NICEHCK N3


こんにちは。今回紹介するのは「NICEHCK N3」です。いつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」のオリジナルイヤホンの最新モデルで、「10mm デュアル カーボンナノチューブ振動板」ダイナミックドライバーに加えて7層「ピエゾセラミック」ドライバーの3ドライバー構成のハイブリッドイヤホンです。
NICEHCK N3NICEHCK N3
NICEHCK N3」が搭載する2種類のドライバーのうち、カーボンナノチューブのダイアフラム(振動板)というと以前のJVCのイヤホン等で採用されており、最近の中華イヤホンではLZ系の「SEMKARCH」ブランドのシングルダイナミック構成のイヤホンを思い出します。カーボンナノチューブの素材特性から、このダイヤフラムは解像度が高く、クリアで音域の広い傾向があると言われます。「NICEHCK N3」ではデュアルダイヤフラムの構成で主に中低域を担当する設定となっています。
そしてかつてラディウスのイヤホンなどでも見かけた「ピエゾセラミック」圧電素子をダイヤフラムを高域用のツィーターとして搭載。微弱な信号にも振動するピエゾセラミックドライバーはBAドライバーも凌駕する解像度と超高域に強い特徴があります。
NICEHCK N3NICEHCK N3
ハウジングはCNC加工されたアルミニウム合金製でちょっと好みの分かれそうな独特なシェル形状が印象的です。MMCXによるリケーブルにも対応します。「NICEHCK N3」のインピーダンスは55Ω、感度は100dB/mWとこのクラスのイヤホンとしては比較的「鳴りにくい」仕様です。このように様々な面で「玄人向け」感がプンプンするイヤホンで、はっきり言って「初心者お断り」的な相当にマニアックなイヤホンだというのが見てとれますね(笑)。
NICEHCK N3NICEHCK N3
とまあ、このようにいろいろ「渋すぎる」マニアックさにあふれる「NICEHCK N3」ですが、このままではあまり売れないと思ったのか(^^;)、AliExpressで購入の場合、本体価格に「+1ドル」または「+5ドル」でオマケをつけてくれるセット販売を行っています(期間限定です)。
NICEHCK N3NICEHCK HB1NICEHCK CT3
NICEHCK N3」のイヤホン本体の表示価格は 59ドル で、フォロワー値引きにより 45ドル で購入が可能です。さらに「+1ドル」のオプションで「NICEHCK HB1」apt-X対応MMCX Bluetoothケーブルがオマケで付属し、「+5ドル」のオプションでは「NICEHCK HB1」に加え、新しい8芯高純度銅線ケーブル「NICEHCK CT3」の2個が付属します。値引き後の価格では「+5ドル」のオプションとセットでも50ドルですからお得感はかなり高いですね。
AliExprss(NiceHCK Audio Store): NICEHCK N3 / 「+1ドル」「+5ドル」オプション

オプションの表示価格は意図的に高くなっていますので、N3本体と一緒に「+1ドル」または「+5ドル」のどちらかを一緒にカートにいれ、Message欄に自身のTwitterアカウント、または「bisonicr」のキーワードを入れ、必ず「支払いを保留」してオーダーしてください。HCKから値引きをされてから支払いを行ってくださいね。また、AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらをご覧ください。

またAmazonの「NICEHCK」では6,600円で販売されています。
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK F3


今回私は「+5ドル」のセットでオーダーしましたので、イヤホン本体と「NICEHCK CT3」ケーブル、「NICEHCK HB1」Bluetoothケーブルがセットで届きました。「HB1」はHCKのケースに入って届きましたので、ついでに「HCKケース付き」にもなりました(^^)。
NICEHCK N3NICEHCK N3
NICEHCK N3」のパッケージ構成はイヤホン本体およびMMCXケーブル、イヤーピースは装着済みのグレーのMサイズと白いシリコンイヤピース(S/M/Lサイズ)。
NICEHCK N3NICEHCK N3
NICEHCK N3」のアルミ合金製ハウジングはちょっと変わった形状をしていますが、装着性自体は良好で比較的どのような耳の形状でも困ることはないでしょう。


■超個性的ながら、「好みに合え」ば粒立ちの良い中高域メインのサウンドがやみつきになるかも。

NICEHCK N3」の音質傾向は低域は少なめの中高域寄りのサウンド。周波数特性はフラット寄りですが実際はかなりドライバーの個性が強く、一般的なフラット傾向の音とは相当にかけ離れた印象です。全体的にデジタルアレンジを行ったような人工的な音で、粒立ちが良く非常に細かい音まで実感できる印象です。特に高域および低域の解像度の高さは特筆すべき部分で、カーボンナノチューブとピエゾセラミックという2種類の特殊なダイナミックドライバーの傾向がはっきりと現れる部分ですね。
ただ開封直後は少し低域のバランスが悪く籠もりがちな印象で、このイヤホンが「本気を出す」ためにはかなり長時間のエージングが必要となります。AliExpressのHCKの販売ページでも「100時間~200時間」の鳴らし込みが必要な旨の記載があります。200時間程度の長時間エージングを行うと低域の量感が一気にアップし、各ドライバーが「頑張ってるな」という感じになります。それでも多くのイヤホンと比較するとやはりサウンドバランスはかなり個性的(というかちょっと極端)で、なんというか、マニアが聴きたい音「特化型」イヤホン、みたいな印象を感じなくもないですね(^^;)。

NICEHCK N3NICEHCK N3」の高域はピエゾセラミックのツィーターが生み出す高解像度の音で、バランスとしては結構強め。約200時間程度エージングにより低域の量感がアップすることで、相対的に強さは抑えられ、「KZ ZS6」のような極端な刺さりはありません。とはいえ、強すぎる高域が苦手な方には結構シャリ付きが強く刺激を感じやすい音ではあると思います。シャリ付きを感じやすい4kHz以上の音に周波数特性的に谷が少なく、さらに10kHz以上の高高域にピエゾらしい盛り上がりがある傾向も影響していそうですが、逆に普段高域の明瞭感や伸びに不満を感じている方にはこの価格帯のイヤホンでは「NICEHCK N3」でしか聴けない、他にはない響きのある伸びと粒立ちの良さを感じる事が出来ると思います。

低域はエージング前は量感は少なく、再生環境によっては僅かに籠りを感じる場合もありました。しかし長時間エージング後は低域の量感もかなりアップし、それでも全体的には少なめではあるものの比較的バランスの良いサウンドになります。デュアル構成のカーボンナノチューブの振動膜を中低域に振っていることもあり、軽めの印象ながら解像度は非常に高く個々の音をしっかり描写している印象があります。ただ相当に人工的な音のため、好みはかなり分かれそうです。

NICEHCK N3そして、中音域も明瞭感がありますが、低域同様にかなり人工的なサウンドで、マルチBAの情報量多さやTFZなど寒色系のダイナミックドライバーのような硬質なサウンドとも印象が大きく異なります。最近レビューしている中華イヤホンのなかでも増えてきていますが、最近の洋楽ポップスやEDMなど打ち込み系のデジタルサウンドなどとの相性にフォーカスしたマスタリングを感じます。これらの曲ではとてもダイレクト感のある印象で1音1音が非常にクリアに実感できると思います。いっぽうで左右に広がる響きのある音場も心地良く感じると思います。いっぽうでスタジオレコーディングやライブ音源とは相性がかなり悪く、特に奥行きの表現でかなり不自然な定位に違和感を持つ場合があります。ここまで特定のジャンルにフォーカスしたイヤホンも珍しいかもしれませんね。
そのため合わない人には全く合わないイヤホンではあるものの、聴いている曲の嗜好が合えば、この価格では他にないマニアも納得のサウンドが手に入ると思います。

なお、「NICEHCK N3」をAliExpressで購入する場合、現時点では「+5ドル」で「NICEHCK CT3」8芯 高純度銅線ケーブルが付属します。これはHCKの「CT1」同様に比較的中低域に厚みが出るタイプのわかりやすい傾向の銅線ケーブルで、いっぽう「CT1」より細い線材を編み込むことで取り回しがかなり向上しています。このケーブルを「NICEHCK N3」と組み合わせることで「NICEHCK N3」の個性的サウンド自体は変わらないものの、高域のシャリ付きがかなり改善され、中低域の厚みと音場感が向上します。さらにイヤーピースを「final E」シリーズや「RHA」のイヤーピースなど中低域のイン賞与良くするタイプのイヤーピースと組み合わせることで、よりサウンドをグレードアップできると思います。
NICEHCK N3NICEHCK N3
さらにBluetoothケーブルの「HB1」はちょっとHCKの在庫処分感はなきにしもあらずですが(^^;)、いちおうapt-Xに対応しており、中低域が厚めの傾向のケーブルですので「NICEHCK N3」との相性は良いと思います。ただ少しせっかくの解像度の高さや粒立ちの良さが失われるのは残念ですね。


というわけで、「NICEHCK N3」はけっこうクセが強く人工的なサウンドで、好き嫌いがハッキリと分かれそうなイヤホンですが、サウンドクオリティ自体は非常に高く、好みに合致した場合はかなり気に入るイヤホンになるのではと思います。

そういえば「中華イヤホン」らしさ、というか醍醐味みたいなものに「なぜそれを製品にした?」みたいな中華イヤホンでしか存在し得ない「変態性」というがあったなと思います(笑)。それはデザイン的な奇抜さだったり、低価格イヤホンなのに非常識過ぎるハイスペックだったり、と、いろいろな驚きがあったのですが、なんというか次々と新しいモデルが出るなかでかつては「変態的」と思えた要素にもあまりインパクトを感じなくなってしまった、いわば「中華イヤホン」的なものに慣れてしまっている気がします。
そういう意味では「マニア意外には全く響かない仕様的な変態性」をもち、特定のジャンルや好みに全力で振り切った「変態サウンド」ともいえる「NICEHCK N3」はショップブランドの製品だからこそ販売できただろう謎の魅力を感じます。HCKのオリジナルイヤホンは最近の「普通に良い音」になってきた中華イヤホンの世界のなかで、マニア向けの「狙った」製品を出し続けている結構希少な存在となっているのかもしれませんね(^^;)。