NICEHCK DT300

またまた到着から2週間ほど経過してしまいましたが、毎度お世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」オリジナルブランドの新製品「NICEHCK DT300」です。シュア掛けタイプのコンパクトなハウジングのトリプルBA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを搭載したイヤホンになります。

■「HCK版SE535」のトリプルBAデザインだけど、全く違うリスニング向けのサウンドチューニング

本体デザインは「Shure SEシリーズ」タイプで、BAドライバーの設置レイアウトも有名なShureの3BAのモニターイヤホン「SE535」を彷彿とさせるものになっています。HCKのTwitterアカウント(@hckexin)でもSE535を意識した内容で紹介していることもあり、以前から「SE535LTD」を愛用している私としてはとりあえず比較しながらのレビューをした方が良いのかな、という気分になりますね。ちなみに今年に入って、HCKからは「DT100」というシングルBAのイヤホン(年末年始の福袋イヤホンですね)があり、こちらはトリプルBAなので「DT300」という製品名だと思いますが、イヤホン本体部分の製造元は全く異なるようです(個人的にはシェルのデザインとグリーンのイヤーピースなどから「ADVANCED MODEL 3」という有線/無線兼用ダイナミックイヤホンの本体部分と同じ製造元かな、という気も。そいえば「MODEL 3」に付属のBluetoothケーブルはAliExpressでHCKが販売する「HB1」にソックリですね^^;)。
閑話休題、「NICEHCK DT100」のカラーは、「クリア」「グレー」「ブルー」の3色から選択が可能です。

NICEHCK DT300」はアマゾンのNICEHCKマーケットプレイスにて 16,500円 の表示価格ですが、現在は購入割引のプロモーション中ですので自動的に600円程度値引きされるようです(さらに合計金額が20,000円以上になると追加の値引きが発生します)。
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK DT300

現在のところ「NICEHCK DT100」はアマゾンのNICEHCKマーケットプレイスのみでの販売となり、AliExpressの中国ストアでは取り扱っていません。なお、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)では頻繁に値引き情報などがツイートされるため最新情報をチェックすることでよりお得に購入できる場合もあります。

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到着した「NICEHCK DT300」は、最近の同社製イヤホン共通のボックスで、裏面に製品名などが貼られています。私は「グレー」でオーダーしました。ボックスの中にはHCKのオリジナルイヤホンケースが入っており、その中に本体および付属品が同梱されています。
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パッケージの内容はイヤホン本体、純正MMCXケーブル、ウレタンイヤーピースがライトグリーンが1個、ブラックの大小1個ずつ、開口部の小さいイヤーピースがS/M/Lも3サイズ、ケースと保証書となっています。

イヤホン本体のハウジングはプラスチック製。アマゾンの販売サイトに掲載の写真の「ライトグリーンのウレタンイヤピとの組み合わせ」がどうにもオモチャっぽく見えてしまうのですが、実物はとてもしっかりした作りで、Shure SEシリーズの製品と比べても質感的に遜色は無い感じです。
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実際に手持ちの「SE535LTD」と比較してみると、大きさはほぼ同じですがハウジングの形状的には結構違うことがわかります。ただステム部分もShure製品と同様に樹脂製で細いタイプは案外ありそうでなかったと思います。
そのため付属のイヤーピース以外を使用する場合はShure用の口径を選択する必要があります。私はストックしていたShure用のSpinFitを使用しました。この細いステムの関係もあり、装着性および遮音性についてはShure製品同様に高く、街中や電車内での使用にはかなり威力を発揮できそうです。


■SE535と異なりリスニングに寄せたチューニング。駆動力のあるDAPやバランス接続でより濃厚サウンドに。


NICEHCK DT300」を聴いた印象は「Shureっぽい音を相当聴きやすくリスニングチューンされたイヤホン」という感じでした。実際、「NICEHCK DT300」の周波数特性そのものはフラットに近いものの弱ドンシャリ傾向で「SE535」「SE535LTD」のサウンドとは結構異なります。「SE535」や高域の伸びが強化された「SE535LTD」が完全なフラット傾向のモニターサウンドなのに対し、「DT300」は多少音場感をアップし、より明確にリスニング向けの調整が行われているようです。
NICEHCK DT300高域の伸びの良さが特徴的な「SE535LTD」(赤いほう)が非常に有名なため忘れがちですが、ベースとなった「SE535」(グレーのほう)自体は高域より中低域に寄ったモニターイヤホンです。「SE535」は音場は狭く、響きもかなり抑制されていますが、ひとつひとつの音を精緻に聴き分けることに優れた、まさに「業務用のイヤホン」といった感じです。
いっぽうの「NICEHCK DT300」は、SE535同様にボーカルなどの中域は近くで定位する、マルチBAらしい解像度高めのサウンドですが、フラットなSE535より中域にわずかな凹みを持たせることでより立体的で奥行きのある音場感をつくり、リスニング的な楽しさを演出しているように感じます。
また製品化段階で追加されたというステム部のフィルターによる効果か、高域はある程度しっかりと表現しつつ刺さりなどはほぼ無いウォームなサウンドにまとめられています。結果的に両社は似たレベルのクオリティを持ちながらもかなり聴いた印象の異なるイヤホンに仕上がっていると思います。「似たレベル」と簡単に書きましたが、SE535やSE535LTDの価格を考えると「NICEHCK DT300」のお買得度はとても高いように見えますね(^^;)。

ちなみに、標準のグリーンのウレタンイヤーピースは低域の厚さは増すものの明瞭さが多少失われる印象であまり好みではありませんでした。付属のイヤーピースの場合は「Shureぽい」開口部の小さいシリコン製のほうが良い印象だと思いますが、できれば他社製のShure用イヤーピースに交換した方がいいでしょう。前述の通り私はSpinFitを合わせましたが、ウレタン系でもコンプライだとまた少し印象が変わるようです。
NICEHCK DT300また、「NICEHCK DT300」もSE535同様に敏感なイヤホンのため、再生環境によってはホワイトノイズを発生します(最近は中華系でも低価格のマルチBAが増えており、同様に感度の高いイヤホンも数多くあるので数年前ほどこの点がネックになることは少ないと思いますが)。
しかし、例えば「AK300」など、S/Nは非常に高いかわりに出力がそれほど強くないDAPで「NICEHCK DT300」のサウンドを聴くと、少しモッサリした雰囲気に感じる場合があります。しかし鳴りの良いDAPでさらにポータブルアンプを使用することで(私は「aune B1 (2017)」を使用)特に中域付近の密度が大幅に向上し、非常に濃いサウンドに感じました。同様にコンパクトDAPのなかでは比較的駆動力の高い「Shanling M3s」等とも相性の良さを感じました。

同様の効果はバランス接続により出力を得やすくすることでも確認することができます。HCKではアマゾンで4芯シルバーメッキの撚り線ケーブルと、赤白の8芯ミックス線ケーブルを販売していますが、「NICEHCK DT300」をMMCX対応のバランスケーブルにリケーブルするのも使用するDAPがバランス接続対応していれば楽しめると思います。
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他にも以前中華ケーブルのまとめレビューでも紹介している中国「LZ」ブランドのケーブルも比較的買いやすい価格で品質が高くおすすめです。日本では七福神商事さんがブラックの銀メッキ単結晶銅線ケーブルの各仕様を販売しています。ただHCKの赤白ケーブルもLZのブラックケーブルも人気のあるコネクタ仕様は入荷してすぐに売切れてしまうようですので興味のある方は見つけたときに押さえた方が良いかもしれませんね。

NICEHCK DT300あと、これも最近のShureぽい使い方と言えるかどうかわかりませんが、Shureが自社イヤホン用のオプションのひとつとして販売しているLightning対応ケーブル「RMCE-LTG」もMMCX対応なので「NICEHCK DT300」ともちろん組み合わせることが可能です。もともと「SE846」をはじめとするShureのハイエンド製品での利用も想定したDAC内蔵Lightningケーブルであるため音質面のクオリティがこの手のケーブルの中でも格段に高い反面、組み合わせるイヤホンのインピーダンスや感度がShure製品とかけ離れている場合、極端なハイ上がりな音になる場合もあるちょっと曲者のケーブルです。その点Shure製品と近い「NICEHCK DT300」との相性は純正並に良く、iPhoneなどでApple Musicを聴く上では最適な組み合わせではないかと思います。


というわけで、「NICEHCK DT300」は最近の中華イヤホンによる価格破壊的な製品を考えると少し割高にも感じるかもしれませんが、「SE535」をはじめとするShure SEシリーズの製品と比べてさらにリスニング的に楽しめるイヤホンとして、デザイン的にもサウンド的にも派手さは一切ありませんが、非常に高いレベルのバランスを実現していると思います。プラスチックな見た目以上に、なかなか侮れないアイテムかもしれませんよ(^^)。