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※2018年5月10日:
当初1本の記事だった「解説&HCK編」を「その1:解説編」(前編)と「その2:HCK編」(中編)に分割しました。本記事は「解説編」となります。

思いつきで、「手持ちのイヤホンケーブルのレビューしようかな」とツイートしたものの、書きかけのまま1ヶ月以上放置していたネタでございます( ̄。 ̄;)。
年に一度の中国最大のセール「11.11(独身の日)」を目前に控えて、もしかしたらこのタイミングでAliExpressでイヤホンケーブルの購入を検討している方もいらっしゃるかも、というわけで大慌てで仕上げることにしました(笑)。


■ケーブルの種類の違いを簡単におさらい


私が自分で購入したケーブルの紹介、ということで、今回は「MMCXコネクタ」または「CIEM対応2Pinコネクタ」に対応したリケーブル(イヤホンケーブルの交換)が可能なイヤホン用のケーブルを紹介しています。
イヤホンケーブルの材質もいろいろなものがありますが、ざっくり言うと

・高純度銅線 / 無酸素銅線(OFC線)・単結晶銅線(OCC線)など
・銀メッキ線・銀コート銅線(銅線は主にOFC、一部
単結晶銅線もあり)
混合線(銀メッキ線と銅線のミックス、銀線と銅線のミックスなど)
・純銀線
・金メッキコート銅線(銅線はOFCまたは単結晶銅線)

などがあります。
中心となる銅線では「純度(Nine)」と「線材の芯数(Core)」、さらに線材の太、場合によっては線材の加工方法(手編み線、撚り線等)、ミックスの方法(線材の種類等)あたりでバリエーションが考えられます。
「純度」は「99.995%」=4N、「99.9999%」=6N、というように9の数でNの値が決まります。ただ中華イヤホンケーブルに多い「7N」など極端に純度の高いケーブルはちょっと基準が違う気がします(じゃないとそんなに安価には流通してないうえに音質的には純度が高すぎるとむしろ音が細るという話もある)ので、特に今回の前後編で紹介するケーブルについてはN値の高い低いにこだわらず「高品質とメーカーが言ってるよ」くらいの認識で見て頂く方が無難でしょう。
「芯数」は、R信号とL信号および左右それぞれのGNDで4芯(4 Core)が最小ですが、全て2本ずつ結線する8芯、さらに倍の16芯などのケーブルもあります。
imageケーブル線材の太さは当然太い方が伝達する情報量が増えますが、金属線ですので太ければそれだけケーブルが固くなり使い回しに多少影響します。また単結晶銅線などより高純度な材質で太さのあるケーブルは線材価格を反映して比較的高価なケーブルになる傾向にあります。
いっぽう8芯・16芯などのケーブルは比較的細めの線材を複数編み込んだもの。最初から編み込まれたケーブル以外にも細い線材を「手編み」する場合も多くあります。芯数が多ければ細い線材の組み合わせでも太い線材と同様の情報量を確保しつつ、より柔らかくしなやかなケーブルが作れます(線材を覆う表皮の素材が弾力があって固い場合もあります)。また異なる材質の線材によるミックス線を作りやすいのも特徴ですね。
そして、太い線材を使用するより比較的材料原価を抑えることができます。もちろん編み込む工数(中華ケーブルには「手編み」のケーブルも多い)はそのまま人件費になるわけですが、どうも「人件費は(安いところを使えば)コントロールできるけど、材料原価は変えられない」という発想なのか、中華イヤホンケーブルではこのような8芯以上の手編みケーブルが非常に多いのも特徴的です。なお、芯数の多いケーブルは中低域が弱い、という話は、伝導性の低い材質の細い線材の組み合わせの場合はあるかもしれませんが、ケーブルの線材によって一概にはいえないなと思っています。


■ケーブルの「材質」の違いについて

次に、ケーブルの材質の違いや選び方がわからない、というご意見もときどきいただきますので、その辺をざっくり説明します。すでによくご承知の方も多いと思いますが、適当に読み飛ばしていただければと思います。また記述に誤りがあればご指摘くださいませ。

【高純度銅線(OFC/OCCなど)】
imageイヤホンケーブルに限らずさまざまなAVケーブルで使用させる最も一般的な材質が銅線です。ただ、交換用イヤホンケーブルであえて「高純度銅線」と書いてある場合はケーブルの「純度」を高めることでよりイヤホンの特性を強調させることができます。高純度な無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper、3N以上の高純度銅線)や、結晶化によりさらに不純物を取り除いた単結晶銅線(OCCという表記の場合もあり)などの素材が中華ケーブルでも用いられています。銅線は一般的な素材ですが、より高純度のケーブルは「中低域」の表現に厚みが出ると言われますまた純度が高く、「太さ」や「芯数」を確保することにより解像度および分離感の向上が期待できると考えています。特に「高純度OFC」や「OCC」の特徴が明確に出るケーブルではイヤホンの特性が強調され、より「濃い」音になります。

【銀メッキ銅線/銀コート線】
いっぽう、銅線は酸化しやすいため、被膜で保護するほかメッキ処理による保護を行うことも少なくありません。このメッキの材質によりさらに音質特性に変化があります。一般的な錫(すず)メッキの場合はほぼ銅線の特徴をそのまま反映するようですが、銀メッキ処理を行った線材の場合、通常の銅線より高域の解像度が高くなる傾向にあるようです。
Acoustuneこれは、銀が銅と比べて高域に特徴があり、さらにイヤホンケーブルでは一般的に高域の信号は線材の外側を通る、と言われていることから、銀メッキ処理を行うことで「高域は銀、中低域は銅」の「いいとこどり」の特徴をもつケーブルになる、という考え方となるようです。リケーブル用の中華イヤホンケーブルでは、これらの銅と銀の材質的な特徴から、多く使われる線材に「銀メッキ銅線」が多用される傾向にあります。ただケーブルの太さや銀メッキの処理具合によって当然バランスは大きく異なるため、一概に「銀メッキ銅線」が同じ傾向の音にはならず、同じ「銀メッキ銅線」でも比較的安価な製品では結局は銅線のほうの印象が強くなるケースも多いようです。ただ、より高純度な銅線かつしっかりしたメッキ処理を行った高級な線材では全体の分離感および解像度を底上げしつつ、高域が伸びのあるキラキラした音に変化します。これらのより特徴が明確な線材は「銀コート線」「銀コート高純度銅線」など通常の「銀メッキ線」より少し表現を変えて区別する場合もあるようですね。

【銀メッキ線&銅線のミックス線】
imageこれら銅線と銀メッキ線を編み込んだ混合線(ミックス線)も中華ケーブルでは比較的多い線材です。ミックス線にはあらかじめミックスしたうえで被膜加工を行っているものと、それぞれの線材を手編みなどで編み込んだものがあり、中華ケーブルの8芯線、16芯線などでは後者のパターンが多くなっています。ミックス線は「高純度銅線」と「銀メッキ線」の両方の特徴を持っており、全体的な音域でのクオリティアップに比較的低コストで効果が得られます。中華ケーブルの8芯または16芯のミックス線では、中低域はよりメリハリが強調され、高域の伸びは強調される、よりアグレッシブなケーブルとなる場合が多いようです。

【純銀線】【金メッキコート線】
もちろん多少高価になりますが、銀メッキではなく純銀の線材を使用した高純度の「純銀線」ケーブルも存在します。「純銀線」は銅に比べて高域に特徴があり、よりキラキラした音、場合によってはかなり高域がアグレッシブな傾向になると言われます。いっぽう中低域は銅線より繊細な傾向になるケーブルもあります。ただ銀は銅より比重が大きいため、ケーブルとしては少し重くなる場合もあります。

他にも金メッキ処理を行った銅線である「金メッキコート銅線」のケーブルもあります。ただ金メッキの質によって特に価格が大きく異なります。銀・銅と比較しても金はもっとも電導性が高く、コネクタなどでも金メッキコネクタのほうが良いとされますが、ケーブルの場合、金メッキの単価も当然ながらより高いですが、さらに線材が少ないこともあり高級なものは恐ろしく高価(10万円以上)です。中華ケーブルでは100ドル前後の金メッキ線がありますがメッキ純度の記載はなく、これら高価な製品とは「全くの別物」と考えておいた方がよさそうです(音質傾向も線材によってまちまちです)。

また、国内で販売されている製品でも「純銀線」については、「高級ケーブル」の一種のブランド的位置づけになっています。しかし、中華ケーブルにおいての「純銀線」や「金メッキ線」などの高級線材の表記は線材の製造元などが明確でない場合以外は残念ながらアテにならないのが実情です。同じようなことは純銅線における「7N」などの純度表示にも当てはまり、正直「ある程度は盛って書いている」と最初から割り切っておく必要がある、と認識ください。私のブログでも線材の種類についてはあくまで目安として紹介し、取り回しや音の変化を中心に記載したいと思っています。


■と言うわけで次回よりケーブル紹介!

えらく前置きが長くなってしまいましたが(すみません)、「その2」より実際に購入したケーブルを紹介していきます。

※追記: 好評につき中華ケーブルの「まとめレビュー」も本記事も含めて4つの記事で紹介しています。よろしければこちらもあわせてご覧ください。