AAW ACCESSPORT

このところ私のブログも中華イヤホンや中華イヤホンケーブルなど中華ネタが主流になっている感じも強いのですが、かの中国も春節休みに入っていることもあり、今週は違う内容で書こうかと思っています。というわけで、今回紹介するのはLightningコネクタ対応、iOSデバイス用のオーディオアダプタ「AAW ACCESSPORT」です。

AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT」は、シンガポールのCIEMを中心としたオーディオメーカー「AAW (Advanced AcousticWerkes)」社と米国「ADVANCED」社のコラボ製品で、もともとADVANCED社より「ADVANCED Accessport Lightning」という商品名で日本国内でも別の代理店より販売されています。今回の「AAW ACCESSPORT」はeイヤホン(株式会社TMネットワーク)が国内総代理店として輸入販売を行っているモデルになります。

なお、AAW社からはMMCXまたはCIEM 2pin仕様のイヤホン用のDAC内蔵Lightningケーブル「AAW CAPRI」も販売しており、私も以前購入しレビューを行っています。こちらとの音質の違いも気になるところです。
→ 「AAW CAPRI 1.2」2pin対応Lightningケーブルと相性のよいイヤホンを探してみた【購入レビュー】


■「AAW ACCESSPORT」を実際に購入してみた。

AAW ACCESSPORT」の国内版の販売価格は7,020円(税込み)でeイヤホンおよび同社が出店しているネットショップで購入が可能です。
AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
パッケージの内容は「AAW ACCESSPORT」本体、ユーザーガイド、国内版の保証書。本体は、凹凸のある方の面は「ADVANCED」、フラットのほうの面は「AAW」のロゴがLightningコネクタに記載されており、本体側もそれぞれの意匠が記載されたデザインになっていて、デュアルブランドの製品であることがわかります。
AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
AppleのMFi(Made For iPhone/iPad/iPod)認証を取っているLightningオーディオアダプタの多くは3.5mmのステレオミニ端子のみの製品がほとんどですが、「AAW ACCESSPORT」はLightningケーブルを接続するポートも備えており、「充電しながらの使用」ができる点は日常使いをする方からは有り難い仕様ではではないかと思います。また側面には再生・停止・音量・曲送りなどを行うボタンがついています。
AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
実際にiPhoneなどのiOSデバイスに接続して使用する場合、「AAW ACCESSPORT」のみを接続しただけでは特に反応せず、3.5mmステレオミニ端子にイヤホン・ヘッドホンを接続してからONになる仕様となっているようです。

AAW ACCESSPORT」をまず最初に接続した際、専用アプリのダウンロードが促されます。いったんキャンセルしてもそのまま使用することが可能ですが、以降は同様のアラートは表示されないため、専用アプリは個別のインストールが必要になります。「AAW ACCESSPORT」のファームウェア更新専用アプリはApp Storeで「Advanced Sound」と検索すると表示されます。
iTunes Store(日本): Advanced Sound

AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT
ファームウエアの更新方法はとても簡単で、専用アプリを起動し、「AAW ACCESSPORT」を接続すると、更新が必要な場合指示が出ますので「↓」マークをタップしてアップデートを行います。アップデートが完了すると「✓」マークに変わるので、いったん「AAW ACCESSPORT」を取り外し、アプリを終了します。
この記事を書いている時点のバージョンでは「V1.1.4」が最新でした。


■高出力で大抵のヘッドホンで威力を発揮。ただイヤホンには不向き

AAW ACCESSPORTAAW ACCESSPORT」はインピーダンス300Ωのヘッドホンにも対応する高出力とのことで、実際に試したところ手持ちの大抵のヘッドホンで実力を発揮することができました。もちろん高い出力を行えばそれだけiPhoneなどの接続するデバイス側のバッテリ消費が進むわけですが、ここでLightning端子による「充電しながら使用」ができるという点が意味を持ってきます。ちなみに、「AAW ACCESSPORT」のDAC仕様は24bit/96kHzとなっていますが、AppleのLightningコネクタの出力制限(LAM=Lightning Audio Module)の仕様により、「HF Player」や「NePlayer」などのハイレゾ対応のiOS再生アプリからでも24bit/48kHzでの出力が最大となります(この辺は「AAW CAPRI」も同様ですね)。これらのハイレゾ対応のプレーヤーで例えば24bit/96kHzの音源を再生しても48kHzにダウンサンプリングして再生されます。また、上記のファームウェアのアップデート実施後もハイレゾ再生の24bit/48kHz制限は特に変化はありませんでした。

AAW ACCESSPORT」を使用した際の印象はスマートフォン用のオーディオアダプタに比較的多い明るめのサウンドにするタイプですが、味付けはナチュラルでヘッドホン・イヤホンの個性を活かすタイプです。
AAW ACCESSPORTこの辺は以前レビューした「AAW CAPRI」とも似た傾向のようです。iPhone 6sまでのステレオミニ出力がついていた機種で直挿した場合と比較すると歪みが激減し、雑味の少ないスッキリしたサウンドへの変化を大きく実感すると思います。もちろんiPhone7以降に付属のLightning-ステレオアダプタとの比較でも十分に導入効果を実感できるはずです。また「AAW ACCESSPORT」は過去に購入したMFi準拠の小型オーディオアダプタと比較すると明らかに駆動力があり、音の濃さや音場の広さはバッテリ稼働するDACやポータブルアンプを接続したときに匹敵するほどのサウンドを実現しています。
いっぽう、「AAW ACCESSPORT」は高出力が確保できる分、CIEMなどの敏感なイヤホンでは接続した瞬間から大量のホワイトノイズが発生します。これはダイナミック型でも「TFZ EXCLUSIVE KING」など比較的反応の良いイヤホンでも同様で、一般的なイヤホンでも多少のホワイトノイズは感じるようです。なお、「AAW CAPRI」についてはかなり敏感なCIEMでもノイズの無いサウンドが使用できますので、同社としてはこの辺で「使い分け」を想定しているのかもしれませんね。

AAW ACCESSPORTいっぽう、ヘッドホンでの利用では多くのヘッドホンで十分な出力と歪みの非常に少ないサウンドを確認できました。300Ωまでの対応とのことですが、いちおう手持ちの最も鳴りにくいインピーダンス600Ωの「AKG K240 Monitor」というとても古いヘッドホンでも最大音量近くまでボリュームを上げる必要はありましたがほぼ普通に使用することができました。ただ、これらのヘッドホンを使用すると結構なスピードでiPhone側のバッテリは消費してしまいましたが・・・。このように「AAW ACCESSPORT」はヘッドホンと一部の高インピーダンス&低感度のイヤホン専用のオーディオアダプタと考えた方が良さそうです。


■「AAW ACCESSPORT」の音質を「nano iDSD BL」および「Mojo」と比較してみた。

さて、とりあえず「高出力でヘッドホン向き」であることがわかった「AAW ACCESSPORT」ですが、実際の音質はどの程度のレベルなのかというのが気になります。そこで、iFI Audioの最新モデル「nano iDSD BL」と、毎度おなじみCHORD「Mojo」の英国勢スマホ対応DACの2強(笑)と比較してみました。
nano iDSD BL  
さすがに7,000円ほどの「変換ケーブル」然とした「AAW ACCESSPORT」をこの2つと比較するのは酷な気もしますが、実際の利用では、どの程度この辺の機種の代替となり得るかと言う点がポイントではないかと思っています。比較に使用したヘッドホン・イヤホンはAKG「K712 Pro」とHIFIMAN「RE2000」、音源はApple Musicのストリーミングと「NePlayer」によるFLAC(16bit/44kHz、24bit/48kHzハイレゾ)です。

まずAKG「K712 Pro」を使用しての印象ですが、「AAW ACCESSPORT」はこのクラスのヘッドホンにも十分に対応する出力とはいえ、比較するとやはり「駆動力の差」を大きく実感しました。
AAW ACCESSPORTそもそも圧倒的な高出力を持つ「Mojo」や、「BL」にモデルチェンジし、デュアルモノアンプを搭載することで劇的な出力向上を果たした「nano iDSD BL」との差は、聴いた印象として如実に表れます。同程度の音量の場合、これらのDACで聴いた後に「AAW ACCESSPORT」で聴いてみると、どうしても多少平坦な音に感じ、エッジが少しぼやけたような印象になります。ただAKGのK700シリーズはスペック以上に「鳴りにくい」ヘッドホンと言われており、購入時当時は手持ち機材では十分に出力の取れる据置きのDAC/ヘッドホンアンプでようやく満足のいく音が出るといった感じでした。それを考えると「AAW ACCESSPORT」はよく善戦している方だと思います。

いっぽう、HIFIMAN「RE2000」ですが、こちらは高級イヤホンということもあり、ヘッドホン並みの反応のためホワイトノイズはもちろん発生しません。「nano iDSD BL」との比較では、音場は「AAW ACCESSPORT」が同程度の広さを確保できており、サウンドバランスもフラットでよく似た傾向にあります。ただし「nano iDSD BL」のほうが高域のキレが良くスッキリした印象なのに対し、「AAW ACCESSPORT」は少し大人しめに感じます。
AAW ACCESSPORT特徴として高域のS/Nが非常にクリアな「nano iDSD BL」は「AAW ACCESSPORT」より空気の膜を少し取って一歩近づいたような明瞭感を感じます。とはいえ「AAW ACCESSPORT」も十分に「RE2000」の特徴を活かしており、駆動力的にも音質的にも相性が良い印象を受けます。
そして、「Mojo」と「AAW ACCESSPORT」を比較すると、音場は「Mojo」が少し狭く響きを抑えた印象で中域がより前方に定位します。「Mojo」は弱カマボコ気味の中域推しの傾向が強いDACですので、どうしても「Mojoの音」になります。ただし、特に中域の情報量というか、解像度という点では、独自のデジタル処理を持つ「Mojo」が圧倒的な強さを見せる部分で、特に「NePalyer」によるFLAC音源の再生では(アップサンプリングOFFの設定でも)より違いを実感しました。この辺は傾向が全く異なるため「結構好みによる」のではという印象でした。


というわけで、「AAW ACCESSPORT」はホワイトノイズの問題もありイヤホンでは実用的な機種が限られてくるものの、iOSデバイスでヘッドホンを気軽に使いたい、特に外出先でヘッドホンを使用する方にはとても便利なアイテムではないかと思います。「俺はワイヤレスより有線だ!!」というヘッドホン愛用者の方は一度検討してみるのも良いと思いますよ(^^)。

【新製品】AAW ACCESSPORT MFI取得 ハイレゾ対応DAC iPhone、iPod用DAC

価格:7,020円
(2018/2/17 18:11時点)
感想(0件)