KZ ZS10

こんにちは。今回は満を持して?の「KZ ZS10」です。
大変な勢いで新製品が登場しているKZ製イヤホンですが、今回の「KZ ZS10」はとうとう「4BA+1DD」という高級イヤホンかと思うようなハイスペックで数千円レベルという脅威の低価格を実現してしまいました。そのサウンドは同社の「派手な音」の印象から一変し、ある程度は再生環境等に依存はするものの、高い解像度と絶妙なサウンドバランスで聴かせる高音質イヤホンでした。以前より格段に安定した品質もあり、多くの方にお勧めできるイヤホンに仕上がっています。

   
今回の「KZ ZS10」も、私のブログでは毎度おなじみ「全色買い」をしております(^^;)。ただ、現在手元には先行で出荷された「ブラック」が2個(アマゾンとAliExpressオーダー分)のみが届いています。そのため、本当は全色揃ってから、もう少し後にレビューを掲載と思っていたのですが、やはり久々に話題の中華イヤホンということもあり、前編・後編の2回に分けてのレビューを行うことにしました。前編では到着した「KZ ZS10」の概要とファーストインプレッションを中心に紹介し、レビュー後編は「レッド」と「ブルー」のモデルが到着してからの掲載を予定しています。


■メジャーブランドへの階段をのぼり始めた「KZ」と、その真価が問われる最上位モデル。

以前からこのブログをご覧頂いている皆様、または中華イヤホンを以前から楽しんでいらっしゃるマニア諸氏にはすっかりお馴染みだと思いますが、「KZ」(Knowledge Zenith)は圧倒的に非常識なスペックと価格で一気に中華イヤホンの代表的存在となったメーカーです。私のブログでも人気モデルの「ZST」(1BA+1DD)、「ZS5」「ZS6」(ともに2BA+2DD)のレビューについては現在も非常に多くのアクセスをいただいています。
KZ関係の過去記事(レビュー)一覧


いっぽうでこれらの人気モデルについてはデザイン上のあからさまなパ○リ(ZSTはT○Z、ZS5/ZS6はCa○pfi○e Audio)がネタ&批判の元になったり、特に初期ロットでの「当たり外れ」が話題になりました(詳細は過去のレビューをご覧ください)。しかし、最新のロットではどのモデルも品質的に安定してきており、さらに以降に発売された「ES3」(1BA+1DD)、「ZSR」(2BA+1DD)からはデザインもオリジナルのものに変わっていて、メーカとしての成長にあわせて「怪しげなメーカーからの脱却」にいよいよ本腰を入れてきている様子がうかがえます。

KZ
また、3月初旬にリークされた情報によると2018年もKZでは非常に多くのモデルを新しく市場に投入すると思われますが、今回の「KZ ZS10」はそのリークの中で最初に発売されたモデルであり、かつ「4BA+1DD」という最もハイスペックな仕様のイヤホンとなります。

KZ ZS10」は、KZオリジナルの2種類のバランスド・アーマチュア型ドライバー(「KZ 50060」と「KZ 30095」)を2個ずつ搭載する4BA構成に加え、より歪みを軽減した中低域ダイナミックドライバーを搭載した、文字通りKZの集大成ともいえるモデルです。
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クリアなフェイスパネルからこれらのマルチドライバーを制御する基板を前面に見せる特徴的なフェイスや、同様にクリアパーツで内部配線が透けて見えるシェルのデザインには、同社の技術と品質における「進化」を見せつけたいという想いすら想像できます。
本体カラーは「ブラック」「ブルー」「レッド」の3色が用意されていますが、予約段階であまりに多くのオーダーが入ったため先行してブラックを製造、ブルーとレッドは順次供給という状態になっています。私も予約開始とほぼ同時にオーダーをしていますが、現在手元に到着しているのは、アマゾンに少数入荷した初回分と、このレビューを書いている時点でつい先程届いたばかりのAliExpress経由(Easy Earphones)のブラックのみです。ただ他のカラーについてもようやく出荷が開始された模様で、後編のレビューを掲載時には各色とも普通に入手が可能になっているものと思われます。
AliExpress(Easy Earphones): KZ ZS10 /  Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ZS10

現在、中国の代表的なイヤホンセラーのひとつ、「Easy Earphones」のAliExpressでの表示価格は44ドル~、アマゾン(WTSUN Audio)では6,600円~の価格設定となっています。
※AliExpressではEasy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)をフォローしオーダー時に連絡することでフォロワー値引きが適用されます。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。またアマゾン(WTSUN Audio)でも同アカウントのツイートで割引情報がアナウンスされる場合がありますのでこまめにチェックされることをお勧めします。


■想像以上に大きなハウジング。付属ケーブルは大幅グレードアップ。

手元に届いた「KZ ZS10」のパッケージは最近のKZイヤホンでは定番のコンパクトな白箱。表面に各カラーのイラストがプリントされたカラーパッケージとなっています。
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パッケージを開けると思わず「サイズでかいっ!」と思うほど巨大なハウジングが登場します。これまで結構な数のKZ製イヤホン購入してきましたがパッケージを開けただけでここまで存在感のあるハウジングは初めてです(^^;)。
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付属品は従来同様にイヤホン本体、イヤーピースS/M/L(Mサイズ装着済み)、ケーブル、保証書・説明書といった内容。これまでKZのイヤホンは上位モデルでも付属ケーブルはゴムゴムしたものでリケーブルが必須という感じでしたが、「KZ ZS10」では比較的ちゃんとした撚り線のケーブルが付属しています。この点だけ捉えても相当な進化ですね。
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KZ ZS10」本体のサイズは一般的なイヤホンのなかでも相当に大型の部類で、シュア掛けタイプでも10BA以上の超多ドライヤホンに匹敵するほどの大きさです。もっとも内部は空洞が多いため結構軽くちょっと拍子抜け感もあります。
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ステム部分の奥にセットされた4つのBAドライバーは、同じ種類の2個のBAドライバーを1セットにして装着されています。音導管は使用しておらず、プラスチック製ハウジング自体でBAおよびダイナミックドライバーからステムにつながるように「仕切り」が成型されています。組立コストをかけずにマルチドライバーを実装するKZの工夫が見て取れますね。ダイナミックドライバーは「KZ ZSR」以降で採用されているもとの同一と思われます。どうやら最新ロットの「ZST」「ES3」などでもこのドライバーが使用されているらしいという情報もあります(いずれ検証レビューをしたいと思っています)。

このようなサイズ感のため、どうしても装着性にはひと工夫が必要です。といっても実際はイヤーピースを耳に合うものを用意する程度ですが、付属のイヤーピース(従来製品と同一のもの)では十分な装着感は得られず、また後述しますが音質的にも本来の実力を発揮することができない場合が多そうです。私の場合はコンプライとAcoustune(日本ディックス)の「AET06」に交換しました。


■KZらしからぬ音? マルチドライバーでKZが目指した自然なサウンド

KZ ZS10KZ ZS10」のサウンドは「KZ ZS6」のような「派手な音」ではなく、非常に高い解像度とサウンドバランスでまとめられた「普通に良い音」のイヤホンに仕上がっています。高域も十分にエージングが進んだ状態ではマルチBA構成のハイブリッド的要素も感じつつ「刺さり」がほぼ皆無の聴きやすいサウンドで、「ZS6」では良くも悪くも特徴的だった高域のシャリつきもありません。音場は比較的広く、低域は適度な量感と締まりのあるサウンドとなっています。再生環境によっては特に開封直後は多少中域が凹み、ボーカルが遠く感じる場合がありますが、エージングに加え、再生環境やリケーブル、イヤーピースなどにより印象が大きく変化します。
なお、私の手元には現在2個の「KZ ZS10」のうち、先に届いた方が50時間程度エージングが進んだ状態で、後から到着した方の開封直後と比べてみましたが、多少中低域に籠りを感じる程度の違いがありました。ただ数時間程度のエージングでもかなり改善されました。また以前のKZ製イヤホンで心配された「当たり外れ」や「個体差」も最近のモデル同様にそれほど心配しなくても大丈夫なようです。

個人的な印象ですが、「ZS6」では2BA+2DDというマルチドライバーの「ハイブリッドらしさ」をわかりやすく表現した音作りだったのに対し、「KZ ZS10」では、まず目標とするサウンドがあって、その音に近づけるために自社のドライバーを駆使し、ネットワークで調整しまくった結果、このような構成になった、という感じがします。「ハイブリッドらしい音」ではなく「より自然な音」、暖色系とまでは行かないものの、多少緩やかに感じるサウンドで、そういう意味では「KZ ZS10」は「ZS6」とは真逆のアプローチで作られたイヤホンかもしれませんね。

KZ ZS10そして、「KZ ZS10」で新しく付属する標準ケーブルは、従来のKZ製品のものより格段に良くなっており、同社の「アップグレードケーブル」とほぼ同様の品質となっています。そのため標準ケーブルでもかなりの高音質を実現しています。ただし、それでも「KZ ZS10」が完全に実力を発揮するまでには至っておらず、再生環境(駆動力の弱いDAPなどの場合)によってはまれに標準ケーブルでは曲によって中域に凹みを感じたり、多少ボーカルが遠くに感じる場合があります。
これらの点について「KZ ZS10」ではイヤーピース、ケーブル、そして再生環境によって印象がかなり「激変」する傾向にあるようです。

まずイヤーピースについては前述のとおり耳にあったものへの交換が「必須」と考えたほうがよいと思います。標準のイヤーピースでは全体的にぼやけた印象となり、中域の凹みもより顕著になります。ポイントとしては、できるだけステム部分を耳奥にしっかりフィットさせることができるイヤーピースを選ぶことで、私が使用したコンプライの「T-Type」または「P-Type」の細長いタイプや、Acoustuneの「AET06」のようなダブルフランジタイプのイヤーピースが好印象でした。他にも「SpinFit TwinBlade」なども良いと思います。

KZ ZS10また再生環境についても、「KZ ZS10」は数千円レベルとはいえ4BA+1DDのマルチドライバーを搭載したイヤホンですので、これらのドライバーを余裕を持って鳴らせる駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプの利用をお勧めします。駆動力の弱いDAPの場合はヘッドホン用のハイゲインのモードにすることで印象、特に低域の締まりやボーカルの定位の変化が確認できると思います。
もっとも、「KZ ZS10」はパッケージ記載のスペックではインピーダンス32Ω、感度104dB/mWと一般的なイヤホンの範囲内で調整されており、スマートフォン直挿しを含めたほとんどの再生環境でも普通に音量が取れる仕様となっています(いちおう低価格イヤホンですので「数を売る」ためにもメーカーとして必要な点でしょうね)。とはいえ、やはり高い解像度など「KZ ZS10」の能力をより実感するためにできれば相応の再生環境を利用したいところです。

KZ ZS10そして、思いのほか変化が確認できたのがリケーブルです。前述の通り駆動力を稼ぐ上でも「バランス接続」は有効な手段ですが、アンバランスでもリケーブルによって特に中高域の印象が大きく変化します。
例えばEasy Earphones(アマゾンでは WTSUN Audio や Kinboofi )で販売されている「8芯銀メッキ線ケーブル」にリケーブルしてみると、ボーカルがぐっと近づき、高域の伸びが格段に良くなります。また同じシリーズの4芯タイプでもより分離感が良く感じられるのではと思います。このシリーズのケーブルは非常に柔らかく取り回しがよく、耳掛けあり/なしどちらも針金を使っていないので標準ケーブルの耳掛け部分の針金が苦手な人にも最適でしょう。

KZ ZS10」は前述の通り音導管などは使用していないためフィルタなども使用していませんが、いっぽうでネットワークの抵抗などにより細かく調整されていると考えられます。標準ケーブルでは刺さりと一緒にかなり抑えられていた印象の高高域も、リケーブルにより情報量が増加し明瞭度が向上することでよりしっかりと実感できるようになります。可能であればより高品質なケーブルへのリケーブルは実施したほうがよいでしょう。ちなみに、余った付属ケーブルは「ZST」「ES3」「ZSR」等で流用することができますね(^^)。


■生産が追いつかないのも品質管理が向上したから? まずは「赤」「青」の到着を待ちます。

さて、結局のところ「前編」だけでも結構なボリュームのレビューとなりましたが、まとめとして「これまでのKZの派手な印象とは対照的に、まとまりのある良い音のイヤホン」というのが「KZ ZS10」の印象だと思います。
手元に届いたブラックの2個およびネット上での到着報告を見る限り、KZもかつてのような「ハズレ」にドキドキするような心配もない、安心して購入できる高コスパのイヤホンメーカーになったのだなと実感します。結果として今回の「KZ ZS10」は、(当たり外れの激しかった)「ZS5」や「ZS6」の初期ロットの頃と比べて生産スピードが遅くなっている(品質管理をしっかりしている)可能性もあります。生産が追いつかず到着待ちの方々のフラストレーションも結構高くなっている状況だとは思いますが、私も未着の「赤」と「青」の個体の到着を気長に待ってみたいと思っています。


というわけで、全色到着後の「後編」に続きます。
【レビュー後編】 「KZ ZS10」 レッドとブルーも届いたのでさらに魅力を深掘りしてみました