Yinyoo T500

こんにちは。今回紹介するのは「Yinyoo T500」という、5BA構成で「Shure SE」シリーズを連想する耳かけ型デザインのイヤホンとなります。「Yinyoo」は私のブログでも多くのイヤホンやケーブルを紹介しているEasy Earphonesを中心に展開しているブランドでで、同ブランドのイヤホンには、自社独自設計・製造のHQシリーズのようなハイグレード製品を筆頭に、低価格帯では「Yinyoo NY-06」のように別メーカーのOEM製品や自社ブランド版などの企画商品的な位置づけのイヤホンも幅広く取り扱っています。

Yinyoo T500今回の「Yinyoo T500」はそのような低価格帯の製品よりは少し価格が上がるものの、5個のバランスド・アーマチュア型ドライバーを搭載しつつ1万円そこそこという設定で、普通に考えるとスペック比較ではかなりの低価格イヤホンとなりますね。もっとも最近は「KZ AS10」のように5BAで1万円を大きく下回るような「例外的な」イヤホンも存在するのでちょっと感覚がおかしくなりますが・・・(^^;)。
あとほぼ同じ構成で非常によく似たデザインのHCKの「DT500」というイヤホンがありますが、後述するものの「Yinyoo T500」はDT500とは「微妙」に異なりました。

「Yinyoo T500」のカラーは「クリアー(透明)」と「クリアーブラック」の2色が選択できます。購入はアマゾンの「WTSUN Audio」またはAliExpressのEasy Earphonesにて。
Yinyoo T500Yinyoo T500
価格はアマゾンで12,229円、AliExpressの表示価格が 139ドル となっています。アマゾンは国内倉庫からのプライム扱いでの発送、AliExpressは中国からの発送となります。AliExpressでの購入方法、フォロワー値引きについてはこちらを参照ください。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo T500
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo T500


■Bellsing製ドライバーセットによるシンプルな構成。Shure用イヤーピースで装着性が向上 

Yinyoo T500」はコンパクトなイヤホンケースを収納したボックスで届きました。パッケージ内容はイヤホン本体、MMCX仕様の銀メッキ線ケーブル、グリーンのウレタン製イヤーピース(大・中・小)、保証書など。他にグレーのシリコン製イヤーピースも各サイズ付いていましたが「Yinyoo T500」は「Shure SE」シリーズと同様のプラスチック製の細いステムで通常の口径のイヤーピースは使用できず、ここでは単なるオマケと解釈しましょう(^^;)。
Yinyoo T500Yinyoo T500

ハウジングはプラスチック製のクリアパーツで、サイズはShure「SE215」「SE535」などのシリーズより若干大きめです。ステムはハウジングと一体形成のプラスチック製で「Shure SE」シリーズ(SE846を除く)と同じ太さとなっています。そのため通常の後継のイヤーピースは使用できませんが、Shure用として販売されているものを流用することが可能です。「Shure SE」シリーズを踏襲したデザインのため、耳穴にすっぽりと収まる感じとなり装着性は良好です。付属のグリーンのウレタンイヤーピースよりできれば「コンプライ」(100シリーズ)や「SpinFit CP800」へ換装して使用することで装着感および遮音性も格段に向上すると思います。
Yinyoo T500Yinyoo T500
ちなみに、以前紹介したHCKの「DT300」「DT500」とは非常によく似ていますがフェイス側の面のデザインが異なるなどパーツ形状は別物のようです。また「DT300」「DT500」ではステム部分にフィルターが取付けられていますが、「Yinyoo T500」では同種のフィルターは無いようです。
Yinyoo T500BRC281C10025
「Yinyoo T500」が低価格の理由には、中華イヤホンの世界では数多く流通してるShureタイプの樹脂製シェルパーツを元に作られていることと、5BAドライバーについてもおそらくBellsing社のPCB基板などネットワークごと一体となって5BAセットとして販売されている「BRC281C10025」を採用しているなどが考えられます。Bellsing「BRC281C10025」は1個のBassユニットと、2BA×2個のMid/Hichユニットで構成される2Wayの構成となっています。「Yinyoo T500」ではこのBAセットがそのまま使用されているようで、一体形成された白いプラスチック製の音導管を通ってそまままステムに出力されていました。いわば「組み立て済みDIYイヤホン」という感じかもしれませんね。


■低域過多に陥りやすい微妙なバランスながら、ポップス曲限定では臨場感のあるサウンドを実感

「Yinyoo T500」の開封直後に聴いた印象は低域が過剰かつ不自然に響き(結構暴れ回る感じ)、全体的なバランスもいまひとつ、といった感じで「これは盛大に地雷を踏んだかな?」と思いました。しかし数日鳴らしてさらにイヤーピースをコンプライに変更したところ、相変わらず曲のジャンルによっては低域過多の「籠りホン」の印象はあるものの、極端に低域が暴れることはなくなり、開封直後より良い印象に変化しました。
Yinyoo T500バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーは構造的にエージングは効果がない、と一般的に言われるのですが、なぜかマルチBAの中華イヤホンで開封直後から多少鳴らすことで実際に印象が変化することも多いのが不思議ですね。ダイナミックドライバーのエージングとは別の理由でしばらく鳴らす(通電させる)ことによる変化があるのかもしれませんね。
「Yinyoo T500」は中低域傾向で低音が結構強めに出る傾向があるため、音数の多い曲、低域成分の多い曲では低域がかなり前面にでて、BA特有の籠もるような響き方を過剰に感じるようになります。相対的に中高域は後方に下がりかなり遠くで鳴っているような印象になってしまいます。
それでも中高域自体はマルチBAらしい解像度の高いスッキリしたサウンドのため、このように低域で籠もったように感じる曲の場合でも、全体的に低域でモコモコした印象とはなりませんが、高域の伸びも抑えられてしまうので結構物足りない印象になってしまいます。

いっぽう、ボーカルがメインのポップス系の曲では比較的音数が少なく、中音域、または中高域の成分が多いためこのような低域過多の印象は抑制され、むしろ適度な響きで臨場感が得られるようになります。このようなジャンルの曲では若干の中音域の凹みはありますがボーカルは前方で定位し、明瞭感のある中高域を実感することが出来ます。音場は一般的から少し狭いくらいですが、低域の響きによりある程度雰囲気のあるサウンドになっている、という印象ですね。
Yinyoo T500Yinyoo T500
オーディオ的には、低域の響きにより臨場感を演出するようなアレンジが良いかどうかは結構微妙ですが、聴きやすさや好みという点では「Yinyoo T500」は少なくともポップス曲に限定すれば「有り」という方もそれなりにいらっしゃるのでは、と思います。そういえば先日レビューした「KZ BA10」もポップス曲などでは音質傾向的に似たようなアレンジをしている印象で、少なくとも海外では一定の層では求められている可能性もありますね。

個人的には邦楽(J-POP)の女性ボーカル曲との相性が最も良く感じました。洋楽ポップスよりボーカルが前面に出る傾向のマスタリングをしている曲が多いことも影響しているのでは、と思います。これらの曲ではボーカルの高音の伸びも良く、高域自体も上の方で多少の歪みを感じるものの全体的にはスッキリした印象となります。
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ただし、いずれの場合も「Yinyoo T500」についてはイヤーピースは交換して装着性を向上させることは必須です。付属のイヤーピースの場合だとやはり低域過多に陥りやすくなるようです。どちらにせよ「Yinyoo T500」は万人ウケしやすいサウンド、とは少し言い難く、単純に低価格な5BAとして購入するととんだ「地雷」と感じてしまう可能性も低くはありません。ある程度の「わかっている」マニアの方限定のイヤホンであることは間違いないと思います。

Yinyoo T500現在、低価格5BAイヤホンとしてはKZの「KZ AS10」「KZ BA10」とHCK「DT500」、そして今回の「Yinyoo T500」となるわけですが、「Yinyoo T500」は「DT500」のブランド違いというわけではないく、かなり偏った傾向自体は似ていますが全く別のイヤホンであることが確認できました。まあ実際には「Yinyoo T500」のサウンドというよりBellsingのBAセットの音そのもの、という可能性もありますが(^^;)。
「Yinyoo T500」の音質傾向的に、多くの人にお勧めすることはかなり難しいですが(「地雷」になる可能性もかなり高いです)、上記のようにポップス曲にある程度限定して、さらに「AS10」より高い装着性と開放型の「BA10」のような音漏れを心配したくない方には良いかもしれませんね。
どちらにせよマニア向けの製品であることには変わりないですので、もしも興味があれば検討してみてください。