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イヤホン・ポータブルオーディオ関係のネタを中心に書いています。ガジェット好きのおっさんによる、趣味的レビュー。

「SIMGOT MEETURE MT3 PRO」 美しいデザインとボーカル寄りの絶妙チューニングに魅せられる、アンダー1万円の高音質1DDイヤホン【レビュー】

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SIMGOT MEETURE MT3 PRO

こんにちは。今回は「SIMGOT MEETURE MT3 PRO」の紹介です。中国のイヤホンブランド「SIMGOT」の最新モデルで、クリアシェルが美しいシングルダイナミックドライバーのエントリーモデルになります。日本では2020年2月1日より発売となりました。今回はSIMGOT JAPANさんより発売直前に提供いただいた製品サンプルを元にレビューしたいと思います。
製品情報: SIMGOT JAPAN/SIMGOT MEETURE MT3 PRO

SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO
MEETURE MT3 PRO」はSIMGOTを代表する大人気モデル「EN700 PRO」で採用されていた10mm 高分子チタン複合振動板ダイナミックドライバーを採用し、従来同様にドライバーの位置やサイズなども緻密に計算されたクリアな樹脂製シェルとアルミ合金製のステムノズルを採用することで美しいデザインと音質面での高いコストパフォーマンスを実現した製品です。
SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO
SIMGOTを代表する、といってもよいこのダイナミックドライバーはパラレル仕様の1BA+1DDハイブリッドの「SIMGOT EM2」でも採用されていますが、やはりシングルダイナミック製品を待ち望んだ方は多いのではないかと思います。

SIMGOT EN700 PROSIMGOT EM2SIMGOT MEETURE MT3 PRO
なお、ベースとなる「MEETURE MT3」では海外では少し前から販売されていましたが、日本仕様の「MEETURE MT3 PRO」では付属ケーブルで「4芯 OCC(高純度単結晶銅)+ SPC(銀メッキ銅)ミックス線ケーブル」を採用しています(海外版の「MT3」は4芯OFC銅線ケーブルが付属)。このミックス線ケーブルは3BAモデルの「SIMGOT EK3」(日本版を含む海外仕様)でも採用されているよりハイグレードなもので、日本版は同様にミックス線ケーブルが付属する「EN700 PRO」にも準じた仕様といえるかもしれませんね。

SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO

日本仕様の「SIMGOT MEETURE MT3 PRO」の販売価格は 7,800円(税込み)で、アマゾンの直営店ほか主要なショップで購入が可能です。カラーバリエーションは「ピンク」「グリーン」「クリア(透明)」「クリアブラック」の4色が選べます。上記の海外版「MT3」(PROじゃないほう)が75.99ドルということを考えると「お買い得度」は一層高く、かなり日本市場を意識した価格設定であることが伺えますね。
Amazon.co.jp(SIMGOT JAPAN): SIMGOT MEETURE MT3 PRO


■ 美しく、より多くのユーザーに受け入れやすいデザインと高い装着性

SIMGOTの製品のなかでは比較的エントリークラスに相当する「MEETURE MT3 PRO」ですが、パッケージデザインは「MEETURE」シリーズのよりクールながら親しみやすさを彷彿とさせるシンプルなデザインです。
SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO

パッケージ内容は、イヤホン本体、OCC+SPC仕様のケーブル、イヤピースは今回も「Eartip1」「Eartip2」の2タイプのものが各S/M/Lサイズ、少し大きめサイズのポーチ、説明書、保証書など。
SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO

MEETURE MT3 PRO」のシェルデザインは淡いクリアカラーの樹脂製でフェイス部分に金属製のプレートがデザインされており、さらにステム部分は酸化アルミニウム合金の金属製ノズルが装着されています。シンプルなデザインながら安っぽさは一切無く、とても美しいデザインにまとめられています。EN700シリーズなど同社の多少個性的なデザインとは方向性が異なりますが、マニアだけでなくライトユーザーも含めて多くの人が受け入れやすいアプローチはとても好感が持てます。
SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO
サイズ的にはTFZやKZなどの製品とよく似ていて、「EM2」などのハイブリッド製品よりはひとまわり大きくなっています。しかし形状のアレンジにより装着性はTFZなどより「MEETURE MT3 PRO」のほうが高い印象です。また「MEETURE MT3 PRO」のコネクタ部分はqdcコネクタと形状的に互換性のある0.78mm 2pin仕様を採用しています。
SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO

そして前述の通り、日本版の「MEETURE MT3 PRO」では「4芯 OCC+SPC複合線ケーブル」が付属します。これは「SIMGOT EK3」に付属するケーブルと同じ線材で、「SIMGOT EM2」に付属するSPC(銀メッキ線)ケーブルよりグレードの高いものです。適度に弾力があり取り回しは良好で、コネクタなどで使われる高級感を感じる部品がちょっとしたアクセントになっています。
SIMGOT MEETURE MT3 PROSIMGOT MEETURE MT3 PRO
イヤーピースは開口部の広い「Eartip1」と狭くやや低域強調になる「Eartip2」があります。こちらも通常は「Eartip1」のほうで合せる方が中高域が綺麗に出ますが、より低域に厚みが欲しい場合は「Eartip2」を選ぶと良いでしょう。他にも定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が大きいタイプの製品でよりフィット感を高めるのも良いと思います。


■ ボーカル帯域に特化したチューニングで高い完成度を実現

SIMGOT MEETURE MT3 PRO」の音質傾向は同じシングルダイナミック仕様の「EN700シリーズ」を彷彿とさせるサウンドですが、アルミ製ハウジングの「EN700 PRO」などと比べてよりウォームな印象でボーカル帯域にフォーカスしたチューニングに仕上げられているようです。シングルダイナミック仕様ということも有り、開封直後より50~100時間程度のエージングを行うことで本来のサウンドを実感できます。
SIMGOT MEETURE MT3 PROシングルドライバーらしい各音域のつながりの良い自然なサウンドで、音場は決して広くはありませんが、近くで定位しつつも適度に広がり奥行きも感じる立体的なサウンドがとても心地良く感じられます。高域は煌めきのあるサウンドを維持しつつも刺激を抑えたチューニングで、低域は十分な厚みをもちつつ弾むような印象で非常にリスニングが楽しくなるサウンド。
曲によっては高域にもう少しスッキリ感が欲しい場合もありますが、やや派手ぎみに振っていた「SIMGOT EM2」とはまた異なるアレンジで、「MEETURE MT3 PRO」はロック、ポップスなどのボーカル曲を中心にSIMGOTらしい音作りの上手さを感じる仕上がりです。

MEETURE MT3 PRO」の高域は、適度な煌めきと伸びのある音ですが、「EN700 PRO」などと比べると比較的抑えめな印象。アンダー1万円クラスのシングルダイナミックやハイブリッドなどと比べても十分に解像度は高く、かといって過度な硬質感もない自然な音でスッと伸びていく印象。シンバルなども近すぎず適度な距離感で綺麗に鳴ります。
ただし音数の多い音源ではちょっとフォーカスが緩く感じる箇所があります。「EN700 PRO」はもともと刺さる音源ならある程度原音に忠実な刺激を感じることがありましたが、「MEETURE MT3 PRO」では歯擦音などは感じないようにコントロールされいるようです。そのためEN700シリーズの精緻さを感じる明瞭さと比べるとスッキリ感に違いがあり、この辺は「EN700 PRO」と使い分けのポイントかもしれませんね。

SIMGOT MEETURE MT3 PRO中音域は「MEETURE MT3 PRO」の「美味しさ」をもっとも堪能できる音域で、味付けの無いフラットなサウンドながら、非常に存在感のある、いかにもSIMGOTらしい「濃い音」です。適度に暖かさと柔らかさを感じる自然なサウンドながら解像度は比較的高く、余韻も含めて厚みを感じることができます。ただEN700シリーズにもいえることですが、ややゆったりした感じの鳴り方をするイヤホンのため、音数が多くスピード感のある音源では少しごちゃつく場合もあります。
ボーカル帯域は耳元に近い位置で定位しますので音場そのものはそれほど広くありません。しかし自然な広がりと折り重なるような奥行きのあるサウンドでより臨場感や実在感の強い立体的な印象は、この価格帯の製品としては出色の出来と言って良いのではと思います。SIMGOTの音作りの上手さは以前から定評がありますが、「MEETURE MT3 PRO」では男性・女性を問わずボーカルの実在感をとても上手く表現したイヤホンだと思います。また同様にギターやピアノなども綺麗に鳴るので実はインストゥルメンタルも結構楽しめたりします。

そして「MEETURE MT3 PRO」の低域は同製品の個性をもっとも感じる音域で、「EN700 BASS」など同社の中低域メインの既存製品とも全く異なるキャラクターが与えられています。「EN700 BASS」では重量感のある低音がしっかりと鳴るイメージでしたが、「MEETURE MT3 PRO」ではミッドベースを中心にパワフルさとともに弾力があり、非常に元気に鳴ってくれる印象です。そのためロックやポップスの低音と非常に相性が良く、曲のより楽しく聴かせてくれる印象です。いっぽう重低音の沈み込みも良好でこのクラスの製品としては結構優秀だと思います。

SIMGOT MEETURE MT3 PROMEETURE MT3 PRO」は、全体としてはロック、ポップス、アニソンなど、またはこれらのジャンルのライブ音源などでは非常に相性が良く、これらをメインに聴かれる方を狙い撃ちしてチューニングされた製品だと感じます。ターゲットを明確にフォーカスし、デザインおよび音質面でライトユーザーも含めより多くの人に受け入れられやすい製品とすることで、アンダー1万円クラスながら非常に高い完成度を実現していると感じます。
いっぽうで、よりフラット傾向でモニター的なキャラクターが与えられている「EN700 PRO」と比べると、「MEETURE MT3 PRO」はボーカル帯域を中心とした聴きやすいアレンジに仕上げられているものの、中高域から高域のレンジでの抜け感やスッキリ感には差があります。これは「EN700シリーズ」で採用されている金属製ハウジングなどアプローチの違いでもあり、同じドライバーを採用していても結構違いは感じます。またやや派手めのアレンジになっているハイブリッドの「EM2」と比べると「MEETURE MT3 PRO」のほうがより穏やかでウォームさがあり中低域の厚みを感じる印象です。いっぽうで、どちらの製品と比較しても「MEETURE MT3 PRO」のほうが聴き疲れはしにくく、長時間のリスニングでも心地よく楽しめる点は特徴といえるでしょう(出張の際に新幹線の長時間の移動でずっと聴いていましたがとても快適に利用できました)。


SIMGOT MEETURE MT3 PROというわけで、「SIMGOT MEETURE MT3 PRO」は比較的低価格な設定ながらSIMGOTらしい聴かせどころを心得たチューニングで、特にポップスをはじめとする多くのジャンルのボーカル曲を中心に楽しめるチューニングとなっていました。また日本仕様でミックス線ケーブルを採用することで全体的な明瞭感が向上している点もポイントですね。
また、リケーブルでは「EM2」「EK3」同様に、最近中華ケーブルで選択肢が増えている「qdc 2pinコネクタ」仕様のものがぴったり装着できますので、バランス化やより情報量が多く中高域の変化の強いケーブルに替えてみるなどアレンジを楽しむのも良いと思います(もちろん通常の中華2pinも使用可能です)。
このように「SIMGOT MEETURE MT3 PRO」はアンダー1万円クラスのリスニングイヤホンとして十分に良さを実感できる完成度の高さで、今回も幅広くお勧めできる製品だと思います。バランスが良く聴き疲れしにくいサウンドと装着性も良く美しいデザインなど、非常に使い勝手の良い製品ですので、普段使いのアイテムとして、より多くの方にぜひとも体験していただきたいですね(^^)。


「KZ S1D」(1DD)/「KZ S1」(1BA+1DD) 高音質で驚きの低価格のエントリーモデル。遂に本気を出したKZの完全ワイヤレス(TWS)イヤホン【レビュー】

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KZ S1 / S1D

こんにちは。今回は「KZ S1D」「KZ S1」 の紹介です。低価格中華イヤホンの代表的ブランド「KZ」(Knowledge Zenith)がリリースした最新の完全ワイヤレス(TWS)で、20ドル台の低価格ながら基本性能を押さえつつ、有線イヤホンでも定評のある高音質を実現した、中華イヤホンの世界でも価格破壊を繰り返したKZならではの脅威のハイコストパフォーマンスなエントリーモデルになります。

同時に2つのグレードのモデルをリリースしており、「KZ S1D」はシングルダイナミックドライバーを搭載したモデル、そして「KZ S1」は1BA+1DDのハイブリッド構成となります。また「KZ S1D」が「ブラック」「ホワイト」の2色で、「KZ S1」は「グレー」と「グリーン」の2色とモデルによって選択できるカラーが異なります。

KZ S1DKZ S1 / S1D

以前にもKZでは2種類のTWSを販売しており、私のブログでもレビューをしていますが、どちらも既に販売を終了しています。これらの過去モデル「KZ T1」と「KZ E10」は、内容としては今回の「KZ S1D」「KZ S1」に向けた「開発バージョン」という見方もできます。実際最初に発売された「KZ T1」は仕様的には「KZ S1」に似ていますが、「開発バージョンの限定販売モデル」という位置づけで、内容的にはKZ製ハイブリッドをTWSメーカーの「mifo」のユニットに納めた製品でした。
KZ T1KZ E10KZ E10
その後、TWSとしては驚異的な「4BA+1DD」構成を搭載した「KZ E10」がリリースされますが、音質的には同社の有線4BA+1DDモデル「KZ ZS10 Pro」に近いクオリティを実現しつつも、自社製のワイヤレス機構に大きな難があり、ペアリング機構を充電ケース側に持たせたり、街中では左右のTWSペアリングが頻繁に切れるなど、なかなか厳しい評価をせざるを得ない製品でした。
→ 過去記事(一覧): KZ製ワイヤレス製品のレビュー

KZ S1DKZ S1
しかし、今回の「KZ S1D」「KZ S1」ではこれらの製品で得た経験をフィードバックして、多くの中華TWS製品と遜色ない製品クオリティを実現しつつ、KZらしいクオリティの高いサウンドを「低コスト」で実現しているようです。ワイヤレス性能としてはBluetooth 5.0とAACコーデックに対応しています。連続バッテリ稼働時間が3時間とやや短いですがケースでは数回分の充電が可能なため価格を考えれば問題は少ないでしょう。ただし防水性能については記載がありませんのでご注意ください。

搭載ドライバー(S1) 1BA+1DD  /  (S1D) 1DD
Bluetooth5.0
コーデックAAC / SBC
連続駆動時間~3時間
ケース待機時間~100時間
バッテリ容量40mAh (片側)、300mAh (ケース)
接続距離20m
充電コネクタUSB Type-C
重量(本体) 10g、(ケース) 45g
KZ S1D」「KZ S1」ではTWS用に開発されたKZ製の「Small Steel Gun」フルレンジ・ダイナミックドライバーが搭載されています。さらにハイブリッドモデルの「KZ S1」高域用にKZ製イヤホンではお馴染みの高域用ツィーター「KZ 30095」バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを搭載。どちらもワイヤレス回路と一体化したネットワーク基板により制御されています。
KZ S1 / S1DKZ S1KZ S1 / S1D

KZ S1D」および「KZ S1」の購入はAliExpressまたはアマゾンの各セラーにて。私はいつもお世話になっているAliExpressのEasy Earphonesでオーダーしました。表示価格は「KZ S1D」が 20.40ドル、「KZ S1」が 23.31ドル です。Aliexpressでの購入方法などについてはこちらを参照ください。
AliExpress(Easy Earphones): KZ S1D / KZ S1 TWS

またアマゾンのWTSUN Audioでも現時点で「KZ S1D」のほうはプライム扱いで購入できるようです。国内倉庫からの発送で、万が一の場合にアマゾン経由でのサポートが受けられる点はメリットですね。「KZ S1D」のアマゾンの表示価格は 3,200円となっています。※現在WTSUN Audioでは10%OFFのクーポンを配付中です。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ S1D

また中国からの発送となるようですが、「KZ S1」を取り扱っているショップもありました。「KZ S1」のアマゾン表示価格は 3,980円でした。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): KZ S1 / S1D ※S1はグレーのみ
Amazon.co.jp(Geek Audio-JP): KZ S1 / S1D


■ 本体デザインは「KZ T1」を踏襲。小型充電ケースも含め使い勝手もようやく実用レベルに。

KZ S1D」および「KZ S1」のパッケージは白箱タイプですが、箱自体は新たにデザインされたもの。内容は本体、ケース、イヤーピース(S/M/L)、充電ケーブル、説明書、保証書。毎度ながらの最小限の構成となっています。
KZ S1 / S1DKZ S1 / S1D
KZ S1 / S1DKZ S1

同じ1BA+1DDモデルの「KZ T1」は充電ケースなどのワイヤレス機構部分をmifoが作っていたため重厚な金属製でしたが、今回の「KZ S1D」「KZ S1」はコンパクトなプラスチック製。ケース重量も45gと非常に軽量にまとめられてます。本体も含めカラーによってはプラスチック感が目立つため、多少安っぽく感じますが(まあ、実際かなり安いですので^^;)、作り自体はしっかりしています。なお、ケース充電中のインジケーターはケース外側には無く、ふたを開けないと分からない仕様です。
KZ S1 / S1DKZ S1D
イヤホン本体も10gと非常に軽量で、TWSとしてはやや大きいハウジングサイズですが、装着性自体はとても良好です。ただし「KZ E10」同様に、ケースのイヤーピース部分の「空洞」が小さく、付属のイヤーピース以外を使う場合は注意が必要です。TWS用で販売されている浅いタイプのイヤーピースは割と使えそうですが、有線イヤホン用のものは入らないもののほうが多いと思います。本体のLEDはフェイスパネルの下側です。
KZ S1KZ S1

また、既存モデルの「KZ T1」および「KZ E10」と比較するとフェイス部分の形状は3モデルとも同じで、アンテナ部をイヤーフック上に伸ばしている「KZ E10」のみハウジング部分も異なる形状となっています。
KZ S1KZ S1
KZ S1KZ S1
いっぽうで「KZ T1」と「KZ S1D」「KZ S1」はシェル形状もほぼ同じです(フェイス部分のLEDの位置が異なるくらい)。実質的に「KZ S1D」「KZ S1」は「KZ T1」をベースにした「量産モデル」と考えて良さそうです。また本体側面にスリット上のベント(空気孔)がありますが、音漏れはほとんど無く、混雑した電車内でも大丈夫でした。


■ ようやく登場した本気の普及モデル。低コストながらKZらしいサウンドを実現。

KZ S1D」および「KZ S1」の音質傾向は、KZらしい明瞭感のある弱ドンシャリ傾向で、一般的な1万円以下の中華TWSと比べるとかなり見通しの良いスッキリしたサウンドに感じるのではと思います。TWSながら同価格帯の最近の中華ハイブリッド(有線イヤホン)とも十分に比較できるサウンドを実現している点は「さすが」という感じです。
KZ S1 / S1DKZ S1D」と「KZ S1」の比較では、シングルダイナミックの「KZ S1D」のほうが少し中音域、特にボーカル帯域がメインのチューニングになっており、多くの人が聴きやすく感じるサウンドバランスになっています。いっぽう、ハイブリッドの「KZ S1」のほうはより中高域に明瞭感があり、抜けが良くスッキリした高音が楽しめます。そのため「KZ S1」のほうが多少解像感のある音に感じるでしょう。そのため普段あまりイヤホンを使わない方は「KZ S1」は少し聴き疲れしやすくなる可能性もあり、「KZ S1D」のほうが馴染みやすく感じるかもしれませんね。両者はグレードというより同じ系統のサウンドながらターゲットに合わせたクラス分けという感じです。

KZ S1D」「KZ S1」どちらもフェイス部分はタッチセンサーとなっていて、基本的な操作が可能です。感度は敏感すぎず実用的です。また以下の記載とは別にカメラアプリ起動時は1回タッチによりシャッターを切ることもできます。さらに、「KZ S1」のみ遅延(レイテンシー)を抑える「ゲームモード」をサポートします。いわゆる低遅延モードですね。普段使いでは通常モードでも遅延はさほど気になりませんが、音ゲーなどでは結構有効だと思います。ただし、ゲームモードでの音質変化(特に街中など電波状況の厳しい場所)やバッテリの消費の違いはもう少し試してみる必要がありそうです。

再生/停止1回タッチ(左右どちらか)
曲戻し左側 2回タッチ
曲送り右側 2回タッチ
受話・終話着信時1回タッチ(左右どちらか) 
着信拒否着信時長押し(左右どちらか)
音声アシスタント左右どちらかを2秒長押し 
ゲームモード[S1のみ] 3回タッチ(左右どちらか)
手動オン/オフ左右どちらかを3秒長押し
電源オン/オフ充電ケースから出す/戻す 
KZ S1D」「KZ S1」はAACコーデックまでの対応ですが、接続性は非常に良く、「KZ E10」での音切れの多さがまるで嘘のように快適に使用できます。混雑した都心の駅で数回途切れることがありましたが、ほとんどの場合で音質低下も無く、非常に快適に利用できました。ワイヤレスイヤホンとしての部分はこの価格帯のイヤホンとしては「かなり優秀な部類」まで向上していると感じました。

【 KZ S1D 】
KZ S1D」の高域は伸びよい明るめの音で鳴ります。アマゾンなどで多く売られている低価格の中華TWSは低域強調タイプのイヤホンが多く、高域は曇りがちなものが多くあります。いっぽうの「KZ S1D」はこのような籠りのない非常にスッキリとした印象で、女性ボーカルのハイトーンなども綺麗に鳴ります。またやや硬質な印象ながら適度なキラキラ感があり、シンバル音も明瞭感があります。刺さりなどの刺激は無く、とても聴きやすい高音です。
KZ S1D中音域はや硬質な「KZらしい」寒色系の音ですが、ボーカル帯域に厚みを感じるバランスで明瞭な音です。他の低価格中華TWSに慣れていると、驚くほどクリアでスッキリした印象に感じるかも知れませんね。過度な味付けはなく男性、女性どちらのボーカル帯域も綺麗に鳴らします。同時に適度な広がりがあり心地よい音場感を感じます。
低音域は比較的力強い印象の音ですが、歯切れの良い鳴り方をします。中高域との分離感は非常に良く籠りを感じることは全くありません。沈み込みも良好で厚みのある音を鳴らします。とても明瞭感のある音ですが重低音の表現は多少軽め。とはいえ、過度に響きが強く量だけ多いだけというワイヤレス製品も多い中での比較では格段の差で、十分にリスニングイヤホンとして通用するレベルの低音にまとまっていると思います。

【 KZ S1】
KZ S1」の高域はある程度の主張のある明瞭でスッキリしたサウンドです。「KZ S1D」よりさらに明瞭感がアップしており、より見通しの良い音です。ハイハットなどののシンバル音のような煌びやかな音も鮮やかな音で鳴らしてくれます。刺さりやすい帯域の音は適度にコントロールされており、同様に聴きやすい音になっていますが、音源に合わせて適度な刺激はちゃんと表現してくれる印象です。
KZ S1中音域は「KZ S1D」よりさらにキレのある明瞭な音を鳴らします。ドンシャリ傾向のため曲によっては低域の厚みのため少し凹みを感じる場合もありますが、最近の「KZらしい」硬質で寒色系の音で、ボーカル帯域も主張のしっかりした解像感のある音で鳴ってくれます。また音の伸びも良く高域同様にスッキリした印象で、同時に適度な広がりがあり心地よい音場感を感じます。さすがに同じKZの有線イヤホンの多ドライバーモデルなどと比べると相応の差がありますが、1万円以下の多くのTWS製品との比較ではかなり鮮やかで綺麗な音と感じるのではと思います。
低音域は「KZ S1D」同様に力強い主張のある音ですが、「KZ S1」のほうが中高域が明瞭な分、よりキレのある鳴り方をします。沈み込みも良好で厚みのある音を鳴らします。ベースラインはとらえやすく輪郭もはっきりとした解像度の高い音です。


KZ S1 / S1Dというわけで、「KZ S1D」「KZ S1」はどちらも聴きやすく明瞭感のあるサウンドで、多くの低価格TWSと比較すると、まるで空気の膜が増えたような印象に感じます。特にハイブリッド仕様の「KZ S1」のサウンドは同価格帯のKZ製の有線イヤホンのサウンドと遜色なく、オーディオマニアの普段使いアイテムとしても十分に実用的な印象です。
今回の完成度の高さを踏まえて、KZは「KZ E10」で同様の大きさのハウジングに4BA+1DDを組み込むこともやっていますので、今後よりドライバー数を増やした上位モデルへ改めてチャレンジすることは十分に考えられます。エントリーモデルの「KZ S1D」「KZ S1」でこの仕上がりですから、今度こそ、新しい製品に期待せずにはいられないな、と感じています(^^)。


プロフィール(Twitterアカウント)
カフェで息抜きにイヤホンとかのブログ書いてます。ただのアラフィフの酔っ払い。食べるのも好きな天秤座AB型。東京と福井(鯖江)の自宅の二拠点生活も気付けば5年以上。普段はIT屋でよく出張するお仕事してます。ポタオデは趣味で出張のお供。PC(?)遍歴にApple IIc とNeXTstation があるのがプチ自慢(^^;
※ご意見・ご質問などはコメント欄にてお願いします。
レビュー依頼等は bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上ご返答申し上げます(返信の無い場合はご了承ください)。


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