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イヤホン・ポータブルオーディオ関係のネタを中心に書いています。ガジェット好きのおっさんによる、趣味的レビュー。

新「KZ ZS5」編/ZS6だけじゃない! KZ人気イヤホンの「新バージョン」を深掘りしてみた【後編】

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KZ ZS5

前編に引き続き、中国KZ社の代表的モデルの「新バージョン」の確認レビューです。後編はドライバー構成が大きく変更になった「新バージョンZS5」です。実は今回の後編の部分をやろうと書き始めたのですが、ZST編の方も結構新事実があってボリューミーになってしまいました(元々ひとつのレビューで書いていましたので)。
前編(「KZ ZST Pro」編)はこちら。
→ 「KZ ZST Pro」編/ZS6だけじゃない! KZ人気イヤホンの「新バージョン」を深掘りしてみた【前編】

新バージョンのZS5」になって「音が変わったのではないか」と心配されている方もいらっしゃるのでは、と思いますが、結論からいうと、「ZS5らしさはそのままに、さらに進化したサウンド」になっていました( ´ ▽ ` )。早速その違いを深掘りしてみます。


■ドライバーの大幅変更でサウンドはどうなった!? 新版「KZ ZS5」を掘り下げる

最近はより「アカンやつ」感がアップグレードした(笑)「KZ ZS6」の登場でちょっとだけ影が薄くなりましたが、某CA社イヤホンの元祖「そっくりさん」が「KZ ZS5」です。2BA+2DDのマルチドライバーハイブリッドの構成ながらAliExpressなどでは30ドル台で購入できる価格破壊っぷりも相当に話題になりました。

過去記事では2回にわけてレビューを行っており、現在も多くのアクセスを頂いていることから相変わらずの人気イヤホンであることが伺えます。
驚きのスペックと低価格で話題の中華イヤホン「KZ ZS5」を購入しました。【レビュー前編】
→ 「KZ ZS5」 vs 「ZST」「Pro HD」「E2000」注目のアンダー5000円イヤホンを比べてみた。【レビュー後編】

さて「新旧バージョンで何が変わったの?」という話ですが、「BAドライバー」の変更と「ドライバレイアウト」の変更という、「それってもう別のイヤホンじゃないの?」という大幅変更が行われています。

具体的にKZ社の情報を確認すると、旧バージョンでは、
KZ ZS5 旧バージョンKZ ZS5 旧バージョン
というように、ステム側に高域用の「KZ 1205」BAが、ハウジング内に縦に超高域用の「Bellsing 30095BA」が搭載されています。

これが新バージョンZS5では、
新バージョン ZS5新バージョン ZS5
と、ステム側にBAドライバー「KZ 30095が並列に2個搭載されるレイアウトになりました。
実はこのレイアウトおよびドライバー構成は、先日発売された「KZ ZS6」と全く同じものです。

そのため、「新ZS5はZS6と同じような音に変わってしまったのでは?」というウワサがささやかれ始めました。
これは実際に購入して比較するしかないですね!!


■というわけで新バージョンZS5(簡易版&豪華版)を入手しました。

情報によると「新バージョンZS5」(以下「新ZS5」)はKZ社より8月頃より出荷を開始したとのこと。多くの在庫を持っているセラーでは旧バージョンの在庫が残っている可能性がありますが、現在はおおむね新バージョンに入れ変わっているのではないかと思います。というわけで、新バージョンZS5は、AliExpress(簡易版)とアマゾンのWTSUN Audio(豪華版)で2種類入手しました。
AliExpress(NICEHCK):KZ ZS5
AliExpress(Easy Earphones): KZ ZS5

※AliExpress(HCKまたはEasy Earphones)で購入の場合、フォロワー値引きが受けられます。くわしくはこちらを参照ください。

届いたパッケージは、簡易版も豪華版も従来までのものと全く同じでした。前編で紹介した「ZST Pro」が「ZS6」のような白い化粧箱にパッケージ変更になっていたので少し期待したのですがちょっとだけ拍子抜けです。ただこれは旧バージョンの市場在庫が残っていることに配慮したためかもしれませんので簡易版のほうはいずれ「白箱」に変わる可能性もあるかも、という気もします。
KZ ZS5KZ ZS5
また、アマゾンではEasy Earphoneのマーケットプレイス(WTSUN Audio)にて、「豪華版」パッケージのバージョンを販売しています。Easy Earphoneに確認したところ、9月より「新ZS5」に入れ替えを行ったとのことですが「新ZS5も豪華版パッケージで」とのこと。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio):KZ ZS5

どちらのパッケージでも付属品なども特に変更はありませんし、本体の見た目も全く同じです。いちおうステムを角度を変えて見てみるとメッシュ越しに2個のBAがうっすらと確認ができる程度です。

今回私のところに届いたWTSUN AudioからのZS5は豪華版の新ZS5でした。ただカラーや構成によっては旧バージョンの在庫が混ざっていても正直区別がつかないため、もし購入して不具合や気になるところがあれば問い合わせをされたほうが良いでしょう。旧バージョンのレビューでも触れたとおり、ZS5(そしてZS6)は一般的なイヤホンより「当たり外れ」の多い製品ですので、その辺はあらかじめご了承ください(WTSUN AudioはAmazonのマケプレのなかでもかなりその辺の対応が誠実だと思います)。
KZ ZS5KZ ZS5
ただ「新ZS5」では「ZS6」や「ES3」など最近のKZ製イヤホン同様に、2pinコネクタ部分が非常に固くてケーブルが刺さりにくい(=抜けにくい)ものになっています。
ある意味これが新旧を見分けるいちばんのポイントかもしれません。

KZ ZS5旧バージョンでは付属の0.75mm 2pinケーブルでもわりとすんなり取り付けができる程度の固さだったため、CIEM用の0.78mm 2pin仕様のケーブルにリケーブルするとコネクタが緩くなってしまいケーブルが外れやすくなるということがありました。
まあ本来イヤホンのケーブル脱着式の目的はリケーブルではないので旧タイプの方が「普通」なのですが、KZの場合、付属ケーブルはコスト削減のしわ寄せを直接受けている部分で、自社でも「アップグレードケーブル」を発売しているくらいですので「リケーブル前提」のコネクタ仕様にするのは「適切な改善ポイント」でしょう。あとは音質面でどの程度変化があるかが気になるところです。


■とりあえず新ZS5のドライバ変更を実際に確認してみた(o゜▽゜)o

今回「新ZS5」は2個(簡易版と豪華版)入手しましたので、ひとつは実際にフタを開けてみて新旧での違いを確認してみると、確かに新旧でドライバーの配置が変更になっているのが確認できます。

ZS5新ZS5」および「ZS6」で採用されている「KZ 30095」というBAドライバーは最新の「ES3」も含め、「ZST」を除くKZ社の現在のハイブリッドで共通で採用されているものです。旧バージョンで縦に刺さっていたドライバー(Bellsing 30095BA)と同じ「30095」という型番を付けており、どちらもKnowles社の「WBFK-30095」をオリジナルとしているとは間違いないと思いますが、Bellsing社のドライバーとKZオリジナルのドライバーでは多少音質傾向も異なるような印象です。
また、ZS5は新旧とも2個のダイナミックドライバーのうち6mmの方が紙テープで覆われていますが、この辺がZS6と異なるチューニングになっている秘密のひとつではないかと思っています。

ZS5いっぽう、ステム側のメッシュを外すと、確かに「新ZS5」は「ZS6」同様に2個のBAが並列で装着されています。
ただし、新旧ZS5とZS6でBAドライバーのステムへの装着位置と角度が異なっている点には注目したいところです。先日のZS6のレビューをご覧頂いた方より「届いたZS6の個体が左右で音が微妙に違ったので、ステムのメッシュを外したところ、BAの取り付け角度が異なっていた」という情報を寄せていただきました。その個体はおそらく「ハズレ」で間違いないと思いますが、BAの装着角度も音質を変化させる上でひとつのポイントだという事実を裏付ける情報だと思います。

新ZS5」と「ZS6」はドライバー構成が同じため、「新ZS5はZS6のような音になるのでは」という疑問には、旧ZS5と同様の「調整」をしていたり、BAの装着角度を変えたりとセッティングを変えることで「違う音にしている」ことが伺えます。いっぽう「新旧ZS5」でどれくらい音が変わっているのか、という点については、実際に聴き比べて確認してみます。


■実際に新旧ZS5をじっくり聴き比べてみたら、新ZS5は「ZS5のまま進化」してた!

KZ ZS5新ZS5」を箱出し直後に聴いた印象は「あれ?これやっぱり旧バージョンだったかな?」と思わず錯覚してしまうくらい「ZS5のサウンド」です。付属ケーブルで聴く限りは確かに「ZS6」とは異なるサウンドのようです。上記の写真のように「フタを開けて」新バージョンであることを確認してるので間違いは無いわけですが「どうやって旧バージョンのサウンドを踏襲してるの?」と当初は大変不思議に思いました。
その後、出張期間など約150時間程度のエージングを行い、さらにさまざまなリケーブルを行いながら改めて新旧ZS5をじっくり聴き比べてみると、両者のサウンドの違いが見えるようになってきました。

KZ ZS5まずは新旧のZS5でどちらも純正のアップグレードケーブルおよび同じイヤーピースを使用し、同条件での比較を行ってみます。
改めて、新旧のサウンドバランスは非常に近く、緩やかなドンシャリ傾向の周波数特性となっています。しかし、この条件下で聴いた際に違いを特に明確に感じたのは中域の凹み方で、旧バージョンではわりと遠くで聞こえていた印象のボーカルが「新ZS5」では比較的近くに定位するようになりました。また「新ZS5」は旧バージョンと比較すると高域についてもZS6のようなシャリ感も若干感じることができ、全般的に解像度の向上も確認できました。

KZ ZS5150時間以上のエージングを行うことで、「新ZS5」は低域を中心に締まりが増すことで分離感も向上し、旧バージョンを大きく上回る高い解像度を実感するようになりました。
さらに情報量の多いケーブルに変えることで、より明確な変化も聴くことができます。アマゾン(WTSUN Audio)で販売している7N銀メッキケーブル(ブラウン)を使用してみると高域の伸びが一気に向上し、多少の刺さりと「ZS6」にも共通する解像度の高さを感じることができました。
新ZS5」では「ZS6」同様にステムにBAドライバーを2個並列で配置することで、全般的に距離が近づき、かつ中高域にしっかり迫力を持つようになったのだろうと思います。

このように「新ZS5」は旧バージョンと比較して着実にブラッシュアップされたサウンドになっています。以前のレビューでは「無茶なスペックで作った及第点のサウンド」と書きましたが、「新ZS5」では音質面でも十分に高い完成度となっており、その表現は訂正が必要と感じました。もし「KZ ZS6」のサウンドクオリティでより聴きやすいイヤホンを探しているとしたら「新ZS5」はベストな選択になりうるレベルに進化していると思います。

また上記の通り「新ZS5」ではリケーブルによって本領を発揮する傾向がより顕著になりました。付属する標準ケーブルは本来の実力を発揮するのには明らかな能力不足感がありますので、リケーブルは必須といってよいでしょう。「新ZS5」ではコネクタが緩くなりにくくなったことで気兼ねなくリケーブルを行えるようになりました。

まずはKZ純正のアップグレードケーブルが挙げられます。現在は白色のものに加えてより高性能なブラウンのケーブルも販売されています。こちらでも十分にクオリティアップは見込めますがせっかくなのでZS6同様にさまざまな2pinケーブルを試したいところです。

  
上記でも紹介した7N銀メッキケーブルをはじめ、アマゾン(WTSUN Audio)で購入できる5000円程度のケーブルは3.5mmのステレオに加えて2.5mm4極のバランス接続も選択でき、クオリティも高く素材によって音質にも変化が出せます。
KZ ZS5KZ ZS5
アマゾンやAliExpress上には他にも多く利用可能なケーブルがありますので、いろいろ試してみるのも面白いでしょう。私のブログでも今後手持ちイヤホンケーブルのまとめレビューを計画していますので多少の参考になればと思っています。


■正統進化を続けるKZ製イヤホンに中華イヤホン牽引役の底力をみました

KZとにかく「低価格の中華イヤホン」の代名詞的存在だったKZのイヤホンは、「低価格」という個性は「かなり無茶な低価格」くらいに強調されるほどに健在ですが、製品をロットごとにブラッシュアップしていくことで「安かろう」では語れないレベルの品質にグレードアップしています。製品の品質が購入時期によって違う、というのは、最近では中華イヤホンでも他のメーカーはあり得ない感じになっていますが、KZは「無茶な低価格」によって半ば強引にユーザーを説得させるという、やはり「無茶苦茶な戦略」をばく進して、結局その有り様を認めてしまっているユーザーの姿も透けて見えます(私自身が最たるものですね)。

KZ ZS5」は、新バージョンの登場により確実にサウンドのレベルアップを果たしていますが、価格は据え置いたままです。相変わらずの「残念なパ○リのデザイン」を許容できれば、ちょっと「ZS6」の陰に隠れている感じはあるものの、いよいよ「アンダー5,000円最強」のイヤホンになった感はあります。もし良ければ「ZST Pro」「新ZS5」そして「ZS6」という3つのイヤホンをぜひ手にしてもらって中華イヤホンの底力を体感していただければと思います。


「KZ ZST Pro」編/ZS6だけじゃない! KZ人気イヤホンの「新バージョン」を深掘りしてみた【前編】※修正しました

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KZ ZST Pro

中国KZ(Knowledge Zenith)の定番中華イヤホン「KZ ZST」と「KZ ZS5」がこっそり新しいバージョンに変わってる、ということで、自分でも注文して確認することにしました。

といっても、気がついたら既に「ZST」が6個目、「ZS5」で5個目。。。そういえば先日レビューした「ZS6」も後編のレビューに向けて5個目のオーダーが昨日届きました(笑)。Twitterでも「謎のKZコレクター」という称号(?)もいただきました。どんなに安価さがウリのKZイヤホンでもこれだけ買えば結構高級なイヤホンが買える金額になります。ほんと、何やってるんでしょうね。困ったものです(ーー;)。
※ちなみに、さらに10月バージョンのZSTを2個買い足してるので累計8個になりました(滝汗)。

さて、今回アップデートのレビューを作成したのですが、思いのほか長くなってしまったので前後編に分けることにしました。前編は「KZ ZST Pro」、そして後編が「新バージョンZS5」になります。


■まずは「KZ ZST Pro」バージョンのアップデートを確認


閑話休題、というわけで新バージョン「KZ ZST」ですが、元々の「KZ ZST」については過去記事で紹介をしています。
→ 【鉄板】アンダー3千円!「KZ ZS3」「ED9」「ZST (紫)」国内で買える高音質なKZ社おすすめ中華イヤホン

今回の新バージョンではパッケージもZS6のように白箱の化粧カバーのついたものになりました。さらに「紫色のモデル」についてはパッケージ背面の表記が「ZST Pro」という名称に変更となっています。
KZ ZST ProKZ ZST Pro

ZST Pro(紫)」になってからすぐにAliExpressで購入していますが、現在アマゾンで販売しているEasy Earphone(マーケットプレイス名「WTSUN Audio」)で「Prime扱い」なっている商品も「ZST Pro」バージョンに変更になっているとのことで、追加で入手しました。さらに同じくマーケットプレイスに出店している「Kinboofi」でも追加購入しました。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio):KZ ZST Pro(紫) / KZ ZST(黒)
Amazon.co.jp(Kinboofi):KZ ZST Pro / ZST

imageKZ ZST Pro

いっぽう、同じZSTでも黒モデルは白箱になってからも従来通り「KZ ZST」の表記のままになっています。
ZSTZST
最初は紫モデルとの名称のうえでの区別だけかと思いましたが、実は中身も少しだけ違っていました(後述)。パッケージでも紫(ZST Pro)はインピーダンスが18Ωですが、黒(ZST)は10Ωと異なる仕様が記載されています。
AliExpress(Easy Earphones):KZ ZST Pro (紫)
AliExpress(Easy Earphones):KZ ZST (黒)


■(おさらい)夏まで販売されていた「黒箱バージョンKZ ZST」の各世代(ロット)ごとの違いをまとめてみた。

さて、「KZ ZST」といえば、1BA+1DDハイブリッドで2千円台という激安プライスながら結構高音質ということで有名な中華イヤホンの代表格的存在です。私の知る限り、従来の「黒箱」時代の「KZ ZST」には(個体差とは別に)少なくとも3つの「世代」のロットが存在します。まずはおさらいとして「黒箱」時代の各ロットをまとめます。
※レビュー掲載後、Twitter等でいろいろご意見を頂き、改めて内容を一部修正しました。また「初期/中期/後期」の表現は残していますが、原則として流通時期での表記に変更しました。ご協力ありがとうございますm(_ _)m

①初期ロット(ブラックのみ/初期~2016年前半)
ブラックのみ。BAとダイナミックのバランスがとても良くない、非常に評判の悪いイヤホン。
採用しているBAは不明(無印)。
以降のロットとはフェイスプレートの模様が多少違うとの情報もあります。持ってたはずですが紛失。あれ、バラしたかも?(笑)。

②2016後半ロット(2016年後半~2017年初頭くらい)/中期ロット
私の過去レビューでも触れているとおり2016年後半の「紫」色モデルの登場あたりから変更になった仕様です。購入直後は低域がかなり分厚いドゴドゴ系のドンシャリですが、100時間以上のエージングによりバランスの良い軽めのドンシャリに変わります。
KZ ZSTZST
BAは引き続き「無印」ですが、初期ロットとは評価が一転し、「アップグレードケーブル必須、紫モデルのみは悪くない」ということで、低価格ハイブリッドイヤホンとしてかなり定着を始めました。ただ、実際はブラックも以降「2106後半ロット(中期ロット)」に変わりましたが、初期ロットの在庫が結構長期間流れていたようで「黒はダメ、紫はいい音」というウワサが広まる原因となりました。なお、この頃に記載されていた仕様はインピーダンス18Ω、感度120dB/mW。

③2017年春ロット(2017年2月頃~)/後期ロット
2017年の3月頃のオーダーでは存在が確認されているロット(流通開始は2月頃?)。国内正規品として代理店が販売しているのもこのロットではないかと思います。国内正規品は紫のみですが、在庫の関係で流通のタイミングに差はあったと考えられるものの、ロット自体は紫および黒の両方が製造されています。
KZ ZSTKZ ZST
このロットよりBAドライバーに「Bellsing 30095(BRC305C30095)」を採用。音質面が大幅に向上し、
アンダー3,000円の中華イヤホンの代名詞的存在に躍進しました。ドライバーの形状と刻印が2016年ロットと異なるため一時BAがKnowles製(WBFK-30095)に変わった、という情報も流れましたが、実際はBellsing製の誤認と思われます。2017春ロット(後期ロットの特徴は箱出し直後でも極端に低域が多いということはなく、バランスの良いドンシャリ系のサウンドになっていること。100時間エージング後は低域の締まりが向上し、2016後半ロット(中期ロット)と比較して高域の伸びがさらに良くなっています。多少の個体差は確認できるものの、「KZ ZST」の低価格・高音質というキャラクターを一気に定着させた、ある意味「完成形」のロットと言えます。


KZ ZST気がつけば上記3種類のロットのイヤホンをすべて持ってたという「謎のKZコレクター」っぷりを発揮しているわけですが(初期ロットも残しておけば良かったと絶讃後悔中^^;)、ZSTの場合はさらにKZ恒例というかビルドクオリティの問題も無視できません。
具体的には、「箱出しの音は個体差があります(キッパリ)」という特徴(?)があります。中期ロットまでは「購入したイヤホンが全部音が違う」なんてこともあったのですが、じっくりエージングすればこなれて同じような音になる、といういかにもKZなエピソードを自分で体験したりしました(笑)。これについては後期ロット以降ではかなり解消されていると思われます。

余談ですが、現在KZは独自に「KZ 30095」というBAドライバーも作っており、最近の「ZS6」や新バージョンの「ZS5」、さらにZSTとおなじハイブリッド構成の「ES3」で採用しています。「ZST」で採用されている「Bellsing 30095」と両方に共通する「30095」という型番は、もともとKnowles社の「WBFK-30095」というドライバーがオリジナルで、同じ型番にしているということは同様なスペック(音)のドライバーということで作っているのだと思われます(あえてパ○リとは言わないようにします)。 



■白箱バージョンの「ZST Pro(紫)」と「ZST(黒)」はロットにより「別バージョン」も存在。

※レビュー掲載時の内容でロットの確認で多少混乱しましたが、Twitterでのご意見及びお寄せいただいた情報とその後届いた10月購入版の比較を元に改めて整理しました。一部修正を行っており以前の記載内容と異なる部分がありますのでご了承ください。

というわけで、夏までにすでに「KZ ZST」は完成形といえるブラッシュアップを経て、非常にコストパフォーマンスの高い「低価格ハイブリット」に進化を完了しています。そのため9月頃から流通を開始している「白箱」バージョンも特にバージョンアップの告知などはなく気がついたら「黒箱から白箱にパッケージが変わっていた」という感じになっています。

上記の通り、2017年春ロット(後期ロット)以降、「KZ ZST」はすべてBAドライバーに「Bellsing 30095」を使用しています。そして、9月以降に販売されている白箱バージョンの「ZST Pro(紫)」「ZST(黒)」でも搭載されるBAドライバー自体は同じ「Bellsing 30095」を使用してることを確認しました。
KZ ZSTKZ ZST Pro
アマゾンのWTSUN Audioで購入した「ZST Pro(紫)」および「ZST(黒)」の内容に大きな違いはありませんでした。おそらく紫バージョンを「Pro」というネーミングにしただけかな、という気はします。おそらくKZ的には「BAにBellsingを採用したハイブリッド」というのが「現在のZST」のキャラクターを決定づける要素なのではないかと思います。
KZ ZSTKZ ZST

9月以降に発売された「もうひとつのハイブリッド」である「KZ ES3」がBAに自社製「KZ 30095」を採用していることから、「Bellsing 30095」を採用することで比較して少し部品コストが高い「現在のZST」に「Pro」というネーミングを付けたくなる気持ちは分らなくはないです。でもわざわざブラック「ZST」のままにして差別化した理由はなんでしょう。もしかしたらまだ知らないロットが存在した(あるいは今後登場する)のかもしれません。

ということでドライバー構成に加え、実際の音質の比較をした結果から、「白箱」バージョンの「ZST Pro(紫)」および「ZST(黒)」はBellsing製BAドライバーを採用した2017春ロット(後期ロット)を継承した「リパッケージ版」だろうと考えられます。

・・・とまとめたところで、あらためて個体を確認したところ、実は9月にAliExpressのHCKで購入した「ZST Pro(紫)」がステム内でBAにスポンジを付けた仕様で、他の個体は異なった内容になっていました。
KZ ZST ProKZ ZST Pro
なおこのバージョンの「ZST Pro(紫)」も、BAドライバーそのものは同様に「Bellsing 30095」でした。
またこの個体を含め、Bellsing製BAドライバーは各ロットで下段のロットナンバーが異なっていることから、この個体では他のロットのBAとは多少サウンド傾向が異なるためこのような「細工」を加えた仕様なのかもしれません。
KZ ZST ProKZ ZST

そういえば、上記の通りパッケージを見ると、「ZST Pro」はインピーダンス「18Ω」ですが、「ZST」は「10Ω」と異なる仕様になっています。また感度はどちらも「106dB/mW」となっており、中期ロットの頃の「120dB/mW」とやはり微妙に仕様が変更になっています。
これが単なる誤表記なのか、あるいは10月以降の「ZST Pro」ロットのように何らかの仕様変更が実際に加えられているのかは現時点では不明です。ただ上記でも触れましたが「2017春ロット(後期ロット)」「9月購入のZST Pro」「10月購入のZST Pro/ZST」では同じ「Bellsing 30095」ながら下段のナンバーが異なるロット違いで、KZからの要請等でドライバーに改良が加えられている可能性は高いのではと思います。

※12月追記:
本レビュー掲載後、11.11以降で購入した紫バージョンの「ZST Pro」でもBAドライバーが「Bellsing 30095」より「ES3」と同じ「KZ 30095」になっていることが確認できました。
いっぽう、「ZST」(黒)については12月に入手した最新版でも引き続き「Bellsing 30095」が採用されていました。おそらく当面は「ES3」と同じ構成の「ZST Pro(紫)」と、従来仕様の「ZST(黒)」という棲みわけになりそうですね。
KZ ZST ProKZ ZST



■聴きやすいバランスのとれた音。軽やかな美音系サウンドは健在。

KZ ZST Pro改めて、音質面ですが、「KZ ZST Pro(紫)」「KZ ZST(黒)」とも、周波数特性は弱ドンシャリ。箱出し直後でも音抜けは良く、最初からバランスの取れたイヤホンに仕上がっています。
9月ロットの「ZST Pro(紫)」「ZST(黒)」も10月ロットの「ZST Pro(紫)」も、以前のZSTでよく言われた「低音イヤホン」の印象ではなく、量感のある低音は健在ですが広がりより多少締まりを優先したセッティングになっています。また中期ロットの頃のようにエージング後に特性が激変するということはなく「たっぷりエージングしてからが本来の音」、という以前のレビューは現在の「ZST Pro」「ZST」では訂正が必要ですね。

KZ ZST Pro100時間以上のエージングによる変化によって「ZST Pro(紫)」「ZST(黒)」どちらも分離感と全体のバランスの向上、といった印象があります。スポンジにより多少調整が加えられている9月購入バージョンの「ZST Pro(紫)」も伸びの良いクリアな高域で、いっぽうで刺さりは少なく非常に聴きやすいサウンドにまとまっています。
いっぽう10月以降バージョンの「ZST Pro(紫)」「ZST(黒)」では、高域の「抜け」がさらに向上し低域との分離感も向上しているようです。どちらも「美音系の軽やかなサウンド」に仕上がっていますが、10月以降のバージョンの「ZST Pro(紫)」「ZST(黒)」のほうは解像度も若干上がっている印象を受けました。

白箱バージョンのZSTは従来通りオールマイティにどのジャンルでも楽しめるイヤホンになっていますが、2017春以降の「後期ロット」を踏襲しBAの改良など細かなブラッシュアップを進めているようで、解像度や高域のクリアさ僅かながら向上し、多少メリハリが効いていているのが10月以降バージョンの「ZST Pro(紫)」「ZST(黒)」という印象でしょうか。さらにエージングが進むと変化が大きくなる可能性はありますが、現時点では後期ロットとほぼ同様といってもよいと思います。

※12月追記:
上記12月購入版の「ZST Pro(紫)」「ZST(黒)」は箱出しの状態で「ES3」に近い高域に多少シャリ感のある中高域の印象の強いサウンドになっています。どちらも同様のチューニングですがKZ製ドライバーを搭載する「ZST Pro(紫)」のほうが多少メリハリが強い印象ですね。



KZ ZST ProまたZSTといえば付属のケーブルがお世辞にも高品質とは言い難い(コスト的に仕方のない部分)ですので、別売のより高品質のケーブルへの「リケーブル」が基本といわれます。「KZ ZST」は、「0.75mm 2pin」コネクタという「独自仕様」ながら、ZS5/ZS6など他のKZイヤホンと同様に0.78mmのCIEM用の2pinコネクタケーブルの流用が可能です。
ただ、ZST用に関しては実はKZ社のリケーブルバリエーションも多く、純正のアップグレードケーブルでも十分に対応できるようになっています(ちなみに、コネクタ形状的にZST/ES3用の純正アップグレードケーブルはZS3/ZS5/ZS6では使用不可となっています)。

現在アマゾン(WTSUN Audio)で全てのタイプの純正ケーブルが購入可能です。


① KZ ZST アップグレードケーブル 0.75mm 2pinリケーブル (シルバー)
② KZ ZST アップグレードケーブル 0.75mm 2pinリケーブル (ゴールド)


③ KZ ZST 無酸素銅ケーブル 0.75mm 2pinリケーブル (ブラウン)
④ KZ ZST アップグレードケーブル0.75mm 2pinリケーブル 銀メッキ 8芯

定番の「①シルバー」に加えて、「②ゴールド」「③ブラウン」も最近は結構人気のようですね。また「④シルバーメッキ仕様」のケーブルはアマゾン上では4芯と書かれていますが実際は8芯で、アマゾンでも2,000円程度とかなりコストパフォーマンスの高いケーブルです。柔らかく使い回しも良いケーブルで、多少太いのでその点が問題なければ結構オススメです(ぜひともZS5/ZS6用も出して欲しいですね・・・)。


■進化する定番「低価格中華イヤホン」。まだまだ人気は続きそう

改めて、私が現在使用している「KZ ZST」「KZ ZST Pro」を並べてみました。
ZST / ZST Pro
初期ロットでは「低音イヤホン」のキャラクターでとして登場し紫モデルが登場した中期ロットあたりまではその印象が強かった「KZ ZST」ですが、Bellsing製BAに変更した後期ロット以降は、よりフラット寄りで高域の綺麗な「美音系」のイヤホンに「クラスチェンジ」を果たしました。現在販売されている白箱の「KZ ZST Pro(紫)」「KZ ZST(黒)」は、とにかく聴きやすく、幾度のブラッシュアップで絶妙なバランスに仕上がったイヤホン、という印象になりました。
ZST Pro」「ZST」に加え、よりマルチドライバーらしい厚みのあるサウンドには「ZS5」、高域を中心とした刺さりと解像度押しの場合は「ZS6」、とモデルによる棲み分けもしっかりできているようです。
KZ ZST Pro
現在のバージョンで音質面でもますます2,000円台で購入できるイヤホンとしては定番感が強くなってきました。白箱の「ZST Pro」「ZST」となってパッケージも一新したことで、確実に見分けが付くようになり、安心して購入できるようになったのも嬉しいところです。

またKZ自体は同じハイブリッド構成BAに「KZ 30095」を採用した「KZ ES3」もリリースしており、こちらとの棲み分けも気になるところですが(オーダー中ですのでいずれ比較レビューします)、まだまだ人気は続きそうですね。

後編では、いよいよ「新版ZS5」、ドライバー構成やレイアウトが変更になったイヤホンを深掘りします。
→ 新「KZ ZS5」編/ZS6だけじゃない! KZ人気イヤホンの「新バージョン」を深掘りしてみた【後編】


プロフィール(Twitterアカウント)
カフェで息抜きにイヤホンとかのブログ書いてます。ただのアラフィフの酔っ払い。食べるのも好きな天秤座AB型。東京と福井(鯖江)の自宅の二拠点生活も気付けば5年以上。普段はIT屋でよく出張するお仕事してます。ポタオデは趣味で出張のお供。PC(?)遍歴にApple IIc とNeXTstation があるのがプチ自慢(^^;
※ご意見・ご質問などはコメント欄にてお願いします。
レビュー依頼等は bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上ご返答申し上げます(返信の無い場合はご了承ください)。


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