NICEHCK DT500

こんにちは。今回は中国のイヤホンセラー「HCK」オリジナルの5BAイヤホンNICEHCK DT500」の紹介です。以前紹介した3BAモデル「DT300 Pro」をグレードアップした5BA仕様のモデルとなっています。
NICEHCK DT500」「DT300 Pro」は、Shure SEシリーズのイヤホンを彷彿とさせるデザインのHCKオリジナルイヤホンで5個または3個のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを搭載しつつ、価格はアマゾンでどちらのモデルもアラウンド1万円程度の設定となっています。
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音質面では3BAの「DT300 Pro」がリスニングイヤホンとしてとても使いやすいチューニングとなっている反面、今回紹介する5BAモデルの「DT500」はかなり偏った設定で、上位モデルと言うというには「?」と思える部分も多く、印象としては「もうちょっとチューニングを変えたほうが・・・」という感じです(「インスト曲専用モデル」としてなら、かろうじて?)。個人的には「DT300 Pro」は幅広く多くの方にオススメできるイヤホンだと思いますが、「DT500」は積極的にはなかなか勧めにくい製品ですので、以下のレビューをご覧のうえご検討いただければと思います。

カラーは3BAの「NICEHCK DT300 Pro」が「クリアー(透明)」「グレー」「ブルー」の3色、
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いっぽうの5BAの「NICEHCK DT500」は「ブラック」「グリーン」「レッド」の3色となっています。
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現在の表示価格はアマゾン(NICEHCK)が「DT300 Pro」が11,250円、「DT500」が12,229円と販売当初よりかなりディスカウントされた価格設定となっています。一部国内在庫が切れているモデル以外はアマゾン倉庫よりプライム発送となりますのですぐに届きますし、アマゾン経由での1年間の保証が得られるため安心感が大きいですね。
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK DT300 Pro / NICEHCK DT500

いっぽう中国発送のAliExpress(NiceHCK Audio Store)では「DT300 Pro」が119ドル、「DT500」が139ドルとの表示価格となっています。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK DT300 Pro
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK DT500

AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。AliExpressでは購入方法に記載の通りHCKによるフォロワー値引きが得られると思いますが、この製品については既にディスカウント済み価格表示になっているアマゾンで購入した方が良いかもしれませんね。どちらの場合も、HCK(@hhckexin)のTwitterアカウントでは頻繁に割引情報などもツイートされますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。

なお、「DT300 Pro」(3BAモデル)については過去記事にて紹介しています。
→ 「NICEHCK DT300」 トリプルBA搭載でSE535より手が届きやすい、リスニングチューンの濃厚イヤホン【レビュー】


■アラウンド1万円イヤホンながら充実したパッケージング。装着性・遮音性は良好。

NICEHCK DT500」のパッケージも、「DT300 Pro」同様にHCKオリジナルのボックスで届き、付属品は充実しています。
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付属品は、イヤホン本体、銀メッキ線のMMCXケーブル、イヤーピースはブラックのシリコンタイプとグリーンのウレタンタイプがS/M/Lの各サイズ、HCKオリジナルケース、保証書(アフターマーケットカード)。
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NICEHCK DT500」および「DT300 Pro」はShure SEシリーズを彷彿とさせるプラスチック製のコンパクトなクリアシェルにBAユニットがびっしりと詰まっているのがわかります。
ステムも同様に細いタイプで、付属品以外のイヤーピースを使用する場合は「Shure用」として販売されているタイプを使用する必要があります。
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付属の銀メッキ線MMCXケーブルは樹脂被膜の硬めのケーブルですので絡まりにくい反面、取り回しにはくせがあります。装着性はShure SEシリーズ同様に耳にすっぽり収まる感じで非常に良く、遮音性の高さも特徴です。イヤーピースはシリコンタイプの場合、Spin FItの「CP800」シリーズや同「TwinBlade(CP240/付属インサートアダプタ使用)」がおすすめで、ウレタンタイプの場合はやはりコンプライ(100シリーズ)がオススメです。またShureの純正イヤーピースももちろん利用できます。
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私はSpinFit CP800およびコンプライでより遮音性を高めた「Pシリーズ」を利用しています。


■ボーカルが濃厚で心地良い「DT300 Pro」に対して、「DT500」は・・・おや??

NICEHCK DT500以前レビューした「DT300 Pro」は中低域メインで濃厚なボーカルなどの中音域が特徴の暖色系サウンドで、リスニング向けのイヤホンとしては結構完成度の高い製品でした。そういったこともあり、今回の「DT500」も5BAにグレードアップしたモデルとして少し期待をしていたのですが、実際に聴いてみると印象がかなり異なりました。まず最大の問題点はある程度の駆動力のあるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプを経由しないと中音域、特にボーカルの籠りをかなり強く感じる点。これについては念のため100時間オーバーのエージングを行ったものの大きな変化はありませんでした。また逆に反応もShure SEシリーズ並に良いため、これらのイヤホン同様に駆動力が高すぎても「ハイ上がり」の状態になったり、ヘッドホン用のアンプではホワイトノイズが大量に発生したりします。

「DT500」のサウンドを個別にみてくと、低音域は量感を保ちつつマルチBAらしいしっかりとした描写があり、「DT300 Pro」の暖色系の傾向のままいっそう厚みを増した印象があります。それに対し、中音域は特にボーカルにおいて「少し離れてラジカセが鳴っているよう」という籠り具合の表現がそのまま感じるような傾向があります。高域についてはある程度上の方はきちんと描写しているのですが、高音の女性ボーカル、ピアノやギターの高音などの多くは中音域同様の強い籠りを感じます。

NICEHCK DT500100時間以上のエージングを実施した「DT500」で、イヤーピースは締まりを向上させるためコンプライ「P-100」を使用、さらにケーブルもHCKの8芯ケーブル(赤白ミックス)にリケーブルし、DAPは「iBasso Audio DX150」を使用して聴いた印象としては、オーケストラのサウンドトラックや、ブルーノート等のオールドジャズなどインストゥルメンタルの曲では中音域の籠りは比較的感じず、低域および高域の良さと響きを感じるサウンドを実感できました。いっぽうボーカル曲はポップス、ロック、アニソンなどジャンルを問わず全般的に籠りを感じる印象で、たまにピンポイントで大丈夫な曲がある、という感じでした。たとえばアニソンでは高域成分の強い「fripSide」の曲はわりと大丈夫ですが、同様に高域の強いボーカルでも「fhána」の曲は全般的に籠もる、という感じです。

手持ちのケーブルで一番相性が良かったのは、HCKがAliExpressで以前から100ドル程度の金額で販売している金メッキ線ケーブル(本当に金メッキかどうかは不明)で、使用すると中低域のバランスが少し変ってしまうため普通に音の良いイヤホンでは逆効果になるケースも多いのですが、「DT500」の場合はボーカルが歌い上げるタイプの比較的音数の少ないポップス曲では印象が多少好転しました。
NICEHCK DT500「DT500」は5BAですが、構成としては中高域のデュアルBA×2+低域のウーファーBA×1の2種類のユニット構成となっており、「DT300」(中高域BA×2+低域BA×1)と同じく中低域に1カ所クロスオーバーが発生する構造になっています。おそらく「DT500」ではネットワークによるクロスオーバーの処理が今ひとつ上手くいっておらず、結果的にそれぞれのユニットがほぼ単独で鳴る低域と高域に対して中音域が籠もる結果になったのだろうと予測できます。
つまりこの部分のチューニングさえ変えれば「DT500」の印象は激変するのではと思います。今後チューニングを変更した「DT500改良型」が登場してくれることを期待します。

また今回あらためて「DT300 Pro」を比較しながらじっくり聴いてみましたが、こちらは逆にボーカルが非常に濃厚で全体的なバランスも聴きやすいイヤホンにまとめられていると感じました。販売開始当初より価格も下がっているようですので、あらためて多くの方にお勧めできるモデルだと思います。