KBF MK4

こんにちは。今回はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Kinboofi」のオリジナルイヤホンKBF MK4」(スイッチ無し/クリアモデル)の紹介です。4BA(バランスド・アーマチュア)ドライバー構成のマルチBAイヤホンですが、2万円以上の価格設定と「Kinboofi」のオリジナルの製品としては最も高級な位置づけとなっていて、音質はもちろん、デザイン的な美しさ、ビルドクオリティの高さも大きなポイントとなっています。また音質面のレベルも非常に高く、中高域寄りなので低域好きのかた向けではないものの、個人的にはかなりお勧めできるイヤホンだと思っています。

KBF MK4ただ、このイヤホン、マニアの間ではなかなか現物を見ることが少ない「幻のイヤホン」的なアイテムで(大げさに書きましたごめんなさい^^;)、発売前の「Kinboofi」のツイートによる告知段階からちょっと話題にはなっていたものの、いざ販売されると瞬殺で売切れてしまい、以降も少量入荷してはすぐに売切れる、という状況が続いています。
これは「KBF MK4」というイヤホンがひとつひとつ「職人による手作り」で大量生産ができないこと、また「Kinboofi」自体も決して大規模なセラー(販売業者)ではないこともあり、「KBF MK4」クラスの価格帯の製品となると一度に確保出来る数量も限られているため、毎回一度のアマゾン倉庫への入荷数が数個単位となってしまっているそうです。

さて、そんなちょっとレアアイテム感も漂う「KBF MK4」ですが、正確には「スイッチ有り/ブルーモデル」と「スイッチ無し/クリアモデル」の2種類が存在しており、今回入手できたのは後者の「スイッチ無し/クリアモデル」となります。
KBF MK4(ブルー)KBF MK4(ブルー)
どちらもドライバー構成は同一ですが、「スイッチ有り/ブルーモデル」のほうはサウンドバランスを調整できるスイッチが側面に付いていて、それに伴ってシェルサイズおよび形状も「スイッチ無し/クリアモデル」とは多少異なります(「スイッチ有り/ブルーモデル」のほうが一回り大きいサイズのようです)。「スイッチ有り/ブルーモデル」は初回販売された数個のみで一瞬で完売しましたが、デザインを改良した新バージョンが限定で販売されるようです。

KBF MK4  KBF MK4
いっぽうの「スイッチ無し/クリアモデル」のほうは、よりコンパクトなシェルサイズで装着性を向上させつつ、金属製のステムの採用などさらに高級感を高めた仕上がりとなっています。こちらは今後も定期的に少量がアマゾンで入荷するようですので、検討されている方は入荷した際を逃さずに購入ください(本記事掲載時点では3個ほど在庫がありました)。購入はKinboofiのアマゾン・マーケットプレイスにて。価格は「スイッチ無し/クリアモデル」で 26,500円 となっています。
Amazon.co.jp(Kinboofi): KBF MK4

またKinboofiのTwitterアカウント(@kinboofi)では「KBF MK4」等の入荷情報のアナウンスや割引情報なども頻繁にツイートされますので、フォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


■想像以上にコンパクトで美しいシェルデザインと高級感のあるビルドクオリティの高さが印象的

KBF MK4」はこれまでの比較的低価格な「Kinboofi」ブランドのイヤホンとは異なり少し豪華めの化粧箱で届きました。ボックスを開けるとコンパクトなイヤホンケースが入っており、この中に「KBF MK4」が収納されています。
KBF MK4KBF MK4
KBF MK4」のパッケージ構成は、イヤホン本体、MMCXケーブル、イヤーピースは2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、イヤホンケース、保証書ほか。
KBF MK4KBF MK4
KBF MK4」(クリアタイプ)のビルドクオリティは非常に高く、「MaGaosi K5」以降数多く紹介してきた中華マルチBAイヤホンのなかでもトップクラスの仕上がりです。
ハウジングは予想以上にコンパクトで4基のBAユニットとネットワークがびっしりと詰まったレイアウトとなっています。フェイスパネルはゴールドカラーのプレートに濃いブルーのクリアレジンが盛られており、光の加減により美しいグラデーションが現れます。またシェル部分は淡いライトブルーのクリアシェルで覆われています。ステムは樹脂製音導管部分を金属製のノズルで覆うような形状になっています。BAユニットは高・中高・低の3ウェイで3本の音導管がステム部分に伸びています。
KBF MK4KBF MK4

KBF MK4」(クリアタイプ)はマルチBAイヤホンのなかではかなりコンパクトにまとめられており、8BAの「Yinyoo HQ8」(5BAの「HQ5」と同サイズ)はもちろん、同じ4BAの「TENHZ P4 Pro」と比べても一回りコンパクトなサイズにまとまっていることが分ります。またビルドクオリティの点でも「TENHZ P4 Pro」や「MaGaosi MGS-401」などの同じ4BAでも100ドル~200ドルクラスの製品とは明らかに1ランク上の仕上がりになっています。「KBF MK4」は価格的にも8BAの「Yinyoo HQ8」に匹敵する価格設定となっていますがその価格に見合ったより高級な仕様のイヤホンだということが見た目だけでも十分に伝わってきます。
KBF MK4KBF MK4

そして、「KBF MK4」が搭載しているBAユニットやサウンドコントロールを行うネットワーク部分にもこだわりが垣間見えます。「KBF MK4」の高域のツィーターには最近の中華系マルチBAでも多く使われるデュアルBAユニットの「Bellsing 30095」が使用されていますが、中音域にはフルレンジで「ER4S」等でも使用されているKnowlesの有名ユニット「Knowles ED-29689」が搭載されています。低域のウーファーBAは型番のを確認することは出来ませんでしたが、サイズ・形状的には「Knowles CI-22955」と同様でした。
※別の個体で低域用BAは「Knowles CI-22955」と確認できたとの情報をいただきました。
KBF MK4KBF MK4
ドライバー構成、ネットワーク、そしてビルドクオリティの高さからも「KBF MK4」は昨年後半から数多く登場している中華マルチBAイヤホンとは一線を画する「コストのかかった設計」がされており、製造に当たってもより多くの手間を欠けて作られていることがわかります。

KBF MK4KBF MK4
なお、「KBF MK4」は中華系マルチBAイヤホンで多く付属している8芯銀メッキ線ケーブルが付属します。個のケーブル自体は非常に柔らかく使い勝手も良好のケーブルですが、特に中高域の表現力という点では「KBF MK4」のポテンシャルには多少物足りなさを感じます。「KBF MK4」を入手することが出来た際はケーブルについても相応にグレードアップを行いたいところです。個人的には後述のとおりKinboofiが「KBF MK4」とほぼ同じタイミングで販売を開始した「KBF4779 16芯 高純度銅線ケーブル」との組み合わせが気に入りました。


■全体的にハイレベルな中高域寄りのフラットサウンドでリスニングに適したチューニング

KBF MK4KBF MK4」の音質傾向は周波数特性的にはフラット傾向で、低域少なめで中高域寄りの比較的スッキリした印象を受けるサウンドです。6BAイヤホンとしては非常にハイレベルなサウンドで、全体的なバランスは取れており、各BA間のクロスオーバーも自然に感じるようチューニングされています。
高域は付属ケーブルでもかなり伸びの良い音で明瞭感もあります。とてもナチュラルに上の方まで伸びていく印象ですが、比較的変化のある銀メッキ線ケーブルなどにリケーブルすると多少刺さりのある派手めの音に感じるようです。
また中音域は解像度の高い明るいサウンドでハッキリめの印象を受けます。ボーカルはかなり近くに定位し、フラットで1音1音をしっかり捉える音です。ボーカル等にも響きがあり、とても心地よさを実感します。音場はある程度の広さと奥行きを感じます。フラットな印象ではありますが、決してモニターライクにはならず、より聴きやすくリスニングに適したアレンジを加えているような感じもあります。
KBF MK4そして低域は量感は感じるものの中高域に比べると多少控えめな印象で、低域を重視する方からは物足りなさを感じる可能性があります。しかし解像度は高くとても明瞭かつ軽快な印象です。また低域と中高域との分離性は良く、籠りなどは全く感じない音になっています。
ちなみに、「KBF MK4」で低域用BAとして搭載していると考えられる「Knowles CI-22955」は、「MaGaosi K5」以降、同社および「Yinyoo」ブランドなどの4BA/5BA/6BA/8BAといった中華マルチBAイヤホンで一貫して採用されている定番ウーファーユニットです。しかしこれらのイヤホンと比較しても「KBF MK4」の低域はマルチBA特有の低域から中音域への響き(籠りのように感じる場合もあります)が相当軽減されている印象です。
いっぽうで低域の沈み込みは少し浅く、重低音は軽く感じます。この点についてはステム部分がかなり太いこともありイヤーピースでの装着性を工夫することで多少印象が変化します。私は今回は「final Eタイプ」を組み合わせました。他にもAcoustuneの「AET08」(AET07より低域を厚くしたタイプ)なども良いのでは思います。

KBF MK4全体的な傾向としては同じ4BAの「TENHZ P4 Pro」や「MaGaosi MGS-401」とは全く異なる傾向で、さらに最近の中華マルチBAイヤホンとも異なります。しいて挙げるなら「Rose BR5 Mk2」あたりの方向性に近いサウンドかもしれませんね。もちろん「Rose BR5 Mk2」は5BAでサウンド的に相違点も多くあるため一概に比較は出来ないですし、中低域の表現力や音の濃さなど音質的な完成度ではさすがに「Rose BR5 Mk2」には一歩譲る印象です。そのため音質で選べば「Rose BR5 Mk2」のほうが有利ですが、「KBF MK4」の製品としてのビルドクオリティとしてはより高く、全体的な音質および「レア度」も含めて、トータルの完成度では結構高水準でまとまっていることは間違いないと思います。

低域好きの方には多少物足りなさを感じる可能性はあるものの、全般的なバランスは良いイヤホンですのでどのようなジャンルの曲でも気持ちよく聴くことが出来ると思います。特にロック、ポップス、アニソンなどやはりボーカル曲との相性は良いでしょう。ただ全体的に明るくドライな印象もあるため多少ウエットなバラード曲などは明るく感じてしまう場合もあると思います。また低域を響かせるタイプの曲は低域の細さを感じるためジャズやクラシックでは少し物足りない場合もありそうです。


■ポテンシャルを発揮させるためにはリケーブルは必須。味付けのない高品質ケーブルとの相性が抜群

KBF MK4」は付属の8芯ケーブルでも十分に気持ちよいバランスで聴くことが出来ますが、イヤホン自体のポテンシャルの高さからどうしても実力を出し切れていない印象は拭えません。そうなるとやはりより高品質のケーブルへのリケーブルは欠かせない要素となってきますが、「KBF MK4」の場合、最近の中華ケーブルに多い「味付けが強めのケーブル」だと、かなり派手めの音になってしまう傾向にあるようです。いわゆる「キンバー風ケーブル」や最近の3千円程度の銀メッキ線やミックス線ケーブルだと、高域が刺さるようなメリハリの強すぎる印象の音に変化しました。
そのため組み合わせる際にはイヤホンへの味付けは行わずに、解像度や分離性を向上させたり、雑味を抜くことで明瞭感を向上させるタイプのケーブルとの相性が良いようです。

KBF MK4Kinboofiでは何種類かのケーブルを比較したところ、前述のとおり16芯の高純度銅線を編み込んだ「KBF4779 16芯 高純度銅線ケーブル」との相性が良好でした。このケーブルはイヤホンのポテンシャルを引き出す上ではかなり優秀なケーブルですが、低価格イヤホン等と組み合わせるとむしろかなり緩めの印象になってしまうこともあり、組み合わせるイヤホンを多少選ぶケーブルともいえますね。また「KBF MK4」のサウンドにメリハリを強化し「濃い音」にアレンジしたい場合はKinboofiの定番16芯ミックスケーブル「KBF4746 16芯 銀メッキ線&高純度銅線ミックスケーブル」を組み合わせることで多少派手めのサウンドに変化するものの選択肢のひとつとしては面白いと思います。また同じ16芯の銀メッキ線「YYX4745」(シルバー)、「YYX4778」(ブラック)はKinboofiの上記2種類のケーブルのちょうど中間となり、再生環境によっては少し高域が強めに出ますが、合わせたときの見た目は良さそうですね。

他にもKinboofiの「KBF4725 8芯 銀メッキ銅線ケーブル」は銀メッキ線ケーブルの中では味付けが少なくマルチBAイヤホンとの相性も良いため音質的にも、また見た目的にもよい組み合わせですね。
KBF MK4KBF MK4
またよりハイグレードなケーブルと組み合わせる場合も同様に味付けが少なく情報量および解像度が高いタイプとの相性が良好で、手持ちのケーブルだと七福神商事の「丸七銀龍」(19,800円)との組み合わせによりさらに一段高い解像度と分離性を実感できました(いっぽう銅線の「丸七赤龍」だと少し派手な音になりすぎるようです)。


というわけで、現時点ではかなりのレアなアイテムでもある 「KBF MK4」(クリアモデル/スイッチ無し)を紹介しました。Kinboofiでは今後もこのモデルに関しては少しずつ製造を継続しながら販売をしていく方針だそうです。非常に高いビルドクオリティでマニア向けのコレクションアイテム的な側面ももちろんあると思いますが、十分に価格に見合ったハイレベルでお勧めできるイヤホンだと実感しました。