bisonicr keep walking.

イヤホン・ポータブルオーディオなどの趣味的レビュー。

激安DSD対応「CYBERDRIVE CLARITY FEATHER DAC」スティック型USB DACを試す(ちょい辛口)

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

■密林「謎のDAC」巡りのコーナー?!

なんてものは別にやってませんが(汗)、またまた激安USB DACを購入しました。
今回購入したのは、
   (Amazonでは「フェザー・ノートパソコン DAC」という名称にて販売)

という商品です。購入価格6,400円。この値段で「PCM 24bit/192kHz、DSD256対応」という性能です。

imageimage

ちなみに、Amazonで「USB DAC」とかで検索して上位に出てくる見慣れないDACにはつい目が行ってしまう性分で、そこで「DSD対応」で6000円そこそことかの価格設定になっていると「大丈夫なのか?!」とつい気になって仕方がないわけです。で、ポチっと。ほんと、思うツボですね(自嘲


というわけで、Amazonで購入した謎なUSB DACでは以前こんなのも紹介しました。
  →過去記事: 【前編】1万円DSD&32bit/384kHz対応「謎のUSB DAC」を買ってみる
  →過去記事: 【後編】384kHz&DSD対応「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」のドライバ問題

スマホ用メインの小型USB DACとしては4個目です。古い順に、
そもそもUSB DAC全体では・・・良く覚えていないっすね(笑


■搭載DACチップには「CS4398」を搭載
別に買っていきなり分解したわけではありませんが、今回は分解写真から先に行きます。
ちなみに、分解するとまず保証NGになると思いますので真似しないでね(笑
4カ所ツメを外すと分解でき、Amazon掲載の画像通り1枚の基盤が出てきます。
imageimage

そこから基盤を外してみると、XMOSのUSB Audio Class 2.0チップとDACチップが確認できます。

Amazonには「シーラス・ロジック製」と書かれていたチップの型番は「CS4398」であることが確認できます。激安USB DACながらチップには「CS4398」を使っていたんです。

imageCS4398」といえば同社でも昔からあるチップではありますが、その分搭載実績は多く、なんと言ってもメジャーなところでは「Astell&Kern AK240」を筆頭に、第2世代のAKシリーズのNAPで搭載されていることで知られています。AKシリーズの価格を考えると驚きもひとしおです。また最新機種の「Astell&Kern AK70」の搭載チップも同じ「CS4398」です。
私の所有NAPでもつい先日までメインで使用していた「FiiO X3 2nd Gen」で採用されており、どれも音質には極めて定評があります。

かつてはハイエンドのチップでしたが、年数が経ち、チップ単価が大きく下がってきたことで激安DACにも搭載できるようになった、というところでしょうか。
「DSD256および24bit/192kHz対応」とはまさにCS4398のスペックそのものであり、いわばこのチップこそがこの製品のすべて、といっても過言ではないかもしれませんね(専有面積ではXMOSのほうが目立ちますが)。
ちなみにヘッドホンアンプ部は「AIF BDM」というチップで、これは他の製品の基盤写真などの使用例から推測して、おそらく「MAX97220」と同一と思われます。
※余談ですが、CS4398とMAX97220の組み合わせで検索すると、vivoX5とかいう中華スマホがでてきて、そういえば昨日くらいのWBSで中国でoppoやvivoのスマホすげー的な特集してたなー、と。なんとなく物欲が(ぉぃ


■とりあえずいろいろ聴いてみた。DSDも含め確実に価格以上の性能。
image「CYBERDRIVE」DACの接続ですが、形状的には明らかにスマホ用っぽいデザインですが、MFI認証を取得しているわけでもありませんし(おそらくバッテリ消耗を考えて)、Androidなど動作保証が難しい機器もありますので、いちおう「ノートパソコン」用扱いにしているようです。

もっともLightningカメラアダプタとぴったり合うサイズ・色・デザインですので組み合わせると「純正オプションかしらん?」という雰囲気です。
AndroidでもUSB-OTGケーブルによる接続でiOS同様「HF Playerなどで問題なく利用できました。

imageMacやLinuxであればXMOS USB Audio Class 2.0仕様ですからそのまま接続すれば使用できます。Windows用もASIOドライバがメーカーサイトからダウンロードできます。今回はMacへ接続し、プレーヤーはAudirvana Plusを使用。
XMOS系DACのお約束で、接続すると実際のDAC性能より高いサンプリングレートをOutputで表示する場合があります。この製品でも353kHzを表示しましたが、動くかどうかはともかく、ここではMax sample rateの設定を「No Limit」から「192kHz」、あと念のため「Limit max bitdepth to 24bit instead of 32bit」のチェックを入れておきます。これでAudio Filtersでアップサンプリングを最大にかけても音が出ない、というトラブルは回避できるはずです。

比較には上記の通り、所有するもうひとつのCS4398搭載の機器である「FiiO X3 2nd Gen」をUSB DACモードで接続。違いを比較してみたいと思います。
使用するヘッドホンは、手持ちのAKG Y40、K240 Studio(リケーブル済み)、ゼンハイザー HD598、イヤホンはエレコムのEHP-CH2000とEHP-BS100BK、Shure SE215SPE、AKG
N20。あと参考用で同SE535LTDです。

まずは、DACの価格帯を考え、AKG Y40(ヘッドホン)、Shure SE215SPE(イヤホン)を使用。
で手持ちの音源で24bit/192kHzで購入したオフコースの「OFF COURSE BEST "ever" EMI Years」の各曲を聴いてみると、低音から高音への抜けは悪くありません。普通に「いい音」と感じるつくりです。
またジャズではThe Oscar Peterson Trioの「We Get Request」の96kHz FLACを聴いてみると、低音から高音まで定位感も悪くはありません。同様にクラプトンの「Clapton Chronicles」を聴いていてもとても気持ちよく聴くことができました。

image全体を通して、この小さいCYBERDRIVEでもハイレゾをしっかりドライブしているのが確認できます。全体的にフラットで、解像度、奥行きとも間違いなく価格以上の性能といって良いでしょう。本体のサイズ的にいわゆるオペアンプなどによるアナログ的な加工の余地がない分いわばDACチップのそのままの音がでている、と言えるのかもしれません。
いっぽう、アニソンなどではfhánaの「What's a Wonderful World Line」を聴いてみると超高域のボーカルで「ああ、ちょっとここ苦しい」という場面に遭遇。またワルキューレのアルバムなどでも音の分解能力が追いつかない場面がちらほら。

ヘッドホンを色々換えて聴いてみると、悪くないと感じたクラプトンなどの曲も含め、同じDACチップを使用しているFiiO X3 2nd Genと比べてS/Nやスピード感の面では結構大きな差があることがわかります。CYBERDRIVEは音の混ざりというか濁りがあり、X3 2ndで聴いていたのの同じボリュームにすると全体的に若干うるさく感じる部分があります。
この辺の違いは本来オペアンプやヘッドホンアンプで処理される部分でX3 2ndでは3系統のチップを経由させチューニングを施しているため、サイズ的にもCYBERDRIVEが処理が甘くなるのはある意味当然で仕様通りの音と考えることができます。

image2.8MHz DSD(DSD64)についてもDoPで拍子抜けするほどあっさり再生。女性ボーカルなどの中高域はDSDのほうが雑味がなくすっきり聞こえます。また定位感も悪くないようです。
ただ、DSDの特徴である「生っぽさ」はそれほどは感じません。DSDの場合、(Mojoのような例外はあるものの)DAC性能より以降のアナログ性能部分によるところが音質に大きく影響するため、スティックタイプのCYBERDRIVEでは物理的に限界があると思われます。

ちなみにボリュームゲインですが、CYBERDRIVEのUSBにプラグ直後のデフォルト音量は、AKG Y40で普通かちょっと大きめ、くらいの配置でしたので、市販の普及価格帯のイヤホン・ヘッドホンでそのまま使える音量に設定されていると考えて良いでしょう。

この製品、現在どの辺のボリュームに設定されているのかが全くわからないため、どの音量で音が出てくるのかとちょっとドキドキします。特にDSDについてはプレーヤー側(Macなど)からのボリュームコントロールはできず、最大音量で送られるため、CYBERDRIVE本体での音量調節が必須になります。

imageあと、念のためSE535LTDでも聴いてみました。

SE535LTDなどのIEMクラスの製品だと反応が敏感すぎてボリュームコントロールがさらに困難になり、さらにノイズも盛大に拾うため、IEM用の「FiiO E12A」というヘッドホンアンプを中継します。ただ、実際に聴いてみるとE12Aを通しても、特にDSDなどの場合はホワイトノイズを大量に拾ってしまうので普段の利用ではまず無理な環境です(まあもともとDSD64とかはフォーマット自体でノイズが多いんですけどね)。
SE535LTDの場合、やはりS/Nの弱みがより全面に現れ、全体的にザラついた音に感じます。結果、音場の再現性などは著しく低く感じます。
また、反応の良いヘッドホンでも、HD598で聴いてみるとちょっと過剰な「鳴り」を感じてしまい不快に感じる場合があります。

過去に購入したロジテックやZEALの製品もそうでしたが、ヘッドホンもDACの価格相応に合わせた方が良い、というのは、このクラスのDAC製品の共通のオチみたいです。どれもDACチップはそこそこ良いものを使ってるんですけどね・・・。
やはり最終的に音質を決めるのはアナログ部品、ということになりそうです。
(そうなるとデジタル部分であそこまで音質を高めているMojoってやっぱ普通じゃないすね)


■スピーカー出力はアクティブスピーカーがおすすめ。ラインアンプ併用もアリ。
これだけ低価格でDSDにも対応、となってくると、ヘッドホン・イヤホン専用だけでなく、スピーカーでも使ってみたい、という方も結構いるんじゃないかと思います。
ただ、もともとヘッドホン・イヤホン用の製品なので、本体のボリュームを最大にしてもアンプに接続するために充分な出力を確保するのは難しいようです。試しに福井の自宅で使用しているDENONのエントリーモデルでは定番のプリメインアンプ「PMA-390RE」に接続してみたところ、CYBERDRIVE本体のボリュームを最大にし、アンプ側のボリュームも上げてみましたが、昔のラジカセを鳴らしているような、なんとも力不足感の否めない残念な音になりました。
image
このように通常のオーディオ機器のアンプなど、CYBERDRIVEの出力が足りない場合は、例えばNFJの「FX-AUDIO- TUBE-01J」のようなラインアンプを中継することでボリュームコントロールも兼ねつつ充分な出力が確保できます。
私の場合は、CYBERDRIVEをいったん「CarotOne ERNESTOLO」上部のプリアンプ(ヘッドホンアンプ)部に接続し、そこからLINE OUTでPMA-390RESPに接続することで同様の効果を確認できました。(CYBERDRIVEはこれらの小型真空管プリアンプとの相性はなかなか良いようです)

いっぽう、Fostex「PM0.3」や、オンキヨー「GX-70HD2」などアクティブスピーカーの場合、スマホのイヤホン端子からの出力なども想定したアンプ部分の設計になっているため、CYBERDRIVEをミニピンステレオケーブルで接続すれば問題なくいい音で鳴らしてくれます。スピーカー出力の場合はこちらの組み合わせの方がオススメですね。


このように、「CYBERDRIVE Hi-RES NOTEBOOK DAC」は、数万円級のUSB DACの代替とはさすがにならない部分はありますが、まずは手軽にハイレゾを楽しみたい、DSD対応のDACを購入したい、という方の入門用には最適かもしれません。「中身はちょっと本格派」で、なにより安価にいろいろ遊べますので。

 

「Astell&Kern AK300」とヘッドホンを巡る旅

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

■AK300に最適なヘッドホンを求めて

とうとうDAPに「Astell&Kern AK300」に手を出してしまい、バランスケーブルで「Shure SE535LTD」に接続しているこの頃、今度は自宅などの屋内でAK300につなげるヘッドホンに物欲が向いてきました。

現在所有するヘッドホンは、東京の住まいでは「AKG K240 StudioAKG C200純正リケーブル装着済み)」と「Sennheiser HD598」(通称プリン)の2種類を、福井の自宅では「AKG K550」を主に使っています。しかし、これらのヘッドホンをAK300で使うことを考えた場合、SE535LTDとAK300の組み合わせを考えると、多少スペックや音質的に見劣りする感じは否めません。
あとは福井の自宅にAKGの「K240 Monitor」というかなり古いヘッドホン(K240 Studioの前のモデル)があり、こちらも音質的にはかなりのポテンシャルがあるのですが、「600Ω、88dB/mW」という、高インピーダンス・低感度でダントツの鳴りにくさを持っており、ドライブできる環境が結構制限されます。

      

ちなみに、屋内と言えば、スピーカーを中心としたオーディオ環境では、東京でマランツ「M-CR610」(アンプ)+DALI「ZENSOR1」(スピーカー)の構成を、Macに接続したCHORD「Mojo」から鳴らしていて、いっぽう福井の自宅では最近DENONのプリメインアンプ「PMA-390RE」を購入、「JBL Control One」をはじめ複数のスピーカーを使い分けています。

外出先では「SE535LTD」を使用するものの、屋内でAK300を使うときは、より手軽なヘッドホンを活用したいと考えています。しかし、できればSE535LTDに近いレベルの解像度や音域などのクオリティ、Mojo経由でZENSOR1で鳴らしているレベルの空間表現(とできれば低音)をコストを抑えつつどこまで実現できるか、というのが目標です。

その視点で、K240 Studioはリケーブルによって解像度が大幅に向上しており、かなり良い線まで肉薄していますが、ソニーのMDR-CD900STほどではないもののモニターヘッドホンらしくダイレクトで広がりを求めるタイプではありません。
いっぽうHD598は購入当初、相性が良いと言われるFostex HP-A4との組み合わせのレベルでは満足してたのですが、AK300やMojoのクオリティでは特に高域の解像度の低さは物足りなさを感じます。ただHD598の雄大な感じすらするまったりとしたサウンドは「癒やし系」として装着感の良さとあわせて耳疲れしないのがメリットと感じています。

そんなことを考えながら、またAK300を携えて店頭へ試聴の旅に出ます。

できるかぎり先入観を持たずに片っ端から聴いていくのですが、すでに「SE535LTD耳」(笑)になっている私にはどうしてもフラット指向、高解像度指向に向かいます。当初から購入候補と思っていたAKG「K712 Pro」はやはり一皮むけたような明瞭さ、解像度の高さと広がりで好印象を持ち、また他製品と比べて価格が下がっている分お得感を感じます。
またSennheiser「HD650」も「らしさ」を感じつつ、K712 Proと共通して、フラットで非常に解像度の高い音質ながらオープン型らしい広大な空間表現が「好みの音」でした。
      
いっぽう密閉型ではこれら2機種と同様の傾向にあるソニーのハイエンド機「MDR-Z7」は手堅く、AK300でも安定していい音だと感じました。また、これらの機種とは音質傾向は違うものの、意外にShure「SRH1540」もAK300で聴いてみると悪くないかなと、これまでと違う印象をもちました。
  

まあ結局、各社のミドルエンド以上の定番機がやはり良いという至極当然な結果になりました。
(あとブランド的には「B&W P7」という線も個人的には押さえたいのですが、ちょっと側圧かきつくて残念ながら除外)

もともとK712Proを想定してフシは自分の中にあるため、他の機種もその比較になってしまうのですが、音質的にはHD650がさすが、という感じでした。HD650は一般的にアンプ側の出力が弱いと籠もったような音になる、と言われますが、AK300は直刺しでちゃんとドライブでき、霧が晴れた明瞭なサウンドとHD650の広大な空間表現を再現できました。思った以上になかなかの駆動力です。
そしてMDR-Z7は密閉型とは思えない広がりはさすが、と感じますが、正直密閉型である必要性はないため、長時間の使用も考え、K712Proでいいかな、という感じはします。
あと、これまではSRH1540はあまり女性ボーカル向けではないのかななどと思っていたのですが、AK300で聴いてみると、SRH1540もさまざまなジャンルで「これはこれで」有りだな、という印象を持ちました。広がりも思ったほど狭くはないようです。ただこれはAK300からの直差しの場合なので、(HD650などと比べて)ヘッドホンとしてのもともとの「鳴りやすさ」の勝利という側面もありそうです。ただShure製品は一部が値下げしましたがSRH1540は相変わらず値崩れしていないので、やはり割高感は否めません。

鳴りやすさという意味では、比較的鳴りにくいと言われるK712 Proでボリューム100~110くらい、インピーダンス300Ωで直刺しはしんどいかな?と思ったHD650がボリュームを125まで上げれば問題なく聴くことが出来また。さらにHD650についてはAK300直刺しではなくMojo接続で大化けする予感はあります(AK300の最大音量は150。SE535LTDは60くらいのボリュームで再生)。

いっぽう、AK300への接続でHD650、SRH1540といった両耳出しの機種なら当然バランス接続にするとさらに変化があるのでは、という気は確かにします(MDR-Z7のバランス化にはPHA-3が必要なので除外)。
ただヘッドホンの場合AK300に加えMojoを使うケースも多いこともあり、基本はアンバランスの使用が前提かなと思っているので、そうなるとこれらの機種よりひとまわり、または半額近い価格で買えるK712 Proの音質は捨てがたいものがあります。こうなるとK712Proできまりかとも思うのですが、結構似た傾向のヘッドホンばかり集めても、という話もあり(特にMojoで福井の自宅にあるK240 Monitorを鳴らすとそこそこ広がりもあり良い勝負かもしれない)、そうなると全然違う傾向のヘッドホンを、とも思います。

やはりオーディオは一期一会、もう少し、どれを買うか悩む時間を楽しみたいと思います。


低価格バックロードホーン・スピーカーキットを作り比べてみた

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

実際に購入したのはお盆前ですので、すでに1ヶ月ほど経っていますが、福井の自宅と、東京の単身赴任先用でそれぞれバックロードホーンのスピーカーキットを購入して作成してみました。

■「Stereo」別冊バックロードホーン・エンクロージャとToptone「F77G98-6」をあわせる
「Stereo」誌2016年8月号の付録スピーカーユニットとの「組み合わせ」を想定した「別冊」扱いの「スピーカー工作の基本&実例集2016年版」(4,900円)です。 
_SL250_
同紙のスピーカーユニットの付録は毎年の夏の定番となっており、そのユニットと組み合わせるためのエンクロージャ(ケース)も別冊も同様に毎年出版されています。ただ、ここ数年はケースの「別冊」だけをみると10cmユニットだったり、フルレンジとツィーターが上下逆のセッティングだったりと多少のキワモノ感があったのもの事実ですが、ここへ来て「8cmフルレンジ用の小型バックロードホーン」という、いかにも入門用には最適な「ド定番」を持ってきたという感じです。
実際スピーカーターミナルなどの配線まわりもついてこの価格はAmazonなどで見る8cmユニットのスピーカーキットの中でも最安に入りますし、いまのところ地方の書店でも買える入手性の良さは群を抜いています。
今回、福井の自宅でのサブスピーカー用に購入。

ユニットにはあえて、「コスパ最強の8cmユニット」として知られる秋月電子で販売される「F77G98-6」を使用。
このユニット、単品価格1個300円。ペアで買えば500円(1個あたり250円)。もう安いなんてレベルではありません。
私は秋葉原の店頭で購入しましたが、通販でも同じ価格で購入できます。その場合送料がかかりますが中華アンプ用のACアダプタなど「ついで買い」できるアイテムも多い秋月ですから充分コスパ的には満足いくでしょう。
この構成で満足がいく音が出れば、5千円台でスピーカーが作れることになります。 

エンクロージャの作成は初めてでしたが、説明はわかりやすく、木工用ボンドがあればサクサク組み立てることができます。ニトリやIKEAとかの最近の棚などの組み立てを思えばむしろ相当に簡単な部類ではないでしょうか(お盆に自宅のAVラックを組み立てましたが数十倍しんどかった・・・笑)。
最終的に重しを載せて密着させますが、私は雑誌などを載せた上に自分で乗って自身の体重で固定。
30~40分ほどで作成し、あとは1日ボンドを乾燥させてできあがり。

■F77G98-6の装着
その後スピーカーユニット(F77G98-6)を装着します。
image8Ω10W広帯域用スピーカーユニット「F77G98-6」(Toptone、東京コーン紙製作所製)は価格からは想像も付かない「いい音」で鳴るフルレンジのユニットとして広く知られています。なにしろ価格が安いのでたくさん買っていろいろなエンクロージャと組み合わせて楽しむなど自作スピーカー派にはもはや定番商品と言って良いと思います。
データシート(秋月電子サイト)を見ると、中域から高域まで80db付近で安定したレスポンスを持っていて、フルレンジとしての使いやすさと、バックロードホーンによる低域増強の効果が得やすいユニットであることがわかります。

ただ、このユニット、Stereo付録のFostex製ユニットなどと比べてネジの固定位置がひとまわり小さいため、そのまま装着するとエンクロージャとユニットの間に若干の隙間ができてしまいます。※「F77G98-6」は正確には8cmではなく「3インチ」(7.7cmくらい)ユニットのため。
そこで、ホームセンターで窓サッシ用の戸あたり防音テープを購入し、ユニットの外周に貼り付けてから装着。ケースとの隙間を埋めました。

■室内を包み込む広がりと癖のないサウンド
さっそく福井の自宅で使用している「CarotOne ERNESTOLO」とDENON「PMA-390RE」に接続して聴いてみます。想像以上にエンクロージャとの相性は良いようで「F77G98-6」の特性である癖のない中域から高域の心地よいサウンドに加え、バックロードホーンによる低域が予想以上の広がりを見せます。
imageimage

自宅のアンプでも実は最も駆動力の高いCarotOne ERNESTOLOでは、ターンテーブル(私はオーテクの安価な「AT-PL300」を使用)で再生した70年代のABBAのLPレコードが再び息を吹き返したような生き生きとしたサウンドで蘇り(機器の総額を考えると驚異的な音かも)、PMA-390REではメインで接続している「JBL Control One」と比べ、解像度こそ劣るものの中低域の広がりは遜色ないレベルで再生できます。
特にControl Oneの場合の気持ちよく感じる音量より2段階くらい小さい音量でも十分に楽しめるため、特に夜間のリスニングで家族に迷惑をかけないのは隠れたメリットです。この辺は「バックロードホーンの強み」といったところでしょうか。とにかく、5000円そこそこで作れる音ではないですよ。

その後、「Stereo」2016年8月号付録のFostex製ユニットに換装してみました。image

もともとこのユニット用に作られたエンクロージャですから当然相性は抜群で「F77G98-6」と比べ、解像度は大幅に向上し、ニアフィールドも含めかなり広い用途で「メインでも行ける」くらいの音に向上しました。ただ、解像度が向上した分「F77G98-6」であったような「ぶわっ」という感じの音の広がりは相当に押さえられ、ある意味「普通のスピーカー」になったとも言えます。個人的にはこの組み合わせも「好きな音」ではありますが、部屋にある他のスピーカーとの棲み分けができなくなったとも言えるので、とりあえず「F77G98-6」に戻し、「Stereo」付録ユニットはこのケースをもうひとつ作って別の部屋に置いてみようかな、などと考えています。


■似て非なる、もうひとつの8cmバックロードホーンキット
福井の自宅でのスピーカー製作に気をよくして、東京の部屋でももうひとつ作成してみることにしました。
_SL160_せっかくなので、同価格帯の別メーカー品、というわけで、Amazonでも評価の高かった吉本キャビネットの「BW-800」を選択。こちら、スピーカーターミナルなどは別売りですが5000円台で購入できるキットで、見た目も「Stereo」別冊と外観・サイズなどもよく似ています。というかこのBW-800があって別冊の商品が生まれた、という気もします(Stereoのキットも実は同じ吉本キャビネット製だそうです)。
今回、はターミナルやスピーカーユニットも付属する「BW-800D」のほうを購入しました。また予備に買ってあった「F77G98-6」も換装して比較してみます。

キットが届くと、ぱっと見Stereo誌別冊とよく似ている気もしますが、中の設計は結構異なります。組み立ては別冊の方はエンクロージャ内にいれる部分を先に組み立てて順番に固定する方式ですが、BW-800では片方の側板にガイドに従い木工用ボンドを塗り、一気に中の板を張り付け、反対側の側板を乗せる方式。左右で微妙に板がずれないか、筐体の密閉性を確保できるかという点では若干ですがBW-800の方が難易度が高いです。また別冊の方では説明で「木工用ボンドがはみ出ないように」という記述が随所にありましたが、BW-800の場合は意図的に多めにボンドを付け、接着時に多少はみ出るようにした上であとから拭き取るほうが良いようです。
今回は組み立て後、木工用のカラースプレーでペイントをしてみました。
ものぐさなので特に下地処理などはしていませんが、できれば組み立て後サンドペーパーで表面をならして、下地用のスプレーなどを塗ってからペイントした方が遙かによい仕上がりになります。 

■「そっくり?」かと思いきや全く異なるスピーカーユニット
キットに入っていたスピーカーユニットを見て「これはF77G98-6じゃないのかしらん?」と思いました。Fostex製などと比べネジ穴がひとまわり小さいユニットのサイズも3インチと同一で正面から見た感じもそっくりです。
しかし実際はこちらは「F02108H0」というユニットで、「北日本音響」という全く別のメーカーのものであることがわかりました(写真は左が付属の「F02108H0」。右がToptone「F77G98-6」)。
imageimage

またデータシートを見てみると特性も「F77G98-6」とは多少異なります。
これを見ると付属ユニット(F02108H0)のほうが低域の立ち上がりはより高い周波数から始まっており、いっぽうで中域の反応は全般的に「F77G98-6」より良いのがわかります。

image実際セッティングを行い、再生を行ってみます。東京では中華アンプの「SA-36A pro」を使用します。
中華アンプは他に「Lepy LP-V3S」を持っていますが「SA-36A pro」のほうが駆動力が高く、手持ちのどのスピーカーに合わせても一定の音質で鳴ってくれるため気に入っています。まずキットに付属するユニット(F02108H0)実際に鳴らしてみるとStereo別冊のキットとは全く異なるサウンドにこれだけ似ているキットなのにこうも音が違うのかと驚かされます。
エンクロージャ内での音の響きがBW-800の方が非常に豊富で低音も厚く、「ハコで奥行きを表現する」バックロードホーンらしさは確実に実感できます。
image「ハコで鳴らしている」のを多く感じるのは、スピーカーに近づき真上で聴くと全く響きが異なるなどリスニングポイントで結構音が変わる点。また、東京の部屋(だいたい8畳くらい)でそれほどボリュームを上げない環境では多少「低音が響きすぎる」感じもあるため、下部に樹脂製のインシュレータを、正面の開口部に吸音材を敷いて音を少しすっきりさせました。それでもデスクサイドなどの極端なニアフィールドでの使用より部屋全体で聴くタイプのスピーカーであると思います。
いっぽう、ユニットを「F77G98-6」に換装すると、このボックスの特性の「悪い点」が顔を出してきました。つまり「ハコ鳴りがひどい」という状況です。上記の特性の違いの通り、付属ユニットに比べ「F77G98-6」はより低い音から立ち上がっており反応が若干低いため中高域にボリュームを合わせると低音が響きすぎて不快なハコ鳴りが起こるものと思われます。
ただ、東京の設置環境の問題もあるようで、過剰な響きを抑えるため、吸音材を多めに敷き、インシュレータから吸音性の高い樹脂製のシートに交換することで相当に緩和されました。
image
その後、BW-800Dユニットも福井の自宅に移動したのですが、こちらの設置環境では少し部屋が広くなり、壁の反響も相当押さえられていることもあり、今度は付属スピーカーユニットだと低音がすこし物足りなく感じるようになり、「F77G98-6」に換装した方がよい結果が得られました。この環境ではアンプに「Lepy LP-2024A+」を使い、さらに上海問屋の真空管アンプ(CarotOneのヘッドホンアンプとそっくりで真空管がロシア製)を通して再生しました。
自宅での設置環境では、この組み合わせはなかなか正解です。

このように、同様の価格帯(で同じ製造元)の2種類の8cmフルレンジ・バックロードホーンのキットですが、個性はずいぶん異なることを実感しました。搭載するスピーカーユニットはもちろん、設置環境でも印象が相当変わりますので、実際の環境でいろいろ試されることをお勧めします。



「Astell&Kern AK300」を買ってしまいました。(追記あり)

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

■思えば深みに来たもんだ(笑)

Astell&Kern AK300」を購入しました。やはりオーディオ沼というのは本当に恐ろしい。
もう10年くらい前とかはiPodでまったり音楽を聴いていたものの、数年前に「Astell&Kern AK10」というLightning対応のUSB-DACを iPhoneにつなげ、HF Playerをダウンロードしたのをきっかけに、iTunesのAACからFLACへ、そしてハイレゾへ音源の収集も変化。
イヤホンに「Shure SE535LTD」を入手したあたりから、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)も「iPod touch」、「ウォークマン NW-A17」、「FiiO X3 2nd Gen」と変化、そしてとうとう「Astell&Kern AK300」を入手するまでに至りました。

imageimage

過去記事:私が結局イヤホンを「Shure SE535LTD」にした理由。
過去記事:私が「SONY Walkman NW-A17」に落ち着いた理由。(追記あり)


さてさて、そういえば「ちょっとイイけどお買い得」のこのブログの趣旨から余裕で逸脱する高級機「AK300」ですが、Astell&Kernにはさらに上位モデルに「AK320」と「AK380」があり、これら第3世代の「普及モデル」というのがAK300という製品の位置づけです。
かつてUSB DACのAK10を使用していた頃は、当時発売されたばかりのウォークマンNW-ZX1の価格を見て「こんなところへはまず行かないな」と思っていましたが、気がついたらそれを軽く超えるDAPを手にしていようとは、なかなか隔世の感ではあります。

Astell&Kern AK300」はAK第3世代共通DACチップ「AK4490」をシングルで搭載し(AK320とAK380はデュアル構成)、最大32bit/368kHz PCMに対応し、192kHz/24bitまでのネイティブ再生が可能。またDSD64/DSD128は24bit/176.4kHzにリアルタイムでコンバートし再生されます。非常に高いS/Nで明瞭かつクセのない音質で、低域から高域まで安定した質の高さが特徴、といったところでしょうか。

実際に新しいDAPの購入を検討し始めたのは6月に入ってからで、当初はオンキヨーの「DP-X1」か、同じAstell&Kernのモデル末期で安くなってきた「AK120II」「AK100II」(ちょうどレッドモデルが出たり)辺りが候補でした。
dp-x1 DP-X1AK100II AK70

そこで、6月下旬に、実際に手持ちのSE535LTDを使い店頭にていろいろ試聴してみることにしました。

しかし、これまで使っていた「FiiO X3 2nd Gen」と比較し、「AK100II」だと音質的に劇的な向上は感じませんでした。DP-X1や価格の下がったAK100IIと比較してもFiiO X3 2nd Genは半分程度の価格にも関わらず、第2世代AK(AK100IIを含む)と同じCirrus Logic 「CS4398」をDACチップとして搭載し、さらにチューニング的にも価格のわりにかなり善戦している、という点が大きいのでしょう。あと普段SE535LTDで使用する際はポタアンで同社の「E12A」を通してアンプ部分を強化していることも体感的な差を縮めていた要因と思います。
いっぽう「DP-X1」はESS「9018K2M」をデュアルで搭載し、SE535LTDで聴いてみた際の抜けの良い明瞭さは確かにFiiO X3 2nd Genとはひとつレベルの違うサウンドに感じました。
次に買うのはこれかな、と思ったのですが、その時、ちょうど発売されたばかりのAK300も一緒に試聴したのが失敗でした(笑)。もうレベルが全然違う(そりゃ価格帯も違いますからね)。正直なところ、以前冷やかしで試聴したAK320やAK380でも感じなかった「求めていた感」がAK300にはありました。

もしこの6月時点で「AK70」がすでに発売されていれば、AK300へは行かなかったかもしれません。でも「AK300を買いたい耳」になった後の8月にAK70を試聴しても、単にAK300への確信を深めるに過ぎませんでした。

実際、AK70ユーザーのなかでは「CHORD Mojo」を組み合わせて(さらにAK70 & Mojo専用ケースも併せて)使うパターンも多く見受けられますし、もともと「Mojo」を所有している私もAK70を購入すればこの組み合わせにすると思います(サイズ感もぴったりで、このケースを見ただけでAK70と一緒に衝動買いしそうになりました)。
ただ今回買い替えを決意したのは出張の多い仕事柄、「DAP単体で可能な限り良い音を実現したい」という理由からだったので「Mojo併用が前提」だと本末転倒かな、と思ったわけです。

このようなことを考えながら、ひと夏を経て、手元にはAstell&Kern AK300がとうとうやってきてしまいました。やれやれ。


■SE535LTDはバランス接続。ファームウェア更新でUSB Audio出力も対応

imageというわけでSE535LTDへもバランスケーブルにて接続。とりあえずは価格の安いG&VのバランスケーブルをAmazonで購入。もともとのアンバランスとくらべてほんの少しだけホワイトノイズが乗るような感じですが、音質そのものは悪くないです。この辺は今後少しずつリケーブルして試してみたいところです。
音質に関して、SE535LTDで聴く上でAK300のクオリティは個人的には申し分なく、DSDについてもPCM変換にての音質の変化が他の記事では書かれていましたが、私が所有するDSDの音源(主にポップス、ジャズ、あとはSuaraなどアクアプラス系のアニソン)ではAudioGete等であらかじめFLACに変換した音源と比較して瑞々しく心地よい音質に感じました。

また、Wi-Fi経由でファームウェアのアップデートを行い、現在のバージョンではAK70同様に「USB Audio出力」が利用できます。利用方法はUSB-OTG(On The Go)ケーブルでUSB DACに接続し、通知バーを下ろすとUSBメモリのようなアイコンを押してモードを変更するだけ。AK300をUSB-DACのプレーヤーとして利用できます。AK300クラスの製品でもったいない、とも思いますが、とりあえず「CHORD Mojo」と接続し、問題なく利用できることを確認しました。

imageAK300の仕様では32bit/384kHzのPCMや2.8MHz/5.6MHzのDSDは24bit/192kHz(DSDは24bit/176.4kHz PCM)にダウンコンバートした上で再生されますが、USB Audioの場合、DAC側が対応していれば、そのままのフォーマットで(DSDはDoPにて)転送されます。なかなか384kHzの音源はないかと思いますが、DSDについては「Mojo」経由でちゃんとDSDとして再生することができました。
この機能は個人的にはAKG K712 Proなどの「鳴らしにくい」ヘッドホンの再生や据置きのDAC+スピーカー出力で活用しています。特にAK300をLINE OUTモードでアンプに接続しスピーカー出力にした場合、私の利用環境(マランツ M-CR610+ DALI ZENSOR1)では若干平坦な音で物足りなく感じました。
手持ちの環境では据置きのスピーカー出力では「Mojo」が最強なので、ここでAK300→Mojo→M-CR610+ZENSOR1の構成が組めるのは有り難いですね。

imageまたWi-FiをつかってDLNA対応のNASなどに保存した音楽データへのアクセスや、iOS/Androidのスマートフォン・タブレットなどからの遠隔操作が可能になる「AK CONNECT」も地味(?)に便利です。
自分の部屋でAK300をUSB Audio出力でMojoと接続し、K712 Proでの利用やスピーカー出力環境で本体に入れていない音楽ライブラリを自由に聴く、というのも楽しい利用法です。
またiPadおよびAndroid用のAK CONNECTアプリは非常にわかりやすく、使いやすいと感じました。


追記: AK300など、MojoとさまざまなDAPとの連携についてのレビューを追加しました。
→ 
「FiiO L19」ほか、“Mojoと愉快な仲間たち(接続デバイス)”まとめ


■プレイリスト(.m3u)はUTF-8で保存
image音楽データが入ったmicro SDカードは、FiiO X3 2nd Genで使用していたものをそのまま差し替えて使用(SanDiskの200GBタイプを使用)。
ネットの記事だとAK300などの現在のAKシリーズは(おそらくFiiOなどを指した)中華DAPと比べて格段に使いやすいユーザ・インターフェースのような記述が多く見受けられます。確かにグラフィカルで見栄えは良く、慣れてくると聴きたい曲やアルバムへのアクセスはなかなかの操作感です。

ただ例えばアルバムソート以外では原則曲ごとのアーティスト別が優先されるので、おなじアルバムの中でアーティスト名が別れる場合(複数のアーティストが入っているサントラなどのアルバムや、feat.●●などが付いている曲など)は個別にソートされます。
またFiiOやウォークマンの場合、ループ指定などをしなければ特定のアルバムの再生が終われば自動的に次のアルバムを再生しますが、 AK300はそのアルバムで再生が終了する仕様。
そのため私がよくやっていた、プレイリストを別途作らず、適当に番号を付けたフォルダに曲を入れておき、その中のフォルダ名→ファイル名順に再生させる、という使い方はできないようです。
こうなると、私の場合、毎月の新幹線での移動などの際にあわせて数時間分のプレイリストをキチンと作っておく必要があります。

imageプレイリストもウォークマンやFiiO同様にmicro SDカード内に一緒につくった「.m3u」形式のプレイリストが使えます。私の場合は、micro SDに曲データをコピーした後に、foobar2000を立ち上げ、新規プレイリストを作成し、プレイリストに追加したい曲をmicro SDからドラッグして登録します。こうして作成したプレイリストを「Save Playlist」でmicro SD上に保存することで相対パスによるプレイリストが作成されるわけです。
→詳しくは過去記事参照:私が「SONY Walkman NW-A17」に落ち着いた理由。(追記あり)

 ウォークマンやFiiOの場合はこのままで問題ないわけですが、AK300の場合はもうひと手間必要でした。保存したプレイリスト(.m3uファイル)を秀丸などの文字コードを変更できるエディタなどで開き、文字コードを「Shift-JIS」から「UTF-8」に変更して保存し直します。これをしないとAK300では日本語のファイル名の曲をプレイリストに追加してない仕様でした(一瞬理由がわからず??となりました)。

プレイリストをUTF-8で保存し、AK300にちゃんとプレイリストを登録できれば、プレイリスト項目にカバーアートも含めて表示されます。これで長旅も安心、というわけですね。


■「歌詞」表示はタグ追加で「.mp3」「.m4a」形式で成功(FLACデータはNGぽい)※FLACも対応
AK300で音楽再生中に中央付近の3本線のマークを押すと「歌詞表示」の画面になります。ウォークマンなどの場合、音楽ファイルと同じフォルダに同じファイル名で拡張子を「.lrc」にしたいわゆる「LRC」ファイルを作成することで歌詞表示が出来ますが、AK300では残念ながら対応していないようです。

いっぽう、「Mp3tag」などのタグ付けをおこなうソフトで「UNSYNCEDLYRICS」タグを追加し、値に歌詞を書き込む方式(タグ埋め込み方式)の場合、「.mp3」形式と「.m4a」形式の音楽データで歌詞表示に成功しました。
しかし、残念ながらFLAC形式(.flacファイル)では非対応。いろいろ調べてみても良い方法はなさそうです。

ただ「.m4a」形式についてはAAC以外にALAC(Apple Lossless)でも問題なく表示されましたので、CD無劣化音質で歌詞表示をしたい場合はALACで作成、ということになりそうです。
imageimagemp3tag_lyc

ちなみに、メーカーサイトによると歌詞表示は「LDB形式」で対応とあります。
いろいろ調べていくと同社の「LDB Manager」という古いプログラム(2006年頃)のアドレスにたどり着きますが、ライセンスサーバが停止している関係もありうまく使えません。また「LDB Manager」の代替プログラムとして「K5 Lyrics Editor」というフリーソフトがあり、こちらは日本語の歌詞にも対応していますが、このソフトで作成し、歌詞を埋め込んだ音楽データでもAK300では残念ながら歌詞は表示されませんでした。なお、「LDB Manager」も「K5 Lyrics Editor」も対応する音楽ファイルは「.mp3」と「.m4a」のみで、FLACは読み込むことができません。この辺は実際に成功したファイル形式と一致していますね。

というわけで、「UNSYNCEDLYRICS」タグを「.mp3」「.m4a」に付けることを「LDB形式」とメーカーが呼んでいるのかはちょっと不明ですが、少なくとも「2006年当時に言われたLDB形式とは異なる」ことは確実なようです。なかなか紛らわしいですね。きっとメーカーもほとんどニーズがないという認識なのではと思います。

今後、もしFLACで第3世代AKでも歌詞表示が出来た、という情報があればまた紹介します。
※追記:
FLACの場合は違うタグ(「LYRICS」タグ)で歌詞を登録することができるそうです。



CHORD「Mojo」を据置きDACとしてスピーカー環境で使ってみる

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

■据置きDACのレベルアップで、まさかの「Mojo」へたどり着く

東京の単身赴任先でのオーディオ環境も少しずつ変化をしていて、今年に入りMarantzの「M-CR610(現行機種はM-CR611)」をセンターに、セット販売もされていた相性の良いDALIの「ZENSOR1」をメインのスピーカーとして配置。他にもスピーカー数台を使い分ける環境になりました。
imageM-CR610はS/PDIF入力と、ネットワーク経由で最大24bit/192kHzのPCMが再生できるため、据置きDACでは「FOSTEX HP-A4」を「192kHz対応の光ケーブル」でS/PDIF接続。Mac miniでAudirvana PlusからHP-A4で再生する環境を中心に、サブDACでは「iFI nano iDSD」を使用し、こちらはRCAケーブルでM-CR610へ接続しています。
HP-A4をDDCとして使用する構成は、M-CR610自身のPCM再生の音質の良さもあり、なかなか満足のいくレベルの音質を実現できているのですが、今度はnano iDSDのRCA出力についてももう少しグレードアップし、アンプ、スピーカーをさらに活かせないものか、と思います。
特にHP-A4をSPDIF接続するとDSDのネイティブ再生ができないため、DSDを聴くときにはnano iDSDを使用するか、サブで使用しているWindows10ノートPCから「KORG DS-DAC-100m」を使い同社の「AudioGate 4」で再生する流れになります。

最近はそこそこDSDの音源なども所有し始めており、またPCMも32bit WAV形式などのデータも衝動買いしたりしてるので、よりハイエンドなDACの必要性を日に日に感じるようになってきたわけです。
image
そこで、ターゲットとなる製品ですが、いちおう東京での据置きに加え、毎月頻繁に行う東京と福井の自宅への移動、そして自宅でのオーディオ環境での利用なども想定することにしました。どうせ東京でだけDACのグレードを上げても他のシーンでも同様の音を、と思うのが目に見えていたからです(そしてサイフにも限度がありますので)。

そうなると自ずと候補に挙がるのが現在使用している「nano iDSD」の上位モデルにあたる、iFI-Audioの「micro iDSD」です。実売7万くらいなので、5万円程度という予算だとちょっとオーバーなのですが、Amazonで結構安い中古が出ていたため衝動買い。以前別の中古で「当たり」を引いて気をよくしていたのですが今回は逆に「大ハズレ」でRCAから片方音が出ない不良品であったため即返品。据置きメインであることから改めて「micro iDAC2」などに機種を変更して新品での購入を再検討することにしました。

そして例によって試聴の旅から帰還し、実際に購入したのは当初まったく「想定外」だったCHORDMojo」でした。


■スピーカー出力でも価格を超えた「Mojo」サウンドは威力を発揮

もともと私のなかではCHORD社の「Mojo」は、同社の「HUGO」のモバイル用ヘッドホンアンプ版、という認識でした。ところが今回「Mojo」を据置きメイン、スピーカー出力メインで購入してしまいました。

image購入時点で、「Mojo」は実勢価格的には「micro iDAC2」と近いところにありました。また特に768kHz/32bit対応等の性能的に「そのスペック要るのか?」的ハイスペックは「micro iDSD」に通じるところがあります。
いっぽう据置きメインだといってるのに、800Ωのヘッドホンにも対応する出力を2系統とかの「リア充仕様」(笑)もなかなかどうかと思います。
でも、試聴してみて、音質にヤラれました。
「Mojo」の音質傾向はそのハードウェア特性からくるホワイトノイズの全くないどこまでもクリアなS/Nの高さと弱カマボコでクラッシックやジャズなどを奏でる「美音」と言われます。
購入してみて、「M-CR610」(アンプ)+ZENSOR1(スピーカー)にミニピンステレオ~RCAケーブルで接続。実際に鳴らしてみて、大正解でした。
相性は抜群、これぞ私が求めていた「劇的な変化」でした。

「Mojo」も、電源ON時に+-の両方のボリュームボタンを押しながら電源ボタンを入れるとLINE OUTのモード(最大音量で固定)になります。もちろん普通にONにしてボリュームを適度に上げても問題ありません。

ちなみに、私の場合、福井の自宅にあるDENONのプリメインアンプ「PMA-390RE」で出力する場合はこのLINE OUTモードで、東京のMarantz「M-CR610」の場合はボリュームをコントロールして他のラインアウト機器と同等の音量がとれるところで使っています(M-CR610だとLINE OUTモードでは出力が大きすぎるみたいです)。


■もちろんヘッドホン・イヤホンでも。IEMでも600Ωのヘッドホンでも体感できるMojoサウンド

「Mojo」は後述しますが徹底的にデジタル処理にこだわったDAC製品ですので、たとえばiPhoneとの組み合わせで定番化している「OPPO HA-2」にあるようなアナログ入力はなく、USBとCOAXとToslink(光)のSPDIFのみです。
imageMacやPCのUSB接続のほか(USB Audio Class対応)、カメラアダプタ経由でのiPhone接続やウォークマンの場合は専用アダプタ(WMC-NWH10)経由による接続が可能です。個人的には、メイン環境であるMac接続での「Audirvana Plus」での再生と、iPhone経由の「HF Player」再生がやはり良いですね。どちらもプレーヤーによるアップサンプリングによる再生に対応しており、さらにリアルタイムでのDSD変換によるDoPでのMojoへの転送もできます。
同様のことはオンキヨーの「DP-X1」や「Astell&Kern AK70」などのDAPとUSB-OTGケーブルでの接続でも可能です。
※追記:ファームウェアのアップデートで「AK300」など第3世代AKはすべてUSB Audio出力に対応しました。

imageこれまでポータブルでは「FiiO X3 2nd Gen」と「E12A」の組み合わせにより「SE535LTD」でのリスニングが中心だったのですが、MojoでもE12Aと同様にSE535LTDから全くホワイトノイズの聞こえない非常に明瞭なサウンドでMojo独特の低音が厚くも、圧倒的な解像度の高さ、左右の分離感を実感できます。ああ1ランクグレードが上がったな、と実感できるサウンドです。いっぽう、たとえばK240 StudioAKG C200純正リケーブル済み)などの場合はE12Aでは出力が足りないのでヘッドホン用の同社「E12」のほうで聴く必要がありましたがMojoの場合はそのままでも全く問題なし。

また福井の自宅には「K240 Monitor」というK240 Studioの前のモデルに当たる10年以上前に販売終了になったモデルのヘッドホンがあります。こちらは見た目の形状こそ後継のK240 Studioと酷似していますが、ドライバーの仕様も大きく異なり、なにより600Ωの高インピーダンス、88dB/mWの低感度と、「鳴りにくさ」「使い回しの悪さ」においてはダントツの難物です。しかし、このK240 MonitorもMojoなら難なく再生。「K240 Monitor」の特徴である、K240 Studioに通じる解像度の高さと後のK712 Proにも通じるようなモニターヘッドホンとは思えない広がりをMojoでしっかり再現していました。


■スピーカー出力でも「Mojo」は素敵だった。特に圧巻はDSD音源。

imageそして、今回の購入目的である、据置きDACとしての利用ですが、Macとの接続では、Audirvana Plusのアップサンプリングにより、32bit/768kHzによる再生が可能。
この可聴域を遙かに超えた高周波数がCHORD社がいうように本当に感じ方に影響を与えるのか。少なくとも私自身は、音の際立ち方、広がり、そういったものは既に持っているどの製品と比較しても全く異次元の音質と感じました。

これまで、M-CR610のRCAケーブルでの接続では、従来のHP-A4やnano iDSDではより高級なオーディオケーブルに換えてみても、光ケーブル経由デジタル転送でのM-CR610自身のDACによる24bit/192kHz再生と比べて音の奥行きが浅く1枚膜をかぶったようなこもった感じが払拭できませんでした。これがMojoを経由した途端、M-CR610自身のDAC性能を遙かに超える解像度と分離性による空間表現とより重厚な低音が実現。32bit WAVも音源のクオリティを余裕で描写する実力はさすがです。

「やはりMojoはスピーカーでも凄い!」と改めて実感しました。

特に、DSD音源の再生でのクオリティの高さは圧巻。

これまでDSDについては、DSD64(2.8MHz)のいろいろな音源を購入しているのですが、従来の環境では十分にメリットを感じることができず、「ふつうに96kHzのFLACで買えば良かったかな?」とちょっと後悔し始めていたところでした。

imageところが、Mojo経由で再生してみてまさに驚愕。これまで手持ちの機器で「DSDの良い音」のベースに置いていたKORGの「DS-DAC-100m」での「AudioGate」経由での音質を軽く凌駕し、192kHzのハイレゾ音源を超える音域の広さと瑞々しさ、さらに楽器の「生っぽさ」がZENSOR1から奏でてくれました。
「Mojo凄い」に加えて、「DSD音源凄い」、「M-CR610とZENSOR1のポテンシャル凄い」とついでの驚きが加わり、「スピーカーでもMojoを積極的に使うべき」と改めて実感するのでした。
ちなみに、Mojoのアンプへの接続はちょっと良いレベルのステレオケーブル(以前からずっと使っているオーディオテクニカのDVD LINKオーディオケーブル)、Macへの接続はエレコムのオーディオ用micro USB - USBケーブル(たぶん見た目だけで音質的変化無し)、充電用は普通のmicro USB - USBケーブルをノイズフィルタタップへ接続しています。


■Fiio X3 2nd Genへも変換アダプタで簡単COAX接続

ちなみに「Mojo」にはUSB接続以外にコアキシャル(COAX)用のミニピン端子とToslinkの光ケーブル端子があり、どちらもSPDIF規格上限の24bit/192kHzまでのPCM入力が可能です。Mojoは入力の周波数やフォーマットで電源部分のLEDの色が変わるので、手持ちのオーディオのSPDIF出力がどの周波数で出ているのかを確認するのにも便利、というちょっと変わった使い方もできます。
image光ケーブルは量販店などで販売されている一般的なものは48kHzまでの対応で96kHzや192kHzなどのハイレゾはうまく転送できない場合があります。
わたしはAmulechの192kHz対応光ケーブルを使用しています。たとえばMac miniやAirMac Express、Astell&Kern AKシリーズのように先端形状がピン状の場合はこのケーブルに変換コネクタを使用し、ちゃんと24bit/192kHzまででのハイレゾ転送ができました。また、COAXについては3.5mmミニピン形状のCOAXケーブルは少ないですが、RCAのモノラル~モノラルミニのケーブルで代用ができます。またステレオミニピンでも左右モノラル結線されていれば使用できます。

手持ちの「FiiO X3 2nd Gen」というDAPの場合、本体側は専用のピン結線になっており、この専用ピンと一般的なCOAX(RCAと同じ形状)のメスへの変換ケーブルが本体に付属しています。Mojoに接続する場合、このピン結線に対応するケーブルを自作するか、オヤイデなどの専用ケーブルを購入する必要があります。
このFiiO - Mojo接続COAXケーブルがなかなか選択肢も少なく結構高額なのでちょっと悩みどころでした。

そこで、秋葉原でRCAモノラルオスとステレオミニの変換アダプタを購入(購入価格250円)。これを本体付属の変換ケーブルにつないで簡易的なMojo用ケーブルを作成。ちゃんと利用することができました。
私の場合、頻繁に使う方法ではないため、お手軽に対応できたのは嬉しいところです。

imageimageimage

実際にこの組み合わせで新幹線での移動の御供で使用し、快適なMojoサウンドが楽しめました。

なお、FiiO X3 2nd Editionの場合、DSD64(2.8MHz DSD)形式もFiiO側で88.2kHzのPCMに変換してCOAX経由でMojoに送られるため、対応フォーマットはほぼすべて(DSD128以外)楽しむことができます。

追記: MojoとさまざまなDAPとの連携についてのレビューを追加しました。
→ 
「FiiO L19」ほか、“Mojoと愉快な仲間たち(接続デバイス)”まとめ


■スペック的に似てるようで全く異なる「micro iDSD/micro iDAC2」と「Mojo」の技術的アプローチ

余談ですが、CHORD社の製品といえば最大の特徴は一般的なDACチップを使用せず、専用に開発したDACをFPGAで実装していることだと思います。FPGA(field-programmable gate array)を使ったアプローチはオーディオの世界では極めてまれですが、私自身の仕事のITネットワーク関係だとCisco製品を初め多くの製品で一般的に用いられていて馴染みも深い部分です。

そして汎用チップ間を内部でI2S接続し、最終的にオペアンプやコンデンサなどのアナログ部分で音質を追い込んでいく一般的なUSB-DAC製品と異なり、Mojoの場合だと「Atrix7 FPGA」カスタムICにより処理を一括して行い、最終のミニピンステレオ出力までアナログ的な処理を徹底的に排除しているのが特徴。
オペアンプICもヘッドホンアンプICも使用せず、すべてFPGAで処理を行っているので、SE535LTDなどの反応の敏感なIEMから、600Ω級のヘッドホン、さらにスピーカー出力までを同じ出力端子からカバーできる、というわけです。


いっぽう当初購入しようと考えていたCHORDと同じ英国メーカーであるiFI-Audio社の「micro iDSD」や「micro iDAC2」は、DACチップの数がmicro iDSDは2個と異なるものの、基本的に使用しているチップ自体は私も持っている「nano iDSD」と同じものです。
特に「micro iDAC2」についてはデジタル処理部分について「nano iDSD」とチップレベルでの違いはほぼ無いといっても良いでしょう。

ですが、人気機種となった「nano iDSD」では不十分だったアナログ部分の追い込みをさらに「micro iDSD」「micro iDAC2」では徹底的に行い、よりHi-Fi的な意味での音質向上を目指した製品と言えるのでは、と思います。

「micro iDAC2」に関して言えば、その音質向上はRCA出力に特化しており、より高級なオーディオ製品での使用にも耐えうるレベルになったのでは、と思われます。もしかすると、私の使用するオーディオ環境くらいでは「アナログ面での強化」が実感しきれないかもしれません。また「micrio iDSD」の場合では同様の作り込みがヘッドホン出力について特に強化されていると感じました。

専用FPGAを作ってまでデジタルの音質を極めるCHORDと、汎用チップの組み合わせでのアナログ性能を極めるiFI。
同じ英国のメーカーでこうも真逆のアプローチを取っているのは大変興味深いですね。


DigiFi No.19付録Orasonic製8cmユニットを中古アルミ筐体で鳴らしてみる

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

某ハードオフのジャンク品売り場で、オンキヨーのD-L5という古いスピーカーを見つけました。
ペアで1000円也。
D-L5のエンクロージャはアルミ製で8cmのフルレンジユニットを使用している小型スピーカーです。

というわけで、スピーカーのエンクロージャを活用して、DigiFi 19付録のOrasonic製8cmユニットを組み合わせてみたいと思います。
DigiFi 19付録のOrasonic製8cmユニット専用アルミ製エンクロージャ「PHAC-190」
DigiFi19の8cmユニットはグラフファイバー製の振動板を使用したハイレゾ対応のスピーカーユニットで、エンクロージャを変えることでさまざまな音色を楽しめるユニットですが、出版元のステレオサウンドの直販サイトには、ちょうどこのユニット専用アルミ製エンクロージャ「PHAC-190」があります。ただそのお値段49,680円。1000円で買ったD-L5のアルミ製エンクロージャで近い音が出たらいいなー、という野望であります(笑)。

フロントのカバーは接着剤でがっちり固定されていますので、金属製の定規などを使って少しずつはがしてゆきます。カバーを外し、元々付いているユニットを取り外します。
オンキヨーのこのクラスのスピーカーはほぼ共通してるのですが、ユニットの下には役に立つのかどうかわからない程度のサイズで目の粗いスポンジが入っていますが、要らないので一緒に取り出します。
imageimageimage

ユニットを取付ける前に、吸音材を適当にカットして中に敷き詰めます。そういえば上記「PHAC-190」の写真を見ても中は吸音材でびっしりのようです。アプローチとしては悪くなさそうです。
吸音材は以前Amazonで購入した「ESW-300」というものを使用。たくさん入っていて安価ですし、薄く裂けるのでなかなか便利です。
imageimage


imageあとはDigiFi19のユニットを取付けしっかりビス留すればできあがり。
なかなかそれっぽいスピーカーができあがりました。
早速設置して鳴らしてみます。

手元にあった「FOSTEX PM0.1」と並べてみると、D-L5のエンクロージャがいかにコンパクトなのかわかります。

imageフロントに手持ちのゴム足を取付け(もともとアルミ筐体なので、堅いインシュレータよりこのほうが良いようです)、アンプに接続します。
アンプは「SA-36A Pro」という音が良い中華アンプを使用。
さっそく鳴らしてみると、以前同じユニットを取付けていた木製のFOSTEX P-800Eと比較して、アルミ製エンクロージャらしい非常に明瞭なサウンドが楽しめます。
低音も木製エンクロージャとは全く異なる特徴的な響き方をするようです。中高域の音色はかなり硬質ですが、USB-DAC経由でDSD音源の女性ボーカル曲などを聴くとキラキラ感がいっそう引き立つ感じがします。

ニアフィールドでそれほどボリュームを上げなくても音源の特徴をつかめる辺りは、おそらく純正のアルミ製エンクロージャと近い音が出せているのではないかと思います。
P-800Eの組み合わせはイマイチでしたが、この組み合わせはなかなか正解だったようです。

マランツ「M-CR610」と「ZENSOR1」「FF85WK」でオーディオ環境を再構築

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

image先日、マランツのネットワークCDレシーバー「M-CR610」を東京用のアンプとして中古で安価に入手しました。おそらく店頭展示品だったようで付属品他状態は非常に良いものでした。
現行モデルの「M-CR611」の一世代前になりますが、基本的にUSB-DACを接続するプリメインアンプとしての利用がメインなので、その点では現行モデルとほぼ差がないうえ、RCA入力がM-CR611ではひとつになっているのに対し、M-CR610では2つ確保できるのでその点でも何かと便利かと。
スピーカーはもともと、オンキヨーのCR-D2につないでいたDALIの「ZENSOR1」を使用。M-CR611ではセット販売もされており、開発段階から組み合わせを想定されているこのシリーズのアンプと最も相性の良いスピーカーのひとつです。
image
M-CR610およびM-CR611はバイアンプに対応していますが、ZENSOR1は通常の接続になるため、もう1系統のスピーカー出力には、FOSTEXの「FF85WK」8cmスピーカーユニットを同社のかんすぴ「P-800E」エンクロージャに組み合わせた組み立てスピーカーを接続。音色の変化を楽しみます。



■24bit/192kHz対応SPDIF光ケーブルでHP-A4を接続
M-CR610への接続ですが、今回、SPDIF光入力にFOSTEXの「HP-A4」を接続しました。つまりHP-A4はDACではなくDDCとして使用し、DACはM-CR610に任せる方向です。
_SL110_
SPDIFは規格として24bit/192kHzまでのPCMをサポートします。しかし、光端子の場合、市販されている多くのケーブルは16bit/48kHzまでしかサポートできておらず、ハイレゾを流すとうまく送れないケースがほとんどです。
今回、Amazonで販売されていたAmulechの光ケーブルが「24bit/192kHz動作保証」を謳っていたため早速試してみることにしたわけです。

imageHP-A4はもう結構古いモデルですが入出力のI/Fについては現在でもこの価格帯の製品では特徴的な部類で、RCA出力とヘッドホン出力以外にSPDIFの入出力、それもCOAXではなく光端子でのI/Fを持っており、正面のスイッチで入出力の変更ができます。
SPDIF出力の場合、DSDは再生できませんが、そちらは従来通りRCA出力で対応します。
なお、M-CR610のアナログ1のRCA入力にはiFI nano iDSDを、そしてアナログ2には従来使用していたオンキヨーCR-D2のRCA出力を接続し、CR-D2をすでに接続されている既存の機器のプレーヤーとして使用します。


■セッティングの変更でZENSOR1の本来の実力を実感

image早速、CR-D2で使っていた環境でそのままアンプをM-CR610に変更して鳴らしてみると、・・・あれ?
なんだか異様に低音が出すぎていて、曲によっては耳にダメージを与えるレベルの反響音がします。高音の抜けも思ったほど良くありません。試しに、M-CR610のスピーカーのレスポンス設定を変更し、下の周波数にフィルタをかけるとちょっと良くなりました。しかし、店頭でM-CR611とZENSOR1の組み合わせで聴いた音とは明らかに異質です。

よく考えてみると、ZENSOR1はテレビのうしろに設置した棚の上にインシュレータをはさんで設置していましたが、アンプが変わってスピーカーへの出力がCR-D2から劇的に向上したことにより、使用していたインシュレータだけでは振動を吸収しきれず棚から不協和音を出していたようです。またスピーカーケーブルも明らかに情報不足を感じます。
もともと、スピーカーの配置を変更したいと思っていたこともあり、さっそくAmazonでスピーカースタンドを購入。スピーカーケーブルも変更しました。

スピーカースタンドは低価格ながらしっかりとした作りの「NX-B300」。組み立て時に付属の木ネジに加えて木工用ボンドでしっかり固定しました。
imageまたスピーカーケーブルは秋葉原の某ヨ○バシにてカット済みでワゴン販売されていたZONETONE6NSP-2200α」を使用。まあ結構安くなってたので(笑)。
ちなみに同じフロアのオーディオコーナーに展示されていたM-CR611とZENSOR1の組み合わせでは同じZONOTONEのひとつ下のグレードにあたる「6NSP-1500M」スピーカーケーブルで接続されていたのも多少選択のポイントにはなりました。

セッティングの変更を行い、改めて聴いてみると、「おお~!」。大化けしました。
というか、これが本来の音だったんですね^^

解像度だけでなく音の広がりや奥行きが大幅にアップし、ZENSOR1の特徴的な中高域に加え、低音もさきほどの不協和音が抜けてしっかり響くようになりました。

東京の部屋は8畳ほどのマンションの一室ですが、このくらいの部屋のサイズおよび反響音(鉄筋コンクリートのマンション)ではM-CR610およびZENSOR1の組み合わせがサイズ的にまさにぴったりだったと思います。おそらくこの部屋ではこれ以上に低音が強いスピーカーを設置すると不自然になりそうです。
いっぽう、福井の自宅のオーディオルーム(木造戸建ての10畳ほどの部屋)で東京と同じ環境を作ってもこの感じは出ないかもしれません(特に低音成分)。こちらはアンプを同じにするならスピーカーはB&Wで組むべきかな・・・などと想像したりします。

アンプの性能でいえば、M-CR610のDAC部分も秀逸で、MacでAudirvana Plusから適度にアップサンプリングしつつ、HP-A4をDDCとして使用し、SPDIF経由での接続では抜群の解像度の高さと抜けの良さを感じました。Amulechの光ケーブルは規格通りSPDIFの上限24bit/192kHzの音源も確実に再生。M-CR610のパネルに「Fs=192kHz」と表示されちゃんと対応できていることが確認できます。

image山下達郎や佐藤竹善などマスタリング品質の非常に高いCD音源の素晴らしさをあらためて実感しつつ、一方ではそれほど音質の高くない「ハイレゾ曲」と、ちゃんと作り込まれているハイレゾとの差が明確に聴き分けられます。
HP-A4もDACオペアンプを交換し、HD598など手持ちのヘッドホンでの利用では結構満足のいくレベルなのですが、RCA経由でのスピーカー出力ではいまいち不満がありました。これがM-CR610のDACを経由することでまさに生まれ変わった感じです。当分はPCMのハイレゾについてはこれでいけそうです。


■AirPlayおよびDLNA再生でもアンプの実力を再認識

また、M-CR610 / M-CR610をはじめ各社の「ネットワークCDレシーバー」の多くはAirPlayに対応しています。AirPlayはネットワーク経由でALAC(Apple lossless Audio Codec)による無劣化でのデジタル転送に対応し、iPhone/iPadやMacなどからダイレクトに音楽再生が可能です。M-CR610も無線LANおよび有線LANに対応していますがここは安定性を考え有線LANで接続をしたいところです。
この辺の詳しくは過去にAirMac ExpressでのAirPlay再生についての記事で詳しく書いています。
→過去記事:Apple MusicのAirPlay再生で「AirMac Express」が最強の理由

imageネットワーク接続ができたら、早速iPhoneからApple MusicでAirPlay再生。
SPDIF経由でHP-A4をDDC化して聴いたときと同様、M-CR610の優れたDAC性能による解像度の高いクリアな音質とZENSOR1との組み合わせによる奥行きのあるサウンドが堪能できます。
また、マランツのiPadアプリなどを使用してNASからDLNAで共有しているハイレゾ音源をネットワーク再生することも可能で、こちらはアプリの操作性に多少の難はあるものの、音質面では同様に申し分のないところです。

これらはオンキヨー(CR-N765CR-N755)、デノン(RCD-N9K)など同価格帯の競合モデルがひしめき合っていて各社実現している機能ですが、音質面や結構メーカーによって違いがあるので、特に組み合わせを試聴して選ぶことをお勧めします。


■コンパクトながらメインでも行ける実力の「FF85WKかんすぴ」スピーカー
いっぽう、もうひとつのスピーカー出力に接続したFOSTEXのFF85WK+P-800E構成のスピーカーですが、M-CR610との相性も良く、8cmのフルレンジながらZENSOR1とはまた別の色合いで、特に非常に「聴きやすい」サウンドを奏でます。
FF85WK」は同社の8cmフルレンジユニットのなかでも豊かな音色が特徴ですが、いっぽうで比較的低域のボリュームが厚く、例えばバックロードホーン型のエンクロージャと合わせると「低音が出すぎる」傾向があるようです。
imageいっぽうコンパクトなフルレンジ用の「P-800E」はほぼユニットの特性を素のまま鳴らすタイプのエンクロージャですから「FF85WK」との相性は抜群。低音は分厚いわけではありませんが、解像度が高く女性ボーカルなどの中高域の伸びのいい非常に「聴きやすい」音になります。また、たとえばSuaraのアルバムなどDSD音源(やDSDをPCMに変換した音源)の場合、それほどボリュームを上げない環境ではZENSOR1より曲のバランスが良く感じました。
充分、メインで行ける実力ですね。

そのため、私の場合、しっかりリスニングを愉しむ場合はZENSOR1、仕事や読書などでBGMとして鳴らす場合はFF85WK+P-800Eといったように使い分けています。

この環境なら、RCA経由の方も、もう1ランクUSB-DACのグレードをアップしてもちゃんと効果を得られそうです。ですので、次は「nano iDSD」を「micro iDAC2」へアップグレードかな、と思っていたりします。


【後編】384kHz&DSD対応「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」のドライバ問題

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

■Windowsでも音はいいんですよ
謎の32bit/384kHz PCM DSD128(5.4MHz)対応、XMOS搭載USB-DACのレビュー後編です。

Amazon.co.jp:
Nobsound® Douk Audio Hi-Res 384K/32bit XMOS USB DSD1796 DAC

【前編】1万円DSD&32bit/384kHz対応「謎のUSB DAC」を買ってみる

※追記:現在Amazon.co.jpでは販売されていませんが、「AliExpress」のショップにて現在も中国より直接購入することが可能です。
→ AliExpress / Douk Audio Store 商品ページ


Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC(この記事ではこう呼びます)は、XMOS U8(USB Audio Class 2.0リファレンスデザイン)チップ搭載ということで、「前編」では、ドライバの不要なMac環境でAudirvana Plusでのレビューをしました。
「後編」ではいろいろ問題のありそうな、だけど大多数のユーザが利用するであろうWindows環境の接続を行ってみます。

ちなみに、最初に触れておくと、Douk Audio XMOS/DSD1796 DACは事前に注意事項、というか「留意事項」がありますが、Windows環境で接続しセットアップすること自体は非常に簡単です。またMac環境同様、foobar2000でも非常に「いい音」で鳴ってくれるコスパの尋常でなく高いUSB-DACです。1万円そこそこで購入できる商品としてはなかなかないレベルをクリアできているとは思います。


■ドライバCDによるWindowsへのセットアップ

では、何が問題か、というとすべては付属のドライバCD(8cm CD-Rにライティングしてある)にあります。最近では光学ドライブのないPCも増えていますし、最新バージョンを確保するためにもドライバはネットでダウンロードする方がむしろ一般的かもしれません。
しかし、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」のドライバは、あくまで8cm CD-Rです。ネットではダウンロードできません。いちおう「Douck Audio」というブランド名?のオフィシャルサイトのURL記載はありますがサイトが落ちているのか全くアクセスできません。まあGoogleのキャッシュで見てもたいした情報はありませんでしたが。

CDの中身はこんな感じです。
CD-R

ここでの留意事項は、ドライバのインストールにはこのCDが必要で、実際に使うのは「XMOS-Stereo-USB-Audio-Class2-Driver-3004_v3.20.0.zip」だけ、ということです。

このZIPファイルをPCにコピーし、解凍します。あとはインストールを行い、インストール完了時にUSB-DACの接続確認を促すダイアログが出ますので、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」を接続しOKすれば完了です。

ファイル名をみれば明らかなように、このドライバはXMOS社のリファレンスドライバのようです。
付属のv3.20.0でWindows 10へのサポートは行われていますので、最新の環境でも特に問題はありません。
ただ、XMOS社のサイトへアクセスしても同様のリファレンスドライバを一般のユーザがダウンロードすることはできないため、このCDを使う必要があるわけです。

なお、XMOSのドライバは、XMOS社がデベロッパに無償提供するリファレンスドライバと、Thesycon社により有償でOEMライセンスされるベンダドライバーの2種類があるようです。
英iFI Audio社(nano iDSD/micro iDAC2などのDAC製品)や米OPPO社といったXMOSチップを採用したUSB DACを提供しているメーカーは、例外なくこのベンダードライバを自社ドライバとして提供しています。

XMOSを採用した各社USB-DACのドライバは、各ドライバは接続する製品個別の情報を持つため、個々にインストールが必要なものの、共存は可能で、異なるメーカーの製品を同時に接続することも可能です。

ただし、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」が使うリファレンスドライバと各社のベンダードライバで共有している部分が存在するため、必ず提供されているドライバのバージョンの古いものから順にインストールする必要があります。
これを逆に新しいほうを先に入れて、古いバージョンを後から入れると、最悪どちらのUSB-DACも動作しなくなります。

例えばiFI Audioの「nano iDSD」はiFI社サイトで公開されているベンダードライバのバージョンは「2.26.0」(2016年6月現在)で、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」付属のリファレンスドライバは「3.20.0」ですので、共存させる場合は、必ず「iFIのドライバ → Douk Audio XMOS/DSD1796 DACのドライバ」の順でインストールします。またどちらかのドライバをインストールし直す場合は念のため、すべてのXMOS系ドライバをアンインストールしてから再度順番通りインストールする必要があります。

CD付属のXMOSリファレンスドライバをインストールし、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」が正常にオーディオデバイスとして認識できればとりあえずは完了です。


■「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」は、Windowsでも「DSDはDoPのみ対応」と割り切ろう
foobar2000用の設定について、必要なコンポーネントなどが「foobar components.zip」というファイル名でまとめて入っていますが、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」専用というわけではなく、一般的にfoorbar2000を使用するために必要なものしか入っていません。またバージョンが古いものなども混在しているため、適時ダウンロードするなどしてfoorbar2000用の環境を構築することをお勧めします。

必要なコンポーネントが入っている状態で、「File」「Preference」「Playback」「Output」「ASIO」とドリルダウンし、「XMOS USB Audio 2.0 ST 3004」という項目があれば利用可能です。
とりあえず「Output」のDeviceで「XMOS USB Audio 2.0 ST 3004」を選択してハイレゾFLACなどのPCMを再生してみます。これでちゃんと鳴ってくれればとりあえず正しく認識しています。
foobar1-1foobar1-2foobar1-3

とりあえずこれらの設定は「nano iDSD」をfoorbar2000で使用する方法を参考にしてもうのがもっとも手っ取り早いでしょう。
ここで他のXMOS搭載製品と異なる、もうひとつの留意事項は、DSDの設定が「DoPのみに対応」という点です。CDに付属の「FOOBAR DSD settings.pdf」を参照すると、いちおう必要な設定方法が記載されていますが、その中では「DoP」で設定する場合と「ASIO Native」で設定する場合の両方が記載されています。しかしXMOSのリファレンスドライバで対応しているのは「DoP」モードのみになります。そのためこのドキュメントの「ASIO Native」での記載は一切無視してください(重要)。

この理由は後述します。

設定としては、まず「Tools」の「SACD」のASIO Driver Modeを「DSD」に変更しておきます。
foo1-3

そのうえで、上記と同様に「Playback」「Output」「ASIO」を参照し、「foo_dsd_asio」をダブルクリックし、
DoPの設定を行います。その上で「Output」を「foo_dsd_asio」にすることでDSD出力が可能になります。

foobar2-1foorbar2-2foobar2-3



■「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」ドライバのアウト問題
実はDouk Audio XMOS/DSD1796 DACに付属するXMOSのリファレンスドライバと各メーカー製品に使用されるベンダードライバの最大の違いは、「DSDでASIO Native」に対応しているかどうか、という点にあります。

XMOS社のサイトに両方のドライバの比較表がありましたのでリンクします。
 → USB Audio Class 2.0 Windows Driver Overview (XMOS社サイト)

この比較表の「XMOS Stereo Driver」がリファレンスドライバで、「Thesycon Driver」がベンダードライバになります。なお、左側にある「Evaluation Driver」(=体験版)は、同サイトでダウンロードが可能ですが、再生1時間が経つと5分おきにビープ音が鳴る、という制限付きであくまでデベロッパーの動作確認用、というもののようです。

Douk Audio XMOS/DSD1796 DACでは、この制限をどうにか解消しようとしたらしく、その結果CDの中に、「OPPO_USB_Audio_Dac_Driver_release_ver2.24_build16(修改版).rar」なる、ファイル名からして、どう考えてもアウトなドライバが同梱されていると思われます。アウトなので多くは触れませんが、少なくとも私の環境ではインストールそのものができませんでした。もしかすると、テストモードなど特定の環境下であればこの改造ドライバがインストールできてしまう可能性もありますが、完全にライセンス違反ですので、ここは「何かの間違いで入っていたんだろう」と思って見なかったことにするのが適切な対応だと思いますね。

なお、ほかにもXMOS関係だ別のメーカーのを使う手もあるようですが同様にライセンス問題はあります。
解析目的なら話は違うと思いますが、オーディオとして楽しむ上で安定したリファレンスドライバであくまで「DoP」でのDSD対応のデバイスだと考えるのが正解だと思います。


■オマケ。「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」の分解写真
imageドライバ問題でちょっと萎えたので、ハードのほうは大丈夫か確認すべく、とりあえずバラしてみました。基盤は白色のものでした。
XMOS U8チップ、バーブラウンDSD1796を確認。ネットで入手できる基盤と内容的に違いはないようです。
また、オペアンプはOPA1652が3基搭載されていました(パッケージの印字はOP1652)。思ったよりちゃんとしています。このあたりが、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」の音の良さに貢献しているのは間違いなさそうです。
またヘッドホンアンプにはMAX4410を使用していました。

imageimageimage

ヘッドホン出力にヘッドホンをつないでもR/LのRCA出力と同時に音が出ます。
また本体にボリュームがないため、必然的にプレーヤー側での音量調節が必要ですが、結構大きい音がでますのでイヤホンなどの場合注意が必要です。
ヘッドホン出力はまた音の感じが変わりますので、ステレオミニのLINE OUTとして使って、RCA出力との音の違いを楽しんでみるのも良いかもしれませんね。


せっかくハードの機能としてはDSD256(11.2MHz)まで対応する性能をもちながら、それが使えるドライバがない、というのはなんとも残念ではありますが、「わかっている人」には1万円でけっこう楽しめる商品だとは思いますよ。

【前編】1万円DSD&32bit/384kHz対応「謎のUSB DAC」を買ってみる

このエントリーをはてなブックマークに追加
image

Amazon.co.jpで1万円くらいで売ってるやつです。USB-DACです。
→「Nobsound® Douk Audio Hi-Res 384K/32bit XMOS USB DSD1796 DAC

※追記:現在Amazon.co.jpでは販売されていませんが、「AliExpress」のショップにて現在も中国より直接購入することが可能です。
AliExpress / Douk Audio Store 商品ページ


「XMOS U8」チップと「DSD1796」DACチップを採用し、
PCM 32bit/384kHz、DSD128(5.6MHz)まで対応、S/N比112dB、歪み0.001%」と、
スペック上はなかなかの性能で、例えばAmazonで「DSD対応 USB DAC」などで検索すると群を抜いた安さで目を引く商品です。ただ、それ故に「本当かな」とパチもの感もハンパない、とっても危険なニオイの漂うアイテムでもあります。

Amazonのレビューを見ると、なんかWindows用のドライバに問題があるとか書かれており、念のため商品についてネットでいろいろ検索してみると、外観は同じだが基盤が全く違うものが何種類か海外で販売されていたり(Amazonでは見つからなかったが直輸入もののサイトでも何種類か発見)、なかなかの怪しさです。
AmazonではNobsoundの製品で「Douk Audio」ブランドの商品とのこと。「Douk Audio」で調べるとUS、UKなど各国のAmazonやEbayでも同一商品を販売しており、そちらでもそこそこの評価があるようです。だいたい海外でも88USDくらいですからレート的にAmazonプライム対象で1万円ほどというのは悪くありません。

ちなみにNobsoundというと中華な真空管アンプが多いようで、比較的評価の高い小型の真空管プリアンプがあるいっぽう、「真空管は飾りでただのデジタルアンプ」 というプリメインがあったりと、結構微妙です。ちなみに、 Amazon.co.jpで販売している業者も「Nobsound=真空管アンプ」と思っているらしく(笑)、別に真空管ではないUSB-DACにもかかわらず、「真空管アンプ」と商品名に書かれてたりするあたりも残念です。
まあこれくらい怪しさを全面に出している方が知らずに買っちゃうリスクを回避させるためにはちょうど良いかもしれません。こーゆーものは覚悟の上で間違う(笑)商品ですからね。 


■というわけで間違って買ってみた。
プライムの在庫あり商品ですので、都内ですと朝注文するとその日のうちに届きます。
こーゆーものはAmazonでも何週間か待たされて直接海外から送られてくるパターンに慣れていて、つい先日も別の商品で1ヶ月待たされて税関で行方不明とやらで一方的にキャンセルされたばかりなので、逆にちょっと微妙です(本当はむしろ安心で非常に良いことですけどね)。
imageimage

でもAmazonの箱を開けてひと安心。安定の怪しさです。
この雑な箱を開くと梱包材でぐるぐる巻きになった商品がでてきました。個人的にはセルフパワー用のACの端子と給電の切り替えスイッチが付いているのは評価高いです。この手の基盤で電源を別にとってノイズ的なことに効果があるかどうかわかりませんが、同じマシンで複数のUSB DACを使い分けるので、バスパワー接続でこのスイッチを装置のON/OFF代わりに使えるは有り難いところです。なお、怪しいといえば、こちらの製品にはいわゆる「型番」がないため、この記事では「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」と呼びます。


■スペックについて。性能は「なんちゃってnano iDSD」?
ところで、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」のスペックについてですが、サイトによると「XMOS U8」と「DSD1796」を使っているとあります。XMOSのUSB Audio Class 2.0のリファレンスデザインチップは高性能なUSB-DACやより高級なオーディオ製品でも多く採用されており、「32bit/384kHz、DSD対応」の性能もこのXMOSチップによるところです。いっぽうTi(バーブラウン)の「DSD1796」は同社の「PCM1792A」や「PCM1795」などと同じ流れを組むDACチップですが、ネットで見る限りちょっと以前のヤマハのAVアンプやさらに以前のSACDプレーヤーあたりで採用されいたようです。昔ちょっと高級な商品にも使われた性能でチップ価格も安い、この辺に価格的なカラクリの一端が見えます。
image
ちなみに、XMOSで受けて内部でバーブラウン製DACに渡す仕組みでこのサイズ・性能、というと、ちょうどiFIの「nano iDSD」が非常によく似た構造です。nano iDSDはバーブラウン製DACとだけ表記されておりチップ名は公表されていませんが、分解写真を見ると同系列の「DSD1793」が使われていました(ビンゴです)。
なるほど、「なんちゃってnano iDSD」だな、と考えれば、この製品がちょっとわかってきました。ちょうどnano iDSDも所有していますので、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」と聴き比べしながら使ってみます。


■Macにつないで聴いてみて、驚いた
まずは、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」を、USB Audio Class 2.0対応なので、ドライバの要らないMacにUSBケーブルで接続してみます。
xmos「Audirvana Plus」で選択すると、スペック通り384kHz、DSD128までの対応が表示されます。
DACから先の再生環境は普段使いのアンプCR-D2+スピーカーZENSOR1。オーディオケーブルは愛用しているベルデン8412の加工済みケーブル(Amazon購入)。比較のため、同一環境で「nano iDSD」もつなぎ替えて聴き比べます。
まずハイレゾですが、オフコースのアルバム「OFF COURSE BEST "ever EMI Years"(24bit/192kHz FLAC)を試聴。サンプリングレートが高く、CD音源と比較しても「ハイレゾらしさ」の際立つマスタリングがされているアルバムですが、その特徴を良くつかんだ非常にダイナミックレンジの広い「ハイレゾらしい音」で鳴ります。
このアルバムは小田和正のボーカルにくわえ、ギターなどのアコースティックな音がとても印象的ですが、4曲目の「雨の降る日に」のように冒頭に雨音の効果音から始まる曲でも、あまりボリュームを上げなくても奥行きのある雨音の情景をきちんと描いています。正直1万円そこそこのUSB-DACとしてはかなりの実力です。
「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」、怪しさにつられてすっかりナメてましたが、一気に見直しました。

いっぽうDSDですが、まず「アニソンオーディオVol.3」特典のSuaraの「不安定な神様」(DSD64/2.8MHz)と、e-onkyoで購入した同じ曲の24bit/96kHzのFLACを聴き比べ。
DSDはフォーマット的にノイズシェーピングによる高周波ノイズを再生時にカットするため、特にDSD64はサンプリングレート的にはそれほどハイレゾではなく、解像度はより高い、という感じになります。同じ曲をハイレゾとDSDで聴き比べるとその傾向はきちんとあらわれていました。さすがDSD1796はもともと比較的高級なSACDプレーヤーで採用されていたチップですので、この辺はクリアできているようです。

しかし、DSDを再生する場合、プレイリストでのDSDファイルの連続再生時は問題ありませんが、曲の終了時、またはプレイリストでDSD64からFLAC、DSD64からDSD128というように再生データ形式がかわる瞬間に「ブチッ」という大きいスイッチングノイズ音が発生しました。これはDSDメイン(というケースは少ないかもしれませんが)の場合は結構なウイークポイントになりそうです。


■DSDを追い込んでみると、ちょっと価格の理由がわかってきた
さらに、上記のオフコースの24bit/192kHzハイレゾのアルバムをKORGのAudioGate 4.0でDSD64、DSD128に変換したデータで再生したところ、どちらもハイレゾ特有のエッジは丸くなりよりアナログに近い音に変化しつつもアコースティックのサウンドに深みが増す「DSD的な特性」がよく再現されています。
audirvanaただ、DSD64、DSD128の2つのフォーマットで音質に大きな変化はありませんでした。DSD1796チップ自体は4倍速(11.2MHz)=DSD256までの再生に対応していますがこのへんは「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」の音質面での限界という感じでしょうか。

DSDは上記のとおりフォーマットの特性で高周波ノイズが発生しますが、レートが2倍速(5.6MHz)、4倍速(11.2MHz)と上がるにつれ、より高域にノイズシェーピングできるため、PCMでいうところのより高いサンプリングレートを再現できるようになります。
つまり、192kHzといった高いレートでマスタリングされたハイレゾPCMをDSD化する場合、本来は、DSD64(2.8MHz)とDSD128(5.6MHz)では同じDSD的な音に変化しつつもDSD128の方が変換前のハイレゾPCMの特徴も多く再現された音になるはずなわけです。

ちなみに、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」のスペックをみると、USBで接続される「XMOS U8」は仕様の各フォーマットにもちろんすべて対応しますが、DACチップの「DSD1796」は比較的昔からあるICですので仕様的には「24bit/192kHz PCM、DSD入力対応(最大11.2MHz)」という性能になります。しかしDSDの場合、上記のノイズシェーピングのためのカットオフ周波数の設定などで音質の差がでてきます。

これらのことから、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」は、「実質24bit/192kHz PCM・DSD64対応(入力で32bit/384kHzおよびDSD128も可能)」というのがリアルなところの性能と考えられるのではないでしょうか。だんだん価格のカラクリが見えてきた感じですね。


■いっぽう「nano iDSD」は? これが「本物」との違いか

今度は同一条件でiFIの「nano iDSD」で聴いてみます。ファームウェアは最新の5.1(DoPでDSD256に対応する専用の5.1Aにはしていない状態)です。
imageまずハイレゾFLACを聴いてみて、最初「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」よりかなりフラット(というより平坦)な印象を受けました。しかしボリュームを少し上げてみると印象は激変。大幅にS/Nに差がありスピード感もあるようで、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」ではうるさく感じるレベルのボリュームでもむしろ心地よく響いてくれます。この辺はDACというよりオペアンプ(と設定)の違いとも感じますが、当然nano iDSDのほうがちゃんとしたオーディオ環境で鳴らすことを前提にチューニングされているのでしょう。「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」のいっけん音が良く聞こえるがツメが甘い感じがいきなり見えてきました。

また、「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」ではDSD64化データと比較してまったく意味のなかった24bit/192kHzハイレゾのDSD128(5.6MHz)化データですが、「nano iDSD」でははっきり違いを確認。
DSD256以上のフォーマットへの対応もしているわけですから、DSD128くらいは余裕、というところでしょうか。
nano iDSDでもXMOSから渡されるDAC(おそらくDSD1793)も24bit/192kHzのDACチップですが、おそらくXMOSからDACに渡す時点では192kHz PCM変換され、さらに音質についても当然追い込んでチューニングされているものと思われます。このような手法はAstel&KernのAK320 AK300やオンキヨーのDP-X1などの高級ポータブルプレーヤーでも採用されています。コストと音質、さらに使える電圧やバッテリ性能などの諸条件の折り合いの意味では効果的なのだと思います(nano iDSDはバッテリ搭載のポータブルDACでもあるので)。
いっぽう、ぱっと見似た構成の「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」では、音質に関してはチップ性能まかせで、このような設計上の追い込みはそれほどされていないということなのでしょう。改めて「本物」との違いを見せつけられた感じです。


でも、これらの違いを理解しつつ、私が東京で使っているオーディオ環境程度(ZENSOR1レベル)であれば「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」は充分にわかりやすい「いい音」を出してくれます。普段はそれほどボリュームも上げませんしね。
さらに本格的なオーディオ環境、より高音質なスピーカーではたぶん使わない方がよいと思いますが、そこは、おそらくこの商品のターゲットではないと思いますので。とりあえずは、1万円が無駄にならなくてよかったな、と。


次は問題の「Windows環境での利用」につづきます。
→ 【後編】384kHz&DSD対応「Douk Audio XMOS/DSD1796 DAC」のドライバ問題


ASUSTORを高性能ミュージックサーバ/HDDオーディオプレーヤーとして活用する

このエントリーをはてなブックマークに追加
imageimage

■低コスト高機能NAS「ASUSTOR」+USB-DACで高性能ミュージックサーバへ
ASUS系列のNASメーカー「ASUSTOR」のNASキットは、比較的低価格で非常に高機能な点が特徴です。当初はファームウェアの不安定さなども目立ったようですが、現在のバージョンでは安定して利用が可能です。
私も先日同社のIntel CPU搭載モデル「AS3102T」を購入し、特にメディア機能に関してレビューをしました。
高機能・低価格NAS「ASUSTOR AS3102T」のメディア機能を確認する

hrplayer1前回の記事の中でも紹介していた、オーディオ関係の機能(追加アプリ)が「Hi-Res Player」で、同社のウリのひとつにもなっています。しかも後述しますが、実はWindows、Mac、iOS、Androidと様々なプラットフォームの外部クライアントを利用可能な、最強のミュージックサーバでもあります。
「Hi-Res Player」はASUSTORに接続したUSB-DACなどを経由して、自身のライブラリの音楽データを再生するミュージックサーバ環境。ハイレゾPCM(FLAC、ALAC、WAV)やDSDデータにも対応し、接続するUSB-DACの性能により、DSD256(11.2MHz DSD形式)を含む高音質のネイティブ再生が可能、とあります。
image
Linux系のカスタムOS(ADM)を搭載するASUTORは、Macと同様にドライバ無しでUSB Audio Class 2.0対応のUSB-DACを接続、認識させることが出来ます。KORGなど主にDSD性能を上げるため専用ドライバを必要とする製品以外は現在市販されている大抵のUSB-DACは接続できるイメージです。(Macでドライバなしで対応、ならばASUSTORでもそのまま使用できると思ってよい)



■「Hi-Res Player」の初期設定

「Hi-Res Player」を利用可能なのは、現在はIntel CPUを搭載したASUSTOR製NAS。初期セットアップ後、「AppCentral」から「Hi-Res Player」インストールします。インストール後、Hi-Res Playerのアイコンをクリックすると、別タブでインターフェースが表示されます。以降このURLをブックマークして利用します。
画面左上のライブラリボタンを押し、ライブラリ登録するフォルダを選択します。
このフォルダに、音楽データをコピーします。私はMacでAudirvana Plusで使用しているハイレゾFLACやDSDなどの音楽データを音楽フォルダごとそのままコピーしました。
音楽ライブラリはあらかじめタグ情報などを整理し、フォルダ分けで分類してコピーすることをお勧めします。

foldersetting1setting

次に、画面右上の設定アイコンをクリックします。「今すぐミュージックコレクションをアップデート」でライブラリを更新します。以降、起動ごとに更新をするようにチェックしておきます。
さらに、設定項目をスクロールすると、オーディオ出力が選択できるので、ここで接続したUSB-DACを選択し、それ以外の項目をオフにします。またDSD対応のUSB-DACの場合、「DoP (DSD over PCM)」項目も同様にUSB-DACのみを選択し、他の項目をオフにします。


■「Hi-Res Player」の実体は「MPD(Music Player Daemon)」
ところで、ASUSTORサイトのHi-Res Playerのサイトを確認すると、デベロッパーのWebサイトは「MPD(Music Player Daemon)」のサイトになっています。つまり「Hi-Res Player」の正体は「MPDそのもの」なのです。
これは、「Hi-Res Player」のインターフェースに留まらず、豊富に存在する「MPDクライアント」がそのまま利用できることを意味します。実際、各プラットフォームのクライアント環境ですべて問題なく利用できました。


■定番MPDクライアント「GMPC(Gnome Music Player Client)」

MPDクライアントといえば、というくらいの定番ソフトがGPMC(Gnome Music Player Client)です。トップページの「Download GMPC」をクリックし、最新バージョンのgmpc-バージョン-win32.exeファイルをダウンロード、インストールします。
「Hi-Res Player」のライブラリへ接続する設定は、「Music」メニューの「Preference」を開き、「Connection」でASUSTORの名称、IPアドレスを設定し「Connect」ボタンを押します。基本はこれだけ。あらかじめ「Hi-Res Player」でライブラリ登録やUSB-DACの設定が済んでいればそのまま使用できます。
また、Preferenceの他のメニューでメニュー表示などをカスタマイズが可能です。詳細の使用方法は「MPD GMPC」などで検索してみてください。

gmpc1gmpc3
gmpc2



■Mac環境にも最適。マルチプラットフォーム対応の「Cantata」
Catana」はWindows版に加えて、Mac版のパッケージもダウンロードできますので便利です。機能的にはGMPCと同様ですが、インターフェースはこちらのほうが直感的でしょうか。
「Hi-Res Player」ライブラリへの接続は、インストール後のウイザードではローカルのサーバを参照しようとしますが気にせず完了し、起動後に「Preference」でASUSTORの名称とIPアドレスを登録します。「Music folder」項目は空白にしてApplyすれば接続できます。またPreferenceの「Interface」項目の「Sidebar」の項目はすべてチェックを入れておいた方が使いやすいでしょう。その他各種設定はデフォルトのままでOKです。

gmpc3cantata4
cantata0



■iOS用のMPD再生環境「MPoD」(iPhone用)と「MPaD」(iPad用)
iOS用の再生環境はiPhone用の「MPoD」(無償)とiPad用の「MPaD」(360円)があります。
機能的にはほぼ同様ですが、画面が大きいMPaDはやはり使いやすいですね。MPadは有償アプリだけのことはあり、アーティスト別、アルバム別、フォルダアクセスからの絞り込みなどの操作性もよく、反応速度も含め、使い勝手のとても良いアプリケーションです。

imageimageimage



■選択肢の豊富なAndroid用クライアント
Android用はGoogle Playで「MPD」で検索するとフリー、有償併せて数種類が選択できます。なかにはAndroid版のMPDサーバもあるので注意ください。
いくつかのクライアントのなかで、使いやすかったのは「MPDroid」。タブレット向けの横向きでの利用でも使いやすく便利です。また「MPD Control」もタブレット向けデザインで、かつフォルダからのアクセスに特化してメニューがシンプルになっており使いやすさは秀逸です。
どちらもフリーで使用できるのもうれしいですね。
Screenshot_20160617-063448Screenshot_20160617-063331Screenshot_20160617-062717



■ライブラリ管理でカバーアートを個別に設定
ちなみに、MPDではカバーアートは曲データのカバーアートとは別に管理しており、通常は自動で取得して表示してくれます。しかし例えばe-onkyoのハイレゾ音源のように「アルバム名(24bit/96kHz)」といったようにアルバム名に別の文字が加わっている場合、検索がうまくいかず自動ではカバーアートを張ってくれません。
00カバーアートを手動で張る方法はいくつかありますが、「Hi-Res player」の場合は、左上のカバーアートのアイコンをクリックすることで編集画面にアクセスできます。
ここでカバーアートの再取得を行うことができます。さらに「カバーなしのみ表示アルバム」を押してカバーアートを取得できていないアルバムを絞り込み、アルバムを選択するとGoogleなどからカバーアートを検索し候補として表示します。またファイルからのアップロードも可能です。
2223



■そもそもMPDってなに? 本格的なHDDオーディオプレーヤー環境をお手軽に。
話が前後しますが、MPD(Music Player Daemon)は、Linux環境で構築するミュージックサーバ環境で、その歴史は古く、Linuxの自作サーバユーザーの間ではお馴染み。そのため非常に安定した環境である上、DSD対応など高性能化が進んでおり、またクライアントソフトウェアも豊富に存在します。

QNAP等と比較し後発のNASメーカーであるASUSTORがIntel CPU搭載モデルでMPDをそのまま採用する、というのは極めて現実的な選択であったといえるでしょう。そして、「Hi-Res Player」のインターフェースは、Firefox拡張機能として提供されているMPDクライアント環境「Music Player Minion」をサーバアプリとしてカスタム実装したものと思われます。

qnapちなみに、MPDサーバといえば基本はLinux環境ありきで、自分で導入・構築を行っていくツールといえます。NASでもLinux的な使い方が可能なQNAP製品の場合は「Optware IPKG」(CentOSなどでいうapt-getのようなパッケージインストーラ)でmpdをセットアップすることが可能です。インストールまではGUIでも可能ですがconfigの記述などはSSHでコンソールにログインしての作業が必要でやはりLinuxベースの作業が必要です(ちなみにQNAPの場合はUSB-DACの接続ポートや音楽データを保存する共有フォルダのフルパスをあらかじめ確認のうえ、/opt/etc/mpd.confを設定する)。
※QNAPでのMPD設定


しかしASUSTORでは、ただNASをセットアップして「AppCentral」から「Hi-Res Player」をインストールするだけ。しかももともとNASですから、音楽データの格納場所は自身の共有フォルダを使えばOK。
Linuxの知識も設定もゼロで、クライアントも豊富で安定したMPDのサーバ環境がカンタンに構築できるというのは、これまで「ありそうでなかった」ことです。
ASUSTORサイト内でMPDサーバとして公表しているわけではないものの、「Hi-Res Player」のデベロッパーとしてMPDのコミュニティがレジストされており、実際「MPDそのもの」がインストールされているわけで、ASUSTORユーザなら誰でも手軽にMPDを導入・利用できる、という点で結構画期的だと思います。

さらに、より高性能のUSB-DACやオーディオを接続し、より本格的な「HDDオーディオプレーヤー」としてさらなる高音質化を目指すのも楽しそうです。ASUSTORでお手軽にハイレゾ・DSD対応の高音質ミュージックサーバを導入してみてはいかがでしょうか。

プロフィール(Twitterアカウント)
読み:ばいそにか。無駄に中華イヤホン等いろいろ買い続けるアラフィフ限界オタクの酔っ払い。ダイエット中ですが食べるのも好き。普段は東京と福井(鯖江)の自宅の二拠点生活で小さなIT系企業を細々とやってます(出張多め)。仕事の合間に趣味で書いてるレビューブログも2022年末に1千万PVを突破(あざす!)。相変わらずのマイペースですが今後もよろしくです(^^)
※ご意見・ご質問などはコメント欄にて。あらかじめ下の「FAQ」のリンクをご一読ください。
レビュー依頼、プレゼント企画等のご相談については bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上返信を申し上げます(返信の無い場合はご了承ください)。


記事検索
カテゴリ( [+] を押すとサブカテゴリを表示)
Amazon Music Unlimited 1億曲以上が自由に聴き放題


《 FAQ 》 よくある質問への回答(ほか)
中華イヤホンケーブル【解説編】
Apple Music - 7,500万曲を1ヶ月無料でお楽しみください。


【価格帯別】 レビュー(一覧)
レビュー:低価格イヤホン(50ドル以下)

レビュー:低価格イヤホン(100ドル以下)

レビュー:100-200ドルイヤホン

レビュー:200-300ドル台イヤホン

レビュー:ミドル&ハイグレードイヤホン



タグ絞り込み検索
【Amazon Music HD / UltraHD対応まとめ】
購入イヤホン「好みランキング」





最新コメント一覧


累計訪問者数 (ユニークユーザ数)
  • 累計:

累計アクセス数 ( PV )
  • 累計: