KZ ES4

というわけで、前回の「紹介編」に引き続き「KZ ES4」のレビュー後編「比較編」です。

本レビューと併せて「紹介編」もあわせてお読み頂けると幸いでございます。
→ 「KZ ES4」 コントロールされた中音域が気持ちいいKZの最新スッキリ系ハイブリッド【レビュー/紹介編】

KZ ES4」は「1BA+1DD」のハイブリッド構成のイヤホンで既存モデルとなっていますが、現時点で同社の最上位モデル「KZ ZS10」と同様に、フェイス部分の基板によるネットワークで各ドライバーの音質をコントロールされている点が特徴的です。ビルドクオリティも数年前の同社製品とは見違えるレベルに向上し、音質面においてもKZ製イヤホンのなかでもっとも多くの人に勧めやすい絶妙なバランスを持った仕上がりとなっています。

購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」にて。
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AliExpress(中国からの発送)でのオーダー方法はこちらを参照ください。アマゾン(NICEHCK)で購入の場合は、国内のアマゾン倉庫から発送されますので商品が直ぐに届きますし、1年間の保証が得られ、万が一の場合もアマゾン経由での対応ができますので安心ですね。
またHCKのTwitterアカウント(@hckexin)では頻繁に割引情報等がツイートされていますのでフォローの上こまめにチェックされることをお勧めします。

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前編で紹介したブラックのモデルは「ZS10」とブラックと同じカラーのプラスチック製シェルのため、ともするとZS10と見間違えそうになりますが、グリーンはZS10にはないカラーになるため「KZ ES4」らしさを実感できますね(^^)
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本体のグリーンはかなり明るめのカラーで、「KZ ZSR」のグリーンと比較してもわずかに明るいカラーのプラスチック製です。
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既存モデルの「ES3」と比較するとサイズ感は似ていますが改めて全く別系統の製品であることがわかりますね。


■低価格帯に集中するKZ製イヤホン。「KZ ES4」のポジショニングを比較しながら考える

KZ ES4」は前編の「紹介編」にて記載の通り、キレのある弱ドンシャリ傾向ながら、コントロールされた中高域により、聴きやすさと同時、キラキラ感、低域の厚みといった要素をバランス良く組み合わせた、KZ製イヤホンのなかでも特に扱いやすい製品だと思います。

とはいえ、気がつけば現在KZでは「1BA+1DD」のハイブリッド構成のイヤホンだけでも「KZ ES4」「ES3」「ZST」「ED15」、さらに後日レビュー予定の「ZSA」と、非常に多くのモデルを類似価格帯に投入しています。そのため同じKZ同士でも「棲み分け」が難しくなっているようにも感じます。というわけであくまで「私の主観」ではありますが、過去にレビューしたKZ製イヤホンのポジショニングを簡単に図にしてみました(たぶんこの図は頻繁にアップデートしそうですので詳細は追々^^;)。
印象としては「KZ ES4」は、それぞれ個性的な方向性を持っているKZのイヤホンのなかでも、やや低域傾向があるものの比較的オールラウンドのモデルで、価格的にも手頃と、まさに「ど真ん中」のモデルだなという感じがします。
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「KZ ES3」および「ZST」ではステム部分に搭載されるBAドライバーは高域のツイーターとして機能し、実際にはダイナミックドライバーが上から下までほぼ全音域をカバーする設計となっているようです。これらのイヤホンで使用されるダイナミックドライバー(最近「勾玉タイプ」と呼ばれるようになりました)は比較的低域が厚く、KZ製「KZ 30095」BAドライバーとシンプルに組み合わされた「ES3」は比較的メリハリのハッキリしたドンシャリ傾向のサウンドになります。
この「ES3」の、今年3月頃に追加オーダーしたほぼ最新に近いロットと「KZ ES4」を比較すると、よりドンシャリ傾向が強い「ES3」は、低域こそES4とあまり違いはありませんが、中域は少し凹み、高域にも多少の刺さりのあるサウンドでまとまっています。いっぽうの「KZ ES4」はよりボーカルが近くに定位し、中高域のメリハリを強く感じる事ができます。

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いっぽう、同価格帯で以前からの定番モデルである「ZST」は、現在も相変わらずロット違いが見受けられる「正解」がよくわからないイヤホンです。実際私もすでに10個以上購入しているのですが(^^;)、ひとつとして同じロットに遭遇した試しはなく、毎回「どこかしら違う部分がある」という状態。最近も「ZSR」や「KZ ES4」と同じ「レンコンタイプ」のダイナミックドライバーが入っていたロットの報告を伺っていますし、3月頃に購入した「ほぼ最新ロット」の「ZST Pro」ではBAが「Bellsing 30095」に戻っていました(笑)。また音質傾向も初期の「低音イヤホン」の時代から「フラット寄り」のサウンドになり、現在は「ES3」に近いドンシャリ傾向(高域は「ES3」よりさらに強め)へと変遷しているようです。

そして「ZS10」と「KZ ES4」との比較では、やはり4BAと1BAの差が解像度において明確に出るものの、これまでのKZ製イヤホンの比較と比べると興味深い違いを感じます。全体の傾向としては「ZS10」のほうが解像度が高く情報量が多い反面、「KZ ES4」のほうが低域が厚く、よりシャープで中音域のメリハリがハッキリしている印象となります。いっぽう高域はどちらも良くコントロールされている印象です。
KZ ES4先程の「ES3」「ZST」もそうでしたが、「ZS5(後期)」「ZS6」といったBA部分がデュアルのモデルでもあくまでツイーターのマルチ化(高域の出力アップと解像度向上)が目的でした。しかし「ZS10」では、ダイナミックドライバーは低域のみに特化し、中高域はネットワークでコントロールされた2種類×2個ずつのBAドライバーが中心となって出力する仕様となっています。そして今回の「KZ ES4」もBAおよびダイナミックドライバーの出力をネットワークでコントロールすることにより、中高域でのBAの影響がより顕著に表れているのではないかと思います。それが4つのBAをもつ「ZS10」ではより穏やかな印象のサウンドになり、1個の「KZ ES4」ではダイナミックドライバーの中高域にキレとメリハリを与えるチューニングとなっているようです。
同様のデザインでもドライバーの数とチューニングの違いにより、「KZ ES4」は真逆のキャラクターのサウンドに仕上がっている点はとても興味深いですね。


■「KZ ES4」の価格ゆえのウィークポイントはリケーブルで補完する

KZ ES4」はこのように従来のKZ製イヤホンの中でもかなり良好なサウンドバランスのイヤホンだと思いますが、やはり価格なりのウィークポイントがあります。まず装着感は「ZS10」などと比較しても格段に向上しており、遮音性も高いデザインとなっていますが、以前から変わらずの付属のイヤーピースでは実力を十分に発揮できるとは言い難いでしょう。「KZ ES4」はステムの太さは一般的ですので耳への装着感や音質傾向の好みにあわせて「final Eシリーズ」「SpinFit」「AET06/ATE07」「RHA」「コンプライ」など最適なイヤーピースを選択するのが良いと思います。

そして、「KZ ES4」は「ZS10」同様にリケーブルによる効果も比較的大きいイヤホンです。「ZS10」では中域の凹み対策やメリハリの強化などによりアグレッシブな傾向のケーブルとの組み合わせが相性が良かったのですが、「KZ ES4」についてはまずは情報量をアップすることで明瞭度の向上や高出力なDAPでの高域の歪みを抑制するアプローチが有効です。
KZ純正の銀メッキ撚り線ケーブル(通称「きしめんケーブル」)は「ZST」「ES3」用が「KZ ES4」でもそのまま使用可能です。情報量が向上し、低域の締まりがアップしたサウンドが楽しめます。
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またオススメなのはHCKなどが販売する「6N銀メッキ線ケーブル(4芯8芯)」や新しい「銀コート線8芯ケーブル」などの2pinケーブルで、どれも品質も高く、低コストでバランスケーブルが選択できるのが良いですね。特に8芯のバランスケーブルでは情報量の大幅な向上により、通常のケーブルより音量もアップします。DAP側がより低いゲインで音量が確保できることでBAドライバー特有の歪みを抑制できる効果もあり、全体的な解像度が大幅に向上します。また中低域のキレがぐっと増しますのでかなり楽しいサウンドになるのではないかと思います。


KZ ES4というわけで前後編に渡ってレビューをした「KZ ES4」ですが、同社のイヤホンでかつては恒例だった「当たり外れ」や「個体差」さらに「長時間エージングの必要性」といったワードは最近はほぼ気にしなくて良くなりました。前回の「ZS10」では「4BA+1DD」というドライバ構成も相まって数万円クラスのイヤホンと比較されることもしばしばという状況になるなど、「KZのイヤホンは音が良くて当たり前」が定着した感もあります。そして今回の「KZ ES4」もキレの良い寒色系ドンシャリ、とまるでTFZのEXCLUSIVEラインの製品等を彷彿とさせるようなサウンドクオリティとなってきました。自らそこまでハードルをあげながら、なおもとんでもないペースで新製品を発表し続けるKZ社の姿勢には本当に脱帽ですね。

今後も既にオーダー済みの製品もありますし、さらに噂のモデルなど目白押しな状況が続きますが、私のブログでもできる限り、がんばってこの勢いを追っていきたいと思います。