NICEHCK HK6

中国のイヤホンセラー「HCK Earphones@hckexin)」の同社オリジナルイヤホンの最新モデル「NICEHCK HK6」です。ブルーマイカ(雲母)をあしらったフェイスプレートとクリアブルーの美しいハウジングに6個のBA(バランスド・アーマチュア)型ドライバーを搭載した6BAモデルながら、中国AliExpressの表示価格でも300ドルを切る価格と、かなり攻めたプライス設定となっています。音質的には低域にフォーカスした暖色系の印象のイヤホンとなっています。

NICEHCK HK6購入は中国AliExpressの「NiceHCK Audio Store」にて。サイトの表示価格はケーブル無しで271.99ドル、8芯銀メッキ線ケーブル付属で302.32ドル(3.5mm/2.5mm)~307.38(4.4mm)の価格設定となっていますがフォロワー値引き(HCKのTwitterアカウントをフォローし、購入時に申請)により、さらに大幅な値引きが得られます。フォロワー値引きの方法等はこちらをご覧ください。
AliExpress(NiceHCK): NICEHCK HK6

またアマゾンのHCKのマーケットプレイス「NICEHCK」でもプライム扱いで数量限定ながら販売をしています。ただしこちらは入荷数が少なく、すぐに在庫切れになってしまうため、HCKのTwitterアカウント(@hckexin)をこまめにチェックし、入荷したらすかさず購入することをお勧めします(本レビュー公開時点では売切れてました)。※また新たに2pinコネクタ仕様もリリースされています。
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK HK6(MMCX)
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK HK6(2pin)

またHCKのTwitterアカウント(@hckexin)では割引情報などが頻繁にツイートされますし、DMで購入やサポートについての相談や問い合わせにも対応してくれます。


■お馴染みHCKのパッケージ。イヤーピースはダブルフランジも付属。

HCKより届いた「NICEHCK HK6」のパッケージは最近のHCKのオリジナルイヤホンではお馴染みのもの。裏面に「HK6」「6BA」と記載されたシールが貼られていますね。
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HCKイヤホンケースには本体および付属品がびっしり。
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パッケージ内容は本体、イヤーピースが装着済みのブルーのものと、イエローがS/M/L、ダブルフランジタイプがホワイトとブルーの2色、イヤホンケース、保証書。さらにケーブル付属の場合は8芯の銀メッキ線ケーブルが付属します。
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このケーブルは5BAの「NICEHCK HC5」に付属しているものと同じシリーズで、ケーブルのみでもAliExpressで販売されています(「NICEHCK HK6」ではAliExpressでオーダーする場合は「2.5mm/4極」または「4.4mm/5極」のバランスケーブルも選択可能です)。

NICEHCK HK6」の本体は、クリアブルーのハウジングに6つのバランスド・アーマチュア(BA)ドライバー(低域または中低域用デュアルBAが2種類+中高域用BA+高域用BA)がびっしりと収容されているのが確認できます。フェイスパネルはブルーマイカ(雲母)のプレートがデザインされています。
NICEHCK HK6NICEHCK HK6
装着性はもともと良好なイヤホンですが、金属製のステムが太く長いため付属品以外のイヤーピースを使用する場合は口径が大きめのものを使用する必要があります。付属のイヤーピースもSサイズの小さいものでしたが、同様に小さめのイヤーピースで耳奥まで装着するように工夫した方がよいでしょう。付属品のダブルフランジのタイプはフィットできれば良いと思います。私自身はacoustuneの「ATE07」のSサイズを使用しました。ダブルフランジの場合は同じく「ATE06」なども良いと思います。


■あえて触れませんでしたが・・・やっぱり「Neptune」の形状と比べてみました(^^;)

おそらく、「NICEHCK HK6」に興味を持たれるような「それなり以上のマニア」の方々であれば、HCKのツイートでこの製品のアナウンスがされたとき「Neptuneじゃねーか」ときっとツッコミをいれたのではと思います(笑)。ブルーのクリアシェル、マイカのプレート、そしてこのデザイン。とりあえず「qdc Neptune」と比較しないわけにはいかないですよね。

説明するまでもありませんが、「Neptune」は中国の高級CIEMメーカー「qdc」が昨年発売したシングルBAのユニバーサルモデルのイヤホンで、qdc製品としては比較的安価(といっても3万円ほどします)で美しいデザイン&装着性とqdcならではのサウンドで現在も入荷しては一瞬で売切れてしまう人気モデルです(私も以前レビューをしています)。

6BAとシングルBA、価格設定や音質傾向など、「NICEHCK HK6」と「qdc Neptune」は外見が似てなければおおよそ比較するようなことはないイヤホンです。
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たしかに両者を並べてみると雰囲気はよく似ていますが、実は形状などは結構違いがあります。
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特に「NICEHCK HK6」は6つのBAドライバーおよびネットワークを収容するためどうしても分厚いハウジングとなります。そのため耳へフィットさせるためのアプローチも大きく異なります。具体気にはステム部分の角度や長さですね。
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「qdc Neptune」は長年のCIEMの経験からユニバーサルモデルでも最適なシェル形状に設計されているため、装着性の部分では「さすがqdc」という感があります。やはり「NICEHCK HK6」は「雰囲気だけNeptuneに似せた」全く別のイヤホンだという、比べる前からわかっていた事実を改めて実感するわけでした。


■ダイナミックドライバーのような自然で濃厚な低域とマルチBAらしさを両立した聴きやすいサウンド

NICEHCK HK6NICEHCK HK6」の音質傾向は低域の厚い弱ドンシャリで、広い音場とマルチBAらしい解像度の高さを両立したサウンドにまとまっています。とはいえマルチBA特有の粒状感というか細かい音を重ねたような独特の癖はほぼ感じず、非常にスッキリとした音場を構築している印象です。また、解像度の高いマルチBAイヤホンながら、聴き疲れなく長時間の利用でも快適です。私の場合、イヤーピースに「ATE07」を使用してしっかり装着できたことで遮音性も確保できました。なお、別に「NICEHCK HK6」に限った話ではありませんが、6BAという性格上プレーヤー側にもある程度の安定した出力が必要となるためDAP(デジタルオーディオプレーヤー)や高音質なポータブルアンプなどでの利用がよいでしょう。「NICEHCK HK6」はマルチBAとしては比較的珍しい低域に特徴のあるイヤホンですが、全体のサウンドバランスは良好で完成度は十分に高く、コストパフォーマンス的にも良好なほうだと思います。

NICEHCK HK6最近のマルチBAやハイブリッドはダイナミック型が好みの方にも受け入れられるような音作りがされた製品が多いですが「NICEHCK HK6」も良い意味で6BAらしくないサウンドと言えるかもしれませんね。
5BAの「NICEHCK HC5(=MaGaosi K5)」と比較すると、HC5/K5が十分に広い音場を持ちつつもマルチBAらしい締まりのある低域だったのに対し、「NICEHCK HK6」はある意味ダイナミック型のような広がりを持つ低域といえると思います。この広がりのある低域とマルチBAらしい情報量の多い中高域によりトータルでは「NICEHCK HK6」はHC5より暖色系の印象になっています。

NICEHCK HK6いっぽう高域は、少しだけ明瞭さとキラキラ感はあるもの、刺激は抑えられており刺さりもほぼ感じないチューニングになっています。「NICEHCK HK6」は中高域に刺激を求める方には少し物足りなさを感じる可能性がありますが、どのようなジャンルの曲も比較的オールラウンドに楽しめるサウンドとなっています。特にジャズやポップスなどは非常に気持ちよく聴くことができると思います。逆にもう少しマルチBAらしさや高域のアグレッシブさを求める場合は「NICEHCK HC5(=MaGaosi K5)」の方が良いかもしれません。ただ、どちらのイヤホンもバランス接続との相性は良く分離性が向上することで音数の多い曲でも非常に気持ちよく、元気な音になります。ある程度駆動力のあるバランス接続可能なDAPやヘッドホンアンプを使用するとさらに「NICEHCK HK6」のサウンドが楽しめると思います。

ところで「NICEHCK HK6」の低域についてですが、搭載する6つのBAのうち大きめのデュアルドライバーが2個入っていて、そのうちの1個はデュアルウーファーであるKnowles社HODTEC-31323」の刻印が確認できました。いっぽう、もう1個のほぼ同サイズのデュアルBAはKnowles製でない無印のユニットで、さらに中高域用と思われる2つのBAも無印のようです。
HCK HK6HCK HK6
そういえば「NICEHCK HC5(=MaGaosi K5)」も低域用のウーファーユニットのみKnowles製のBAを使用し、中高域は中華BAを4つ並べるデザインになっていました。マルチBAイヤホンにおいて「質の良い低域」を作るのは相応に難しく、どちらのイヤホンもこの低域部分に多少コストがかかってもKnowles製BAを使うことで良質な低域と広い音場感を得るというアプローチを取っていると想像できます。また逆に言えば、中高域については無印の中華BAでも比較的高音質のユニットを低コストで調達できるようになった、ということかもしれませんね。「NICEHCK HK6」「HC5」が価格破壊を実現できた理由はこの辺にありそうです。


■あくまでマニア向けイヤホンではあるが激戦区の中価格帯イヤホンの選択肢としても魅力的

NICEHCK HK6というわけで、「NICEHCK HK6」は美しいハウジングに加えて、非常に聴きやすいサウンドにまとめられた完成度の高いイヤホンでした。中華BAドライバーの高音質化により部品コストを抑えた製品作りができるなど周辺環境の変化も考えられますが、これまで多くのオーダーイヤホンを手がけてきただけにHCKの製品のまとめ方、音作りについても手堅さを感じます。「NICEHCK HC5(=MaGaosi K5)」は驚異的な低価格でマルチBAらしさを楽しめるイヤホンでしたが、今回の「NICEHCK HK6」はあえて「らしさ」の部分を抑えて、マルチBAイヤホンには少し抵抗がある方にも受け入れやすいようなチューニングに仕上げているところが面白さだと思います。
マニア諸氏の新たなアイテムとしてはもちろん、これまで高価格帯のイヤホンにはとても手が出せなかったポータブルオーディオのファンの方々も比較的挑戦しやすい製品といえるでしょう。もちろん多くの数量が出るメーカー製品ではなくデザインからも「マニアックさ」は否定できないわけですが、新たな激戦区となっている中価格帯のレンジの選択肢のひとつとしても十分に楽しいイヤホンだと思いました。

※HCKの5BAモデル「NICEHCK HC5」については、ブランド違いで同一の製造元・音質の「MaGaosi K5」のレビューを掲載していますので、よろしければ併せてご覧ください。
→ 「MaGaosi K5」 5BA搭載で驚きの低価格と高音質を実現した中華イヤホン【購入レビュー】