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中国のイヤホンメーカー「TFZ」の新しいシリーズ「EXCLUSIVE」より、上位モデルの「TFZ EXCLUSIVE 5」です。
9mmのグラフェンユニットのデュアル磁気回路ダイナミックドライバーをシングルで搭載するイヤホンでオールメタルの美しいハウジングが印象的です。

TFZは比較的新しいイヤホンブランドで、同社の「SERIES」ラインの製品は欧米人気が高く日本版も一部製品が販売されています。確かにパッケージングも含めて非常に欧米ウケしそうなクールなデザインは魅力的ですし、サウンドクオリティの高さも定評があります。

imageTFZが今年に入り新たに打ち出した「EXCLUSIVE」ラインでは「1」「3」「5」の3モデルが同時にリリースされており、プラスチック筐体の「1」、プラスチック筐体でフェイスプレート部分が金属製の「3」、そしてオールメタル筐体の「5」でそれぞれ異なるサウンドチューニングが行われています。
すでに最上位モデルの「KING」が先行して販売されていますが、こちらは「SERIES 5」「5s」を踏襲した筐体デザインになっています。どのモデルも既存モデルと異なり、2pinコネクタによるリケーブルに対応しています。

TFZ EXCLUSIVE 5」は現在AliExpress等にて90ドル台~と「アラウンド1万円」の価格で販売されており、他のEXCLUSIVEラインの製品と併せて良心的な価格の並行輸入版がアマゾンでも入手可能になっています。
AliExpress(Easy Earphone):TFZ EXCLUSIVE 5
Amazon.co.jp:TFZ EXCLUSIVE 5(並行輸入版)

また先日のポタフェスでも出品されていて、近く日本版も発売されると思われます。
※国内正規版も発売されました。
Amazon.co.jp:TFZ EXCLUSIVE 5(国内正規版)

今回購入した「EXCLUSIVE 5」はポタフェスでの評判も非常に良かったようですが、実際この価格帯のドンシャリ系のイヤホンでは「まれに見る楽しさ」ではないかと私も思っています。

本体カラーは「ブルー」「シルバー」「ブラック」の3色が選べます(※国内版はブルーとブラックの2色)。
細長いパッケージを開けると、イヤホン本体、交換可能な2pinケーブル、ポーチ、イヤーピースがシリコンおよびウレタンタイプあわせて9セットとなかなか充実しています。
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本体は重量感のある金属製で質感は良好。比較的コンパクトなハウジングのため装着性に難を感じるレベルではありません。光沢のあるメタルボディはなかなかの美しさです。2pinケーブルは写真で見たときより実物は弾力もあり安っぽさはありません。絡まりにくく使い勝手も良好です。

イヤーピースは、S/M/L各サイズで穴の小さい方と大きい方で合計6種類(大きい方のMサイズは装着済み分を含めて2セット)、ダブルフランジが1種類、ウレタンフォーム製が1種類と豊富な内容。これらのイヤーピースや質の高いケーブルのおかげで付属品のみで装着性に困ることは少なそうです。
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また、イヤーピースによる音質面の変化は少なめですが、環境ノイズの多い場所では穴の小さい方、ウレタン、ダブルフランジと組み合わせを替えてみると良いと思います。私の場合、出張で頻繁に利用する新幹線では遮音性が高いダブルフランジのイヤーピースを使用しています。
なお、万が一付属のイヤーピースが合わない場合は「SpinFit」などを組み合わせるのが良いと思います。定番のひとつの「final Eタイプ」もいい組み合わせです。


■抜群のバランスとシャープで力強いサウンドに魅了される


聴いた印象ですが、開封直後でもかなり楽しい音ですが低域は少し強め。
imageエージングによって落ち着いてくると抜群のサウンドバランスで明瞭さがアップします。100時間程度のエージング後の周波数特性はバランスの良いドンシャリで特に高域の伸びがこの価格帯のイヤホンの中ではかなり良いほうなのが特徴的です。
EXCLUSIVEの(KINGを除く)3モデルの中で「EXCLUSIVE 5」はより全体のバランス重視の傾向のようですが、サウンドは全体的にシャープかつタイトで、さらに高域はメタルハウジングらしくソリッドに伸びていくイメージです。
いっぽう、音場は奥行きと言うより各音域が前後に伸びるような厚みを感じる印象で、力強い低音が深く広がりを演出します。
imageそしてEXCLUSIVEラインの中で「EXCLUSIVE 5」の特徴ともいえる高域は、よく整理されてクリアで見通しが良く、特にロックやメタルのサウンドを堪能するのに絶好だと思います。
個人的にはマルチBAの情報量の洪水のようなサウンドも好きですが、「EXCLUSIVE 5」の決してBAドライバーでは出せない、文字通り「ダイナミックさ」を前面に押し出したようなサウンドはある種の快感すらもたらしてくれると思います。高価格帯の製品にはこのような素晴らしい体験を与えてくれるイヤホンは他にもありますが、アラウンド1万円の価格帯ではなかなか希少な存在かもしれません。

このように全般的に非常にクールかつパワフルなサウンドですが、分離感も比較的優れているので、EDM系やアニソンなどの音の成分か多い曲でも「楽しめる」と思います(ただし、分析的に聴くタイプではありません)。

また、CIEM用と同じ0.78mmの2pinコネクタ仕様でリケーブルももちろん可能です。Bispa<蒼>との組み合わせでもそのサウンドクオリティは同様ですが、すこし音場が広がる印象を受けました。もともと付属のケーブルのクオリティが高いので、リケーブルの効果は限定的でほぼ「見た目重視」という感じになってしまうかもしれませんね。
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いっぽう、アマゾンで比較的低価格で販売されている「SS SolidSound」の2pin仕様の2.5mmバランスケーブルを使用したところ、こちらは解像度が向上し、中高域の見通しの良さが向上。逆に低域は少しスッキリした感じになりましたが、標準ケーブルより大きめの変化がありました。
このようにリケーブルに対応していることでいろいろな変化を試せるのも楽しいところですね。


■音楽でパワーをくれる、使ってホントに楽しいイヤホン

というわけで、「TFZ EXCLUSIVE 5」はクールなブランドイメージとメタリックなデザインやつくりそのままにとにかく力強く元気なイヤホンです。TFZのイメージそのものが多少男性的な感じはしますが、その雰囲気をそのまま抜群のサウンドバランスで製品化したような印象です。
imageゆったりとした曲や静かな曲を楽しむタイプではありませんが、ロック・ポップス・メタル・アニソンなど多くのジャンルの曲を楽しめる、という点では相当オススメできるイヤホンだと思います。
私自身は、朝の時間帯でもっとエネルギーが欲しいときや、出張に向かう時に奮起したい場合など、このイヤホンはとても元気をもらえます。またTFZのイヤホンとしては、これまで試聴のみで、購入したのは「EXCLUSIVE 5」が最初でした。この「EXCLUSIVE 5」がとても良いイヤホンで気に入ったため、調子に乗って同様に新モデルの「SERIES 4」も予約注文しまいました。こちらもどんなサウンドを聴かせてくれるか今からとても楽しみです。