KZ ZS7

こんにちは。気付けば1月も半分が過ぎてしまいましたが、今年に入ってからは昨年のやり残し企画の「ケーブルまとめ」シリーズのみでしたので、実質的には今回が今年最初のレビューとなります。昨年の末から実は結構多くのイヤホンが届いていますし、DAPにUSB-DACとレビューしたいアイテムが山積みとなっています。あらためて気合いを入れて頑張りたいと思います。

KZ ZS7さて、今回ビューするのは「KZ」(Knowledge Zenith)のハイブリッドモデル「KZ ZS7」です。実はこのネーミングが与えられる予定だったと思われるモデルは以前に存在したのですが、今回改めて「4BA+1DD」とよりハイスペック化を果たして登場することになりました。外観は私のブログを以前からご覧いただいている皆様にはお馴染みの同社を代表するハイブリッドイヤホン「KZ ZS6」を踏襲しています。
ZS6」およびひとつ前の「ZS5」はCampfire Audioの「Andromeda」などのモデルに酷似していることが話題になりましたが、そのCampfire Audioも「ZS5」のカラーリングを意識したようなブルーのシェルとグレーのフェイスパネルの廉価モデル「Polaris」をその後発売しています(現在は販売終了)。そして今回の「KZ ZS7」は「ブルーのフェイスパネルとブラックのシェル」というまるで「Polaris」を逆にしたようなカラーリングとなっていたりと相変わらず「狙っている」デザインとなっています(^^;)。
KZ ZS6Campfire Audio POLARIS
今回の「KZ ZS7」の「4BA+1DD」という構成は以前「KZ ZS10」というモデルでも採用されていましたが、「ZS10」では高域用の「KZ 30095」×2、中高域用の「KZ 50060」×2という2種類のBAユニットを搭載していたのに対し、「KZ ZS7」ではより中低域を重視したBAドライバーを採用しています。メーカー資料によると「KZ ZS7」では、高域用の「KZ 30095×2、中高域用の「KZ 31005」、中音域用の「KZ 29689」という組み合わせになっています。
KZ ZS7KZ ZS7
また、ダイナミックドライバーはKZ製ハイブリッドでは伝統的な「10mmドライバー」を使用しており、2BA+2DD構成のZS6/ZS5で使用していた6mmドライバーがBAに置き換えられたことでハウジングの中央部分に配置されるレイアウトとなったようです。
KZ ZS7KZ ZS7
KZ ZS7」はブルー/ブラックのコンビネーションひとつだけのカラーで、「ZS6」のように複数のカラバリは現在のところ設定されていません。今回は購入はアマゾンの「WTSUN Audio」とAliExpressの「Easy Earphones」にて。価格はアマゾンが 5,990円 、AliExpressが 38.50ドル です。
最初にEasyでオーダーしていましたが他の製品も一緒にオーダーしていたこともあり「WTSUN Audio」のほうがだいぶ先に届きました。現在は「WTSUN Audio」ではプライム扱いで国内倉庫からの発送になっていますのですぐに手元に届くと思います。またアマゾンで購入する方が万が一の場合にアマゾン経由のサポートを受けられるため安心ですね。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ZS7

AliExpressでの購入(中国からの発送)の方法はこちらをご覧ください。
AliExpress(Easy Earphones): KZ ZS7

またWTSUN Audio(@Zhuo520X)およびEasy Earphones(@hulang9078)のTwitterアカウントでは割引情報なども頻繁にツイートされていますのでフォローのうえこまめにチェックされることをお勧めします。


■メタリックブルーが格好良い、より精悍さを増したデザイン

到着した「KZ ZS7」は先日の「AS06」同様に少し高級感のあるブラックのパッケージに納められていました。製品型番が記載されたメタリックプレートが存在感ありますね。
KZ ZS7KZ ZS7
パッケージ構成は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書と相変わらずの最小構成。メタリックブルーのフェイスパネルがとても目をひきます。
KZ ZS7KZ ZS7
CNC加工されたアルミ製ハウジングのサイズは「ZS6」と同一で、ハウジング部分の形状も「後期型ZS6」とほぼ同じ形状です。印象的なメタリックブルーのフェイスプレートのベントは「ZS6」とは異なり傾斜のあるスリットのデザインとなっています。
KZ ZS7KZ ZS7
ちなみに、「KZ ZS7」も「ZS6」同様T5サイズの星形精密ドライバーを使用することでフェイスパネルを開くことが可能です。「KZ ZS7」の場合4基のBAドライバーが小さいネットワーク基板につながっていて出力がコントロールされています。
KZ ZS7KZ ZS7
「ZS6」同様に装着性そのものは悪くはありません。ただ耳穴にフィットするタイプではありませんのでイヤーピースは工夫してよりしっかりと装着できるようにしたいところです。お勧めなのは毎回紹介してるJVCの「スパイラルドット」やAZLA「SednaEarfit」、Acoustune「AET07」などのほか、ダブルフランジの「AET06」、RHAのイヤーピースなどです。


■ZS6とは全く異なる中低域チューニング。最近のKZの音作りの「上手さ」を実感

音質傾向はかなり低域の厚みを感じる中低域寄りのチューニングで、「ZS6」の高域が強いサウンドとは真逆に近い印象を受けます。ただ全体的にはしっかりメリハリのある寒色系の派手めの音、というKZのハイブリッドらしいキャラクターはしっかり維持しながら、分厚く重量感のある低域と広がりが強調された印象で、KZ製イヤホンの中でもロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲を「楽しむ」という点ではかなりのハイレベルな仕上がりだと実感します。
KZ ZS7相対的に高域の刺激も「ZS6」と比較すると「全く別もの」というくらい抑えられていることもあり、イヤーピースによる装着位置やフィット感などでも特に中低域の印象が大きく変化します。もともと耳穴にフィットさせるというデザインのハウジングではないため、何種類かのイヤーピースを試していちばん自分に「しっくりくる」ものを選ぶ方が良さそうです(私はAcoustuneのダブルフランジ「AET06」を選択しました)。また後述しますが「KZ ZS7」も「ZS6」など従来のKZ製ハイブリッド同様にリケーブルでかなり「化ける」イヤホンですので、イヤーピースとケーブルは是非とも交換したいところです。
KZ ZS7」の高域は従来のKZ製ハイブリッドと比べると刺激を抑えられたチューニングで少し離れてきこえますが抜けはよく明瞭感を感じる音です。付属のケーブルでは少し暗めに感じるかもしれませんが、全体としてのバランスとしては上手く調整されていて、かつてのKZ製ハイブリッドと比較すると綺麗に伸びる印象があります。ただ駆動力の高いDAP等のハイゲインの状態だと付属ケーブルでは歪みなどの粗さを感じる場合がありますが、この高域はリケーブルなどで特に「化ける」部分で、ケーブルの特性によってアレンジを行うことが可能です。
KZ ZS7中音域はハイブリッドらしいメリハリを感じる音ですが、ボーカルやギターなどは心地良い響きがあります。比較的近くで定位し、とても濃い印象を感じる中音域ですのでボーカル曲との相性は抜群です。「ZS6」をはじめとするKZ製ハイブリッドに多い硬質な印象はほとんど感じず、音場の広がりを楽しむタイプの音になっています。そのため「ZS6」のようなとにかく人工的で派手な印象ながら解像度の高さを感じるキレの良さはすっかり鳴りを潜め、追加された各BAをコントロールするネットワーク基板により各音域のつながりを意識した音で、「ZS10」や「ZS4」をさらに濃くしたような印象があります。
低音域は広がりと厚みのある音で重低音も存在感があります。全体的な解像度や分離性は緩めなものの、メリハリのある低音で籠もることなくしっかり聴かせてくれる印象があります。ただいかにも人工的な音であるためジャズなどの音源では多少わざとらしく感じるかもしれません。そのため低音好きな方でも普段聴かれる曲によっては好みが分かれる可能性もありますね。ただ、低域についてもリケーブルにより分離性と量感が向上することで印象の変化を実感できると思います。


■リケーブルで分離性と解像度が向上し、さらに魅力あるリスニングサウンドに

前述の通り「KZ ZS7」はリケーブル効果がとても明確に出やすい「化ける」タイプのイヤホンです。全体的に解像度や分離性より「音の楽しさ」を感じるタイプのイヤホンですが、高域・低域の伸びや分離性はリケーブルによる効果がもっとも現れやすい要素であるといえるでしょう。先日、現在販売されている中華イヤホンケーブルの「価格帯別のお勧め」を紹介しましたが、「KZ ZS7」では「3千円クラスの8芯ケーブル」、特に味付けが明瞭で派手めの傾向のケーブルがお勧めです。今回特に気に入った組み合わせは「Yinyoo」ブランドでは「YYX4784 8芯 銀メッキ銅線ケーブル」と「Kinboofi KBF4779 16芯 OFC 高純度銅線 ケーブル」の2種類。
KZ ZS7どちらのケーブルも付属ケーブルより劇的に情報量が増加するとともに、「KZ ZS7」では緩めの印象だった分離性が劇的に向上し全体的にキレのある音に変化します「YYX4784 8芯 銀メッキ銅線ケーブル」では中低域の締まりの向上と同時に高域の伸びが劇的に向上し、スッキリした明瞭感のある音に変化します。個人的にはこれくらいのバランスのほうが好みのためなかなか効果的なリケーブルだと感じました。いっぽう「Kinboofi KBF4779 16芯 OFC 高純度銅線 ケーブル」の場合は低域の厚みが増加し沈み込みが良くなるのを実感しました。低域好きの方には魅力的なアップグレードだと思います。またより低コストな「YYX4783 8芯 高純度銅線ケーブル」は「ZS6」との相性が抜群に良いケーブルですが「KZ ZS7」との組み合わせでも低域をより厚くするうえでは効果的だと思います。

これらのケーブルと同様の特徴のケーブルは各社からリリースされており、それらの特徴については先日の「価格帯別お勧めレビュー」を参照いただければと思います。
→ [前編] 「中華イヤホンケーブル」の価格帯別/線材別のお勧めケーブル【アラウンド3,000円クラス編】
→ [中編] 「中華イヤホンケーブル」の価格帯別/線材別のお勧めケーブル【5,000円~8,000円クラス編】
ちなみに、ここで注意したいのは「高ければ良いってものではない」ということ。価格帯別お勧めレビューでも記載したとおり、最近の5千円オーバーや1万円クラス等のよりハイグレードの中華ケーブルは、「味付け」より「イヤホンのポテンシャルを引き出す」傾向が強く、KZのイヤホン(一部のマルチBAモデルを除き)ではあまりリケーブル効果が少ないものもあります。


というわけで、「KZ ZS7」は昨年末に紹介した「KZ AS06」とはまた全く異なるアプローチで仕上げられたものの、これはこれで「アリ」と感じるできの良さを感じる製品でした。昨年後半くらいからのKZ製イヤホンの進化はなかなか目を見張るものがありますが、共通しているのは「音作りの上手さ」かなと思います。低価格中華イヤホンのスペック的な進化を牽引してきた同社ですが、そこで得られた数多くのフィードバックをいよいよ音作りに向けられてきたのかなと感じます。ちなみに昨年紹介した「KZ AS06」については後編も昨年から書きかけになっていて(^^;)、こちらでは前回「やり残した」リケーブルなどでの比較などを紹介したいと思っています。