SMSL i2

つい先日もLightning対応の「AAW ACCESSPORT」をレビューしたばかりですが、またまたスティックタイプの小型のオーディオアダプタを相次いで購入してしまいました(^^;)。他にもこのタイプの製品はすでにいくつも持っていますが、今回も例によって衝動買いであります。

というわけで購入したのは、iPhone/iPadなどのLightning対応の「SMSL i2」と、最近のAndroidスマホに多く採用されているUSB-C仕様の「NEXUM AQUA」と「dodocool DA134」の合計3種類です。というわけで「購入レビューその①」ではLightning対応の「SMSL i2」を、「その②」ではUSB-C仕様の「NEXUM AQUA」と「dodocool DA134」を紹介します。


■「SMSL i2」/ 中華オーディの有名ブランドが手がけるオーディオアダプタ

SMSL i2まずLightningコネクタに対応した「SMSL i2」ですが、こちらはコンパクトで高音質なデジタルアンプなどの製品を展開する中国オーディオ機器メーカー「SMSL」の製品。SMSLはいわゆる「中華オーディオ」ブランドのなかでは比較的高級な部類の製品を手がけており、同社製品のサウンドクオリティの高さには定評があります。

今回購入は中国AliExpressのSMSL Offical Shopで直接オーダーしました。価格は67.99ドルでした。
AliExpress(SMSL Official Shop): SMSL i2

またアマゾンでもシンセンオーディオが出品しており、中国からの発送となりますが購入することができます(シンセンオーディオは他の商品で何度か利用していますが個人的には比較的良い印象です)。価格はどちらで購入してもそれほど大きな差はないようです。
Amazon.co.jp: SMSL i2


■Cirrus Logic製コーデック搭載、ノイズが少ないクリアサウンドで反応の良いマルチBAでも問題なし。

SMSL i2」はDACおよびアンプ部にCirrus Logic製「CS42L42」オーディオコーデック(DAC/ADC・ヘッドホンアンプ等の機能を1チップにまとめた複合チップ)を採用しています。チップ自体は24bit/192kHzまでのPCMに対応しますがAppleのLightningコネクタの出力制限(LAM=Lightning Audio Module)の仕様によりAppleのCoreAudioと同じ24bit/48kHzに制限されています。
※SMSLの専用アプリで384kHz WAVやDSDに対応するとの記述がサイトにありますが、他のハイレゾプレーヤーアプリで使用した場合と同様にアプリ側で24bit/48kHzにダウンサンプリングして再生していると思われます。この辺は先日レビューした「AAW ACCESSPORT」をはじめ最近のMFi認証を持つ小型オーディオアダプタでは共通の仕様となります。

「SMSL i2」のパッケージはとてもコンパクトでシンプルなデザインです。しかし非常にしっかりした高級感のあるパッケージとなっています。
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「SMSL i2」本体は金属製となっており、本体部分のサイズも長さ67mm/幅13mm/厚さ6.7mmとスティック型のオーディオアダプタとしてはボタンの操作性も考慮すると十分コンパクトにまとまっていると思います。ケーブル部分の長さは30cmとなっています。
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イヤホン端子は3.5mmステレオミニですが、iPhone/スマートフォン用マイクリモコン等の4極コネクタにも対応します。また利用する際は3.5mmステレオコネクタにイヤホン等を接続したときにはじめてiOSデバイス側が「SMSL i2」を認識する仕様になっています。

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実際にiPhoneで「SMSL i2」を接続して聴いてまず感じたことはノイズの少なさ。多くのLightning対応のスティック型オーディオアダプタやDACではホワイトノイズを拾ってしまうようなマルチBAのイヤホンでもほぼノイズの無い非常に明瞭なサウンドが実感できます。またDACとしての過度な味付けもなく、イヤホンの個性を実感させるタイプです。もちろん同じLightning接続でも手持ちの「nano iDSD BL」や「Chord Mojo」などと比べると音場表現はちょっと淡泊な印象は受けますがiOSデバイスで日常使いを考慮すれば十分な音質だと思います。特にCIEMクラスの反応の良いイヤホンをiOSデバイスで快適に使えるのはとても嬉しいところです。
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いっぽうの音量を取りにくいイヤホンやヘッドホンの場合、音量を上げても歪みなどはそれほど目立ちませんが音が軽くなり、多少の駆動力不足を実感します。もちろん通常のインピーダンスや感度のヘッドホンくらいであれば駆動力不足を感じることはありませんが、ある程度出力を必要とするヘッドホンなどの場合はそれなりのヘッドホンアンプを組み合わせる方が良さそうです。


■「SMSL i2」のサウンドを手持ちの小型オーディオアダプタと比較してみた。

前述の通り、私の場合Lightning対応の小型オーディオアダプタだけでも数種類購入しており、それぞれ過去の記事にてレビューをしていますがこれらと「SMSL i2」を比較してみました。

SMSL i2比較には手持ちの「SMSL i2」以外に、iPhone付属の純正変換コネクタ、先日レビューした「AAW ACCESSPORT」、エレコム/ロジテックの「LHP-AHR192」、そしてオーディオアダプタではありませんがスティック型DACの「CYBERDRIVE CLARITY FEATHER DAC」の4種類を使用しました。試聴にはイヤホンはShure「SE535LTD」、ヘッドホンはソニー「MDR-CD900ST」のどちらも超定番のモニターを使用します。

まず「MDR-CD900ST」で「SMSL i2」で聴いてみると、上記の通り非常にフラットで味付けのないサウンドを改めて実感します。ともするとiPhone付属変換アダプタと似たようにも感じるのですが、S/Nの高さから解像度の高さはかなり違ってきます。また高域の歪みも比較的少なく純正アダプタより確実にグレードアップした印象を受けます。
次に、エレコム「LHP-AHR192」はiPhone6時代に発売されたわりと古い製品ということもあり、音質面でのまとまりは「SMSL i2」のほうが良く感じます。しかし駆動力は「LHP-AHR192」のほうが多少確保できるようです。現在実売価格では非常に安価になっていますが、まだまだ現役でいけそうです。
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いっぽう「AAW ACCESSPORT」はこれら3つのモデルとは頭ひとつ抜けた優れた音の濃さと音場の広がりを感じるサウンドですヘッドホンの利用では「AAW ACCESSPORT」は俄然強さを感じますね。
最後にCYBERDRIVEのスティック型DAC(カメラアダプタを使用して接続)ですが、購入当時はノイズが気になったのですが実はiOS側の問題だったようでバッテリ消費を気にしなければ非常にバランスの良いサウンドです。ただiPhone側のサウンドコントロールがうまく使えないなど利便性のうえでも課題があります。

SMSL i2次に「SE535LTD」を使用しての比較ですが、こちらは「AAW ACCESSPORT」と「LHP-AHR192」ではホワイトノイズが盛大に発生するため長時間の利用にはかなりストレスになります。またCYBERDRIVEではホワイトノイズ自体は問題なく音質面も非常に良好なのですが標準ボリュームでは音量が大きすぎるため、本体側のボリュームボタンであらかじめ音量を操作する必要があり使用にはかなり気を遣います。いっぽう「SMSL i2」は接続時にプチ、という電気ノイズが一瞬あるもののホワイトノイズの心配は無く、音質面もクリアで今回試した中では唯一SE535LTDで実用的と感じたオーディオアダプタでした。
私の場合はヘッドホンを屋外で使うことはまず無いのでむしろノイズが少ない「SMSL i2」の仕様の方が便利だと感じました。

というわけで、似たようなアダプタを何個買ってるんだ、という気もするわけですが、とりあえず今回の「SMSL i2」は高感度なイヤホンでも十分使える実力であることは嬉しい結果でした。最近利用が増えているマルチBAタイプのイヤホンでApple Music等を気軽に楽しむツールとして思った以上に利用機会が増えそうです。

次回その②「USB-C用オーディオアダプタ」へ続きます。