FiiO X7MKII

前編から少し間があいてしまいましたが「FiiO X7 Mark II」(X7MKII)の後編です。

前編はこちらをご覧ください。
→ 「FiiO X7 Mark II」(X7 MKII)最新DAPを買ってみた【到着・構成編】

もっとも、この記事を書いている現在(2017年8月21日現在)、AliEXpressの「FiiO Official Store」では「X7 Mark II」は受注停止状態になっています。原因は不明ですが、ファームウェアの変更などで次回ロットまで待ちの状態かもしれませんね。というわけで、今後受注が再開後にはバージョンアップなどで記事内容と異なる部分が出てくるかもしれませんがあらかじめご了承ください(9月中旬頃までにはOfficial Storeでの販売が再開されるという情報もあります)。
※2017年9月20日追記:無事販売が再開されましたね。現在は普通に購入が可能です。


■あらためて「FiiO X7 Mark II」と現在の状況について

FiiO X7MKII前編からの振り返りとなりますが、「FiiO X7 Mark II」(X7 MKII)は、現在日本でも販売されているFiiO社の最上位モデル「X7」の後継機種のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)になります。以前、「X7」の強化版として「X7 Pro」が出るという話があり後に正式にキャンセルされましたが、当時言われていた「メモリ2GB、ストレージ64GB」という内容は「X7 Mark II」が実装することで、事実上のPRO仕様となっています。さらにDACも「ES9028PRO」へアップグレードしています。
また本体デザインはリファインされつつ、交換可能な「X7」用のアンプモジュールと互換性を持たせることで発売当初から自分好みのサウンドにカスタマイズできる点も魅力的です(「X7 Mark II」は新しい「AM3A」アンプモジュールを標準搭載。他のアンプモジュールはオプションです)。

X7 Mark II」発売以降に下位モデルの「X5 3rd gen」(X5III)のファームウェアがバージョンアップ(FW1.1.7)し、「FiiO Music」アプリが「X7 Mark II」と同じインターフェースに変更になりました。同時にアプリの安定化が進み、一部音質面の改善があったという情報もあります。
FiiO X7MKIIいっぽう「X7 Mark II」はリリース以降、現時点ではファームウェアのバージョンアップは実施されておらず、まだまだ動作に不安定さが残ります。特にGoogle Play経由等で複数のアプリを追加でインストールしていると不安定動作が目立つようです。同様に利用環境によっては使用中の発熱量が非常に多くなり、同時にバッテリーの消耗も早くなるケースもあります。これもアプリを複数インストールしている場合、Android系のDAPでは「よくあること」なのですが、感覚的にメモリの少ない「X5 3rd gen」のほうが安定しているように思えることも少なくありません。「X7 Mark II」も安定したファームウェアに育つまでには今しばらく時間がかかりそうです。従来のパターンですと、おそらく日本国内版が登場するまでには安定しているという感じだと思います。


■X5 3rdよりナチュラルなサウンド。音場は比較的広く情報量の多い印象

X7 Mark II」は既存モデルの「X7」同様にアンプモジュールの交換に対応している関係上、最初に感じる音質傾向はこれらアンプモジュールの種類に大きく左右されます(実際問題として一定レベル以上のDAPではDACチップよりオペアンプなどの違いのほうが音質への影響は顕著に表れると思います)。ただ、どのアンプモジュールを使用した場合も、「X5 3rd」と比較すると音場は広く、いっぽうで音のメリハリは少ない印象があります。

FiiO X7MKIIX7 Mark II」に標準で装備されている「AM3A」モジュールはバランス出力に対応する「AM3」の省電力版、という位置づけですが、搭載されたオペアンプは「AM3」とは全く異なり、2.5mmバランス出力に対応する以外は特に共通点はありません。
「X7 Mark II」の中国での製品発表会でも積極的な「バランス出力推し」だったそうですが、実際「AM3A」モジュール利用時のバランス出力の音質は非常に良く、音場の広さを維持しつつ、情報量の多いサウンドで、ナチュラルに描写する美音系の傾向が確認できました。おそらくこれがX7MKIIの本来の音なのだと思います。

いっぽう、「AM3A」装着時の通常のアンバランス(3.5mmステレオ)の場合、バランスの場合より音抜けが悪くなり、鳴りにくいタイプのイヤホンの場合「もやがかかった」ような印象になります(正直、X5 3rdのほうが「良い音」に感じました)。

FiiO X7MKIIところで、「X7 Mark II」および既存モデルの「X7」はラインアウト端子は本体側に付いており、ラインアウトでの出力時にはこれらのアンプモジュールを必要としません。そこでX7MKIIのラインアウト端子にポータブルアンプを接続し、X5 3rdとの音質傾向の違いを比べてみます。
使用するポタアンにはS/N向上がメインで、音質的にはほぼ味付けがない「ALO Rx」を使用してみます。ラインアウトではアンプモジュールを経由しないため、取り外した状態でも出力が可能です。この状態での傾向も「AM3A」のバランス接続時とほぼ同様で、音場が広く情報量の多いサウンドを確認できました。
またX5 3rdと比較すると、メリハリがある代わりに高域部分にちょっと人工的なエッジを感じるX5 3rdに対してX7MKIIはよりフラットで自然な音質傾向であることが改めて確認できました。元気なX5 3rdに対しより大人なX7MKIIと、わかりやすく上位モデルらしい「高級」なチューニングだと思います。


■アンプモジュールによる音の違いを確認してみる

FiiO X7MKIIこのように、「X7 Mark II」は高性能なパーツを多く使用し最適化を行うことで、より「高級」な音質傾向になりましたが、標準装備の「AM3A」アンプモジュールはバランス出力の音質に対して、通常のステレオ出力(アンバランス)の性能にいまひとつ物足りなさを感じます。

そこで、「X7」用にこれまでリリースされている各アンプモジュールを使用して音質の違いや「X7 Mark II」との相性について確認してみることにします。

今回、「X7 Mark II」と同時期に従来から評価の高い「AM3」モジュールを購入。さらにTwitterでお世話になっているkiliko(@kiliko3611)さんから「AM5」「AM2」そして「AM1MOD」の各モジュールをお借りし、標準の「AM3A」とあわせて5種類のモジュールでの比較を行いました。
各モジュールの違いについてはkilikoさんのブログにて詳しく解説されています。
実際にこれらのモジュールを組み替えて聴いてみると、音質傾向の違いの大きさに改めて驚きつつ、「X7 Mark II」の懐の深さを実感しました。
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【AM3】 ※高出力バランス接続対応モジュール。でもバランスは元気すぎ?

まず、「X7」での評価も非常に高い「AM3」モジュールですが、通常のイヤホンでの利用では十分すぎるほどの出力が確保できます。「AM3A」で感じた音抜けの悪さはすっかり解消し、ある程度メリハリも強化される印象です。とても元気なサウンドで、アンバランスでの音質はこのモジュールが最も楽し印象です。
またヘッドホンの利用でもAKG「K712 Pro」「K701」などの鳴りにくいヘッドホンでも十分に対応できる出力が確保できます(そのわりバッテリ稼働時間は2時間ほど少なくなります)。
FiiO X7MKIIいっぽう、「AM3」モジュールでバランス出力の場合は「むしろパワーがありすぎる」くらいの感じになります。後述する「AM5」モジュールのようなハイパワーのサウンドをバランス接続でも、と言う場合は「AM3」のバランス出力は良いのではと思いますが、反応の良いマルチBAのイヤホンなどでは特性が変わるほどの大きな変化が起こる場合があります。
私の場合は先日レビューした「Rose BR5 Mk2」という5BAのイヤホンで通常は「刺さりの少ない美音系サウンド」だったのが、「AM3」のバランス接続に替えた途端「高域メインの刺さりまくる音」に激変しました。
正直好みの分かれるところですが、私はアンバランスなら「AM3」、バランス接続なら標準の「AM3A」の組み合わせが良いかなと思いました。


【AM1MOD】 ※X7標準のAM1改造品。FiiOから「AM2A」の名称で同等の正規品もあり

次にテストする「AM1MOD」は、既存モデルの「X7」に標準で装備される「AM1」を海外のユーザーグループによって改造しオペアンプおよびバッファーチップが交換されたモジュール。出力は「AM3」に匹敵するパワーを持ちます。またその後FiiO自身が「AM1MOD」の人気を受け、同等品を「AM2A」として正式に販売しており、こちらはFiiO Official Storeで購入が可能です。
FiiO X7MKIIX7 Mark II」に「AM1MOD」を装着して聴いてみると、最初の印象はわりと「X5 3rd gen」にも近く、低域の締まりの良いサウンドです。今回使用したアンプモジュールのなかで最も「解像度の高いよりナチュラルな音」というラインアウトでの印象に近く、全体のバランスの良さを感じます。
「AM3」のような元気さはありませんが、どんなイヤホンでもきちんと鳴らし、ヘッドホンでも十分に対応できる出力を確保しつつ、美音系の心地良いサウンドを堪能する上では最も「X7 Mark II」と相性の良いモジュールかもしれません。「AM1MOD」モジュールはその後、kilikoさんより譲っていただくことになり、アンバランスでは「AM3」と「AM1MOD」を使い分ける事にしました。


【AM2】 ※MUSE02を搭載した中高域推しのIEM用モジュール

FiiO X7MKIIAM2」は高級オペアンプのひとつとして有名な「MUSE02」を搭載し、主にイヤホンでの中高域の伸びの良さに重点を置いたアンプモジュールです。同じFiiOでMUSE02を搭載した「E12A」というポータブルアンプが個人的にわりと好きだったこともあり結構期待していたモジュールでした。聴いた印象としては非常にフラットで解像度の高い描写を行う感じ。どちらかというと「E12A」よりラインアウトでテストした「ALO Rx」に近いイメージかもしれません。「AM5」の差別化の意味もあり、パワーはそれほど高くはなく、ターゲットとしてはCIEMなど反応の良いマルチBAタイプのサウンドモニターを想定していると思います。逆に鳴りにくいイヤホンやヘッドホンを合わせると低域が全く出ない音になります。
私の持っているイヤホンではShureSE535LTD」との相性が一番良い感じでした。


【AM5】 ※ヘッドホンで威力を発揮する名称通りの「ハイパワーモジュール」

FiiO X7MKIIAM5」も「AM2」同様にMUSE02をオペアンプに搭載しつつ、800mWの圧倒的高出力を持つパワーモジュールです。そのため反応の良いイヤホンで合わせると低域過多でどれも同じような音になってしまいます。
いっぽう、前述のAKGK712 Pro」「K701」との相性は非常に良く、「これぞMUSE02」という感じの解像度の高いフラットな音でこれらのヘッドホンの特徴である広大な音場でしっかり定位してくれます。また、イヤホンでも同様に鳴りにくい方の HIFIMAN「RE2000」では据置きアンプ並の深みがある重厚なサウンドを体感できました。



■X5 3rdを踏襲した操作性と拡張性、オマケの周辺機器も購入してみた。

「X7 Mark II」のFiiO Musicアプリの操作性については「X5 3rd gen」の機能をほぼそのまま踏襲しています。そのため、具体的な機能については「X5 3rd gen」のレビューと同様の内容となりますので、こちらの過去記事を参照頂ければと思います。
→ 過去記事: 「FiiO X5 3rd gen」でイロイロつないで聴いてみた。【レッドモデル購入レビュー】

現時点でCOAXによるSPDIF出力でDoP(DSD over PCM)のサポートなど、X5 3rdではバージョンアップ後に実装した機能についてもすでに問題なく利用できます。
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また「X7 Mark II」ではアナログ出力(ライアンアウト)、同軸デジタル(COAX)に加え、光デジタル(Toslink)もサポートされており、3.5mmミニピン型の光ケーブルでの出力も可能です。光ケーブルの場合規格上24bit/192kHzに上限が制限されているため、DoPによるDSD再生はサポートされませんが、対応する光ケーブルを使用すればハイレゾの再生は問題なく行うことができました。
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あと余談ですが、FiiO Official Storeで、FiiOのDAP用のドック(DK1)とリモコン(RM1)のセットを購入しました。DK1は日本版のX5 3rdの発売当初にオマケで付いていたこともあり、持っている方も結構いらっしゃるのでは思います。このドックにはラインアウトが付いていますが、自身にDACは持っておらず、X7MKII/X5 3rdなどのFiiO製DAPを接続するとminiUSB端子経由でラインアウト信号をパススルーする仕組みになっています。アンプへ接続しスピーカー出力するときにはなかなか便利です。
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またRM1リモコンはBluetoothでペアリングして使用するもので、本体は丸い形状をしており、棒状のアダプタと、クルマのハンドルへの固定用のアダプタが付属しており、屋内と車載の両方で使える仕様になっています。使える機能はBluetoothイヤホンのマイクリモコン並ですが特に車載利用などではあると嬉しいアイテムではないかと思います。



■「お値段」以上のハイクオリティサウンド。今後のファームウェアのアップデートに期待。

とりあえず、2017年8月現在での「X7 Mark II」のファームウェアは不安定な部分も結構あります。
特にGoogle Playで「Apple Music」「Spotify」「Amazon Music」などのストリーミング系の再生アプリをインストールしている場合、電源投入直後でもFiiO Musicで正常再生されないことが稀にあるなどかなり顕著な不安定動作を起こします。他にも一時停止で数分くらい放置後に再生した場合にリードエラーになってアプリが強制終了する、などのケースもありました。これらの現象は追加のアプリを一切インストールしていない状態ではあまり起こらないため、ファームウェアが安定するまでは標準のままで使用した方がよさそうです。
また電源投入直後やフォーマットの違いによるモード変更時など、再生時の「ブチ」という小さいノイズも現時点では時折発生します。

FiiO X7MKIIFiiOのDAPは以前から中国などで限定的に出荷してバグフィックスを行って、安定してから大々的に出す、という傾向はよく知られています。そういう意味ではまだまだ「ベータ版」的な要素は拭い切れていませんが、9月に再出荷される頃には新しいファームウェアによりある程度安定してくれる嬉しいなと思っています。
ただ、現時点でも音質面に関しては自分にあうアンプモジュールを見つけることができれば、相当にハイレベルな「お値段以上」のDAPであることは間違いないと思います。ファームウェアの安定を待って、となると日本国内版の登場は少し先になるかもしれませんが、今後どのように進化していくのか楽しみにしたいと思っています。

※2018年2月15日追記:
国内代理店の変更などありましたが、ようやく「X7 Mark II」の国内版が発売されました。海外版の発売から半年以上が経過し、現在はファームウェアも非常に安定しています。また最新のファームウェアでは標準のAM3Aモジュールでのアンバランスの音質も改善されていますね。


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