nuraphone

こんにちは。今回は「nuraphone」(ニューラフォン)の製品発表会のイベントレポートになります。4月24日に同製品のプレス向け発表会が開催され、私も主催する国内正規販売元のDELFIN JAPAN様からご招待で僭越ながら参加させていただきました。
今回レポートする「nuraphone」は、既に海外版をトライした方もいらっしゃると思いますが、通常のワイヤレスヘッドフォンとは全く異なる、とにかく驚異的な技術に裏付けされた斬新なアプローチの製品です。しかし、改めてサポートのしっかりした国内正規品を実際に店頭で手にとって購入できるようになったメリットはとても大きいと思います。それは、「実際に体験してこそ凄さを実感できる製品」というのが今回の発表会で何より感じたことだったからです。
製品情報(DELFIN JAPAN): nuraphone


■「nuraphone」とは何者?

nuraphone」のメーカー「Nura」(https://www.nuraphone.com/)はオーストラリア発祥のスタートアップ企業で、今回発表された「nuraphone」は、ジャンルとしては「ノイズキャンセリング機能付きワイヤレスヘッドフォン(aptX HD/AAC対応)」です。しかし、「nuraphone」の最大の特徴は、なんと言っても「nurasound」と呼ばれる利用者の聴覚を測定し最適なサウンドバランスに自動調整、最適化する独自のキャリブレーション技術でしょう。
ペアリングしたスマートデバイスに専用アプリ(iOS/Android用)をインストールし、指示に従ってキャリブレーションを行うことでユーザー固有の「聴力プロファイル」が作成されます。このパーソナルデータに基づき最上の音質になるように自動調整が行われ、利用者に最適化されたサウンドを楽しむことができる、という、とにかくテクノロジーの塊のようなヘッドフォンですね(^^;)。
nuraphone nuraphone
nuraphone」の構造は非常に独創的で、オーバーイヤーヘッドフォン状のラバー製イヤーカップの中央にカナル型イヤホンのような「突起部分」が存在します。この「Inova」と呼ばれる特許取得の仕組みにより、高度なANC(アクティブノイズキャンセリング)や優れた遮音性、没入感のあるサウンドなど、インイヤー型とオーバーイヤー型のそれぞれのメリットをユーザーは実感することができます。また「nurasound」によるキャリブレーションにおいてもこの仕組みは大きな意味を持ちます。
nuraphone: How it works



nuraphone」のキャリブレーションは、乳幼児の聴力検査等でも実際に使用される「耳音響放射」を自動測定する仕組みを採用。キャリブレーションは「nuraphone」でサンプルのサウンドを聴くことで、耳から戻ってくる微弱な音(耳音響放射)を先端に装着されたマイクが測定し、ひとりひとりの周波数ごとの感度を自動で測定、最適なプロファイルを生成するとのことです。この人それぞれの周波数ごとの特性を耳音響放射で「聴き分ける」のは非常に高度な技術が必要だったそうで、発表会に登壇したCEOのDragon Petrovic氏は質疑応答のなかで「東京から富士山頂で石を置いた音を聴き分けるほどの難易度」と表現しています。

nuraphone」はaptX HDにも対応していますので、スマートフォンでの一般的なストリーミング音源に限らず、Android搭載のDAPやハイレゾプレーヤーアプリ、TIDALなどの高音質ストリーミングなどで自分に最適化されたサウンドがどのように聴くことができるか、なかなか興味がありますね。


■発表会イベントで実際に体験してみました!

というわけで、発表会イベントで私もじっくり体験することができました。プレス発表会は4月24日の午後、都内にて開催され各プレス関係者や私も含めた招待者が多数参加。
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イベント中盤で前述の同社CEO Dragon Petrovic氏が登壇し、「nuraphone」の開発に至る内容のプレゼンテーションや質疑応答では興味深い話も数多く聞くことができ、驚きと感心の連続でした。
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そして、参加者のテーブルにはひとり1台ずつの「nuraphone」が置かれており、すでにペアリングされたiPadを使って実際に体験することが可能でした。
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nuraphone」の外観はとてもミニマムなデザインでラバー製のイヤーパッド部およびヘッドバンドは肌触りも良く側圧も適度な印象です。左右の表記はなく、充電ポートがある方が右側になります。電源ボタンはなく装着することで自動的に電源ONとなり、ペアリング済みのデバイスと接続されます。逆に頭から外してしばらくすると自動的にOFFに移行します。
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そして「nuraphone」の最も特徴的なカナル型イヤホンのような突起部も同様に柔らかく耳に装着したときも思ったより違和感はありませんでした。ただ、私は耳穴がもともと狭く、カナル型イヤホンでもイヤーピースに苦労するほうなので、キャリブレーション時の位置合わせにはちょっと苦労しました(エラーが出て何度もトライしてやっとOKになりました)。しかし、いちど個人プロファイルを作成してしまえば、普段使いの時は完全にフィットさせた状態でなくても自分にあったサウンドを楽しむことは十分にできるようで、神経質になるのは最初の1回だけで大丈夫そうです(^^;)。
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nuraphone」のアプリでは同時に3パターンまでの「個人プロファイル」を測定し、登録することができます。家族で「nuraphone」を共有し、それぞれにあったプロファイルを使うのも良いですし、自分のプロファイルを別々の日に3回登録し、コンディションなどによって設定が変化するかを確認してみるのもおもしろそうですね。また当然登録された他の人のプロファイルで聴くこともできます。
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登録された自分のプロファイルはひとつの円に描かれたグラフのような模様で可視化されます。時計の0時の位置を基準に右回りで低域から高域と周波数特性ごとの耳の感度を可視化しており、より敏感な場合は円からはみ出る形になります。ただこれは耳の善し悪しというより、鼓膜までの耳道の経路によって個人差が発生する「聞こえ方」を調整するためのものらしいですね。人によって形状だけでなくカラーも変化しますがこれも何らかの個人差を可視化したもののようです。
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とりあえず自分用にキャリブレーションした上で、iPadに入っていたサンプルの音源をいくつか聴いてみました。標準(ニューラル)からパーソナライズ済みの音に変えることで、まずバーチャルサラウンド等とは全く異質の、ヘッドフォンとは思えないような自然な定位に変化したことに驚きました。とても質の高いスピーカーで聴いているような感覚です。反響レベルをコントロールすることでリスニング空間の広さを好みにアレンジすることができます。
全体的にドンシャリ気味にアレンジされる印象ですが、単純にイコライザで高域と低域を持ち上げているような感覚ではなく、高域の伸びと低域の解像度および締まりがぐっと向上したような「音の変化」を実感します。とてもすばらしいサウンドで、できればさらにいろいろな音源で手持ちのヘッドフォン等とも比較してみたいと思いました。

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このように自分用の「個人プロファイル」を作成し、ニューラルとの音の違いを実感することで、「nuraphone」の凄さを実感できる、「体験してこそ」の製品だと思いました。
そのため、本領を発揮しようと思ったら、店頭やブースなどで軽く試聴だけでは難しいかもしれませんね。ただし、音の変化については例えば聴覚の傾向が大きい(たとえば低域がすごく敏感な人と逆に高域がすごく敏感なひと、など)個人プロファイルを用意して印象の変化を聴き分ける、という試聴の仕方はできそうです。

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ところで、今回の発表会での製品説明およびプレゼンテーションは野村ケンジ氏が担当されていました。この製品に詳しく日本語でのプレゼンテーションをスムーズにできる方、ということで依頼されたみたいです(ほんと何でもやるんだなぁ、と思いながら眺めてました^^;)。ちなみに、その流れ&同じ理由で27日・28日の「ヘッドフォン祭2019」でも野村氏の枠で28日の15時くらいから体験イベントが開催されるようですので、気になる方はチェックいただき足を運ばれてはと思います。


nuraphone」の国内版の価格は税込み55,000円で4月27日からの販売開始とのこと。ところでNura CEOのPetrovic氏のセッションでは、「nuraphone」を体験したStevie Wonderが後日ショップにあった製品を買い占めた(笑)エピソードなども披露し、今後の製品としてプロフェッショナルユースの製品にも強い関心をもっていました。さらにイヤホンタイプの「nuraphone」の計画はすでにあるようで近いうちに実際の製品を見ることが出来るかもしれません。
というわけで、ひと足早く「nuraphone」の楽しさを体験させていただいた販売元のDELFIN JAPAN様にはあらためて感謝を申し上げます。今後、実際の製品を手にとってじっくりレビューをしたいなあとも考えています(^^)