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「RevoNext QT3」 高域を強化しつつ中低域の良さも健在。グレードアップした2BA+2DD中華イヤホン【レビュー】

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RevoNext QT3

【 ZS6系イヤホンレビューマラソン その② 】

こんにちは。今回紹介するイヤホンは「RevoNext QT3」という2BA+2DD構成のアラウンド50ドル級の中華イヤホンです。
最近、私のブログでもお馴染みのKZ製「KZ ZS6」を意識し、さまざまなアラウンド50ドル級ハイブリッドの中華イヤホンが次々と登場しています。これらの製品を私は「KZ6系イヤホン」と勝手に呼んでいるのですが、この夏にかけてさらに大量の新製品が登場するという、まさに「異常事態」が発生しています。

先日の「BQEYZ K2」のレビューの際にも触れましたが、正直なところ、どのイヤホンも金属製のハウジングを採用している点や「低域が厚い」「ドンシャリ傾向の濃い音」などの音質的にも共通した傾向があり、「どれか1個を選ぶ」というのが結構難しくなっているという気がします。そこで、「ZS6系イヤホンレビューマラソン」(汗)と称して、私のブログではこれらの製品を順次紹介するとともに、ひと通りレビューした後に、「ZS6系イヤホン大運動会」(笑)として、一斉比較レビューを行いたいと思います(宣言)。

というわけで、いちおう2回目の「ZS6系イヤホンレビューマラソン」(1回目は「BQEYZ K2」)となる、今回紹介する「RevoNext QT3」ですが、手元への到着順では「TRN V80」や「phb EM023」より後になりますが、後々の構成を考えてこのタイミングで紹介することにしました。
RevoNext QT3」は過去にレビューをした「RevoNext QT2」(1BA+2DD)の派生モデル、アッパーグレードとして登場しており、「QT2」とほぼ同じデザインで「2BA+2DD」にドライバー構成が変更となっています。「QT2」も「ZS6」の明らかなオマージュ的デザイン及び構成で発売時にも賛否がありましたが締まりの良い低域をメインとしたドンシャリ系のサウンドバランスは国内のマニアの間でも評価が高く、現時点でも「お勧めイヤホン」のひとつとして挙げられることも多い人気モデルです。
「RevoNext QT2」の詳細レビューについては過去記事を参照ください。
→ 「RevoNext QT2」予想外の中低域メインの聴きやすさと完成度に驚く、1BA+2DD中華イヤホン【レビュー】

RevoNext QT3」はステム部分のBAドライバーがデュアル構成となり、これにあわせて全体的なバランスなどもチューニングが行われているとのことです。単純に考えれば「QT2」の高域強化型モデルかな?という予想ができますね。
RevoNext QT3RevoNext QT3

カラーは「QT2」同様に「ブラック」と「グレー」の2色が選べます。今回は私は「グレー」を選択しました。
    
購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」にて。価格はAliExpress(中国からの発送)で57ドル~、Easy Earphonesが運営するAmazonのマーケットプレイス「WTSUN Audio」では6,600円~で販売されています。
AliExpress(Easy Earphones): RevoNext QT3
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): RevoNext QT3

※7/31まで、WTSUN Audioで購入する場合、カート画面で合計1,000円の割引が適用され「5,600円」で購入が可能です。

アマゾンではすぐに届きますし、アマゾン経由での1年間の保証が受けられるので安心感が高いですね。またセールにより購入時に割引を受けられる可能性があります。
またより低コストで購入したい場合はAliExpressでとなりますが、購入方法などはこちらを参照ください。どちらの場合も、Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


■スペックアップにあわせて細かい部分で「QT2」からマイナーチェンジ

RevoNext QT3RevoNext QT3
RevoNext QT3」もパッケージ構成は「QT2」を踏襲していますが、少しずつですが内容を改良しています。
RevoNext QT3RevoNext QT3
パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書、と最小限のシンプルな内容です。

本体デザインは、「QT2」を継承しており、外観上の違いはフェイスプレートのデザインのみです。両モデルを比較すると、「RevoNext QT3」ではベント(空気孔)のデザインが変っているほか表面にもデザイン的な変更が加えられています。基本的には「QT2」と同様のデザインのため、装着性なども同様です。「KZ ZS6」と比べると少しハウジングがシェイプされたデザインとなっていることあり、装着性はより良好なものとなっています。
RevoNext QT3RevoNext QT3
そういえば「RevoNext QT3」のボックス裏面には何故か「Designed in Sweden」とか書いてあって、さらに「QT2」とは変更になった「RevoNext」のURL(www.revonext.com)は軽く欧米メーカー感出そうとしてますが、むしろ中華イヤホン色を濃厚にしているだけなので、細かいことは気にせず、生暖かく見守っておきましょう( ̄ー ̄)。

2BAを収納するステム部分も太さがありますが、先端部分に引っかかりがあるため穴の大きいイヤピでも抜けにくくなっています。私はAcoustuneの「AET07」を今回も使用しました。
RevoNext QT3RevoNext QT3
また、「RevoNext QT3」も「QT2」同様にちょっとゴムゴムした被膜の2pinケーブルが付属しますがピン部分など細かく改良が施されています。


■高域が強化されよりZS6寄りの派手な音に。ただしQT2譲りの低域の締まりと聴きやすさは健在。

RevoNext QT3RevoNext QT3」の音質傾向は「QT2」同様に濃く派手めの音ですが、前回の「QT2」が高域は控えめで特に低域の厚く締まりの印象が強かったのに対し、「RevoNext QT3」では2BA+2DDのドライバー構成通り高域の印象がかなり強化されているのがわかります。
手元に届いた個体では開封直後は高域のシャリ付きが強く、低域もきちんと出ていない感じがあったため、数日の出張期間を含め100時間ほどのエージングを行いました(エージング方法はいつもと同じApple Musicのエンドレス&ランダム再生)。
エージング後の「RevoNext QT3」はシャリ付きも結構押さえられ、「QT2」より高域寄りのドンシャリ傾向となりました。高域の解像度はドライバーの強化によりかなり高くなったと思います。とはいえ「QT2」同様に低域はしっかりと沈み込む量感のある音で締まりも良く中高域への分離も良好です。音は比較的近く聴きやすさは維持しており、音場も一般的な広さを確保できています。
RevoNext QT3いっぽう「QT2」はレビューでも記載の通り「KZ ZS6」とはかなり異なるキャラクターのサウンドでしたが、「RevoNext QT3」では同じ2BA+2DDとなったこともあってか、全体的なバランスとしては結構「ZS6」寄りになったという印象もありますね。とはいえ「ZS6」はかなりシャリ付きを多く感じる高域ですが、「RevoNext QT3」では同様のシャリ感はあるものの適度にコントロールされており、適度な刺さりと解像度の高さを楽しめる印象になっています。「RevoNext QT3」も「QT2」同様にステム部分のノズルにはメッシュパーツの下に黒いフィルターが貼り付けられていることも高域が適度にコントロールできている理由のひとつだと思います。

「ZS6」との棲み分けを考えるとするなら、最もシャリ付きが多く派手な音の「ZS6」に対し、同様のレベルの派手さを持ちながら、よりシャリ付きを押さえ、低域の締まりとサウンドバランスを向上させた「RevoNext QT3」、さらに高域を抑え中低域メインの聴きやすいサウンドにした「RevoNext QT2」といった感じではないかと思います。
RevoNext QT3RevoNext QT3
なお、3つのイヤホンともフェイス部分に大きめのベントがあるため多少の音漏れはありますが、静かな図書館など以外では問題ないレベルです。また「RevoNext QT3」(および「QT2」)については装着感が向上することで遮音性も「ZS6」より向上しており、新幹線の車内で使用しても快適に利用できました。

また、ゴムゴムとした付属ケーブルをリケーブルする場合は、明瞭感を向上し、適度にメリハリをつけるケーブルがお勧めです。低価格なものであればYinyooブランドの「YYX4753 6芯 純銅線ケーブル」はアマゾンでも2千円以下で購入でき、しかもクオリティも高いのでお勧めです。
RevoNext QT3RevoNext QT3
よりグレードアップする場合は同じく「YYX4762 8芯 銀メッキ線ケーブル(ブラック/ブラウン)」は見た目のマッチングも良くボーカルなどの明瞭感の向上します。巷では「やきそばケーブル」と呼ばれているみたいですが(^^;)、案外合わせやすいカラーリングかもしれませんね。


というわけで、「RevoNext QT3」はある意味で「ZS6系イヤホン」のなかでも「ZS6」の最も順当なブラッシュアップ版という感じもします。個人的には「ZS6」の派手さはわりと好きなので、同様の傾向でより聴きやすく、さらにデザイン的にも「某CAパ○リ感」を気にせず使える、という点で「結構使えるイヤホンだな」と思いました。とはいえ、まだしばらくはマラソンのごとく同様なイヤホンのレビューが続きますので、それらともじっくり聴き比べていきたいと思います。


「Yinyoo HQ8」 ついに登場した8BAモデル! 美しいデザインと優れたサウンドで驚きの低価格を実現した最新中華イヤホン【レビュー】

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Yinyoo HQ8

こんにちは。私のブログで以前から紹介をしている中国Yinyoo(音佑)ブランドのオリジナルのマルチBAイヤホンのシリーズですが、順調に進化を続け、とうとう片側8BAを搭載するモデルが発売されました。それが今回紹介する「Yinyoo HQ8」です。
美しいデザインに加え、従来のYinyoo HQシリーズからさらに高域を中心としたグレードアップが行われており、8BAらしい高い解像度と心地良いサウンドバランスを低価格で実現しています。

YinyooのマルチBAシリーズは大きく分けて2つのラインがあり、ひとつは「Yinyoo H」シリーズ、そしてもうひとつが「HQシリーズ」となります。
・「Hシリーズ」: 「H3」(3BA)/「H5」「H5 Pro」(5BA)/「H4」(4BA)
・「HQシリーズ」: 「HQ5」(5BA)/「HQ6」(6BA)/「HQ8」(8BA)

「H3」「H5」は同じ製造元で、「H5」「H5 Pro」は「MaGaosi K5」のブランド違いモデルとなります。さらに最近リリースされた「H4」は「audbos P4」とおなじ製造元と考えられ、価格グレード的には「H5」「H5 Pro」より上位の位置づけとなります。
いっぽうの「HQ」シリーズは同ブランドの完全オリジナルのイヤホンで非常に美しいシェルデザインとコストパフォーマンスの高いサウンドでとても好評のようです。どちらのモデルも最近新しいカラーバリエーションが登場しました。
Yinyoo HQ5Yinyoo HQ5
5BAの「Yinyoo HQ5」は「qdc Neptune」を彷彿とさせるブルーが特徴的でしたが、新色では「qdc 2SE」のような淡いクリアグリーンに、6BAでレッドの「Yinyoo HQ6」には新たに濃いクリアブルー(どうも同じく「qdc 3SH」を意識しているらしいです)のカラーが登場しました。
Yinyoo HQ6Yinyoo HQ6
これら従来の「Yinyoo Hシリーズ」「Yinyoo HQシリーズ」については過去記事にてレビューをしています。よろしければ併せてご覧くださいませ。
→ 過去記事(一覧): Yinyoo Hシリーズ/Yinyoo HQシリーズのレビュー

そして、この「HQ」シリーズに新たに追加されたのが今回紹介する「Yinyoo HQ8」となります。名称通り搭載BAドライバー数は片側 8BAとなりました。まさに「多ドラ」モデルですね。今回のデザインはクリアパープルのシェルにカーボンシートのフェイスプレートという落ち着いたデザインで、見るからに高級感を感じる外観となっています。
Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8
Yinyoo HQ8」も発売以降、好調に販売しているようで、先日入荷したアマゾンの国内在庫も早々に完売していました(現在はアマゾン発注でも中国からの発送となります)。なんというか、カッコイイは正義、ですね(^^)。

購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」より。表示価格は中国AliExpress(Easy Earphones)で299ドル~323ドル、アマゾン(WTSUN Audio)では33,900円となっています。また現在はどちらでも「MMCXコネクタ仕様」に加え「2pinコネクタ仕様」も選択できるようになっています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ8(MMCX)
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ8(2pin)

AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo HQ8(MMCX/2pin/ケーブル選択可)

※アマゾンのWTSUN Audioでは現在「Yinyoo HQ8」を購入時に購入価格から10%割引が適応されます。
アマゾンでの購入の場合、アマゾン経由での1年間の保証が受けられるので安心感が高いですね。またセールにより購入時に割引を受けられる可能性があります。
またAliExpressででの購入方法などはこちらを参照ください。こちらも購入方法に記載の「フォロワー値引き」が適用されるはずですのでご活用ください。どちらの場合も、Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)では頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


■美しいデザインと高いビルドクオリティ。装着性も良好。

Yinyoo HQ8」も他のYinyooブランドのイヤホン同様にブラックのボックス・パッケージで届きます。内容物はボックスのなかの大きめのサイズのイヤホンケースのなかに全て収納されています。毎度記載することで恐縮ですが、Yinyooのケースは適度に大きいため、リケーブル後などもサイズ的に困ることがないのが有り難いですね。
Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8
パッケージ内容は、イヤホン本体、イヤーピースは付属の白いタイプと小袋にグレーのタイプが2種類、それぞれS/M/Lの各サイズ、ウレタンイヤーピースが4セット(4色)、そして8芯の銀メッキ線ケーブルという充実した内容。
Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8
アマゾンでオーダーした場合、付属ケーブルは3.5mmステレオコネクタのタイプになります。AliExpressでオーダーする場合は3.5mmステレオコネクタのケーブルのほかに「ケーブルなし」や各サイズ(2.5mm/4.4mm)の「バランスケーブル」を選択することが可能です。私はAliExpressで2.5mm/4極のバランスケーブル付きでオーダーしました。

イヤホン本体のビルドクオリティはこれまでの「HQ5」「HQ6」同様に非常に高く、美しいデザインで満足度の高い仕上がりとなっています。フェイスプレートのカーボンプレートは角度によって格子状の模様が反射しとてもクールな印象です。
Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8
8BAを搭載するハウジングですので決してサイズは小さくありませんが、耳にフィットする形状となっており装着性は良好です。金属製のステムは太めですが装着時の影響は少ないと思います。付属のイヤーピース(シリコン3種類・各サイズ)でもほとんどの方は問題ないと思います。
私はよりフィット感に優れ開口部が広いAcoustune(日本ディックス)の「AET07」を使用しています。

そして付属するケーブルはYinyoo Hシリーズでは「H4」以外のモデルで毎回付属する8芯銀メッキ線ケーブルとなります。非常に柔らかく取り回しもよく、汎用のMMCXケーブルとしても実用性の高いものになります。
Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8
また従来の「HQ」シリーズと比較すると、「Yinyoo HQ8」は5BAモデルの「Yinyoo HQ5」と同一のシェル形状であることが分ります。いっぽう「Yinyoo HQ6」だけひとまわり大きいサイズのシェルを採用しています(写真のHQ6は金属製ステムではない初期型です)。

Yinyoo HQ8」に搭載されるBAドライバーユニットは本体を透かして型番を確認してみると、2種類のデュアルBAドライバー(「Bellsing 30017」と「Knowles HODTEC-31323」) をそれぞれ2個ずつによる構成(2BA×2個+2BA×2個=8BA)であることがわかります。
Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8
この構成は「Yinyoo HQ6」が「Bellsing 30017」×1+「Knowles HODTEC-31323」×2の6BAに対し、高域側を2BA強化した内容、と考えることができますね。この高域を担うBAドライバー構成のアップグレードがサウンドにどのように影響しているのか、とても興味深いところです。


■高域を強化し、全体的に解像度・分離感も高く、8BAらしい情報量の多い弱ドンシャリ傾向のサウンド。

Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8」の周波数特性自体はフラット寄りですが、駆動力のあるDAP等で再生すると多少ドンシャリ傾向の元気で濃い音に感じます。箱出し直後からしっかり鳴ってくれるものの多少高域が強く歯擦音を感じる場合があります。このような場合、数十時間程度のエージングで解消し、全体的なバランスも安定すると思います。Yinyoo HQシリーズも含め、最近のマルチBAの中華イヤホンは中低域に重点を置いたモデルが主流でしたが、今回の「Yinyoo HQ8」は高域を担うBAを増やすことで強化が行われたことにより解像度と伸びが格段に向上しました。
各音域の分離性も良く、低域はしっかりとした締まりがあります。中低域メインの「HQ5」「HQ6」と比較すると低域は控えめに感じますが、全体としては十分な量感を確保しており厚みのある低音を実感できると思います。また駆動力を確保できるDAPで再生すれば籠りを感じる事もないのではと思います。
Yinyoo HQ8中音域も凹むことなくしっかりと前面で定位します。マルチBAらしく非常に情報量の多いサウンドで、グラフェン振動板のダイナミックドライバーのような硬質なキレとは異なる印象の音数の多さを感じる事ができます。また音場もマルチBAイヤホンとしては十分な広さと奥行きがあります。
高域も曲によっては多少の刺さりのある点も含め、このクラスの他の製品と比較しても遜色ないレベルの解像度を実現できていると思います。
トータルとして「Yinyoo HQ8」は非常に受け入れやすい、言い方を変えると一般ウケしやすいサウンドバランスということもあり、あらゆるジャンルで苦手の少ないイヤホンだと思います。ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲はもちろん、ジャズ、クラシックなども気持ちよく聴くことができます。
全体として、3万円台のイヤホンとしてはかなり高い完成度にまとめられていると感じます。

Yinyoo HQ8いっぽう、あえてウイークポイントを挙げるとするならば、この「一般ウケしやすい音づくり」自体が好みが分かれる可能性があります。通常8BAクラスのイヤホンともなれば高級な製品も多く、これらのイヤホンでは通常モニターライクまたはそれに近いフラットな音作りする傾向にあります。
それに対し「Yinyoo HQ8」は多少ドンシャリ傾向の音に聴こえるため、このようなイヤホンに慣れている方からは「必要以上に派手な音」と感じる可能性もあります。
あと、以外とDAPなど再生環境への依存度、要求要件が高い、という点もあります。もちろん、「Yinyoo HQ8」は低価格とはいえ8つのBAドライバーをもつ「多ドラ」イヤホンですので、それなりに高い再生環境を要求とします。さすがにこのクラスのイヤホンをスマートフォン直挿しで、という方はいないと思いますが、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)においてもS/N性能や駆動力によって印象が変化するイヤホンだという認識は必要です。その点を踏まえても、「Yinyoo HQ8」は結構再生環境での変化が大きいと思います。
Yinyoo HQ8たとえば私の手持ちの環境で「Astell&Kern AK300」と「iBasso Audio DX150(AMP6)」で比較すると(アンバランス接続)、駆動力の低いAK300では、DX150より高域の伸びも控えめで多少平坦な印象を受けました。同様のDAPでは籠もる、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。もちろん、このような場合はポータブルアンプを併用したり、後述の通りリケーブルなどにより改善することは可能です。また、2種類のデュアルBAをさらに2個ずつ並列した構造のためかボリュームコントロールも結構シビアで音量の刻みが少ない中華DAPなどではちょうど良い音量にフォーカスできない場合もあるようです。また言うまでもありませんが、「Yinyoo HQ8」に限らず、反応のよいマルチBAイヤホンではIEMなどに向かないプレーヤーの場合、ホワイトノイズを大量に発生する恐れがありますし、場合によっては歪みなどを感じる原因となる場合があります。


■リケーブルによって「Yinyoo HQ8」のポテンシャルを発揮

Yinyoo HQ8」には標準で8芯の銀メッキ線ケーブルが付属します(AliExpressでオーダーできるケーブルなしモデルを除く)。このケーブル自体は品質も良いケーブルですが、「Yinyoo HQ8」の実力を考えるとまだまだ「本気を出せていない」印象があります。現在Easy Earphonesからは同じくYinyooブランドで非常に多くのハイグレードなケーブルが販売されており、それぞれのケーブルの特徴を活かすことで「Yinyoo HQ8」のサウンドを大きくグレードアップできます。ここでは用途やニーズ別に4種類のケーブルの組み合わせを紹介します。なお、それぞれのケーブルの詳細は過去記事のケーブルのレビューを参照ください。
→ 過去記事(一覧): 中華イヤホンケーブルのレビュー

【ケース①】 標準ケーブルの「Yinyoo HQ8」の印象のまま解像度・分離感を向上させたい
→ YYX4745 16芯 銀メッキOFC アップグレードケーブル [Amzon / AliExpress]
Yinyooの16芯ケーブルは最もシンプルに「Yinyoo HQ8」のサウンドをグレードアップできるケーブルだと思います。特にバランス接続での効果は大きく、分離感の向上をハッキリと認識できます。価格も16芯ケーブルとしてはかなり低価格に抑えられていますし、それほど太くないので使い回しがよいのも良いですね。このYinyooの銀メッキ線ケーブルのほか、16芯ケーブルではKinboofiブランドで販売されている「16芯 銀メッキ線&銅線ミックスケーブル」もお勧めです。

Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8

【ケース②】 「Yinyoo HQ8」のサウンドにメリハリを強化したい。さらに濃い音にしたい
→ YYX4744 8芯 OFC アップグレードケーブル  [Amzon / AliExpress]
YYX4752 8芯 OFC アップグレードケーブル(ゴールド/シルバー) [Amzon / AliExpress]
いわゆる「キンバー風ケーブル」と呼ばれているケーブルです。とにかく「音が濃くなる」ということで最近とても人気があるケーブルですね。「Yinyoo HQ8」はもともと濃いめのサウンドですが、さらにメリハリをつける、という向きには最適でしょう。また上記のとおり駆動力が付属してすこし平坦に感じる場合はこのケーブルでバランス接続することで印象が大きく改善できる場合があります。

【ケース③】 「Yinyoo HQ8」の解像度・分離感を向上し中高域の情報量をグレードアップしたい
→ YYX4750 8芯 純銀 アップグレードケーブル(ブラウン) [Amzon / AliExpress]
Yinyoo HQ8③④のケーブルは1万円以上の価格設定と中華イヤホンケーブルとしてもかなりハイグレードな部類に入ります。そのため、どちらのケーブルを選択しても「Yinyoo HQ8」を1ランク上のサウンドにグレードアップする効果があります。このブラウンの8芯ケーブルは、高域のクオリティアップに加えて、中低域も濃い印象に変化し、トータルとして全体的な情報量を向上する効果があります。上記の「キンバー風ケーブル」がわりと明確にメリハリを強くする印象だったのに対し、こちらのケーブルは全体のバランスを崩すことなく、あくまで自然な印象で変化させることができます。「Yinyoo HQ8」の音数の多い、マルチBAらしい響きの良さを変えずによりアグレッシブにグレードアップさせる二には最適なケーブルだと思います。

【ケース④】 「Yinyoo HQ8」をトータルでレベルアップし、明瞭感を向上させたい
→ YYX4765 金銀合金&OFC アップグレードケーブル [Amzon / AliExpress]
そして、今回の4種類の中でも最も高額なケーブルです。その分リケーブル効果は絶大で、ひと言でまとめると「Yinyoo HQ8をより高級なイヤホンに変化させる」ケーブルだと思います。このケーブルに交換することで特定の音域の味付けはせず、全体的な音質向上を行うことで明瞭で澄み切ったサウンドに変化します。また音像表現が立体的に拡張され定位するため、広がりに加え奥行きをよりしっかりと実感できるようになります。
Yinyoo HQ8Yinyoo HQ8
上記のブラウン8芯線ケーブルとは対照的に、全体的にスッキリとまとめられることで雑味を取り去ったような明瞭感を感じることができます。いっぽうでマルチBAならではの派手さも「スッキリしすぎてしまう」ため、逆に物足りなく感じる方もいるかもしれません。個人的にはこの明瞭感はかなり心地良く、普段は「Yinyoo HQ8」にはこのケーブルを組み合わせて使用することにしました。


■少ない種類のBAユニットで構成した8BAだから実現できた「Yinyoo HQ8」のサウンド

このように「Yinyoo HQ8」は低価格化を行う上での他社のハイエンドな「多ドラ」イヤホンとは多少異なるアプローチを取っている部分はあるものの、非常に高いクオリティを低コストで実現しており、リケーブルによりさらなるポテンシャルを発揮できる能力をもった本格的な製品であることが実感できました。特に金銀合金&OFCケーブルとの組み合わせでのグレードアップは素晴らしく、当面はメインで活躍するイヤホンとなりそうです。

ちなみに、これまでの「Yinyoo HQ」シリーズは上記の通り5BAの「HQ5」と6BAの「HQ6」がありますが、これらののドライバー構成と比較する比較的分りやすいキャラクター付けが確認できます。
・HQ5 (5BA): Bellsing 30017(2BA)×1+Knowles 31323(2BA)×1+Knowles CI-22955(1BA)×1
・HQ6 (6BA): Bellsing 30017(2BA)×1+Knowles 31323(2BA)×2
・HQ8 (8BA): Bellsing 30017(2BA)×2+Knowles 31323(2BA)×2
Yinyoo HQ8
構成の違いをみると、3種類の中では唯一、低域用の「Knowles CI-22955」を使用している「Yinyoo HQ5」は他のモデルと比べて低域が厚めのセッティングとなっていることが伺えます。
このような構成のため、低域についての3モデルの比較ではドライバー構成を反映して「HQ5」>「HQ6」>「HQ8」の構図が成立しますが、同時に高域については「HQ8」>「HQ6」>「HQ5」となります。モデルごとのドライバー構成がそのまま傾向にも反映されていることになりますね。

いっぽう高域用の「Bellsing 30017」と中低域用の「Knowles HODTEC-31323」の2種類で構成される「HQ6」および今回の「HQ8」は一見するとマルチBAとしてのメリットが少ないように考える方もいらっしゃるかもしれません。
一般的にBA(バランスド・アーマチュア)型ドライバーの特性として解像度の高さが挙げられますが、デメリットとして1個あたりのドライバーの音域が比較的狭い点(これ故に音域ごとにマルチドライバー化するわけですね)と併せて、出力を上げた際の「歪み」があります。同じユニットを並列で備える「デュアルドライバー」タイプのBAユニットは同時に2つのドライバーを鳴らすことで解像度を向上させると同時に必要な音量を得るための出力を分散し、歪みを抑制する意図があります。このデュアルBAユニットをさらに2個並列し「クアッド(4個)ドライバー」化することで、同様の効果をさらに拡大することができるわけです。
Yinyoo HQ86BAの「Yinyoo HQ6」では中低域にフォーカスしクアッドBA化を行っており、さらに8BAの「Yinyoo HQ8」では中低域に加え、高域もクアッド化することで全体にわたる高解像度化と音場の拡大を狙っていると考えられます。また少ない種類のBAユニットで構成することは、ネットワークで「調整できる範囲」が少なくなり、よりBAドライバー自体の音の傾向が色濃く出ますが、ドライバー間のクロスオーバーを最小にすることでより少ない開発コスト・開発期間で安定した音質を実現できます。
中華イヤホンのアプローチとしてはある意味、買う側のリスクも含めて良い選択ではないかと思います。
そういえば、「HQ5」「HQ8」のシェルはけっこうぎっしりBAが詰まっている感じがありますが、「HQ6」のひとまわり大きなシェルはまだかなり余裕がありますね。その気になれば、8BA構成にさらにダイナミックドライバーを加えたハイブリッドや、いっそ10BAモデルとか・・・もしかしたらまだまだこのシリーズ、続くのかもしれませんね(^^;)。



プロフィール(Twitterアカウント)
カフェで息抜きにイヤホンとかのブログ書いてます。気付けばアラフィフの酔っ払い(定期)。食べるのも好きな天秤座AB型。普段はIT屋で都内と自宅のある福井ほかあちこち出張するお仕事してます。ポタオデは趣味で出張のお供。長年のPC(?)遍歴にApple //c とNeXTstation があるのがプチ自慢(じじぃ)。
※ご意見・ご質問などはコメント欄にてお願いします。
レビュー依頼等は bisonicr.keep.walking@gmail.com までお願いします。内容を確認の上ご返答申し上げます(返信の無い場合はご了承ください)。





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