KZ ZSN Pro

こんにちは。今回紹介するのは「KZ ZSN Pro」です。低価格中華イヤホンを名実ともに牽引しているブランド「KZ」(Knowledge Zenith)の最新1BA+1DDハイブリッドモデルですが、位置づけとしては製品名のとおり「KZ ZSN」のグレードアップ版、という位置づけになっています。今回も完成度は非常に高く、音質面も2千円台の価格設定のイヤホンとしてはかなり高いレベルにまで向上しており、リケーブルでの変化も含め、普段使いとしてかなりお勧めなイヤホンだと思います。
というわけで、今回も例によって「前編」「後編」の2回に分けてのレビューとなります。
KZ ZSN Pro
「KZ ZSN」は同社にとって最初のハイブリッドモデルとしてKZブランドを幅広く認知させた「KZ ZST」の実質的な後継モデルとして登場し、その価格からは想像できないようなビルドクオリティの高さと、マニア以外の幅広い人たちに訴求できるデザインおよび聴きやすくまとめられたサウンドで一躍人気モデルとなりました。
→ 過去記事: 「KZ ZSN」 この価格でこの品質&この音質! エントリー向けに最適な「KZ」低価格中華イヤホンの最新1BA+1DDハブリッドモデル【レビュー】

そして今回の「KZ ZSN Pro」ではドライバー構成は1BA+1DDと「ZSN」と同様ですが、採用しているダイナミックドライバーがグレードアップし、音質面でもさらに1ランク上のクオリティに進化しています。またこれに併せて「KZ ZSN Pro」ではフェイスパネルのデザインも変更が加えられています。

KZ ZSN ProKZ ZSN

従来の「KZ ZSN」もこれまでのKZ製イヤホンで採用されてきた10mmダイナミックドライバーを一新したチタン製振動板を使用した自社開発ユニットを使用していました。今回の「KZ ZSN Pro」では「ZSN」とは異なるデュアル磁気回路ダイナミックドライバー(「CCA C10」で採用されたドライバーと同様と思われます)にアップグレードし、大幅に反応性を向上。KZのサイト記載によると「一般的な13mm~14mmサイズの大型ドライバーに匹敵する」表現力を10mmの新ドライバーで実現しているとのこと。この辺の表現は12mmデュアル磁気回路グラフェンドライバーを採用したTFZの代表モデル「(初代)KING」や最近だと「T2G(T2 Galaxy)」あたりを意識した記述とも取れますね(^^)。

KZ ZSN ProKZ ZSN Pro

ダイナミックドライバーの背面には出力をコントロールする抵抗が付けられており、最適なハイブリッドサウンドを実現できるよう調整されています。またバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバー部分でKZ製ハイブリッドで採用され続けている高域ツィーターユニットの「KZ30095」も以前より改良が加えられたロットが使用されているようです。

このように様々な改良が加えられた「KZ ZSN Pro」と「ZSN」の価格差は数ドル・数百円程度で今回もアマゾンでは2千円台の価格内に収まっています。カラーは「ブルー」「グレー」「パープル」の3色。今回も(個体差確認のため)私は各色を別々のセラーにオーダーしました。

KZ ZSN ProKZ ZSN ProKZ ZSN Pro

前編で紹介する最初に届いた「グレー」はアマゾンのL.Sオーディオになります。
Amazon.co.jp(L.Sオーディオ): KZ ZSN Pro

到着した「KZ ZSN Pro」のパッケージは最近のKZではおなじみのラインアート仕様のシンプルな白箱。パッケージ構成は本体(Mサイズの専用イヤピース付き)、ケーブル、イヤーピース(S・M・L)、説明書・保証書など。最初から装着済みのMサイズのイヤーピースはZSN専用のものですがそれ以外はKZではお馴染みのタイプ。またケーブルはどの本体色でも濃いブラウンのタイプのケーブルが付属します。
KZ ZSN ProKZ ZSN Pro
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KZ ZSN Pro」のシェルサイズは既存の「KZ ZSN」と同一ですがフェイスプレートがアルミ合金(Aluminum Alloy)から亜鉛合金(Zinc Alloy)となり「CCA C10」のような重量感のあるハウジングとなりました。いっぽうステム部分は「ZSN」同様のアルミ製で「ブルー」「パープル」はシルバー、「グレー」はゴールドのカラーに仕上げられています。
KZ ZSN ProKZ ZSN Pro
ステムが太いため、形状的に耳に合わないという方もいらっしゃいますが、多くの場合は装着性は比較的良好だと思います。またイヤーピースは私のブログで毎度紹介しているJVC「スパイラルドット」やAZLA「SednaEarfit」、Acoustune「AET07」といった開口部が広くフィット感の高いタイプとの組み合わせが良いのではと思います。


■「ZSN」より大きくアップグレードした、ポテンシャルを感じるサウンド。

KZ ZSN ProKZ ZSN Pro」の音質傾向はドンシャリですが最近のKZの「ボーカル寄りに聴きやすいバランスにまとめる」傾向がより顕著に表れた製品だと言えると思います。とはいえ従来の「ZSN」とはかなり印象の異なるサウンドで、中高域がよりスッキリした明瞭な印象となり、ボーカルなどの中音域がより近く濃い音になることで、「ZSN」では緩めに感じた音像がかなりくっきりと描写されるようになりました。「ZSNは見た目は○だけどサウンドは・・・」と思っていた方も「KZ ZSN Pro」では「これなら結構いいんじゃない?」と思えるくらいには変化できていると思います。個人的には「ZSN」と比較し、同じ2千円台の価格帯でここまでグレードアップできれば十分に満足できるレベルと感じます。

KZ ZSN Proただ手放しで「KZ ZSN Pro」のほうが「ZSN」より優れているかというと、人によっては評価が分かれそうな点もあります。従来の「ZSN」は良くも悪くも「万人受け」しやすい中庸なチューニングとなっており、ジャンルを問わず楽しめるだけでなくオーディオに全く興味のない方でも良く感じるイヤホンでしたが、「KZ ZSN Pro」ではサウンドバランスを多少変更しており、「CCA C10」などにも通じる少し暖色系寄りの中低域は曲によってはキレやスピード感が弱くなったと感じる場合もあります。また再生環境によっては低域が強めに感じるなど、よりリケーブルによるアップグレードの余地が大きくなっている点も特徴かもしれません。

KZ ZSN Pro」の高域は従来のKZのイヤホンに比べるとこれまでのような「粗さ」を感じない普通に聴きやすい音になっている印象です。実際「KZ30095」BAドライバーの改良も効いているのかもしれませんね。「KZ AS06」などと比べると天井は低めで伸びも一般的すが「ZSN」より明るくスッキリした印象で明瞭感が向上しており、ハイハット等も綺麗に聴こえます。ただしZS6系イヤホンのような高域が前面に出るタイプではなく、派手さは感じません。そのためキレの良さを好まれる方には少し物足りないと思うかもしれません。また刺さり等の刺激などは適度に抑制されています。

KZ ZSN Pro中音域は凹むことなく比較的近くで定位します。音場は標準ケーブルでは一般的ですがリケーブルにより多少変化します。「ZSN」と比べ最も大きく変化しているポイントで、全体的に抜けが良くなりより1音1音の描写がしっかりと行われるようになりました。女性ボーカルの高音などの「ZSN」でわずかにぼやけて感じた部分もよりスッキリと明瞭に表現できているのがわかります。音のコントラストがよりハッキリしたことで聴きやすさは大きく向上していますが、高域同様これまでのKZのようなメリハリの強さは感じず、曲によってはやや暖色系寄りとなっています。
そのため標準ケーブルではポップスなどのボーカル曲は相性がよいですが、キレを求める曲ではすこし穏やかすぎる印象を持つかもしれませんね。ただこの点はリケーブルによりメリハリを向上し印象を改善することも可能だと思います。

低域は十分な量感と沈み込みのある音でこの価格のイヤホンとしては質感もまずまずだと思います。締まりも良く、音数の多い曲での表現もしっかりしています。改めてKZが「ZST」以降TFZのイヤホンを参考にしてきていることを実感させるもので、ようやくKZのダイナミックドライバーも比較的初期のTFZのレベルくらいには追いついてきているかな、という印象です。「KZ ZSN Pro」の価格を考えればかなり優秀だと思います。また中高域との分離性も良く、過度に響いて他の音域をマスクすることもありません。ただ標準ケーブルでは曲によっては低域の存在感が他の音域より強く感じる場合もありそうです。


というわけで、「前編」では「KZ ZSN Pro」の聴いた印象を中心に紹介しました。後編ではカラーバリエーションおよびリケーブルでの変化など、大幅に向上した「KZ ZSN Pro」のポテンシャルの高さを深掘りしたいと思います(つづく)。