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ガジェット好きのおっさんによる、趣味的レビュー。ちょっとイイけどお買い得、そんなアイテムに目がありません。

「PLENUE R」 激戦区に降り立った『音質勝負』の最新ミドルクラスDAP【購入レビュー】

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PLENUE R

9月8日に日本版が発売されたCOWONの最新DAP(デジタルオーディオプレーヤー)「PLENUE R」を予約注文で購入しました。私自身は既に同様のミドルクラスのDAPを数台所有してはいるのですが、今回は「比較的コンパクトかつシンプル」で「さまざまなイヤホンおよびヘッドホンを使いこなせる」プレーヤーを、と考え、ポタフェスでの試聴の印象も良かった「PLENUE R」を選択しました。

実際購入してみて、最近の同価格帯のDAPに見られる多機能さはないものの、「ポータブルプレーヤー」を私が利用する様々なシーンで、音質面も含め充分な実力を発揮できる良い製品だということを確認できました。


■「シンプル&クール」か、それとも「硬派」と呼ぶべきか。

COWONは韓国のメーカーで、DAP分野はMP3プレーヤーと呼ばれた時代からの「老舗」です。同社のハイエンド商品に分類される「PLENUE」シリーズは日本でも多くの固定ファンが存在します。ただ、他のレビューなどを拝見すると、どうしても同じ韓国メーカーのAstell&Kern(iriver社)の陰に隠れて、みたいな記述が散見されるのも事実。 かくいう私自身も今回の「PLENUE R」が初めて購入したCOWON製品となります。

PLENUE R」の購入時価格は税込み64,800円。この製品が投入された「ミドルクラス」の価格帯は、これから本格的にポータブルオーディオを楽しみたいと思う方々がターゲットとするだろうレンジで、後述しますが、現在新旧の各社の代表的モデルがひしめく「超激戦区」ともなっています。

そのためCOWONのWebサイトでも「PLENUE R」については「ALL-ROUND PLAYER」というコピーで多少の多機能推しをしていますが、他社と比較すると「スペックより音質勝負」といった「硬派」(デザインイメージ的には「シンプル&クール」ですかね)な雰囲気は感じずにはいられないところです。
PLENUE R PackagePLENUE R Package

というわけで、届いた製品を見てみるとパッケージ構成は極めてシンプルです。
付属品は簡単な仕様説明と保証書、接続用のUSBケーブルのみ。
PLENUE R PackagePLENUE R Package

以前購入したFiiOの「X7 Mark II」や「X5 3rd gen」のようにこれでもかと大量のアクセサリを同梱したりあらかじめ保護フィルムが貼られていたりするのと比較すると拍子抜けするほどの「何もなさ」です。ちなみにオプションでは、レザーケースは現在COWN純正のみが別売で販売されていて(私は品切れだったため後日購入)、同様に保護フィルムも販売されています。


■コンパクト&軽量。ソリッドなデザインが美しい

PLENUE R」のスペックは、DACチップにTI(バーブラウン)製「PCM5242」を採用し384kHz/32bit(内部処理は最大24bit/192kHz)までのPCMに対応します。DSDは176.4kHz/24bitのPCM変換によりDSD128(5.4MHz)までに対応し、またDXD(352.8kHzおよび384kHz)も1/2にダウンサンプリングされての再生となります。
PLENUE Rまたオペアンプ等もDACと同じTI製のものを採用しており、FiiO製品ほどではないものの高インピーダンスのヘッドホンも十分鳴らせる駆動力を持っています。
インターフェースは3.5mmステレオと、2.5mm 4極のバランス出力に対応。さらにステレオコネクタは3.5mmミニピン仕様の光デジタル出力も兼ねています。microSDXCスロットを搭載し、さらに本体も128GBの大容量のストレージを搭載するなど、必要充分な機能は装備している印象です。
画面は3.7インチで本体のサイズ感も実際に手持ちのAK300やX5 3rd gen等と比較するとミドルクラスのDAPとしては一般的ですが、全体的に少し小さく薄く仕上がっており、実際に手に取った感覚はよりコンパクトな印象を受けます。

PLENUE RPLENUE R
PLENUE R」のボディは精密加工されたアルミニウム製で想像以上に軽量な印象を受けます。本体重量は154gで、例えば「X5 3rd gen」の186gと比較しても30g程度の差ですが、手にしたときのズシという感じがあまり無いのは最近のDAPでは逆に珍しいかもしれません。

PLENUE RPLENUE R
上記のようなスペックを実現し、さらに最長17時間のバッテリ性能をこの軽量のボディで実現できている点はなかなか立派です。また本体背面はラバー系の素材になっており滑り止め効果がある点も、出張中に新幹線などでの利用も多い私には嬉しい配慮です。またそれぞれのボタンの感触も比較的良好で、「ボリュームコントロールはやはりダイヤル式じゃないとね」という向きの方でも実際に触って頂くとさほど使いにくさは感じないのでは、と思います。


■好みの分かれる操作性。でも慣れれば大丈夫!

PLENUE R with AZLAPLENUEシリーズは、独自に音楽再生に特化した専用OS(Linuxベース)を採用しており、Android搭載DAPはもちろん、Androidベースに独自カスタマイズしたAstell&Kernや、同様の独自OSを搭載するソニー Walkman等とも全く操作性および印象の異なるものです。
独自OSのため、起動はとても速く、起動時のSDカード等のライブラリ更新も数秒程度で完了します。
またインターフェースの反応は比較的良く特にもたつく感じはありません。ただ「感覚的」にあると思う場所に思うようなボタンやメニューが無いことで操作に戸惑うことは使い始めは多いかもしれません。

これまでもPLENUEシリーズの操作性については「賛否両論」のようですが、ネガティブな意見の多くはこの「感覚的なわかりにくさ」に起因するように思います。

PLENUE RPLENUEシリーズの操作性にまず戸惑いを憶える理由は、一般的なスマートフォンやDAPの操作画面になれている感覚からみると、メニューにアクセスする場所が他のDAPと結構異なっており、さらにメニューなどに誘導するアイコンの意味が分りにくい(見た目だけでは直感的にイメージしにくい)、ことで「わけがわからなくなる」ケースが多いように感じます。
また、本体付属の説明シートには各ボタンの説明は記載されていますが、画面操作の説明がないことも結果的に戸惑う原因になっているかもしれません。
実際には、操作方法については紙ではなく、データで用意されているユーザーマニュアルを別途参照する必要があります。「ユーザーマニュアル」は、「PLENUE R」をUSBケーブルでPCと接続し、本体ストレージを確認することで「Manual」フォルダからPDFが参照できます。
また同社サイトのサポートページでマニュアルをダウンロードすることも可能です。
特にアイコンの意味や、操作方法については、ユーザーマニュアルの「再生画面」「音楽の選択」「音楽の設定」の3ページ分を見れば一目瞭然ですのでまずは目を通すことをお勧めします。

実際操作に慣れてくれば違和感なく再生したい曲やアルバムにアクセスできるようになります。また私のように色々なイヤホンやヘッドホンを使い分ける場合、再生画面からすぐにアクセスできる「ヘッドホンモード」(他のDAPのハイゲインのモードに相当)は結構便利です。これまで他のメーカーのDAPを使っていた方でも「慣れれば」大丈夫ですよ(笑)。


■クリアで分離感が高くも充分なパワーで「自然なサウンド」を表現

PLENUE R」で実際に聴いた感想ですが、何より驚いたのは「どのイヤホン、どのヘッドホンでも破綻することなく特徴を出せている」点でしょう。DAPとしての特徴は、非常に解像度および分離感が高くクリアなサウンドですが、線の細い印象も逆にパワー押しで来るような印象もなく、非常にナチュラルな鳴らし方をします。
PLENUE R with KC09他のDAPでは、バランス接続をしたり、あるいは非常に反応の良いIEMだったり、逆になかなか鳴らしにくいイヤホンやヘッドホンだったりすると、途端に異なるキャラクターが顔を出す、と言うことが少なくありません。
ところが、「PLENUE R」では、これら異なるタイプのイヤホンやヘッドホンを使い分けてもやはりとてもナチュラルである意味スッキリしたサウンドを聴かせてくれます。

普段私が使用しているDAPだと「Astell&Kern AK300」はいわゆる「無味無臭」でイヤホンの個性を聴き分けるのに向いていると言う点では「PLENUE R」とも似た要素はありますが、第3世代AK全体にいえる出力の弱さがネックでした。いっぽう「PLENUE R」は、AK300では出力不足を感じた「HIFIMAN RE2000」のような高インピーダンスのイヤホンも極めて自然に鳴らし、その実力を堪能することができました。
PLENUE R with RE2000PLENUE R with K712 Pro
また「ヘッドホンモード」にすることで一般的に鳴りにくいと言われるAKG「K701」「K712 Pro」も過不足無く利用できます。これらのヘッドホンはAK300の場合は「Mojo」などのポータブルアンプへトランスポートしての利用が中心だったので、DAP単独で問題なく利用できることは重要な要件でした。

いっぽうで、FiiOの「X5 3rd gen」および「X7 Mark II」という2種類のDAPの場合、まず「X5 3rd gen」では解像度の高さとハイパワーの稼働力が特徴的ですが、IEMなどでのホワイトノイズや高域のエッジの強さに多少の不自然さを感じる場合がありました。また「X7 Mark II」ではX5 3rdより高級かつナチュラルなサウンドを実現していますが、個人的にはアンプモジュールの選択に悩まされました。
PLENUE R with SE535LTDPLENUE R with Rose BR5 Mk2
これに対し「PLENUE R」では、X5 3rdほどのハイパワーではありませんが十分な出力を持っており、同時に非常に反応の良い「SE535LTD」でもホワイトノイズが乗ることは全くなく、極めて自然なサウンドで聴くことができました。
また、X7MKII+AM3モジュールのバランス接続では完全な「ハイ上がり」になってしまった「Rose BR5 Mk2」(5BAイヤホン)のバランス接続でも特に高域のバランスが崩れることなく高い解像度でクリアなサウンドを堪能できました。

このように、DACなど使用部品のグレードが全く異なる「PLENUE 2」とはさすがにクラスの差を感じますが、「PLENUE R」の音質そのものは10万円クラスのDAPとも十分に渡り合えるレベルの仕上がりだと思います。


■多機能ではないが十分に「多様な用途」に対応できる機能性

次に機能面ですが、まず先に同クラスの他のDAPと比較し、PLENUE R」ができないこと(現時点で、も含む)をまとめると
  • アプリのインストール(Androidじゃないから当然)
  • USB-DACへのトランスポート(光デジタル出力は一応あり)
  • .m3uプレイリストの再生(Favoriteリストで対応してね)
  • ネットワーク機能って何ですか?(なんせやっとBluetooth対応したくらいですから)
くらいでしょうか。思ったより少ないですね(そんなことないですかね)。

まず、曲データの転送ですが、microSDXCカードにあらかじめ曲データをコピーして挿入するほか、USBケーブルでPC/Macで本体と挿入したmicroSDXCカードをストレージデバイスとして認識します。基本は本体及びSDカードの「Music」フォルダ以下に曲データをコピーするのみです。取り外す際は、本体側でアンマウントの指示は送れないのでPC/Mac側で接続解除・アンマウント操作を行った後で取り外します。

再生画面では左上の3本線のマークが階層移動(ブラウザ)、右上の円上に線が並ぶマークがメニュー表示ボタンになります。メニュー表示ボタンから設定ボタンを押すと設定メニューに入り、システム設定のほか、Bluetoothや省電力(タイマー)設定、JetEffectの設定等が行えます。
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また再生画面で左上のボタンを押しブラウザ画面に入ったあと、左上の矢印マークを長押しするとブラウザのトップメニューに移動し、フォルダ、アーティスト名、アルバム名、ジャンルなどから曲を選択できます。
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さらにブラウザ画面ではすべてのメニューで上の方に3本線+歯車のアイコンがあり、この下に星マーク(Favoriteリスト)への追加ボタンがあります。
Favoriteリストはデフォルトの「my favorite」リストのほか複数のリストが作成でき、曲単位、アーティスト単位、アルバム単位などブラウザ画面で表示できるすべてのリスト単位での一括追加が可能です。もちろんリスト自体の編集もできるのでかなり柔軟なリスト編集が可能です。
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PLENUE Rは残念ながら.m3uプレイリストには未対応ですが、このFavoriteリスト機能でとりあえずの代用にはなるかな、と思っています。また同社製品で唯一「PLENUE D」だけはプレイリストに対応するようなのですが、他メーカーの一般的な.m3uプレイリストとは文字コードやフォーマットが異なる形式で、余計に管理に手間がかかりそうなので、そのフォーマットならなくても良いかな、という気もしています。

PLENUE R with Mojoその他機能についてですが、まず3.5mm光ケーブルを使用してのデジタル出力は、ハイレゾ、DSD問わずすべて16bit/44.1kHzにダウンサンプリングされて出力されました。これが今後のファームウェアで変更になる可能性もありますが現時点では「オマケ程度」に捉えておく方がよさそうです。
あとメニュー画面にある「曲変更時の情報表示」という項目をONにしておくと再生中曲が変わる度に画面が表示されるのですが、この設定を入れたまま外出時にポケットで再生したところ、曲ごとに誤操作になって・・・みたいなことがありました(普通誰もしないトラブルかな?)。



■イコライザを普段使わない人も試したい「JetEffect 7 & BBE+」と初のBluetooth機能

また「PLENUEといえばJetEffectのイコライザを使ってこそ」という向きの方も多いと伺っているのですが、この辺の機能はまったく不勉強でしたので、とりあえずはマニュアルや同社Webサイトを参照してみます。前述PLENUE Rのサイトにて「JetEffect 7 + BBE+ 詳細な内容を見る。」を参照すると、単なるイコライザだけではなく、位相補正のテクノロジーである「BBE+」に加え、音場感を高める「Chorus」と残響感を高める「Reverb」の2種類のサウンドエフェクトを組み合わせて様々な音質効果を作る仕組み、とのこと。
とりあえず標準の「Normal」からBBE+による位相補正を加える「BBE」にモードを変更することで音の鮮明度が増加すると同時に特に高域の抜けが良くなり、ライブ音源は生っぽさを感じられるようになります。
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私の場合、イヤホンのレビューなどを行う際は可能な限りDAP側は無味無臭であるほうが良いので「PLENUE R」でも「Normal」のモードを使いますが、普段リスニングを行う際は「BBE」モードの利用頻度は結構増えそうな感じです。
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またユーザモードによって自分でセットを作ることはまずしないと思いますが豊富なプリセットが用意されているため、曲によっては活用したいと思います。
※「BBE」についてはCOWON社サイトに解説があります。:COWON社サイト「What's BBE」

またPLENUEシリーズではこれまで搭載していなかったBluetooth機能も「PLENUE R」では初めて搭載されました。こちらは再生画面から入る設定メニューの「Bluetooth」を選びペアリングを行います。
ペアリングに成功すると「aptX」などの接続モードがアイコンで表示されます。
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またBluetooth機能については個人的にはヘッドホンやイヤホンより車載利用での実用性のほうが興味があるので、後日確認してみる予定です。


■激戦区の価格帯で今後ますます難しいDAP選び

というわけで、「PLENUE R」は最近のAndroid搭載DAPや、特に(ネットワーク機能やUSB-DAC対応など)連携機能を強めるAstell&Kern等と比較すると、確かに機能面は見劣りする箇所があります。しかし、音質面においては同価格帯の製品でもかなりの高水準に達しており、またイヤホン・ヘッドホンとのハンドリングの良さも特筆すべきものがあります。

PLENUE R」の発売価格は、ちょうど発売当初のAstell&Kern 「AK70」と同じくらいで、ポジショニングとしてはAK70および今後出るかもしれない後継機種と重なるミドルクラスとなります(追記:その後「AK70 MKII」が10月発売で発表されましたね)。
PLENUE R with EN700 Pro現在、この価格帯はものすごい激戦区となっていて、本来なら同クラスと思われるFiiO「X5 3rd gen」(過去記事にレビューあり)は発売当初から5万円以下の価格設定となっており、モデル末期に近づいているAK70やFiiO「X7」も同様に5万円前後の価格まで下がってきています。
いっぽう少し上を見ると、7万円~程度でソニーの「NW-ZX300」が10月に発売を控えており、Astell&Kern「AK300」もこの辺の実売価格に降りてきています。もちろんそれ以外のメーカーからもこのレンジにはさまざまな製品が投入されています。このように新旧の代表モデルとも言うべき製品が結果的にひしめく状況のなかで、「PLENUE R」は確かにいささかのマイナー感は否めません。
特に特にソニーのZX300とは発売時期も価格もかぶるので、これから購入する場合はかなり悩ましいかもしれませんね。

個人的には、「PLENUE R」の多様なシーンで使えるサウンドクオリティの高さは個人的には十分に満足のいくものです。私自身は今後も複数のDAPを使い分ける事になるとは思いますが、「PLENUE R」も主力選手とひとつとして今後も活躍してくれるだろうと確信をしています。


「SIMGOT EN700 Pro」をじっくり堪能して、サウンドの『深化』に驚きました(追記しました)。

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SIMGOT EN700 Pro

【9月7日追記】
7月19日に投稿した本記事ですが、当初の予定より発売開始が延期され、いよいよ9月23日より正式に日本国内版の発売が決定しました(9月16日より予約開始)。
今回SIMGOT JAPAN様より国内版で採用される新バージョンのケーブルが届きましたので、そちらの内容も踏まえて「修正・追記版」として再投稿させていただきます。一部内容が変更となっている箇所がありますのであらかじめご了承ください。
【9月16日追記】
バランスケーブルによる接続について少し追記しました。


というわけで、中国のイヤホンメーカー「SIMGOT」の最新モデル「EN700 Pro」です。
まだ発売前の製品ですが、今回SIMGOT JAPAN様よりサンプル品の提供を受けてのレビューとなります。また日本での国内販売元は引き続きIC-CONNECTさんになります。
SIMGOT社サイト:EN700 Pro
IC-CONNECT社サイト:EN700 Pro

SIMGOTEN700 Pro」はシングルのダイナミックドライバーを搭載したイヤホンで、初代の「EN700」、そしてハウジング形状の修正、ドライバーの変更を含む大幅な改良が加えられた「EN700BASS」を経て、あらたにリケーブルにも対応したフラグシップモデルになります。

SIMGOT EN700 Proちなみに、私のところに届いたものは右側が青色で左側が赤色の構成でした。先行する海外版では左右どちらが赤青になるかはランダムだったようですが、日本国内版では「右が赤色左が青色」のバージョンでの発売となるとのことです(つまり私の逆構成のモデルはレアですね^^)
また従来モデルの「EN700BASS」同様の単色モデル(レッド、ブルー、グレーの3色がSIMGOT社サイトに掲載)も今後追加で発売予定があるとのことです。
EN700 Pro」の日本版の価格は17,800円とのことで、「EN700BASS」(13,800円)との価格差は最小に抑えられている印象です(個人的には2万円以上でもおかしくはないな、と思っていました)。

サンプル提供をいただいたのが6月下旬頃で、以降、後述の通りさまざまな場面で「酷使」してきましたが(^^;)、「EN700 Pro」のトータルでの仕上がりの素晴らしさは特筆すべきもので、EN700シリーズの最終形態(たぶん)としての完成度の高さを実感しています。

SIMGOT EN700 ProSIMGOT EN700 Pro
EN700 Pro」のパッケージ構成はイヤホン本体とケーブルが分離できるようになった以外は基本的には「EN700BASS」と同様で、質感が高く以前から評判の良いレザー製ポーチをはじめ、2系統(「Eartip I」と「Eartip II」)がS/M/Lサイズで同梱されています。



■リケーブル対応だけじゃない、バランス重視のトータルでのチューニングを実施

SIMGOT「EN700 Pro」は、既存モデルの「EN700BASS」同様のドライバーにチタン複合振動膜とN50ネオジム磁石を使用。さらに2pinリケーブルに対応した8芯6N単結晶銅+銀メッキ撚り線のケーブルを装備しています。
また日本バージョンでは、湿度の高い日本での利用を想定しケーブル自体のクオリティアップと表面コーティング変更を実施するなど、より解像度の高い音質と変色や劣化に強い耐候性をもった日本専用のケーブルを同梱することになりました。
SIMGOT EN700 ProSIMGOT EN700 ProEN700 Pro New Cable

ちなみに「EN700BASS」については以前購入したブルーモデルのレビューをさせて頂いており、また最初のモデルの「EN700」についても過去記事で紹介をしています。
→ というわけでSIMGOT「EN700BASS」ブルーモデルを購入しました。
→ 【高音質イヤホン】アラウンド1万円なお買い物♪「MaGaosi K3 Pro」「SIMGOT EN700」「Whizzer A15」

SIMGOT EN700 Proところで、EN700シリーズというと、なんといってもその個性的なデザインが特徴ですが、個人的には往年(60年代とか)のAlfa Romeoのフロントグリルのような印象でなかなかカッコイイと思っています(^^)。

装着性については「EN700BASS」のレビューにも記載したとおり、比較的大きめのハウジングながら耳にはすっぽり収まる感じです。ただし耳穴の角度がステム位置とあわない場合は「遊び」が少ない分多少装着に苦労するかもしれません。その場合リーチの取れるイヤーピースを別途探してみるのも良いと思います。

SIMGOTSIMGOT社のEN700シリーズは、どの製品もベースとしてはフラット系の非常にクオリティの高いイヤホンですが、「EN700」から「EN700BASS」へアップグレードされた段階で製品名にもなっている低域に加え全体的にも大幅な改良が加えられ、完成形とも思えるサウンドになっていました。このため実物が届くまでは「EN700 Pro」は単純にBASSのリケーブル対応版なのかな、と思っていたのですが、実際に聴いてみて、BASSと比較してさらに向上した解像度とナチュラルな音場の広さからくる見通しの良さ、BASSの「濃さ」を維持しつつ絶妙にコントロールされたサウンドバランスなど、その進化というか「深化」というか、さらに一皮むけたようなサウンドに驚きを隠せませんでした。

驚いた勢いで早速SIMGOT JAPANさんにDMで伺ったところ(いい迷惑ですね。笑)、クオリティアップしたケーブルに合わせてドライバーまわりにさらにチューニングを加えており「今までなかった質の高い明瞭なサウンドが楽しめる」とのことでした。実際「EN700BASS」と外観を比較してみると、ハウジングの形状そのものは基本的に全く同じですが、ステムに装着されたメッシュに違いが見られるなど、内部的にチューニングを行っている形跡が確認できます。

SIMGOT EN700 ProSIMGOT EN700 Pro

また、付属する銀メッキ銅撚り線の2pinケーブルも従来モデルのケーブルと比較するとグレードの違いは一目瞭然。このケーブル単品でも結構いい値段がするんじゃないかなとつい思ってしまいます。またケーブルの3.5mmステレオコネクタ部分には製品ごとのシリアルナンバーが刻印されており、上級モデル感を演出しているのも嬉しいところです残念ながら日本バージョンの専用ケーブルではシリアルNo.の刻印はなくなった模様です。
SIMGOT EN700 ProNew Cable



■低域を引き締め、高域をクリアに。もちろんフラットさを感じさせない濃厚サウンドは健在。

008bf2a5EN700 Pro」の周波数特性は「EN700BASS」同様に非常に綺麗なフラット傾向のカーブを描いています。さらにProでは10kHz以上の高域のカーブがBASSより少し増加しており、ケーブル性能向上による情報量アップと、これに合わせたドライバーまわりのチューニングによる変化の一片が伺えます。

「EN700BASS」でも感じましたが、「EN700 Pro」はフラットな特性ながらそれをあまり感じさせない、低域・中域・高域をメリハリをつけてしっかり描写しており、全域にわたって非常に濃度の高いサウンドを堪能させてくれる手法は「さすが」だと思います。

EN700ProEN700 Pro」の音場の広さは一般的で「EN700BASS」同様に自然な広がりを感じ、ボーカル推しと言うよりオールラウンドに聴かせるタイプ。全般的に「EN700BASS」と比較し低域を多少引き締め解像度を向上させた印象です。そのため中高域の見通しか向上し、よりクリアで定位感のあるサウンドを楽しめます。
シリーズ共通で暖色系の音ですが「EN700」(まったりサウンド)と比較すると「EN700 Pro」「EN700BASS」ではある程度のキレがある印象で、「濃いサウンド」といっても粘着質な感じは全くありません。
さらに、「EN700 Pro」ではケーブル性能向上の恩恵か、解像度や分離性が向上しており、比較すると文字通り「一皮むけた」印象を受けます。

SIMGOT EN700 Proそして、「EN700 Pro」でもっとも変化を実感できるのは高域で、「EN700BASS」の「丸くて刺さりの少ない」印象から、ある程度上までしっかり描写し必要十分なエッジを感じるサウンドに仕上がっています。
とはいえ、基本的にウォームでバランスが取れたイヤホンであることには変わりがなく、いわゆる高域を攻めるタイプのイヤホンではありません。そのため、さらに上の高高域の音はわりとあっさり処理されている部分もありますが、どのジャンルの音楽でも高域の不足を感じることは少ないだろう明瞭なサウンドにまとまっていると思います。



■イヤーピースでもいろいろ変化が楽しめる。せっかくなのでリケーブルもしてみた

SIMGOT EN700 ProEN700 Pro」をはじめEN700シリーズでは「中高域向け」(Eartip I、穴が大きい方)「低域向け」(Eartip II、穴が小さい方)の2種類のイヤーピースが付属します。Proでは左右の色違いにあわせてイヤーピースも各サイズ赤青1個ずつの内容。
そしてイヤーピースによる変化が比較的大きいのもこのシリーズの特徴のひとつですが、「フラット好き」の私は、EN700BASSの際と同様によりナチュラルな鳴り方をする「穴の大きい方」(Eartip I)をおすすめしています。ただし「EN700 Pro」では低域の量感はBASSよりは少なくなっていますので「もっと低音を」という場合には「穴の小さい方」(Eartip II)も良いかと思います。
ただ、イヤーピースでの低音強化なら「final Eタイプ」のイヤーピースを組み合わせる方がより変化を実感できると思います。

SIMGOT EN700 Proまた、中高域にもっと刺激のあるサウンドを楽しみたい場合は、「SpinFit」の「TwinBlade」がオススメです。
個人的には耳穴の位置の関係で上記の通り通常のイヤピースでは装着性に少し難があることもあり、よりしっかり装着できるこの組み合わせは結構気に入っています。
TwinBladeだと高域の刺さりもアップし、アグレッシブさが向上します。そのため、まったりBGMを楽しむ、という感覚ではなくなり、多少聴き疲れしやすくなる可能性もあります。

EN700 Pro and Re-Cableあと、上記にも繰り返し記載の通り、「EN700 Pro」のケーブルはCIEMと同じ2pinコネクタに対応しており、リケーブルが可能です。
付属のケーブルは非常に高品質・高性能なものですが、せっかくリケーブル可能なので手持ちのケーブルに交換してみます。
まず、「Bispa <蒼>」の2pinケーブルへ交換してみると(極性はCIEMなどと同様)、低域が一段深くなり多少残響感が多少増加したサウンドに変化。解像度などはほぼ変化はありませんが、サウンドバランスの変化を実感します。この組み合わせはわりと「アリ」かもしれません。

いっぽう、バランスケーブルでの接続の場合、よりDAPやケーブルによる差が明確になります。手持ちの2pin仕様のバランスケーブルを数種類試したところ、全般的に左右の分離感の向上により音場が立体的になるのが実感できました。例えば2pin-MMCX変換ケーブルを使用して同じくBispaの2pinバランスケーブルを使用したところ解像度の向上により、全般的にウォームからシャープな印象に多少変化しました。(追記)また純正ケーブルに比較的近い8芯の7N単結晶銅と銀メッキ混合のバランスケーブルを中国AliExpressのEasy Earphoneで購入し接続したところ、一気に情報量がアップすると同時にアタックのスピード感が向上し、アグレッシブさが増したサウンドになります。AK300など比較的出力の弱いDAPの場合、特にバランスケーブルの効果が実感できそうです。
EN700 Pro and Re-CableSIMGOT EN700 Pro

ただ、一部相性の悪いケーブルもあるようで、同様に2pin-MMCX変換ケーブルを使用してonsoのバランスケーブルを使用しバランス接続をおこなったところ、音場は一歩下がった印象になってしまいました。バランスケーブルの場合はより明確に変化が出るため、いろいろ比較して相性の良いケーブルを選ぶ必要がありそうですね。
EN700 Pro and Re-CableEN700 Pro and Re-Cable
また、2pinケーブルについてはコネクタが長いと奥まで挿入できなかったり、本体側の凹みの関係でうまく利用できないケーブルもありそうですので、もしリケーブルを行う場合は併せて注意が必要です。



■(追記)そうだ、「EN700 Pro」と一緒に旅に出よう(出張ですけどね)

EN700 Proここまでのレビューはサンプルを提供いただいて約3週間ほど経過した時点で記載していますが、以降、今回発売に合わせて修正・追記するタイミングまで、さらに2ヶ月近く「EN700 Pro」を利用させていただきました。
仕事柄もともと出張は多いのですが、今年の夏は特に多く、「EN700 Pro」は出張の移動の際の良いパートナーとなってくれました。私の場合、出張での大半の移動手段は新幹線ですが、今年の夏はいちばん慌ただしいときで2日で5本の新幹線の乗り継いだりと、結構な移動距離でした。

夏場で混雑した新幹線の中でも、「EN700 Pro」はイヤーピースが合えば遮音性はまずまずです。
私の耳は形状的にコンディションによって結構使えるイヤピが変わるので、上記のイヤーピースの組み合わせの中でも、実際には、標準の「Eartip I(穴が大きい方)」と「final Eシリーズ」などを使い分けて使用しています。さらにウレタン製のイヤーピースを使用する場合もありました(下の写真で左側の東北新幹線ではfinal Eシリーズ、右側の東海道新幹線ではウレタンイヤピですね)。
EN700 ProEN700Pro
ただウレタン製は思ったほど相性は良くなかったようで、最近はさらによりどっぷり音楽に浸りたいときなどは「SpinFit  TwinBlade」が中心になっています。
EN700 ProEN700 Pro

まだ「発売前のイヤホン」ということもあり、色々な場所に「EN700 Pro」を持ち出して、一緒にいる人がポータブルオーディオやイヤホンに興味があるなしに関わらず、「プチ自慢」で披露をさせていただきました(^^;)。そこでの「EN700 Pro」の評判は総じて、その音質はもちろん、個性的なデザインのウケも上々です。「EN700」「EN700BASS」がオーディオファンの間で評判になってきたとはいえ、一般ではままだSIMGOTの製品はほとんど知られていないのも実情だと思います。今後、同社の製品がどんどん多くの方に知られる存在になると良いですね。



(追記)日本版専用ケーブルで音質面のグレードアップはあるのか

EN700Pro日本版「EN700 Pro」は当初8月頃の発売予定でしたが、海外版の「赤青ランダム」のパッケージ構成から日本版では「右:赤色左:青色」に統一するため、生産ラインなどの変更を行う必要があったことが発売開始が1ヶ月以上遅れた最大の理由といわれています。ここで品質チェックなどを日本向けに強化する課程で、「EN700 Pro」の音質面の最大のポイントともいえる専用ケーブルについても改めて見直しを行い、よりクオリティ向上をした「日本版専用ケーブル」を同梱することになった、という話をSIMGOT JAPAN様より伺いました。

EN700 Pro日本版専用ケーブル」も「8芯6N単結晶銅+銀メッキ撚り線」というケーブル構成そのものに変更はありませんが、より純度の高いケーブルの場合、温度や湿度など環境変化による影響を受けやすく、音質劣化の原因ともなるため、ケーブルの表面処理などを見直し、より耐候性の高いものに改良したとのことです。日本向けの生産過程でケーブル品質自体も当然向上しており、海外版と比べ「音質面でも向上が得られる」との回答をいただいています。

というわけで、実際に届いた新しいケーブルと聴き比べを行ってみました。手持ちの試聴環境をいろいろ変えて確認をしましたが、とりあえず新旧ケーブルで「大きな変化」はありませんでした。
EN700 Pro今回のケーブルの変更点から考察すると、変化があるとすると「線材の品質向上」「コーティングの強化」によるノイズの軽減、つまりS/Nの向上により「よりクリアで見通しのよい音になる」という変化が想定されます。
しかし、前述のとおり「EN700 Pro」はすでに同価格帯のイヤホンのクオリティを超えるクリアで解像度の高い、かつ自然なサウンドを実現しており、ここでのケーブルの変化による違いはあったとしても「あまりに小さすぎて確認できないレベル」のようです。

しかし、手持ちの旧ケーブルも夏場に新幹線など屋外での利用が多かったこともあり多少透明な表皮がくすんだ感じになっており、今後数年というスパンで利用し続けた場合に経年劣化による変化がより明確になる可能性もあります。日本版ケーブルの「耐候性の向上」は夏場の湿度が高く、温度変化も大きい日本の気候を考慮すると、先を見越した「ありがたい配慮」だと思います。

(追記)ところで、発売に向けて行われた報道の中に「BluetoothケーブルやUSB Type-Cに対応したケーブルも発売を予定している」という記述がありました。9月16日の予約開始にあわせてe☆イヤホン秋葉原店で開催された試聴会にてSIMGOT JAPANさんに早速この点を伺ったところ、スケジュールなどは未定ながらメーカーでは計画がある、との回答でした。ただ、個人的にはやはりSIMGOT純正で標準ケーブルのバランス版もぜひとも製品化していただけたらと思いました。ユーザーの要望も多いはずですし、かなり顕著なリケーブル効果があると思いますので、ぜひとも期待したいですね。



■過激さよりトータル性能。アラウンド2万円クラスを超えた高音質とオールラウンダーという個性

EN700 ProEN700 Pro」は2度のブラッシュアップによるモデルチェンジを経て、非常にハイレベルにバランスが取れたイヤホンになったと思います。ただ全体的に「無難に仕上がっている」という言い方もありますが、逆に音質面で粗さがないというのはかなり難しいことだと思います。
なかなかアラウンド2万円クラスの価格帯でこのレベルを実現しているイヤホンは少ないのではないでしょうか。そういう意味で、改めて「EN700 Pro」は多くの方にオススメできる製品だと感じました。
きっと「EN700 Pro」の「攻めてない」が「無個性ではない」、オールラウンダーなイヤホンというのは、ある意味見た目のデザイン並に個性的なのかもしれませんね(笑)。

ただ、もし残念なことがあるとするなら、私自身も含め、すでに「EN700BASS」を購入した方が「どうせならこっちが良かった」と悔しい思いをする可能性もありそう、ということでしょうか(^^;)。もっともより低音が欲しい方には「EN700BASS」は最適ですし、「EN700 Pro」との両方を気分で使い分けるのも楽しいと思います。

「日本版専用ケーブル」が同梱された「SIMGOT EN700 Pro」国内版は、いよいよ、今月発売されます。より多くの方々がそのサウンドを体験されるといいなと思っています。
そして、かくいう私も、すでに手元にサンプル品を持ってはいますが、今後「赤色」単色モデルが出たら追加で買おうかな、とちょっと思っていたりもするのでした(^^)。


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カフェで息抜きにイヤホンとかのブログ書いてます。Apple好きのおっさん。食べるのも好き。普段はIT系のお仕事で自宅は福井県ですが都内で単身赴任してます。ポタオデは趣味で出張のお供。美音系/モニター系の音が好みです。自宅ホームシアターもそろそろ改造したいな。
※レビュー依頼等は bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上ご返答申し上げます。


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