Shanling M5s

こんにちは。今回紹介するのは「Shanling M5s」、中国のオーディオメーカー「Shanling」の最新デジタルオーディオプレーヤー(DAP)です。昨年末にオーダーし1月初旬に手元に届いて以降、普段使いのDAPとして愛用しています。
Shanling」のDAPは、これまでに「M2s」「M3s」「M0」と購入してきており、今回で4機種目になります。どのモデルもコンパクトかつコストパフォーマンスに優れる製品で、同社製品の品質の良さと技術力の高さを実感します。
過去記事(一覧): 「Shanling」製デジタルオーディオプレーヤーのレビュー

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さて、今回購入した「Shanling M5s」は500ドル以下の価格設定のモデルで、既存の「M5」の後継モデルになります。ただ実際には「Shanling M5s」は完全な新作モデルで、外観およびスペック面で「M5」とは全く異なる内容の製品となっています。どちらかというと「M3s」の上位モデル兼後継モデル(「M3s」が製造終了のため)としての位置づけのほうがしっくりきますね。

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Shanling M5s」は「M2s」「M3s」のサイドホイールによる操作から「M0」同様のタッチパネル液晶となり、操作性および機能性の上で大幅にアップグレードを果たしました。
DACチップに「AK4493EQ」をデュアルで搭載するなど「M3s」(デュアルAK4490EN)と比較し音質面のクオリティを大幅に向上しました。またワイヤレス機能もさらに充実し、apt-X、AACに加えてBluetoothでは「M0」でサポートした「LDAC」も追加サポート。またWi-Fi機能も初めて搭載し、「DLNA」や「AirPlay」レシーバー機能を搭載しました。これによりスマートフォンからの「Apple Music」や「Spotify」などのストリーミングを「Shanling M5s」に無劣化でワイヤレス送信できるようになりました。もちろん、「M2s」「M3s」で搭載されている豊富な機能もすべて網羅しています。

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スペック面では全体的な向上が行われており、ダイナミックレンジやノイズ比はさらに高くなりました。またバランス出力での出力強化が行われているのが分ります。いっぽうタッチパネル(M-Touch 2.0)の採用で液晶パネルの解像度が従来までのRetina Screenではなくなった点はやむを得ない部分ですね。
このように非常に魅力的なアップグレードが行われた「Shanling M5s」ですが、現時点では日本国内でのリリースのアナウンスは行われておらず、購入はAliExpressなど海外サイトからとなります。ただ、「Shanling M5s」については、当初の予定より発売開始時期が遅れたこともあってか、海外出荷時点で日本国内の技適認証は取得済みとなっており、海外版でも日本国内での各種ワイヤレス機能の利用は問題ありません。

私はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」(@hckexin)より購入しました。価格は 463ドル で、専用カバーが 30ドル となっています。現在、AliExpressではでは「ブラック」または「グレー」の本体色、およびブラックのレザーケースのみオーダーが可能です。AliExpressでの購入方法はこちらをご覧ください。カバーと一緒にオーダーすることでフォロワー価格での提供も得られると思います。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): Shanling M5s / Shanling M5s専用レザーケース


■使いやすいコンパクトさと高いビルドクオリティ。使いやすく直感的な操作性

Shanling M5s」のパッケージは日本語を含めた各国語の表記がされたボックスとなっています。付属品はシンプルで、本体、充電・データ転送用USBケーブル、説明書、保証書。といった内容です。
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本体のビルドクオリティは今回も非常に高く、また従来モデルより多少大きくなったものの、ホールドしやすいサイズ感でとても使い勝手の良さを感じます。
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特にM3sとのサイズ差はとても僅かですが、画面が大きくなりタッチパネルになったことでかなり使用感が向上した印象がありますね。またmicroSDスロットは「M0」同様にラバー製のカバーでフタがされるようになりました。
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メモリーカード挿入後にライブラリ更新のため曲データのスキャンをかけるのは従来と同じ仕様です。大容量のカードに多くの曲を入れている場合は数分程度スキャンに要します。
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タッチパネル式となったことで従来の本体上部の電源ボタンはなくなり、右サイドのホイールを長押しで電源ボタンになります。また「M3s」でみられた「無理矢理バランスを実装した」感ありありのプラグ位置のずれは「Shanling M5s」ではなくなりました。
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オプションのレザーケースは非常に薄い素材で作られており、装着した状態でも操作感には違和感はありません。「M3s」のケースがかなり使いづらかったため、今回はかなり改善されたと感じます。タッチパネルとなったことで、より直感的な操作が可能になり、マニュアルなしでも操作に戸惑うことはほとんどありません。またファイル名での再生の場合、フォルダの並び順が「Shanling M5s」ではかなり改善されています。
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再生画面でスクリーンをタップするとサブメニューが表示され「再生設定」に移動することができます。また横にスワイプすることで歌詞表示(歌詞データがある場合)および曲データ情報が確認できます。
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■解像度の高さ、ノイズの少なさが際立つ正統進化したサウンド。自然な印象の音質傾向が心地良い。

Shanling M5s」の音質傾向はまさに「M3s」の正統進化版、という印象そのもので、音質面のクオリティについてはアンダー500ドル、または国内での販売価格を予想し6万円程度のDAPと比較してもトップレベルのクオリティを実現しています。まずなんと言っても解像度の高さとノイズの少なさはこのクラスのDAPとしては特筆するレベルです。もととも「M3s」でもかなり敏感なイヤホンでもホワイトノイズを全く感じず、コンパクトプレーヤーとは思えない音域の広さが特徴的でしたが、「Shanling M5s」ではさらにS/Nが向上したことでダイナミックレンジが拡大し上から下までより明瞭なサウンドを楽しめるようになりました。
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音の傾向はナチュラルでAK4493EQにDACがグレードアップしてもAKM製チップらしさは感じます。ESS系DACチップのちょっとメリハリのある音と比較すると彩りや派手さに欠ける印象を持つかもしれませんがどのようなキャラクターのイヤホンやヘッドフォンとも組み合わせやすい、心地良く「使いやすい音」だと感じます。
またM3sでは比較的ハイグレードなイヤホンやヘッドフォンと組み合わせたときに僅かに感じた高域の粗さはかなり解消され綺麗に伸びるようになりました。ただコンパクトプレーヤー的な「軽さ」は重低音で感じる部分はやはりあります。この辺はアナログ回路部分の要素が大きいため、「Shanling M5s」となっても難しい部分なのだと思います。

Shanling M5sとはいえ駆動力の点においては、ShanlingのDAPはコンパクトながら総じて高く、鳴りにくいイヤホンやヘッドフォンでも通常の利用では過不足ない出力が確保出来ます。「Shanling M5s」では、さらにバランス接続での出力が強化されましたが、印象としては「パワフル」というよりは自然にゲインがあがっていくという感じです。そのためアンプモジュールを交換できる「FiiO X7 MkII」や「iBasso DX150/200」などのDAPのようなパワフルなアンプを使って力強いサウンドを楽しむ、という使い方には向きません。ただ屋外で普段使いのアイテムとしては苦手の少ない汎用性の高いサウンドと使い勝手の良さは大きく活躍しそうです。


■タッチパネルの直感的な操作性。ワイヤレス機能はレシーバー用途で使いたい

ちなみに操作性については到着してからファームウェアのバージョンアップが一度あり、細かい問題点がフィックスされました。現在は多少タッチパネルによるもたつきはあるものの動作自体は安定してます。メニューは横にスワイプすることでさらにライブラリを絞った再生が利用できます。
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またAndroid OSのDAPの用に上の方からスワイプするとクイックメニューの画面を表示できます。
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再生画面からも入ることが出来る「再生設定」の画面ではゲイン調整やギャップレス再生、フォルダ間移動の有無、再生モードの変更などが選べます。またM3s/M2s同様に搭載されているデジタルフィルターやイコライザもこのメニューから変更できます。

システム設定メニューでは各種モード設定などが行えます。「電源管理」ではスリープタイマーの設定、「USBモード」はPC/Macに接続時のマスストレージモードとDACモードを切り替えます。「ボタンロック」をONにすると画面オフのときのロック動作を設定できます(ロックのON/OFFはクイックメニューで変更可能)。その他ライン出力モードの変更や、USBトランスポート時の音量固定化の有無などがあります。
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USB-DACモード、USBトランスポート(外部USB-DACとの連携)については、従来モデルの機能を踏襲しており、詳細については過去記事の「M3sのレビュー」および「M2sの活用編」にて紹介していますのでよろしければ併せてご覧ください。

あとワイヤレス機能については従来のBluetooth機能に加え、Wi-Fiの利用が可能になりました。Bluetooth機能は超コンパクトモデル「M0」で搭載された機能をほぼ踏襲していて、Bluetoothイヤホンやヘッドフォン、スピーカーへの出力はもちろん、スマートフォンからの「レシーバー」としても「LDAC」を含め各種コーデックを使用して接続できる仕様となっています(Bluetoothで利用できる機能の詳細については「M0のレビュー」にて紹介しています)。
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さらにWi-FiでLAN内のアクセスポイントに接続することで「AirPlay」および「DLNA」レシーバーとして「Shanling M5s」が使用できるようになります。iPhoneからのApple Musicなどのストリーミングコンテンツを「無劣化コーデック」を使用するAirPlayでリモート再生できるメリットは大きいですね。AirPlayの場合、送り側の曲情報やカバーアートも表示されます。
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またBluetoothの「レシーバー機能」も「M0」では主に外出時にイヤホンを疑似ワイヤレス化する用途がメインでしたが、再生能力が大幅にグレードアップしている「Shanling M5s」の場合は「スマートフォンからのサウンドをよりよい音で聴く」という本来の目的に向いているDAPといえるでしょう。
最近はTWS(True Wireless Steleo)イヤホンも含め、高音質なワイヤレス製品も増えてきましたがこれらのワイヤレスイヤホン・ヘッドフォン用のプレーヤーとしては「Shanling M5s」は再生できるファイルの種類以外は「M0」とほぼ同じですので、どうせならばDAPとしての実力を発揮できるレシーバーモードで高音質な有線イヤホンやヘッドフォンで利用したいところですね。


Shanling M5sというわけで、個人的にも「待望のモデル」だった「Shanling M5s」についてざっくりと紹介しました。記載の通りメーカー(Shanling)は日本市場への投入を発売前から念頭に置いて設計・製造している製品であることは間違いありませんが、どうも国内版の登場は微妙な状況のようです。「Shanling M5s」については技適はすでにクリアしてますが、今後のファームウェアのバージョンアップ等により機能面で解決すべきポイントがあるのかもしれません。あとは、おそらく国内投入した場合、ソニーの「ZX300」あたりと販売価格が競合する(場合によっては逆転する)しそうな点などもネックになっているのかもしれませんね。安定性の向上など、まだ少しファームウェアのバージョンアップの余地はありそうですので、さらなる改善を進めて国内でも購入できる日が来るとよいですね。