BQEYZ BQ3

こんにちは。今回紹介するのは「BQEYZ BQ3」、3BA+2DDと、最近の中華ハイブリッドではちょっと珍しい構成にグレードアップしたイヤホンです。「BQEYZ」はこれまでは、いわゆるZS6系イヤホンとして紹介した2BA+2DD構成の「BQEYZ KC2」(および「BQEYZ K2」)および1BA+2DD構成の「BQEYZ KB1」というモデルをリリースしています。「BQEYZ BQ3」はこれらのイヤホンの上位モデル、という位置づけになりますね。
BQEYZ BQ3BQEYZ BQ3
ソリッドなデザインの金属製ハウジングを採用しつつ価格的にはアマゾンでも6千円台で購入可能で、とりあえずは低価格イヤホンの枠内といっても良いのではと思います。最近のKZあたりを中心とした低価格中華イヤホンのスペックインフレの影響で「BQEYZ BQ3」の「3BA+2DD」という仕様をみてもさほど驚かなくなっていますが、少し前までならちょっと考えられないコストパフォーマンスですね。

BQEYZ KC2BQEYZ KB1

既存の「KC2」や「KB1」といったモデルでは2DD部分にはZS6系イヤホンと呼ぶとおり、「KZ ZS6」と同様の10mmと6mmのダイナミックドライバーを並列で搭載していました。さらにこれらのモデルでは2個のダイナミックドライバーの間に音導管を通すことでクロスオーバーを調整する独自の加工が加えられていたのが特徴的でした。
今回の「BQEYZ BQ3」では3個目のBAドライバーを搭載するにあたり、2DD部分は最近の中華ハイブリッドで増えている「一体型2DD」を採用しています。「BQEYZ BQ3」では、ひとつのケースに2個の10mm ダイナミックドライバーを格納した仕様となっているようです。
BQEYZ BQ3BQEYZ BQ3
そして、ミッドレンジを担当すると思われるバランスド・アーマチュア型(BA)ユニットが2DDユニットのサイドに配置されるレイアウトとなっています。そしてステム部分には「KC2」同様に高域を担当する2個のBAユニットが搭載されています。従来モデルの「KC2」(およびK2)でもこのステム部分のBAは一般的に用いられるデュアルドライバーユニットではなく、あえて2種類のシングルBAを並列で搭載し、片方のツイーターをフィルターで調整するなどの細かい工夫がされていましたが、分解図を見る限り、「BQEYZ BQ3」でも同様のアプローチを取っている模様です。

BQEYZはこのようにネットワークなどの電気的処理ではなく、ドライバーの配置やドライバーの配置、フィルターの使い分けなどによるコントロールを行うのがとても上手いメーカーという印象で、ドライバー数を増やしてもコストを上げずにサウンドチューニングを実現しているようですね。

BQEYZ BQ3」のカラーは「ブルー」と「ブラック」と2色。今回もカラバリを両方購入しており、片方がAliExpressのEasy Earphones(中国からの発送)にて。もう片方はアマゾンのHiFiHear Audioへオーダーしました。価格はAliExpressの表示価格が58ドル、アマゾンが6,800円となっています。
AliExpress(Easy Earphones): BQEYZ BQ3
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): BQEYZ BQ3


■アルミ製のシンプルなデザイン。ビルドクオリティは高いものの装着性はいまひとつ

BQEYZ BQ3」はこれまでのBEQYZ製イヤホンの地味な共通パッケージと異なり製品イラストがプリントされたしっかりしたパッケージになりました。裏面にはスペック等の記載があります。
BQEYZ BQ3BQEYZ BQ3
パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、布製ポーチ、説明書。こちらも「BQEYZ BQ3」では既存モデルにはなかった布製ポーチが付属しました。
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ハウジングの背面(ステム側)は「ブルー」「ブラック」ともに黒いカラーリングがされており、表面(フェイス側)のみ「ブルー」は青色のカラーリングがされています。どちらのカラーもフェイス部分のエッジ部分は斜めの切り込みとなっていて磨き処理が施されています。またフェイス表面も単なる平面ではなく下方に凹みのある加工が施されています。
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アルミ製の金属製ハウジングは非常にシンプルなデザインですがビルドクオリティは高く、フェイスパネルの処理も美しく感じます。ベントはステム側の面に小さな穴が2つありますが、KC2のようにステム横の穴はなく、ダイナミックドライバーの仕様の違いが確認できます。
BQEYZ BQ3BQEYZ BQ3
ハウジングのサイズ的には「BQEYZ KC2」より若干コンパクトになっていますが、お弁当箱型の四角いデザインのため、装着性はあまり良くありません。特に耳のサイズの小さい方は少し入りにくいかもしれませんね。
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私も付属のイヤーピースではいまいひとつフィットせず、何種類かのイヤーピースを試しました。最終的には困ったときの「コンプライ」やAcoustune「AET06」などのダブルフランジのイヤーピースを使用することで固定することが可能だと思います。ほかにもAZLAの「SednaEarfit」なども耳穴のサイズが合えば良い印象に変化すると思います。今回私は「BQEYZ BQ3」と組み合わせて個人的に耳穴に穴に合ったラディウスの「ディープマウント」を使用しました。
BQEYZ BQ3BQEYZ BQ3
付属する2pinケーブルは「BQEYZ BQ3」のデザインにあわせてコネクタ部分の形状が既存モデルの付属ケーブルより変更となっています。コネクタ仕様および線材は既存モデルと同じようですね。後述しますが、これまでのモデルでもBQEYZの付属ケーブルは低域まわりに少し特徴がありましたが、その点は「BQEYZ BQ3」でも同じ傾向でした。


■硬質な印象ながら分離感および解像度の高さを実感するバランスの良いハイブリッドサウンド。

BQEYZ BQ3BQEYZ BQ3」の音質傾向は弱ドンシャリで、3基のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを使用していることの恩恵もあってか中高域の分離性の高さを実感します。2BA+2DDの「BQEYZ KC2(またはK2)」は全体的には非常に良い仕上がりのイヤホンでしたが、中高域の明瞭さに対して低域の広がり方にクセがあり相対的に緩い印象となるため、曲によっては不自然に感じる場合もありました。
今回の「BQEYZ BQ3」では追加されたBAユニットが、KC2では6mmドライバーが担当していたとミッドレンジを補っていると考えられ、一方で低域は10mmダイナミックドライバーをデュアルユニット化することによりこのような音域ごとのアンバランスは解消され、全体的に明瞭感のあるフラットぽさも感じるサウンドになっています。そのため籠りのようなものは感じず、メリハリのある解像度の高さも実感します。

BQEYZ BQ3」の高域は「BQEYZ KC2(またはK2)」と同様に刺さりを感じやすい上の方を多少コントロールされている印象で(おそらくKC2同様に高域BAにはフィルターを装着していると思われます)、いわゆる煌びやかさは感じないものの、明瞭でスッキリしたサウンドです。スッと自然に伸びていく心地良いチューニングでKC2同様にBQEYZの音作りの上手さを感じる部分です。
BQEYZ BQ3中音域はKC2より明瞭感が大幅に向上している印象でかなりハッキリした印象の硬質なサウンドが楽しめます。特にボーカルをきっちり聴く際には最適なサウンドと言えます。音場は一般的な広さでKC2と比べると少しタイトですが自然な距離感で定位し、高い分離性をもつため立体的なサウンドを実感できます。
低域は上記の通りKC2のようなクセのある響きや広がり方はなく、中高域同様に解像度高めで締まりの良いサウンドになっています。量感は十分にありますが、分離性が高いことも有り籠もるということはありません。ただし、「BQEYZ BQ3」も各音域のクロスオーバー部分にZS6系イヤホンなど低価格ハイブリッドらしい「つながり」より「メリハリ」を重視したような印象もあるためジャズやクラシックなどの音源では人工的な印象の音に感じるようです。また付属ケーブルでは重低音が弱く少し軽い印象となります。

BQEYZ BQ3」は全体的な完成度は今回も非常に高く、多くの方にお勧めできるイヤホンに仕上がっていると思います。傾向としてロック、ポップス、アニソンなど多くのボーカル曲で相性の良さを感じます。また分離性も高く明瞭感のあるサウンドですので音数の多い音源などでも十分に楽しめると思います。ただし前述の通りアコースティックな音源や一部のライブ曲などではすこし派手すぎる印象に感じる可能性もあります。

BQEYZ BQ3ところで、「BQEYZ」のイヤホンに付属するケーブルは共通して低域の下の方が少し抑えられる傾向があり、これは「BQEYZ BQ3」付属のケーブルでも同様のようです。そのため、BQEYZのイヤホンはリケーブルにより解像度や分離性の向上だけでなく、低域の印象が大幅に変化しやすい傾向にあります(実際過去にレビューした「BQEYZ KB1」は付属ケーブルでも低域が多めのセッティングになっていたため、リケーブルにより低域過多になってしまう場合がありました)。
BQEYZ BQ3」の場合も重低音が強化されより低域の印象が良くなる場合が多いようです。

例えば、アマゾンで「BQEYZ BQ3」を販売しているHiFiHearの場合、「BQEYZ BQ3」と同時期に低価格な8芯ケーブルを相次いでリリースしていています。「HiF4774 8芯 高純度無酸素銅(OFC)ケーブル」(2,350円)の場合、付属ケーブルより情報量が大幅に向上し、さらにメリハリのある印象となりますが、「BQEYZ BQ3」ではさらに低域の解像度と沈み込みが大幅にアップし、かなり濃いサウンドに変化しました。
BQEYZ BQ3BQEYZ BQ3
また、「HiF4777 8芯 銀メッキ高純度無酸素銅(OFC)ケーブル」(2,999円)では「HiF4774」同様に情報量アップと低域のメリハリが向上すると同時に高域についてもさらに伸びが良くなり、多少のキラキラ感も感じるようになります。高域に少し物足りなさを感じる場合にはお勧めのリケーブルといえますね。


BQEYZ BQ3というわけで、今回の「BQEYZ BQ3」は既存モデルの「ZS6系イヤホン」の枠を超えつつ、個性を活かした仕上がりに「成長」した製品だと感じました。スペック的には「3BA+2DD」とちょっと目を惹くものの「低価格ハイブリッド」の範疇の製品であることから、同じハイブリッドでも1万円オーバー、数万円クラスとの比較では価格なりな部分もありますし、質の良いシングルダイナミックイヤホンの自然なバランスと比べるとやはり「派手さ」を重視したような印象もあります。しかし、KZなどのメリハリのあるサウンドを好まれる方にはアップグレード製品のひとつとして検討してみるのも良いのではとおもいます。