TRN V30

こんにちは。今回は「TRN V30」という2BA+1DD構成の低価格ハイブリッドイヤホンの紹介です。中国の低価格イヤホンのブランド「TRN」の製品はこれまでも毎回紹介してきていますが、製品ごとに形状、音質傾向など全く一貫性がないため、次は何が出てくるか分らない「びっくり箱」的な存在でもありますね。ただほとんどの製品で外見上の「オリジナル」が存在する「とりあえず見た目パクっておこう」的アプローチという意味では極めて一環しているかもしれません(笑)。
TRN V30TRN V30
これまで最初のモデルの「V10」(2BA+2DD)、「V20」(1BA+1DD)から伝説的失敗作の「V60」、逆に今も高評価の「V80」と一気に数字が飛んでいたため今回の「TRN V30」間を埋めるような感じですね。おそらく「V80」より下のグレードということでこの辺のモデルナンバーにしたのかな、という気がします。
TRN V10TRN V20TRN V80
今回の「TRN V30」は2BA+1DD構成のハイブリッドで、見た目は・・・まあ「KZ」の「AS10」あたりを盛大にパ○リにきてますね(^^;)。ステム部分の高域を担当する2BAとハウジング部分の10mmダイナミックの構成は同様の構成でハウジング部分がパッケージ一体型の2DDを搭載する「V10」および「V80」のデザインを踏襲しており廉価版的な印象を受けます。いっぽうで「AS10」をパクるにあたりフェイスプレートがネットワーク基板となっており抵抗により2BAの出力をコントロールする仕様となっています。
TRN V30TRN V30
それにしても毎回言えることですが、TRN製イヤホンの「CG盛り過ぎ」じゃねーか問題は「TRN V30」ではさらに凄まじいですね。実際の製品とのギャップはなかなかのものです(汗

とはいえ「TRN V30」はアマゾンでも3千円台の価格設定となっており、KZの最新モデルと比べると割安に設定されているのは嬉しいところです。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): TRN V30


■思ったより「似てない」?コンパクトなハウジング。ただビルドクオリティは・・・

TRN V30」のパッケージは「TRN IM1」から採用されているちょっと豪華版になったボックスにはいっています。KZもAS06以上のグレードだと黒箱で少しパッケージが豪華になっていますので、それに対抗しているのかもしれませんね。
TRN V30TRN V30
パッケージ内容はいつも通り、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)と説明書・保証書などの最小限の構成。
TRN V30TRN V30
今回「透明」モデルが届きましたが、前述の通りCG画像とのギャップはなかなかの激しさがあります。もっとも「TRN V30」についてはアマゾンの販売サイトでも各セラーとも製品写真も載せているので「実物は全然違う」とはならないと思いますが、やはり写真通りの「安っぽさ」を感じてしまう見た目と、どういう基準で品質管理票を同梱してるのかかなり微妙な気分になる「雑な作り」は結構残念ですね。また「TRN V10」でもありましたがステム部分のメッシュパーツの接着が緩い個体も多いようでイヤーピースを外したら一緒にメッシュパーツもはがれた、というネット報告も多くあります。ちょっと取り扱いには気を遣いますね。
TRN V30TRN V30
ハウジングは非常にコンパクトで耳に合わせやすいデザインとなっています。デザイン的にはKZの「AS06」「AS10」よりはひとまわり以上小さく、実際に並べると結構異なる形状であることがわかります。ネット上での報告を見るとステムの角度により耳に合わないという方も結構いらっしゃるようですが、個人的には装着性はとても良好でした。ケーブルはTRNのいつもの銅線ケーブルでこのケーブルはKZの付属品より音質的にも良いものですが、今回は本体の2pinコネクタがちょっとキツめで取付けに若干の注意が必要でした。またカラーは透明よりブラック(透明黒)のほうがCGとの違和感は少なく安っぽさはあまり感じないようです。


■中高域寄りでまとめつつ万人受けしやすく聴きやすいバランスのサウンド

TRN V30TRN V30」の音質傾向は高域の見通しが良いハッキリめのドンシャリで、非常に聴きやすく低価格イヤホンとしてはかなり良いサウンドだと思います。1BA+1DDの「V20」が中低域寄りだったのに対して「V30」は中高域の印象を良くした弱ドンシャリ傾向の低価格イヤホンという感じです。4千円弱という価格設定だとやはり最近のKZとの比較で選びづらくなりますが、3千円そこそこ、または2千円台の価格で購入できれば、デザインやビルドクオリティはちょっと目をつむってかなりお買得なサウンドといえると思います。音質面の完成度についてはいちおう「当たり」のイヤホンといえるでしょう。

高域はBAらしい主張の強い明瞭でハッキリした音ですが、ネットワーク基板による出力コントロールもあって刺さり等の刺激は大きく抑制され非常に聴きやすいバランスとなっています。
中音域は特に凹むことなく鳴り比較的フラットな印象のサウンドです。全体的なバランスはよくボーカルも近めで定位します。ただ解像度は価格なりという印象ですので、音数の少ない曲のほうがボーカルの余韻やギターなどの音を楽しめると思います。音場は普通または曲によってはやや狭い印象。
低域はおそらく「IM1」などでも採用されているタイプで以前のKZのハイブリッドよりは控えめな印象ですが十分な存在感があります。重低音は控えめで少し軽い印象を受けるため低域好きの方には多少物足りなさを感じるかもしれません。

TRN V30標準ケーブルでの「TRN V30」の全体的な印象としてはいかにもハイブリッドな繋がりの強引さを感じる部分はありますが、中高域が綺麗でとにかく「聴きやすい」という印象のイヤホンです。そのためじっくりリスニングするというよりは少しボリュームを下げ気味でBGM用に使うほうが向いていそうです。
この価格帯のハイブリッドの中華イヤホンは私のブログでも多く紹介していますが、同じ「2BA+1DD」の低価格イヤホンであえて比較すると「KZ ZSR」よりは少し上、「RevoNext RX8S」よりは結構下、という印象です。「良いイヤホン」だとは思いますが反面、万人受けしやすい「無難な音に作ってる」という印象もなきにしもあらずです。ただ、「TRN V30」をリケーブルしてみると実はかなり印象が変化するイヤホンのようです。この辺については改めて深掘りしたいなと考えています。


というわけで、「TRN V30」はビルドクオリティに相変わらずの甘さがあるものの音質面のバランスは比較的よく、マニアの方々であれば持っていても損は無いイヤホンだと思います。中小ブランドの中華イヤホンの場合、話題性の意味で「見た目をパクる」というのはマーケティング上必要なことかもしれませんが、「購入しやすい低価格で音の良いイヤホン」となるとやはりもう少し違うアプローチは出来なかったのかな、という気持ちになりますね。これは「ZS5」の大成功以降のジレンマなのかもしれませんが・・・
「TRN」もこういったZS5以降のKZからスピンオフした人が作ったブランドであることは知られています。個人的には、中華イヤホンの「パクリ文化」そのものはキャラクターとしてはアリだと考えていますが、実際に選択肢が増えている中でユーザーも各メーカーまたはブランドの「こだわり」や「思いの強さ」をしっかり見ている、ということも「評価の高い製品=売れる製品」を作る上では意識して欲しいなと今後の展開も期待したいところではありますね。

※リケーブルなどの情報を含めた「補足編」を書きました。よろしければ併せてご覧ください。
→ 「TRN V30」補足編。とりあえず気になったのでカラバリをオーダーしてリケーブルも試してみました【レビュー】