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イヤホン・ポータブルオーディオなどの趣味的レビュー。

「Yinyoo T100」 女性ボーカルが美しい、シングルBAらしさを手軽に実感できるコンパクトな中華イヤホン【レビュー】

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Yinyoo T100

3月も気づけば中盤にさしかかっていますが、仕事のほうがシーズン的に忙しいということもあり「あまりポタオデ楽しんでる時間ないなぁ」と思うこの頃。よくよく考えたら出張もあまりしていないので新幹線でじっくり聴く機会も必然的に少なくなっているわけで・・・というわけで、到着から2週間以上全然レビューに手をつけていなかったイヤホンですが、遅ればせながら出張先の大阪のビジネスホテルで書いております(^^;)。

閑話休題、今回紹介するのは「Yinyoo T100」、私のブログでも最近露出の多い中華イヤホンブランド「Yinyoo(音佑)」オリジナルのバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーをシングルで搭載するイヤホンとなります。コンパクトなメタルハウジングが特徴的なデザインで、サウンドチューニングの異なる3種類のノズルフィルターの交換が可能になっています。
Yinyoo T100Yinyoo T100Yinyoo T100
購入はこれまた毎度おなじみのいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」より(「Yinyoo」はEasy Earphonesを中心としたセラーが取り扱うブランドになります)。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo T100

AliExpressでは69ドルで販売されていますが、例によってEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローのうえ、フォロワー値引きを活用すれば特別価格で購入できます。詳しい購入方法はこちらをご覧ください。またEasy Earphonesのアカウントでは頻繁に割引情報などがツイートされていますのでこまめにチェックするとよりお得に購入できる可能性もあります。

また本レビュー掲載時点ではアマゾンのマーケットプレイス「WTSUN Audio」からも6,999円にて販売を開始しています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo T100


■ピンクゴールドのカラーリングが美しいコンパクトなハウジング

到着したパッケージは最近のYinyoo製品で共通のブラックのボックス。
Yinyoo T100Yinyoo T100
なかに入っている大きめのケースにびっしりと中身が詰まっています。
Yinyoo T100Yinyoo T100
パッケージ構成は「Yinyoo T100」イヤホン本体、フィルターノズル3種類(私のところに届いたものはシルバーノズルが装着済みでした)、専用イヤーピースがS/M/L各サイズ+装着済みのMサイズ、そして専用ケースといった内容です。

Yinyoo T100」は非常にコンパクトなハウジングのイヤホンですが、デザイン的によく似た印象のダイナミック構成の「final E3000」および同じシングルBA構成の「EARNiNE EN120」と比較するとその小ささがあらためて実感できるのではと思います。いっぽうで交換式のフィルターノズルのステム部分は本体と同じ直径ため、通常の口径のイヤーピースは使用できない仕様になっています。
Yinyoo T100Yinyoo T100
ケーブルは布製の表皮に覆われており取り回しは良好です。付属するイヤーピースは先日レビューした「NICEHCK DT100」でも使われていた口径の広いタイプのもので、イヤーピース交換の選択肢が少ないのはちょっと残念なところです。ただ後述の通り「Yinyoo T100」のサウンドも、開口部が広く耳穴へフィットするイヤーピースを使用する方が音質面で良いため、上記DT100用のデュアルフランジイヤーピースなど装着可能なものを探してみるのもよいと思います。私はたまたまストックしていたデュアルフランジのものが(多少無理やり装着しましたが)なんとか使うことができました。

Yinyoo T100そして「Yinyoo T100」の最大の特徴である交換式のノズルフィルターは本体カラーと同じピンクゴールド、ゴールド、シルバーの3種類で、ピンクがメッシュのみ、ゴールドとシルバーは内側に不織布が貼り付けられておりより厚く貼られているシルバーがもっとも低域強調タイプとなり、メッシュのみのピンクゴールドが高域タイプという区分けになります。
またフィルターノズルを外した本体側にも薄い不織布が貼り付けられています。このようなフィルターは「MaGaosi K3 Pro」の交換可能なフィルターノズル等でも採用されていますが、個人的には不織布を貼り付けて高域減衰させるタイプはちょっと苦手です。そのため「Yinyoo T100」も基本的にメッシュのみのピンクゴールドのタイプを使用します。


■フィルターノズルは「ピンク」一択。女性ボーカルとアコースティックが美しい中低域イヤホン

昨年以降、魅力的なシングルBAイヤホンが数多く登場していますが、「Yinyoo T100」は価格帯としては「EARNiNE EN120」より少し高い程度の価格帯の設定となります。付属品を最小限に抑えてよりコストパフォーマンスを高めているEN120に比べるとイヤホンケースなどの付属品と3種類のフィルタを変更可能な仕様など「Yinyoo T100」は付加価値要素が多いのも事実でしょう。

Yinyoo T100いっぽう音質面については、実際に「Yinyoo T100」を聴いた最初の印象としては「良くも悪くもシングルBAらしいサウンド」。ある意味シングルBAの常識を逸脱した印象も受けるEN120とは対照的で、「そこそこ良くまとまった感じ」という感じです。最も高域タイプという設定になっているピンクのフィルターノズル(フィルター側に不織布なし)を使用した場合でも中低域寄りのサウンドで、高域はキラキラ感はありますがどうしてもBA特有の歪みを感じてしまうため、高域成分の音数の多い曲とは相性がいまひとつです。
いっぽうで女性ボーカルなどはとても美しく心地よい響きがあります。イヤーピースを付属のものから開口部の大きいダブルフランジタイプなどに換えると音抜けが良くなります。またジャズなどのアコースティック音源もとても聴きやすくて良いですね。低域はシングルBAですので控えめですが量感・分離感は必要十分という印象です。

また他のフィルターノズルを使用した場合ですが、ゴールドではスマートフォンなどでの再生環境でピンクのフィルターでの歪みを強く感じる場合に使用するとよいでしょう。ただし音像の明瞭感が下がり曇りを感じるようになるため「Yinyoo T100」の旨みの部分が損なわれる感じがあります。シルバーのフィルターは低域をドゴドゴさせたい向けですが、曇りと言うより籠りのレベルになってしまうため、このフィルターの低域が欲しい人は「Yinyoo T100」は使わないほうが良いのでは、と思ってしまいます。


Yinyoo T100というわけで、「Yinyoo T100」は比較的低価格ながら「シングルBAらしいサウンド」を手軽に実感できるイヤホンだと思います。音を分析的に聴くイヤホンではありませんが、バランスド・アーマチュア型ドライバーならではの解像度感と分離の良さ、マルチBAやハイブリッドのようなクロスオーバーが発生しないフルレンジの再生によりつながりの良い心地よいサウンド。「Yinyoo T100」は「シングルBAイヤホン」の本来のメリットを十分に感じることができる十分にクオリティの高い製品であると思います。
アコースティックな曲や美しい女性ボーカル曲をキラキラ感のあるサウンドで心地よく楽しむためのイヤホンとしてサブアイテムのひとつとして加えてみるのも良いと思いますよ。


「PMV E01」ボーカル推しに特化した高品質・低価格イヤホン【レビュー】

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PMV E01

今回は「PMV E01」、10mmグラフェン振動版を採用したシングルダイナミックドライバーのイヤホンです。いつもお世話になっているアマゾンのマーケットプレイス「Kinboofi」さからのサンプル提供による紹介となります。現在アマゾンでは2,689円にて販売されています。
Amazon.co.jp(Kinboofi): PMV E01 

PMVというとハイブリッドの「PMV A01 MK2」などの製品も以前から販売している中華イヤホンメーカーですが、「PMV E01」はスマートフォンなどでの利用を想定した普及モデルの位置づけのようです。
とはいえ、金属製のハウジングを使用しドライバーにグラフェン振動版を採用するなど、内容的な妥協は少なく、低価格のわりにしっかりとしたイヤホン、という印象を受けます。

パッケージは専用のボックスケースで実績のあるメーカーであることをうかがわせます。裏面に記載のスペックはインピーダンス32Ω、感度105dB/mWとターゲットとするスマホをはじめ多くのプレーヤーでの利用でも問題ないと思われます。
PMV E01PMV E01
パッケージ内容イヤホン本体、イヤーピースはS/M/L(Mサイズは装着済み)とデュアルフランジタイプ、ポーチ、イヤークリップ。
PMV E01PMV E01
イヤホン本体は金属製ハウジングでステレオミニコネクタ部分も含めしっかりしたビルドクオリティの高さを感じます。装着性や遮音性は一般的なイヤホンと同様です。金属製ハウジングですが重量で耳から落ちてしまうということもあまり無いと思います。


■ボーカル曲の長時間リスニングに最適。通勤通学や仕事中のBGMにも便利なサウンド

PMV E01」の周波数特性はフラットに近いですが、特徴としては明確な「ボーカル推し」なイヤホンとなっています。実際、中国サイトの情報等をみると「PMV E01 一条纯粹的人声塞」みたいな記述があり、おもわず「なるほど」と納得しました。
PMV E01PMV E01
ボーカルなどの中域は近くで定位し、グラフェンドライバーらしいクリアでキレの良いサウンドが楽しめます。音場は一般的で極端に広い印象はありませんが、質感のある低域がボーカルに影響しない程度に響くことで、適度な臨場感を演出しているように感じます。いっぽうで高域の表現はそれなりに処理されている印象ですが、分離感も比較的良いため全体としては寒色系でとてもスッキリしたサウンドになります。また刺さりはほぼ無く、長時間でも聴きやすいサウンドに仕上がっていると思います。ジャンルとしてはポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲との相性が良いですが、これらのジャンルでも打ち込みなどの音の成分が多い曲では少し解像度に物足りなさを感じることもありそうです。


PMV E01PMV E01」はボーカルに特化したチューニングにより、低価格ながらも非常に聴きやすく使いやすいバランスにまとめられたイヤホンだと思います。スマートフォンなどでの利用を考えると極端に敏感だったり解像度を高くしすぎても雑味が強くなる可能性もありこれらの用途では使いにくくなります。そういった意味でさまざまなプレーヤー環境で気軽に使えて、かつ気持ちよいボーカルを実現したイヤホン、としては、購入しやすい価格も含めかなり完成度の高い製品ではないかと思います。
中華イヤホンも最近の高品質化・高音質化は著しく、低価格帯といえど「及第点のサウンド」では受け入れられない状況になりつつあるのではと思います。「PMV E01」はビルドクオリティの高さとスマートフォンなどの利用でもクオリティの高いクリアなボーカルを実現することで個性を表現していると感じました。オーディオマニアではない方などに気軽に使えてボーカルの綺麗なイヤホンは、と訊かれたときにオススメするのにも良い選択かもしれませんね。


「KINBOOFI T5」(S600) スマートフォンでの日常使いに便利な低価格2DDイヤホン【レビュー】

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T5


 今回は、「KINBOOFI T5」というデュアルダイナミックドライバー(2DD)搭載のイヤホンの紹介です。前回の「PMV E01」に引き続き、今回もいつもお世話になっているアマゾンのマーケットプレイス「Kinboofi」さからのサンプル提供による紹介となります。
Amazon.co.jp(Kinboofi): T5 2DD In-Ear Earphone

KINBOOFI T5」は中国ではいくつかのセラーにより「S600」などの名称で販売されているらしいイヤホンですが、日本のアマゾンおよび米国のAmazon.comではKinboofiブランドで「KINBOOFI T5」として販売されています。アマゾンでの販売価格は1,699円と非常に低価格なイヤホンです。

到着したパッケージ内容はイヤホン本体およびイヤホンケース、イヤーピースはS/M/Lの各サイズが2種類など。
T5 2DD (S600)T5 2DD (S600)
布製ながらイヤホンポーチと豊富なイヤーピースのバリエーションが選べるのはうれしいところですね。

KINBOOFI T5」は6mmダイナミックドライバーが並列でデュアルマウントされたデザインですが、プラスチック製のハウジングは比較的コンパクトで、またサイドに「VJJB N4」のような硬質ゴム状の出っ張り(耳当て)があるため、装着性も良く、安定性も抜群です。またケーブルはTPE素材の皮膜で覆われており、多少の弾力があり絡まりにくいケーブルとなっています。


■音質は「それなり」ですが日常的に使いやすい「取り回しの良い」サウンド。

KINBOOFI T5」の音質傾向は中低域寄りの弱ドンシャリの「元気な音」。暖色系のサウンドで全体としてのバランスは悪くはないのですが、解像度はそれほど高くはなく、音の抜けもいまひとつで明瞭さ、という点ではちょっとぼんやりした印象を受けます。おそらく同イヤホンがモチーフとしたと思われる「VJJB V1/V1s」の劣化版、という印象も正直拭えないところです(現在手元にVJJB V1sなどがないため直接の比較はできないのですが)。ただ、中低域は広がりのある音場感で、Apple Musicなどのストリーミングでボーカル曲をBGM的に聴くのには悪くはないかもしれませんね。分離感などは「それなり」ということでしょうか。
T5 2DD (S600)T5 2DD (S600)
ちなみに、リスニングとは全く関係ないのですが個人的に「KINBOOFI T5」がすごく使いやすかったのは、MacBook Pro(2015モデル)のイヤホン端子に「KINBOOFI T5」を接続して屋外でWeb会議に使ったとき(^^;)。イヤホン端子のある世代のMacBookはマイク付きのイヤホンの4極コネクタがそのまま使用できますが、「T5」のサウンドバランスはとても使いやすく、またマイク部分の感度も十分でした。

KINBOOFI T5」はリスニングイヤホンとしてオーディオ的には「それなり」のレベルですが、このような(ちょっと特殊な)使い方はもちろん、通話などでもイヤホンマイクを使うような用途で屋外で利用するのには低価格でちょうどよいかもしれないですね。


「TANCHJIM darkside」 マニア限定? の個性的サウンドで、キレの良い低域が心地よい新ブランド中華イヤホン【レビュー】

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TANCHJIM darkside

毎年3月のいわゆる「年度末シーズン」となると結構仕事が立て込んでくることもあり、しばらくブログの更新も小休止状態でしたが、そんななかでもいろいろなアイテムが届いてきており書きかけレビューはたまる一方です(。_。)。

というわけで例によって手元に届いてから2週間以上経過しておりますが、今回は 「TANCHJIM darkside」というなかなか格好良いデザインで、サウンドも「個性的」というイヤホンを紹介します。日本では七福神商事さんが取り扱いをしており、同社の直営店のほかアマゾン等でも購入が可能です。
Amazon.co.jp(七福神商事): TANCHJIM darkside


■独創的なサウンドを印象づける豪華なパッケージ

 「TANCHJIM」は新しい中華イヤホンブランドで「TANCHJIM darkside」はおそらく同社にとって最初の製品になると思います。フルメタルボディの美しいブラックのハウジングに9.2mmのグラフェン振動板を採用したダイナミック型ドライバーをシングルで搭載します。

製品が届いてまず最初に目に付くのはなんといってもキューブ型のパッケージでしょう。
1万円クラスのイヤホンとなると中華系でも比較的豪華なパッケージに入っているケースも珍しくはなくなっていますが、そんななかでも「TANCHJIM darkside」のパッケージはひときわ目につくものです。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
「お、何か楽しげなアイテムが届いたぞ」と感じてしまう演出はその名の通り既に「ダークサイド」の入り口なのかもしれません(笑)。非常に手の込んだパッケージを開きながら思わずそんなことを感じました。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
TANCHJIM darkside」はリケーブルには対応していないイヤホンですので、基本的にはイヤホン本体とイヤーピースがメインのパッケージ構成となりますが、S/M/Lの各サイズのイヤーピース(Mサイズは本体装着済み)に加えて「説明書」「ストーリーブック」「ロゴシール」「アルミ製ネームプレート」といったアクセサリーが充実。さらにブラウンレザーの専用ケースも非常にお洒落で格好良いものです。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
「また、TANCHJIM darkside」本体はアルミ合金製のメタルハウジングでブラックの表面加工も大変美しい仕上がりです。ケーブルは銀メッキOFCの撚り線とのこと。

ちなみに、同社のロゴをあしらったデザインが右側のフェイス部分にのみプリントされ、左側はマットブラックの無地。フェイスプレートが「真っ平ら」でしかも片方が無地、というデザインは最初「?」と思ったのですが、七福神商事さんのツイートを見ていると、どうやら右側は自分でデコレーションやプリントをして好みのデザインにアレンジをすることが楽しみ方のひとつのようですね。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
でも一度アレンジを始めたら、シチュエーションに合わせていろいろなデザインを試してみたくなったりしないかなぁと思いつつ、「あ、これは左側のフェイスプレートで遊びだしたら、バリエーションを作るためにいつの間にか何個も買ってしまうという『ダークサイド』への誘惑ではないのか?!」と思ってしまいました。まったく、ちょっとお洒落なケースといい、油断も隙もあったもんじゃないですな(笑)。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
アルミ合金製ということで金属製ハウジングながら重量は比較的軽いのですが、装着性は多少人を選ぶようです。私も標準のイヤーピースではいまいちしっくりフィットしなかったため滑りにくいイヤーピースを使用しています。イヤーピースは後述の通り開口部が大きくより高域の表現に優れたものを使用する方が良いと思います。私はたまたま手元にあったデュアルフランジのイヤーピースやKC09用イヤピを使用していますが、AcoustuneのATE07などが相性が良さそうです。


■再生環境を選ぶものの特徴的な低域のクリアさとキレの良さ。ジャズと女性ボーカルとの相性抜群のサウンド。

TANCHJIM darkside」の周波数特性はフラット寄りですが、特徴的なのは(ボーカル等より上の)高域はある程度割り切って中低域のクオリティにこだわったイヤホンという点でしょう。スペックをみるとインピーダンス32Ω、感度103dB/mWと一般的〜少し鳴りにくい程度なのですが、スペック以上に音量が取りにくく、一定以上の駆動力のある再生環境を必要とします。スマホ直挿しや駆動力の少ないプレーヤーだと、逆に高域に音割れのような鳴りを感じてしまう場合があります。

TANCHJIM darksideいっぽう駆動力のある再生環境やポータブルアンプを利用した出力では非常にキレのある低域とボーカル域の解像度の高さが特徴的です。いっぽう高域の伸びや解像度はそれなりに処理されており、かなり割り切ったチューニングのイヤホンであると感じます。一般的に高級なヘッドホンなどでは音量の取りにくい製品が多いですが、これらは再生環境を選ぶ反面、ノイズに強く(S/Nが高い)、音源の録音環境により忠実なサウンドになる(クリアな音源なら明瞭感が上がり、アナログな音源ならよりアナログらしさが出る)傾向にあります。「TANCHJIM darkside」ではこれらの傾向が特に「低域」に強く、独特のキレの良さと解像度の高さを感じます。
グラフェンコート振動板を採用したシングルダイナミックドライバーのイヤホンというと、最近では同価格帯の中華イヤホンでは「TFZ EXCLUSIVE KING」をはじめとするTFZ製のイヤホンを想像しますが、これらの製品でイメージできる「突き抜けるように伸びる高域」というものは「TANCHJIM darkside」には皆無です。いっぽうで中低域の硬質なキレの良さや解像度の高さはグラフェンコートならではでしょう。そのため、中低域メインのイヤホンでありながら響きや音場感はかなりシャープで、寒色系のサウンドとなっています。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
女性ボーカル曲など中低域がメインの楽曲の場合、低域のクリアでキレの良いサウンドを心地よく感じながら高域の刺さりなどのない聴き疲れしにくいサウンドで長時間のリスニングでも楽しめると思います。いっぽうアニソンなどの高域成分の多い曲や打ち込み系の曲との相性はいまひとつかもしれませんね。またジャズとの相性も抜群で、全般的にシャープで明るめのサウンド と定位の良さからとても鮮やかで気持ちよいサウンドが楽しめます。個人的には「ジャズ専用イヤホン」にしたいと思うくらいです(^^;)。


TANCHJIM darksideというわけで、ちょっとお仕事モードでブログ小休止明け最初のレビューとなった「TANCHJIM darkside」ですが、噂に違わぬ個性的なイヤホンでございました。正直なところ好みという点で「人を選ぶ」というか「曲を選ぶ」イヤホンだと思います。ただ、低〜中価格帯における昨今の中華イヤホンのクオリティアップ、レベルアップは特筆すべきレベルとなっており、そんななかで「万人受け」ではない、とてもマニアックで「個性的」な製品が販売される状況はとても喜ばしいことですね。それだけ中華イヤホンが認知され、本格的な成長期、普及期に入っているのだと思います。またマーケティング的にも「とても攻めた」製品だと思われる「TANCHJIM darkside」を代理店として新しいブランドとして全く未知の状態で日本市場に投入する七福神商事さんにも脱帽です。
もしこれからイヤホンを買いたいと思う方に勧めるかと言われたら「確実にNO」ですが(笑)、いっぽうで、さまざまなイヤホンを既に持っているマニアで、さらに特に音質面で他とは違う個性的なアイテムを探している方には「TANCHJIM darkside」は結構面白い存在ではないかと思います。価格的にも1万円そこそこと、そういった皆様にとっては十分に手が出しやすい価格ではないかと思います。
というか、「マニア限定」というのも十分に「ダークサイド」ではありますよね(^_^;)。


「NICEHCK DT300 Pro」 トリプルBA搭載でSE535より手が届きやすい、リスニングチューンの濃厚イヤホン【レビュー】

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NICEHCK DT300

またまた到着から2週間ほど経過してしまいましたが、毎度お世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」オリジナルブランドの新製品「NICEHCK DT300 Pro」です。シュア掛けタイプのコンパクトなハウジングのトリプルBA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを搭載したイヤホンになります。

■「HCK版SE535」のトリプルBAデザインだけど、全く違うリスニング向けのサウンドチューニング

本体デザインは「Shure SEシリーズ」タイプで、BAドライバーの設置レイアウトも有名なShureの3BAのモニターイヤホン「SE535」を彷彿とさせるものになっています。HCKのTwitterアカウント(@hckexin)でもSE535を意識した内容で紹介していることもあり、以前から「SE535LTD」を愛用している私としてはとりあえず比較しながらのレビューをした方が良いのかな、という気分になりますね。ちなみに今年に入って、HCKからは「DT100」というシングルBAのイヤホン(年末年始の福袋イヤホンですね)があり、こちらはトリプルBAなので「DT300」という製品名だと思いますが、イヤホン本体部分の製造元は全く異なるようです(個人的にはシェルのデザインとグリーンのイヤーピースなどから「ADVANCED MODEL 3」という有線/無線兼用ダイナミックイヤホンの本体部分と同じ製造元かな、という気も。そいえば「MODEL 3」に付属のBluetoothケーブルはAliExpressでHCKが販売する「HB1」にソックリですね^^;)。
閑話休題、「NICEHCK DT100」のカラーは、「クリア」「グレー」「ブルー」の3色から選択が可能です。

NICEHCK DT300 Pro」はアマゾンのNICEHCKマーケットプレイスにて 16,500円 の表示価格ですが、現在は購入割引のプロモーション中ですので自動的に600円程度値引きされるようです(さらに合計金額が20,000円以上になると追加の値引きが発生します)。
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK DT300

現在のところ「NICEHCK DT100」はアマゾンのNICEHCKマーケットプレイスのみでの販売となり、AliExpressの中国ストアでは取り扱っていません。なお、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)では頻繁に値引き情報などがツイートされるため最新情報をチェックすることでよりお得に購入できる場合もあります。

NICEHCK DT300NICEHCK DT300
到着した「NICEHCK DT300 Pro」は、最近の同社製イヤホン共通のボックスで、裏面に製品名などが貼られています。私は「グレー」でオーダーしました。ボックスの中にはHCKのオリジナルイヤホンケースが入っており、その中に本体および付属品が同梱されています。
NICEHCK DT300NICEHCK DT300
パッケージの内容はイヤホン本体、純正MMCXケーブル、ウレタンイヤーピースがライトグリーンが1個、ブラックの大小1個ずつ、開口部の小さいイヤーピースがS/M/Lも3サイズ、ケースと保証書となっています。

イヤホン本体のハウジングはプラスチック製。アマゾンの販売サイトに掲載の写真の「ライトグリーンのウレタンイヤピとの組み合わせ」がどうにもオモチャっぽく見えてしまうのですが、実物はとてもしっかりした作りで、Shure SEシリーズの製品と比べても質感的に遜色は無い感じです。
NICEHCK DT300NICEHCK DT300
実際に手持ちの「SE535LTD」と比較してみると、大きさはほぼ同じですがハウジングの形状的には結構違うことがわかります。ただステム部分もShure製品と同様に樹脂製で細いタイプは案外ありそうでなかったと思います。
そのため付属のイヤーピース以外を使用する場合はShure用の口径を選択する必要があります。私はストックしていたShure用のSpinFitを使用しました。この細いステムの関係もあり、装着性および遮音性についてはShure製品同様に高く、街中や電車内での使用にはかなり威力を発揮できそうです。


■SE535と異なりリスニングに寄せたチューニング。駆動力のあるDAPやバランス接続でより濃厚サウンドに。


NICEHCK DT300 Pro」を聴いた印象は「Shureっぽい音を相当聴きやすくリスニングチューンされたイヤホン」という感じでした。実際、「NICEHCK DT300 Pro」の周波数特性そのものはフラットに近いものの弱ドンシャリ傾向で「SE535」「SE535LTD」のサウンドとは結構異なります。「SE535」や高域の伸びが強化された「SE535LTD」が完全なフラット傾向のモニターサウンドなのに対し、「DT300」は多少音場感をアップし、より明確にリスニング向けの調整が行われているようです。
NICEHCK DT300高域の伸びの良さが特徴的な「SE535LTD」(赤いほう)が非常に有名なため忘れがちですが、ベースとなった「SE535」(グレーのほう)自体は高域より中低域に寄ったモニターイヤホンです。「SE535」は音場は狭く、響きもかなり抑制されていますが、ひとつひとつの音を精緻に聴き分けることに優れた、まさに「業務用のイヤホン」といった感じです。
いっぽうの「NICEHCK DT300 Pro」は、SE535同様にボーカルなどの中域は近くで定位する、マルチBAらしい解像度高めのサウンドですが、フラットなSE535より中域にわずかな凹みを持たせることでより立体的で奥行きのある音場感をつくり、リスニング的な楽しさを演出しているように感じます。
また製品化段階で追加されたというステム部のフィルターによる効果か、高域はある程度しっかりと表現しつつ刺さりなどはほぼ無いウォームなサウンドにまとめられています。結果的に両社は似たレベルのクオリティを持ちながらもかなり聴いた印象の異なるイヤホンに仕上がっていると思います。「似たレベル」と簡単に書きましたが、SE535やSE535LTDの価格を考えると「NICEHCK DT300 Pro」のお買得度はとても高いように見えますね(^^;)。

ちなみに、標準のグリーンのウレタンイヤーピースは低域の厚さは増すものの明瞭さが多少失われる印象であまり好みではありませんでした。付属のイヤーピースの場合は「Shureぽい」開口部の小さいシリコン製のほうが良い印象だと思いますが、できれば他社製のShure用イヤーピースに交換した方がいいでしょう。前述の通り私はSpinFitを合わせましたが、ウレタン系でもコンプライだとまた少し印象が変わるようです。
NICEHCK DT300また、「NICEHCK DT300 Pro」もSE535同様に敏感なイヤホンのため、再生環境によってはホワイトノイズを発生します(最近は中華系でも低価格のマルチBAが増えており、同様に感度の高いイヤホンも数多くあるので数年前ほどこの点がネックになることは少ないと思いますが)。
しかし、例えば「AK300」など、S/Nは非常に高いかわりに出力がそれほど強くないDAPで「NICEHCK DT300 Pro」のサウンドを聴くと、少しモッサリした雰囲気に感じる場合があります。しかし鳴りの良いDAPでさらにポータブルアンプを使用することで(私は「aune B1 (2017)」を使用)特に中域付近の密度が大幅に向上し、非常に濃いサウンドに感じました。同様にコンパクトDAPのなかでは比較的駆動力の高い「Shanling M3s」等とも相性の良さを感じました。

同様の効果はバランス接続により出力を得やすくすることでも確認することができます。HCKではアマゾンで4芯シルバーメッキの撚り線ケーブルと、赤白の8芯ミックス線ケーブルを販売していますが、「NICEHCK DT300 Pro」をMMCX対応のバランスケーブルにリケーブルするのも使用するDAPがバランス接続対応していれば楽しめると思います。
NICEHCK DT300NICEHCK DT300
他にも以前中華ケーブルのまとめレビューでも紹介している中国「LZ」ブランドのケーブルも比較的買いやすい価格で品質が高くおすすめです。日本では七福神商事さんがブラックの銀メッキ単結晶銅線ケーブルの各仕様を販売しています。ただHCKの赤白ケーブルもLZのブラックケーブルも人気のあるコネクタ仕様は入荷してすぐに売切れてしまうようですので興味のある方は見つけたときに押さえた方が良いかもしれませんね。

NICEHCK DT300あと、これも最近のShureぽい使い方と言えるかどうかわかりませんが、Shureが自社イヤホン用のオプションのひとつとして販売しているLightning対応ケーブル「RMCE-LTG」もMMCX対応なので「NICEHCK DT300 Pro」ともちろん組み合わせることが可能です。もともと「SE846」をはじめとするShureのハイエンド製品での利用も想定したDAC内蔵Lightningケーブルであるため音質面のクオリティがこの手のケーブルの中でも格段に高い反面、組み合わせるイヤホンのインピーダンスや感度がShure製品とかけ離れている場合、極端なハイ上がりな音になる場合もあるちょっと曲者のケーブルです。その点Shure製品と近い「NICEHCK DT300 Pro」との相性は純正並に良く、iPhoneなどでApple Musicを聴く上では最適な組み合わせではないかと思います。


というわけで、「NICEHCK DT300 Pro」は最近の中華イヤホンによる価格破壊的な製品を考えると少し割高にも感じるかもしれませんが、「SE535」をはじめとするShure SEシリーズの製品と比べてさらにリスニング的に楽しめるイヤホンとして、デザイン的にもサウンド的にも派手さは一切ありませんが、非常に高いレベルのバランスを実現していると思います。プラスチックな見た目以上に、なかなか侮れないアイテムかもしれませんよ(^^)。


「Yinyoo H5 Pro」 スタビウッドが美しい5BAイヤホンをEasy最新ケーブル3種類で聴き比べてみた【レビュー】

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Yinyoo H5 Pro

■このシリーズ3種類め。すでにコレクター化してるような・・・(^^;)
というわけで、到着からすでに1ヶ月以上経ってしまいましたが、改めて「Yinyoo H5 Pro」です。昨年後半、イヤホンマニア、特に中華系のイヤホンに興味のある方々で評判となった「低価格で5BAを搭載したクリアデザインのイヤホン」の流れを組む製品の「ちょっと高級になった」バージョンです。「Pro」といっても従来の「H5」と音質的な違いはなく、フェイスプレートによりコストの高いスタビウッドを採用している点がポイントとなっています。

Yinyoo H5 Proすでに以前のレビューでも紹介しているとおり、このシリーズのイヤホンの製造元は複数のブランド向けにイヤホンを供給しており、今回入手した「Yinyoo H5 Pro」は、「Easy Earphones」などの販売元が中心に取り扱う「Yinyoo(音佑)」向けバージョンの「スタビウッド」(スタビライズウッド)製フェイスモデルになります。ちなみに「NICEHCK HC5」のスタビウッドのモデルとは販売元および「ブランド違い」のみで中身は全く同じと考えてよいでしょう。
なお、「Yinyoo H5 Pro」と同じシェルのクリアカラーモデル「Yinyoo H5」(現在はロゴ入りですが私はロゴ無しバージョン)、さらに中華イヤホンの世界では有名ブランドの「MaGaosi」の「MaGaosi K5」を所有しており、それぞれ過去のレビューにて紹介しています。よろしければ併せてご覧ください。
「Yinyoo H5」「Yinyoo H3」 5BA / 3BAのマルチBAドライバーとマルチカラーが楽しいクリアデザイン&高音質イヤホン
「MaGaosi K5」 5BA搭載で驚きの低価格と高音質を実現した中華イヤホン【購入レビュー】

スタビウッドの「Yinyoo H5 Pro」は、現在アマゾンのEasy Earphonesのマーケットプレイス(WTSUN Audio)にて販売されています。国内アマゾン倉庫に在庫がある場合プライム扱いですぐに商品が届きますし、万が一の際もアマゾンの購入履歴からサポート問い合わせ(日本語)が可能ですので安心感がありますね。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo H5 Pro

※下記の通り、現在WTSUN Audioでは2,000円引きで購入できるキャンペーンを実施中とのことです。

またEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に特価情報等もツイートされているためこまめにチェックされることをお勧めします。


■スタビウッド(スタビライズウッド)で一気に高級感を増したクリアデザイン

Yinyoo H5 Pro」もパッケージは最近のYinyooブランド製品共通の同社ロゴ入りケース+ボックス。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro
構成はイヤホン本体、8芯銀メッキ線MMCXケーブル、イヤーピースはシングルフランジとデュアルフランジがそれぞれ3サイズずつとなっています。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro
私は発売直後にAliExpressにて「ブルー」でオーダーしましたが、実際に届いたものはよりグリーンに近い濃いめのターコイズブルーといった感じの色でした。現在販売されているのはアマゾンの表記では「ブルー・Ⅱ」となっており、より青に近いカラーになっているかもしれませんね。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro
ちなみに、スタビウッド(= スタビライズウッド:Stabilized Wood)は自然木をカラーレジンで圧力染色(着色ではない)した素材で、木目によって風合いが異なるため同じ色・模様はひとつとしてありません。またより硬度も高い材質になります。オーディオ的にはギターなどでよく使われているのを見かけますね。

そして、付属の「8芯 銀メッキ線ケーブル」は最近単品でも販売されており、アマゾンおよびAliExpressで購入することができます。最近は2.5mm/4極および4.4mm/5極のバランスコネクタ仕様もアマゾンで選択できるようになりましたので、同じケーブルでバランス仕様に気軽にアップグレードできるのは嬉しいところです。
※Yinyoo 8芯 銀メッキアップグレードケーブル
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 4,890円~ / AliExpress(Easy Earphones) $38.00~$40.00


■5BAの特徴と低コストを両立した定評あるサウンドは健在。リケーブルでの変化は?

さて「Yinyoo H5 Pro」の実際に聴いた印象ですが、何度も書いているとおり、音自体はこれまでもレビューしている「MaGaosi K5」および「Yinyoo H5」といったブランド違い、またはフェイスプレートの仕様違いの各モデルと「同じ音」です。フラット寄りの音質傾向で、広い音場とボーカル映えする明るめのサウンドが特徴的です。改めて聴いても4つの中高域BAドライバーが作り出す情報量が多く「濃い」中高域と、低域を担うKnowles製BAとのネットワークの調整もとても良好な印象を受けます。
Yinyoo H5 ProMaGaosi K5」のレビューの際も触れましたが、同じ5BAのイヤホンでも評価の高い10万円超えの製品の解像度や分離性、または高域の表現などと比べるのはさすがに無理がありますが、リスニングイヤホンとしての完成度は高く、クリアで美しいデザインとあわせてカラーバリエーションをいろいろ使い分けるのも楽しいのではと思います。ちなみに、多くの5BAクラスのマルチドライバーのイヤホン同様に比較的「敏感で鳴りやすい」傾向にあるため、ヘッドホン向けの高出力アンプやスマホのイヤホン端子などではホワイトノイズを多く感じるケースがあります。また出力が強すぎると高域がハイ上がり状態になることもあるので、再生環境はCIEM等にも最適なDAPを利用することをお勧めします。

ところで、「Yinyoo H5 Pro」をはじめとする各バリエーションはMMCXコネクタを採用しているため、気軽にリケーブルできるのも楽しいところです。最近、製品付属と同じ「8芯銀メッキ線ケーブル」以外にもEasy Earphoneでは「Yinyoo」ブランドなどで新シリーズの8芯ケーブルが相次いでリリースされました。
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro」は確かに他のブランドの同じ製造元のイヤホンも音は同じですが、より多くの種類のオプションケーブルを同じブランドで選択できるのはメリットのひとつですね。私も発売された3種類のケーブルを全て購入したため、標準ケーブルとの音の違いを比較してみたいと思います。
なお、今回比較する各ケーブルは、先日「中華ケーブルのまとめレビュー」のYinyooケーブル編にて紹介していますので、よろしければ併せて参照くださいませ。
→ 【その4:Yinyoo/Kinboofi新ケーブル編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました ④

今回の比較でも再生環境はAstell&Kern AK300を使用しました。気がつけば現役で私が使用しているDAPのなかでは最古参ですし、性能インフレの進む現在では割と凡庸なスペックとなってしまいましたが、その無味無臭なサウンドが比較においては安心して使える存在でもあります。特に「Yinyoo H5 Pro」のようなマルチBAとの組み合わせでは十分元気にならしつつ出力が強すぎてハイ上がり気味になる心配もない点は有り難いところです。

【 標準・8芯銀メッキ線ケーブルとの組み合わせ 】
Yinyoo H5 ProYinyoo H5 Pro」および「H5」などのサウンドを補完している付属の8芯銀メッキ線ケーブルは典型的な中域の情報量を中心にフォーカスするタイプ。今回のケーブルの中では刺さりが少ない方のケーブルでクオリティは十分に高いと思います。また非常に柔らかく、装着時の取り回しが良いのも特徴的です。多くのケースではリケーブル無しでも十分に楽しめると思います。いっぽうで高域部分には若干の粗さがあり、「H5」「H5 Pro」では出力の強いDAPたと雑味を感じる可能性もありますね。この辺は同じケーブルでも上記の2.5mm/4極または4.4mm/5極仕様に換えてバランス接続することで分離性が良くなり多少印象が変わってくると思います。

【 GXX4728/8芯 銀メッキコート線&単結晶銅線ミックスケーブル 】
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00

Yinyoo H5 Pro高品質な銅線と銀メッキ線のミックスケーブルはケーブルの情報量アップ、分離性向上を比較的低コストで効率よく行える特徴がありますが、このケーブルも「Yinyoo H5 Pro」および「H5」との組み合わせではひとつ膜が取れたようなメリハリの向上があります。標準ケーブルより解像度がアップし、より近くで定位する印象を受けます。さらにこのミックス線との組み合わせでは高域の明瞭さがもっとも顕著に表れるため「高域好き」な方には最も良い選択肢になるのではと思います。ただしDAPによっては結構アグレッシブな音になるので刺さりを気にする方は注意が必要かも。ただAK300の出力ではこれくらいがちょうど良いくらいの印象でした。

【 GXX4726/8芯 高純度銅線ケーブル(錫メッキ) 】
Amazon.co.jp(WTSUN Audio)  6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00

Yinyoo H5 Pro落ち着いたブラウンの色合いがスタビウッドの「Yinyoo H5 Pro」といちばんマッチしそうなカラーのケーブルです。こちらはケーブルのクオリティが向上することで上記のミックス線同様にメリハリが良くなり少し近くで定位しますが、同時に中低域の厚みが向上する印象です。「Yinyoo H5 Pro」「H5」との組み合わせではミックス線より落ち着いた印象のサウンドとなるため、ボーカル曲に加えてジャズなど演奏を楽しみたい方に向いていそうですね。今回の3種類のアップグレードケーブルの中ではいちばん柔らかく、標準ケーブルより少しだけ硬い程度なので取り回しが良いのもメリットだと思います。

【GXX4725/8芯 銀メッキコート線ケーブル  】
Amazon.co.jp(Kinboofi) 6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00

Yinyoo H5 Proこちらは「Kinboofi」のブランドでアマゾンでは同マーケットプレイスで販売している8芯銀メッキコート線ケーブル。今回の3種類のアップグレードケーブルの中ではもっともナチュラルな音質傾向のケーブルで、「Yinyoo H5 Pro」「H5」のサウンドをよりクリアに聴かせてくれる印象です。他のアップグレードケーブル同様に分離性が向上しより近くで定位します。標準ケーブルで感じた高域部分の雑味も減少し明瞭感が向上します。特に強い味付けはありませんが、リケーブルによるグレードアップで「Yinyoo H5 Pro」「H5」のポテンシャルを発揮させるためのケーブルとしては最適な組み合わせだと思います。


というわけで、みたびの「Yinyoo H5 Pro」のレビューとなりましたが、リケーブルによってこのイヤホンの奥深さを改めて実感しました。スタビウッドの「H5 Pro」モデルはこのレビュー掲載時点でAliExpress側では在庫切れになっており、もしかしたらアマゾンで販売しているのも限定数で終了、ということかもしれません。
Yinyoo H5 Proもともとクリアボディのハウジングが非常に美しいビルドクオリティの高いイヤホンでしたが、「H5 Pro」モデルではその美しさにいっそう磨きがかかっており、より高級なイヤホンと並べても遜色ない仕上がりに感じます。サウンドもモニターライクではないものの、リスニングイヤホンとしてジャンルを選ばない音質傾向はとても使いやすく感じます。また思いのほか装着性が良いことも見逃せないポイントだと思います。もしこのイヤホンの購入を悩んでいる方がいらっしゃったら、無くなる前に押さえておいた方が良いかもしれません。比較的低コストで所有する満足感は十分に得られるイヤホンだと思いますので。

※その他「Yinyoo HQ」および「Yinyoo H」シリーズのレビューについてはこちらをご覧ください。
→ 過去記事(一覧): 「Yinyoo HQ」シリーズ/「Yinyoo H」シリーズ・マルチBAイヤホン



Acoustune 「HS1551 CU」「HS1501 AL」&「HS1004」「HS1005」 各モデルを一気にお借りして聴いてみた【レビュー】

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Acoustune

香港発の音響機器専門ブランド「 Acoustune 」(アコースチューン)さんから、同社イヤホンの4機種を一気にお借りすることができました。過去にイベント等で少しだけ試聴したことがありましたが、改めて聴かせてもらうのは今回が初めてとなります。今回お借りしたのは
  • HS1551 CU」(バーガンディ×ゴールド)
  • HS1551 AL」(グランブルー×シルバー)
  • HS1004」(ブラック)
  • HS1005」(シェーディングシルバー)
の4モデルです。今回は「HS1551 CU」「HS1551 AL」の2機種を中心にじっくり聴かせて頂きました。


■まずは「HS1551 CU」 & 「HS1501 AL」、独創的デザイン&独自ドライバーのダイナミックイヤホン

というわけで、最初はHS1500シリーズの2機種。ひときわ目を引くメカニカルで独創的なデザインが特徴的なイヤホンです。上位モデルの「HS1551 CU」も下位機種の「HS1501 AL」もモジュール構造のデザインのデザインを採用していて、赤または青のアルミ切削のハウジングの中央で存在感を示している音響チャンバー部(ドライバーを格納)が真鍮製モデルが「HS1551 CU」、アルミ製が「HS1551 AL」となっています。どちらも同社独自の「ミリンクス振動膜」を更に薄膜化した第3世代バージョンの10mmダイナミックドライバーをシングルで搭載し、同社のダイナミックドライバーに対する並々ならぬ思いを感じますね。
Amazon.co.jp: Acoustune  HS1551 CU49,800円(税込)
Amazon.co.jp: Acoustune  HS1501 AL44,800円(税込)

Acoustune
カラーバリエーションは「HS1551 CU」が「バーガンディ×ゴールド」(赤と金)と「グランブルー×ゴールド」(青と金)、「HS1551 AL」は「グランブルー×シルバー」(青と銀)のみとなります。
ちなみにこのデザイン、私は結構好きです。金属ハウジングの重量感のあるデザインですし、後述の通り、とにかくこだわり抜いた「超ごつい」ケーブルもあって「屋外で気軽に」というわけにはちょっと行かないですが、まあカッコイイは正義です(笑)。
AcoustuneAcoustune
しっかりとしたアタッシュケースふうのボックスの中には、これまた相当にごついケーブルが装着されたイヤホン本体、レザー製のイヤホンケース、ケーブルタイが革製とマジックテープタイプの2種類。イヤーピースは最近イヤホン好きの間では結構おなじみの「ATE07」(開口部の大きい方・ブルー)と「ATE08」(同じく小さい方・イエロー)がS/M/Lの各サイズ、さらにデュアルフランジタイプ(ATE06)とウレタンタイプ(ATE02)が1種類ずつと、なかなかの充実っぷりです。この構成内容は「HS1551 CU」だけでなく「HS1551 AL」のほうも共通です。
付属の「超ごつい」MMCXケーブルは、サイトの情報によると「極細線OFCワイヤー114本3重シールドと共に編組したケーブル」の4芯線とのことですがなかなかの存在感を感じます。
AcoustuneAcoustune
また今回お借りしたセットには、別売りの2.5mm/4極と4.4mm/5極のバランスケーブルも同梱頂きました。最近イヤホンケーブルをやたら購入している私も思わず「じゃあケーブルだけでも買おうかな」とちょっと思ったりしています(^^)。それぞれのケーブルは専用ケースとセットで1万3千円~1万5千円程度で販売されています。
・Acoustune MMCXリケーブル ARC01(3.5mmステレオ)ARC02(2.5mmバランス)ARC03(4.4mmバランス)

Acoustune私はイヤーピースは開口部の大きい「ATE07」を使用しました。今回付属しているイヤーピースのなかではもっともイヤホン本体の音質傾向をダイレクトに感じるタイプです。ちなみにイヤーピースによる変化はATE07 < ATE08 < ATE06(デュアルフランジ) < ATE02(ウレタン)の順で低域が強く感じます。
装着感はシュア掛けでは個人的には思ったより問題ありませんでした(本体形状的にはシュア掛けせずに装着することも可能ですが耳に当たる部分があるためおすすめしません)。心配した「ごつい」ケーブルはけっこうクセが強めですが、シュア掛けで耳にケーブルをまわす際も変に跳ねたりすることはありませんでした。もしかしたら貸出し期間のうちに「こなれてきた」のかもしれませんね。とはいえ、歩き回ったりすると外れてしまう可能性もあるかもです。


■「HS1551 CU」 / 低域が印象的ながら優れた分離性でバランスの良い上品なサウンド

というわけで、早速2つのイヤホンを聴いてみたいと思います。
HS1551CUまず上位モデルの「HS1551 CU」の聴いた印象ですが、非常に中低域が上質なイヤホンだと感じました。とはいえ高域もしっかり表現できており、全体的にとても丁寧に音を表現しているように思います。メカメカしいデザインとごついケーブルなどの全般的な見た目に対してサウンドはとてもウォームで、イヤホンらしからぬ包み込むような音場の広さが印象的です。そして「HS1551 CU」で最も特徴的な低域は深く響き、しっかり沈み込みます。とはいえ全体的に分離感にとても優れているため、とても締まりが良く中高域の抜けの良さを感じます。解像度はこのクラスのイヤホンとしては十分に高いもののどちらかといえば自然な描写に近い印象です。
全体的なサウンドとしては臨場感のある低域に加えて中高域の情報量も多く、かなり濃厚なイヤホンだと思います。また高域は刺さるような音ではないので、まとまりのある「聴きやすい音」だと思います。

ところで、「HS1551 CU」のインピーダンスは32Ω、感度110dB/mWとイヤホンとしては一般的でどのようなプレーヤーでも鳴らしやすいスペックです。ここで、より出力のあるDAPやポータブルアンプを利用することでより濃さが増したサウンドを実感します。印象としては低域の臨場感に加えて全体的な情報量もアップしより近くで定位します。
HS1551CUHS1551CU
また、オプションのバランスケーブルによるバランス出力ではサウンドのキレがアップし、より鮮やかなサウンドになりました。ただしDAPによっては低音が強くなりすぎるような印象もありました。


■「HS1501 AL」 / より響く重低音と厚みを増した中域でボーカル映えするサウンド

いっぽうの「HS1501 AL」のほうですが、こちらはチャンバー部分もアルミ製ということもあり、真鍮製の「HS1551 CU」より本体そのものはかなり軽い印象をうけます。もっとも例の「ごついケーブル」を付けた状態では両方の違いはあまり感じず、装着感もほぼ同様です。
HS1501ALHS1501 AL」と「HS1551 CU」の違いは基本的にチャンバー部分の材質ですが、ここが真鍮からアルミに変わることで全体的な締まりや分解能、中高域の鮮やかさなどの部分が「HS1501 AL」のほうが弱くなります。アンバランスの出力がフラットなDAPの場合、両方を比較するとすこし膜がかかったような印象に感じることもありました。しかし、いっぽうで「HS1501 AL」は重低音がかなり分厚くなっており、DAPによっては演出過剰気味の響き方をします。同時に中域、特にボーカルなどの帯域も厚くしている印象です。「HS1501 AL」は「HS1551 CU」に比べてよりポップスやロックなどのボーカル曲が映えるようなセッティングになっているようです。また高域の伸びは「HS1551 CU」と比べると少なめの印象です。

さらに「HS1501 AL」もポータブルアンプや据置きヘッドホンアンプなど出力を確保できる環境ではこの傾向はより顕著となり、かなり中域押しのサウンドになります。再生側の出力による変化は「HS1501 AL」のほうが大きく、曲によっては多少聴き疲れするかもしれません。バランス接続では多少解像度の向上が確認でき、ジャズなどでは定位感がよりしっかりした印象となりました。
HS1501ALHS1501AL
やはり「HS1551 CU」を聴いた後だと性能差を感じずにはいられませんが、「HS1501 AL」も全体としては非常に聴きやすいイヤホンであることには変わりなく、より気軽にボーカル曲を楽しみたかったり、低域の厚みや音場の広がりをしっかり実感できるイヤホンだと思います。また曲のジャンルとしてはポップスやロック、アニソンなどが向いているのですが、個人的には「fripSide」の曲は「HS1501 AL」のほうが相性の良さを感じたのが印象的でした(「HS1551 CU」だとすこしボーカルが凹んでしまったので)。


■正統進化の源流を感じる「HS1004」と他とは異なるキラキラした高域が印象的な「HS1005」

また、今回お借りしたセットのなかには、Acoustuneの既存モデル「HS1004」と「HS1005」も同梱頂いていました。どちらもひとつ前の世代の同社製10mmのシングルダイナミックドライバーを搭載する金属ハウジングのイヤホンです。

まず「HS1004」を聴いた印象は、上記のHS1500シリーズにつながるAcoustuneの直系を感じさせるサウンドバランスです。こちらのほうがインピーダンス16Ω/感度110dB/mWと少し反応が良いため「Shanling M3s」などのようにコンパクトながら駆動力のあるDAPではより元気なサウンドに感じます。改めて「HS1551 CU」「HS1501 AL」で、より「上品なオトナなサウンド」にアップグレードしたのだなというのを感じますね。
HS1004HS1005
いっぽうの「HS1005」ですが、他の3つ同様にすっかり中低域メインのイヤホンと思って聴いたところ、他とは全く異なり「高域をしっかり攻めるタイプ」だったのでちょっと意表を突かれました。同社の「HS1003」を2.5mmバランスコネクタにしたバージョンという認識なのですが、非常に伸びの良い高域で金属イヤホンらしいキラキラした音の出るイヤホンでした。いっぽうで中低域も「HS1004」同様の元気の良さがあり、とても楽しいイヤホンですね。ただしDAPの出力が高いと刺さりが強くなりバランスが崩れてしまう傾向もあるようです。


Acoustuneというわけで、Acoustune の4種類のイヤホンを約2週間お借りしてそれぞれのサウンドをたっぷりと堪能することができました。今回のような機会をご提供くださった同社および支援をされている方々には改めて感謝を申し上げます。
今回紹介したHS1500シリーズについては2月に新機種の「HS1503 AL」という「HS1501 AL」の流れを組みつつより高域にフォーカスしたモデルが発売されました。「HS1551 CU」「HS1501 AL」が中低域メインでとても好印象のイヤホンでしたので、新モデルでどのような変化を遂げているかも気になるところです。今後のモデルについても機会があれば是非とも聴いてみたいと思っています。


「AAW ACCESSPORT」 Lightning対応オーディオアダプタの実力を「nano iDSD BL」「Mojo」と比較してみた【購入レビュー】

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AAW ACCESSPORT

このところ私のブログも中華イヤホンや中華イヤホンケーブルなど中華ネタが主流になっている感じも強いのですが、かの中国も春節休みに入っていることもあり、今週は違う内容で書こうかと思っています。というわけで、今回紹介するのはLightningコネクタ対応、iOSデバイス用のオーディオアダプタ「AAW ACCESSPORT」です。

AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT」は、シンガポールのCIEMを中心としたオーディオメーカー「AAW (Advanced AcousticWerkes)」社と米国「ADVANCED」社のコラボ製品で、もともとADVANCED社より「ADVANCED Accessport Lightning」という商品名で日本国内でも別の代理店より販売されています。今回の「AAW ACCESSPORT」はeイヤホン(株式会社TMネットワーク)が国内総代理店として輸入販売を行っているモデルになります。

なお、AAW社からはMMCXまたはCIEM 2pin仕様のイヤホン用のDAC内蔵Lightningケーブル「AAW CAPRI」も販売しており、私も以前購入しレビューを行っています。こちらとの音質の違いも気になるところです。
→ 「AAW CAPRI 1.2」2pin対応Lightningケーブルと相性のよいイヤホンを探してみた【購入レビュー】


■「AAW ACCESSPORT」を実際に購入してみた。

AAW ACCESSPORT」の国内版の販売価格は7,020円(税込み)でeイヤホンおよび同社が出店しているネットショップで購入が可能です。
AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
パッケージの内容は「AAW ACCESSPORT」本体、ユーザーガイド、国内版の保証書。本体は、凹凸のある方の面は「ADVANCED」、フラットのほうの面は「AAW」のロゴがLightningコネクタに記載されており、本体側もそれぞれの意匠が記載されたデザインになっていて、デュアルブランドの製品であることがわかります。
AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
AppleのMFi(Made For iPhone/iPad/iPod)認証を取っているLightningオーディオアダプタの多くは3.5mmのステレオミニ端子のみの製品がほとんどですが、「AAW ACCESSPORT」はLightningケーブルを接続するポートも備えており、「充電しながらの使用」ができる点は日常使いをする方からは有り難い仕様ではではないかと思います。また側面には再生・停止・音量・曲送りなどを行うボタンがついています。
AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
実際にiPhoneなどのiOSデバイスに接続して使用する場合、「AAW ACCESSPORT」のみを接続しただけでは特に反応せず、3.5mmステレオミニ端子にイヤホン・ヘッドホンを接続してからONになる仕様となっているようです。

AAW ACCESSPORT」をまず最初に接続した際、専用アプリのダウンロードが促されます。いったんキャンセルしてもそのまま使用することが可能ですが、以降は同様のアラートは表示されないため、専用アプリは個別のインストールが必要になります。「AAW ACCESSPORT」のファームウェア更新専用アプリはApp Storeで「Advanced Sound」と検索すると表示されます。
iTunes Store(日本): Advanced Sound

AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
ファームウエアの更新方法はとても簡単で、専用アプリを起動し、「AAW ACCESSPORT」を接続すると、更新が必要な場合指示が出ますので「↓」マークをタップしてアップデートを行います。アップデートが完了すると「✓」マークに変わるので、いったん「AAW ACCESSPORT」を取り外し、アプリを終了します。
この記事を書いている時点のバージョンでは「V1.1.4」が最新でした。


■高出力で大抵のヘッドホンで威力を発揮。ただイヤホンには不向き

AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT」はインピーダンス300Ωのヘッドホンにも対応する高出力とのことで、実際に試したところ手持ちの大抵のヘッドホンで実力を発揮することができました。もちろん高い出力を行えばそれだけiPhoneなどの接続するデバイス側のバッテリ消費が進むわけですが、ここでLightning端子による「充電しながら使用」ができるという点が意味を持ってきます。ちなみに、「AAW ACCESSPORT」のDAC仕様は24bit/96kHzとなっていますが、AppleのLightningコネクタの出力制限(LAM=Lightning Audio Module)の仕様により、「HF Player」や「NePlayer」などのハイレゾ対応のiOS再生アプリからでも24bit/48kHzでの出力が最大となります(この辺は「AAW CAPRI」も同様ですね)。これらのハイレゾ対応のプレーヤーで例えば24bit/96kHzの音源を再生しても48kHzにダウンサンプリングして再生されます。また、上記のファームウェアのアップデート実施後もハイレゾ再生の24bit/48kHz制限は特に変化はありませんでした。

AAW ACCESSPORT」を使用した際の印象はスマートフォン用のオーディオアダプタに比較的多い明るめのサウンドにするタイプですが、味付けはナチュラルでヘッドホン・イヤホンの個性を活かすタイプです。
AAW ACCESSPORTこの辺は以前レビューした「AAW CAPRI」とも似た傾向のようです。iPhone 6sまでのステレオミニ出力がついていた機種で直挿した場合と比較すると歪みが激減し、雑味の少ないスッキリしたサウンドへの変化を大きく実感すると思います。もちろんiPhone7以降に付属のLightning-ステレオアダプタとの比較でも十分に導入効果を実感できるはずです。また「AAW ACCESSPORT」は過去に購入したMFi準拠の小型オーディオアダプタと比較すると明らかに駆動力があり、音の濃さや音場の広さはバッテリ稼働するDACやポータブルアンプを接続したときに匹敵するほどのサウンドを実現しています。
いっぽう、「AAW ACCESSPORT」は高出力が確保できる分、CIEMなどの敏感なイヤホンでは接続した瞬間から大量のホワイトノイズが発生します。これはダイナミック型でも「TFZ EXCLUSIVE KING」など比較的反応の良いイヤホンでも同様で、一般的なイヤホンでも多少のホワイトノイズは感じるようです。なお、「AAW CAPRI」についてはかなり敏感なCIEMでもノイズの無いサウンドが使用できますので、同社としてはこの辺で「使い分け」を想定しているのかもしれませんね。

AAW ACCESSPORTいっぽう、ヘッドホンでの利用では多くのヘッドホンで十分な出力と歪みの非常に少ないサウンドを確認できました。300Ωまでの対応とのことですが、いちおう手持ちの最も鳴りにくいインピーダンス600Ωの「AKG K240 Monitor」というとても古いヘッドホンでも最大音量近くまでボリュームを上げる必要はありましたがほぼ普通に使用することができました。ただ、これらのヘッドホンを使用すると結構なスピードでiPhone側のバッテリは消費してしまいましたが・・・。このように「AAW ACCESSPORT」はヘッドホンと一部の高インピーダンス&低感度のイヤホン専用のオーディオアダプタと考えた方が良さそうです。


■「AAW ACCESSPORT」の音質を「nano iDSD BL」および「Mojo」と比較してみた。

さて、とりあえず「高出力でヘッドホン向き」であることがわかった「AAW ACCESSPORT」ですが、実際の音質はどの程度のレベルなのかというのが気になります。そこで、iFI Audioの最新モデル「nano iDSD BL」と、毎度おなじみCHORD「Mojo」の英国勢スマホ対応DACの2強(笑)と比較してみました。
nano iDSD BL  
さすがに7,000円ほどの「変換ケーブル」然とした「AAW ACCESSPORT」をこの2つと比較するのは酷な気もしますが、実際の利用では、どの程度この辺の機種の代替となり得るかと言う点がポイントではないかと思っています。比較に使用したヘッドホン・イヤホンはAKG「K712 Pro」とHIFIMAN「RE2000」、音源はApple Musicのストリーミングと「NePlayer」によるFLAC(16bit/44kHz、24bit/48kHzハイレゾ)です。

まずAKG「K712 Pro」を使用しての印象ですが、「AAW ACCESSPORT」はこのクラスのヘッドホンにも十分に対応する出力とはいえ、比較するとやはり「駆動力の差」を大きく実感しました。
AAW ACCESSPORTそもそも圧倒的な高出力を持つ「Mojo」や、「BL」にモデルチェンジし、デュアルモノアンプを搭載することで劇的な出力向上を果たした「nano iDSD BL」との差は、聴いた印象として如実に表れます。同程度の音量の場合、これらのDACで聴いた後に「AAW ACCESSPORT」で聴いてみると、どうしても多少平坦な音に感じ、エッジが少しぼやけたような印象になります。ただAKGのK700シリーズはスペック以上に「鳴りにくい」ヘッドホンと言われており、購入時当時は手持ち機材では十分に出力の取れる据置きのDAC/ヘッドホンアンプでようやく満足のいく音が出るといった感じでした。それを考えると「AAW ACCESSPORT」はよく善戦している方だと思います。

いっぽう、HIFIMAN「RE2000」ですが、こちらは高級イヤホンということもあり、ヘッドホン並みの反応のためホワイトノイズはもちろん発生しません。「nano iDSD BL」との比較では、音場は「AAW ACCESSPORT」が同程度の広さを確保できており、サウンドバランスもフラットでよく似た傾向にあります。ただし「nano iDSD BL」のほうが高域のキレが良くスッキリした印象なのに対し、「AAW ACCESSPORT」は少し大人しめに感じます。
AAW ACCESSPORT特徴として高域のS/Nが非常にクリアな「nano iDSD BL」は「AAW ACCESSPORT」より空気の膜を少し取って一歩近づいたような明瞭感を感じます。とはいえ「AAW ACCESSPORT」も十分に「RE2000」の特徴を活かしており、駆動力的にも音質的にも相性が良い印象を受けます。
そして、「Mojo」と「AAW ACCESSPORT」を比較すると、音場は「Mojo」が少し狭く響きを抑えた印象で中域がより前方に定位します。「Mojo」は弱カマボコ気味の中域推しの傾向が強いDACですので、どうしても「Mojoの音」になります。ただし、特に中域の情報量というか、解像度という点では、独自のデジタル処理を持つ「Mojo」が圧倒的な強さを見せる部分で、特に「NePalyer」によるFLAC音源の再生では(アップサンプリングOFFの設定でも)より違いを実感しました。この辺は傾向が全く異なるため「結構好みによる」のではという印象でした。


というわけで、「AAW ACCESSPORT」はホワイトノイズの問題もありイヤホンでは実用的な機種が限られてくるものの、iOSデバイスでヘッドホンを気軽に使いたい、特に外出先でヘッドホンを使用する方にはとても便利なアイテムではないかと思います。「俺はワイヤレスより有線だ!!」というヘッドホン愛用者の方は一度検討してみるのも良いと思いますよ(^^)。

【新製品】AAW ACCESSPORT MFI取得 ハイレゾ対応DAC iPhone、iPod用DAC

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【Yinyoo/Kinboofiケーブル編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました Part5 ※追記あり

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Yinyoo Cable

※2018年4月20日:2月以降に購入したケーブルを追記しました。

昨年から想像を遙かに超えて好評を頂いている中華イヤホンケーブルのまとめレビューですが、とうとう第4弾となります。今回は2017年秋頃からEasy Earphonesの販路を中心に精力的に展開を続けている「Yinyoo(音佑)」ブランドで相次いで発売された新たな8芯ケーブルです。またアマゾンで同様に販売を強化している「Kinboofi」ブランドでも新製品が登場しています。

中華イヤホンケーブルの種類については「解説編」にて、ケーブルの線材の種類や特徴を簡単にまとめておりますのであわせてご覧ください。

また好評につき中華ケーブルの「まとめレビュー」も本記事も含めてこれまでに4つの記事で紹介しています。よろしければこちらもあわせてご覧ください。

■YinyooおよびKinboofiブランドの8芯ケーブル(GXX型番)

【銀メッキコート線ケーブル】
[ GXX4726 ] Yinyoo 8芯 銀メッキ高純度銅線アップグレードケーブル(ピンク)
Yinyoo 8 Core Silver Plated Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
Yinyoo CableYinyoo Cable
新しく発売されたYinyooブランドの8芯ケーブルのシリーズの銀メッキ高純度銅線ケーブル。こちらはピンクの銅線色のケーブルで次のKinboofiのシルバーの代わりに発売されたケーブル。比較的柔らかく取り回しは良好です。銅線色のケーブルですが、音質的には銀メッキ銅線らしくフラットで明瞭感をアップさせるタイプ。高域の伸びも良いです。中低域をアップしたい場合は上記の「錫メッキ銅線」のほうがよいでしょう。

[ GXX4725 ] Kinboofi 8芯 銀メッキ高純度線アップグレードケーブル(シルバー)
Kinboofi Tin Plated Copper Silver Cable 2.5/3.5/4.4 Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(Kinboofi) 6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones)
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
KinboofiKinboofi
上記のYinyooブランドの新しい8芯ケーブルと同時に発売された銀メッキ銅線ケーブル。こちらは「Kinboofi」ブランドのため、アマゾンではKinboofiのマーケットプレイスでの販売となります。一般的な銀メッキコート線とは異なる線材で表皮は樹脂素材となっていますが、比較的柔らかいため思ったほど取り回しは悪くありません。銀メッキコート線としての品質は高く、音質的には明瞭感がアップのタイプで、中高域の抜けが向上しメリハリが良くなり、ボーカルが少し近くで定位する印象となりました。特にイヤホンの種類に関係なく使用できリケーブルの効果が実感できる点で、このシリーズのケーブルのなかではもっとも汎用性が高く気に入っています。なお、このケーブルについては別途レビューにて紹介しています。
→ 「Kinboofi 8芯銀メッキ銅線ケーブル」 高級イヤホンでも実力を発揮する使い勝手の良い高品質中華リケーブル【レビュー】

【銀メッキコート/銅線ミックスのイヤホンケーブル】
[GXX4728 ] Yinyoo 8芯 高純度銀メッキ線&単結晶銅ミックスケーブル
Yinyoo 8 Core Silver Plated Copper Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
YinyooYinyoo
新しく発売されたYinyooブランドの8芯ケーブルのシリーズのミックス線ケーブル。今回新しく発売されたYinyoo/Kinboofiの8芯ケーブルのなかでもっともアグレッシブな印象を受けるケーブル。全体的に解像度・明瞭感が向上すると同時にイヤホンによっては高域の伸び(場合によっては刺さり)がアップする傾向があります。特に高域の刺激をアップさせたいイヤホンと合わせると効果的だと思います(逆に高域が強すぎるイヤホンと合わせるとなんというか、ドM仕様になるかも・・・^^;)

【高純度銅線のイヤホンケーブル】
[ GXX4726 ] Yinyoo 8芯 錫メッキ高純度銅線ケーブル
Yinyoo 8 Core Tin Plated Copper Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 6,900円~ / AliExpress(Easy Earphones) $55.00~$60.00
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
YinyooYinyoo
新しく発売されたYinyooブランドの8芯ケーブルのシリーズの錫(すず)メッキ高純度銅線ケーブル。こちらは定石に則って全体的な明瞭感をアップさせつつ中低域に厚みを持たせるタイプ。マルチBAなどでもう少し中低域の響きが欲しいときに組み合わせると相性がよさそうです。ボーカルもすこし近づきますので聴きやすいケーブルでもあります。高域が刺さるイヤホンと合わせて中低域の厚みを増し聴きやすくする用途にも最適です。


■Yinyooブランドの柔らかいタイプの8芯ケーブル(YYX/KBF型番)

【銀メッキコート線ケーブル】
Yinyoo 8芯 銀メッキアップグレードケーブル
New Yinyoo 8 Core Upgraded Silver Plated Cable 3.5mm Earphone Cable With MMCX/2pin
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 4,890円~ / AliExpress(Easy Earphones) $33.25~$35.00
【 MMCX 】【 2pin ※】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
YinyooYinyoo
低価格の8芯銀メッキ線ケーブル。MMCX版は「Yinyoo H3/H5」等に付属するケーブルと同じものです。味付けのほぼ無いスッキリした印象のケーブルで低コストで8芯ケーブルへのリケーブルを考えている方には最適。リケーブル効果は中域の情報量アップが中心の丸めの音で「Yinyoo H3/H5」のようなマルチBAはもちろん、メリハリのあるハイブリッドとの相性も良好かもしれませんね。ただし過激より聴きやすい音が好みの方に向いていると思います。非常に柔らかいケーブルなので取り回しも良いと思います。3.5mmステレオコネクタのものはシュア掛け用に耳かけ部分には樹脂製の被膜で成型されています。※こちらのケーブルの「2pin」コネクタはqdc製品のコネクタ仕様と同様になっており、「CIEM 2pin」とはピンの極性(+/-)が逆になっています。ただ実際の利用では左右で極性が同じであれば基本的に音質面には影響ないためどちらのケーブルも問題なく利用できます。

また、この8芯ケーブルにはEasyおよびKinboofiよりカラーバリエーションも販売されています。

ブラック ( Yinyoo / YYX4732 ):   
Yinyoo 8Core Silver Plated Black Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 4,890円~ / AliExpress(Easy Earphones) $35.63
YYX4732YYX4732
ブルー ( Yinyoo / YYX4733 ):   
Yinyoo 8 Core Silver Plated Cable 2.5/3.5/4.4mm Blue Cable With MMCX/2pin Connector (Blue)
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 5,390円~ / AliExpress(Easy Earphones) $38.00
YinyooYinyoo
イエローゴールド ( Kinboofi / KBF4735 ):
Kinboofi 8 Core Silver Plated Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector (yellow)
Amazon.co.jp(Kinboofi) 5,200円~ / AliExpress(Easy Earphones) $38.00
KinboofiKinboofi
ピンク&シルバー ( Kinboofi / KBF4736 ):
Kinboofi 8 Core Silver Plated Cable 2.5/3.5/4.4mm Balanced Cable With MMCX/2pin Connector (pink)
Amazon.co.jp(Kinboofi) 5,200円~ / AliExpress(Easy Earphones) $38.00
KinboofiKinboofi


Yinyoo 4芯 銀メッキアップグレードケーブル( YYX4729 ) 
New Yinyoo 4 Core Upgraded Silver Plated Cable 3.5/2.5/4.4mm Earphone Cable
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 3,200円~ / AliExpress(Easy Earphones) $28.00~$30.00
【 MMCX 】【 2pin ※】【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】
YinyooYinyoo
上記の8芯タイプとよく似た柔らかい線材の4芯タイプ。上記の8芯タイプよりしっかり編み込まれているためより多くのイヤホンで利用できると思います。8芯タイプと異なりストレートタイプのイヤホンでも使えますが、2pinタイプは極性が判別できない問題があります。HCKの6Nケーブルと同一の製造元と思われます。※現在は片方にブルーのマークが付いているため判別できるようになっています。なお、こちらも8芯同様2pinはqdc仕様の極性のため、マークが付いている方のピンが「-」です。
音質的には上記の8芯ケーブルとよく似た傾向で解像度は僅かに落ちますが同様に明瞭感のあるケーブルです。KZのイヤホン(ES3/ZSR/ZS5/ZS6)やYinyoo Pro/HCK Broなど「メリハリのある音」のイヤホンと相性が良いと思います。とりあえず低コストでバランス接続をしたい、という方にまずオススメのケーブルです。

また、この4芯ケーブルもEasyおよびHRCASEよりカラーバリエーションも販売されています。

ブラック ( Yinyoo / YYX4732 ):   
Yinyoo H3 H5 4 Core Upgraded Silver Plated Black Cable 3.5/2.5/4.4mm Earphone Cable
Amazon.co.jp(WTSUN Audio) 3,200円~ / AliExpress(Easy Earphones) $24.38
YYX4731YYX4731

ブラウン( Wooeasy / YYX4734 ):
Wooeasy 4 Core Upgraded Silver Plated Cable 3.5/2.5/4.4mm Earphone Brown Cable
 AliExpress(Easy Earphones) $26.00 / Amazon.co.jp(HRCASE) 3,200円~
YYX4734YYX4734


というわけで、YinyooブランドおよびKinboofiは現在も精力的に新製品の展開を進めているため、今後も新しいケーブルが登場する可能性があります。私のブログでも可能な限りこれらの新商品を追いかけながら、今期時もアップデートしていきたいと考えています(^^)


【LZ製ケーブル編】 中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました Part4 ※再構成しました

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LZ Cable

※この記事は2017年11月9日に掲載した「中華イヤホンケーブルをまとめてレビューしてみました ② 【Easy Earphones編】」よりLZ製ケーブルに関する部分を抜粋し追記の上再構成しました。

というわけで、①「解説編」、②「HCK編」、③「Easy Earphones編」ではそれぞれのセラー(販売店)が自社ブランドで取り扱う中華イヤホンを中心に紹介しました。今回は中国のメジャーなイヤホンブランドのひとつであり、同時に精力的にアップグレードケーブルを販売している「LZ」ブランドの各バリエーションを紹介したいと思います。同社のシリーズは8芯の高品質ケーブルで線材も「銀メッキ線」「高純度銅線」「ミックス線」の各材質のバリエーションが現在日本でも購入可能です。

中華イヤホンケーブルの種類については「解説編」にて、ケーブルの線材の種類や特徴を簡単にまとめておりますのであわせてご覧ください。

なお好評につき中華ケーブルの「まとめレビュー」も本記事も含めて現在のところ4つの記事で紹介しています。よろしければこちらもあわせてご覧ください。

■ケーブルの材質の違い
詳細は①の解説編にて紹介していますが、イヤホンケーブルは線材の材質による分類ができます。今回紹介してるケーブルの材質は主に以下の通りです。

「銀メッキコート線ケーブル」
銀メッキ処理を施した銅線ケーブルです。イヤホンリケーブル用のアップグレードケーブルでは最も多く使用される線材ですが、それ故に前編に記載の通り音質は千差万別。材質ではほぼ特性を語れなくなっているともいえます。

高純度銅線のイヤホンケーブル」
いわゆる「銅線」ケーブルで、イヤホンの標準ケーブルで一般的に使用される線材。アップグレードケーブルではより高純度の無酸素銅(OFC)線またはさらに高純度の単結晶銅線が使用されます。高純度銅線の一般的な傾向は中低域の厚みが増す、よりエッジの際だったアグレッシブな印象になる、などです。

銀メッキコート線(または銀線)/銅線ミックスのイヤホンケーブル」

銀メッキ線(または銀線)の特徴と高純度銅線の相互の特徴をミックスすることで「いいとこ取り」をしたケーブル。適度な厚みと解像度の高さが特徴的です。


■LZ製アップグレードケーブル
中国で比較的高価格帯のイヤホンを製造しているイヤホンブランド「LZ (老忠)」のアップグレードケーブルです。元々は同社製イヤホン向けのためMMCXコネクタの製品が中心ですが、最近のモデルではCIEM 2pinタイプのケーブルも販売しています。
割安感のある中華ケーブルのなかでもLZ製アップグレードケーブルは販売価格に対しての品質が非常に抜いて高く、また8芯線である程度の太さがあるものの柔らかく取り回しのよいケーブルでより多くのイヤホンで利用できるお勧めのケーブルです。

【銀メッキコート線ケーブル・使いやすいオールランドなケーブル】
LZ 8芯 6N 銀メッキ単結晶銅線アップグレードケーブル(黒)【 MMCX 】
Amazon.co.jp(七福神商事)【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】 5,980円~
AliExpress(Easy Earphones)表示価格【 3.5mm 】$58.50 【 2.5mm/4極 】$60.00 
AliExpress(HCK Earphones) 表示価格【 3.5mm 】$54.60 【 2.5mm/4極 】$56.90 
LZ-A5LZ-A5
日本国内ではLZの輸入代理店の七福神商事にて販売しているケーブル。シルバーと同じ「銀メッキ銅線」ですが、こちらのブラックは「6N 単結晶銅線」を使用しています。非常に柔らかく、さらに被膜の感触もなめらかでとても触り心地のよいケーブルです。非常にクオリティの高いケーブルで、OFC(無酸素銅)線よりさらに高純度で解像度が高くクリアな音質が特徴です。イヤホンによっては中低域の厚みが増しより際だった音場感を実感できます。Easy Earphonesの上記リンクではコネクタ部分が異なる部品が使用されています(線材は同じ)。

LZ 8芯 銀メッキ無酸素銅(OFC)線アップグレードケーブル (シルバー) 【 MMCX 】
New LZ Silver Plated Cable 3.5mm 2.5mm Upgrade Silver Cable With MMCX Connector 
【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】

Amazon.co.jp(WTSUN Audio):LZX42032 8芯 銀メッキ MMCXケーブル 6,089円~
AliExpress(Easy Earphones)表示価格$56.80~61.06  
AliExpress(HCK Earphones) 表示価格$48.00~54.00
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コネクタ部分に中国LZ社のロゴが付いており、同社の「LZ A4」「A3」などのイヤホン向けのアップグレードケーブルとしてもともとは販売しているケーブルだと思います。手編みの8芯ケーブルで上記のブラック同様に非常に柔らかくしなやかで作りもしっかりしています。印象としては80ドル~100ドル以上のケーブルと遜色ない品質/音質でお買得度も高いと思います。音質特性的な味付けはほぼ無く、解像度や分離感の向上が得られますが、マルチドライバー、特にハイブリッド系のイヤホンとの相性の良さを感じます。

【銀メッキコート/銅線ミックスのイヤホンケーブル】
LZ 8芯6N単結晶銅&銀メッキ銅線ミックスケーブル(ピンク)   【 MMCX 】【 2pin 】
LZ 8 Core 6N Upgraded Single Crystal Copper Cable 4.4/2.5/3.5mm Balanced Cable With MMCX And 2pin
【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】

Amazon.co.jp(WTSUN Audio): LZX47191 単結晶銅&銀メッキケーブル  6,810円~
AliExpress(Easy Earphones)表示価格$66.00 - 70.00  
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中国LZ社のアップグレードケーブルのシリーズの最新モデル。同じ線材なら一般的な中華ケーブルより割安で高品質な点がこのシリーズの特徴。「4.4mm/5極」も選択可能です。これまでのLZのケーブルは柔らかいいっぽうで編み込みも緩めだったのですが、このミックス線はしっかり編み込まれており、他の線材のLZケーブルと比べると結構硬め。しかし相変わらずクオリティは非常に高く解像度の高い濃さを感じるケーブルです。特にマルチBAのイヤホン等との組み合わせで中高域の情報量がぐっと増す印象になります。イヤホンによっては高域の刺さりが少し増える場合もあります。

【高純度単結晶銅線のイヤホンケーブル】
LZ 8芯 6N 単結晶銅線ケーブル(ブラウン)  【 MMCX 】【 2pin 】
LZ 8 Core 6N Upgraded Single Crystal Copper Cable 4.4/2.5/3.5mm Balanced Cable With MMCX And 2pin 
AliExpress(Easy Earphones)表示価格【 3.5mm 】【 2.5mm/4極 】【 4.4mm/5極 】$66.00~70.00 
AliExpress(HCK Earphones) 表示価格【 3.5mm 】$59.50  【 2.5mm/4極 】$62.30 
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中国LZ社のアップグレードケーブルのシリーズで単結晶銅線を使用。ブラウン以外にブラックのケーブルもあります。同じ線材なら一般的な中華ケーブルより割安で高品質な点がこのシリーズの特徴。「4.4mm/4極」も選べるのがうれしいですね。LZの銀メッキ銅線と同様に柔らかくしなやかなケーブルで使い勝手も良好です。オススメ度はこちらも高いです。低域の厚みが向上することでより音場感のあるサウンドが楽しめます。いっぽうで解像度や明瞭さもしっかり向上するためよりアグレッシブな印象になる場合もあります。


LZ-A5また、これらLZ製ケーブルについては、同社製イヤホン「LZ-A5」のレビューにて実際にリケーブルを実施し、音の変化について紹介しています。
→ 「LZ-A5」 話題の高音質4BA+1DDイヤホンとLZ純正アップグレードケーブル各種聴き比べでその凄さを実感しました【レビュー】

以上、とりあえず現在日本国内で入手可能なLZ製ケーブルについて紹介しました。さらに、中国国内では上記で紹介した以外の線材を用いたケーブル(例えば純銀線)なども販売されているという情報もあります。個人的にもLZ製のケーブルは愛用していますので、新しい製品が発売されたら可能な限り紹介をしていきたいと思います。


プロフィール(Twitterアカウント)
読み:ばいそにか。無駄に中華イヤホン等いろいろ買い続けるアラフィフ限界オタクの酔っ払い。ダイエット中ですが食べるのも好き。普段は東京と福井(鯖江)の自宅の二拠点生活で小さなIT系企業を細々とやってます(出張多め)。仕事の合間に趣味で書いてるレビューブログも2022年末に1千万PVを突破(あざす!)。相変わらずのマイペースですが今後もよろしくです(^^)
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