
こんにちは。あっというまに11月に突入してしまいました。今年も残すところ・・・おっとやり残した事がまだまだたくさんあります。今回のレビューもそのひとつですね(^^;)。届いてから結構時間が経ちますが、10月は予定外に仕事が立て込んでしまったためずっと保留したままになっていました。もしも待っておられる方がいましたらごめんなさいです。そして、興味を持っている方は「11.11」の中国最大のセールに向けて参考になれば幸いです。
というわけで、今回紹介するのは「Yinyoo HQ10」、私のブログでずっと紹介している「Yinyoo HQ」シリーズでとうとう片側10個のBA(バランスド・アーマチュア)型ドライバーを搭載したモデルとなりました。
→ 過去記事(一覧): 「Yinyoo HQ」シリーズ/「Yinyoo H」シリーズ・マルチBAイヤホン
今回の「Yinyoo HQ10」も10BAの「多ドラ」構成で通常価格でも3万円台と相変わらず攻めた価格設定となっています。とはいえ中華イヤホンとしては決して安価な製品ではありませんし、このクラスのイヤホンともなると後述の通り再生環境にも相応のグレードが必要とかなりマニア向けの製品であることは間違いないと思います。


しかし、こだわったフェイスパネルやクリアなハウジングなどの見た目の美しさに加え、音質面も非常に高い解像度と中音域を中心とした聴きやすいサウンドで、派手さはないものの手堅くまとめられた秀作イヤホンだと思います。また、コストパフォーマンス的にもかなりお買得な製品だと感じました。
■中華イヤホンならではの抜群のコスパで「多ドラ」モデルを強化する「Yinyoo HQ」シリーズ
「Yinyoo」(音佑)は中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」などを中心に販売されているイヤホンブランドで、「HQ」シリーズは同社オリジナルでフラグシップに位置するマルチBAイヤホンのラインとなります。



これまでに「Yinyoo HQ6」(6BA)、「Yinyoo HQ5」(5BA)、「Yinyoo HQ8」(8BA)といったモデルを販売しており、現時点での最上位モデルとして今回の「Yinyoo HQ10」で片側10BAモデルとなりました。片側10BA(つまり両側だと20BAですね)の構成で3万円台のプライス設定はなかなか強力ですね。しかもAliExpressの11.11セールでは初回の予約購入時の割引同様に300ドルを大きく下回る金額となりそうです。
※ちなみに「KZ AS10」などの最近の超低価格5BAイヤホンで両側を合わせて「10BA」という表記があることから混同される方を見受けましたのであえて「片側10BA」と記載しています。


「Yinyoo HQ10」のシェルの形状は装着性の良さに定評のある「HQ5」「HQ8」のデザインを踏襲しつつ、クリアなハウジングと美しいフェイスパネルデザインを採用しています。カラーリングは「ブルー&グリーン」と「レッド」の2種類が選択でき、「ブルー&グリーン」ではフェイスプレートに模様が加えられています。レッドのほうもグラデーションが美しい仕上がりとなっています。
「Yinyoo HQ10」のAliExpress(Easy Earphones)での表示価格は369ドル〜379ドル、アマゾン(WTSUN Audio)では39,800円となっています。現在国内在庫は売切れているようでどちらの場合も中国からの発送となりますが、アマゾン経由の場合は万が一の場合にアマゾン経由で保証を受けられるメリットがありますね。
※アマゾン(WTSUN Audio)では現在購入時に20%割引となるクーポンが発行されています。
※AliExpressでは、毎年恒例の中国の11.11セール価格が244.46ドル〜と発表されています。11月11日のセール開始までに事前クーポンなどを獲得することでさらに値引きを得ることも可能だと思います。また同じタイミングでアマゾン(WTSUN Audio)もセールを実施する可能性があります。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo HQ10
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo HQ10
AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引き等についてはこちらを参照ください。ただし11.11セールの際は通常のフォロワー値引き以上の値引き額となるため併用は出来ませんのであらかじめご了承ください。
また、今後のセール情報や割引情報等は「Easy Earphones」(@hulang9078)および「WTSUN Audio」(@Zhuo520X)のTwitterアカウントで頻繁にツイートされると思いますのでこまめにチェックされることをお勧めします。
■Yinyoo HQシリーズの高い装着性と美しいデザインを踏襲。こだわったフェイスパネルも魅力的。
「Yinyoo HQ10」のパッケージは1万円オーバーのYinyooブランドイヤホンではおなじみの黒パッケージ。私のところに届いたケースは無地でしたが、現在はYinyooロゴが入ったものになっていると思います。


これまでのHQシリーズ同様に、今回も大量のイヤーピースが同梱されています。アマゾンで購入の場合は付属ケーブルは3.5mmステレオのみですが、AliExpressでは2.5mm/4極または4.4mm/5極バランスコネクタを選択することも可能です。


改めて「Yinyoo HQ10」のパッケージ構成は、イヤホン本体、MMCXケーブル(8芯 銀メッキ線)、イヤーピース(白色タイプのほか、シリコンタイプ2種類がそれぞれS/M/Lサイズ)、ウレタンタイプ(黒・グレー・赤・青の4色)、替えフィルターメッシュ、ケース、保証書、となっています。


実際に手元に届いた「Yinyoo HQ10」は写真以上に美しく、所有欲を満たしてくれるデザインとなっています。フェイスパネルの仕上がりは非常に良く、メーカーでもこのデザインになるまでに製造工場と何度もテストショットを重ねたこともあって、高級感を十分に感じる造形となっています。


クリアなハウジングには片側10BAのドライバーの存在感が抜群にあります。ただ「HQ5」「HQ8」同様の少し大きめのサイズと、すべてデュアルBAタイプのドライバーユニットを採用していることもありハウジングにぎゅうぎゅうに詰まっているという感じではないようです。これなら今後12BAモデルとかも・・・(おっと)。


「Yinyoo HQ10」を8BAの「HQ8」と比べるとシェル形状は全く同じなのですが、フェイスプレート部分に占める割合がHQ8のほうが少しだけ大きいため、見た目だけだと「HQ8」のほうが大きく見えるかもしれませんね。


「HQ5」「HQ8」同様に金属製のステムは少し太いですが装着性は非常に良好です。付属のイヤーピースのほか、AZLAの「SednaEarfit」やAcoustuneの「AET07」、JVCの「スパイラルドット」等の組み合わせがお勧めです。特に耳穴の小さい方は「スパイラルドット」のSサイズなどを組み合わせると良いのではと思います。
私も耳穴が結構小さい方なのですが、最近発売された「SednaEarfit」のSSサイズを組み合わせることで大きめのハウジングながら快適に装着することが出来ました。全体的な音の締まりも良くなるためお勧めの組み合わせですね。


「Yinyoo HQ10」の片側10BAは高×4+中低×4+低×2 の3Wayクロスオーバーのデザインとなっていて、実際に使用されているバランスド・アーマチュア型ドライバーは高域ツイーターの「Bellsing 30017」(2BA)×2基、中低域ユニットの「Knowles GR-31587」(2BA)×2基、低域ウーファーの「Knowles HODTEC-31323」(2BA)×1基の組み合わせとなっています。
サウンドコントロールはネットワーク回路による抵抗などはとくに見当たらず、かわりに中高域の「Knowles 31587」をまとめる音導管と、低域の「Knowles 31323」からの音導管にフィルターが入っています。これまでの「HQ6」「HQ8」と比較し、「Yinyoo HQ10」は高域は「HQ8」同様に「Bellsing 30017」による4BAが割り当てられていますが、同時に「Knowles 31323」が2基から1基(2BA)になっていて、「HQ6」「HQ8」での音作りでの中心的な立ち位置から低域のサポートに回ったような構成となりました。その代わりに中低域の「Knowles GR-31587」を4BA追加しているのが特徴的です。この中低域の構成がサウンドバランスに大きく影響していると思われます。
■片側10BAらしい情報量の多いサウンドながらスッキリした印象のフラットサウンド
「Yinyoo HQ10」の音質傾向は中低域メインのフラット寄りのサウンドで、中高域の解像度の高さと10BAらしい余裕のある鳴り方が印象的です。ドンシャリ傾向の「HQ8」に比べると高域および低域はやや控えめで中音域を心地良くならすタイプのチューニングになっています。HQシリーズの他のモデル同様に開封直後はドライバーが本気を出していないように感じる個体もあるかと思いますが、このよ場合も1日程度鳴らしてやると抜けが良くなるようです。

また非常に反応が良く、カスタムIEM等に対応できるS/Nの高いプレーヤーを使用しないとホワイトノイズが盛大に乗ります。さらにS/Nが高く十分に鳴らせる駆動力があるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)でも後述の通り、これらのBAを稼働させる高い消費電力のため他のイヤホンよりかなり早くバッテリー切れになることもあるようです。
つまり、「Yinyoo HQ10」は価格こそ3万円台で購入できる製品ですが、仕様的にはより価格帯の「多ドラ」イヤホンと同様で、再生には相応に見合った環境を用意する必要がある「そこそこハードルの高いイヤホン」だといえますね。

最近は私のレビューでも多く紹介しているとおり、3千円前後でも質の高い中華イヤホンケーブルが販売されていますが、「Yinyoo HQ10」のグレードを考慮すると、最初から6千円~8千円クラス以上のケーブルを選択したいところです。個人的なお勧めとして「Yinyoo HQ10」と組み合わせる最も「スタンダード」なケーブルは、Yinyooブランドの16芯タイプ銀メッキ銅線ケーブル「YYX4745 16芯 銀メッキ OFC ケーブル(シルバー)」および「 YYX4778 16芯 銀メッキ OFC ケーブル (ブラック)」、または16芯ミックスのKinboofi「KBF4746 16芯 銀メッキ線+高純度銅線ミックス ケーブル」、16芯高純度銅線の「KBF4779 16芯 高純度銅ケーブル」といった16芯ケーブルのシリーズだと思います。

そして「Yinyoo HQ10」のもっとも特徴的な中音域は、片側10BAというドライバー数をふんだんに活かした歪みの少ないフラットさと情報量の多さがとにかく気持ちよく感じます。高音質なシングルダイナミックドライバーのような響きの良さより、音の細かさを感じるいかにもマルチBA的、あるいはモニター的な印象もある音ですので派手めのサウンドを好まれる方からは「好み」が分かれる可能性もありますが、ボーカル曲を中心とした利用では曲のジャンルを問わず楽しめそうです。
音場は一般的かすこし狭めですが、違和感のない近めの距離感で立体的に定位しますので張り付くような印象や逆に遠くで鳴っている感じにはならない自然な印象でまとまっていると思います。

いっぽう全体的に少しメリハリがつくのがミックス線の「KBF4746」で、低域の厚みが増すのが銅線の「KBF4779」となります。好みに応じて組み合わせを検討いただくのが良いと思います。
ほかにもYinyooブランドでは比較的高価格帯の高純度銅線のひとつ「YYX4765 金銀合金&OFCケーブル」ではさらにメリハリが強化され、高域強めで刺さりを少し感じる中高域寄りの「派手めの音」になります。同様に中華ケーブル以外でも高純度銅線の傾向がハッキリしている七福神商事の「丸七赤龍」やNOBUNAGA Labs.「更紗」(および「友禅」など)にリケーブルした場合も似た印象となりました。


また情報量が増えると言うことは消費電力も相応に増えるため、たとえばコンパクトながら駆動力に優れたDAPである「Shanling M3s」と組み合わせて新幹線移動で使ってみたところ、本来では往復でも半分も減らないバッテリーが片道数時間の移動で切れてしまう、という状況に遭遇しました。以降、新幹線で使うときは「iBasso DX150」などパワーにも余裕のあるプレーヤーを使用するようにしていますが、いかにも10BAイヤホンらしいですね。

個人的には「Yinyoo HQ10+純銀線ケーブル」の組み合わせは現時点では「HQ6+金銀合金線ケーブル」の組み合わせと並んでかなり好みのサウンドでした(「現時点では」というのがミソです。このシリーズ、さらに続くかも?なので。例えば「12BA」とか^^;)。また結構聴きやすく使いやすい傾向のイヤホンであるため今後の利用機会も多そうです。とりあえずはさらにリケーブルによる音質強化を狙って・・・相変わらず沼の深さを実感するこの頃です(笑)。
相性はどのような感じですか?
ちょうどイヤホン整理した関係で
余っているのでHQ10と
組み合わせたいと思っています。