MaGaosi K3-BA

こんにちは。9月も半ばにさしかかり、ようやく秋っぽさも感じるようになったこの頃ですが、いまだこの夏にオーダーしたイヤホンの書きかけレビューを仕上げております(汗)。

というわけで今回および次回は、中華イヤホンのなかでもマニアの間ではおなじみのブランド「MaGaosi」の最新モデル2機種を紹介します。今回紹介するのは3BAモデルの「MaGaosi K3-BA」、そして次回は4BAモデルの「MaGaosi MGS-401」を予定しています。
どちらのイヤホンも届いたのは8月末ですのですでに2週間ほど経過しましたが、個人的にも思い入れのある中華イヤホンブランド「MaGaosi」の最新モデルということで改めてじっくり聴いてみました。
MaGaosi K3-BAMaGaosi K3-BA MGS-401

さて、今回紹介する「MaGaosi K3-BA」は、バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを3基搭載するイヤホンで、さらに「MaGaosi」というブランドが一気に認知された人気モデル「K3」の名称を引き継ぐ最新モデルとなります。
「MaGaosi K3」シリーズ、特に「MaGaosi K3 Pro」(2BA+1DD)は、同ブランドをマニアの間で一躍有名にした「初期のMaGaosi」の代表的モデルですが、それが今回の「MaGaosi K3-BA」では、「現在のMaGaosi」により、同じ3ドライバーでも「K3 Pro」の2BA+1DDハイブリッドからトリプルBA構成のイヤホンとして生まれ変わりました。

MaGaosiちなみに、「初期のMaGaosi」と「現在のMaGaosi」というのは、同社が分割またはスピンオフによって現在の「MaGaosi」と新たに「TENHZ」という2種類のブランドになっているため、このように表記を分けてみました。そして「現在のMaGaosi」は昨年登場した低価格5BAモデル「MaGaosi K5」以降のラインナップを指しています。いっぽう、かつての「K3 Pro」は「TENHZ」ブランドに引き継がれ(「TENHZ」ブランドは当初「MaGaosi」が欧米で使っていた「audbos」ブランドで製品を展開していました)「TENHZ K5」といった直系のモデルをリリースしています。
※TENHZ(audbos)については過去記事の「audbos K5(TENHZ K5)」のレビューにて触れていますので、よろしければ参照いただければと思います。

そして「MaGaosi K3-BA」は「K3 Pro」を継承するコンパクトなShure SEタイプの形状を採用しつつ、「MaGaosi K5」同様のクリアなシェルデザインとなっています。また「MaGaosi K3-BA」でも「K3 Pro」の特徴のひとつであるステム部分の交換式フィルターを全く新しい方法で採用しています。カラーは「レッド&ブルー」のコンビネーションと「ダークブルー」の2種類が選択できます。
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購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」にて。AliExpress(中国からの発送)での表示価格は109ドルとなっています。また、Easy EarphonesのTwitterアカウント(@hulang9078)フォローすることでフォロワー値引きを受けられると思います。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きの手順はこちらをご覧ください。
AliExpress(Easy Earphones): MaGaosi K3-BA

またアマゾンでもEasy Earphonesが運営するストア「WTSUN Audio」にて12,000円にて販売しています。アマゾン倉庫に在庫があれば発注後プライム扱いですぐに届きますし、アマゾン経由なら万が一の場合の保証も安心ですね。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): MaGaosi K3-BA

なお、Easy Earphones(@hulang9078)およびWTSUN Audio(@Zhuo520X)のTwitterアカウントでは割引情報等が頻繁にツイートされていますのでこまめにチェックされることをお勧めします。


■製造工場は「K5」と同じ? クリアシェルに生まれ変わった新しいデザイン

MaGaosi K3-BA」のパッケージはかつての「K3 Pro」と同サイズのボックスとなっていますが、本体デザインの変化にあわせてか、パッケージデザインもカラフルになりました。
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パッケージ内容はイヤホン本体、交換用フィルター、MMCXケーブル、イヤーピース各種、布製ポーチ、説明書といった構成です。
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イヤーピースは同様の細い金属製ステムを使用する「MaGasoi K5」と同様で標準では白色の奥行きの浅いシングルフランジタイプのイヤーピーが装着されています。このシングルフランジタイプに加え半透明のダブルフランジタイプがそれぞれ大・中・小(大でも通常のイヤーピースのMサイズくらいの大きさ)、さらに透明で芯の部分が黒い通常デザインのイヤーピースがM/Lサイズの2種類付属します。

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MaGaosi K3-BA」はShure SEタイプのコンパクトなデザインで透明シェルのビルドクオリティも高く装着性も良好です。本体デザインは「MaGasosi K5」を彷彿とさせるクリアで美しい仕上がりとなっています。おそらくどちらも同じファクトリーで製造されていそうですね。「MaGaosi K3-BA」は金属製ステムの先端部分が交換式フィルターとなっているため、「K5」とは微妙に形状が異なります。
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かつての「MaGaosi K3 Pro」と比較すると「MaGaosi K3-BA」は同様にコンパクトなシェルながら金属製のステムも含め、より「SE846」を彷彿とさせるおうな左右に長いデザインとなっていて、両者の形状に共通性は全くありません。いっぽう全くデザインの異なる「TENHZ K5」のほうが外観だけでもより「K3 Pro」を継承した印象を受けます。
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MaGaosi K3-BA」のフィルターは、金属製ステムが細いこともあって非常に小さな部品となっています。「K3 Pro」や「TENHZ K5」がデュアルBAを収納した太めのステム部分で先端フィルタもそれなりの大きさだったのとはかなり異なります。またフィルターはメッシュ部分の違いで、標準タイプは通常のメッシュなのに対し、調整タイプはメッシュパターンに処理がくわえられた仕様になっています。
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付属するMMCXケーブルは「MaGaosi K5」の後期タイプ(黒箱仕様)より同梱されている銀メッキ線と銅線のミックスタイプの4芯撚り線ケーブルで非常に柔らかく取り回しは良好です。

MaGaosi K3-BA」のパッケージには搭載ドライバーに「Knowles CI-22955」と「カスタムBA」で構成されていると記載されています。この「カスタムBA」はそれぞれ「29688N」と「30012」というモデルナンバーが刻印されています。BAのサイズ的に「29688N」がミッド、「30012」がハイを担当するドライバーだと想像できます。
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なお、Knowles製ウーファーである「CI-22955」は「MaGaosi K5」にも搭載されており、中華BAでは品質の高い音を出しにくい低域はKnowles製を使用し、中高域は中華製を使用するのは「MaGaosi K3-BA」も同様のアプローチだといえます。中国では同様に3BA構成の「MaGaosi X3」というモデルがありますが(K5と同様のデザイン)、このモデルがすべてKnowles製BAドライバーを使用しているのに対し、多少のコストダウンとなっているものと思われます。


■「K3 Pro」はもちろん「K5」とも全く異なる中低域寄りの暖色系サウンド

MaGaosi K3-BA」の音質傾向は中低域寄りの弱ドンシャリで、「MaGaosi K5」と比べても随分中音域が聴きやすい暖色系の印象を受けます。高域はBAらしい硬質な印象は感じつつも伸びは控えめで、刺さりもまったくありません。この高域の違いにより「MaGaosi K3-BA」は「MaGaosi K5」とは違い、全体的に暖色系のサウンドに感じます。また製品名こそ「MaGaosi K3」のひとつですが、「MaGaosi K3-BA」は高域の伸びが良くドンシャリ傾向だった「MaGaosi K3 Pro」と比較しても類似点を見つける方が難しく、これまでとは全く異なる、ボーカルなど中低域の心地よさに主眼を置いたイヤホンなのかなと感じました。
MaGaosi K3-BA低域は「MaGaosi K3-BA」も「K5」と同じKnowles製ウーファーの「CI-22955」を採用していることもあって響きの良さとBAらしい解像度の高さを両立しています。全体的に中低域寄りのサウンドバランスのため低域の量感は「MaGaosi K3-BA」のほうが「K5」より多く感じますが重低音は控えめで軽めの印象を受けます。ちなみに「MaGaosi K3-BA」はステムの角度の関係で「MaGaosi K5」と同じサイズのイヤーピースだと少し浅めの装着位置になるようで、ここで小さめのイヤーピースを選んでより耳奥に押し込むように装着することで低域の厚みが増して印象も結構変化します。ただ曲によってはマルチBAイヤホンにありがちな中低域の籠りを感じやすくなる可能性もあります。
そしてボーカルなどの中音域は独自のミッドレンジのユニットを採用していることでよりフラットな印象となり、BAらしい解像度が高く聴きやすいサウンドとなっています。音場はMaGaosiブランドのイヤホンらしく広めで臨場感を感じるバランスとなっています。ただ低域成分の多い曲では中域の凹みを感じやすくなる傾向にあり、分離性も下がって感じることがあります。
MaGaosi K3-BAしかし、この点についてはより情報量の多いケーブルへのリケーブルによりかなり印象を改善することができます。「MaGaosi K3-BA」は解像度の高い純銀線などは非常に相性が良いですが価格的にちょっと無理がある(ケーブルのほうがイヤホン本体より高い場合もある)ので、比較的低価格で高域の印象の良い8芯または16芯の銀メッキ線ケーブルへのリケーブルが良いと思います。
また、「MaGaosi K3-BA」は上記の通り装着位置で印象が変わりやすいイヤホンですので、イヤーピースの変更により特に中高域の印象がかなり良くなるため変更をお勧めします。
具体的には、細い金属製ステムを採用しているため「RHA」のイヤーピースや、「final E」シリーズのように装着部分の穴が小さめのイヤーピースが良いと思いますが、「MaGaosi K3-BA」については先端のフィルター部品の関係で、穴の大きいAZLA「SednaEarfit」、JVC「スパイラルドット」、acoustune「AET07」のようなイヤーピースも利用することが可能です。自分の耳と相性のよい組み合わせをいろいろ試してみるのも良いと思います。

MaGaosi K3-BAなお、先端部分の交換式フィルターは、格子状のメッシュパターンの標準タイプと、直線的なスリットパターンのタイプがあります。フィルターをスリットパターンのタイプに交換すると、全体的にドンシャリ傾向が強い印象に変化します。低域だけでなく高域の伸びも向上しメリハリが強くなるため、より「濃い音」に感じることができますが、曲によっては中音域の凹みがより大きくなることもあり多少バランスが崩れた印象となる場合もあります。
個人的には標準ケーブル、標準イヤーピースではこちらのスリットタイプのフィルターのほうが好印象となるケースも多くありましたが、リケーブルおよびイヤーピース変更後は標準タイプのほうがバランスが良く感じました。


■「K5」より再生環境を選ばない使いやすさも含め、「聴きやすさ」にフォーカスした普及モデル

というわけで、「新しいK3」こと「MaGaosi K3-BA」は3BAイヤホン化し、これまでの「MaGaosi K3 Pro」とはおそらく全く異なる開発チーム・サウンドチューニング、製造工場でつくられた、外観だけでなくサウンドも180度方向性の異なる「全く別物」の製品となりました。
いっぽうでビルドクオリティは「K3 Pro」当時と比べると各段に向上し、より「普及モデル」的な位置づけとして価格も非常に購入しやすい設定となっています。全体的にポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲と相性がよく、装着性の良さとあわせて長時間のリスニングでも聴き疲れしにくいイヤホンに仕上がっていると思います。

MaGaosi K3-BAまた「MaGaosi K3-BA」はインピーダンス28Ω、感度108dB/mWと、マルチBAイヤホンで多い「極端に敏感に反応する」ということがなく、どのような再生環境でも比較的使いやすいという隠れた特徴もあります。これは「MaGaosi K5」が最近の中華マルチBAのなかでもかなり敏感に反応するイヤホンで、DAPやポータブルアンプによって大量のホワイトノイズを発生しやすかったり、いわゆる「ハイ上がり」の状態になる「再生環境を選ぶイヤホン」とは対照的です。クリアーでカラフルな外観だけなら「MaGaosi K3-BA」は単純に「MaGaosi K5」の3BA版としか思わないのですが、ここまで傾向が異なってくるととても面白いですね。

次回は、「MaGaosi K3-BA」とほぼ同時にリリースされた全く新しい同社の4BAイヤホン「MaGaosi MGS-401」を紹介します。こちらもさらに全く別のアプローチがとても興味深いイヤホンですよ。