Yinyoo Bellsing Hybrid

中国Easy Earphonesより販売されている「Yinyoo Bellsing Hybrid」 の紹介です。ちょっと低価格イヤホンのレビューが集中していますが、今回も同社のYinyooブランドのお手頃価格の製品で、名称のとおり1BA+1DDのハイブリッドの構成となります。またBAドライバー部分にはBellsing社製のドライバーが採用されているようです。

このように製品名に「Bellsing」というBAドライバーメーカーの名称を入れるのはなかなか珍しいアプローチだなと思います。「Yinyoo」(中国語表記では「音佑」)はEasy Earphonesなどを運営する企業母体の系列のイヤホンブランドらしく(セ〇ンプレミアムとかトップ〇リュとか、そういうイメージですね^^;)、このイヤホンも「ASY COIL IRON Earphone」という製品をパッケージも含めてそのまま「Yinyoo」のブランドで名称を設定して販売しているように見受けられます。またAliExpressでは同系統で形状が異なる製品(Yinyoo Bellsing L Hybrid)も販売されています。

Yinyoo Bellsing Hybridカラーはグリーンまたはブラックが選択できます。デザインもSHURE SEシリーズを彷彿とさせるもので、本体にはブランドロゴなどの刻印のない「無印」なイヤホンです。「個性的」な要素はほぼ皆無なイヤホンではありますが非常に万人受けしやすくまとまっている印象ですね。

購入は中国AliExpressの「Easy Earphones」、またはアマゾンのマーケットプレイス「WTSUN Audio」にて。
アマゾンの「WTSUN Audio」では3,520円で販売されています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo Bellsing Hybrid

またAliExpressでの表示価格は29.99ドルです(AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください)。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo Bellsing Hybrid

どちらの価格設定も3,000円台と購入しやすいレンジに抑えられています。


■「お値段以上」感あふれるパッケージ構成(^^;)

パッケージは3,000円台のイヤホンとは全く思えないようなしっかりしたものです。またボックスサイドにはBAドライバーメーカーのBellsing社のロゴがプリントされており、製品名が示す通りBellsing社製ドライバーを採用したハイブリッドイヤホンであることがうかがえます。
Yinyoo Bellsing HybridYinyoo Bellsing Hybrid

パッケージを開くとこのイヤホンの特徴が紹介され、引き出し式のボックスが取り出せます。
Yinyoo Bellsing HybridYinyoo Bellsing Hybrid

パッケージ構成はイヤホン本体とMMCXケーブル、イヤーピースはS/M/Lの3種類。
Yinyoo Bellsing HybridYinyoo Bellsing Hybrid

ハウジングの形状はいわゆるSHURE SEシリーズ型のデザインのプラスチック製。ステム部分はアルミ製になっています。実際にShureの「SE215SPE」と比較してみると、ハウジングの大きさはほぼ同じで多少デザインを変化させているのがわかります。装着性についてもShureのイヤホン同様に非常に高く、しっかり耳に固定することができます。
Yinyoo Bellsing HybridYinyoo Bellsing Hybrid
また付属のMMCXケーブルはTPE素材の樹脂皮膜で覆われていて、すこし硬いですが適度な弾力があり絡まりにくいタイプとなっています。もちろんMMCX規格の他のケーブルにリケーブルすることも可能です。


■「中華イヤホン的には無個性」だがオールラウンドで使えるバランスの良いサウンド

Yinyoo Bellsing HybridYinyoo Bellsing Hybrid」 の周波数特性はフラットに近い弱ドンシャリ傾向。私のブログでもおなじみKZ製イヤホンもそうですが、この価格帯のハイブリッドは最低でも100時間程度はエージングによる鳴らし込みが望ましいと思われます。エージング方法はいつもと同じApple Musicのランダムプレイリストのエンドレス再生により実施しました。
100時間以上のエージング後の印象では低域の量感がアップし、ハイブリッドのつながりが向上しました。このエージングによる変化もBellsing社製BAと搭載していたバージョンの「KZ ZST」に近い印象です(現在ZSTは黒モデルはBellsing製ドライバーを搭載していますが紫のProはKZ製ドライバーに仕様変更しています)。
ところで、このクラスの低価格中華イヤホン、とくにハイブリッドモデルのエージング効果が期待できる最大の理由は、搭載したダイナミックドライバー側の安定化にあると思います。低コストで作られる中華イヤホンで採用されるドライバー、特にダイナミック側は高価格帯の製品に採用されるものと比べて出荷時にはどうしても個体ごとのバラつきなどが多く発生します。それが一定の鳴らし込みによりある程度落ち着くようで、メーカーもこの安定した状態でBAとの組み合わせによるサウンドの調整を行っているものと考えられるからです。

Yinyoo Bellsing Hybrid約100時間オーバーのエージングを実施した「Yinyoo Bellsing Hybrid」は全体的なバランスの良さを感じるサウンドとなりました。
音場は一般的なレベルですが、低域は十分な量感をもちつつ分離感のよいサウンドです。ボーカルは比較的近くで定位し、女性ボーカルなどはのびやかに存在感を感じます。一般的なドンシャリ傾向のイヤホンより中域が厚くしっかりとした存在感を感じるため、曲によっては多少カマボコ気味に感じるかもしれませんね。高域は上記のBellsing BA搭載時期のKZ ZSTともよく似た、少し刺さりのあるキレの良い高音でこの価格帯のイヤホンとしては伸びも良好です。
正直なところ「トータルで良いイヤホンだがほぼ無個性」という印象の中で、あえて特徴を挙げるならこの「Bellsingらしい高音」ということになるのかな、と思います。Yinyooが「Bellsing Hybrid」という名称にした理由もわかるような気がします。
とはいえ非常にバランスの良いサウンドですのでジャンルを選ばず楽しむことができますし、装着性や遮音性も申し分ないですので通勤通学、ジョギング時やジムでのトレーニングのお供など、アクティブな場面でも十分に活躍できるイヤホンではないかと思います。


■マニア以外の人にとりあえず勧めやすい、お手頃価格の良イヤホン

というわけで「Yinyoo Bellsing Hybrid」は最近多少「個性的さ」をアピールしすぎ(スペックだったり音質傾向だったり)の低価格中華イヤホンのなかで「普通にバランス取れた良い音」というありそうで案外少ないイヤホンではないかと思います。
Yinyoo Bellsing Hybridどちらかというとターゲットは上記の「SE215SPE」などを検討している人たち、という印象ですね。実際、中華イヤホンに興味のない方々にも「SHUREふうの低価格ハイブリッドイヤホン」として比較的受け入れやすい製品ではないかと思います。
「SE215SPE」同様にバランスが良く聴きやすいサウンドながら高域にちょっとした主張のあるイヤホン、それでいて価格は3分の1程度で購入できる、というアプローチですね。同じような話は以前「Tennmak Pro」を紹介した際も書きましたが、こちらは「より深い低域で濃いドンシャリ」という「Yinyoo Bellsing Hybrid」とは結構真逆のアプローチになります。
個人的には「マニアではない知人」や家族に勧めやすいイヤホンがまたひとつ増えてとてもありがたく思っています(^^)