「NUARL NT01AX」「ZERO AUDIO TWZ-1000」「AVIOT TE-D01d」

こんにちは。今回は初めてのTWS」(True Wireless System:完全ワイヤレス)イヤホンのネタです。この記事自体は4月初旬頃に掲載するつもりだったのですが、本業が立て込んでいたため、随分遅れての掲載となり、そのぶんじっくり聴いての比較となりました。また、この記事は以前くらい前にやった「雑記?」シリーズの続編だったりもします(笑)。
→  【雑記?】 「EarStudio ES100」 「WSKY BT-B19」 スマホを替えたのでストリーミングのワイヤレス化のため色々購入してみました。

TWS, etc.実は前回の「雑記?」を書いていた時点でTWSについても今回紹介する「日本国内で結構人気があって評価も高そうなモデル」を3モデルほど購入していました(人気モデルのため届くまでにしばらくかかったものもありました)。どの製品も思ったより良く、結局いろいろな場面で使用してみましたので、「雑記?」というより、ちょっと比較記事みたいな感じでまとめてみることにしました。
まあ他にもBluetooth用のアイテムとして「Massdrop」で「AR-M100」(あえてDAPとは言わない)を買ってみたりもしていますが、この辺はおいおい、気が向いたら(^^;)。

ということで、今回購入したのは次の3モデルです。人気モデルを適当にチョイスしたらどれもSoCにQualcomm社製「QCC3026」を搭載し、「Bluetooth 5.0対応」「aptX対応」「グラフェン振動膜ダイナミックドライバー」と似たような仕様になってしまいました。どれも中国のODM/EMSのファクトリーで生産していることもあるとおもいますが、既にスペックだけでは差別化が難しく状況が伺えますね。

「NUARL NT01AX」 
※ QCC3026/Bluetooth 5.0/IPX4/aptX, AAC/6mmグラフェン振動膜ダイナミック
NUARL NT01AX2万円クラスの人気TWSのひとつ。私が購入時には各ショップで在庫薄でしたが現在は解消されているみたいです。最近従来の「ゴールドメタリック」に加え、新色の「ブラックメタリック」も発売されました。
ちなみに、下位モデルの「NT01B」「NT01L」はSoCが異なりAAC/SBCまでの対応。NT01シリーズはデザインは基本的には全て同じで、モデルによってカラーリングなどの仕上げで区別している点は「わかるひとにはわかる」という感じで、個人的には好感が持てます。
音質的にはTBI社の「HDSS」技術を採用。バッテリ稼働時間はイヤホン単独で最大7時間(aptX)、ケース充電を合わせて35時間で、こちらも下位モデルより長い仕様となっています。
Amazon.co.jp: NUARL NT01AX 19,440円


「ZERO AUDIO TWZ-1000」
※ QCC3026/Bluetooth 5.0/IPX5/aptX, AAC/グラフェン振動膜ダイナミック
ZERO AUDIO TWZ-1000電設部材メーカー「協和ハーモネット」の展開するオーディオブランド「ZERO AUDIO」が発売したTWS。1.5万円~2万円クラスのTWS製品で「NT01AX」と人気を二分するモデルです。もともとオーディオブラントとして有線のイヤホンでも定評のあるメーカーのTWSだけに他メーカーより音質面での信頼感があるのは強みでしょう。
こちらもQCC3026搭載、グラフェンドライバー使用とこのクラスのトレンドを網羅していますね。デザイン的にはQCYっぽいいかにもTWSという感じの形状ですが、むしろ装着性や使い勝手などの面では安心感があります。バッテリ稼働時間は単独で最大7時間、ケース充電を合わせて25時間という仕様になっています。
Amazon.co.jp: ZERO AUDIO TWZ-1000 15,260円


「AVIOT TE-D01d」
※ QCC3026/Bluetooth 5.0/IPX4/aptX, AAC/6mmグラフェン振動膜ダイナミック
AVIOT TE-D01dSoCに「QCC3026」を採用し、aptXコーデックをサポートしたTWSとしては12,000円程度と比較的低価格に購入できるのが「TE-D01d」です。スペック的には上記の「NT01AX」とほぼ同等でさらに充電ケースは大容量タイプが採用されていたりしています。これにより、単独での最大稼働時間は9時間、ケース充電をあわせて100時間以上という長時間利用が可能。
また、唯一、音背ガイダンスが日本語の女性の声になっているなど日本国内でのニーズに特化した仕様が特徴的。最近発売されたコラボモデル「キズナアイ仕様」など、今後もいろいろコラボモデルが出そうな予感。このようにやたら「マーケティング推し」なのが若干気にはなります。個人的にはパッケージなどで「Japan Tuned」というのをわざわざロゴにして記載してるのは「そこ?」と思っていたり(笑)。
Amazon.co.jp: AVIOT TE-D01d 11,794円


■パッケージングおよび装着性を確認。「NT01AX」と「TE-D01d」は実は兄弟かも??

それでは実際に購入したパッケージを確認してみます。まず「NUARL NT01AX」ですが、イヤーピースのバリエーションが多い点が特徴です。通常のイヤーピース「S/M/L」サイズに加えてSpinFitの専用イヤーピースが付属します。またイヤーウイング(サイドカバー)は大小の2種類です。説明書は詳細でわかりやすいですね。
NUARL NT01AXNUARL NT01AXNUARL NT01AX

つぎに、「ZERO AUDIO TWZ-1000」は、説明書はシンプルですがパッケージで内容が分るようになっておりデザイン性の高さを感じます。この辺はオーディオ製品で慣れている感じがしますね。シリコンカバー(イヤーウイング)はSS/S/M/Lの4種類、イヤーピースはS/M/Lの3種類で装着性についてのこだわりは最も高いモデルだと思います。
ZERO AUDIO TWZ-1000ZERO AUDIO TWZ-1000ZERO AUDIO TWZ-1000

そして「AVIOT TE-D01d」ですが、こちらは大容量のイヤホンケースがなかなかの存在感で他の付属品が下方にギュッとまとめられています。イヤーウイングは2色でそれぞれ大小2種類が付属するいっぽう、イヤーピースはS/M/Lがワンセット。付属品は装着性と合わせて見た目にもこだわっている印象がありますね。
AVIOT TE-D01dAVIOT TE-D01dAVIOT TE-D01d

3つの製品を比べてみると思った以上に「TWZ-1000」は大きいサイズのハウジングであることがわかります。また、フェイス部分のデザインおよびボタンの位置・サイズが大きく違うため気付きませんでしたが、実は「NT01AX」と「TE-D01d」は全く同じサイズ、形状であることがわかります。
NT01AX TWZ-1000 TE-D01dNT01AX TWZ-1000 TE-D01d
「NT01AX」と「TE-D01d」はスペック的な類似点も多く、おそらくこの2モデルは同じ中国のファクトリー(EMSまたはODM先)でそれぞれのブランド向け製品として個別にチューニングをおこなったうえで生産されているのだと考えられますね。ちなみに装着性については4種類のサイズでサイドカバーが選べる「TWZ-1000」はサイズのわりにかなりしっかりと装着でき安定感を感じました。
「NT01AX」と「TE-D01d」は私の耳の場合はイヤーウイングでとりあえず固定できているというかんじです。また「NT01AX」は付属のイヤーピースで合わせることができましたが、「TE-D01d」付属のイヤーピースは全く使い物にならないため、JVCのスパイラルドットを合わせました。形状こそおなじですが、「NT01AX」はより付属イヤーピースによりコストをかけており、装着性を意識しているのに対し、「TE-D01d」はイヤーウイング部分の「カラバリ」など「見た目要素にこだわる」いっぽうで、イヤーピースは「どうせマニアは付属品を使わず交換するだろう」という意図が透けて見える気がします。


■どの製品も人気モデルらしい優れたサウンドながら、製品ごとに異なる音質傾向

「NUARL NT01AX」
全体:■■■■□ / 高域:■■■■□ / 中域:■■■■□ / 低域:■■■□□ / 操作性・接続性:■■■

「NT01AX」のサウンドは3種類のなかでは最もスッキリした印象の中高域が特徴的で、グラフェンドライバーらしい硬質な印象も感じるサウンドは個人的には最も好みかもしれません。操作的にはボタンがサイド近くに寄っている関係で慣れるまでは装着時につい押してしまうことがあったのが難点ですが音質面のクオリティの高さがそれを補ってあまりある印象です。
NUARL NT01AX音質傾向は弱ドンシャリで、聴きやすいレベルにコントロールされてはいるものの、明るくしっかり抜ける高域と、存在感のある低域はオーディオ的にも十分に「使える」サウンドだと感じました。中音域は比較的近くで定位し、伸びの良いボーカルは心地良く聴くことができます。解像度はやや高め。寒色系の音だが金属質な印象は少なく、自然なバランスでどのジャンルの曲も聴きやすいバランスにまとめられています。正直なところ当初TWSは主に音質面で懐疑的で「あくまでガジェット的に楽しむモノ」という意識があったのですが、「NT01AX」とその次の「TWZ-1000」のサウンドでその意識はかなり変わりました。TWSの使い勝手の良さもあり、移動の際や街中での利用頻度が一気にアップしてしまいました(^^;)。
Bluetooth 5.0に対応したHUAWEIの「Mate 20 Pro」でペアリングしていることもあって接続性は非常に良好で、街中での利用や新幹線の移動中などでもノイズで途切れるということはごく稀にあるかどうか、という程度に抑えられています。


「ZERO AUDIO TWZ-1000」
全体:■■■■□ / 高域:■■□ / 中域:■■■■□ / 低域:■■■■ / 操作性・接続性:■■■□□

「TWZ-1000」のサウンドはやはりオーディオブランドとしての裏付けがしっかりしていることもあり、とても手堅い印象を受けます。全体的に中低域寄りの弱ドンシャリ傾向で、低域の質の良さは通常のイヤホンと遜色ない印象を受けます。
ただ操作性は他の2機種よりちょっと間違えやすく、ファームウェアももう少し安定した方が良いかも、と思える場面がありました。他の2モデルはケースにいれると自動的にペアリングが解除されパワーオフ状態になるのに対して、「TWZ-1000」はあらかじめパワーオフしておかないとケースに入れてもペアリングしたまま、ということがあったり、片耳だけパワーオフになっていなくて次に使ったときにすぐにローバッテリーで切れてしまったり、というトラブルを経験しました。
ZERO AUDIO TWZ-1000ただ解像度の高さは他のTWSにはないもので、全体的なバランスの良さも含め音質的な完成度の高さは驚きです。高域は量的に少なめで少し下がって鳴りますが、比較的スッキリしたTWSとしては綺麗な音で、中音域はギターやボーカルの息づかいなど細かい音もしっかり描写できています。こちらも全体的に聴きやすいバランスで、さらにアタックも心地良く、ロックやメタル、アニソンなどを楽しむ上ではは最適なTWSといえるのではと思います。接続性については上記のトラブルにさえ気をつければ十分に良好で「NT01AX」より若干途切れる頻度は多かったものの、十分に実用的な印象でした。


「AVIOT TE-D01d」
全体:■■■□□ / 高域:■■■□□ / 中域:■■■□□ / 低域:■■■□□ / 操作性・接続性:■■■■■

「TE-D01d」は上記の2モデルと比べると、良くも悪くも「完成度の高いガジェット」と感じる製品ですね。全体のサウンドバランスは「Japan Tuned」とわざわざロゴにするだけあって(しつこい)、聴きやすく万人受けしやすいバランスにまとまってはいるものの、もしかすると同じダイナミックドライバーを使っている可能性がある「NT01AX」とは全く異なる印象です。
AVIOT TE-D01d音質傾向は中低域寄りのドンシャリで、低域は厚め、中域のボーカルなども比較的メリハリのある音です。低音域に厚みがあることで響きが良くなり音場感は感じやすくなっていますが、グラフェンドライバーの特徴と活かし、立ち上がりは早く、分離性も比較的良いため中高域が籠もる印象はありません。ただ高域はやや控えめな印象ですね。
「NT01AX」や「TWZ-1000」と比較するとどうしても価格なりの差を感じてしまうのですが、これ自体は屋外を前提としたTWSと考えればとても使いやすくバランスの良いサウンドになっていると思います。音質傾向は全然違いますが、なんとなく中華イヤホンでいうと「KZ ZSN」(Proじゃないほう)を彷彿とさせる製品ですね(笑)。
いっぽうで、操作性については3モデルの中でもっともわかりやすく、ペアリング時に左右でのペアリングで若干の煩雑さを感じるものの、使い勝手は良好です。接続性はBluetooth 5.0での接続だったこともあり、試した限りでは「NT01AX」と同等、という印象でしたが、4.2での接続では「TE-D01d」のほうが「つながりやすさ」に振ったチューニング(代わりにビットレートは落ちやすい)で「TE-D01d」の強みを発揮できる場面がありそうです。


というわけで、今回初めてTWSを取り扱ってみましたが、食わず嫌いとはまさにこのことで、実際に使い始めると特に仕事の移動中などをメインにかなり利用頻度が高くなっています。今回は試験的に相対評価を付けてみましたが、じゃあ普段レビューしている中華イヤホンと比較するとどの程度のサウンド?ときかれると、現時点では3製品とも「5千円以下クラスの低価格中華イヤホン並」といった段階ですね。
人気3モデルをしてようやく「ガジェット」としてではなく「オーディオ」として少し認識できるようになったかな、というのが正直な印象です。ただこの分野は間違いなくものすごい勢いで進化していくはずですし、まだまだ「伸びしろがある」ということだと思っています。ということで、今後もワイヤレス製品についても他のイヤホンレビュー同様な目線で機会があれば紹介していきたいと考えています。