bboooll BOT1

こんにちは。8月も終盤となってきましたが相変わらずの暑さにちょと体調も崩しがちです。そしてちょっと油断するとあっという間に書きかけのレビューがたまる一方で・・・というわけで、ちょっと気合いを入れて一気に紹介せねば、と思っています。
今回紹介するのは中国のイヤホンブランド「Yinyoo(音佑)」で販売されている「bboooll BOT1」という3DD仕様のイヤホンです。トリプルダイナミックのイヤホンというと先日レビューしたKinboofiオリジナルの「KBF F60」が記憶に新しいところですが、こちらの音の厚みに独特さを感じつつもイヤホンは聴きやすいバランスにチューニングされており、3,000円程度の低価格イヤホンとしてはなかなか興味深い製品に仕上がっています。
製品情報をみると、製造ブランドは「bboooll(波耳)」で、製品型番は「BO-T1」となっており、「bbooollのT1モデル」みたいな意味合いのようです。そのため「BOT1」は「ボットワン」ではなく「ビーオー・ティーワン」と呼んだ方がよさそうですね。
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bboooll BOT1」の購入は毎度お世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」にて。同社がアマゾンに出店する「WTSUN Audio」にて2,999円にて販売されています。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): bboooll BOT1


bboooll BOT1」はハウジング内に3個のダイナミック型ドライバーを搭載する「3DD」構成のイヤホンです。中華イヤホンでは以前からある2DD構成の場合「ウーファー+ツイーター」のような、いわゆる2ウェイタイプが主流ですが「bboooll BOT1」では同サイズのフルレンジタイプの小型ユニットを3個並列でつなげているようです。サイズの大きいフルレンジユニットをシングルで搭載する場合と比較し全体的に厚みのあるサウンドを低コストで作れるところにメリットがあるのでは、と思われます。
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また他のメーカーにも「bboooll BOT1」とよく似たデザインのイヤホンがあり、製造メーカーはこれらのイヤホンをOEM供給している会社かもしれませんね。

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到着したパッケージは3000円程度の製品としてはかなりしっかりとしています。
内容はイヤホン本体、イヤーピース(S/M/L)、ケーブルフック、布製ポーチ、説明書。
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シェル自体はプラスチック製ですがステム部分は金属製となっています。フェイスプレートを正面から見ると湾曲したハート型のデザインが特徴的です。3つのドライバーをイメージした金属製の丸いパーツが貼り付けられており、それぞれの中央の穴がベント(空気孔)となっているようです。
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また側面には「bboooll MCX3」とプリントされており、おそらく元々の製品名称だったのだろうと思います。
トリプルドライバーの配置の関係で湾曲したハート型の形状をしていますが、思ったよりホールド性は高く、また耳が痛くなるような引っかかりも感じず、装着性は比較的良好なようです。
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ケーブルは樹脂被膜に覆われたタイプで絡まりにくくタッチノイズなども気になりません。またマイクリモコンがケーブル分岐部分に一体化しており、ぱっと見はマイクリモコンが付いていないように見える作りはありそうで結構珍しいですね。スマホ等で通話を頻繁に利用する方からはマイクが離れているため都度口元に寄せる動作が必要ですが、このタイプのイヤホンで通話の頻度が高いケースは非常にまれだと思いますのでこのようなアプローチは良いアイデアだと思います。またスマホ利用でもリモコン操作についてはむしろ分岐部分のほうが使いやすい、というメリットもありますね。


■「こっちの3DD」は中音域メインのボーカル寄りのサウンドバランス。

bboooll BOT1」の音質傾向は中低域メインで全体的にボーカルが聴きやすいサウンドバランスにまとめられています。先日レビューしたKinboofi 「KBF F60」がかなり厚めの低域が特徴的だったのと比べるとかなりスッキリした印象を受けます。解像度は価格なりで決して高くはありませんが、中音域、特にボーカルは近くで定位し、とても聴きやすく心地良い印象があります。また全般的に刺激の少ない暖色系のイヤホンで長時間の利用にも向いていると思います。
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高域は天井が少し低めでハイハットの表現などもそれなりですが、刺さり等は全くありません。低域については沈み込みは浅く音場も平面的ですが、並列で接続された3個のフルレンジタイプのダイナミック型ドライバーの効果か厚みのある音で左右に広がる響きが特徴的です。
bboooll BOT1」ではそれぞれの小型ドライバーをフルレンジで使用するためダイナミックレンジは高くないと思われますが、中音域メインの割り切ったチューニングがむしろ良いバランスとなっていると言えるのではと思います。

じっくりリスニングを楽しむ、という用途にはもう少し表現力が欲しいところですが、日常的なBGMなどで気軽に使用するうえでは最適です。ジャンルとしてはポップスやアニソンなどのボーカル曲と相性が良いと思います。

bboooll BOT1このように中音域メインで多少平面的な「bboooll BOT1」は、低域メインで奥行きのあるサウンドのKinboofi 「KBF F60」と比較するとかなり緩めでアッサリした音だと感じます。しかし普段使いの聴きやすさという意味では「bboooll BOT1」のほうが便利でしょう。
同様なレイアウトの3DDイヤホンでも全く印象が異なるのがとても興味深いところです。
低価格の中華イヤホンもこのところ特に5,000円程度の価格帯を中心に性能インフレが凄まじい印象ですが、いっぽうでこのような個性的な製品も種類は少ないながらも登場してくれるのはファンとしては嬉しいところです。
決してメインの存在ではないかもしれませんが、ちょっと「変わり種」のイヤホンにも挑戦してみようという気分にさせてくれる低価格な中華イヤホンはやはり欠かせない存在ではないかと思います。