Acoustune

香港発の音響機器専門ブランド「 Acoustune 」(アコースチューン)さんから、同社イヤホンの4機種を一気にお借りすることができました。過去にイベント等で少しだけ試聴したことがありましたが、改めて聴かせてもらうのは今回が初めてとなります。今回お借りしたのは
  • HS1551 CU」(バーガンディ×ゴールド)
  • HS1551 AL」(グランブルー×シルバー)
  • HS1004」(ブラック)
  • HS1005」(シェーディングシルバー)
の4モデルです。今回は「HS1551 CU」「HS1551 AL」の2機種を中心にじっくり聴かせて頂きました。


■まずは「HS1551 CU」 & 「HS1501 AL」、独創的デザイン&独自ドライバーのダイナミックイヤホン

というわけで、最初はHS1500シリーズの2機種。ひときわ目を引くメカニカルで独創的なデザインが特徴的なイヤホンです。上位モデルの「HS1551 CU」も下位機種の「HS1501 AL」もモジュール構造のデザインのデザインを採用していて、赤または青のアルミ切削のハウジングの中央で存在感を示している音響チャンバー部(ドライバーを格納)が真鍮製モデルが「HS1551 CU」、アルミ製が「HS1551 AL」となっています。どちらも同社独自の「ミリンクス振動膜」を更に薄膜化した第3世代バージョンの10mmダイナミックドライバーをシングルで搭載し、同社のダイナミックドライバーに対する並々ならぬ思いを感じますね。
Amazon.co.jp: Acoustune  HS1551 CU49,800円(税込)
Amazon.co.jp: Acoustune  HS1501 AL44,800円(税込)

Acoustune
カラーバリエーションは「HS1551 CU」が「バーガンディ×ゴールド」(赤と金)と「グランブルー×ゴールド」(青と金)、「HS1551 AL」は「グランブルー×シルバー」(青と銀)のみとなります。
ちなみにこのデザイン、私は結構好きです。金属ハウジングの重量感のあるデザインですし、後述の通り、とにかくこだわり抜いた「超ごつい」ケーブルもあって「屋外で気軽に」というわけにはちょっと行かないですが、まあカッコイイは正義です(笑)。
AcoustuneAcoustune
しっかりとしたアタッシュケースふうのボックスの中には、これまた相当にごついケーブルが装着されたイヤホン本体、レザー製のイヤホンケース、ケーブルタイが革製とマジックテープタイプの2種類。イヤーピースは最近イヤホン好きの間では結構おなじみの「ATE07」(開口部の大きい方・ブルー)と「ATE08」(同じく小さい方・イエロー)がS/M/Lの各サイズ、さらにデュアルフランジタイプ(ATE06)とウレタンタイプ(ATE02)が1種類ずつと、なかなかの充実っぷりです。この構成内容は「HS1551 CU」だけでなく「HS1551 AL」のほうも共通です。
付属の「超ごつい」MMCXケーブルは、サイトの情報によると「極細線OFCワイヤー114本3重シールドと共に編組したケーブル」の4芯線とのことですがなかなかの存在感を感じます。
AcoustuneAcoustune
また今回お借りしたセットには、別売りの2.5mm/4極と4.4mm/5極のバランスケーブルも同梱頂きました。最近イヤホンケーブルをやたら購入している私も思わず「じゃあケーブルだけでも買おうかな」とちょっと思ったりしています(^^)。それぞれのケーブルは専用ケースとセットで1万3千円~1万5千円程度で販売されています。
・Acoustune MMCXリケーブル ARC01(3.5mmステレオ)ARC02(2.5mmバランス)ARC03(4.4mmバランス)

Acoustune私はイヤーピースは開口部の大きい「ATE07」を使用しました。今回付属しているイヤーピースのなかではもっともイヤホン本体の音質傾向をダイレクトに感じるタイプです。ちなみにイヤーピースによる変化はATE07 < ATE08 < ATE06(デュアルフランジ) < ATE02(ウレタン)の順で低域が強く感じます。
装着感はシュア掛けでは個人的には思ったより問題ありませんでした(本体形状的にはシュア掛けせずに装着することも可能ですが耳に当たる部分があるためおすすめしません)。心配した「ごつい」ケーブルはけっこうクセが強めですが、シュア掛けで耳にケーブルをまわす際も変に跳ねたりすることはありませんでした。もしかしたら貸出し期間のうちに「こなれてきた」のかもしれませんね。とはいえ、歩き回ったりすると外れてしまう可能性もあるかもです。


■「HS1551 CU」 / 低域が印象的ながら優れた分離性でバランスの良い上品なサウンド

というわけで、早速2つのイヤホンを聴いてみたいと思います。
HS1551CUまず上位モデルの「HS1551 CU」の聴いた印象ですが、非常に中低域が上質なイヤホンだと感じました。とはいえ高域もしっかり表現できており、全体的にとても丁寧に音を表現しているように思います。メカメカしいデザインとごついケーブルなどの全般的な見た目に対してサウンドはとてもウォームで、イヤホンらしからぬ包み込むような音場の広さが印象的です。そして「HS1551 CU」で最も特徴的な低域は深く響き、しっかり沈み込みます。とはいえ全体的に分離感にとても優れているため、とても締まりが良く中高域の抜けの良さを感じます。解像度はこのクラスのイヤホンとしては十分に高いもののどちらかといえば自然な描写に近い印象です。
全体的なサウンドとしては臨場感のある低域に加えて中高域の情報量も多く、かなり濃厚なイヤホンだと思います。また高域は刺さるような音ではないので、まとまりのある「聴きやすい音」だと思います。

ところで、「HS1551 CU」のインピーダンスは32Ω、感度110dB/mWとイヤホンとしては一般的でどのようなプレーヤーでも鳴らしやすいスペックです。ここで、より出力のあるDAPやポータブルアンプを利用することでより濃さが増したサウンドを実感します。印象としては低域の臨場感に加えて全体的な情報量もアップしより近くで定位します。
HS1551CUHS1551CU
また、オプションのバランスケーブルによるバランス出力ではサウンドのキレがアップし、より鮮やかなサウンドになりました。ただしDAPによっては低音が強くなりすぎるような印象もありました。


■「HS1501 AL」 / より響く重低音と厚みを増した中域でボーカル映えするサウンド

いっぽうの「HS1501 AL」のほうですが、こちらはチャンバー部分もアルミ製ということもあり、真鍮製の「HS1551 CU」より本体そのものはかなり軽い印象をうけます。もっとも例の「ごついケーブル」を付けた状態では両方の違いはあまり感じず、装着感もほぼ同様です。
HS1501ALHS1501 AL」と「HS1551 CU」の違いは基本的にチャンバー部分の材質ですが、ここが真鍮からアルミに変わることで全体的な締まりや分解能、中高域の鮮やかさなどの部分が「HS1501 AL」のほうが弱くなります。アンバランスの出力がフラットなDAPの場合、両方を比較するとすこし膜がかかったような印象に感じることもありました。しかし、いっぽうで「HS1501 AL」は重低音がかなり分厚くなっており、DAPによっては演出過剰気味の響き方をします。同時に中域、特にボーカルなどの帯域も厚くしている印象です。「HS1501 AL」は「HS1551 CU」に比べてよりポップスやロックなどのボーカル曲が映えるようなセッティングになっているようです。また高域の伸びは「HS1551 CU」と比べると少なめの印象です。

さらに「HS1501 AL」もポータブルアンプや据置きヘッドホンアンプなど出力を確保できる環境ではこの傾向はより顕著となり、かなり中域押しのサウンドになります。再生側の出力による変化は「HS1501 AL」のほうが大きく、曲によっては多少聴き疲れするかもしれません。バランス接続では多少解像度の向上が確認でき、ジャズなどでは定位感がよりしっかりした印象となりました。
HS1501ALHS1501AL
やはり「HS1551 CU」を聴いた後だと性能差を感じずにはいられませんが、「HS1501 AL」も全体としては非常に聴きやすいイヤホンであることには変わりなく、より気軽にボーカル曲を楽しみたかったり、低域の厚みや音場の広がりをしっかり実感できるイヤホンだと思います。また曲のジャンルとしてはポップスやロック、アニソンなどが向いているのですが、個人的には「fripSide」の曲は「HS1501 AL」のほうが相性の良さを感じたのが印象的でした(「HS1551 CU」だとすこしボーカルが凹んでしまったので)。


■正統進化の源流を感じる「HS1004」と他とは異なるキラキラした高域が印象的な「HS1005」

また、今回お借りしたセットのなかには、Acoustuneの既存モデル「HS1004」と「HS1005」も同梱頂いていました。どちらもひとつ前の世代の同社製10mmのシングルダイナミックドライバーを搭載する金属ハウジングのイヤホンです。

まず「HS1004」を聴いた印象は、上記のHS1500シリーズにつながるAcoustuneの直系を感じさせるサウンドバランスです。こちらのほうがインピーダンス16Ω/感度110dB/mWと少し反応が良いため「Shanling M3s」などのようにコンパクトながら駆動力のあるDAPではより元気なサウンドに感じます。改めて「HS1551 CU」「HS1501 AL」で、より「上品なオトナなサウンド」にアップグレードしたのだなというのを感じますね。
HS1004HS1005
いっぽうの「HS1005」ですが、他の3つ同様にすっかり中低域メインのイヤホンと思って聴いたところ、他とは全く異なり「高域をしっかり攻めるタイプ」だったのでちょっと意表を突かれました。同社の「HS1003」を2.5mmバランスコネクタにしたバージョンという認識なのですが、非常に伸びの良い高域で金属イヤホンらしいキラキラした音の出るイヤホンでした。いっぽうで中低域も「HS1004」同様の元気の良さがあり、とても楽しいイヤホンですね。ただしDAPの出力が高いと刺さりが強くなりバランスが崩れてしまう傾向もあるようです。


Acoustuneというわけで、Acoustune の4種類のイヤホンを約2週間お借りしてそれぞれのサウンドをたっぷりと堪能することができました。今回のような機会をご提供くださった同社および支援をされている方々には改めて感謝を申し上げます。
今回紹介したHS1500シリーズについては2月に新機種の「HS1503 AL」という「HS1501 AL」の流れを組みつつより高域にフォーカスしたモデルが発売されました。「HS1551 CU」「HS1501 AL」が中低域メインでとても好印象のイヤホンでしたので、新モデルでどのような変化を遂げているかも気になるところです。今後のモデルについても機会があれば是非とも聴いてみたいと思っています。