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いろいろ故あって、エレコムが真面目に作ったと話題の(?)あのイヤホンを2種類とも入手しました。
というわけで、さっそく聞き比べをしてみたいと思います。

■ハイレゾWALKMANの交換イヤホン専用機、的な製品?
私も愛用しているソニーのNW-A10シリーズなど、いわゆるハイレゾWALKMANには、ハイレゾ未対応のイヤホンしか付属しておらず、「ハイレゾを体感したかったら別途買ってね」といういかにもな商法をとっております。で、普段はハイレゾなんてまったく興味もないという方も「DSEE HX」で圧縮音源がハイレゾ相当になるぜーとか書いてあると、やっぱり対応イヤホンが欲しくなってくるものではないでしょうか。ところがソニーのハイレゾ対応は、そこそこうるさいオーディオ系の方むけに展開してるだけにちょっとお高め。

そこで「EHP-CH1000」は実売5000円オーバー1万円未満と、手軽にハイレゾを体験したい方々には絶妙な価格帯でちゃんとお墨付きのハイレゾ対応マークの商品、で真鍮製ハウジングの質感もちょっと高級そう(そういえば付属ポーチの質感もけっこう良い)。
ネットの記事などを見ると真面目に作りました的なことが書かれていますが、えらくマーケティング寄りでニッチ狙ってますよね。実際ヨ○バシの店頭とかにもソニーのハイレゾコーナーのすぐ近くにあって、NW-A16で試聴できるようになってたり。

で、「EHP-CH2000」はハウジングがさらにでっかくちょっと目立ちます。で音は重低音寄り。
よーするに重低音志向の人はイヤホン目立つ方がカッコ良くて、そのためにちょっと高くてもいい・・・てゆーか、1000がソニーのハイレゾイヤホンの代替狙いなら、2000はBoseかBeatsあたりの・・・あ、あざとい。なんか聴く前からモチベーションがだだ下がりなんですが。。


■それでも真面目に聴いてみた。
そーゆー製品だからでしょうか。これを書いている時点では真面目にレビューはまだまだ少ないようです。
やはりオーディオ好きがわざわざ手を伸ばす商品にはなっていないのでしょうか。
「エレコムのわりに、ちゃんと作っている」というのは全くほめてないと思うわけです。
最初からハードル下げても意味ないし。というわけで、相変わらずの素人耳ながら、真面目に聴いてみます。

試聴環境は、この商品が狙っているであろう、ソニーのハイレゾWALKMAN、「NW-A17」へ直刺しです。
(そのうち手持ちの別環境のレビューもしたいと思います)


平凡だがクリアで聴きやすい音。まさに「お手頃価格でちょっといい」イヤホン

2015-03-22-18-57-48まず、「EHP-CH1000」から。
私は耳穴が非常に小さいので標準のSサイズのイヤーチップでも入らず、同社のXSサイズのチップを別途購入して装着。
で、まず気になったのがケーブルのタッチノイズ。ちょっと触っただけでも結構気になります。ただこれはXSサイズのイヤーチップを使っているせいもありますが(標準のものを使えば少しマシです)。さらにケーブルが細いのでちょっと気を遣います。
遮音性は並。音漏れなどはよほど大音量にしなければ気にしなくても大丈夫なレベルでしょう。

最初はハイレゾ試聴の定番、「Pure2 Ultimate Cool Japan Jazz」の「届かない恋」
ハイレゾ試聴の前に、比較用にノーマル(16bit/44KHz)のFLACから。
ひじょーにフラットで解像度も悪くないようですが、広がりとか奥行きをあまり感じないダイレクトな音です。
そのうえで、同じ曲の、DSD64(2.8MHz/1bit)音源から変換した24bit/88.2KHz FLACのハイレゾを試聴。
私が普段使っているSE535LTDだと曲の情報量がぐっと増えるところですが、変化は控えめ。もちろん1万円以下クラスの製品にこのレベルの解像度を求めても仕方はありませんが。それでも、注意して聴いていると後ろでピアノが小さく流れているところでハイレゾらしい音の余韻を感じることができました。

続いて、fhánaの「いつかの、いくつかのきみとのせかい」
最初に聴いて、なんとなくこのイヤホンに合いそうだなーと思ったのでチョイス。
ノーマルのFLACでも予想通り気持ちよく鳴ってくれます。こちらの曲では定位感も悪くありません。
そこで今度はプレーヤー(NW-A17)側で「DSEE HX」機能をオンにしてハイレゾ相当にアップサンプリングします。ノーマルと比較し、曲の随所で音の変化を理解することができました。
やはりこのようなポップスやアニソンなどの曲、とくに女性ボーカルが向いているようですね。
ジャズやクラシック向きではないと思います。

全般を通して、刺さる感じでもなく、かといって丸い感じの音でもない。良く言えば「比較的クリアだが聴きやすい音」、悪く言えば「平凡な音」でしょうか。
ただこのイヤホンを求める人の多くが、付属イヤホンのアップグレードであることを考えれば、お手頃価格で付属イヤホンとの違いをはっきり認識できる、非常に判りやすいアプローチの製品と思います。


■ただの低音強調型、にあらず。実はけっこう個性的なイヤホン

2000続いて「EHP-CH2000」を試聴します。
こちらは、聴いてすぐわかる低音強調型です。

フラットなEHP-CH1000よりドンシャリ傾向ですが、どちらかというと全体的フラットな音に低域だけ極端に太くしているような、ちょっと変な不思議なバランスに聞こえます(汗)。
というか、明らかに狙っているところがあって、そこに合わせてチューニングしている感じです。


試しに Lady Gaga の「Born This Way」を再生してみると「もうドンピシャ」。ビートがガンガン響きつつとても気持ちよく曲が駆け巡ります。
続いて Hilcrhyme の「春夏秋冬」。これも適度にビートが強調されつつも、定位感が維持され、実はそこそこ高域から低域まで解像度が高いイヤホンであることが確認できます。
この曲ではDSEE HXのハイレゾ化効果もちゃんと確認ができました。この手の曲と相性がいいようです。
逆にアニソンなど高域成分が多い曲を聴くと、高域の女性ボーカルがキンキンと響きまったく聴くことができません。

このイヤホンは「低音強調型」として、男性ボーカルの曲や、ラップ、ロックなどのジャンルで低音を利かせたいという用途に向いていることがわかります。相性のいい曲では低音が活きつつ非常に気持ちの良い解像度の高い音楽を楽しめます。また意外にクラシックやジャズなども曲によってはぴったりハマるケースがありました。

EHP-CH2000はネットでの評判がはっきり分かれているようですが、個人的には特徴の少ないEHP-CH1000より面白く「けっこう個性的」で、曲の種類によっては使ってみようかな、という気分にさせてくれました。
(聴き疲れするので普段使いは無理ですが…)


■「この次」がどういくのか。
なんとなく、EHP-CH1000でニッチのパイを確保しつつ、EHP-CH2000で個性をだしながら今後の路線を決めてみようか、なんて風にも見えるラインナップですが、逆に言えば「本気でオーディオやるよ」といいつつ実際は「まだ手探り」という感じなんでしょうね。
でもEHP-CH2000のほうがマーケティング的に受けないと、今後はEHP-CH1000の「ちょっと安くてそこそこいい」路線になっていくのかもしれません。それはちょっと残念な気がします。
エレコムさん、サプライメーカーとしてマーケティングは大事だと思いますが、オーディオ真面目にやろうと思ったら(もしかしたら売れない)「変な商品」も売り続けることでブランドが認知されてくるのだと思います。もっとも個人的にはロジテックブランドか、新たにブランド作った方がいいのでは、とも思いますけどね。 


※追記(2015.12.23)
こちらで紹介しているEHP-CH2000相当品の付属モデルもある、ロジテックブランドの「Lightningオーディアダプター」(超小型ポタアン・DAC)の「
LHP-AHR192」(イヤホン付属は「LHP-CHR192」)のレビューも掲載しました。
→ ロジテック LHP-AHR192 をいろいろ比較して使い倒す