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■要するに衝動買いです。

昨年になりますが、アマゾンのタイムセールで出ていたAndroidのOTG(On The Go)対応の超小型ハイレゾ対応ポータブルDAC「ZEAL EDGEシリーズ ZDC-205A-SG」を購入しました。

ほぼUSB変換アダプタともいえるくらいのサイズで、電源もバスパワー、ボリュームなどのスイッチ類も一切ない極めてシンプルな商品です。 
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パッケージはいたってシンプルで、付属品などもほとんどありません。

ただ、OTG対応ということでプレーヤーアプリを選ぶ旨の注意書きの紙が入っています。
こちらには、Onkyo HF Playerなど主なハイレゾアプリの記載はありますが、Google Play MusicやAmazon Music、Apple Musicといった記載はありません。
つまりAndroid対応としながらも、標準アプリほか多くのアプリで使えない可能性があり、特定の環境でしか利用できないアダプタであるということです。この辺がこの手の商品の難しいところなのでしょう。


imageちなみに、対応機種の違いはありますが、この手のUSB-DACというと、ロジテックのLightning対応小型DAC「LHP-CHR192」と比較したくなります。
ZDC-205A-SGはロジテックのLHP-CHR192同様、192KHz/24bitまでのハイレゾに対応しますが、LHP-CHR192がDAC部分にAKM AK4430を搭載するのに対し、ZDC-205A-SGはESS ES9023を採用。
このへんの違いによる音質の差というところも興味のあるところです。

ZDC-205A-SGの場合、USBのコネクタ形状を変換すればカメラアダプタを使用してLightning接続も可能ですので、とりあえずはiOS環境で比較ができそうです。



■実際につないでみた。
imageというわけで、さっそくAndroidのスマートフォンにつないでみます。
まずはHTC Desire Eye。SIMフリースマホでCPU性能こそ突出していませんがFHD画面でぬるぬる快適動作し、背面・正面とも1300万画素のカメラを搭載、しかも防水仕様。ついでに音も良いと言われ、時々アマゾンのタイムセールで39,800円になったりと上手に買えば大変お得なモデルです。

あらかじめ「Onkyo HF Player」がインストールされていると接続時にHF Playerのドライバを使用するかどうかの確認ダイアログが表示されます。
おそらく他の対応アプリを使用している場合も同様と思われます。

この設定は後からHF Playerの設定画面でも可能ですが、ZDC-205A-SGが標準状態の場合(後述)、HTC Desire Eyeの場合、これら対応アプリ以外では認識しないため(私の場合、HF Player専用)ここでOKしてしまいます。

あとはHF Playerを起動すれば普通に使用できます。
HF Player側でアップサンプリングを有効にしておけば、上限の192kHz/24bitでのハイレゾ再生が行われます。
しかし、上記の通り、HF Playerのドライバを使用しているときはもちろん、使用していない時も一般的な各種アプリやGoogle Play Music、Amazon Music(Prime Music)、Apple Musicなどの非対応アプリでは利用することができませんでした。

このように、Androidの機種によって動作に違いがあります。
私はGoogle Play Musicは未加入なので、Apple MusicとAmazon Musicアプリと、HF Playerでの比較になります。またAndroid タブレットは現時点ではApple Musicアプリ未対応ですのでAmazon Musicのみの確認になります。
以上の条件で、手持ちの機種では、標準状態のZDC-205A-SGを使用した場合、
というわけでXperia Z3 Tablet Compactは、つなげるだけですべてのアプリで問題なく利用できました。最近の格安SIMでセット販売されることも多い富士通のArrows M02はおそらくOTGそのものに未対応ですので、オーディオ用途ではまず使用できないと思っておいたほうがよいでしょう。

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しかし、HTC Desire Eyeを使用した場合でも、同様にAndroidに対応している「Astell&Kern AK10+オプションのAndroid用ケーブル」の組み合わせを使用して接続した場合は、これらのアプリでも問題なくUSB-DAC経由で使用できます。
調べると、これはAK10がUSB1.1仕様でAndroidと接続するためで、この辺の仕様の違いが原因であることがわかりました。

なお、ZDC-205A-SGについてはメーカーのCoviaから製品のファームウェアをダウングレードし、USB 1.1仕様にすることで使用できるようにするAndroid用アプリがGoogle Playに公開されました。ただしこの場合、上限が96kHz/24bitに下がります。また別のアプリで標準のファームウェアに戻すことも可能です。
使用方法は、
①上記のアプリをインストールし、起動した状態でZDC-205A-SGを接続すると、ダウングレードアプリで使用するかどうかのダイアログが表示されるのでOK。
②「Start」ボタンを押し、1st Stage完了のメッセージが表示されたらいったん外して再接続。
③もういちど「Start」ボタンを押す。
以上でダウングレードされたファームウェアがインストールされます。

無事ダウングレードに成功したら、改めて再接続すれば、HTC Desire Eyeのような機種でもすべてのアプリでZDC-205A-SGが利用できるようになります(HF Playerではアップサンプリングしても96kに落ちる)。同じ手順でアップグレードアプリを使用すれば元に戻せるが、私の場合はダウングレード状態のほうが便利なため、このまま使用することにしました。

つまり、FWダウングレード後のZDC-205A-SGを使用した場合、
となります。

また、接続性、という点ではMacの場合、Mini-USBをUSB-A端子に変換するコネクタ(秋葉原で購入)を使用することであっさり使用可能。持ち運びににも便利なので、個人的にはAndroidより、この構成で利用することが多いかも。変換コネクタはいろいろ便利なのでZDC-205A-SGを使う場合はぜひ一緒に持っておきたいアイテムです。
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ちなみに、Windows PCやタブレットで利用したい場合は、メーカーのサポートサイトにドライバとインストール方法の記載があります。実際にWindows 10環境でドライバをインストールし接続てみると、foobar 2000でASIOで問題なく認識しました。元のファームウェア状態なら192kHz/24bitのハイレゾ音源もクリアなサウンドをヘッドホンでも、もちろんアクティブスピーカーなどでも堪能できます。
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そう考えると、ZDC-205A-SGのコンパクトさは、Android用というだけでなく、MacBookやSurfaceなどとの組み合わせでも重宝しそうです。


■(追記)USB-C対応のスマートフォンも「OTG対応」変換アダプタで利用可能
ZDC-205A-SGのコネクタはmicro USBですが、各社より発売されたUSB-Cコネクタ搭載のAndroid搭載スマートフォンでも変換コネクタの利用で問題なく利用できるようです。

ただ、ここでポイントになるのは変換アダプタを「OTG対応」のものを選ぶことです。充電とデータ転送のみの対応のコネクタだと接続しても認識しませんでした。購入の際は「OTG対応」と明記されているものを選ぶほうが無難です。
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私もこの記事後にASUSの「ZenFone 3 Ultra」を購入し、ZDC-205A-SGとの接続早速試してみました。詳しくは以下の記事を参照ください。またこちらの記事では私が実際に購入して使用できた変換コネクタも紹介しています。
→ 「ZenFone3 Ultra」(ZU680KL)のハイレゾ性能をいろいろ確認してみた。


■ところで音質は?

さて、ようやく聴いた感触ですが、ESS製のDACチップを搭載していることもあり、確実に音質向上が実感できます。私の場合、上記Androidデバイス、MacBook Pro(iTunes、Audirvana)、iPhone(カメラアダプタ経由、Musicアプリ、HF Player)で利用していますが、当然と言えば当然ですがAndroidでの利用効果が顕著です。

というのも、まず前提として、Androidスマートフォンの多くは、具体的にはiPhoneなどと比較してリスニング向きには作られていない(オーディオ的ではない)傾向にあると思われます。コストとの兼ね合い上、どうしても削らなければいけない部分があるとして、イヤホン端子部分のノイズ処理に例えば同じAndroidを搭載していても「ウォークマンZX」シリーズのようなこだわりを中華メーカーが大勢を占めるスマートフォンでやれるはずはないわけです。

そういう意味で、ZDC-205A-SGを接続すれば(イヤホン出力と比較して)効果は絶大といえます。

もともと、中低音を強調した、わりとメリハリの効いた「わかりやすい系」のDACのようですが、同じ機種でイヤホン端子を使用した場合と比較してのS/Nの向上だけでも相応に効果を実感できます。
imageわりとオーディオに強いXperia Z3 Tablet Compactでもノイズを拾いやすい反応の良いイヤホンなどではハッキリ差が出てきます(正直Xperia等のソニー製品もイヤホン端子からのノイズは結構あるので)。

ただ、このアイテムはハイレゾもよいですが、やはりGoogle Play Music、Amazon Music、Apple Musicなど多くのスマホユーザの普段使いのアプリで使用してもらいたいところです。そういった意味では多少スペックを下げてでも標準はより多くの機種で利用可能なダウングレード状態で出荷するべきではないかなと思わずにはいられません。
そうすればもっと注目され(&売れ)そうなのに、と思ったり(大きなお世話?)。
まあ、今後発売されるAndroid端末はXperia Zシリーズ並に対応してくれていると期待したいところです。

いっぽうハイレゾ環境では、(LHP-CHR192と比較して)ESS社製DACらしさも感じつつ、同様に聴きやすくわかりやすいサウンドですが、イヤホンやヘッドホンの組み合わせによってはサイズなどの制約からくる限界を感じる場面もあります。

imageまず、バスパワーの限界から反応の低いヘッドホンを使用すると鳴らし切れていないと感じる場合があります。手持ちだとインピーダンス32ΩのAKG K550でギリギリくらいの感じでしょうか。また、J-POPやアニソンなどと相性の良いいっぽう、クラッシックやジャズの場合、HF Playerからのハイレゾで再生した場合、ヘッドホンによっては粗さを感じます。
ただ、これらの傾向は同様にバスパワー可動のロジテックのLHP-CHR192をiPhoneにつないだ場合も当てはまります。
いっぽうで、この2機種での違いとしては、iPhoneに接続、ZDC-205A-SGをUSBコネクタ変換~カメラアダプタを経由し、LHP-CHR192と同じ環境でリスニング比較した印象だと、S/Nや中低音のメリハリなどキレの良さではZDC-205A-SGのほうが上、よりフラットな印象を受けるのがLHP-CHR192という感じでした。
おそらく最近出たAndroid用の「EHP-AHR192SV」でも同様でしょう。

そして、残念ながらZDC-205A-SGがもっとも相性が悪かったのが、SE535LTDを使用した場合。
SE535LTDやSE846などShureの一定以上のBAモデルはIEM並みの反応のため、ZDC-205A-SGの場合、ほぼ最小に近いところまでボリュームを下げないと聞くことができません。また無音時にホワイトノイズを拾うのはもちろん、ZDC-205A-SGの場合さらに、わずかに「キュィーン」とった電気ノイズが聞こえてきます。もっともこのクラスのイヤホンを使用する場合、わざわざDACにこの機種を選ぶことはないと思いますが…


■相性の良い組み合わせでAndroidスマホもオーディオ環境に。
そんななか、手持ちのイヤホン・ヘッドホンでベストの相性だったのが、Shureの「SE215SPE-A(Special Edition)」でした。SE535LTDとおなじShureでも、こちらはダイナミック方式ドライバーを搭載する売れ筋モデルです。image

もともとShureのSEシリーズは汎用IEMともいえる装着性のよさと遮音性の高さが特徴ですが、SE215SPE-Aは、上位モデル同様のこの特徴を持ちつつ、抜群のコストパフォーマンスと、ダイナミックドライバーの中低音の「鳴りの良さ」を最大限に活かしたモデルです。ここでZDC-205A-SGのキレの良さが加わり、屋外、それも電車の中など騒音や環境ノイズの多い環境でもどっぷりといい音楽に浸れること間違いなしです。
Androidスマホで音楽を持ち歩くならこの環境は素敵な選択肢だと思います。
まずは、Google Play MusicやAmazon Prime Musicを「いい音」で聴きたい、というところからの入り口でも良い選択だと思います(端末機種によってはファームウェアの変更が必要ですが)。その上でハイレゾも本格的に楽しみたい。ZDC-205A-SGは手持ちのAndroidスマホを手軽に「オーディオ」にするための最適なアイテムではないでしょうか。

ただしバスパワー稼働なので、バッテリーの減りが一気に加速するため、その点はご注意を。