TFZ T1 Galaxy

こんにちは。このレビューを書いている時点ではゴールデンウィークも後半に突入し、タイムラインを眺めても多くの方々が旅行にレジャーにと日々を楽しんでいる様子がうかがえます。かくいう私は4月末に地元へ戻り、昼間は自宅の掃除やら、なぜか大量にたまった(笑)イヤホンの箱を大きな段ボールにいれて収納したりとせっせとインドアな作業にあけくれ、夜は知人たちと飲んだくれるという相変わらずな時間を過ごしております。

というわけで、どうてもよい前置きはさておき、今回は「TFZ T1 Galaxy」です。

個人的に集めている中華イヤホンのメーカーはいくつかありますが、「TFZ」(The Fragrant Zither)もそのひとつで、気がつくと「EXCLUSIVE 5」以降、新モデルが発売されるたびに購入していたりします。これまで購入したTFZのすべてのモデルがグラフェンコート振動版を採用したダイナミック型ドライバーをシングルで搭載する構成は同じですが、低価格モデルから中華イヤホンとしてはミドルクラスに至る価格帯までグレードはさまざまで、音質傾向にもそれぞれのキャラクターが設定されています。
これまでの「TFZ」イヤホンのレビュー(一覧)

そして今回の最新モデル「T1 Galaxy」は同社では最廉価のエントリーモデルとして登場しました。
本体カラーは「レッド」「ブルー」「ブラック」「レッド&ブルー」の4パターン。今回は「レッド&ブルー」と「ブラック」の2種類を購入しました。
T1

購入はUSのグループ購入サイト「Massdrop」で、ドロップは3月初旬、到着は4月中旬でした。

TFZ T1 Galaxy IEMs | Price & Reviews | Massdrop
現在はAliExpressでは香港のPenon Audioや最近できたTFZのオフィシャルストア(The Fragrant Zither Official Store)などで30ドルほどで購入が可能です。
AliExpress(The Fragrant Zither Official Store) : TFZ T1 Galaxy
AliExpress(Penon Audio) : TFZ T1 Galaxy

またアマゾンでも並行輸入品が3,500円程度で販売されているようです。
Amazon.co.jp(並行輸入品) :  TFZ T1 Galaxy


■ケーブル脱着不可のエントリーモデルながら「KING PRO」のパッケージデザインを踏襲

実際に手元に届いたパッケージは「KING PRO」以降の現在のTFZのロゴマークがついたパッケージでデザイン的にも「KING PRO」と同様の流れを汲んでいます。
TFZ T1 GalaxyTFZ T1 Galaxy
パッケージひとつにも相変わらず中華イヤホンのなかでは一線を画すセンスの良さを感じます。

TFZ T1 GalaxyTFZ T1 Galaxy
パッケージ構成はイヤホン本体、収納ポーチ、S/M/L各サイズのシリコン製イヤーピースが2種類、説明書など。内容的には最近のTFZの各モデルと同様となっています。

TFZ T1 GalaxyTFZ T1 Galaxy
TFZ T1 Galaxy」本体はプラスチック製でフェイスパネルには「KING PRO」と同じく異なるデザインのマークがプリントされています。上位モデルの「SERIES 2」にも「T1 Galaxy」同様に星をイメージしたキラキラの模様がついたカラーが選択できますがシェルの形状的にはほぼ同じです。

TFZ T1 GalaxyTFZ T1 Galaxy
ただし、「T1 Galaxy」はエントリーモデル設定ということもあり、ケーブルは本体に固定されており、脱着はできません。ケーブルにはOFC(高純度無酸素銅線)が採用されており、「レッド」「ブルー」「レッド&ブルー」では銅線色(透明な被膜)、「ブラック」では黒い被膜で覆われたカラーとなっています。

T1 Galaxy」のシェル形状そのものは「SERIES 2」をはじめ、「EXCLUSIVE KING」等と同じサイズ。同じ形状のため、少し大きめではありますが、このシリーズのモデルで装着性に問題なければ「T1 Galaxy」でも同様に装着が可能です。私の場合は耳穴が細く付属のイヤーピースでは耳から落ちてしまうことが多いため、手持ちのダブルフランジタイプのイヤーピースに交換して使用しています。


■「TFZらしさ」は維持しつつも聴きやすく刺激をおさえた「入門編的なサウンド」

TFZ T1 GalaxyT1 Galaxy」の音質傾向はフラット寄りの弱ドンシャリですが、高域などの刺激はかなり抑え気味のセッティングとなっています。全体的には「聴きやすく丸めのサウンド」という印象です。
同じ樹脂製のデザインで見た目の印象がよく似ている「SERIES 2」とはボーカルなどの中音域の印象にフォーカスしている点は共通ですがそのアプローチは全く異なっており、サウンドの印象も全くの別物という感じです。
SERIES 2」は、「EXCLUSIVE KING」などに代表される、グラフェンドライバーによる金属質な寒色系ドンシャリ、といったTFZのキャラクター設定をしっかり踏襲しつつも、中高域にフォーカスすることで、ボーカルも近く「適度な刺激と聴きやすさの絶妙なバランス」を実現しています。

いっぽうの「T1 Galaxy」はフラット系サウンドの「KING PRO」のバランスを意識しつつ、より刺激を抑えて中低域を聴きやすくしたような印象があります。おそらくTFZが意図した「T1 Galaxy」のポジショニングは「最初に聴いてもらうTFZ製イヤホン」、つまり「TFZ入門編」だろうと思います。そのため、すでに「EXCLUSIVE」ラインの製品を使っている方が「T1 Galaxy」を聴くと刺激と同時に伸びがないサウンドに感じるかもしれませんし、「SERIES 2」を使っている方からは「平凡な音、つまらない音」だと感じる可能性もありそうです。

TFZ T1 Galaxyしかし、このような既存モデルとの比較を考慮せず、「はじめてのTFZ」(笑)として「TFZ T1 Galaxy」を聴いてみると、価格的な制約のなかでもポイント良くまとめられた同社の個性をうまく表現しつつ使いやすさにフォーカスした製品であると感じます。
全体的には「T1 Galaxy」は30ドルそこそこの低価格イヤホンにもかかわらず、現在の最上位モデルである「KING PRO」につながる優れたサウンドバランスでまとめられています。
「EXCLUSIVE」ラインや「SERIES 2」よりフラット寄りで低域も少し軽めのセッティングとなっていますし、重低音の解像度には少し物足りなさがありますが量感そのものは十分です。また音場も一般的なレベルながら分離感は良好で、シングルドライバーらしい各音域のつながりの良さを感じると思います。中音域の解像度は決して高くはありませんが聴きやすく適度な距離感で定位します。高域については従来のTFZに比べればかなり抑えられているものの、グラフェンドライバーらしい硬質なキレはある程度キープできています。

TFZ T1 Galaxyインピーダンス16Ω、感度105dB/mWと、どのような再生環境でも鳴りやすく音量も取りやすいため再生環境への依存が少ないのも使いやすいところでしょう。ただ、しある程度駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)の場合、高域の刺さりがアップされる傾向は他のモデルとほぼ同様です。印象としては、じっくり聴きこむというよりは、BGM的に気軽に使う方が向いているイヤホンです。特にロックやポップスなどのボーカル曲との相性はよさそうです。いっぽう高域成分の多い曲、中低域に音数の多い曲では十分に捉えきれない場合があります。またクラシックなどではすこし狭く平坦に感じるかもしれませんね。


■シングルダイナミックで「フルラインナップ」が揃ったTFZ。今後はどうなる?

というわけで、TFZの新たなエントリーモデルとして登場した「TFZ T1 Galaxy」ですが、トータルとしてとても使いやすく、3千円台の価格設定のイヤホンとしてはかなりのハイレベルな製品に仕上がっていると思います。ただし、すでにお気に入りのTFZのイヤホンを使用されている方は、私のような各モデル揃えたいという物好き(笑)以外はわざわざ買う必要はないかもしれません。

いっぽうで、もしこれまでに同社製のイヤホンを購入したことがない場合に最初にチャレンジする1個としては確かに最適だと思いますし、この「T1 Galaxy」を聴いてみて、今後どの方向にステップアップするのかを決める、という選択方法もありそうです。「T1 Galaxy」より全体的なグレードアップなら「KING PRO」ですし、刺激強めならKINGを含め「EXCLUSIVE」ラインの製品、さらに濃い音なら「SERIES 2」という感じでしょうか。またオーディオマニアではない知人・友人にプレゼントするイヤホンとしても最適ですね。使いやすいですしパッケージもカッコよいですから。

このようにTFZのイヤホンもこの1年ほどで上から下までほぼラインナップがそろった印象があります。巷ではシングルダイナミックだけでなくマルチドライバー製品のウワサもありますが、今後どのような製品が登場してくるのか、ますます楽しみではありますね(^^)。