで多用されることが予想できます。このような手法で開発を行うことで、KZは短期間で次々と新モデルを市場に投入できてるのではと思っています(もちろん部品メーカーや組立メーカーなど相応の規模のエコシステムは持っていると考えられます)。

そう考えれば、「KZ ZS10」は「ZS6」と全く異なる方向性のサウンドであることはむしろ自然なように感じます。ニーズがあれば、もしかしたら来年くらいには「KZ ZS10」と同じドライバー構成でメタルハウジングの「過激バージョン」のイヤホンが発売されるかもしれませんね。思うに同じネットワークでも抵抗の値を変えるだけでも結構キャラクターの変更はできそうですし、「KZ ZS10」を作るにあたって、KZがすでに設定の違いによる数バージョンの音の候補を持っていることはむしろ当然だと思えます。さらにメタルハウジング化してダイナミックドライバーの反響音が変化することでかなり印象の異なるイヤホンが作れそうです。

そう思うと、今後のKZのイヤホンもますます目が離せないですね。(おわり)



※ 【 オマケ 】 とりあえずバラしたZS10はフェイスプレート自作&MMCX化で復活させました。

ということで前後編に渡って紹介した「KZ ZS10」のレビューですが、上記の内部写真の取ったZS10はフェイスプレートをほぼ無理矢理はがしたため、そのまま元には戻せなくなってしまいました。そこでやむなく(笑)フェイスプレートを自作することにしました。ついでに2pinをMMCXコネクタに換装してあります。
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こうすると全く違うイヤホンに見えなくもないですかね?(笑)。なにしろ慣れないもので仕上がりは素人感いっぱいです(^^;)。
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ただ困ったこと(?)に、このフェイスパネル交換版とオリジナルのZS10を聴き比べたら、交換した方のZS10のほうが低域の分離感が向上し、全体的な音が良く感じ・・・(・_・)。さすがにエージングの違いだけの気もしますが、駆動力のあるDAPでこちらを聴いてからオリジナルを聴くと、わずかにハウジングにドライバーが共振するような「ビビビ・・・」というノイズを感じます。下手なりにUVレジンを盛りまくってシェルの剛性を高めたのが功を奏したのかも。

まあこの辺は「ネタ」ですので私はこれ以上深入りはしませんが(私には無理)、手先の器用な方なら1万倍くらいカッコええイヤホンに改造できそうです。いっそ自作カスタムにリシェルするとかも、パネルさえ取れば構造は簡単なので十分に可能かもですね。さらにネットワークも改造して・・・(^^;)。「KZ ZS10」はKZのイヤホンとしてはちょっとお高めですが、改造の素材としては十分にリーズナブルだと思いますし、なにより遊んだ後の「実用性(音質とか)」も十分に高いのがよいですね。もっともバラしたり改造する際はもちろん「自己責任」でお願いします(^^)。


「KZ ZS10」 4BA+1DDで脅威の低価格、だけじゃない。KZ史上最高のサウンドバランスで聴かせる高音質イヤホン【レビュー前編】

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KZ ZS10

こんにちは。今回は満を持して?の「KZ ZS10」です。
大変な勢いで新製品が登場しているKZ製イヤホンですが、今回の「KZ ZS10」はとうとう「4BA+1DD」という高級イヤホンかと思うようなハイスペックで数千円レベルという脅威の低価格を実現してしまいました。そのサウンドは同社の「派手な音」の印象から一変し、ある程度は再生環境等に依存はするものの、高い解像度と絶妙なサウンドバランスで聴かせる高音質イヤホンでした。以前より格段に安定した品質もあり、多くの方にお勧めできるイヤホンに仕上がっています。

   
今回の「KZ ZS10」も、私のブログでは毎度おなじみ「全色買い」をしております(^^;)。ただ、現在手元には先行で出荷された「ブラック」が2個(アマゾンとAliExpressオーダー分)のみが届いています。そのため、本当は全色揃ってから、もう少し後にレビューを掲載と思っていたのですが、やはり久々に話題の中華イヤホンということもあり、前編・後編の2回に分けてのレビューを行うことにしました。前編では到着した「KZ ZS10」の概要とファーストインプレッションを中心に紹介し、レビュー後編は「レッド」と「ブルー」のモデルが到着してからの掲載を予定しています。


■メジャーブランドへの階段をのぼり始めた「KZ」と、その真価が問われる最上位モデル。

以前からこのブログをご覧頂いている皆様、または中華イヤホンを以前から楽しんでいらっしゃるマニア諸氏にはすっかりお馴染みだと思いますが、「KZ」(Knowledge Zenith)は圧倒的に非常識なスペックと価格で一気に中華イヤホンの代表的存在となったメーカーです。私のブログでも人気モデルの「ZST」(1BA+1DD)、「ZS5」「ZS6」(ともに2BA+2DD)のレビューについては現在も非常に多くのアクセスをいただいています。
KZ関係の過去記事(レビュー)一覧


いっぽうでこれらの人気モデルについてはデザイン上のあからさまなパ○リ(ZSTはT○Z、ZS5/ZS6はCa○pfi○e Audio)がネタ&批判の元になったり、特に初期ロットでの「当たり外れ」が話題になりました(詳細は過去のレビューをご覧ください)。しかし、最新のロットではどのモデルも品質的に安定してきており、さらに以降に発売された「ES3」(1BA+1DD)、「ZSR」(2BA+1DD)からはデザインもオリジナルのものに変わっていて、メーカとしての成長にあわせて「怪しげなメーカーからの脱却」にいよいよ本腰を入れてきている様子がうかがえます。

KZ
また、3月初旬にリークされた情報によると2018年もKZでは非常に多くのモデルを新しく市場に投入すると思われますが、今回の「KZ ZS10」はそのリークの中で最初に発売されたモデルであり、かつ「4BA+1DD」という最もハイスペックな仕様のイヤホンとなります。

KZ ZS10」は、KZオリジナルの2種類のバランスド・アーマチュア型ドライバー(「KZ 50060」と「KZ 30095」)を2個ずつ搭載する4BA構成に加え、より歪みを軽減した中低域ダイナミックドライバーを搭載した、文字通りKZの集大成ともいえるモデルです。
KZ ZS10KZ ZS10
クリアなフェイスパネルからこれらのマルチドライバーを制御する基板を前面に見せる特徴的なフェイスや、同様にクリアパーツで内部配線が透けて見えるシェルのデザインには、同社の技術と品質における「進化」を見せつけたいという想いすら想像できます。
本体カラーは「ブラック」「ブルー」「レッド」の3色が用意されていますが、予約段階であまりに多くのオーダーが入ったため先行してブラックを製造、ブルーとレッドは順次供給という状態になっています。私も予約開始とほぼ同時にオーダーをしていますが、現在手元に到着しているのは、アマゾンに少数入荷した初回分と、このレビューを書いている時点でつい先程届いたばかりのAliExpress経由(Easy Earphones)のブラックのみです。ただ他のカラーについてもようやく出荷が開始された模様で、後編のレビューを掲載時には各色とも普通に入手が可能になっているものと思われます。
AliExpress(Easy Earphones): KZ ZS10 /  Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ZS10

現在、中国の代表的なイヤホンセラーのひとつ、「Easy Earphones」のAliExpressでの表示価格は44ドル~、アマゾン(WTSUN Audio)では6,600円~の価格設定となっています。
※AliExpressではEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローしオーダー時に連絡することでフォロワー値引きが適用されます。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。またアマゾン(WTSUN Audio)でも同アカウントのツイートで割引情報がアナウンスされる場合がありますのでこまめにチェックされることをお勧めします。


■想像以上に大きなハウジング。付属ケーブルは大幅グレードアップ。

手元に届いた「KZ ZS10」のパッケージは最近のKZイヤホンでは定番のコンパクトな白箱。表面に各カラーのイラストがプリントされたカラーパッケージとなっています。
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パッケージを開けると思わず「サイズでかいっ!」と思うほど巨大なハウジングが登場します。これまで結構な数のKZ製イヤホン購入してきましたがパッケージを開けただけでここまで存在感のあるハウジングは初めてです(^^;)。
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付属品は従来同様にイヤホン本体、イヤーピースS/M/L(Mサイズ装着済み)、ケーブル、保証書・説明書といった内容。これまでKZのイヤホンは上位モデルでも付属ケーブルはゴムゴムしたものでリケーブルが必須という感じでしたが、「KZ ZS10」では比較的ちゃんとした撚り線のケーブルが付属しています。この点だけ捉えても相当な進化ですね。
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KZ ZS10」本体のサイズは一般的なイヤホンのなかでも相当に大型の部類で、シュア掛けタイプでも10BA以上の超多ドライヤホンに匹敵するほどの大きさです。もっとも内部は空洞が多いため結構軽くちょっと拍子抜け感もあります。
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ステム部分の奥にセットされた4つのBAドライバーは、同じ種類の2個のBAドライバーを1セットにして装着されています。音導管は使用しておらず、プラスチック製ハウジング自体でBAおよびダイナミックドライバーからステムにつながるように「仕切り」が成型されています。組立コストをかけずにマルチドライバーを実装するKZの工夫が見て取れますね。ダイナミックドライバーは「KZ ZSR」以降で採用されているもとの同一と思われます。どうやら最新ロットの「ZST」「ES3」などでもこのドライバーが使用されているらしいという情報もあります(いずれ検証レビューをしたいと思っています)。

このようなサイズ感のため、どうしても装着性にはひと工夫が必要です。といっても実際はイヤーピースを耳に合うものを用意する程度ですが、付属のイヤーピース(従来製品と同一のもの)では十分な装着感は得られず、また後述しますが音質的にも本来の実力を発揮することができない場合が多そうです。私の場合はコンプライとAcoustune(日本ディックス)の「AET06」に交換しました。


■KZらしからぬ音? マルチドライバーでKZが目指した自然なサウンド

KZ ZS10KZ ZS10」のサウンドは「KZ ZS6」のような「派手な音」ではなく、非常に高い解像度とサウンドバランスでまとめられた「普通に良い音」のイヤホンに仕上がっています。高域も十分にエージングが進んだ状態ではマルチBA構成のハイブリッド的要素も感じつつ「刺さり」がほぼ皆無の聴きやすいサウンドで、「ZS6」では良くも悪くも特徴的だった高域のシャリつきもありません。音場は比較的広く、低域は適度な量感と締まりのあるサウンドとなっています。再生環境によっては特に開封直後は多少中域が凹み、ボーカルが遠く感じる場合がありますが、エージングに加え、再生環境やリケーブル、イヤーピースなどにより印象が大きく変化します。
なお、私の手元には現在2個の「KZ ZS10」のうち、先に届いた方が50時間程度エージングが進んだ状態で、後から到着した方の開封直後と比べてみましたが、多少中低域に籠りを感じる程度の違いがありました。ただ数時間程度のエージングでもかなり改善されました。また以前のKZ製イヤホンで心配された「当たり外れ」や「個体差」も最近のモデル同様にそれほど心配しなくても大丈夫なようです。

個人的な印象ですが、「ZS6」では2BA+2DDというマルチドライバーの「ハイブリッドらしさ」をわかりやすく表現した音作りだったのに対し、「KZ ZS10」では、まず目標とするサウンドがあって、その音に近づけるために自社のドライバーを駆使し、ネットワークで調整しまくった結果、このような構成になった、という感じがします。「ハイブリッドらしい音」ではなく「より自然な音」、暖色系とまでは行かないものの、多少緩やかに感じるサウンドで、そういう意味では「KZ ZS10」は「ZS6」とは真逆のアプローチで作られたイヤホンかもしれませんね。

KZ ZS10そして、「KZ ZS10」で新しく付属する標準ケーブルは、従来のKZ製品のものより格段に良くなっており、同社の「アップグレードケーブル」とほぼ同様の品質となっています。そのため標準ケーブルでもかなりの高音質を実現しています。ただし、それでも「KZ ZS10」が完全に実力を発揮するまでには至っておらず、再生環境(駆動力の弱いDAPなどの場合)によってはまれに標準ケーブルでは曲によって中域に凹みを感じたり、多少ボーカルが遠くに感じる場合があります。
これらの点について「KZ ZS10」ではイヤーピース、ケーブル、そして再生環境によって印象がかなり「激変」する傾向にあるようです。

まずイヤーピースについては前述のとおり耳にあったものへの交換が「必須」と考えたほうがよいと思います。標準のイヤーピースでは全体的にぼやけた印象となり、中域の凹みもより顕著になります。ポイントとしては、できるだけステム部分を耳奥にしっかりフィットさせることができるイヤーピースを選ぶことで、私が使用したコンプライの「T-Type」または「P-Type」の細長いタイプや、Acoustuneの「AET06」のようなダブルフランジタイプのイヤーピースが好印象でした。他にも「SpinFit TwinBlade」なども良いと思います。

KZ ZS10また再生環境についても、「KZ ZS10」は数千円レベルとはいえ4BA+1DDのマルチドライバーを搭載したイヤホンですので、これらのドライバーを余裕を持って鳴らせる駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプの利用をお勧めします。駆動力の弱いDAPの場合はヘッドホン用のハイゲインのモードにすることで印象、特に低域の締まりやボーカルの定位の変化が確認できると思います。
もっとも、「KZ ZS10」はパッケージ記載のスペックではインピーダンス32Ω、感度104dB/mWと一般的なイヤホンの範囲内で調整されており、スマートフォン直挿しを含めたほとんどの再生環境でも普通に音量が取れる仕様となっています(いちおう低価格イヤホンですので「数を売る」ためにもメーカーとして必要な点でしょうね)。とはいえ、やはり高い解像度など「KZ ZS10」の能力をより実感するためにできれば相応の再生環境を利用したいところです。

KZ ZS10そして、思いのほか変化が確認できたのがリケーブルです。前述の通り駆動力を稼ぐ上でも「バランス接続」は有効な手段ですが、アンバランスでもリケーブルによって特に中高域の印象が大きく変化します。
例えばEasy Earphones(アマゾンでは WTSUN Audio や Kinboofi )で販売されている「8芯銀メッキ線ケーブル」にリケーブルしてみると、ボーカルがぐっと近づき、高域の伸びが格段に良くなります。また同じシリーズの4芯タイプでもより分離感が良く感じられるのではと思います。このシリーズのケーブルは非常に柔らかく取り回しがよく、耳掛けあり/なしどちらも針金を使っていないので標準ケーブルの耳掛け部分の針金が苦手な人にも最適でしょう。

KZ ZS10」は前述の通り音導管などは使用していないためフィルタなども使用していませんが、いっぽうでネットワークの抵抗などにより細かく調整されていると考えられます。標準ケーブルでは刺さりと一緒にかなり抑えられていた印象の高高域も、リケーブルにより情報量が増加し明瞭度が向上することでよりしっかりと実感できるようになります。可能であればより高品質なケーブルへのリケーブルは実施したほうがよいでしょう。ちなみに、余った付属ケーブルは「ZST」「ES3」「ZSR」等で流用することができますね(^^)。


■生産が追いつかないのも品質管理が向上したから? まずは「赤」「青」の到着を待ちます。

さて、結局のところ「前編」だけでも結構なボリュームのレビューとなりましたが、まとめとして「これまでのKZの派手な印象とは対照的に、まとまりのある良い音のイヤホン」というのが「KZ ZS10」の印象だと思います。
手元に届いたブラックの2個およびネット上での到着報告を見る限り、KZもかつてのような「ハズレ」にドキドキするような心配もない、安心して購入できる高コスパのイヤホンメーカーになったのだなと実感します。結果として今回の「KZ ZS10」は、(当たり外れの激しかった)「ZS5」や「ZS6」の初期ロットの頃と比べて生産スピードが遅くなっている(品質管理をしっかりしている)可能性もあります。生産が追いつかず到着待ちの方々のフラストレーションも結構高くなっている状況だとは思いますが、私も未着の「赤」と「青」の個体の到着を気長に待ってみたいと思っています。


というわけで、全色到着後の「後編」に続きます。
【レビュー後編】 「KZ ZS10」 レッドとブルーも届いたのでさらに魅力を深掘りしてみました


「Yinyoo HQ6」 6BA搭載で低コスト、赤く美しいデザインとジャンルを選ばないサウンドが楽しい高音質イヤホン【レビュー】

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Yinyoo HQ6

こんにちは。今回はEasy Earphonesの「赤いほうの6BA」こと、「Yinyoo HQ6」であります。
そういえば先日AliExpressの春のセールが終了しましたが、「Yinyoo HQ6」もこのセールのタイミングで登場したものの、先日レビューした「青いほうの6BA(HCK HK6)」に比べると今のところあまり購入報告は聞こえてこないですね。実際のところ私自身も「赤いほうも青いほうと中身似たようなものじゃないの?」と当初は思っていたので、同様な心理が働いた方もいらっしゃるのでは、という気がします。ただ、今回の「Yinyoo HQ6」は確かによく似た傾向ではあるものの、青いほうとは結構違う仕上がり&サウンドで、比べると「こちらの方が好み」という方も結構いるのではないかと思いました。

というわけで、改めて「Yinyoo HQ6」ですが、名称通り中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」などを中心に販売するイヤホンブランド「Yinyoo(音佑)」の6BAモデルのイヤホンになります。

Yinyoo HQ6「Yinyoo」のマルチBAというと、これまでも「MaGaosi K5」と同じ製造元&ブランド違いの5BAイヤホン「Yinyoo H5」および「H5 Pro」(スタビウッド版)、そして3BAモデルの「Yinyoo H3」を私のブログでも紹介しています。
 「Yinyoo H5」「Yinyoo H3」レビュー  /  「Yinyoo H5 Pro」 レビュー

今回の6BAモデル「Yinyoo HQ6」はこれらのイヤホンとは異なる製造元と考えられ、前述の「HCK HK6」とも異なっているようです(ちなみに5BAのHC5は同様にMaGaosi K5のブランド違い)。レッドのクリアシェルが大変印象的なデザインのイヤホンで、フェイスパネルは天然石と思われる個体ごとに異なる模様のデザインとなっています。

購入は中国AliExpressのEasy Earphones(Wooeasy Earphones Store)にて。付属のMMCXケーブルが「付属ケーブルなし」「3.5mmステレオ」「2.5mm/4極」「4.4mm/5極」のパターンが選択できます。私は「2.5mm/4極」付きでオーダーしました。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo HQ6

Yinyoo HQ6表示価格は266ドル~となっていますが、春のAliExpressのセールは終了したものの、現在もフォロワー値引きを適用することで大幅なディスカウントが期待できます。現時点ではまだあまり数が出ていないようですので、かなりのお買い得価格で購入できるのではないかと思います。購入方法はこちらを参照ください。ちなみに、この「フォロワー値引き」というのは「Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローしている人向けの値引き」という意味ですので、実際に購入を検討する際は、まずは同アカウントをフォローいただき、DMにて実際の値引き後の価格を確認されるのがよいと思います(日本語でOKです)。

またアマゾンでも「ケーブル無し」モデルが「WTSUN Audio」(Easyが運営するマーケットプレイス)にて販売されています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ6


■とにかく「大変美しい」レッドのシェルデザインと良好な装着性

例によって到着したパッケージは「Yinyoo」ブランドのブラックのボックス&イヤホンケースに一式が収納されています。
Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6
Yinyooのイヤホンケースは結構大きめでいろいろ収納できるサイズなのですが、開けてみるとイヤーピースやケーブルなどがびっしり詰まっています。
Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6
パッケージの内容はイヤホン本体のほか、イヤーピースが装着済みの白色以外にグレーのS/M/Lおよびウレタンが4色(白・黒・青・赤)。またケーブル付属モデルの場合は指定したMMCXケーブルとケーブルバンド、イヤークリップなども付属します。
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Yinyoo HQ6」の本体は結構大きめですが、なんといってもレッドのクリアハウジングと美しいフェイスプレートが強烈に目を引きます。
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ステム部分への音導管による穴は2個で開口部は大きくないためイヤーピースによる音の変化は少なく、耳に合わせやすいものを自由に選べると思います。私は付属の白いイヤーピースでフィットできました。ハウジングのサイズは大きいですが装着性は結構良い印象です。また、ドライバーは中高域用のデュアルBA+低域用ウーファーのデュアルBA×2の構成となっているのが外からみても確認できます。
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ケーブル付きのタイプを選んだ場合、付属するのは「Yinyoo H5」などと同じ、銀メッキ線の8芯ケーブルとなります。こちらは単独でもAliExpressやアマゾンで販売していて、非常に柔らかい使い勝手のよいケーブルです(「Yinyoo 8芯銀メッキリケーブル」)。MMCXコネクタを採用していますので、同じケーブルで3.5mmステレオとバランスケーブルを両方用意して使い分けたりする使い方も可能です。またEasy(WTSUN Audio)では同じケーブルのブラックバージョン「YYX4732 Yinyoo 8芯銀メッキケーブル(ブラック)」をはじめ、さまざまなケーブルを販売していますのでリケーブルを楽しむこともできますね。

Yinyoo HQ6」のデザインを他のマルチBAの中華イヤホンと比較してみるとそのサイズ感がわかるのではと思います。特に同じ6BAの「HCK HK6」とは実際には結構サイズ感が異なることが確認できるのではと思います。
Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6

なお、「Yinyoo HQ6」の6つのバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーは、中高域ユニット(デュアル)×1、ウーファーユニット(デュアル)×2個の3つのデュアルドライバーユニット(2 × 3 = 6BA)から構成されています。ウーファーユニットについては同一と思われるデュアルユニットが2つ(4BA)でモデルナンバーの刻印等は確認できなかったのですが、中高域のユニットは刻印からBellsing社製の「Bellsing 30017」(BRC210C30017)であることが確認できました。このユニットはマルチBAイヤホンではお馴染みのKnowles社製「TWFK-30017」と同様の用途を想定した中高域デュアルBAユニットですね。またその後Easy Earphonesからいただいた情報によると、2個の大型デュアルBAのウーファーユニットはKnowles製「HODTEC-31323」を使用しているとのことでした。低価格にもかかわらず結構ドライバーにもコストがかかっていますね。
Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6
ちなみに、同時期に販売開始した「HCK HK6」も似たような6BA構成ですが、上記の比較写真の通りこちらは中域用と高域用でそれぞれシングルBAユニット(おそらく中華製)を組み合わせた構成となっています。中域の厚みはHK6のほうがありそうですが、高域の伸びは「Yinyoo HQ6」が期待できそう、という印象が構成からも想像できます。


■マルチBAらしい解像度の高さに加えて厚い低域&キラキラ感。元気で楽しさもプラスした元気サウンド。

Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6」の音質傾向は弱ドンシャリで、2個搭載されたKnowles製のデュアルBAユニットによる量感のある低域も印象的ですが、実際にはそれ以上に中高域のメリハリが比較的しっかりしており、アタックの気持ちよさとキラキラ感のあるサウンドとなっています。高域の伸びは比較的良いですが明瞭感というよりは雰囲気で感じさせる印象で分析的に聴くタイプではないですね。また刺さりは少なめですが、駆動力のあるDAP等では多少アグレッシブに感じるかもしれません。トータルとしてはマルチBAらしい解像度の高さを持ちつつ、聴きやすさと元気の良さのバランスを取ったようなサウンドです。
前述の「HCK HK6」がジャズやクラシックなどを気持ちよく感じる傾向だったのに対し、「Yinyoo HQ6」はロックやアニソンなども楽しく聴くことができるサウンドという印象です。例えばアニソンでいえばワルキューレをHK6で聴くにはDAPやポタアン側でパワーを与えて多少「覚醒」させたほうが印象が良くなりますが、「Yinyoo HQ6」であれば「PLENUE R」のようなNormalモードだとフラットで多少味気ないDAPでもボーカルがぐっと近くで目まぐるしく変わっていく様子が感じられ、とても気持ちよく聴くことができる、それくらいの違いはあります。

Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6」の音場はマルチBAとしては広く、低域はマルチBAらしい情報量の多いサウンドで響きはコントロールされた印象です。この点も多少ダイナミック型のような響きのあるHK6とは異なる部分ですね。
2つのイヤホンのこのような傾向の違いは、良し悪しというより前述の通り「どこにフォーカスした音作りをしているか」という個性の部分ではないかと思います。HK6と比較した場合、音作りのまとめ方は「Yinyoo HQ6」のほうが分かりやすいサウンドに感じるかもしれませんね。特にロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲との相性はとても良いと思います。
いっぽうで、HK6で印象の良かったジャズなどの曲では「Yinyoo HQ6」はもう少し雰囲気が欲しいと感じる場合もあります。また個人的な好みのレベルですが、某「Neptune」に寄せたデザインとなっているHK6より落ち着いたレッドが美しい「Yinyoo HQ6」のシェルデザインのほうが好印象でした。


■6BAとしては十分に低コストでトータルの完成度の高さと利用シーンを選ばない便利さが魅力

というわけで、想像以上に「違いがあった」という印象の「Yinyoo HQ6」ですが、6BAとしては低コストながら中華イヤホンとしては中価格帯に位置する製品のため、気軽に購入できる製品ではないとは思います。しかしながら、使用BAドライバーの選択も含めとても満足度の高い内容で、全体的な完成度の高さは十分に価格以上の価値のある仕上がりだと感じました。
また今回私はバランスケーブルでオーダーしましたが、DAPなど再生環境でバランス接続が可能であればやはりこちらを選んだ方が正解のようです。5BA、6BAのイヤホンは本来10万円オーバーの高級な製品も数多く存在しますが、それらの製品と「Yinyoo HQ6」、あるいはHK6等との最大の違いは「分離感」あるいは「実在感」の精度ではないかと思います。中華BAドライバーを使用してコストダウンを行っている関係上、これらの「精度」に関してはどうしても差が出てしますのですが、バランス接続によりDAP側で分離感を向上させることで多少は補完する効果が期待できます。
Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6
また「Yinyoo HQ6」も反応そのものは良いのですが6個ものドライバーを搭載する以上、これらを安定して鳴らすための十分な駆動力が再生環境に求められます。この点でも左右独立のバランス接続は小型DAPでも出力を稼げる傾向にあるため有効な手段だろうと思います。

私自身はAliExpressの春のセールでEasy Earphonesより「Yinyoo」ブランドの新しい「純銀線ケーブル」をオーダーしており、このケーブルにアップグレードすることで特に高域の明瞭感にどの程度変化を出せるか楽しみにしているところです。装着感や遮音性も良好で、なによりとても美しいイヤホンですので、今後もいろいろな場面で愛用していきたいと思っています。


※追記
最近「Yinyoo HQ6」のクリアブルーのバージョンが出ました。現在はAliExpressでのみオーダーが可能です。「Yinyoo HQ5」でqdc 2SE風のクリアグリーンが出ましたが、こちらは「qdc 3SH」をイメージしているみたいです(^^;)。このブルーもかなりカッコいいと思います。

Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6
さらに、このロットから、ステム部分が金属製のパーツで覆われるようになりました。従来のレッドも同様の仕様になるそうです。価格は据置きでより高級感が増しましたね。
Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6

どちらも新しい仕様の「Yinyoo HQ6」はAliExpress、Amazonの両方でオーダーが可能です。

AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo HQ6(ブルー/レッド、新バージョン)
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ6(ブルー/レッド、新バージョン)

その他「Yinyoo HQ」および「Yinyoo H」シリーズのレビューについてはこちらをご覧ください。
→ 過去記事(一覧): 「Yinyoo HQ」シリーズ/「Yinyoo H」シリーズ・マルチBAイヤホン



「MEMT T5」 メタルハウジングと中低域サウンドが心地良いEarPodsタイプイヤホン【レビュー】

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MEMT T5

東京では桜の季節のおわり、いっぽうでここ数年は平気だった花粉症が今年は飛散量が多いせいか復活気味のこの頃、そんな陽気は相変わらず気分にまかせてイヤホンやヘッドホンを次々とオーダーしまくる私にとっては危険なシーズンでもあります(笑)。

閑話休題、今回は「MEMT T5」というインナーイヤー型、というか「EarPods型」のイヤホンです。アマゾンでマーケットプレイスを展開する 「HRCASE」さんからのサンプル提供によるレビューとなります。
「EarPods型」というように、形状はAppleのiPhone等に付属する純正イヤホン「EarPods」と同じ、サイドの開口部から音が出ることでインナーイヤー型ながらよりダイレクトに耳穴にサウンドが伝わるデザインとなっています。いっぽう、「MEMT T5」はEarPodsとは異なり、ハウジングは金属製で持ち歩くときは左右のハウジングの背面部がマグネットでくっつけることができるなど結構個性的な要素もあります。HRCASEさんからの「MEMT T5」のアマゾンでの販売価格は 2,599円でインナーイヤー型としては標準的、またApple EarPodsの単品価格よりも低く抑えられています。
MEMT T5MEMT T5MEMT T5
また、本体カラーはブラック、ゴールド、シルバー、レッド、の4色が選択できます。
Amazon.co.jp(HRCASE): MEMT T5


MEMT T5」のパッケージは低価格のインナーイヤー型としては「かなりちゃんとした」印象です。
MEMT T5MEMT T5

内容は本体、布製収納ポーチ、シリコン製イヤーパッドが2種類、説明書など。
MEMT T5MEMT T5
あらかじめシリコン製イヤーパッド、特に耳に固定しやすい羽根付きタイプも付属しているところはとても有り難いですね。

MEMT T5」のイヤホン本体は上記の通り金属製のハウジングを採用。ビルドクオリティは非常に高く価格以上の高級感があります。
MEMT T5MEMT T5
装着部分のデザインは「EarPods」とほぼ同じなので多くの方が装着性で悩むことは少ないでしょう。
またシリコン製のイヤーパッドが付属しますが、付属品以外にもEarPod用のパッドなどはそのまま使用できるようですね。
MEMT T5MEMT T5
ケーブルはOFC線を採用しているとのことで、樹脂製の被膜で取り回しは良好。タッチノイズも少なめで全体的に好感が持てる仕上がりです。


■EarPodsに心地良い低域をプラス。聴きやすくいろいろ使えるリスニングイヤホン

MEMT T5EarPods型のイヤホンは音がサイドからでるため、耳の形状や装着位置の微調整によって特に音場感か大きく変化します。「MEMT T5」は金属製ハウジングと言うこともあって装着時に少し滑りやすいためシリコン製のイヤーパッドを装着し好みのポジションで固定しやすいようにすることをお勧めします。
きちんと装着した状態での音質傾向は解像度も一般的なレベルですが中低域寄りのフラット系サウンドで非常に聴きやすく、EarPod系の装着感の良さもあり長時間の利用でも疲れにくいのが特徴です。低域は量感があり音場も広め。構造上遮音性は高くないですが屋外の利用でも低域の不足を感じることは少ないと思います。ただ重低音というよりは軽めの低音で、その分ボーカルなどの中域の抜けが良くなっています。
高域については過激さはなく全体的に暖色系の音ですが、比較的近くに定位し明瞭感もあるサウンドなので普段カナル型を使うことが多い方でも違和感なく使えると思います。また純正のEarPod等で低域に不満を感じている方にも違和感なくサウンドをアップグレードできる存在だと思います。
MEMT T5MEMT T5
あと、私自身は音楽のリスニングはDAP(デジタルオーディオプレーヤー)の利用が中心でスマートフォン直挿し、という使い方はほぼしないのですが(スマートフォンに高音質オーディオアダプターを併用しての利用は結構あります)、いっぽうで「MEMT T5」のようなマイク付きのイヤホンは仕事柄MacBookに接続してWeb会議などで使用することが実は結構あります。このような利用シーンでは結構Appleの「EarPods」を普通に使っていたりするため、「MEMT T5」は適度なBGM & お仕事ツールとしてちょうどよいアップグレードになりそうです。

価格もお手頃で外見も格好良く、音質面のバランスも良好なイヤホンですので個人的には上記のような利用法で活用しつつ、全然オーディオマニアではない同僚や知人にオススメするイヤホンとしても良い選択肢のひとつかなと思いました。


「TFZLUX TEQUILA 1」 デザインもサウンドも従来のTFZとは一変した開放型「オトナ」イヤホン【購入レビュー】

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TFZLUX Tequila 1

私のブログでもたびたび紹介している中国「TFZ」(www.tfzither.com)の新イヤホン「TFZLUX TEQUILA 1」です。このイヤホンはTFZの従来製品とは異なり、「開放型」の構造となっています。また今回のモデルは従来の「TFZ(The Fragrant Zither)」ブランドではなく、「TFZLUX」という新しいブランドラインの製品と位置付けられており、さらに製品名に「テキーラ(Tequila)」を選ぶあたりにこのイヤホンがこれまでとは全く違うイメージを狙っているのがわかります。
TFZLUX中国語サイトのインタビュー記事などによると「TFZLUX」ブランドでは今後バッグやアクセサリー、ウォッチなどの製品も企画されているそうです。本レビュー記載時点ではまだアクセスできないパッケージ記載のブランドサイト(www.tfzlux.com)に近日中にこれらの製品も登場してくるのかもしれませんね。

私は「TEQUILA 1」を先日募集されたMassdropでのグループ購入でドロップしましたが、到着後本レビュー掲載のタイミングで国内正規版の販売も開始されました。中国AliExpress等では香港のPenon Audioなど限られたセラーのみの取り扱いとなっており、保証などを考慮すると今後購入される場合は国内版のほうが良いのではと思います。
Amazon.co.jp(国内正規品): TFZLUX(TFZ) TEQUILA 1

ちなみに、アマゾンでは並行輸入品も販売されているようです。そういえば昨年の冬のポタフェスに「TEQUILA 1」が参考出品された際は先日レビューした「TFZ KING PRO」と一緒だったのですが、なぜか「KING PRO」はまだ国内版は販売されておらず、「TEQUILA 1」のほうが先に開始しましたね。この2つではどう考えても「TEQUILA 1」のほうがマイナーなような・・・(^^;)。まあ販売サイドもいろいろ事情があるんでしょうね。
TEQUILA1_04TEQUILA1_05
なお、Penon Audioなどで購入できる海外版では、グリーン/レッド/ブルーの3色に加えレッド&ブルーの構成、さらにフェイスデザインもスパイダー柄とホイール柄が選択できます。もっとっもホイール柄はいわゆる「原子力施設(バイオハザード)のマーク」に見えなくもないためか、いまのところ日本ではスパイダー柄のみの販売のようですね。


■「KING PRO」同様の豪華版パッケージ。前衛的なデザインながら装着感は良好。

TFZLUXTFZ TEQUILA 1」は二重磁気回路(ダブルマグネティックサーキット)グラフェンドライバーを搭載しています。昨年のポタフェス参考出品時に8.9mmドライバーとの表記があり、並行輸入品などでは現在もそうなっていますが、国内正規版は「KING PRO」と同じ12mmドライバーとの記載になっています。ただ「TEQUILA 1」についてはPenon Audioなどの海外セラーやMassdropでの記載も「8.9mm」となっているため、もしかすると国内版の12mmのほうが誤りかもしれませんね(なお「KING PRO」はMassdropPenonも「12mm」との記載)。

到着した製品は「KING PRO」同様の豪華版パッケージとなっていますが、「KING PRO」のホワイトとは真逆のブラックのボックスで、前述の通り「TFZLUX」ブランドの製品となっています。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1
裏面には中身のイヤホンのカラーおよびデザインがマーキングされています。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1
今回は私は国内版では設定されていない「レッド&ブルー」のカラーで購入しました。
パッケージ構成はイヤホン本体、ケーブル、イヤホンケース、イヤーピース(2種類の各S/M/Lサイズと装着済みMサイズ、ウレタン1種類)、説明書など。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1

TEQUILA 1」の本体は、CNC加工による削り出しのアルミ製ハウジングとなっており、ビルドクオリティも非常に高く、かつこれまでのTFZ製イヤホンとは一線を画したデザインも特徴的です。
この丸いデザインと本体の厚さから装着性は期待できないかも、と思いきや、ステムの絶妙な角度・長さと、ケーブル装着位置からうまい具合に耳穴にすっぽりと収まり、なかなか良好な装着感となっています。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1
前述の通り「スパイダー」または「ホイール」(海外版のみ選択可能)のフェイスデザインの下には黒いメッシュで覆われており、さらにその下にスリット状のベント(抜け穴)が確認できます。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1
また付属ケーブルは「KING PRO」と同様の0.78mm 2pin仕様の5N OFC線ケーブルですが本体側コネクタは「KING PRO」が「SERIES 2」などと同じ本体側の「でっぱり」を覆うような形状だったのに対し、「TEQUILA 1」では本体に合わせた形状となっています。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1
イヤーピースおよびケースも「KING PRO」と同様のもので、本体装着済みの開口部の大きいMタイプ以外にイヤーピースは開口部の大きいタイプと小さいタイプがそれぞれS/M/Lの各サイズと白いウレタン製が1セットケースの中に入っています。ケースはTFZLUXロゴが貼られています。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1
なお、「TEQUILA 1」は開放型のイヤホンのため、音漏れはそこそこしますので、屋外や静かな場所での利用は多少注意が必要です。


■TFZにはめずらしい低音の響きの良い暖色系フラットサウンド。ロックやジャズとの相性は良好。

TFZLUX TEQUILA 1」の周波数特性はフラット寄りですが、聴いた印象としては量感のある低域部分が非常に特徴的なイヤホンです。TFZの既存モデルでも特にポピュラーな「EXCLUSIVE KING」や「EXCLUSIVE 5」などのイメージで「TEQUILA 1」を聴くとかなり拍子抜けするかもしれません。
同様の12mmドライバーを使用している「KING PRO」がこれまでのTFZのサウンドを踏襲しつつ、非常にまとまりの良いフラットな音に仕上がっているのとは全く異なる印象で、「TFZLUX TEQUILA 1」はこれまでのTFZ製品とは全く異なる暖色系で濃いめの味付けとなっています。

TFZLUX Tequila 1確かに全体的にシャープで解像度の高いサウンドはTFZのグラフェンドライバーのそれですが、既存のTFZ製品は特に低域が十分な厚みがありつつ締りのあるソリッドな印象なのに対し、「TEQUILA 1」ではすこし膨らみのある他のTFZにはない独特の響きがあります。この低域の響きにより、これまでのTFZ製品ではあまりなかったライブハウスなどのグルーヴ感や空気感のようなものを感じるサウンドとなっています。また音場は曲によってはすこし狭いですがボーカルは比較的近くに定位します。
いっぽうで分離感や高域の抜けの良さは従来と比べると多少割り切っている部分で、アニソンやEDMなど高域成分の多い曲や中高域の音数の多い曲ではすこしうるさく感じる場合もあるようです。
この辺は同様にフラット傾向ながら非常にクリアで透明度の高いサウンドを実現している「KING PRO」とは対極的なセッティングといえるかもしれませんね。ただ高域の刺さりは「KING PRO」同様にほぼ皆無となっています(「TEQUILA 1」は音数が多いと少し気になるかもしれませんが)。
TFZLUX Tequila 1TFZLUX Tequila 1
全体として「TEQUILA 1」のサウンドは、低域の響きのよさと、高域の伸びはそこそこながら聴きやすい音にまとめられた、TFZとしては非常に珍しい暖色系のイヤホンだと思います。「EXCLUSIVE KING」や「EXCLUSIVE 5」などに代表されるこれまでのTFZのイヤホンが全体的に金属質な寒色系のサウンドでとてもソリッドな印象だったのとは対照的ですね。とはいえグラフェンドライバーによる立ち上がりの早いサウンドも健在ですのでロックなどにも向いています。


TFZLUX Tequila 1というわけで、「TFZLUX TEQUILA 1」はこれまでのTFZ製イヤホンのなかで最もモダンで前衛的なデザインをした製品ながら、そのサウンドはどこか「艶っぽさ」を感じるイヤホンだと感じました。
例えばBlue Noteレーベルのスタンダード曲や耳慣れた古いロックやポップスなどを聴いているとこのイヤホンの心地よさが最大限に発揮されるような気がします。「テキーラ」という名称のとおり、アルコールが似合う大人のイメージで、雰囲気のあるバーで愉しいひとときを過ごしているような、そんな雰囲気にもなるイヤホンです。
正直なところ音質傾向は好みは結構分かれるイヤホンですので、手放しでお勧めとは言い難い部分もあります。しかしながら製品としてのクオリティは非常に高い製品ですので、所有する満足度は十分にあると思います。特にジャズやクラシックを気持ちよく聴きたい方や、すでにTFZの製品を持っていて少し毛色の違うイヤホンも試したい、という方には良い製品ではないでしょうか。

とりあえず今回の製品は「TEQUILA 1」という名称ですので、今後「2」「3」ナンバリングされていく可能性もあります。このシリーズが本流のTFZとどう変化していくのか、そしてTFZ自身も今後どのように展開していくのか(まだ見ぬ「SERIES 7」など)、いろいろ興味と楽しみは尽きないところです。


「MEE Audio Pinnacle PX」 Massdropモデルを海外転送サービスを使って買ってみた【購入レビュー】

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MEE Pinnacle PX

コミュニティ・コマースサイト「Massdrop」オリジナルのコラボ商品「Massdrop × MEE Audio Pinnacle PX IEMs」(以下「Pinnacle PX」)を購入しました。「Pinnacle PX」は「MEE Audio」を代表的する人気モデル「Pinnacle P1」のMassdropバージョンで、音質面は「Pinnacle P1」と同等ながら本体の表面処理をつや消し塗装に変更し、パッケージや付属品を簡素化することでより低価格を実現したモデルになります。Massdropでは私も以前から「TFZ」の新モデルのイヤホンなどを購入していますが、「Pinnacle PX」については現在は日本への発送は行っていない「日本からは買えない商品」になっています(以前、初回の購入募集時のみ日本への発送可能だったようです)。

今回は「海外転送サービス」を利用し、Massdropからはいったん米国内の発送先を指定し、そこから日本へ転送することで購入を試みてみました。もちろん「購入は自己責任」となり、転送サービスの手数料も発生しますが、今回の購入そのものは問題なく手元に商品が届きました。


■「Pinnacle PX」/ 「P1」の低コスト版ながら十分なパッケージング

というわけで、まずはMassdrop × MEE Audio 「Pinnacle PX」についてですが、以下のMassdropサイトにて詳細情報を確認できます。この製品は米国のAmazon.com倉庫からの出荷をしており比較的通年にわたって購入募集を行っているようです。価格はMassdropコミュニティへの登録後に表示されますが、募集時には「Pinnacle PX」は115ドルにて公開されています。

Massdrop x MEE audio Pinnacle PX IEMs | Drop (formerly Massdrop)



ということで、今回の購入価格はMassdropでの「Pinnacle PX」の価格が113.99ドル、転送サービス(「スピアネット」)費用が31ドルで、合計144.99ドルでした。「Pinnacle P1」の国内正規版の価格(25,800円)より1万円ほど安く購入できた事になりますが、海外版の価格(198ドル)と比較すると転送サービスのコストが上乗せされる分、差額は50ドル程度となり、製品内容の違いを考慮すると「お得度はちょっと微妙」になるかもしれませんね。

MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
到着したパッケージは「Pinnacle P1」と比べると簡易パッケージとなっています。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

パッケージ構成はイヤホン本体、ケーブル(マイクリモコン付き)、イヤーピースは通常のシリコン製(S/M/L)、ダブルフランジ(M/L)、トリプルフランジ、ウレタン製(S/M/L)、Massdropロゴのイヤホンケース、説明書など。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

ちなみに「Pinnacle P1」の付属品は、MMCXケーブルがマイクリモコン付きと無しの2種類付属するのとケースは「PINNACLE」ロゴになっている、ステレオコネクタの変換コネクタが付属するなどの違いがあります。
PinnacleP1

Pinnacle PX」のイヤホン本体は「Pinnacle P1」と同じ亜鉛合金ダイキャスト製のハウジングに10mmダイナミック・ムービングコイル+銅張アルミニウム・ボイスコイルのドライバーを搭載し、同等のサウンドを実現しているとのこと。違いは「P1」が手間のかかる磨き加工によりメタリック仕上げになのに対し、「Pinnacle PX」はPVDコーティングによるつや消しダークブルー塗装仕上げとなっています。
MEE Pinnacle PXPinnacleP1
「Pinnacle P1」の磨き込まれたメタリックなハウジングは大変美しく、これだけでも「持っている価値がある」と思わせるものですので、「Pinnacle PX」のいまひとつ味気ないつや消しダークブルーの塗装とは価格以上に差を感じます。「Pinnacle PX」を選択する場合、ある意味「道具」として割り切る必要がある部分かもしれませんね。

MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
なお、「Pinnacle PX」付属の高純度銅線のMMCXケーブル(マイクリモコン付き)およびレザー製のイヤホンケースは「Pinnacle P1」と同様に非常に質感の良いものですが、どちらも「Massdrop」のロゴがプリント、またはロゴプレートが貼り付けられています(「P1」は「PINNACLE」ロゴ)。マイクリモコン無しのケーブルは別売りとなりますが、この辺はコストを考えれば仕方のない部分ですね。

MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
イヤーピースは「Pinnacle P1」の豊富なバリエーションが「Pinnacle PX」でも全て同梱されています。このようにイヤホン本体の仕上げには決定的な違いはあるもののトータルとしては「P1」相当品として要所は押さえたパッケージングといえると思います。


■きめ細やかで伸びのあるPinnacleサウンドに酔いしれる。専用バランスケーブルも購入しました。

繰り返しますが「Pinnacle PX」の音質傾向は「Pinnacle P1」と同一です。シュア掛けでもストレートに装着しても抜群の装着性と十分な遮音性を持っており、なにより多くのオーディオファンを引きつける卓越したサウンドは、実際に聴いてみて「Pinnacle PX」はきちんと「P1」のそれでした。
広く響きの良い音場表現、タイトにディテールを表現する低域、どこまでも美しく伸びやかな高域、そして解像度の高さや分解能だけでは語り尽くせないような、きめ細やかに音を捉える美音系のサウンド。特にオーケストラなどの生演奏などでの「美しさ」は数万円クラスでは突出していますね。

ただし、「Pinnacle PX」も「Pinnacle P1」同様に、インピーダンス50Ω、感度96 ±3 dB/mWとかなり「鳴りにくく、音量が取りづらい」イヤホンであるという特徴も同一です。「Pinnacle PX」は前述の通りマイクリモコン付きのケーブルのみが付属しますが、一部を除き多くのスマートフォン等では駆動力不足から本来の実力を発揮できるとは言い難いでしょう。このイヤホンが十分に実力を発揮するためには相応に駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプが必須となります。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

もっとも先日レビューした「AAW ACCESSPORT」(または「ADVANCED ACCESSPORT」)のような駆動力のあるオーディオアダプタを組み合わせることで、「Pinnacle PX」のサウンドを堪能しつつケーブルのマイクリモコンを利用することも可能になります。またAndroid OSを搭載したDAPのなかには「FiiO X5 3rd gen」のようにマイクリモコンに対応した機種もあります。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX

そして、せっかくなのでバランス接続も利用したいと思い、同じMEE Audioの「MMCXバランスケーブル・アダプターセット」を購入しました。「Pinnacle PX」(および「Pinnacle P1」)はMMCXコネクタを採用しているので純正以外にも多くのリケーブルが活用できますが、純正オプションということと、これ1本で各種コネクタ形状のバランスおよびアンバランスに対応する「優れもの」のケーブルと言う点が大変魅力的でした。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
バランス接続を利用することにより「Pinnacle PX」の繊細なサウンドはさらに明瞭感をもち、より豊かな空間表現を実感するようになります。また「Shanling M3s」や「Astenn&Kern AK70 MKII」のようなデュアルDAC、デュアルアンプを搭載するDAPの場合、バランス接続の方がより高い駆動力を持つ仕様となっているため、これらの機種ではバランス接続を行うことでより高い出力を得ることができるメリットもあります。
MEE Pinnacle PXMEE Pinnacle PX
なお、「MMCXバランスケーブル・アダプターセット」には、一般的な2.5mm/4極、4.4mm/5極のバランス接続以外に3.5mmのバランス用コネクタも付属します。iFI-Audio「nano iDSD BL」ではこのコネクタを利用することで「Sバランス」でのデュアルモノ接続が可能になります。1粒で何度も美味しい、とても魅力的なケーブルセットですね。
もっとも、せっかく低価格で「Pinnacle PX」買っておいて1万円オーバーのケーブル買ってたら意味ないんじゃないの?てな声もありそうですが、逆にPXにしたおかげで差額でこのケーブルが買えたよ、という発想もあるワケで。。。(^^;;)


■海外転送サービスを使えば、買いたいアイテムはいろいろありますね(^^)

ということでMassdrop × MEE Audioコラボの「Pinnacle PX」をレビューしましたが、最後に今回利用した「海外転送サービス」についても少しだけ紹介しておきます(ご要望があればあらためて詳細レビューも検討します)。

今回利用したのは「スピアネットSpearnet)」というサービスで、数年前に仕事で必要だった日本で入手不可のアイテムをAmazon.comで購入するために何度か利用していたのですが、今回あらためて個人でIDを取得して利用しました。米国の住所を経由する転送サービスのため、Amazon.comやeBayなど米国内のECサイトで利用することが前提となります。

利用方法は非常に簡単で、無料でIDを登録すると、「発送先住所(自分宛番号付き)」が発行されるため、それを購入したいサイトの発送先に登録します(今回はMassdropのアドレスに登録)。
Spearnet Spearnet
ドロップに成功し、製品が発送されたら、スピアネット側でトラッキング番号を含めた転送依頼を作成し、登録します。製品が無事発送先に届いたら(複数梱包でなければ)自動的に発送準備にはいりますので、到着通知のメールを待って支払いを行います。スピアネットもMassdrop同様にPaypalが使用可能です。今回の「Pinnacle PX」の場合、スピアネットから手元には1週間ほどで届きましたが、Massdropでの国内便(FedEx Smartpost)でスピアネットに届くまでに2週間ほどかかりました。もっともMassdropで日本向け発送可能な場合に使われるDHL Packet Plus International(ドイツを経由する便)でも3週間くらいは余裕でかかるのでトータル期間では「似たようなもの」ですね(^^;)。

ところで、Massdropで現在は日本発送NGになっている商品で毎回話題にあがるのはなんといってもSENNHEISER「HD6XX」(「HD650」のMassdropコラボ版)ですが、この方法を使えば同様に購入が可能と思われます。価格も199ドルと相変わらずの破格で、募集自体は定期的に開催されています(毎回すぐに規定数に達して終了しまうのですが)。

Massdrop x Sennheiser HD 6XX Headphones | Price & Reviews | Massdrop
ただし、もし挑戦される場合は「あくまで自己責任で」お願いしますね(お約束)。


【PR】 AliExpress 3.28セール開催中のおしらせ(NiceHCK Audio Store)。

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現在開催中の中国ECサイト「AliExpress」のセールについての案内です。

AliExpress
私のブログでも毎回のように紹介しているAliExpressでは現在大規模なセールを開催中です。
セール期間は(日本時間で)3月28日16:00~3月31日15:59までとなっています。

HCKのJimからの依頼により、いつもお世話になっている「NiceHCK Audio Store」のセール情報を紹介します。
NiceHCK Audio Store」ではセール特設ページを開設し、多くの商品がセール特価となっています。

→  AliExpress/ NiceHCK Audio Store セール特設ページ

HCK

目玉商品はいろいろありますし、今回のセール対象の商品のいつくかは本サイトの私のレビューでも紹介していますが、特にアクセス数が多く人気のある、次の2つの「NICEHCKブランド」のイヤホンをピックアップします。

■「NICEHCK HK6」 ブルーのシェルが美しい6BA搭載イヤホンがこの価格

HK6
HK6

ブログレビュー:
「NICEHCK HK6」 美しいクリアシェルに6BA搭載でこの価格!? 量感ある低域と音場の広がりが心地良い高音質イヤホン【レビュー】


■「NICEHCK EBX」 高音質ハイエンド・インナーイヤーの決定版

EBX

ブログレビュー:
「NICEHCK EBX」 利用シーンを選ばず楽しめる、自然かつ響きの良いインナーイヤーの高級モデル【レビュー】

どちらも製品も今回はかなりの「激安」だと思います。もし興味がある方はこの機会に購入をしてみてはいかがでしょうか。

他にもHCKのTwitterアカウント(@hckexin)では「#NICEHCK会社3·28大型セール」で期間中セール情報が随時ツイートされていますのであわせてご覧ください。

(特価の一例)
もし気になっている商品があればこの機会を利用してみるのも良いと思います。

なお、これらの商品についてはAliExpressの画面上のセール価格よりさらに値引きされていますので、例によっていったん支払いを保留して価格が変更されるのを待って確定してください。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
また価格調整を行う場合、クーポンについてはセール中のAliExpressクーポンのみが反映され、セラークーポン、セレクトクーポンは含んだ内容での価格となると思います。

またセール中の価格などについては直接HCKのTwitterアカウント(@hckexin)へのDMまたはAliExpressのMessageにてお問い合わせください(当方では本件のご質問などはお答えできませんのであらかじめご了承くださいませ)。

プロフィール(Twitterアカウント)
読み:ばいそにか。無駄に中華イヤホン等いろいろ買い続けるアラフィフ限界オタクの酔っ払い。ダイエット中ですが食べるのも好き。普段は東京と福井(鯖江)の自宅の二拠点生活で小さなIT系企業を細々とやってます(出張多め)。仕事の合間に趣味で書いてるレビューブログも2022年末に1千万PVを突破(あざす!)。相変わらずのマイペースですが今後もよろしくです(^^)
※ご意見・ご質問などはコメント欄にて。あらかじめ下の「FAQ」のリンクをご一読ください。
レビュー依頼、プレゼント企画等のご相談については bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上返信を申し上げます(返信の無い場合はご了承ください)。


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