KZ BA10

こんにちは。しばらくぶりでございます。9月下旬くらいから仕事の方が結構立て込んでいてブログの更新をすっかり放置しておりました。おかげで書きかけレビューもかなりの量がたまっているのですが、がんばって少しずつ紹介していきたいなとおもっています。

今回紹介するのは手元に届いてすでに1ヶ月近く経ってしまいましたが、私のブログではすっかりお馴染みの低価格中華イヤホンブランド「KZ」の「KZ BA10」です。「低価格ブランド」といっても、今回の「KZ BA10」や先日紹介した「AS10」は5基のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを搭載する同社のハイグレード製品で、価格も8千円前後の設定と5BAイヤホンとしては驚異的な価格設定ながら、すでに「低価格イヤホン」のカテゴリーには入らなくなってきている、という気もしますね。
KZ BA10 KZ AS10
ちなみに、「KZ BA10」と「AS10」の違いは金属製とプラスチック製のシェル材質および形状の違いですが、「KZ BA10」はフェイスプレートに同社の人気モデル「ZS6」を彷彿させるスリット状のベント(空気孔)がある「開放型」仕様となっている点が特徴的です。
一般的に、ダイナミック型ドライバーや、ダイナミックとBAのドライバーを組み合わせたハイブリッドタイプのイヤホンでは、オーディオスピーカー同様にハウジングの「鳴り」も影響することからベントの大きや位置は音質傾向に重要な意味を持ちますが、密閉構造のBAドライバーのみで構成されるマルチBAタイプのイヤホンではベントは不要とされます。そのためマルチBAイヤホンではハウジング内に樹脂を充填して密閉度を高めるアプローチなどを行うことも少なくありません。
KZ BA10KZ BA10
しかし、「KZ BA10」は、構成するKZ製BAドライバーの一部(おそらく低域用の「KZ 22955」がドライバー自身に空気孔がある仕様となっているため、マルチBAイヤホンながら、ダイナミックのみやハイブリッドタイプ同様にベントによる音質調整が意味を持つ構造となっているようです。このようにBAのみのイヤホンでベントのある製品は多くはありませんが、中華イヤホン以外でも同様に空気孔のあるドライバーを採用する製品で稀に見かけることがあります。

KZ BA10」が搭載されている4種類のドライバーはすべてKZ独自のもので、メーカーの画像によると中音域のドライバーが「AS10」では「296898」と記載されているのに対し「KZ BA10」では「29689」となっている点以外は同一型番のドライバー構成となっています(「29689」と「296898」も違いも、もしかしたらKZ側による単なる記載ミスで実は同じドライバーの可能性もありますね)。
KZ BA10KZ BA10

KZ BA10」のカラーバリエーションは「ゴールド/レッド」と「レッド/ブラック」の2種類です。価格はAliExpressので76ドル~、アマゾンでは8,750円~の表示価格となっています。
購入はいつもお世話になっている「HCK Earphones」と「Easy Earphones」で、今回も2つのカラーバリエーションをそれぞれ異なるセラーにオーダーしました。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): KZ BA10
AliExpress(Easy Earphones): KZ BA10
AliExpressで購入(中国からの発送)の場合、HCK(@hckexin)、Easy Earphones(@hulang9078)のTwitterアカウントをフォローのうえオーダー時に自身のアカウント名を伝えることでフォロワー割引を受けることが出来ます。AliExpressでの購入方法および割引方法はこちらを参照ください。

いっぽう少し割高になりますが、アマゾンで購入の場合、プライム扱いで国内倉庫より発送されるため比較的直ぐに手元に届きますし、アマゾン経由での保証を受けられるメリットがあります。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ BA10
Amazon.co.jp(NICEHCK): KZ BA10

KZ BA10」はこれまでのKZ製品と比べて「低価格イヤホン」とはいいにくい価格になってきていますので、AliExpressで割引を適用してより安価で購入するのもひとつの手ですが、あえてアマゾンで購入することで不良などのリスクに備えるという考え方もありますね。KZも以前ほど「当たり外れ」は少なくなっていますが、全く不良がないとも言い難い「中華イヤホン」としての側面もやはりありますので。また、上記各セラーのTwitterアカウントでは頻繁に割引情報がツイートされるのでこまめにチェックすることをお勧めします。


■「金・赤」モデルのカラーリングはまんま「ア○ア○マン」(笑)。思ったよりコンパクトなハウジング

ちょっとレビューが遅れてしまいましたが、実際に製品が届いたのは1ヶ月くらい前になります。「KZ BA10」も「AS10」同様にKZではハイグレード製品の扱いとなるため、従来の白いコンパクトなボックスではなく、しっかりした黒い化粧箱のパッケージとなっています。
KZ BA10KZ BA10
パッケージ構成はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書、保証書と相変わらず最小限のシンプルな内容です。
KZ BA10KZ BA10

KZ BA10」は比較的コンパクトなハウジングですが、お弁当箱のような四角い「ハコ型」デザインはちょっと斬新さがありますね。このようなデザインのため正直なところ耳にフィットする、という感じにはならないですが装着性自体はそれほど悪くはありません。
KZ BA10KZ BA10
ステムも最近のKZ製ハイブリッド同様に太いデザインですがイヤーピースを工夫することで装着性を向上することが出来ます。わたしは耳穴が小さいこともあえり、JVC「スパイラルドット」のSサイズを組み合わせました。他にもAZLA「SednaEarfit」やAcoustune「AET07」などを組み合わせるのも良いと思います。
KZ BA10KZ BA10
KZ BA10」はおなじ5BA構成の「AS10」と比べてもかなりコンパクトで、サイズ感としては「KZ ZS6」と比べて同様の大きさで厚さは少し薄くなっています。
KZ BA10KZ BA10

付属ケーブルが「レッド/ブラック」モデルが従来の「AS10」や「ZS10」などと同様のブラウンのケーブルだったのに対し、「ゴールド/レッド」モデルではカッパー色の明るい色のケーブルが付属します。
KZ BA10KZ BA10


■マルチBAながらハウジングで低域を響かせる開放型デザイン。かなりクセのあるサウンドは意図的?

KZ BA10さて、「KZ BA10」を聴いた印象ですが、開放型アルミ製ハウジングによる影響はかなり大きく、同様のドライバー構成ながら低域弱めの印象だった「AS10」とは異なり、低域の響きが強い弱ドンシャリ傾向のサウンドになっています。5BAらしい解像度の高さや中高域の聴きやすさという点で、ポップスなどのジャンルの曲では結構良い印象のイヤホンですが、それ以上に音数の多い曲や低域成分多い曲では中音域が凹み籠もる印象を受ける残念さも感じてしまう製品でした。フェイス部分のスリット状のベントからは同様の仕組みの「ZS6」並に音漏れがあり、上記の通り、同じ5BAモデルの「AS10」をベースに、空気孔のある低域BAユニット(KZ 22955)をハウジング内の空間で反響させていることがわかります。「KZ BA10」はこのダイナミックやハイブリッド型のイヤホンで行うような手法を取り入れることで低音域の響きをアップさせているわけですが、実際の音を訊くと曲によっては「やり過ぎ」感が否めない印象となります。
KZ BA10かつて重低音をブーストすることで臨場感を高めた低域ドコドコ系の「低音イヤホン」や「低音ヘッドフォン」に人気があった時期がありますが、「KZ BA10」はこのような低域強調イヤホンとは異なり、中高域、特に高域は明瞭感のある聴きやすい音で、そこに横に広がるような響きがある低域が加わることで、擬似的な空間表現を作っているような印象があります。そのためボーカルやギターがメインのポップスやロックなど中高域を中心に聴かせる曲では多少中音域の凹みは感じるもののボーカル自体は後ろに下がることはなく、曲によっては「AS10」と比較してもメリハリがある良い印象に感じる場合もあるのではと思います。
いっぽうで、中低域メインで打ち込み等による音数の多い曲や、低域成分がもともとしっかり存在する曲では中音域はかなり凹み、ボーカルも下がって聴こえるため、低域の響きにより籠もったような印象を受けやすいのだと感じます。

KZ BA10いっぽう、「AS10」同様にリケーブルによる変化も受けやすいイヤホンですので、情報量の多いケーブルを使用することで全体的にバランスが良くなる印象があります。特にHCKの「NICEHCK TDY1」「TDY2」やYinyooブランドの「YYX4784」といった8芯銀メッキ線ケーブルを組み合わせることで中高域の伸びが大幅に向上し、上記のような低域過多になりがちな曲でもバランスが大幅に改善されます。
すでに「KZ BA10」をお持ちでしたら、これらのケーブルへのリケーブルはぜひとも行った方が良いのではと思います。

KZ BA10」と「AS10」の音の変化をあえて似たようなサウンドを考えると、ホームシアター用AVアンプでよくある「ライブ」や「コンサートホール」のエフェクトを有効にしたような印象でしょうか。そのためライブ音源などのソースをリスニングといより「楽しむ」という使い方なら結構アリかもしれません。ただ、いわゆる低価格イヤホンのモデルならともかく現時点でKZ製品で最もハイグレードな製品としてはどうだろう?という思いは拭えないわけですが(汗)。というわけで、デザイン的な点では「KZ BA10」は魅力的な点はありますが、イヤホンとして完成度としては「AS10」のほうが高く、両者の比較では間違いなく「AS10」のほうがオススメ、ということになりますね。

KZ BA10ただ、不思議なことにここ最近このような低域の響きを極端に強くしたようなイヤホンが少し増えている気がします(実は今後レビュー予定の別ブランドのイヤホンで「もっと極端な製品」もあったりします)。これらの製品は私のブログで取り上げたものも微妙な評価となることが多いですし、同様の他のイヤホンも含め国内・海外のサイトでも総じて高い評価はされていないようです。しかしメーカーのチューニングミスというより(某「V60」という本当にミスだったらしい製品もありましたが。汗)意図的にその音で作っている感じもあり、もしかしたら一部地域(中国とか)でわりと好まれている傾向なのかも?という気がしています。もし本当にそうならひとつの音質傾向のジャンルとして、名称などで区別してくれないかなぁ、と思ったりもします(^^;)。


■KZの「マルチBA」化の挑戦はまだまだこれから。進化は今後も続く、かな?

先日の「AS10」のレビューでも触れましたが、もともと構造的にBAドライバーは「低域」の表現が得意ではなく、「MaGaosi K5」などの100ドル台のマルチBAイヤホンでも中高域は中華BAユニットを使用しても低域だけは定番のKnowles社製ウーファーを使用していたり、いわゆる「多ドラ」イヤホンでは低域に多くの数のBAを割り当てることで全体的なバランスを整える手法をとっています。
KZ BA10その点、すべて自社BAを使用するKZ製イヤホンにおいて、やはり低域の独自BAユニットの完成度は高いとは言い難く、「KZ BA10」では低域BAユニット自体に空気孔をつくり、ハウジングによる反響音をベントで調整する方法を採用することで補う方法を採用しています。しかし完成度という点ではまだまだ発展途上で、「KZ BA10」も過渡的な製品であると言わざるを得ないでしょう。
まあ今でこそKZ製のハイブリッド製品は低価格中華イヤホンの代名詞的存在で広くマニアの間で認知され評価されていますが、初期モデルの「KZ ZST」などは正直「酷い出来」でした。その後「中期」「後期」、そして「ZST Pro」とこっそり(?)バージョンアップすることで初期とは真逆の評価を得るまでに進化したわけですが、「KZ BA10」を見る限り、あえて販売数の出ない高価格帯のモデルを作ることで進化のための挑戦を続けているようにも感じます。さすがにこのようなイヤホンを手放しでお勧めするわけにもいきませんが、個人的には今後もその変化を追っていきたいと思います。