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というわけで、前回に引き続き、話題のイヤホン「KZ ZS5」レビューの後編です(^^)。

→ 前編:驚きのスペックと低価格で話題の中華イヤホン「KZ ZS5」を購入しました。【レビュー前編】

改めて、「KZ ZS5」は中国KZ(Knowledge Zenith)社の最新モデルで「2BA+2DD」搭載のハイブリッドで、そのデザインも含めネット上で話題になったモデル。image
現在はHCKなど中国AliExpressのイヤホンセラーおよびアマゾンのマーケットプレイスでもプライム扱いで販売されています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ZS5

2BA+2DDのドライバー構成はステム部分の中高域を担う「1205」と本体部分の超高域の「30095」という2つの中国製BAドライバーと10mmと6mmのダイナミック型ドライバーという内容です。

とにかくネット(特にTwitter)では大変な話題となった「KZ ZS5」ですが、実はこのアンダー5000円の界隈は特に日本の店頭では新旧の実力派プレーヤーが一斉に参入しています。
現在、アンダー5000円クラスで主に店頭での話題を牽引しているのはfinalの新しいダイナミック型モデル「E2000」「E3000」ではないかと思います。またZS5と同じ中国KZ社の代表的モデル「KZ ZST」も日本の正規販売代理店を通じまだ取り扱い店舗は少ないながらも店頭に登場。Twitterでも続々と購入報告がつぶやかれています。また、同じ中華系でも某巨大掲示板で圧倒的評価といわれる中国の大手メーカーXiaomiの「Mi In-Ear Headphones Pro HD」も日本版が正式参入しました。
現在販売されている、これら高評価に裏付けられた「店頭で買える・試聴できる」イヤホンと、「KZ ZS5」の違いを気にされる方もいらっしゃるのでは、と思います。
というわけで、「ZS5のレビュー後編」では、あくまで私の主観による評価ですが、これら話題の「アンダー5000円」と「KZ ZS5」との比較レビューを紹介したいと思います。比較モデルをイヤホンを「すでに持っている」または「試聴している」視点で、ZS5との違いを少しでも感じていただければありがたいです。



■「KZ ZS3」 vs 「KZ ZST」。結論、両方買って使い倒そう(笑)

imageKZ ZST」はZS5と同じKZ社イヤホンですが、日本版の発売で最近再び注目をされているモデル。1BA+1DDのハイブリッドタイプながら2000円代(店頭では〜3000円代前半くらい)の価格で購入できます。
中国で発売当初は品質にバラツキがあり、ネット上の評価も決して高くはなかったのですが、現在店頭でも購入できる紫モデルが登場したあたりから品質も安定し、またアマゾンなどでは専用のアップグレードケーブルも販売され、評価も一変。今後ますます人気が拡大しそうな注目のイヤホンです。私のブログでも以前紹介をさせていただいています。


imageKZ ZST」は購入直後と100~200時間以上エージング後で傾向が大きく変わります。エージング後の周波数特性は多少低音が強化された緩やかなドンシャリでですが、購入直後は中高域が全く出ないため、かなり「低音イヤホン」感のあるサウンドに聞こえます。その後、充分なエージングが進むと高域の伸びも良くなり本来のサウンドが楽しめます(私の場合1週間程度の出張に出ることがわりと多いので、出張期間中iPod直挿しでApple Musicの長時間プレイリストをエンドレス再生しつづける、というエージング方法をとっています)。またアップグレードケーブルにより音の解像度が上がり、イヤーピースの交換により遮音性だけでなく中低域の締まりも格段に向上しますので、交換は必須、と考えるのが良いかと思います。

ケーブルについてはZS5同様2pinのCIEM用の流用も可能です。ZSTはケーブルやイヤーピースによる変化の非常に大きいイヤホンですので、好みの音になるようにいろいろ交換してみるのも楽しいでしょう。またケーブルやイヤーピースだけでなく、特に低音の量感はDAPなどプレーヤー側の影響も受けやすいようです。

さて、「KZ ZS5」と「KZ ZST」との比較ですが、十分にエージングの進んだZSTは締まりの良い低音の量感を感じつつ、中高域も聴きやすい「わかりやすく良い音」のイヤホンになります。しっかりとした低音およびボーカルを聴きたい場合はむしろZSTのほうが好み、という方も多いかもしれません。ただ曲によってはZSTの方が高音の刺さりが強く感じる場合もあります。
imageいっぽう「ZS5」のほうは、ZSTよりボーカルに距離があるものの広い音場感と情報量の多さが特徴的で、全般的によりリッチなサウンドに聞こえます。さすがにZSTほどプラッキーではないものの、ZS5もいちおう樹脂製のハウジングを採用していますが、見た目以上にサウンドもメタルハウジングのような多少硬質な響きをするのも特徴的です。
要するにZS5のほうが多少「高級な音がする」という感じでしょうか(見たまんまですね。笑)。ただ私の場合、屋外で気軽にBGMに使う際はZSTのほうが好きかな、と思います。音質傾向も異なりますし、どちらかを入手して気に入ったらやはり両方買って使い分ける、が一番正解ですね(^^)。
ZSTは価格も安いですし、フェイスプレートを簡単にはずせることもあり、私も以前からやってますが、交換してみたり自作してみたりと、カスタマイズを楽しむ方も最近増えており、これもZSTの楽しみ方のひとつとて定着するかもしれませんね。



■「KZ ZS3」 vs 「Xiaomi Mi In-Ear Headphones Pro HD」。プラマイゼロの好敵手?(笑)

image6月に日本版の店頭販売が開始された「Xiaomi Mi In-Ear Headphones Pro HD」(以下「Xiaomi Pro HD」)は、1BA+2DDという珍しい構成をもつメタルハウジングのハイブリッドイヤホンです。ケーブル脱着不可、スマートフォン用のマイクコントロール付きのみのモデルになりますが、Xiaomiらしく非常に高品質な作りと3000円台の低価格を両立しています。
低価格スマホなどでも知られる「Xiaomi(小米,シャオミ)」は「1MORE」というイヤホン・ヘッドホンブランドも持っており、こちらの製品も多くも日本版が販売がされています。
いっぽう、Xiaomiブランドでは元々「Xiaomi Mi In-Ear Headphones Pro」(HDがないモデル)という1DD+1BAのイヤホンを販売しており、「Xiaomi Pro HD」は高音質・アップグレード版の位置付けになる製品です。

imageXiaomi Pro HD」の1BA+2DDという構成から低音が強そうにも見えますが、周波数特性は高域に特徴を持ちつつ全体的にはフラット傾向で、低域は控えめのどちらかというと高域推しのイヤホンです。
ただ標準のイヤーピースでは装着性に難がある方も多く、私も幅の広いウレタンイヤーピースを使用してホールドしています。きちんと耳にフィットした環境では非常に解像度が高くリスニング向けのサウンドながらモニター的な聴こえ方もします。

また、反応が良いためDAPによっては「高音が刺さりすぎる」場合もあります(もともとスマホ向けですからね)。

「KZ ZS5」と「Xiaomi Pro HD」の比較では、なんというかZS5の「当たり外れのリスクが否定できないが当たれば安定して良い音」に対し、Xiaomi Pro HDは「品質面の心配は無用だが、再生環境によるピーキーさで評価が分かれる音」という、なんともプラマイゼロな「好敵手」です(笑)。
ZS5の当たり外れは運を天に任せるしかありませんが(おい)、Xiaomi Pro HDについては今後店頭試聴ができる場面も増えてくればお使いのDAPなどの再生環境で聴いてみて「自分に合うかどうか」を判断できるかもしれませんね。特に高音の表現をどう感じるかはできれば試聴したほうが良いでしょう。

imageZS5は中域よりの高域(わかりやすく言うと「おっさん」でも聞こえる程度の高い音。笑)の表現は非常にリッチなので打ち込み系のサウンドでは威力を発揮しますが、アコースティックなサウンドでは「Xiaomi Pro HD」に美しさを感じる場合もあります。
また高高域(私も含め「おっさん」が結構聴こえなくなってきている音)は「ZS5」は結構割り切っているようですが、「Xiaomi Pro HD」はかなりがんばっているようです(「ようです」というのは正直私の耳ではすでに正確な判断が難しくなっているからです)。

あとは全体的な「好み」の問題ですがZS5のほうが「緩やかなドンシャリで聴きやすい音」のため、Xiaomi Pro HDの「解像度や分解度は高いがボリュームをあげると結構聴き疲れる音」より好印象になるケースが多そうな気がします。私の場合は、「Xiaomi Pro HD」はDAPより本来の用途であるスマートフォンや、あとはMacBook Proのイヤホン端子につないで使用することが多いです。この環境では見た目の相性的にも、音質的にもかなり抜群なパートナーになっています。



■「KZ ZS5」 vs 「final E2000」。完成度はE2000の「圧勝」。ただ普段使いの好みは・・・

image最後に比較するのは、日本発のイヤホン・ヘッドホンブランドfinalのダイナミックドライバー搭載イヤホン「E2000」です。
同社より発売された「E2000」および「E3000」は、シングルのダイナミックドライバーを搭載した最新の低価格モデル。「E2000」はアルミ製、「E3000」はステンレス製のハウジングを使用し、異なるサウンドチューニングが施されています。一般的にロック・ポップス向けとされる「E2000」は実売価格で5000円以下のプライスになっています。なお、E2000より音場感に優れ、オーケストラの演奏などに実力を発揮する「E3000」でも5000円台の実売価格となっています。

E2000」および「E3000」は、発売以降、その抜群のコストパフォーマンスと高音質さもあり、大変な人気ぶりであっという間に売り切れてしまい、このレビューの時点では再入荷待ちの状態です。

imageE2000」「E3000」とも上記の通り、違いはハウジングの材質とサウンドチューニングのみで、サイズなどは全く同一。いわゆる「普通カナル型イヤホン」の形状に近いですが、ハウジングは非常にコンパクトでイヤーピースのサイズを合わせれば装着性で苦労することは少なそうです。また単品売りもされているfinalのイヤーピースが5種類とシュア掛け用のイヤーフックも付属していて、大抵の人は付属品だけで自分にあった装着感を見つけられそうな点もさすが、という感じがします。
「E2000」の周波数特性は低音に厚みがあるドンシャリですが、とにかく高い解像度とスピード感のあるキレの良いサウンド、そしてボーカルが映える絶妙なサウンドチューニングは同価格帯の他の製品とはもはや別次元の仕上がりです。

image「KZ ZS5」と「final E2000」の比較では、どちらもドンシャリ傾向ですが音づくりというか方向性そのものがあまりに大きく異なるため、かなり好みの問題になりそう、というのが正直なところ。ただ、サウンドバランスというか、「音作りの完成度」や全体の「まとまり」の点ではE2000の圧勝だと思います。ZS5はXiaomi Pro HDとの比較でも記載した「高高域での割り切り」の他にも、曲によってはマルチドライバーの組み合わせによる音作りに「及第点」的な妥協を感じる場合があります。その点E2000は上記の通り他のアンダー5000円イヤホンとも「別次元」と思えるほどレベルが違います。正直このサウンドを5000円以下で買える、ということの方がかなりの異常事態なのでは、とも思えます。

しかし、コスト制約の高い上でのシングルドライバーの低価格イヤホンとしてのチューニングである点は変わりなく、ZS5のマルチドライバーならではのサウンドとはジャンルが違う音です。そういう意味で、私自身が「普段使いとしてどちらが好みか」と言われると、実はZS5のほうを挙げます。ひとつのヒントとして挙げるなら、E2000のサウンドを聴いて、「とても良い音」だとは思うが「ちょっとあっさりしてる」かなと思う方はZS5の方が好みかもしれませんね。



■ZS5は「ベスト」ではないが、できれば押さえておきたい「中華な」イヤホン


imageというわけで、「KZ ZS5」のレビュー後編では、同じタイミングで話題になっているアンダー5000円イヤホンとの比較を行ってみましたが、正直なところ、どのイヤホンも非常に優れていて比較が難しく、このネタをやったことを激しく後悔しました(笑)。
おそらく「KZ ZS5」は「(価格からは)無茶なスペックで作った及第点イヤホン」というのが適切な評価だと思いますが、いかんせん「無茶なスペック」がある分、結果として「ガチで作り込んだ」E2000等といい勝負ができてしまっている、という話かもしれません。

こう書くとなんとなく複雑な気持ちがドロドロと沸いてくる気が自分でもするのですが(笑)、ウラをかえせば「いかにも中華イヤホン」という事だとも思います。もし、こんな側面も含めて「嫌いじゃない」と思える皆様は、「KZ ZS5」に積極的にチャレンジしてみても良いかもしれませんね。


追記:新バージョンのZS5にマイナーチェンジしたことにあわせて、「新ZS5」のアップデートレビューを掲載しました。あわせてご覧頂ければ幸いです。
→ 新「KZ ZS5」編/ZS6だけじゃない! KZ人気イヤホンの「新バージョン」を深掘りしてみた【後編】