SHIVR NC18

こんにちは。今回は未発売のノイズキャンセリング 3D Wirelessヘッドフォン「SHIVR NC18」の紹介です。今回は発売前の製品サンプルを「L.S オーディオ」さんから提供いただきました。
SHIVR」はノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスヘッドフォンとして、さまざまなテクノロジーを活用し「快適性」にこだわった製品として、開発段階ではKickstarterや日本のMakuakeなどのクラウドファンディングでの募集で目標額を大幅に超えたプロジェクトとして知られています。そのためことをご存じの方も結構いらっしゃるのではと思います。

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SHIVR NC18」は数あるノイズキャンセリングヘッドフォンの中でも特にギミックの集大成的な要素のある製品です。
まず「ANC」モードおよび「3Dサラウンド」モードで有効になるノイズキャンセリング技術には、ヤマハ製の「ハイブリッド Digital ANC(=Active Noise Cancelling)」を搭載しています。これは通常(Feed forward micのみ)の低域のノイズを消す程度の機能とは全く異なる、非常に強力かつ正確なノイキャン機能とのこと。具体的には、ヘッドフォンの外側(Feed forward mic)と内側(Feed back mic)の両方にマイクを搭載し双方の音の差でノイズを性格に検出し、あらゆる環境に適合した高度なノイズ除去が可能になっているそうです。

また、「SHIVR NC18」の最大の特徴である「3Dサラウンド」モードでは、「内蔵ジャイロスコープ」による「独自の3Dオーディオアルゴリズム」によって、通常の2chステレオサウンドを分解し環境シミュレータで三次元的に音を再配置します。また「ヘッドトラッキング技術」により、頭の向きに関わらず音の位置を固定し、さらにヘッドフォン特有の頭の中で音が鳴っている感覚からより自然に近い距離で定位するサウンドを実現しているとのことです。

SHIVER NC18SHIVER NC18
さらにワイヤレスヘッドフォンとしては「Bluetooth 5.0対応」および「aptX /aptX LL /AAC対応」となっていて、まさに全方位的にスペックを網羅した製品といえるでしょう。

このように「スペック盛り盛り」の仕様はガジェットとしてはかなり好きなのですが、いっぽうでこれまではこの手の製品に対して、オーディオとしては人工的に音をいじっている感じがどうも好きになれなかった、というのが正直なところでした。実際、今回の「SHIVR NC18」に関しては、実際に聴いてみて、確かに「3Dサラウンド機能」はガジェット感満載で相当楽しかったもののオーディオ的にはどうかな、という感じでした。しかし、標準の「ANC」モード等ではヘッドフォンとしての音作りについてもかなり真面目に取り組んでいる印象で、オーディオ製品として十分に使えるクオリティをもった製品だと感じました。
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SHIVR NC18」はバイオニック・ダイヤフラムを使用した40mmダイナミックドライバーを搭載し、大手オーディオメーカーのベテランエンジニアによるサウンドチューニングが行われてるようですね。

SHIVR NC18」は600mAhのバッテリを搭載し2時間の充電で最大25時間(ANC有効)の利用が可能とのこと。またモードスイッチにより、「ANCモード」「Ambient Sound モード」「3D サラウンドモード」を選ぶことができます。
※ちなみにこれらの仕様はKickstarterとMakuakeで記載内容が異なりますが、今回はKickstarterおよび公式サイトにリンクされたショップでの記述に準拠しています。今後製品版で仕様が異なった場合は適時修正させていただきます。

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SHIVR NC18」のカラーは「ブラック」と「ガンメタルグレー」の2色が用意されるようです。
現時点で「SHIVR NC18」の販売についての詳細は不明です(KickstarterおよびMakuakeの記載では販売時価格は 199ドル、または 22,000円 の予価設定となっており、Makuakeでは早期割引での支援募集を継続中です)。今後、詳細についてはサンプル提供をいただいたL.Sオーディオさんから実際の販売情報がでましたら追記させていただきます。


■耐久性のある樹脂素材で軽量化。柔らかい装着性で長時間の利用も快適。

今回は発売前のサンプル品ということで、無地のボックスで届き、中に入っていたしっかりしたヘッドフォンケースの中には本体、充電用USBケーブル、AUX接続用のステレオケーブルのみが同梱されていました。
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ヘッドフォン本体はの素材はプラスチック(SABIC C1200HF)ですが、強度に優れ、しっかりしたビルドクオリティで安っぽさはありません。

SHIVR NC18」はオーバーイヤータイプのヘッドフォンで、イヤーパッドの外周はドライバーと同じ円形ですが、内周部分は楕円形。プロテインレザー製のパッドと柔らかい低反発素材のクッションは非常にソフトな肌触りで耳全体を優しく覆ってくれる印象です。また重さを量ってみると294gと比較的軽量で長時間の装着でも疲れなさそうです。
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私は多少(?)頭のサイズが大きく、ヘッドフォンのメーカーによっては側圧がかなりキツく感じる事もあるのですが、「SHIVR NC18」の側圧は柔らか目ながらしっかりホールドする感じで好感が持てます。ヘッドバンドのスライダーも十分に余裕が有り(頭が大きくても)長さが足りない、ということはありませんでした。またヘッドバンド頭頂部の内側、頭がフィットする部分はイヤーパッドと同じプロテインレザーと低反発クッションで覆われており、心地良い装着感になります。
イヤーハンガーは内向きに90度、外向きにも15度程度回転するため収納性の良さだけでなく装着時により耳にフィットした装着感が得られるようになっています。

SHIVR NC18SHIVR NC18
装着したときに右側が「音量(+-)ボタン」と「再生/停止ボタン」、左側が「電源スイッチ」と「MFC(モード切替)ボタン」となっています。電源がボタンではなくスライド式のスイッチになっているのは誤操作防止の上でも個人的には有り難い部分です。私の場合、複数のワイヤレスデバイスを使っている関係もあって、ボタンレイアウトを混同してしまい操作ミスをすることも少なくないのですが「SHIVR NC18」のボタンレイアウトはとても直感的で間違えにくくなっていると思います。なお、AUXポートは左側、USB Type Cコネクタ仕様の充電ポートは右側にあります。
電源をONにすると、ハウジング部の「SHIVR」ロゴがブルーに光るのがちょっとカッコイイです(^^)。


■独自性が光る、3種類のサウンドモード+便利機能?

今回、HUAWEIの「Mate 20 Pro」とペアリング(apt-X)して聴いてみました。iPhoneの場合はAACでのペアリングとなります。「Mate 20 Pro」は「Bluetooth 5.0」に対応しているため、「SHIVR NC18」とのペアリングにおいて4.2対応のスマートフォンやプレーヤーより接続性は向上していると思いますが、切れにくさなどの違いは未確認です。
SHIVR NC18SHIVR NC18

また付属のオーディオケーブルを接続すると自動的にワイヤレスモードはOFFとなり有線ヘッドフォンとして使用できます。有線のときは電源を入れなくても通常のヘッドフォンとして使用できますが、電源をONすることでBluetoothと同様にノイズキャンセルほかすべてのモードが使用できます。

SHIVR NC18」は3種類のサウンドモードを持っており、左側の「MFC」ボタンで切り替えることができます。マニュアルがないので各モードは推測ですが、まあ合ってると思います(^^;)。各モードの違いは電源スイッチのLEDの状態で確認できます。
今回手元に届いたサンプルでは、まず電源ONの直後「ANC」モードとなり、以下次のように切り替わります。
SHIVR NC18(「ANC」Mode)SHIVR NC18 ( 3D Surround Mode )SHIVR NC18 ( ANC OFF Mode )

①「ANC」モード(電源LED:グリーン)
※電源ON直後はこのモード
②「3Dサラウンド」モード(電源LED:ブルー)
※「ANC」モードからMFCを2回押しで移行。もう一度「MFC」を押すと「ANC」モード(グリーン)に戻る。
③「アンビエントサウンド」モード(電源LED:グリーンの点滅)
※「ANC」モードからMFCを1回押すと移行。
④「ANCオフ」モード(電源LED:消灯)
※「アンビエントサウンド」モードからMFCを1回押すと移行。「ANCオフ」からもう1回押すと「ANC」モードに戻る。

つまり

 「ANC」モード(グリーン)「アンビエントサウンド」(点滅)「ANCオフ」戻る
  ↓↓  
 「3Dサラウンド」モード(ブルー)

という感じですね。ということで、各モードごとの違いを聴いてみます。


■ 「ANC」モード(LED:グリーン)

現在このレビューを書いている場所はわりと近くを電車が走っていることもあり、窓を開けるとひっきりなしに往来する騒音が結構大きく聞えます。
SHIVR NC18」を装着して左側の電源をオンにスライドすると(自動的に「ANC」モードが有効)、アクティブ・ノイズキャンセリングにより、完全に無音とまではいかないもののかなりクリアな状態まで環境ノイズが削減されるのが実感できます。窓を閉めた状態にして普通の屋内の状態であればほぼ無音に近い状態までクリアになります。
また、スマートフォン側で音楽再生アプリが再生可能状態であれば、電源をONにしてヘッドフォンを装着すると自動的に再生が開始されます。またジャイロスコープによるセンサーを搭載してるため、ヘッドフォンを頭から外すと自動的に一時停止になる機能が付いています。
「装着すれば再生」「外せば停止」というアクションは実際使ってみるとかなり便利ですね。

SHIVR NC18音楽再生はこの「ANC」モードが最も適したモードだと思います。この状態での「SHIVR NC18」のサウンドは、比較的味付けの少ない弱ドンシャリ傾向の音で、このモードでは特に低域が強すぎることもなく、ボーカルも自然な距離感で定位します。解像度などは一般的でワイヤードのモニターヘッドフォンと比べるのには無理がありますが、Bluetoothのモデルとしては結構リスニングにも対応できるサウンドだと感じました。ワイヤレスヘッドフォンで側圧が柔らかく軽量の機種の場合、遮音性もそれなりのため環境ノイズの多い屋外では音質的にもかなり残念な印象になることが多くあります。
その点「SHIVR NC18」では、「ANC」モードでのノイズキャンセリング効果は絶大で、ANC有効時の無音状態からのダイナミックレンジの広さは他のヘッドフォンと比べてもかなり魅力的な存在となるでしょう。高域も比較的綺麗でノイキャンのヘッドフォンでも結構楽しめるものだな、とちょっと感心しました。低域過多のワイヤレスヘッドフォンが多いなか、それなりの価格帯の製品とも十分に比較できるレベルのサウンドクオリティを実現していると思います(KickstarterではBose、Sony、Beatsの300ドル~400ドルクラスの製品との比較表が載ってますね)。


■ 「3Dサラウンド」モード(LED:ブルー)

ある意味「SHIVR」の最も「売り」のモードがこの「3Dサラウンド」モードです。このモードでは「ANC」によるノイズキャンセリングはより盛大に機能し、屋外でも上記の電車の騒音もほぼキャンセルされるかなり強烈な働き方をします。
SHIVR NC18 ( 3D Surround Mode )そして前述のとおり「独自の3Dオーディオアルゴリズム」と「ヘッドトラッキング技術」によって、頭を動かしてもジャイロスコープにより動きを検知し、常に同じ位置から鳴っているように感じるようサウンドコントロールを行います。普通に「ANC」モードで曲を聴きながらこのモードに変更すると突然定位が大幅に変わるため、最初その違和感から「気持ち悪っっ」と思ってしまったのですが(笑)、すぐに慣れてバーチャルな音響空間を楽しむことができます。このモードの時は正面に基準に複数のスピーカーによる音響空間を作成し、首の動きなどにより位置センサーが音響位置を補正します。そのため、歩きながらなど移動中の状態より座った状態で楽しむ方がよいでしょう。

SHIVR NC18「3Dサラウンド」モードでは、バーチャルなサラウンドスピーカーによる反響音がアレンジされるため映画やゲームなどの映像を見ながらの場合、より臨場感のあるサウンドが実感できます。また仮想サブウーファーによって低域も強化され、映画などでは迫力のある臨場感を楽しめます。
またVRのヘッドセットを装着している場合もかなり相性が良い組み合わせです。VRで顔の向きにあわせて映像が動くのと一緒に音の定位も付いてきてくれる感覚はとにかく新鮮で、没入感も一気に加速されます。PSVRと組み合わせると、かなり楽しいかもしれませんね(^^)。
いっぽうで音楽のリスニングの場合、定位は前面となり、すこし広めのホールのような音場感になります。低域がブーストされたような印象となるためライブ音源等は楽しいと思いますが、普通のリスニング向きではなさそうです。

ところで、「3Dサラウンド」モードによる強力な補正がかかっている状態でも、レイテンシ(遅延)についてはスマートフォンでの「aptX」でもほとんど違和感を感じることはありませんでした。もちろんAUX端子にケーブルを接続し有線ヘッドフォンとして使用する場合も「3Dサラウンド」モードは使用可能ですのでよりシビアに遅延にこだわる場合は有線モードを使用する方法もあります。
SHIVR NC18SHIVR NC18
またより遅延の少ない「aptX Low Latency」(aptX LL)に対応したBluetoothトランスミッターを組み合わせるのも良いかもしれませんね。私のブログで以前紹介した「WSKY BT-B19」 はBluetooth 5.0およびaptX LLに対応したトランスミッターとしても使用できるため「SHIVR NC18」との組み合わせには最適ですね。


■「アンビエントサウンド」モード(グリーン・点滅)、「ANCオフ」モード(消灯)

直訳すると「周囲の音」モード、ですね。言葉通り、周囲の音を鳴らす便利機能(?)のひとつです。って、これだけだと何のことやらという感じですが、「アンビエントサウンド」モードになると、再生中の音楽などは流れず(停止するわけではない)、代わりにノイズキャンセル用にハウジングの外側に搭載されているマイク(Feed forward mic)から拾った音をそのままヘッドフォンに流します。
これによりヘッドフォンを装着したままで外の音を確認することができるため、なにかと便利、ということみたいです。みたいです、というのは、少なくとも音楽を聴いている途中だったら、このモードを使うより普通にヘッドフォンを頭から外すほうが勝手に一時停止かかるし、ラクだろうと思うためです。
SHIVR NC18おそらくゲーム中などに(目と手はプレイしながら)耳だけ外の音を一時的に聞けるようにしたいとか、同様にVRヘッドセットを装着中でヘッドフォンを外しづらい状況(でも外の音を確認したい)など、要するにかなり「どっぷり」なシチュエーションを想定しているようにも感じます。でもこの機能、便利って思うひと結構いそうですねぇ(私のまわりにもそこそこいます^^;)。
ちなみにノイキャン用のマイクですので「周囲の音」は別にクリアな音ではなく、風呂場のような籠もった音になります。
また再度「MFC」ボタンを押すとノイズキャンセルを行わない「ANC OFF」モードとなります。いわゆる「素のワイヤレスヘッドフォン」としてのモードなわけですが、「ANC」モードがとてもクリアで良い印象のため、素のモードは相対的に平坦でいまひとつな印象となります。「SHIVR NC18」を使う上で、わざわざこのモードにする必要はないかな、という気もします。ただ静かな部屋でアコースティックな音源を聴くのには比較的高域が綺麗な印象もありました(あまりワイヤレスヘッドフォンとして意味が無いシチュエーションかも知れないですが・・・)。


というわけで、「SHIVR NC18」は普通のワイヤレスヘッドフォンとしても、とくに「ANC」モードによる強力なノイズキャンセリングでは結構実用的なサウンドを実現できていると感じます。またBluetooth 5.0とaptXでの接続性もまずまずで、これだけでも2万円程度の価格に十分に見合った製品だと感じました。さらに「3Dサウンド」モードを中心にガジェットとしての楽しさと実用性も兼ね備えており、なかなかお買得度の高い製品だと思います。
接続環境によっては一部動作が怪しいところなど、ファームウェアはもう少しアップデートしていく必要があるかもしれませんが(あるいは実際の製品では改良されている可能性もあります)、いろいろ楽しめるワイヤレスヘッドフォンをひとつ持っていたい方は挑戦してみるのも良いと思います。