丸七赤龍

というわけで、前回に引き続き七福神商事さんのイヤホンケーブルレビューです。今回はつい最近発売された8芯純銅線ケーブル 「丸七赤龍」の紹介となります。前回より3回に分けで購入ケーブルを順次紹介しています。

その①: 七福神商事「丸七銀龍」8芯「純銀線」ケーブル
その②: 七福神商事「丸七赤龍」8芯「高純度銅線」ケーブル ※本レビュー
その③: NOBNAGA Labs「更紗」(友禅辻の花) 8芯「高純度銅線」ケーブル

次回(その③)ではNOBNAGA Labs「更紗」のレビューとともに、本記事の「丸七赤龍」との比較なども予定しています。
 

■「丸七赤龍」/ マルチBAイヤホンをより濃密にグレードアップする高音質「純銅線」ケーブル。

今回の「丸七赤龍」は8芯タイプの高純度「銅線」ケーブルです。線材に6N(99.9999%)の高純度単結晶銅を使用しています。「丸七赤龍」は7月下旬より販売介したばかりの新製品で、MMCXコネクタ仕様、3.5mmステレオ、2.5mm/4極および4.4mm/5極のバランスケーブルが選択できます。現在はeイヤホン等のショップでのみ購入することができます。価格は店頭標準価格で7,980円となっています。

【新製品】 七福神商事 丸七赤龍【2.5mm4極 mmcx 七福神商事オリジナル純銅線】

価格:8,060円
(2018/8/11 15:25時点)

【新製品】 七福神商事 丸七赤龍【4.4mm5極 mmcx 七福神商事オリジナル純銅線】

価格:8,060円
(2018/8/11 15:25時点)


丸七赤龍」は6Nの高純度単結晶銅線を使用した8芯ケーブルで、丁寧に手編みされた線材はある程度の太さがありコシのある線材ですが適度な柔らかさはキープしており、取り回しは良好です。
丸七赤龍丸七赤龍
丸七赤龍」を他のケーブルと比較してみると、七福神商事が販売する「LZ製8芯 6N銀メッキ単結晶銅線ケーブル(ブラック)」とほぼ同じくらいの太さであることがわかります。ただ非常に柔らかいLZ製ケーブルと比べるとただ「丸七赤龍」のほうが多少弾力があります。そのため「丸七赤龍」についてはあらかじめ耳掛け用に加工がされています。また被膜の関係もあり、実際に手に取ってみると「丸七赤龍」のほうがより太い印象を受けるかもしれませんね。
丸七赤龍丸七赤龍

前回レビューした「純銀線」の「丸七銀龍」はシングルダイナミックの高音質イヤホンで顕著なリケーブル効果がありました。そして今回の高純度単結晶銅線を採用する「丸七赤龍」は、もともと多くのイヤホンで採用されている銅線ケーブルのアップグレード版ともいえるため、イヤホンの種類を問わず、あらゆる組み合わせでリケーブル効果を発揮できる汎用性の高さも特徴です。

丸七赤龍なかでも特にマルチBAのイヤホンとの相性は抜群で、一般的な付属ケーブルと比較して劇的に情報量が向上することで解像度が大幅に向上し、ひとつひとつの音がより正確に実感できるようになります。たとえば8BA構成の「Yinyoo HQ8」と組み合わせると、マルチBAイヤホンとしてはもともと広かった音場がより立体的な響きとなり、高域の明瞭感が飛躍的に向上しさらに伸びのあるサウンドとなりました。また低音域についても解像度の向上で沈み込みが増すのが実感できます。「丸七赤龍」は、極端に低域や高域を強くしたりメリハリを高めるような味付けをするタイプのケーブルではなく、イヤホンのポテンシャルを引き出すことで全体的にサウンドをグレードアップし1ランク上のサウンドに近づけるような傾向だと思います。印象としては「スッキリ系」の変化で、銅線にありがちな低域などを濃くするタイプではありません。

ここで私のブログで過去にレビューした中華イヤホンケーブルのなかでも特に評判の良い「YYX4744/8芯 OFCケーブル5,599円)」と「YYX4765/金銀合金&OFCケーブル15,900円)」(どちらもYinyooブランド、Easy Earphones/WTSUN Audio取り扱い)と比較してみると、「丸七赤龍」は「YYX4744」、通称「キンバー風ケーブル」のような派手な味付けは行わず、「Yinyoo HQ8」での印象では倍以上の価格設定の「YYX4765」(金銀合金&OFCケーブル)に近い印象となります。
丸七赤龍とはいえこの2種類のケーブルを比べると「YYX4765」のほうが音を整理し少しエッジを立てる印象に対し、「丸七赤龍」は銅線らしい音の厚みが増す傾向はあるものの、より自然に音質を向上させるイメージだと感じました。そのためキレのある音質傾向のイヤホンの場合はちょっと演出過剰ぎみになる「YYX4765」に対し、サウンドバランスを維持したままグレードアップできる「丸七赤龍」のほうが間違いなく相性が良いですね。いっぽうでマルチドライバーの和音により中低域がすこしモコモコとするようなイヤホンでは「YYX4765」はスッと雑味を抜いて明瞭感やキレを感じさせてくれる効果があると思います。この辺は好みのレベルかもしれません。
どちらのケーブルも高音質(または、それなりの価格以上、ともいいますね)のイヤホンとの相性が良く、特に中音域にフォーカスしたフラット寄り、または弱ドンシャリ傾向のイヤホンと組み合わせると特にリケーブル効果が得られそうです。

丸七赤龍」および純銀線の「丸七銀龍」はその製品名からも当然、七福神商事さんの「丸七」シリーズのマルチBAハイブリッドイヤホンとの相性は良いはずですが、実際に聴いてみた特徴からもその点については間違いないと感じました。同シリーズのイヤホンをお持ちの方はグレードアップ用の強力な選択肢として検討されるのもよいと思います。

丸七赤龍いっぽう、もともと派手めのサウンドのイヤホンとの組み合わせの場合も十分なリケーブル効果は得られますが、同価格帯までの銀メッキ線ケーブル等との差は少なく、「丸七赤龍」の「らしさ」はあまり出ないかもしれません。例えば、七福神商事さんで取り扱っている(在庫限りらしいです)4BA+1DDハイブリッドの「LZ-A5」と組み合わせてみると標準ケーブルとの比較では音がぐっと近づき、低域の解像度および締りが向上しますが、以前より同社で取り扱っている「LZ製8芯 6N銀メッキ単結晶銅線ケーブル(ブラック)」との比較では、両者の違いは限定的なようです。LZ製ケーブルもクオリティの高いケーブルですので、この辺は用途にあわせて使い分けたいところですね。

このように「丸七赤龍」は国内メーカーが販売するイヤホンケーブルとしては1万円以下の低価格設定ながら音質面はより高価価格帯のケーブルに匹敵する品質を実現した製品であることを改めて実感しました。また低コストが「売り」の中華ケーブルと比較しても十分に高いコストパフォーマンスでした。

「丸七赤龍」「丸七銀龍」丸七赤龍」や前回の「丸七銀龍」のように優れたケーブルを国内メーカーの正規の保証のもとで購入できるのは大変有り難いですね。いっぽうの中華ケーブルのほうも、ここ最近の傾向で3,000円クラスの価格帯の品質が急激に向上し、ともすると肉薄しそうな勢いもあります。
各社が切磋琢磨してより良い製品が購入できることはユーザーとしてはうれしい限りです。とりあえず、「丸七銀龍」「丸七赤龍」ともさらに買い増しを・・・おっと (*´▽`*)。


次回、その③に続きます。