TANCHJIM darkside

毎年3月のいわゆる「年度末シーズン」となると結構仕事が立て込んでくることもあり、しばらくブログの更新も小休止状態でしたが、そんななかでもいろいろなアイテムが届いてきており書きかけレビューはたまる一方です(。_。)。

というわけで例によって手元に届いてから2週間以上経過しておりますが、今回は 「TANCHJIM darkside」というなかなか格好良いデザインで、サウンドも「個性的」というイヤホンを紹介します。日本では七福神商事さんが取り扱いをしており、同社の直営店のほかアマゾン等でも購入が可能です。
Amazon.co.jp(七福神商事): TANCHJIM darkside


■独創的なサウンドを印象づける豪華なパッケージ

 「TANCHJIM」は新しい中華イヤホンブランドで「TANCHJIM darkside」はおそらく同社にとって最初の製品になると思います。フルメタルボディの美しいブラックのハウジングに9.2mmのグラフェン振動板を採用したダイナミック型ドライバーをシングルで搭載します。

製品が届いてまず最初に目に付くのはなんといってもキューブ型のパッケージでしょう。
1万円クラスのイヤホンとなると中華系でも比較的豪華なパッケージに入っているケースも珍しくはなくなっていますが、そんななかでも「TANCHJIM darkside」のパッケージはひときわ目につくものです。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
「お、何か楽しげなアイテムが届いたぞ」と感じてしまう演出はその名の通り既に「ダークサイド」の入り口なのかもしれません(笑)。非常に手の込んだパッケージを開きながら思わずそんなことを感じました。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
TANCHJIM darkside」はリケーブルには対応していないイヤホンですので、基本的にはイヤホン本体とイヤーピースがメインのパッケージ構成となりますが、S/M/Lの各サイズのイヤーピース(Mサイズは本体装着済み)に加えて「説明書」「ストーリーブック」「ロゴシール」「アルミ製ネームプレート」といったアクセサリーが充実。さらにブラウンレザーの専用ケースも非常にお洒落で格好良いものです。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
「また、TANCHJIM darkside」本体はアルミ合金製のメタルハウジングでブラックの表面加工も大変美しい仕上がりです。ケーブルは銀メッキOFCの撚り線とのこと。

ちなみに、同社のロゴをあしらったデザインが右側のフェイス部分にのみプリントされ、左側はマットブラックの無地。フェイスプレートが「真っ平ら」でしかも片方が無地、というデザインは最初「?」と思ったのですが、七福神商事さんのツイートを見ていると、どうやら右側は自分でデコレーションやプリントをして好みのデザインにアレンジをすることが楽しみ方のひとつのようですね。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
でも一度アレンジを始めたら、シチュエーションに合わせていろいろなデザインを試してみたくなったりしないかなぁと思いつつ、「あ、これは左側のフェイスプレートで遊びだしたら、バリエーションを作るためにいつの間にか何個も買ってしまうという『ダークサイド』への誘惑ではないのか?!」と思ってしまいました。まったく、ちょっとお洒落なケースといい、油断も隙もあったもんじゃないですな(笑)。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
アルミ合金製ということで金属製ハウジングながら重量は比較的軽いのですが、装着性は多少人を選ぶようです。私も標準のイヤーピースではいまいちしっくりフィットしなかったため滑りにくいイヤーピースを使用しています。イヤーピースは後述の通り開口部が大きくより高域の表現に優れたものを使用する方が良いと思います。私はたまたま手元にあったデュアルフランジのイヤーピースやKC09用イヤピを使用していますが、AcoustuneのATE07などが相性が良さそうです。


■再生環境を選ぶものの特徴的な低域のクリアさとキレの良さ。ジャズと女性ボーカルとの相性抜群のサウンド。

TANCHJIM darkside」の周波数特性はフラット寄りですが、特徴的なのは(ボーカル等より上の)高域はある程度割り切って中低域のクオリティにこだわったイヤホンという点でしょう。スペックをみるとインピーダンス32Ω、感度103dB/mWと一般的〜少し鳴りにくい程度なのですが、スペック以上に音量が取りにくく、一定以上の駆動力のある再生環境を必要とします。スマホ直挿しや駆動力の少ないプレーヤーだと、逆に高域に音割れのような鳴りを感じてしまう場合があります。

TANCHJIM darksideいっぽう駆動力のある再生環境やポータブルアンプを利用した出力では非常にキレのある低域とボーカル域の解像度の高さが特徴的です。いっぽう高域の伸びや解像度はそれなりに処理されており、かなり割り切ったチューニングのイヤホンであると感じます。一般的に高級なヘッドホンなどでは音量の取りにくい製品が多いですが、これらは再生環境を選ぶ反面、ノイズに強く(S/Nが高い)、音源の録音環境により忠実なサウンドになる(クリアな音源なら明瞭感が上がり、アナログな音源ならよりアナログらしさが出る)傾向にあります。「TANCHJIM darkside」ではこれらの傾向が特に「低域」に強く、独特のキレの良さと解像度の高さを感じます。
グラフェンコート振動板を採用したシングルダイナミックドライバーのイヤホンというと、最近では同価格帯の中華イヤホンでは「TFZ EXCLUSIVE KING」をはじめとするTFZ製のイヤホンを想像しますが、これらの製品でイメージできる「突き抜けるように伸びる高域」というものは「TANCHJIM darkside」には皆無です。いっぽうで中低域の硬質なキレの良さや解像度の高さはグラフェンコートならではでしょう。そのため、中低域メインのイヤホンでありながら響きや音場感はかなりシャープで、寒色系のサウンドとなっています。
TANCHJIM darksideTANCHJIM darkside
女性ボーカル曲など中低域がメインの楽曲の場合、低域のクリアでキレの良いサウンドを心地よく感じながら高域の刺さりなどのない聴き疲れしにくいサウンドで長時間のリスニングでも楽しめると思います。いっぽうアニソンなどの高域成分の多い曲や打ち込み系の曲との相性はいまひとつかもしれませんね。またジャズとの相性も抜群で、全般的にシャープで明るめのサウンド と定位の良さからとても鮮やかで気持ちよいサウンドが楽しめます。個人的には「ジャズ専用イヤホン」にしたいと思うくらいです(^^;)。


TANCHJIM darksideというわけで、ちょっとお仕事モードでブログ小休止明け最初のレビューとなった「TANCHJIM darkside」ですが、噂に違わぬ個性的なイヤホンでございました。正直なところ好みという点で「人を選ぶ」というか「曲を選ぶ」イヤホンだと思います。ただ、低〜中価格帯における昨今の中華イヤホンのクオリティアップ、レベルアップは特筆すべきレベルとなっており、そんななかで「万人受け」ではない、とてもマニアックで「個性的」な製品が販売される状況はとても喜ばしいことですね。それだけ中華イヤホンが認知され、本格的な成長期、普及期に入っているのだと思います。またマーケティング的にも「とても攻めた」製品だと思われる「TANCHJIM darkside」を代理店として新しいブランドとして全く未知の状態で日本市場に投入する七福神商事さんにも脱帽です。
もしこれからイヤホンを買いたいと思う方に勧めるかと言われたら「確実にNO」ですが(笑)、いっぽうで、さまざまなイヤホンを既に持っているマニアで、さらに特に音質面で他とは違う個性的なアイテムを探している方には「TANCHJIM darkside」は結構面白い存在ではないかと思います。価格的にも1万円そこそこと、そういった皆様にとっては十分に手が出しやすい価格ではないかと思います。
というか、「マニア限定」というのも十分に「ダークサイド」ではありますよね(^_^;)。