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■思えば深みに来たもんだ(笑)

Astell&Kern AK300」を購入しました。やはりオーディオ沼というのは本当に恐ろしい。
もう10年くらい前とかはiPodでまったり音楽を聴いていたものの、数年前に「Astell&Kern AK10」というLightning対応のUSB-DACを iPhoneにつなげ、HF Playerをダウンロードしたのをきっかけに、iTunesのAACからFLACへ、そしてハイレゾへ音源の収集も変化。
イヤホンに「Shure SE535LTD」を入手したあたりから、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)も「iPod touch」、「ウォークマン NW-A17」、「FiiO X3 2nd Gen」と変化、そしてとうとう「Astell&Kern AK300」を入手するまでに至りました。

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過去記事:私が結局イヤホンを「Shure SE535LTD」にした理由。
過去記事:私が「SONY Walkman NW-A17」に落ち着いた理由。(追記あり)


さてさて、そういえば「ちょっとイイけどお買い得」のこのブログの趣旨から余裕で逸脱する高級機「AK300」ですが、Astell&Kernにはさらに上位モデルに「AK320」と「AK380」があり、これら第3世代の「普及モデル」というのがAK300という製品の位置づけです。
かつてUSB DACのAK10を使用していた頃は、当時発売されたばかりのウォークマンNW-ZX1の価格を見て「こんなところへはまず行かないな」と思っていましたが、気がついたらそれを軽く超えるDAPを手にしていようとは、なかなか隔世の感ではあります。

Astell&Kern AK300」はAK第3世代共通DACチップ「AK4490」をシングルで搭載し(AK320とAK380はデュアル構成)、最大32bit/368kHz PCMに対応し、192kHz/24bitまでのネイティブ再生が可能。またDSD64/DSD128は24bit/176.4kHzにリアルタイムでコンバートし再生されます。非常に高いS/Nで明瞭かつクセのない音質で、低域から高域まで安定した質の高さが特徴、といったところでしょうか。

実際に新しいDAPの購入を検討し始めたのは6月に入ってからで、当初はオンキヨーの「DP-X1」か、同じAstell&Kernのモデル末期で安くなってきた「AK120II」「AK100II」(ちょうどレッドモデルが出たり)辺りが候補でした。
dp-x1 DP-X1AK100II AK70

そこで、6月下旬に、実際に手持ちのSE535LTDを使い店頭にていろいろ試聴してみることにしました。

しかし、これまで使っていた「FiiO X3 2nd Gen」と比較し、「AK100II」だと音質的に劇的な向上は感じませんでした。DP-X1や価格の下がったAK100IIと比較してもFiiO X3 2nd Genは半分程度の価格にも関わらず、第2世代AK(AK100IIを含む)と同じCirrus Logic 「CS4398」をDACチップとして搭載し、さらにチューニング的にも価格のわりにかなり善戦している、という点が大きいのでしょう。あと普段SE535LTDで使用する際はポタアンで同社の「E12A」を通してアンプ部分を強化していることも体感的な差を縮めていた要因と思います。
いっぽう「DP-X1」はESS「9018K2M」をデュアルで搭載し、SE535LTDで聴いてみた際の抜けの良い明瞭さは確かにFiiO X3 2nd Genとはひとつレベルの違うサウンドに感じました。
次に買うのはこれかな、と思ったのですが、その時、ちょうど発売されたばかりのAK300も一緒に試聴したのが失敗でした(笑)。もうレベルが全然違う(そりゃ価格帯も違いますからね)。正直なところ、以前冷やかしで試聴したAK320やAK380でも感じなかった「求めていた感」がAK300にはありました。

もしこの6月時点で「AK70」がすでに発売されていれば、AK300へは行かなかったかもしれません。でも「AK300を買いたい耳」になった後の8月にAK70を試聴しても、単にAK300への確信を深めるに過ぎませんでした。

実際、AK70ユーザーのなかでは「CHORD Mojo」を組み合わせて(さらにAK70 & Mojo専用ケースも併せて)使うパターンも多く見受けられますし、もともと「Mojo」を所有している私もAK70を購入すればこの組み合わせにすると思います(サイズ感もぴったりで、このケースを見ただけでAK70と一緒に衝動買いしそうになりました)。
ただ今回買い替えを決意したのは出張の多い仕事柄、「DAP単体で可能な限り良い音を実現したい」という理由からだったので「Mojo併用が前提」だと本末転倒かな、と思ったわけです。

このようなことを考えながら、ひと夏を経て、手元にはAstell&Kern AK300がとうとうやってきてしまいました。やれやれ。


■SE535LTDはバランス接続。ファームウェア更新でUSB Audio出力も対応

imageというわけでSE535LTDへもバランスケーブルにて接続。とりあえずは価格の安いG&VのバランスケーブルをAmazonで購入。もともとのアンバランスとくらべてほんの少しだけホワイトノイズが乗るような感じですが、音質そのものは悪くないです。この辺は今後少しずつリケーブルして試してみたいところです。
音質に関して、SE535LTDで聴く上でAK300のクオリティは個人的には申し分なく、DSDについてもPCM変換にての音質の変化が他の記事では書かれていましたが、私が所有するDSDの音源(主にポップス、ジャズ、あとはSuaraなどアクアプラス系のアニソン)ではAudioGete等であらかじめFLACに変換した音源と比較して瑞々しく心地よい音質に感じました。

また、Wi-Fi経由でファームウェアのアップデートを行い、現在のバージョンではAK70同様に「USB Audio出力」が利用できます。利用方法はUSB-OTG(On The Go)ケーブルでUSB DACに接続し、通知バーを下ろすとUSBメモリのようなアイコンを押してモードを変更するだけ。AK300をUSB-DACのプレーヤーとして利用できます。AK300クラスの製品でもったいない、とも思いますが、とりあえず「CHORD Mojo」と接続し、問題なく利用できることを確認しました。

imageAK300の仕様では32bit/384kHzのPCMや2.8MHz/5.6MHzのDSDは24bit/192kHz(DSDは24bit/176.4kHz PCM)にダウンコンバートした上で再生されますが、USB Audioの場合、DAC側が対応していれば、そのままのフォーマットで(DSDはDoPにて)転送されます。なかなか384kHzの音源はないかと思いますが、DSDについては「Mojo」経由でちゃんとDSDとして再生することができました。
この機能は個人的にはAKG K712 Proなどの「鳴らしにくい」ヘッドホンの再生や据置きのDAC+スピーカー出力で活用しています。特にAK300をLINE OUTモードでアンプに接続しスピーカー出力にした場合、私の利用環境(マランツ M-CR610+ DALI ZENSOR1)では若干平坦な音で物足りなく感じました。
手持ちの環境では据置きのスピーカー出力では「Mojo」が最強なので、ここでAK300→Mojo→M-CR610+ZENSOR1の構成が組めるのは有り難いですね。

imageまたWi-FiをつかってDLNA対応のNASなどに保存した音楽データへのアクセスや、iOS/Androidのスマートフォン・タブレットなどからの遠隔操作が可能になる「AK CONNECT」も地味(?)に便利です。
自分の部屋でAK300をUSB Audio出力でMojoと接続し、K712 Proでの利用やスピーカー出力環境で本体に入れていない音楽ライブラリを自由に聴く、というのも楽しい利用法です。
またiPadおよびAndroid用のAK CONNECTアプリは非常にわかりやすく、使いやすいと感じました。


追記: AK300など、MojoとさまざまなDAPとの連携についてのレビューを追加しました。
→ 
「FiiO L19」ほか、“Mojoと愉快な仲間たち(接続デバイス)”まとめ


■プレイリスト(.m3u)はUTF-8で保存
image音楽データが入ったmicro SDカードは、FiiO X3 2nd Genで使用していたものをそのまま差し替えて使用(SanDiskの200GBタイプを使用)。
ネットの記事だとAK300などの現在のAKシリーズは(おそらくFiiOなどを指した)中華DAPと比べて格段に使いやすいユーザ・インターフェースのような記述が多く見受けられます。確かにグラフィカルで見栄えは良く、慣れてくると聴きたい曲やアルバムへのアクセスはなかなかの操作感です。

ただ例えばアルバムソート以外では原則曲ごとのアーティスト別が優先されるので、おなじアルバムの中でアーティスト名が別れる場合(複数のアーティストが入っているサントラなどのアルバムや、feat.●●などが付いている曲など)は個別にソートされます。
またFiiOやウォークマンの場合、ループ指定などをしなければ特定のアルバムの再生が終われば自動的に次のアルバムを再生しますが、 AK300はそのアルバムで再生が終了する仕様。
そのため私がよくやっていた、プレイリストを別途作らず、適当に番号を付けたフォルダに曲を入れておき、その中のフォルダ名→ファイル名順に再生させる、という使い方はできないようです。
こうなると、私の場合、毎月の新幹線での移動などの際にあわせて数時間分のプレイリストをキチンと作っておく必要があります。

imageプレイリストもウォークマンやFiiO同様にmicro SDカード内に一緒につくった「.m3u」形式のプレイリストが使えます。私の場合は、micro SDに曲データをコピーした後に、foobar2000を立ち上げ、新規プレイリストを作成し、プレイリストに追加したい曲をmicro SDからドラッグして登録します。こうして作成したプレイリストを「Save Playlist」でmicro SD上に保存することで相対パスによるプレイリストが作成されるわけです。
→詳しくは過去記事参照:私が「SONY Walkman NW-A17」に落ち着いた理由。(追記あり)

 ウォークマンやFiiOの場合はこのままで問題ないわけですが、AK300の場合はもうひと手間必要でした。保存したプレイリスト(.m3uファイル)を秀丸などの文字コードを変更できるエディタなどで開き、文字コードを「Shift-JIS」から「UTF-8」に変更して保存し直します。これをしないとAK300では日本語のファイル名の曲をプレイリストに追加してない仕様でした(一瞬理由がわからず??となりました)。

プレイリストをUTF-8で保存し、AK300にちゃんとプレイリストを登録できれば、プレイリスト項目にカバーアートも含めて表示されます。これで長旅も安心、というわけですね。


■「歌詞」表示はタグ追加で「.mp3」「.m4a」形式で成功(FLACデータはNGぽい)※FLACも対応
AK300で音楽再生中に中央付近の3本線のマークを押すと「歌詞表示」の画面になります。ウォークマンなどの場合、音楽ファイルと同じフォルダに同じファイル名で拡張子を「.lrc」にしたいわゆる「LRC」ファイルを作成することで歌詞表示が出来ますが、AK300では残念ながら対応していないようです。

いっぽう、「Mp3tag」などのタグ付けをおこなうソフトで「UNSYNCEDLYRICS」タグを追加し、値に歌詞を書き込む方式(タグ埋め込み方式)の場合、「.mp3」形式と「.m4a」形式の音楽データで歌詞表示に成功しました。
しかし、残念ながらFLAC形式(.flacファイル)では非対応。いろいろ調べてみても良い方法はなさそうです。

ただ「.m4a」形式についてはAAC以外にALAC(Apple Lossless)でも問題なく表示されましたので、CD無劣化音質で歌詞表示をしたい場合はALACで作成、ということになりそうです。
imageimagemp3tag_lyc

ちなみに、メーカーサイトによると歌詞表示は「LDB形式」で対応とあります。
いろいろ調べていくと同社の「LDB Manager」という古いプログラム(2006年頃)のアドレスにたどり着きますが、ライセンスサーバが停止している関係もありうまく使えません。また「LDB Manager」の代替プログラムとして「K5 Lyrics Editor」というフリーソフトがあり、こちらは日本語の歌詞にも対応していますが、このソフトで作成し、歌詞を埋め込んだ音楽データでもAK300では残念ながら歌詞は表示されませんでした。なお、「LDB Manager」も「K5 Lyrics Editor」も対応する音楽ファイルは「.mp3」と「.m4a」のみで、FLACは読み込むことができません。この辺は実際に成功したファイル形式と一致していますね。

というわけで、「UNSYNCEDLYRICS」タグを「.mp3」「.m4a」に付けることを「LDB形式」とメーカーが呼んでいるのかはちょっと不明ですが、少なくとも「2006年当時に言われたLDB形式とは異なる」ことは確実なようです。なかなか紛らわしいですね。きっとメーカーもほとんどニーズがないという認識なのではと思います。

今後、もしFLACで第3世代AKでも歌詞表示が出来た、という情報があればまた紹介します。
※追記:
FLACの場合は違うタグ(「LYRICS」タグ)で歌詞を登録することができるそうです。