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■AK300に最適なヘッドホンを求めて

とうとうDAPに「Astell&Kern AK300」に手を出してしまい、バランスケーブルで「Shure SE535LTD」に接続しているこの頃、今度は自宅などの屋内でAK300につなげるヘッドホンに物欲が向いてきました。

現在所有するヘッドホンは、東京の住まいでは「AKG K240 StudioAKG C200純正リケーブル装着済み)」と「Sennheiser HD598」(通称プリン)の2種類を、福井の自宅では「AKG K550」を主に使っています。しかし、これらのヘッドホンをAK300で使うことを考えた場合、SE535LTDとAK300の組み合わせを考えると、多少スペックや音質的に見劣りする感じは否めません。
あとは福井の自宅にAKGの「K240 Monitor」というかなり古いヘッドホン(K240 Studioの前のモデル)があり、こちらも音質的にはかなりのポテンシャルがあるのですが、「600Ω、88dB/mW」という、高インピーダンス・低感度でダントツの鳴りにくさを持っており、ドライブできる環境が結構制限されます。

      

ちなみに、屋内と言えば、スピーカーを中心としたオーディオ環境では、東京でマランツ「M-CR610」(アンプ)+DALI「ZENSOR1」(スピーカー)の構成を、Macに接続したCHORD「Mojo」から鳴らしていて、いっぽう福井の自宅では最近DENONのプリメインアンプ「PMA-390RE」を購入、「JBL Control One」をはじめ複数のスピーカーを使い分けています。

外出先では「SE535LTD」を使用するものの、屋内でAK300を使うときは、より手軽なヘッドホンを活用したいと考えています。しかし、できればSE535LTDに近いレベルの解像度や音域などのクオリティ、Mojo経由でZENSOR1で鳴らしているレベルの空間表現(とできれば低音)をコストを抑えつつどこまで実現できるか、というのが目標です。

その視点で、K240 Studioはリケーブルによって解像度が大幅に向上しており、かなり良い線まで肉薄していますが、ソニーのMDR-CD900STほどではないもののモニターヘッドホンらしくダイレクトで広がりを求めるタイプではありません。
いっぽうHD598は購入当初、相性が良いと言われるFostex HP-A4との組み合わせのレベルでは満足してたのですが、AK300やMojoのクオリティでは特に高域の解像度の低さは物足りなさを感じます。ただHD598の雄大な感じすらするまったりとしたサウンドは「癒やし系」として装着感の良さとあわせて耳疲れしないのがメリットと感じています。

そんなことを考えながら、またAK300を携えて店頭へ試聴の旅に出ます。

できるかぎり先入観を持たずに片っ端から聴いていくのですが、すでに「SE535LTD耳」(笑)になっている私にはどうしてもフラット指向、高解像度指向に向かいます。当初から購入候補と思っていたAKG「K712 Pro」はやはり一皮むけたような明瞭さ、解像度の高さと広がりで好印象を持ち、また他製品と比べて価格が下がっている分お得感を感じます。
またSennheiser「HD650」も「らしさ」を感じつつ、K712 Proと共通して、フラットで非常に解像度の高い音質ながらオープン型らしい広大な空間表現が「好みの音」でした。
      
いっぽう密閉型ではこれら2機種と同様の傾向にあるソニーのハイエンド機「MDR-Z7」は手堅く、AK300でも安定していい音だと感じました。また、これらの機種とは音質傾向は違うものの、意外にShure「SRH1540」もAK300で聴いてみると悪くないかなと、これまでと違う印象をもちました。
  

まあ結局、各社のミドルエンド以上の定番機がやはり良いという至極当然な結果になりました。
(あとブランド的には「B&W P7」という線も個人的には押さえたいのですが、ちょっと側圧かきつくて残念ながら除外)

もともとK712Proを想定してフシは自分の中にあるため、他の機種もその比較になってしまうのですが、音質的にはHD650がさすが、という感じでした。HD650は一般的にアンプ側の出力が弱いと籠もったような音になる、と言われますが、AK300は直刺しでちゃんとドライブでき、霧が晴れた明瞭なサウンドとHD650の広大な空間表現を再現できました。思った以上になかなかの駆動力です。
そしてMDR-Z7は密閉型とは思えない広がりはさすが、と感じますが、正直密閉型である必要性はないため、長時間の使用も考え、K712Proでいいかな、という感じはします。
あと、これまではSRH1540はあまり女性ボーカル向けではないのかななどと思っていたのですが、AK300で聴いてみると、SRH1540もさまざまなジャンルで「これはこれで」有りだな、という印象を持ちました。広がりも思ったほど狭くはないようです。ただこれはAK300からの直差しの場合なので、(HD650などと比べて)ヘッドホンとしてのもともとの「鳴りやすさ」の勝利という側面もありそうです。ただShure製品は一部が値下げしましたがSRH1540は相変わらず値崩れしていないので、やはり割高感は否めません。

鳴りやすさという意味では、比較的鳴りにくいと言われるK712 Proでボリューム100~110くらい、インピーダンス300Ωで直刺しはしんどいかな?と思ったHD650がボリュームを125まで上げれば問題なく聴くことが出来また。さらにHD650についてはAK300直刺しではなくMojo接続で大化けする予感はあります(AK300の最大音量は150。SE535LTDは60くらいのボリュームで再生)。

いっぽう、AK300への接続でHD650、SRH1540といった両耳出しの機種なら当然バランス接続にするとさらに変化があるのでは、という気は確かにします(MDR-Z7のバランス化にはPHA-3が必要なので除外)。
ただヘッドホンの場合AK300に加えMojoを使うケースも多いこともあり、基本はアンバランスの使用が前提かなと思っているので、そうなるとこれらの機種よりひとまわり、または半額近い価格で買えるK712 Proの音質は捨てがたいものがあります。こうなるとK712Proできまりかとも思うのですが、結構似た傾向のヘッドホンばかり集めても、という話もあり(特にMojoで福井の自宅にあるK240 Monitorを鳴らすとそこそこ広がりもあり良い勝負かもしれない)、そうなると全然違う傾向のヘッドホンを、とも思います。

やはりオーディオは一期一会、もう少し、どれを買うか悩む時間を楽しみたいと思います。