TIN Audio T2

8月末のセール直前のタイミングで2種類の金属製ハウジングの中華イヤホン「TIN Audio T2」と「SVARA Red」をオーダーしました。実際に届いてから2週間程度経ちますが、出張で受け取りが遅れたり仕事が立て込んだりなどで、このタイミングでの紹介となりました。

購入はAliExpressのHCK Audio Storeとなります。

TIN Audio T2」の表示価格は49.9ドルと比較的安価に購入できるモデルとなっています。
AliExpress(HCK Audio Store):TIN Audio T2
Amazon.co.jp(NICEHCK): TIN Audio T2

SVARA Red」の表示価格はケーブル無しが49ドル、MMCXケーブル付きが55ドルですが、値引きにより約5,000円くらいではどちらの場合でも購入できると思います。
AliExpress(HCK Audio Store):SVARA Red

TIN Audio T2」および「SVARA Red」とも同様に私は8.28~のセール価格で購入しましたが、もしもこれから購入を検討される場合も、オーダー画面のメッセージ欄で「bisonicr」と入力頂くことで同等の割引があると思います。購入方法はこちらを参照ください(もちろん直接HCKのTwitterアカウントで交渉されるのも良いと思います)。



■「SVARA Red」シ○ア専用なデザインのイヤホン。ゲル○グの腕じゃないよ(笑)。

image中華ブランド「SVARA」のシングルドライバー仕様のカナル型イヤホン「SVARA Red」です。

このメーカーのイヤホンはインナーイヤー型の「SVARA-L」などもそうですが、メタルボディで「とにかくデザインがカッコいい!」。
今回の「SVARA Red」も「シャ○専用」を彷彿とさせるデザインで、シ○ア専用ゲ○ググの両腕がこのイヤホンでも多分気付かないじゃないか(笑)という感じもします(1/144くらいですかねー^^)。


■とにかくカッコいい低音イヤホン。サウンドは『普通に良い』。

パッケージは金属製の円形ケース。上は某超高級イヤホンでも使われているケースと同じものですがSVARAのプリントがされた同社専用のもの。
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ケースの中にイヤホン本体とシリコン製イヤーピース(S/M/L。Mサイズは装着済み)のみのシンプルな構成。ケーブル付きを購入すると別途ケーブルが同梱されます。メタルボディの赤は思ったより明るめの落ち着いた色でした。本体は左右とも全く同じ形状で区別はないため、ケーブルで左右を分ける、という感じになります。

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付属MMCXケーブルはこの価格帯の中華イヤホンを購入した際に「シルバー」のケーブルを指定するとよく付属しているタイプのもの。音質的には可もなく不可もなくですが、耳掛け部分にビニールや針金の入っていないタイプなので、「SVARA Red」のようなストレート仕様のMMCXイヤホンでよく使われるようです。

装着感は普通ですが、耳穴に向けてキチンと装着しないとスカスカの音になるため、(私も含め)耳穴の大きさや角度の関係で装着しにくい場合はイヤーピースを工夫する必要があります。また装着時のダイナミック特有の「ペコペコ」感があります。

image音質特性は低域偏重のドンシャリ。音場は狭く、ドコドコ低音が響くタイプのイヤホンです。また届いた直後は高域は少しこもった印象でしたが、エージングを100時間以上行うことで中高域も出るようになり、「低音イヤホン」の傾向は同じですが比較的良いバランスとなりました。この状態だと高域の抜けも比較的良くなり、多少の刺さりのあるメタルハウジングらしいサウンドになります。このイヤホンの評価には十分なエージングが必須のようです。(エージング後の音質で)ボーカルは多少後方で聞こえます。曲の傾向としてはロック、メタルやアニソンなどで適度な高域の刺さりと低域のボリュームが欲しい向きには良いイヤホンではないかと思います。

ただ、トータルとしてのサウンドクオリティは「普通に良い」印象ですが、以前よりは少し厳しめの評価になるかもしれません。

imageというのも、この価格帯のドンシャリ系のイヤホンでは「final E2000」など非常にサウンドクオリティの高いイヤホンが存在しているため、どうしても評価が辛口になりがちです。
店頭試聴ができない中華イヤホンでは「聴いてみて好みに合えば」ということが言えないので、どうしても「見た目が気に入って5,000円くらいなら買ってもいいかな」と思える人や、上記の音質傾向が好みの方向け、というお勧め度になってしまうのは仕方のないところです。
私自身は色々なカラーケーブルを試してみて「電車で気軽に使える低音イヤホン」として使おうかな、と思っています。



■「TIN Audio T2」見た目は地味だが驚きの実力。掘り出し物の逸品2DDイヤホン。

TIN Audio T2」はこの価格帯のイヤホンとしてはかなりしっかりした専用のパッケージに入っており、届いた瞬間から「高品質そう」な印象を感じます。
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パッケージ内容はイヤホン本体およびMMCXケーブル、イヤーピースはシリコン製S/M/Lと装着済みのウレタン製のものなど。メタルハウジングのイヤホン本体もあわせて価格以上に高級感を感じる内容です。
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付属のMMCXケーブルは1.25mm 5N無酸素銅の銀メッキ線を使用した結構しっかりしたもので、さらに3.5mmコネクタ部分にちょっと豪華なパーツが使われている点も嬉しいところです。本体はとてもシンプルなデザインですが、ビルドクオリティは高く、非常にしっかりした作りになっています。またアルミニウムボディで見た目よりは軽い印象です。ベント(空気穴)はステム下部と背面の2カ所にありますが非常に小さい穴のため、音漏れなどはほぼ心配しなくてよいレベルです。

TIN Audio T2装着方法としては通常の方法でもシュア掛けでもどちらでも使えるタイプですが、装着性はあまり良くありません。標準で装着されているイヤーピースがウレタン製であることからも想像できますが、耳奥に挿入すると言うよりは、大きめのイヤーピースで耳に密着して固定するのが最適な装着位置だと思います。
TIN Audio T2」のきちんと装着した状態での音質は、全般的に分離感の良い解像度の高いサウンドで、この価格帯としては非常にクオリティの高い、「いい音」と感じるイヤホンです。
周波数特性はわずかにドンシャリ寄りなフラット傾向。低域は少なめ中高域寄りのイヤホンで、高域の抜けも良いですが、メタルボディの尖った印象は少なく、どちらかというと中域をメインにした印象を受けます。

image低域は締まった印象ですが適度な量感で響きも良く、音場も十分な広さがあります。ボーカルは近く、密度の濃い音で息づかいまでしっかり聴かせてくれます。高域もさすがにマルチBAの精緻さには及びませんが、刺さりは控えめならが伸びが良くキラキラ感のある音です。おそらくマルチBAでボーカル曲を中心に聴かれている方にはこのイヤホンの「おいしいころ」を感じてもらえるのではないかと思います。いっぽう普段からダイナミックドライバーの方が好み、という方には2DD構成ながらあまり向いていないかもしれません。TFZ辺りとは対極の音だと思います。
その上で、どのタイプの曲でも合わせやすいサウンドですが、女性ボーカルはもちろん、案外アコースティックな曲や男性ボーカルなどとも相性が良いかもしれません。

また、個人的には、同じ直列配置の2DDで以前レビューを行ったエレコムのハイエンドモデル「EHP-SH1000」との比較がとても興味深く感じます。EHP-SH1000はフラット傾向の非常に「いい音」でお勧めできるイヤホンですが、約5,000円の「TIN Audio T2」も多少の音質傾向の違いはあるものの、「EHP-SH1000」と非常によく似たアプローチの音作りがされていると思います。「EHP-SH1000」は現在も2万円近い実売価格ですので、それを考えると改めて「TIN Audio T2」のコストパフォーマンスの高さを感じますね。
TIN Audio T2」は最近は「インパクト勝負」的な要素も多分にある中華イヤホンのなかでは見た目でも構成的にも相当に地味な印象ですが、この価格帯ではかなりお勧めできる高音質なイヤホンだと思います。


SVARA Red」と「TIN Audio T2」の2種類のイヤホンはほぼ同じ時期に同じくらいの価格で購入しましたが、私自身の好みもあり思いのほか評価が分かれました。個人的にはこのような「聴いてみなければわからない」という要素も中華イヤホンの醍醐味のひとつなので、今後もこの価格帯のイヤホンも時々買っていきたいな、と思っています。