Yinyoo Pro

年明けに届いてから少し時間が経ちましたが「Yinnyo Pro」の紹介です。最近次々と新しいイヤホン製品を投入している「Yinyoo (音佑) 」ブランドの低価格イヤホンとなります。シュア掛けタイプの樹脂製ハウジングのイヤホンで、1BA+1DDのハイブリッドのドライバー構成とMMCXコネクタによるリケーブルに対応しています。
購入は毎度おなじみ中国AliExpressの「Easy Earphones」、または同社のアマゾンのマーケットプレイス「WTSUN Audio」にて。AliExpressでは 21ドル(マイク無し)の表示価格で、購入する場合は多少のフォロワー値引きにより20ドル以下の価格で購入することが可能です(ただし中国発送のため納期は半月~1ヶ月程度かかります)。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらを参照ください。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo Pro

いっぽうアマゾン(WTSUN Audio)では 3,599円 (マイク無し)にて販売されており、こちらはプライム扱いでアマゾン倉庫からの配送となりますので直ぐに手元に届きます。ちなみにWTSUN Audioでも頻繁にセールなどを実施しているのでEasy EarphoneのTwitterアカウント(@hulang9078)をこまめにチェックされることでよりお買得に購入できる場合もあります。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo Pro

Yinyoo Pro」の本体カラーはパープルとブルーの2色。どちらもフェイスプレートはグレーのカーボン柄プリントとなります。


Easy Earphonesより到着した白箱のパッケージはコンパクトでとてもシンプルなものです。
Yinyoo ProYinyoo Pro
いっぽうパッケージ構成は本体、MMCXケーブルに加え、イヤーピースは装着済み+各サイズが2系統の合計7種類、イヤーフックなどがびっしりと入っていました。
Yinyoo ProYinyoo Pro
シェル部分はパープルモデルについては内部のドライバー構成が確認できる透明感のあるもの。いっぽうのブルーは透明性の少ない加工になっているようです。どちらのカラーもちゃちな印象は少なく、全体としてとても美しく仕上がっていると思います。
付属のMMCXケーブルは、マイクモデルなしでは低価格イヤホン用では少しグレードの高い銀メッキコート線のケーブルが同梱されています(ケーブル単品1,299円で販売されているものです)。いっぽうマイク付モデルのほうはグレーのタイプになります。
Yinyoo ProYinyoo Pro
どちらのケーブルも比較的柔らかいTPE素材の樹脂皮膜で覆われており絡まりにくく使い勝手は良好です。両者の音質面での差は限定的ですが線材の原価はシルバーのほうが高いらしく、ケーブとしてのコストを抑えるために3.5mmコネクタ部分等が樹脂製になっていたりします。

Yinyoo Pro」はシュア掛けを前提としたイヤホンで装着性は良い方だと思いますが、すこし人を選ぶかもしれません。ハウジングのサイズが中華イヤホンの人気モデル「KZ ZST」等と比較すると小さいですがそれでも多少大きめなので、耳が小さな方は奥までは装着しにくいのではと思われます。その場合はイヤーピースを他のメーカーの製品に交換したりイヤーフックを利用することで最適な装着位置に固定できるのではと思います。
Yinyoo Pro耳かけ部分にワイヤーや耳かけ形状の被膜の入ったMMCXケーブルにリケーブルすることで対応するのもひとつの方法ですね。
「中身」のドライバーの大きさから空洞がかなり大きいのでもっとハウジングも小さくすればいいのに、という意見も出てきそうです。ただ「Yinyoo Pro」の形状は、後述の通り2016年頃に非常に評判の良かった「SENFER UEs」のハウジング形状とドライバー構成を踏襲しています(設計・製造は異なる工場で行われています)。中華イヤホンでは同種のハウジングで異なるメーカーや異なる工場のイヤホンが次々ブラッシュアップして登場することは珍しいことではありません。その意味では「Yinyoo Pro」は「SENFER UE」系統のイヤホンの最新モデルということになりますね。


■厚みのある低域と気持ちよい刺激の高域、そして映えるボーカル。量感あるリスニングイヤホン

Yinyoo Pro」の周波数特性はドンシャリ傾向で、低域から高域までバランス良く鳴らす印象。低域も結構厚めで深い沈み込みと響きがあるのですが、中高域も明るめで存在感がしっかりしているため「低音イヤホン」という印象より「メリハリのしっかりした元気サウンド」という感じですね。とはいえ、ZS6/ZS5のような金属質な派手さよりはかなり自然で、気軽にサウンドを楽しめるイメージです。
Yinyoo ProYinyoo Pro」の長時間エージングによる変化は限定的したが、中華系の低価格ハイブリッドはある程度のエージングによりダイナミック部分の「つながり」が良くなる傾向にあります。
ステム部分に装着されたBAドライバー(ツィーター系のドライバーと思われます)は多少金属質な刺さりがありますが、エージング後の印象としては、全体としては過度にキツくならない程度の心地良いメリハリをつくっている印象です。ハウジングから見えるのはとてもシンプルなネットワークですが、実際のサウンドは解像度も十分に高く分離性も良好です。
ボーカルは比較的近くで定位し、音場は一般的ですが曲によっては少し狭く感じるかもしれません。ポップスやアニソン等との相性が良いイヤホンだと思います。

ところで、中華イヤホンに多く親しまれている方の間では周知のことですが、「Yinyoo Pro」は前述の「SENFER UE/UEs」以外にも「BGVP SGZ-DN1」と「HCK Bro」という、既に販売されている中華イヤホンと同じシェルデザイン、ドライバー構成の製品です。すべて元々は「SENFER UE/UEs」のデザインを元にしていますが、これらのイヤホンの音質傾向は全く異なっており、異なる工場で設計・製造を行っていると考えられます。
Yinyoo Pro特に今回のYinyoo Pro」については「BGVP SGZ-DN1」と異なる工場で作られていることを直接Easy Earphoneへ確認しました。この2つは周波数特性もかなり異なっておりサウンド的にも全く異なるイヤホンです。
いっぽう、「HCK Bro」については現時点(2018年1月時点)では「Yinyoo Pro」と同じ工場で作られた「ブランド違い」らしいのですが、私の手元にある「昨年購入したHCK Broの個体」は過去記事で記載の通り、「SGZ-DN1」と周波数特性の測定結果および音質傾向と酷似しており、「Yinyoo Pro」とは異なるものです。もしかしたら現在のロットになって「Yinyoo Pro」と同様になったのかもしれませんね(未確認)。

Yinyoo Proとうことで、あえて「SGZ-DN1」と「Yinyoo Pro」を比較してみると、周波数特性的には「SGZ-DN1」のほうが中域により深い凹みがありドンシャリ傾向が強く感じます。いっぽう高域の伸びも「Yinyoo Pro」のほうが高いため、全体的に「Yinyoo Pro」のほうが力強いサウンドに仕上がっているのではと感じます。
とはいえ、もともと「SGZ-DN1」(と昨年買ったHCK Bro)もメリハリのしっかりしたイヤホンでしたが、長時間のリスニングでもあまり疲れない聴きやすさは維持したままより分りやすくオススメできるイヤホンに成長したように感じます。

最近の低価格の中華イヤホンは進化というより成熟期に入ってきたような印象もありますが、「Yinyoo Pro」もデザインやスペックに目新しさがあるわけではありませんが、同系デザインのイヤホンがこれまで数多く販売される中でブラッシュアップされ、非常に受け入れやすいバランスで仕上げられた製品になったのではと感じます。価格も手ごろですし中華イヤホンにこれまで接したことのない方にも「最初の1個」として購入してすぐに使えるイヤホンとしてオススメできると思います。この価格帯の選択肢が充実するのはとても有り難いですね。