3月も気づけば中盤にさしかかっていますが、仕事のほうがシーズン的に忙しいということもあり「あまりポタオデ楽しんでる時間ないなぁ」と思うこの頃。よくよく考えたら出張もあまりしていないので新幹線でじっくり聴く機会も必然的に少なくなっているわけで・・・というわけで、到着から2週間以上全然レビューに手をつけていなかったイヤホンですが、遅ればせながら出張先の大阪のビジネスホテルで書いております(^^;)。
閑話休題、今回紹介するのは「Yinyoo T100」、私のブログでも最近露出の多い中華イヤホンブランド「Yinyoo(音佑)」オリジナルのバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーをシングルで搭載するイヤホンとなります。コンパクトなメタルハウジングが特徴的なデザインで、サウンドチューニングの異なる3種類のノズルフィルターの交換が可能になっています。
購入はこれまた毎度おなじみのいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」より(「Yinyoo」はEasy Earphonesを中心としたセラーが取り扱うブランドになります)。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo T100
AliExpressでは69ドルで販売されていますが、例によってEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローのうえ、フォロワー値引きを活用すれば特別価格で購入できます。詳しい購入方法はこちらをご覧ください。またEasy Earphonesのアカウントでは頻繁に割引情報などがツイートされていますのでこまめにチェックするとよりお得に購入できる可能性もあります。
また本レビュー掲載時点ではアマゾンのマーケットプレイス「WTSUN Audio」からも6,999円にて販売を開始しています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo T100
■ピンクゴールドのカラーリングが美しいコンパクトなハウジング
到着したパッケージは最近のYinyoo製品で共通のブラックのボックス。
なかに入っている大きめのケースにびっしりと中身が詰まっています。
パッケージ構成は「Yinyoo T100」イヤホン本体、フィルターノズル3種類(私のところに届いたものはシルバーノズルが装着済みでした)、専用イヤーピースがS/M/L各サイズ+装着済みのMサイズ、そして専用ケースといった内容です。
「Yinyoo T100」は非常にコンパクトなハウジングのイヤホンですが、デザイン的によく似た印象のダイナミック構成の「final E3000」および同じシングルBA構成の「EARNiNE EN120」と比較するとその小ささがあらためて実感できるのではと思います。いっぽうで交換式のフィルターノズルのステム部分は本体と同じ直径ため、通常の口径のイヤーピースは使用できない仕様になっています。
ケーブルは布製の表皮に覆われており取り回しは良好です。付属するイヤーピースは先日レビューした「NICEHCK DT100」でも使われていた口径の広いタイプのもので、イヤーピース交換の選択肢が少ないのはちょっと残念なところです。ただ後述の通り「Yinyoo T100」のサウンドも、開口部が広く耳穴へフィットするイヤーピースを使用する方が音質面で良いため、上記DT100用のデュアルフランジイヤーピースなど装着可能なものを探してみるのもよいと思います。私はたまたまストックしていたデュアルフランジのものが(多少無理やり装着しましたが)なんとか使うことができました。
そして「Yinyoo T100」の最大の特徴である交換式のノズルフィルターは本体カラーと同じピンクゴールド、ゴールド、シルバーの3種類で、ピンクがメッシュのみ、ゴールドとシルバーは内側に不織布が貼り付けられておりより厚く貼られているシルバーがもっとも低域強調タイプとなり、メッシュのみのピンクゴールドが高域タイプという区分けになります。
またフィルターノズルを外した本体側にも薄い不織布が貼り付けられています。このようなフィルターは「MaGaosi K3 Pro」の交換可能なフィルターノズル等でも採用されていますが、個人的には不織布を貼り付けて高域減衰させるタイプはちょっと苦手です。そのため「Yinyoo T100」も基本的にメッシュのみのピンクゴールドのタイプを使用します。
■フィルターノズルは「ピンク」一択。女性ボーカルとアコースティックが美しい中低域イヤホン
昨年以降、魅力的なシングルBAイヤホンが数多く登場していますが、「Yinyoo T100」は価格帯としては「EARNiNE EN120」より少し高い程度の価格帯の設定となります。付属品を最小限に抑えてよりコストパフォーマンスを高めているEN120に比べるとイヤホンケースなどの付属品と3種類のフィルタを変更可能な仕様など「Yinyoo T100」は付加価値要素が多いのも事実でしょう。
いっぽう音質面については、実際に「Yinyoo T100」を聴いた最初の印象としては「良くも悪くもシングルBAらしいサウンド」。ある意味シングルBAの常識を逸脱した印象も受けるEN120とは対照的で、「そこそこ良くまとまった感じ」という感じです。最も高域タイプという設定になっているピンクのフィルターノズル(フィルター側に不織布なし)を使用した場合でも中低域寄りのサウンドで、高域はキラキラ感はありますがどうしてもBA特有の歪みを感じてしまうため、高域成分の音数の多い曲とは相性がいまひとつです。
いっぽうで女性ボーカルなどはとても美しく心地よい響きがあります。イヤーピースを付属のものから開口部の大きいダブルフランジタイプなどに換えると音抜けが良くなります。またジャズなどのアコースティック音源もとても聴きやすくて良いですね。低域はシングルBAですので控えめですが量感・分離感は必要十分という印象です。
また他のフィルターノズルを使用した場合ですが、ゴールドではスマートフォンなどでの再生環境でピンクのフィルターでの歪みを強く感じる場合に使用するとよいでしょう。ただし音像の明瞭感が下がり曇りを感じるようになるため「Yinyoo T100」の旨みの部分が損なわれる感じがあります。シルバーのフィルターは低域をドゴドゴさせたい向けですが、曇りと言うより籠りのレベルになってしまうため、このフィルターの低域が欲しい人は「Yinyoo T100」は使わないほうが良いのでは、と思ってしまいます。
というわけで、「Yinyoo T100」は比較的低価格ながら「シングルBAらしいサウンド」を手軽に実感できるイヤホンだと思います。音を分析的に聴くイヤホンではありませんが、バランスド・アーマチュア型ドライバーならではの解像度感と分離の良さ、マルチBAやハイブリッドのようなクロスオーバーが発生しないフルレンジの再生によりつながりの良い心地よいサウンド。「Yinyoo T100」は「シングルBAイヤホン」の本来のメリットを十分に感じることができる十分にクオリティの高い製品であると思います。
アコースティックな曲や美しい女性ボーカル曲をキラキラ感のあるサウンドで心地よく楽しむためのイヤホンとしてサブアイテムのひとつとして加えてみるのも良いと思いますよ。