TENHZ Z1

こんにちは。今回紹介するのは「TENHZ Z1」です。2BA+1DD構成で、ステム部分には人気モデルの「TENHZ K5」同様に2種類のフィルター交換が可能なハイブリッドイヤホンです。前回紹介した「TENHZ T5」は同社製品のなかでは音質的にもパッケージ的にも少し他の製品とは異なるアプローチでしたが、「TENHZ Z1」はいかにも同社らしいアプローチの仕上がりとなっており、1万円以下の価格設定も含めかなりお勧めできるイヤホンだと思います。

TENHZ Z1TENHZ Z1

ちなみに、私のブログで「TENHZ K5」および改名前の「audbos K5」のレビューをご覧いただいている方はピンと来たかもしれませんが、「TENHZ Z1」の「2BA+1DDでフィルター付き」というと、「MaGaosi K3 Pro」の存在を考慮せずにはいられませんね。「TENHZ」はもともと中華イヤホンブランド「MaGaosi」で「K3 Pro」を手がけた人たちがスピンオフして作られたブランドと言われており、「TENHZ K5」は別ブランドながら「K3 Pro」と互換性のあるフィルターを装備し、音質傾向も直系のアップグレード版と感じるものでした。
TENHZ K5MaGaosi K3 ProMaGaosi K3-BA
いっぽう「MaGaosi」はその後「MaGaosi K3-BA」で「K3」を仕様の異なる3BAモデルにリニューアルしたこともあって、今回の「TENHZ Z1」はハウジングの材質の違いはあるものの、実質的な「K3 Pro の後継モデル」という見方もできるのではないかと思います。

TENHZ Z1」の購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「Kinboofi」より。アマゾンでの販売価格は 9,999円 です。なお、Kinboofi(@kinboofi)のTwitterアカウントでは頻繁に割引情報等もツイートされますのでこまめにチェックされることをお勧めします。
Amazon.co.jp(Kinboofi): TENHZ Z1


■TENHZ製ハイブリッドのステムフィルターを搭載しつつも非常にコンパクトなハウジング

TENHZ Z1」のパッケージは「K5」および「P4」「P4 Pro」と同サイズの引き出し式のボックスでパッケージデザインにもより力を入れている印象があります。
TENHZ Z1TENHZ Z1
「TENHZ T5」およびこの「TENHZ Z1」からイヤーピースは専用のケースに収納されて付属するようになりました。このケースはAcoustuneのイヤーピースなどでも付属していますが使い勝手が良く持ち歩きに便利なのでちょっと嬉しいですね。そしてアンダー1万円のモデルながら大きめのレザーケースも付属しています。
TENHZ Z1TENHZ Z1
パッケージ内容は、本体、MMCXケーブル、ステムフィルター、イヤーピース(シリコンタイプ、ウレタンタイプがそれぞれS/M/Lサイズ)、説明書(日本語での表記有り)。

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TENHZ Z1」の本体はプラスチック素材で金属製のフェイスプレートが埋め込まれています。金属ハウジングの「TENHZ K5」や「MaGaosi K3 Pro」よりコストダウンのためとだと思いますが、外観に安っぽさはあまり感じられない良い仕上がりとなっています。
ハウジングのサイズは非常にコンパクトなため、2BAユニットを収納し、交換式フィルターを装着するステム部分がとても太く大きく見えますね。
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「TENHZ K5」および「MaGaosi K3 Pro」と比較しても「TENHZ Z1」のコンパクトさが実感できます。そのためハウジングの形状が装着性に影響することはほとんどありませんが、イヤーピースと耳に掛けるケーブルのみで固定させることになるため、より耳にフィットするイヤーピースを選択した方が良いでしょう。付属品以外では開口部が広いタイプが良く、毎回紹介しているJVCの「スパイラルドット」やAZLA「SednaEarfit」、Acoustune「AET07」などのイヤーピースがお勧めです(今回私は「スパイラルドット」を選択しました)。

フィルターは「TENHZ K5」および「MaGaosi K3 Pro」(および「K3 HD」)と全く同一のもので、標準で装着されているブラウンのフィルターが標準タイプ、シルバーのフィルターが不織布が裏面に貼り付けられた高域抑制・低域強調タイプです。
TENHZ Z1TENHZ Z1
付属のMMCXコネクタケーブルは「TENHZ K5」「P4 Pro」等と同様の銀メッキ銅線でちょっと被膜が硬めのシルバーカラーのケーブルとなります。


■TENHZらしい明瞭さを維持しつつK5より派手さを抑え、より聴きやすいサウンドに。

TENHZ Z1TENHZ Z1」の音質傾向は弱ドンシャリでTENHZのハイブリッドらしいメリハリを感じる明瞭なサウンドです。フィルターは「TENHZ K5」および「MaGaosi K3」同様に最初から取付けられているブラウンのタイプがアレンジを加えないタイプですので、通常はそのまま使用されることをお勧めします。手元の個体は開封直後はすこし平坦な印象があったのですが数時間のエージングで解消しました。
全体的に「TENHZ K5」ほど派手さや中低域の独特の音場感はありませんが、特にボーカルを気持ちよく聴くという点で上手くまとめられている印象があります。また高域も「TENHZ K5」より「TENHZ Z1」のほうがやや抑え気味になっていて聴きやすく感じる点も特徴的ですね。

TENHZ Z1」の高域はハイブリッドらしい非常に伸びの良いサウンドです。キラキラ感のある硬質な音ですが「TENHZ K5」ほどの派手さはなくスッキリした印象を感じます。いっぽうで刺さり等の刺激はギリギリのところで抑えられており、比較的聴きやすいバランスにまとめられていると思います。
TENHZ Z1中音域もスッキリした明るい音で、前に出る感じでは無いもののほぼ凹みは感じず自然な印象です。ボーカルは比較的近くに定位し、とても明瞭感のある綺麗な音です。「MaGaosi K3」以降の音抜けの良さは「TENHZ Z1」でも健在で、女性ボーカルのハイトーンなどでは派手さを感じますが全体的に質の高さを感じるサウンドです。
低域は量的に少なく重低音の沈み込みも軽めのチューニングです。中高域との分離性は高く締まりも良く感じます。「TENHZ K5」が中低域で独特の響きによる音場感を作っていたのに対し、「TENHZ Z1」では音場はやや狭くスッキリまとめられている印象です。

ただ、「TENHZ Z1」の低域についてもかつての「MaGaosi K3」のように100時間以上の長時間エージングで量感が増え印象が多少変化する可能性もあるので、この辺はすこし様子を見たいなと感じる部分ではあります。とはいえ現時点でも「MaGaosi K3 Pro」よりは低域は少なめの印象ですが全体のバランスとしてはむしろ良くなっているのではと思います。
またリケーブルによって印象をアレンジするのも良いと思います。低価格なケーブルの場合Kinboofiでは「KBF4792 8芯 銀メッキ銅線ケーブル(黒)」などは中低域を厚くするタイプのケーブルで「TENHZ Z1」との相性は良いと思います。
TENHZ Z1TENHZ Z1
よりハイグレードなケーブルの場合、中低域寄りでは「KBF4779 16芯 高純度銅線ケーブル」 、さらにメリハリをつけ解像度の向上をしたい場合は定番の「KBF4746 16芯 銀メッキ線+高純度銅線ミックス ケーブル」が良いと思います。


というわけで、かつての名イヤホンのひとつだった「MaGaosi K3 Pro」が販売終了して久しい現時点で、「TENHZ Z1」は後継イヤホンとしては「TENHZ K5」とはまた異なったアプローチでかなり良い仕上がりになっていると思います。ロック、ポップス、アニソンなど多くのボーカル曲と相性が良く、最近の中華イヤホンのスペック競争のなかでは地味な印象もありますが、とても使い勝手の良い秀作イヤホンではないかと感じました。