■お買得?低価格・高音質な中古SACDプレーヤーを入手。
それほど多くはないですが、私もSACDのコンテンツをいくつか所有しています。
5年以上前に購入したものは、当時使用していた初期型PS3の1台でリッピングに対応できDSDデータ化することに成功していますが、そのハードは幾度の修理・再生を経てすでに完全ご臨終を迎え、現在では使用できません。DSD化に成功したものも、それ以降に購入したSACDも、基本メディア自体はプレーヤーで再生する以外の利用方法はないわけですが、東京では再生できる環境がありませんでした。
そんななか、先日パイオニアの古いDVDプレーヤー「DV-610AV」を安価(1万円以下)で入手することが出来ました。
普通に考えれば5~6年以上前のDVDプレーヤーの中古価格が1万円でも凄い高い気がしますが、このモデルは販売されていた当時から、ひとつ前の「DV-600AV」と並んで「低価格で高音質なSACDプレーヤー」として知る人ぞ知る有名モデルでした。
特に当時DV-600AVのメイン基板が140万円ほどする高級SACDプレーヤーでそのまま使われていたことが話題になり、100分の1の価格で買えると人気だったようです。
ですので現在も販売当時の新品価格並みかそれ以上の中古相場になっていて、状態の良い商品が1万円以下だとかなりお買得だったようです。
■現在の低価格SACDプレーヤー事情。
とりあえず福井の自宅ではSACDに対応するマルチプレーヤーや別の初期型PS3があるのですが、東京でも環境を持ちたいと思い、低価格で購入できるプレーヤーを物色してみました。
福井の自宅にあるパイオニア「BDP-180」や初期型PS3は基本的にSACDをPCM変換して再生します。
ですので、できればPCM変換せずにプレーヤー内蔵DACでRCAに直接出力できるものがよいのですが、そうなると現行モデルではいきなり敷居が高くなります。
そこで、まず頭に浮かんだのはパイオニアの「PD-10」および「PD-30」ですが、これらはすでに販売終了し、後継モデルはSACD未対応になってしまいました(対応するのは上位機種の「PD-70」から)。おかげで旧モデルはプレミアが付いてしまっています。底値の時に買っておけば良かったですね。
あとは低価格ではパイオニア、ヤマハの10万円近いマルチプレーヤーといったところでしょうか。(ヤマハは旧モデル「BD-A1040」がアマゾンで2万円台で購入できます)
旧モデル、と言うことになるとまずターゲットに浮かぶのはソニーの「SCD-XE800」ですが、中古も含めてこれもものが少なく安価で入手するのは難しい状況です。
旧モデルや中古でも3~4万のモデルがギリギリで、現行モデルは最低価格6~7万円、一般的には10万円前後がエントリーという、CDプレーヤーの価格帯としては完全に高級プレーヤーのみで再生できるメディアと移行しつつあるのが現状と言えそうです。
■SACD専用につきRCAで接続。マルチチャンネルはそのうち。
SACDはステレオ(2ch)とマルチチャンネル(主に5.1ch)のソースがあるのですが、とりあえずはRCAで東京のメイン環境(マランツ M-CR610とダリ ZENSOR1)へステレオ接続。
ステレオケーブルは所有していたオーディオテクニカのART LINKケーブルを使用。一般的な同社のケーブルと比較すると安価ではありませんが、効果からすると価格以上の性能があると思います。
別途AVアンプへのHDMI接続でマルチチャンネルもできますが、当面は2chのみで使うことにしました。
早速鳴らしてみたSACDの音質はなかなか期待以上です。
DSD化出来ている音源はMacからAudrivana Plus →USB-DAC経由でこれまでも再生できていますがSACDはまたひと味違う、透明感の高い音質が楽しめます。また定位感も抜群です。
このようなサウンドが1万円そこそこのプレーヤーから出ていると思うとけっこう驚きです。
そして、現在は普通には買えなくなりつつあることにちょとした寂しさも覚えます。
■DV-610AVは「DSDディスク」は未対応。PS3を利用する。
SACDと同様にDSD64の内容を一般的なDVD-Rメディアに記録した「DSDディスク」と呼ばれるフォーマットがあります。これはSACDを実装した初期型PS3や当時のVAIOなどで当時SACD推しだったソニーが推進していたものだったと記憶しています。
現在もKORGのDSD再生ソフト「AudioGate」でDSDディスクの作成が出来ます。
「AudioGate」ではCD音源やハイレゾPCMなどからもDSD化できますが、最初からDSDの音源を持っていれば変換無しでそのままDSDディスクが作成できるので、「SACD(ぽいもの)を自作する」ことができるわけです。
ただ、残念ながら、DV-610AVはDSDディスクには未対応。この辺は上記のパイオニア「PD-10」「PD-30」やソニー「SCD-XE800」は対応しているという記述がありました(ヤマハBD-A1040は未対応)。
ただ、DSDディスクはPCM変換となるものの、初期型以外(SACD未対応の)モデルを含むすべてのPS3で再生が可能です。このPCM変換のロジックが高性能・高音質、といわれたPS3ですので再生環境次第ではDSDディスクプレーヤーとして十分活躍ができます。
私は、初期型ではないモデルのPS3でSPDIF(光ケーブル)出力で176.4kHzでマランツM-CR610へ出力しています。つまりPS3はDSDディスクのDSD64をリアルタイムで176.4kHz PCMに変換しながら再生しているわけです。
さすがにCDやハイレゾ(元がPCM)から作成したDSDディスクを再度PS3でPCM変換しながら再生するのはナンセンスだと思いますが、元がDSD音源ならば再生方法のひとつとしてアリかなと思います。
■クラシックだけじゃない、でも選択肢は少ない。
ところで、SACDというと基本はやはりクラシック作品が中心になると思います。
そんななかアニソン・ゲーム音楽で高音質の作品を出し続けているFIX Recordsの昨今のアルバムはほとんどがSACDハイブリッド仕様になっており、手軽に高音質を楽しめます。
同社の「Pure ~AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS~」「Pure 2 ~Ultimate Cool Japan Jazz~」の2枚は私もリスニングテストの定番に使っているアルバムですが、音源はSACDハイブリッドで購入後DSD化して使っています。
10年前、6年前の作品ですが、どちらのアルバムも全曲が非常に高いクオリティで製作されておりリスニング環境が変化する度に常に新しい発見を今も感じさせてくれます。
最近のFIXのアルバムはハイレゾやDSD音源での購入がふえてきましたが、Suaraさんの「夢路」(リマスター版)、上原れなさんの「Emergence」はお買得な中古盤を見かけたのでハイレゾ音源に加えてSACDハイブリッドも購入してしまいました。それぞれの代表的なアルバムなので持っていても損は無いと思っています。
ただ、逆に言うと気軽に聴けるSACD作品が同社くらいからしか出ていない状況もSACDが敷居を上げ続けている要因ともいえるでしょう。まあ、SACDはDVDやBDといった現在一般的なメディアとはハード面でも一線を置く規格ですので、どんどん用途が限られるのは時代の流れとして仕方ないのだと思いますが。
ただ、昨今のハイレゾを中心としたオーディオへのニーズから、ハイレゾ→DSD→SACD、という流れでSACDへ回帰する方も増えるのではという気もします。アナログレコードと同様にSACDも改めて見直される時代がくるといいな、と夢想せずにはいられないのでした。