REVO

Delfin Japanさんより、6月16日〜17日に開催されたOTOTEN 2018ににて同社が出展してる「REVO」と「ruarkaudio」について、来場のお誘いとレビューの依頼をいただきましたので、OTOTEN会場をいろいろ物色した折で立ち寄らせていただきました。

今回紹介する2つのシリーズはいわゆる「高級ワイヤレスオーディオ」のジャンルの製品だと思います。最近では有名メーカーのスピーカー製品でもワイヤレス対応版が登場するなど、主に海外では利用シーンが大きく拡大している分野ですが、日本の市場ではまだまだこれから、という感じかもしれません。現在国内で良く目にするワイヤレス製品は、安価なBluetoothスピーカーなどオーディオにさほど興味のないライトユーザー向けの製品と、逆にいわゆるハイエンドオーディオの製品に極端に分かれてしまっている印象がありますね。そんななか、今回の「REVO」と「ruarkaudio」はそれぞれ異なったターゲットイメージを持ちながら、どちらもリビングに本格的でちょっと高級なサウンドを導入するのに最適な構成になっていると感じました。


■「REVO」/ クラシックモダンなデザインとリビングに馴染むサウンドが魅力的な英国ワイヤレスオーディオ

まずは「REVO」(https://revo.co.uk/)ですが、英国で2004年に生まれたオーディオブランドで、現在は「SUPER」シリーズという一体型ネットワークオーディオシステムを中心に製品展開をしています。日本ではDelfin Japanさんが総代理店として展開をするそうです。
REVOREVO」SUPERシリーズは、フラグシップの「SUPERSYSTEM」、シングルスピーカーでスタンダードモデルの「SUPERCONNECT」、そして高音質CDプレーヤーが一体型の「SUPERCD」の3モデルが用意されています。3モデルの主な違いはスピーカー構成による音質面などで、デジタル関連の再生機能はほぼ同じとなっています。まず、「apt-X」および「AAC」に対応するBluetoothスピーカーとしての利用のほか、LAN経由でのDLNA再生(後述)、「Spotify Connect」、FMチューナーなどです。
どのモデルも木目が美しいアンティークラジオを彷彿させるデザインで、フロントパネルのカラーにより「ウォルナットシルバー」と「ウォルナットブラック」が選択できます。部屋の雰囲気に合わせて選べるのがうれしいですね。

「REVO」製品ページ (Delfin Japan)

REVO標準モデルの「SUPERCONNECT」(税別65,000円)は、最近のBluetoothルームスピーカーでは一般的なシングルユニットタイプで、シリーズの中ではもっともコンパクトなサイズとなっています。効率の良い15Wのデジタルアンプ(Class-D)に専用設計の3.5インチのBMRスピーカー(平面スピーカー)ユニットによるフルレンジ構成となります。
「BMR(平面)スピーカー」は一般的なスピーカーユニットのようなコーン状ではなく平面タイプの振動板を使用したスピーカーのことで、「REVO」には専用設計のユニットが搭載されています。「REVO」で使用されている高品質な内部部品とあわせて、この平面スピーカーユニットが同シリーズの高音質を支えるポイントではないかと思います。

REVOさらに、アンプ性能を40Wにして平面スピーカーユニットをステレオで搭載し、高音質CDプレーヤーを内蔵した「SUPERCD」(税別99,000円)は、個人的には最も導入しやすい構成のグレードかなと思います。私自身は普段はネットワークオーディオがメインの利用で単身で仕事場兼住居にしている東京のオフィスと福井県内にある家族のいる自宅の両方でミュージックサーバー用のNASを配置しています。いっぽうで自宅リビングの棚には長年買い集めたそこそこ膨大なCDコレクションがあり、「あえてCDで聴く」というシチュエーションも決して少なくありません。CDでの音質にこだわるオーディオマニアでなくとも、「パッケージ好き」の方が多い日本では「SUPERCD」の構成のほうが便利かもしれませんね。

REVO実際「SUPERCD」のサウンドを会場で聴かせていただいたところ、とても聴きやすくスッキリしたサウンドに少し驚かされました。比較的コンパクトなサイズのワイヤレススピーカー製品の場合、どうしても「低域」の表現にこだわりがち、という傾向を感じます。ざっくりいうとBOSE的なアプローチですね。これらの製品の深い重低音は音場感を演出し、派手さもありますが、リビングに溶け込むサウンド、という視点では少し演出過剰かもしれません。しかし「REVO」では平面スピーカーの特徴を活かし、よりクリアな印象で明るめの中音域が特徴的なサウンドでした。もちろん低域も十分な存在感はありますが、中高域を邪魔しない程度にコントロールされています。また高域も過度な主張はせず、少しカマボコ寄りのセッティングという印象でした。必要以上の派手さはありませんが、伸びのよさや広がりには安っぽさは一切無く、非常に聴きやすいセッティングながら高級感も感じる仕上がりになっていると感じました。リビングでの利用をイメージすると、必要以上に音量を上げなくても、ちゃんと存在感のあるサウンドを聴かせてくれるいっぽうで、生活を邪魔しない心地良い存在になるのではと思います。

REVOそして、最上位モデルの「SUPERSYTEM」(税別115,000円)ではCDプレーヤーは搭載されていませんが、ハウジングが余裕のあるサイズとなり、底面に5.3インチサブウーファーユニットが追加された2.1ch構成となっています(アンプは80W)。このモデルではインターフェースも強化されており、ネットワークで有線LANが使用可能(他モデルはWi-Fiのみ)で、外部入力もアナログのほかSPDIFデジタル入力(Optical)が利用できます。
SUPERSYTEM」ではサブウーファーによるさらに深みのある低域で本格的なリスニングスピーカーシステムとして利用できると思います。また「SUPERCD」等でも一般的なマンションや戸建てのLDKの広さであれば十分に利用できると思いますが、さらに広いスペースで堪能したいというニーズにも対応できるのはと思います。デザイン的にも高級家具などのインテリアを揃えた部屋に置いても遜色ない製品なのが良いですね。
また、「SUPERSYTEM」のデジタル入力は、Appleの「AirMac Express」によるAir Play再生や、Googleの「Chromecast Audio」と組み合わせることで、「REVO」が標準で搭載する「Spotify Connect」だけでなくApple MusicやGoogle Play Musicなどのストリーミングコンテンツをより高音質で楽しむうえでも最適ですね(もちろん「SUPERCD」や「SUPERCONNECT」でもアナログ入力で利用できます)。


■「ruarkaudio」 / 伝統ある英国ハイエンドメーカーが生み出す安定感のあるピュアサウンド

ruarkaudio同じくDelfin Japanさんが総代理店として取り扱うもうひとつのブランドが「ruarkaudio」です。「ruarkaudio」(https://www.ruarkaudio.com/)も「REVO」と同様に英国のブランドで、1985年に創業以来、主に欧州向けのハイエンド向けスピーカー製品のメーカーとして、現在の製品ライナップは2000年代に入ってからスタートしたデジタル向け製品に特化した展開をしているようです。基本的なデザインは踏襲されておりブランドとしての安定感がありますし、また長年デジタルスピーカーシステムを作ってきた経験からか音質面に加え、操作インターフェース等も洗練された印象をうけました。
「apt-X」対応のBluetooth機能やDLNAでのネットワーク再生機能など、搭載された機能は「REVO」と共通している部分も多くありますが、「ruarkaudio」は構成面でも音質面でもよりピュアオーディオに寄せている点が特徴だと思います。

「ruarkaudio」製品ページ(Delfin Japan)

まずエントリーモデルとして、もっともコンパクトな「R1 mk3」(税別45,000円)は、9Wの出力に、3.5インチのフルレンジユニットをシングルで搭載しています。操作は本体上部の円形の「RotoDial Control」(ロータリーダイアル)を使用します。「RotoDial Control」は現在の「ruarkaudio」製品に共通の操作インターフェースでシンプルで直感的な操作性がとても印象的ですね。この製品はスマートラジオという位置づけで、USB給電ポートとヘッドホン出力、AUX入力(どちらもステレオミニ)を搭載します。
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いっぽう「ruarkaudio」の最新のプロダクトとなる「MR1 mk2」(税別71,000円)は、コンパクトなブックシェルフ型スピーカーのデザインとなっており、より本格的なオーディオコンポーネントとして活用できるモデルとなります。こちらは75mmウーファーと20mmツィーターの2Way構成で搭載するステレオユニットで、R側に20WのABクラスアンプ等を搭載します。R側上部には同様に「RotoDial Control」を搭載し、背面にはサブウーファープリアウトとデジタル入力(Optical)が搭載されています(ヘッドホン出力はなし)。デジタル入力はAppleの「AirMac Express」によるAir Play再生や、Googleの「Chromecast Audio」と組み合わせることでより高音質なストリーミング再生を活用できますね。

そして「ruarkaudio」のスタンダードモデルともいえる一体型のオーディオシステムでは「R2 mk3」(税別85,000円)、CDプレーヤーとサブウーファーを内蔵した「R4 mk3」(税別175,000円)があり、さらにフラグシップの「R7 mk3」(税別499,000円)とグレードアップします。
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R2 mk3」と「R4 mk3」は、どちらも3.5インチフルレンジユニットをステレオで搭載し、サブウーファーを搭載しない「R2 mk3」ではLoudness機能により小音量でも低音をアップする機能があります。いっぽうの2.1ch構成の「R4 mk3」ではサブウーファーが実力を発揮できるよう80Wの高出力アンプを搭載しています。「R2」以上のモデルではストリーミング機能として「Spotify Connect」に対応しており、「R4 mk3」ではデジタル入力も利用可能です。CDプレーヤー内蔵という点も含め最もオールマイティに使えるモデルといえますね。もちろん上部には「RotoDial Control」による操作インターフェースを搭載し、付属リモコンもグレードアップしています。

ruarkaudioそしてフラグシップの「R7 mk3」はサイズ的にも音質的にも頭ひとつ抜けて、かなりハイエンドオーディオに近い構成のシステムとなっています。180WのABクラスのディスクリート仕様の高出力アンプを内蔵し、左右に設置された140mm 2Wayの同軸ドライバーユニットと底面に設置された200mmサブウーファーの2.1chスピーカー構成となっています。
インターフェースも充実しており、アナログ(RCA)入力およびデジタル(Optical)がそれぞれ2系統、さらにターンテーブルを接続できる「PHONO」入力をサポートしています。Bluetooth機能も他モデルの「apt-X」対応に対し、「R7 mk3」では「apt-X HD」対応となっているとのことです。デジタルソースだけでなく、アナログソースにも幅広く対応し、別売りのAVマウント等を活用し大画面テレビの高音質スピーカーユニットとして活用することも可能となります。また「R7 mk3」では「RotoDial Control」が本体上部以外にも同形状のリモコンとしても付属しており、操作性がさらに向上しています。

会場で実際に「R7 mk3」を試聴させていただきましたが、ワンボックスのデジタルオーディオ製品とは思えない、味付けのないピュアなサウンドと豊かな音場表現がとても素晴らしく感じました。高域の抜けも良く、低域も十分な表現力があります。カラーは高級木目仕上げとホワイトが選択でき、大きめのリビングルームでシンプルに本格的なオーディオシステムを組み込むことができる点は、このクラスの製品を検討している方にとってはかなり魅力的なアイテムといえるのではと思います。


■機器コントロールも可能なスマートフォンアプリによるネットワーク機能

UNDOKREVO」および「ruarkaudio」の主な再生方法としてはapt-X等に対応した高音質Bluetoothスピーカーとして、あるいは外部入力と連携して、という組み合わせのほかにDLNAによるネットワーク機能が挙げられます。DLNAによる音楽再生の場合、ソースはWindows PC等で公開することも可能ですが、一般的にはNAS製品を使っての利用になると思います。最近は音楽用途で人気のあるQNAP製NAS以外にも国内および海外の主要メーカーでもメディア共有機能が充実してきているため、導入はより簡単になってきています。「REVO」および「ruarkaudio」での通常のDLNAの利用は本体前面の小さいパネルの画面を見ながらの操作になりますが、どちらの製品も「UNDOK」(iOS/Android対応、無償)というアプリを使用することで機器の遠隔操作および再生が可能になります。このアプリを使用すれば、あらかじめNAS上にミュージックサーバを用意し、気分にあわせてアプリから音楽を再生するネットワークオーディオが手軽に構築できます。


というわけで、今回2つのブランドのオーディオ製品を紹介させていただきましたが、なにより想像以上の高音質に驚きました。この手の製品は低音ドコドコでちょっと派手な音があたりまえ、という印象があり、実際OTOTEN会場で出展されていた他メーカーの一体型デジタルオーディオ製品ではそのような傾向だったのですが、今回の2社の製品はとてもナチュラルなサウンドで違和感を持たなかったのが良かったですね。価格もピュアオーディオ製品と比較すればそれほどではありませんが、購入にはやはりじっくり検討したい金額ですし、聴く側もそれなりにハードルはあがると思います。現在アマゾンでの直販での購入が可能ですが、より試聴できる場所ができてくれば検討される方も増えるかなと感じました。とりあえず私も福井の自宅のリビングで検討を・・・おっと(^^;)。