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しばらく前ですが、アマゾンでコンパクトなオンイヤーヘッドホン「LASMEX C45」を購入しました。
発売当初は6,000円以上の価格のようでしたが、現在は4,000円程度、タイムセール中なら3,000円そこそこの価格で販売されている、大変コスパの高いヘッドホンです。

このタイプのオンイヤーヘッドホンは他にも数種類持っているのですが、ちょうどAKG Y40」が実売4,000円台と「LASMEX C45」と近い水準になってきています。
  

というわけで、今回はこの生い立ちの全く異なる2種類のヘッドホンを比較してみます。

LASMEX C45」の梱包を開けると、この価格帯のヘッドホンとしては珍しくしっかりとしたハードケースに入っています。ケーブルはマイク付きと無しの2種類が付属。アルミ製のハウジングの質感も良く、3000円台のヘッドホンにはまず見えない仕上がりです。
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40ミリのドライバながら比較的コンパクトで軽く、側圧もそれほど強くないので長時間の装着もさほど苦にはなりません。
また、伸縮部分も十分な長さが確保できるので(私も含め)頭の大きい方でも問題なく装着できます。 
ただし、収納用の稼動部分はちょっと壊れやすそうなため、多少取り扱いには気を使ったほうがよさそうです。
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いっぽうAKGのコンパクトヘッドホン「Y40」もC45同様に40mmのドライバを搭載しつつ、さらにコンパクトなハウジングに仕上がっています。AKGはいうまでもなく、オーストリア発祥の老舗ヘッドホンメーカーで名機K701をはじめ数々の高音質ヘッドホンを世に送り出しています。そのなかで同社のYシリーズはリファレンスモデルのKシリーズと比較し、より若いユーザーをターゲットとし、ロックやポップスなどのスピード感のある曲を想定したチューニングが特徴的。コンパクトモデルには有線タイプの「Y40」のほかワイヤレスの「Y45BT」があります。
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2つのヘッドホンを比較するに当たって、私はiPhone 6で直挿しおよびロジテック/エレコム製のLightning対応オーディオアダプタ「LHP-A192HR」を装着した場合(どちらもApple Musicで試聴)、さらにAstell&Kernの高性能DAP「AK300」でハイレゾを中心に比較しました。

■心地よい緩やかなドンシャリ「LASMEX C45」とフラットでより繊細な「AKG Y40」
まずiPhone 6直挿しでApple Musicを試聴します。「LASMEX C45」は低音協調型のドンシャリですが全体的に心地よく響きます。Apple Musicの音源の場合、低音は結構響いてきますがかといって極端に低域を持ち上げている感じではなく全体的に穏やか。iPhoneで聴く分には「刺さり」も少な目です。そのため装着性の良さもあわせて長時間でも聴き疲れをしない感じです。オフィスでのデスクワークのお供にも最適です。
ただし、この価格帯のヘッドホンですから奥行きなどの空間表現は当然数万円強のヘッドホンに比べれば相当に厳しいと思います。また中域で多少ハウジングのハコ鳴りを感じるため、曲によっては少し遠くで鳴っているように聞える場合もあります。

いっぽう「AKG Y40」ですが、同じ40mmサイズのドライバーを使用していますがハウジングはかなり小さく、文字通りオンイヤーとして耳穴に貼り付けるような装着感になります。そのため側圧は「LASMEX C45」よりは多少強いですが他のメーカーの製品に比べればそれでもかなり柔らかいほうでしょう。この程度であれば長時間でも比較的大丈夫そうです。
iPhone 6直挿しでの音質は全体的にフラットです。低音についてはYシリーズはKシリーズなどAKGのリファレンスモデルよりは全般的に厚めですが、それでもかなりフラットに押さえられた印象を受けます。直挿しの場合、音のメリハリが「LASMEX C45」より少なく、ちょっと眠い音に聞えます。そのためボリュームを余分に上げると鳴りがひどくなってしまいます。
正直なところ、直挿しでの音質はフラットとドンシャリの傾向の違いを差し引いても「LASMEX C45」の圧勝かもしれません。ドイツメーカーのブランドロゴとはいえ、中国メーカーの製品である「LASMEX C45」、恐るべしです。

■DAC/ポタアンで「AKG Y40」が激変。オンイヤーとは思えない壮大な広がり
ここで、iPhone 6にロジテック/エレコムのLightning対応オーディオアダプタ(DAC/ポータブルアンプ)の「LHP-A192HR」を接続します。
実は以前「LHP-A192HR」のレビューをした際にも記載したのですが、このオーディオアダプタを経由すると「AKG Y40」の音質は「激変」します。

image全体的に「眠い」と感じた音がクリアになり、同時にコンパクトなオンイヤーとは思えないような壮大な広がりを感じます。低域から広域までの情報量が一気に増えているのを感じ、広がりの中にも個々の音の粒を実感することができるようになります。
AKGのヘッドホンといえば「鳴りにくい」ことで有名でKシリーズも高音質のヘッドホンアンプが必須といわれます。結局直挿しを前提としているY40のようなモデルでも、本来の実力を発揮するためにはポタアン必須で、iPhoneのイヤホン端子程度の出力では全く実力が活かせないことがわかります。

image対照的に、「LASMEX C45」は「LHP-A192HR」を経由しても多少のS/Nの向上で解像度の向上は感じますがそれほど大きな音質変化はありません。LHP-A192HRを経由したAKG Y40で聞いた直後に換えてみると「いい音」と感じたサウンドも非常に狭い空間で鳴っているように感じます。
スピーカーで例えれば、LHP-A192HRを経由したAKG Y40がJBLで雄大に鳴らしているイメージに対し、LASMEX C45はBoseのコンパクトスピーカーをニアフィールドで聞いている感じでしょうか。それくらいの違いはあります。この変化はなかなか楽しいところです。

■「Astell&Kern AK300」でハイレゾを聴いてみる
image今度は、プレーヤーを「Astell&Kern AK300」に変更し、主にハイレゾ音源を中心に比較してみます。
AK300は同社の第3世代DAPのなかでは普及モデルながら一般的には10万円クラスの高級プレーヤーに属される製品です。DACチップに「AK4490」をシングルで搭載し、全ての音域で非常にクリアでバランスに優れたサウンドが特徴。DAP側の味付けがなく、非常に高レベルに再生するプレーヤーのため、ヘッドホン・イヤホンの性能や特性をダイレクトに実感することができます。

まず、この組み合わせの使用も多いAK300と「AKG Y40」での組み合わせも再確認。

image改めてY40がK712 Proなどのリファレンスモデルと比較して低音成分が強いヘッドホンであることを実感する。全体のサウンドがクリアになったことで十分な低音とあわせてハイレゾの細やかな響きなど解像度についても十分な高さを実感します。5000円そこそこのオンイヤーとしてはAKG Y40が非常に優秀であることをあらためて実感します。いっぽう解像度が上がることで「LHP-A192HR」で感じた音の広がりはずいぶん抑えられ、より近くで鳴っているように感じます。ただし奥行きは少なめですが確かに実感することができます。

プレーヤーで印象が大きく変わるのは非常に興味深いですね。

imageいっぽう「LASMEX C45」を組み合わせた場合は、S/Nの向上による音質のクリアさにより、iPhoneで聴いた場合と比較し音がギュッと引き締まります。中域のハコ鳴り感もなくなります。ただ、全体的な解像度が上がることで中広域の刺さりが若干増すため、ボリュームは少し下げたほうがいいかもしれません。距離はY40より少し遠めで空間的にはやはり平坦な感じにはなりますが、非常に聴きやすいサウンドであることは間違いないため、EDMやアニソンなどの打ち込み系の音との相性はよさそうです。

 
顔が、もとい頭が大きくて普通のヘッドホンを装着して外出するのはちょっと、という私のような方でも(笑)、コンパクトなヘッドホンなら大丈夫。またこの価格帯ならさほど躊躇なくどこへでも持っていけそうです。
iPhoneなどのスマートフォンやiPod、Walkmanなどのプレーヤーで気軽に音楽を聴くなら「LASMEX C45」、さらに「LHP-A192HR」などのオーディオアダプタを組み合わせるなら「AKG Y40」との相性は抜群。
また一般的にはAK300クラスのDAPでこの価格帯のヘッドホンを組み合わせるケースは多くはないかもしれませんが、このクラスのDAPでもしっかり聴かせてくれるコスパ抜群のヘッドホンもたまには良いものだと感じました。