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「KZ AS16」 価格破壊 8BA モデルのKZバージョンが登場。より中高域の明瞭感がアップした濃厚サウンドを実感できる高音質中華イヤホン【レビュー】

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KZ AS16

こんにちは。今回は「KZ AS16」、低価格中華イヤホンの代表的ブランド「KZ」で現在最もハイグレードな仕様となる片側8BAのマルチBAイヤホンです。表示価格ベースでは100ドルを超える価格設定のため、もはや「低価格イヤホン」のカテゴリーには入らなくなっていますが、それでも相変わらずの驚異的なコストパフォーマンスを実現した製品だと思います。
KZ AS16KZ AS16
8BA仕様モデルはKZの姉妹ブランド「CCA」より「CCA C16」が以前よりリリースされており、今回の「KZ AS16」はこの「C16」のKZ版リファインバージョン、という位置づけになると思います。
シェル形状はKZのマルチBAイヤホン「KZ AS10」(5BA)および「KZ AS06」(3BA)を踏襲したデザインで、これらのモデルと同じハウジングを採用した8BAモデル「CCA C16」同様に厚みのある亜鉛合金製フェイスプレートに、既存のモデルでは筒状になっていたステム部分は新たにアルミ合金製となりました。
CCA C16 LZ AS10 KZ AS06


KZ AS16」は、すべてKZ製BA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを使用し、高域用デュアルBAユニットの「KZ 31736」を2基(4BA)、中域用に「KZ 29689」を2基(2BA)、低域用に「KZ 22955」を2基(2BA)の3Way による片側8BA構成となっています。
KZ AS16KZ AS16

改めて従来モデルとのドライバー構成を比較すると、

KZ AS16 (8BA): 低「22955」×2 中「29689」×2 高「(2BA) 31736×2
CCA C16 (8BA): 低「22955」×2 中「29689」×2 高「30095」×4
KZ AS10 (5BA): 低「22955」×1 中「29689」×1 中高「31005」×1 高「30095」×2
KZ AS06 (3BA): 低「22955」×1 中「29689」×1 高「31005」×1

となっており、8BAモデルでも「CCA C16」では中域・低域の構成は同じですが、高域ユニットにKZでは定番の「KZ 30095」を4基使用し手いるのに対し、「KZ AS16」では高域側で新たに「KZ 31736」ユニットが使用されている事が確認できます。この新しいユニットはメーカーの記載によると従来の「30095」と比較して歪み率を大きく軽減し安定した高域を実現しているようです。
KZ AS16KZ AS16
そして、「KZ AS16」では既存のKZ製マルチBAモデル同様に、BAユニットの音導経路が一体形成された樹脂製の内部パーツによりすべてのBAユニットを固定するシンプルな内部構造となっています。8BAの多ドラ構成でもフィルターではなくネットワークとドライバーの配置(音導経路の距離によるサウンドバランスの変化)を意識した内部設計となっていて、通常ならば最低でも数万円クラスの製品で採用されるようなコストのかかるチューニングを行っているのがわかります。
KZ AS16KZ AS16
しかしKZの場合は、すべて自社製BAを使用し、さらに一体形成された内部部品の採用により、組み立て時の歩留まりを向上させつつ安定した品質を確保する「工業製品」として大量生産を前提とした大幅なコストダウンを実現しています。これは実質的にハンドメイドが主流の一般的なマルチBAイヤホンと比べるとかなり特徴的といえるでしょう。これまで驚異的なコストパフォーマンスの低価格イヤホンを作り続けているKZだからこそできるアプローチといえますね。

KZ AS16KZ AS16

KZ AS16」の購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」にて。表示価格はAliExpressが125ドル、アマゾン(WTSUN Audio)が13,888円となっています。AliExpressのEasy Earphonesではオーダー時にフォロワー値引きを受けることが出来ると思います。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらを参照してください。
AliExpress(Easy Earphones): KZ AS16

またアマゾン(WTSUN Audio)では国内倉庫に在庫が無い場合はAliExpress同様に中国からの発送となりますが初期不良などアマゾン経由でのサポートが得られる安心感があります。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ AS16

現在WTSUN Audioでは 15% OFF のクーポンが配布されています。さらにEasy Earphonesより本レビュー読者向け 7% OFFクーポンコード8YTDYCXZ 」の提供をいただきました(2019年12月31日まで有効)。このコードは上記の15% OFFクーポンと併用可能ですので、実質 10,833円(3,055円引き)で購入可能です。この価格はかなり魅力的ですのでサポート面も含めてアマゾンで購入した方が間違いなく良さそうですね。


■クリアシェルにより見た目の印象が大きく変化。ファクトリービルドの安定した品質を実感。

KZ AS16」のパッケージは「KZ AS10」などの上位モデルで採用されている黒箱タイプ。パッケージ構成は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書、保証書といつもの最小構成です。
KZ AS16KZ AS16
KZ AS16KZ AS16

KZ AS16」のシェル形状は「KZ AS10」および「CCA C16」と同様ですが、ハウジング部分がクリアパーツを採用し、びっしり詰まったBAユニットやネットワーク基板が見えるデザインとアルミ合金製のステムとなったことで、見た目の印象はかなり変化しました。またコネクタ部分は「KZ ZSN」以降、「KZ ZS10 Pro」など最近のモデルでも採用されている「KZ タイプC」 2pinコネクタを採用しています。
KZ AS16KZ AS16
KZ AS16」の亜鉛合金製のフェイスプレートは「CCA C16」よりは僅かに薄いものの、8BAユニットの重さも含めかなり重量感を感じます。金属製のステムを採用したことで装着感は少し変化し、サイズも大きく、重量のあるハウジングながらイヤーピースで結構しっかり固定できるようになりました。
KZ AS16KZ AS16
イヤーピースについては毎度記載していますが、フィット感を向上させるために、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。


■新ドライバー採用でKZらしい中高域の明瞭感が大幅に向上。濃厚&フラット系の8BAサウンド

KZ AS16」の音質傾向はややフラット寄りのバランスで、「CCA C16」の傾向をかなり踏襲しつつ、中高域の明瞭感をより強調させた印象になっています。聴きやすく明瞭感のあるサウンドは最近のKZ製イヤホン「らしさ」を感じさせつつ、同時に8BAならではの解像感や音場感のある濃厚なサウンドに仕上げられており、1万円そこそこの製品としてはかなり完成度は高いと思います。
KZ AS16KZ AS16
「CCA」ブランドのイヤホンは全体的に各音域のつながりがよりナチュラルな印象で中低域は多少ウォームに感じる傾向があり、「KZ」の寒色系のドンシャリ傾向とキャラクター分けが行われている印象があります。先日レビューした4BA+1DDハイブリッドの「KZ ZS10 Pro」と「CCA C10」、また1BA+1DD構成の低価格モデル「KZ ZSN Pro」と「CCA CA4」などの比較でもこのようなブランドごとの違いはかなり明確に現れており、今回の「KZ AS16」と「CCA C16」においても同様の傾向が確認できました。しかし、「KZ AS16」は中音域と低音域を担うBAドライバーは共通なこともあり、「CCA C16」のボーカル等で非常に解像感と明瞭さをもちつつも少しカマボコ気味に聴こえるウォーム寄りの印象は「KZ AS16」でもそのまま感じます。
これが双方のイヤホンが「非常に近い音」と感じる理由かなと個人的には思いました。とはいえ、「KZ AS16」では高域のBAユニットが変更となり、寒色系のスッキリしたKZらしいキャラクターが良い意味で鮮明となったことにあわせて、低域はやや抑えられたチューニングとなっています。

KZ AS16KZ AS16」の高域は新たに作られたデュアルBAドライバーの「KZ 31736」を2基(合計4BA)搭載したことで、従来の「KZ 30095」と比べて非常にスッキリとした印象のまとまりのある高音となりました。刺さり等の刺激はある程度抑制されているものの伸びは良く、明瞭感も「CCA C16」より明らかに向上しています。「CCA C16」の高域では、単独では出力を上げたときの歪みが出やすい「KZ 30095」の傾向をドライバー数を増やし若干ウォーム寄りにすることでカバーし、バランスを取るアプローチを行っていました。いっぽうの「KZ AS16」では新たなBAユニットの採用で解像度が大幅に向上し、非常にタイトで1音1音の明瞭さを感じる高音になりました。良い意味で8BAらしくない煌めきのある綺麗な高音だと思います。
中音域は「CCA C16」同様に非常に解像感と音場感のある「濃い音」を鳴らします。アタックが小気味よく、音数の多い曲でもかなりしっかり捉えてくれるのはこの価格帯のイヤホンとしては驚異的。音場は比較的広く、自然な距離感で定位します。味付けはほぼ無いものの、ボーカルなどにややカマボコ的な厚みを感じるバランスが印象的です。
KZ AS16KZ AS16」のサウンドは、「ZS10 Pro」のようなハイブリッドならではキレの良さとはジャンルの違う音ですし、よりスッキリとした明瞭感を感じたい場合は3BAモデルの「KZ AS06」のほうが向いているかもしれません。しかし、8BAというリッチなドライバー構成でしかできない濃厚な音の重なりと余韻を気軽に楽しめるのは「KZ AS16」の醍醐味と言えるでしょう。
低域も非常に情報量が多く、沈み込みの深い厚みのあるサウンド。分離性が高くキレの良さを感じるのは特徴的。籠もることは全く無く、立ち上がりの早いコントロールされた低音はとても気持ちよく感じます。
KZ AS16」では量的には「CCA C16」より多少抑え気味になっており、全体的な印象として「KZ AS16」は、多少ドンシャリ感もあった「CCA C16」よりフラットな印象に変化しています。そのため「CCA C10」の低域ほうが聴き応えのあるサウンドに感じる方もいらっしゃるかも知れませんね。この辺は好みの要素が大きいところです。

KZ AS16なお、「KZ AS16」は従来のKZ製イヤホン同様に、8BAという「多ドラ構成」ながらスマートフォンでもそれなりに使えるようなチューニングになっています。またイヤホン本体のポテンシャルも非常に高く、ある程度のグレードでのリケーブル効果も実感しやすいイヤホンだと思います。
しかし、インピーダンス 15Ω、感度105dB/mWと結構鳴りやすい傾向のため、スマートフォンやノイズが出やすい低価格なDAP等ではリケーブルによりホワイトノイズが発生しやすい傾向もありますので、これまでマルチBA構成のイヤホンをあまり購入したことの無い方は注意が必要です。また、もしもスマートフォン直挿しで使っている方がいらっしゃれば、これを機会にカスタムIEMにも対応するようなDAC(有線/無線)の併用や、より高音質なDAPへの乗換えも検討されることを強くお勧めします。

KZ AS16」も「KZ タイプC」コネクタを採用しているため、KZ純正のアップグレードケーブルや、「YYX4829 Yinyoo Topaz用アップグレードケーブル」などがまずは候補にあがりますが、中華2pin仕様のケーブルもそのまま使用できます(コネクタ部分の破損が心配な場合はコネクタシールドの併用もおすすめ)。 
KZ AS16KZ AS16
KZ AS16」のポテンシャルを発揮させるためには、やはり16芯ケーブル(銀メッキ線「YYX4745」「HiF4827/HiF4828」、ミックス線「YYX4807」)は定番としてお勧めです。かなりイヤホンへの情報量が向上するため、音量が1まわり大きくなり、全体的な明瞭感や分離性が向上するのが実感できます。さらに高純度単結晶銅線(OCC)ケーブルの人気製品「YYX4810」も同様にお勧めです。「KZ AS16」のキレの良さやアタックの気持ちよさが向上するのが実感できると思います。


というわけで、「KZ AS16」は「CCA C16」と非常によく似た特性をもちつつ、よりフラット寄りでスッキリした印象のサウンドにアップデートされていました。8BAらしさ、リスニングの楽しさの点で「CCA C16」のほうが好みという方もいらっしゃると思いますが、個人的には「KZ AS16」のチューニングはかなり好みの仕上がりでした。またデザインや装着性面でもグレードアップ感があるのは好印象ですね。KZの製品とは言え、すでに「低価格」とはいえない価格帯になってきたモデルではあるものの、8BAのリッチなサウンドを手軽に楽しめるイヤホンとして「KZ AS16」および「CCA C16」は非常に優れた存在だと思います。すでにKZのハイブリッド製品をいろいろ体験している方のアップグレードとしてもチャレンジして損は無い製品だと思いますよ(^^)。


「TFZ SERIES 7」 4BA+1DDの同社初ハイブリッド仕様によるパワフルなTFZサウンド。満を持して登場した「SERIES」ライン最上位モデル【購入レビュー】

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TFZ SERIES 7

こんにちは。今回紹介するのは「TFZ SERIES 7」です。個人的な好みもあって私のブログでもすっかりお馴染みになっている中国のイヤホンブランド「TFZ」ですが、「TFZ SERIES 7」はTFZとしては初めて手がけたハイブリッド仕様のモデルになります。第3世代ドライバーをシングルで搭載した「KING III」と同じデザインの金属製ハウジングに4BA+1DDの5ドライバーを搭載し、価格的にもこれまで紹介したTFZ製品のなかでも最も高額な設定になっています。

音質傾向としてはいかにもTFZらしい寒色系のドンシャリでキレのある硬質なサウンドにBAドライバーならではの解像感がプラスされた濃いめのサウンドが特徴的です。以前紹介した3BAモデルの「SECRET GARDEN 3」は個人的にはあまり好みの音ではなかったのですが、今回のBAユニットの使い方は比較的良好で、バランスの良い仕上がりになっていると感じます。
TFZ SERIES 7  TFZ SERIES 7

「TFZ」では初期の製品である「SERIES 1 / 3 / 5」をはじめ、もともとは「SERIES」と名前が付いた製品ラインを中核に置いていました。そのため上位モデルとなる「SERIES 7」という名称はかなり早い段階(EXCLUSIVE KINGの発売より以前)から製品化が予告されていました。そして、紆余曲折を経て、おそらく初期の計画とは全く内容の異なる製品として「本当に発売された」のが今回の「TFZ SERIES 7」なわけです。
TFZは「EXCLUSIVE」ラインや「TEQUILA」「QUEEN」「SECRET GARDEN」「NO.3」と新たな名称を与えるたびに音作りの方向性を微妙に、場合によっては大幅な変化を加えてきまして。そんななかで、TFZとしては初めてのアプローチとなるハイブリッド構成モデルで伝統的な「SERIES」ラインの、しかもフラグシップ用として長年温めていた「SERIES 7」を当てたことからも、「TFZ SERIES 7」はあえて同社にとってスタンダードな「TFZらしい」音作りを目指した製品であることが伺えます。

TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7
TFZ SERIES 7」で採用されているドライバーは、ダイナミック部分にTFZではお馴染みの「二重磁気回路/デュアルコイル」ドライバーで、仕様的には「KING PRO」や「SECRET GARDEN」と同じ「第2.5世代」のユニットが使用されていると考えられます。また組み合わされるBA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーはすべてKnowles社製で「TWFK-30017-P183」と「SWFK-31736-000」をそれぞれ2基ずつ、合計4BAが搭載されます。「TFZ SERIES 7」はこれらのハイブリッド構成によりインピーダンス17Ω、感度109dB/mWという仕様になっています。

TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7
本体カラーはシルバーの1色のみ。ステム部分は新たにアルミ合金製となっているものの、銀色の金属製シェルは「KING III」色違いのデザインで、ハウジング形状も「SERIES」および「KING」各ラインナップの伝統的なサイズ感を維持しています。「TFZ SERIES 7」はAliExpressや香港Penon Audioの直営ストアでは 359ドル で販売されています。
AliExpress: TFZ SERIES 7 TFZ Official Store / Penon Audio
Penon Audio(直営店): TFZ SERIES 7

また、米国の共同購入サイト「Drop」(旧名称Massdrop)では最近の募集価格は 250ドル(+送料4.19ドル)となっており、私はこれより少し高かったですが以前の募集時に購入しました。Dropの場合、募集を終了すると次回の有無も含め未定ですし、次回募集時も同額とは限らないうえ、オーダー後届くまでに2ヶ月以上かかる場合もありますのであらかじめ考慮しておく必要があります。
もし「Drop」で購入を検討される場合、募集中なら「○ days left」と終了までの日数が表示されていますのでその期間中にオーダーをおこなってください。また多くの場合、募集を終了しているとおもいますので、その場合も「Request」をしておくと良いでしょう。 ※リクエストしておくと募集開始時に通知のメールが届きます。
Drop(旧Massdrop): TFZ SERIES 7


■「SERIES」ラインを踏襲したデザインで手堅くまとめられた金属製ハウジング

TFZ SERIES 7」のパッケージは上位モデルらしく、「SECRET GARDEN」同様のキューブ型のボックスで届きました。このボックスの場合、いつもの布製のポーチではなく樹脂製のハードケースが同梱されている点もSECRET GARDENと同様です。
TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7
パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(2種類、各S/M/Lサイズ+本体装着済みMサイズ)、ハードケース、説明書。
TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7

本体はサイトの写真通り「KING III」の色違いという内容でシェルのサイズ、材質、フェイスプレートのデザインなどは同一です。興味深いのはベント(空気孔)の位置も同じであることから、内部のダイナミックドライバーの配置も全く同じだろうということが想像できますね。ただメッキ仕上げのアルミ合金製のステム部分については「KING III」よりひとまわり太くなっています。ステム直下に4BAを搭載している仕様に基づく相違点だと思われます。
TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7

ケーブルは「NO.3」と同じ白い樹脂被膜の銀メッキ線ケーブルが付属します。価格を考えると「NO.3 Ti」のようにアップグレードされた専用のケーブルが付いていても良さそうなものですが、「TFZ SERIES 7」ではドライバーまわりでコストがかさんでいる、ということなのでしょう。リケーブルについては想定しておいた方が良さそうです。
TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7
シェル形状は「KING PRO」などこれまでのTFZ製イヤホンと基本的には同一ですので、他のモデルで装着性に問題が無ければ「TFZ SERIES 7」も大丈夫だと思います。ただ、ハイブリッド化によりステムが太くなっている点と、もともと大きめのハウジングのため耳の小さい方はAcoustuneの「AET06」などのダブルフランジのイヤーピースを合わせるのが良いと思います。その他よりフィット感を向上させるために、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします(今回私は「SednaEarfit Light」を使用しました)。


■パワフルな低音とハイブリッドらしい解像度の高い中高域を「TFZらしい」サウンドバランスで。

TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7」の音質傾向は「SERIES」という伝統的な名称からも分るように寒色系のドンシャリで、厚みのある低域が「いかにもTFZ」と感じるサウンドです。いっぽう、中高域については第2世代(「KING」や「T2 Galaxy」など)、第2.5世代(「KING PRO」や「SECRET GARDEN」など)、第3世代(「NO.3」など)の各シングルダイナミック搭載モデルとは異なる、1音1音を精緻に捉えるような解像感はマルチBA化による恩恵といえるでしょう。以前レビューした3BAモデルの「SECRET GARDEN 3」は側面のスイッチによる特定の音のモニターに特化したような、リスニングイヤホンとしてはかなり偏った仕様のイヤホンでしたが、今回の「TFZ SERIES 7」では、ハイブリッド化により各音域の特徴を活かしつつ、よりドンシャリ傾向を強くしたTFZらしいリスニングイヤホンとしてのバランスに仕上げられています。

高域は「TFZ SERIES 7」ではデュアルBAの「SWFK-31736」が採用されていますが、良くコントロールされている印象で、BAらしい粒立ちのよい解像感と伸びの良さをもちつつ、「SECRET GARDEN 3」と比べても刺激は抑制された聴きやすいチューニングとなっています。「NO.3」や「NO.3 Ti」の鮮やかさとは異なるものの、明るく明瞭感のあるスッキリ目の印象です。「NO.3」や「KING III」等とくらべ低域がより分厚く前に出るバランスのため、曲によっては少し下がって定位しますが、しっかりとした存在感があり、埋もれるような印象はありません。

TFZ SERIES 7中音域は僅かに凹みますが比較的近くで定位し、非常に解像度の高い音を鳴らします。音場は普通からやや狭い印象。高域同様に明るく明瞭感のある音で、ボーカルもスッキリで伸びの良い音を鳴らします。分厚い低域に被ること無く存在感があり、ハイトーンも綺麗に伸びてくれる印象はとても気持ちよいですね。やたら籠りがちだった「QUEEN」やちょっと中高域が下がる傾向にある「MY LOVE 3」など、最近のTFZの低域重視のモデルはボーカルなど中音域の印象が今ひとつなモデルが多いのですが、「TFZ SERIES 7」ではハイブリッド化により明瞭感とともにしっかりとしたした主張を感じる印象となりました。結果的にちょっと派手めの印象に感じる部分はありますが、極端に人工的な印象ではなく、聴きやすく下品にならない程度の質の良さにまとめられています。

低域は量的にはかなり分厚く、硬質な塊のような力強い音を鳴らします。「TFZ SERIES 7」では第1世代の「SERIES 5」や第2世代の「EXCLUSIVE KING」を彷彿とさせる、非常にパワフルな音です。量的にはややフラット寄りの「KING PRO」「KING III」などの第2.5世代、第3世代のKINGラインより大幅に多く、中低域の印象で「TFZ SERIES 7」のサウンドを気に入る方もかなり多いのではと思います。
TFZ SERIES 7ちなみに、「SERIES5」や「EXCLUSIVE KING」など、比較的初期モデルの低音の場合、量感と力強さと立ち上がりが早くキレの良い印象を両立しているいっぽうで重低音の沈み込みがすこし浅かったり、ベースラインに粗さがあったりと多少の限界も感じました。しかし、「TFZ SERIES 7」の低域ではこの辺の質が確実に向上しており、重低音の沈み込みや解像度の高さも含め、従来モデルのTFZ製品と比較しても完成度の高い低音だと思います。いっぽうで、これまでの「TFZらしさ」とは異なるアプローチで自然な音場感をもった広さを感じる低音を実現した「NO.3」やより印象が強化された「NO.3 Ti」とは全くキャラクターが異なる音のため、どちらが良いと言うより「好みによって意見が分かれる」要素になるのではと思います。


そして、「TFZ SERIES 7」では「NO.3」(標準モデル)と同じ、樹脂被膜の銀メッキ線ケーブルが付属しますが、350ドル以上の価格設定を考えても、本体に見合ったリケーブルを考えたいところです。「TFZ SERIES 7」では私のブログでは最近定番化している16芯線ケーブルをはじめ、できればよりハイグレードなOCC線を組み合わせたいところです。お勧めのケーブルは、16芯線では「HiFiHear HiF4827/HiF4828」、OCC線では定番の「Yinyoo YYX4810」または「NICEHCK DJY3」、さらに8芯OCC銀メッキ線の「Kinboofi KBF4804」などです。
TFZ SERIES 7TFZ SERIES 7
できればよりハイグレードなOCCミックス線「KBF4805」「NICEHCK DJY1」や、金銀合金OFC(シルバーカラー)の「KBF4815」なども費用が見合えば是非とも挑戦してほしいケーブルですね。リケーブルにより、明瞭感が向上した印象に変化しますが、特に「KBF4804」では中高域の主張が向上し全体的により濃い印象のバランスに変化します。さらに「KBF4805」では解像感が向上し、「KBF4815」では全体的によりスッキリした印象に変化します。

というわけで、「TFZ SERIES 7」は価格的には少し割高な印象は否めないものの、全体的な完成度は高く、TFZが作った最初のハイブリッドとしても、同社のハイグレードモデルとしても価格に見合った音質のイヤホンだと感じました。価格的に300ドルの「NO.3 Ti」とすこし被る部分があり、さらに同様な構成のハイブリッド製品も増えてきていることもあり、いまいひとつ地味な存在になっていますが、例えば「LZ A5」「LZ A6」と同等グレードの価格帯で、パワフルな低音域とより聴きやすい高域の製品をイメージされる場合などは挑戦してみるのも面白いかも知れませんね。



プロフィール(Twitterアカウント)
カフェで息抜きにイヤホンとかのブログ書いてます。気付けばアラフィフの酔っ払い(定期)。食べるのも好きな天秤座AB型。普段はIT屋で都内と自宅(鯖江)のある福井ほかあちこち出張するお仕事してます。ポタオデは趣味で出張のお供。長年のPC(?)遍歴にApple IIc とNeXTstation があるのがプチ自慢(^^;
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