KZ ZS4

こんにちは。今回は「KZ ZS4」の紹介です。1BA+1DDのハイブリッド構成のイヤホンで、既存モデルの「ZS3」(1DD構成)とほぼ同じシェル形状の上位モデルであり、事実上の後継モデルと考えられます。印象としては「ZS3」の中低域にKZ製ハイブリッドの特徴的な高域のキラキラ感を乗せたようなサウンドで、2千円台のイヤホンとしてはかなり明瞭で良いサウンドバランスに仕上がっていると思います。

ちなみに私のブログではすっかりお馴染みの中国の低価格中華イヤホンの代名詞的なブランド「KZ」ですが、同社の製品で最初に2pinコネクタによるケーブル脱着式となったモデルが「ZS3」でした。その後、同社にとって最初のハイブリッドである「ZST」が発売され、以降この2つのモデルで採用されたコネクタ形状が「ZS3」タイプ(Aタイプ)は「ZS6」や「ZSA」など、「ZST」タイプ(Bタイプ)は「ZS10」や「AS10」など最新のモデルにもそのまま受け継がれています。

KZ Earphoneいきない余談で恐縮ですが、中華イヤホンにハマるきっかけがKZ製イヤホンという方は以前から結構多くいらっしゃると思います。私自身もこれほど多くの中華イヤホンに触れることになる最初のきっかけは今回の「KZ ZS4」の前身の「ZS3」でした。当時すでに評価の高かった「KZ ATE」や「KZ ED9」と一緒にAliExpressでまとめて購入しましたが、特にその中でも「ZS3」の「異様なまでの装着性の良さ」にヤラレてしました(笑)。以前から時々書いていますが私は耳穴が小さく、付属のイヤーピースで装着できるイヤホンがとても少なかったこともあって、やたらしっくりくる「ZS3」の装着性はかなり感動しました。このイヤホンが千円程度の価格で購入できたことにとても驚いたのをいまでも憶えています(今は「ZS3」も当時より少し高いです)。

昔話はさておき、今回の「KZ ZS4」ですが、見た目のデザインはこの「ZS3」をほぼ踏襲しており、さらにドライバー構成を今ではすっかり同社の定番であり、また中華イヤホン全体でも一般的となったハイブリッドの構成にアップグレードされました。ハウジング部分に8mmのダイナミック型ドライバーを、さらに高域を担うKZ製「30095」バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーがステム部分に搭載されています。
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KZ ZS4」では「ZS3」でダイナミックドライバーからステム部分に伸びていた音導管部分、つまり音の通り道の中にBAを追加し、ノズル部分で双方の音が交わる、という、とてもシンプルな構造になっています。そのためこのBAを内蔵した音導管(サウンドチューブ)部品の形状を工夫することで音のバランスを調整するというアプローチをとっています。最近のイヤホンではバランスを調整しながら3Dプリンタを使ってハウジングと音導管を一体形成する手法も(比較的高価格帯の製品に)存在しますが、金型の必要なプラスチック成型で同様に製造するのは「低価格イヤホン」を数多く(=多くの種類を大量に)作り続けてきたKZだらかできるアプローチといえるでしょう。つまり、わずかなアップデートに見える「ZS3」と「KZ ZS4」の間には同社の積み重ねてきた数多くの経験があってこそ、という要素が含まれるのだと思います。

前置きが長くなりましたが、今回の購入は中国のイヤホンセラー「HiFiHear Audio」より。同社のアマゾンマーケットプレイスでは「KZ ZS4」は2,599円(マイクなしモデル)にて販売されています。プライム扱いでアマゾン国内倉庫より出荷されますので購入後すぐに届くと思いますし、万が一の場合もアマゾン経由でのサポート対応が受けられます。

またカラーはブラックとレッドがあり、それぞれマイク有り・無しのモデルが選択できます。
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): KZ ZS4

※現在購入時に500円の割引が適用され、2,099円での購入が可能です。

またHiFiHearのTwitterアカウント(@Qianqian_HRcase)では割引情報などもツイートされていますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


■カスタムIEMを彷彿とさせるような、他にはない抜群の装着感

到着したパッケージはいつものイラスト入りの白箱ですが、「KZ ZS4」は本体カラーに合わせたカラーイラストのバージョンになっています。赤い「KZ ZS4」のイラストはなんとなくポップアートぽさもあったりします(^^)。
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パッケージ構成は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書。
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プラスチック製の本体は「ZS3」の形状を継承し、独特の流線型をしています。「ZS3」もフェイス部分に「Right」「Left」と書かれていましたが、「KZ ZS4」でもほんの少しだけ控えめになったものの相変わらず健在です。逆に「ZS4」の型番のプリントがなくなりました。
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「ZS3」と比較すると基本的な形状は全く同じですが、ステム部分の形状が若干変更となっていて、「KZ ZS4」のほうがイヤーピースをフックしやすいように加工されているのが分ります。
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KZ ZS4」も装着性は驚くほど高く、ユニバーサル型のイヤホンながら、まるでカスタムIEMのように耳にキュッと収まる感じの装着感覚は独特のものだと思います。抜群に装着感の高いイヤホンですので、イヤーピースは付属品も含め、耳穴のサイズに合うものを選べば問題ないと思います。

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また、「KZ ZS4」では「ZS10」以降で付属しているブラウンのケーブルではなく、新たにブラックの撚り線ケーブルが付属しました。適度に柔らかい被膜の取り回しも良好なケーブルで、個人的にはこちらのケーブルの方がブラウンのケーブルより好みですね。


■低価格ハイブリッドながら高い分離性と明瞭感のあるサウンドは健在

KZ ZS4」の音質傾向は低域が厚く、結構濃いめのドンシャリです。箱出し直後から低域は結構強め(すこし暴れる?)ですが、ある程度のエージングにより中高域のバランスも落ち着きます。私は100時間程度のエージングを実施しました(エージング方法は例によってApple Musicのランダム・エンドレス再生)。
KZ ZS4既存モデルの「ZS3」も低域の厚い傾向ながら各音域の分離性が高く、籠りのない明瞭なサウンドと音場感が特徴的なイヤホンでした。
今回の「KZ ZS4」もZS3の音質傾向をしっかり継承しつつ、BAユニットの追加によるハイブリッド化でKZらしい高域のキラキラ感があるサウンドとなっています。中高域はとても分離感の良い明瞭なサウンドでボーカルも近くに定位します。
全体的にメリハリのある音のためロック、ポップス、アニソンなどの元気の良いサウンドと相性の良いサウンドですね。いっぽう低域は量感と響きがあるサウンドですが解像度はそれほど高くなく臨場感や雰囲気を楽しむような音です。
KZ ZS4」は低価格のモデルながら装着性の良さとハッキリとした明瞭感のあるサウンドバランスでとても使いやすいイヤホンに仕上がっていると思います。

KZ ZS4ちなみに、以前の「ZS3」もそうでしたが、「音量を極端に上げすぎると音が暴れる」傾向が特に低域については「KZ ZS4」にも多少あります。「KZ ZS4」はインピーダンス18Ω、感度101dB/mWと決して鳴りにくいイヤホンではありませんし、とてもメリハリのしっかりした音なので必要以上に音量を上げる必要はもちろん全くありません。しかし、「イヤホンは難聴覚悟で爆音で聴く派」という方がもしいらっしゃったら(絶対にそういう聴き方はお勧めしませんけどね)、音量を上げることでより耳に負担がかかる可能性があります。確かにイヤホン・ヘッドフォンでもスピーカーでも、それなりのグレードの製品となると音量をある程度上げても耳が痛くなりにくいため、気がつくと思ったより大音量で聴いていた、ということは確かにあるのですが、さすがにこのクラスの低価格イヤホンにそれを求めるのは無理があると思いますので(^^;)。

また「KZ ZS4」は付属ケーブルでも十分に楽しめるサウンドですが、リケーブルによりさらに明瞭感が向上しキレのある音に変化します。例えばHiFiHearの新しい「HiF4774 8芯 高純度銅線 OFC イヤホンケーブル」にリケーブルすると見た目のグレードアップにもなりますが(^^;)、全体的に情報量が向上することで、さらに近くに定位する印象となり高域及び低域の解像度の向上を実感できます。
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またKZ純正のBluetoothケーブル(ZS3/ZS5/ZS6用)を組み合わせることで、「KZ ZS4」の音質傾向はそのままにクリアな音質でワイヤレス化することができます。もともと非常に装着性に優れる「KZ ZS4」ですので、トレーニングやランニングなどのスポーツ中の利用にも最適なのではないかと思います。


というわけで、個人的には結構好きなモデルだった「ZS3」が今回の「KZ ZS4」で正統進化したことはとても感慨深く、嬉しく思っています。「ZS3」とは異なる色で、ということでレッドをオーダーしましたが、なにしろ低価格なモデルですので、ブラックも早速追加購入して、ワイヤレス専用で使用しようかなと思っています。また、メーカー写真のように赤黒2色のモデルで左右異なる色の「KZ ZS4」を楽しむのも良さそうです。
そういえば、オーディオとは無縁の知人から「安くてジョギングで使えるイヤホン教えて欲しい」と先日頼まれたところでした。さっそくこれは「KZ ZS4」を教えてあげないとですね(^^;)。